(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5848437
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】キャリア・アグリゲーション・シナリオにおけるハンドオーバの方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/06 20090101AFI20160107BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20160107BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20160107BHJP
【FI】
H04W36/06
H04W72/04 111
H04W74/08
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-503223(P2014-503223)
(86)(22)【出願日】2011年11月8日
(65)【公表番号】特表2014-513465(P2014-513465A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】IB2011003216
(87)【国際公開番号】WO2012137034
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2013年11月13日
(31)【優先権主張番号】201110089934.3
(32)【優先日】2011年4月2日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】リム,セイオウ サイアン
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
NTT DOCOMO, INC.,CA support for multi-TA,3GPP TSG-RAN2#69, R2-101567,2010年 2月26日
【文献】
NTT DOCOMO, INC.,Reference DL CC for TA,3GPP TSG-RAN2#70,R2-103221,2010年 5月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局におけるハンドオーバの方法であって、
a. ユーザ機器にハンドオーバ・コマンドを送信するステップであって、前記ハンドオーバ・コマンドは、Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む、送信するステップと、
b. 前記Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする前記Sセルにおいて前記ユーザ機器がランダム・アクセスに成功するのに応じて、対応するタイミング・アドバンスを指示するための情報を前記ユーザ機器に送信するステップと、
c. 前記Pセルにおいて前記ユーザ機器が前記ランダム・アクセスに失敗し、少なくとも1つのSセルにおいてランダム・アクセスに成功した場合には、前記Pセルを変更するか否かを判断するステップと、
d. 前記Pセルを変更すると判断された場合には、新たなPセルを指示するための無線リソース制御層シグナリングを前記ユーザ機器に送信するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
基地局におけるハンドオーバの方法であって、
a’. ユーザ機器にハンドオーバ・コマンドを送信するステップであって、前記ハンドオーバ・コマンドは、Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む、送信するステップと、
b’. 前記Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする前記Sセルにおいて前記ユーザ機器がランダム・アクセスに成功するのに応じて、対応するタイミング・アドバンスを指示するための情報を前記ユーザ機器に送信するステップと、
c’. 前記Pセルにおいて前記ユーザ機器が前記ランダム・アクセスに失敗し、少なくとも1つのSセルにおいてランダム・アクセスに成功した場合には、前記Pセルを変更するか否かを判断するステップと、
d’. 前記Pセルを変更しないと判断された場合には、無線リソース制御層接続を再確立するように前記ユーザ機器に指示するための無線リソース制御層シグナリングを前記ユーザ機器に送信するステップと
を含む、方法。
【請求項3】
ユーザ機器におけるハンドオーバの方法であって、
A. ターゲット基地局からハンドオーバ・コマンドを受信するステップであって、前記ハンドオーバ・コマンドは、Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む、受信するステップと、
B. 前記Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする前記Sセルにおいてランダム・アクセスを実行するステップであって、前記Pセルにおける前記ランダム・アクセスが失敗し、少なくとも1つのSセルにおけるランダム・アクセスが成功した場合には、前記ターゲット基地局が前記Pセルを変更するか否かを判断する、実行するステップと、
C. 前記Pセルを変更すると判断された場合には、新たなPセルを指示するための無線リソース制御層シグナリングを前記ターゲット基地局から受信し、前記Pセルを変更しないと判断された場合には、無線リソース制御層接続を再確立するように前記ユーザ機器に指示するための無線リソース制御層シグナリングを前記ターゲット基地局から受信するステップと
を含む、方法。
【請求項4】
前記ステップBにおいて、前記Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする前記Sセルにおいて並行してランダム・アクセスを実行することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップBにおいて、前記Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする前記Sセルにおいて逐次的にランダム・アクセスを実行することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記Pセルにおいてランダム・アクセスに成功するときに、前記Pセルを通してハンドオーバ完了コマンドを送信するステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記Pセルおよび前記Sセルにおいて少なくとも1つのランダム・アクセスに成功するときに、前記ランダム・アクセスに成功した前記Pセルまたは前記Sセルを通してハンドオーバ完了コマンドを送信するステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする前記Sセルの両方においてランダム・アクセスに失敗したときに、無線リソース制御層接続を再確立する手順を開始するステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記ターゲット基地局から無線リソース制御層接続の再確立を指示するための情報を受信するときに、前記無線リソース制御層接続を再確立する前記手順を開始するステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
基地局におけるハンドオーバのための第1のハンドオーバ装置であって、
ユーザ機器にハンドオーバ・コマンドを送信するための第1の送信ユニットであって、前記ハンドオーバ・コマンドは、Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む、第1の送信ユニットと、
前記Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする前記Sセルにおいて前記ユーザ機器がランダム・アクセスに成功するのに応じて、対応するタイミング・アドバンスを指示するための情報を前記ユーザ機器に送信するための第2の送信ユニットと、
前記Pセルにおいて前記ユーザ機器が前記ランダム・アクセスに失敗し、少なくとも1つのSセルにおいてランダム・アクセスに成功した場合には、前記Pセルを変更するか否かを判断するための判断ユニットと、
前記Pセルを変更すると判断された場合には、新たなPセルを指示するための無線リソース制御層シグナリングを前記ユーザ機器に送信するための、そして前記Pセルを変更しないと判断された場合には、無線リソース制御層接続を再確立するように前記ユーザ機器に指示するための無線リソース制御層シグナリングを前記ユーザ機器に送信するための第3の送信ユニットと
を備える、第1のハンドオーバ装置。
【請求項11】
ユーザ機器におけるハンドオーバのための第2のハンドオーバ装置であって、
ターゲット基地局からハンドオーバ・コマンドを受信するための第1の受信ユニットであって、前記ハンドオーバ・コマンドは、Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む、第1の受信ユニットと、
前記Pセル、および前記Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする前記Sセルにおいてランダム・アクセスを実行するためのランダム・アクセス・ユニットであって、前記Pセルにおける前記ランダム・アクセスが失敗し、少なくとも1つのSセルにおけるランダム・アクセスが成功した場合には、前記ターゲット基地局が前記Pセルを変更するか否かを判断する、ランダム・アクセス・ユニットと、
前記Pセルを変更すると判断された場合には、新たなPセルを指示するための無線リソース制御層シグナリングを前記ターゲット基地局から受信し、前記Pセルを変更しないと判断された場合には、無線リソース制御層接続を再確立するように前記ユーザ機器に指示するための無線リソース制御層シグナリングを前記ターゲット基地局から受信するための第2の受信ユニットと
を備える、第2のハンドオーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル通信技術に関し、より詳細には、キャリア・アグリゲーション・シナリオのためのユーザ・ハンドオーバ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE−Aにおいて、より高いデータ転送速度の要件を満たすために、より広い帯域幅が使用され、最大帯域幅は100MHzに達する可能性がある。後方互換性を確保するために、100MHz帯域幅は、複数の搬送波成分に分割され、各搬送波成分は、最大で20MHzの帯域幅を有することができる。それゆえ、各ユーザは、最大で5搬送波成分をサポートすることができる。ユーザ機器ごとに、一次搬送波成分(PCC)、およびオプションで複数の二次搬送波成分(SCC)が存在し、一次搬送波成分は常にアクティブ状態にある。別の関連する概念は、3GPPによって既に採用されているPセルおよびSセルであり、Pセルは、ダウンリンク/アップリンク一次搬送波成分対を意味し、Sセルは、ダウンリンク/アップリンク二次搬送波成分対または単一のダウンリンク搬送波を意味する。Pセルは、R8無線リソース制御接続プログラムによって確立され、一方、Sセルは、新たなR10Sセル付加メッセージによって生成される。
【0003】
公開されたLTE−AプロトコルのRelease10(R10)では、ユーザ機器がPセルにおいてのみランダム・アクセス手順を実行する。R10のハンドオーバ手順の場合、ターゲットeNBが、ハンドオーバ・コマンド(HOコマンド)においてPセルおよびSセルの両方を指示するが、ユーザ機器は、指示されたPセルにおいてのみランダム・アクセス手順を実行する。Pセルにおけるランダム・アクセスが成功した場合には、ハンドオーバが成功したと見なされる。Pセルにおけるランダム・アクセスが失敗する場合には、ハンドオーバは失敗したと見なされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモート無線周波数ヘッド(remote radio frequency head:RRH)および周波数選択リピータの存在に起因して、Pセルおよび各Sセルの信号は異なる送信経路を通過する場合があり、それゆえ、異なるタイミング・アドバンス(TA)が必要とされる。RAN51において、全会一致で、複数のタイミング・アドバンスをサポートする必要があるとの合意に達している。
【0005】
R10の場合、ユーザ機器のランダム・アクセス手順はPセルに制限される。R10のハンドオーバ手順の場合、ユーザ機器はPセルにおいてのみランダム・アクセスを実行する。キャリア・アグリゲーション(CA)シナリオにおいてタイミング整合を実現するためには、複数のタイミング・アドバンスをサポートする必要があるが、R10における方式はそのような要件を満たすには不十分である。
【0006】
結果として、本発明の目的は、上記に要件を満たすように、キャリア・アグリゲーション・シナリオにおけるハンドオーバのための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態では、基地局におけるハンドオーバのための方法が提供される。この方法は、a. ユーザ機器にハンドオーバ・コマンドを送信するステップであって、ハンドオーバ・コマンドはPセルと、Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルとを指示するための情報を含む、送信するステップと、b. Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルにおいてユーザ機器がランダム・アクセスに成功するのに応じて、対応するタイミング・アドバンスを指示するための情報をユーザ機器に送信するステップとを含む。
【0008】
本発明の更なる実施形態では、ユーザ機器におけるハンドオーバのための方法が提供される。この方法は、A. ターゲット基地局からハンドオーバ・コマンドを受信するステップであって、ハンドオーバ・コマンドは、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む、受信するステップと、B. Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルにおいてランダム・アクセスを実行するステップとを含む。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態では、基地局におけるハンドオーバのための第1のハンドオーバ装置が提供される。この装置は、ユーザ機器にハンドオーバ・コマンドを送信するための第1の送信ユニットであって、ハンドオーバ・コマンドは、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む、第1の送信ユニットと、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルにおいてユーザ機器がランダム・アクセスに成功するのに応じて、対応するタイミング・アドバンスを指示するための情報をユーザ機器に送信するための第2の送信ユニットとを備える。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態では、ユーザ機器におけるハンドオーバのための第2のハンドオーバ装置が提供される。この装置は、ターゲット基地局からハンドオーバ・コマンドを受信するためのハンドオーバ・コマンド受信ユニットであって、ハンドオーバ・コマンドはPセルおよび、Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示する情報を含む、ハンドオーバ・コマンド受信ユニットと、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルにおいてランダム・アクセスを実行するためのランダム・アクセス・ユニットとを備える。
【0011】
本発明において提供される方法および装置によれば、キャリア・アグリゲーション・シナリオにおいて異なるタイミング・アドバンスを必要とするPセルおよびSセルをサポートすることができる。さらに、本発明の幾つかの実施形態では、基地局においてPセルを変更するのをサポートすることによって、不要な接続再確立手順を回避するように、キャリア・アグリゲーション・シナリオにおいてハンドオーバの成功率が効果的に改善される。
【0012】
本発明の他の特徴、目的および利点は、添付の図面とともに解釈される非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】モバイル通信システムにおける例示的なハンドオーバ・シナリオの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、モバイル通信システムにおけるハンドオーバのための方法の流れ図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、基地局におけるハンドオーバのための第1のハンドオーバ装置のブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、ユーザ機器におけるハンドオーバのための第2のハンドオーバ装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面では、種々の図全体を通して、同一または類似の参照記号は対応する特徴を示す。
【0015】
図1は、モバイル通信システムにおける例示的なハンドオーバ・シナリオの概略図を示す。図に示されるように、ユーザ機器3がハンドオーバ動作を実行することになり、基地局1がユーザ機器3の元のサービング基地局であり、一方、基地局2が、ユーザ機器3がハンドオーバを実行するためのターゲット基地局である。基地局はサイトと称すこともでき、基地局が異なるプロトコル標準規格に対応する異なる特殊な名称を有することは、当業者は理解すべきである。例えば、LTEシステムまたはLTE−Aシステムでは、基地局は、ノードBまたは発展型ノードB(eNB)とも称される。本出願において称される基地局またはサイトは、例えば、LTE−Aシステムにおける発展型ノードBであるが、それには限定されない。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態による、モバイル通信システムにおけるハンドオーバのための方法の流れ図を示す。その方法は通常、ユーザ機器とそのターゲット基地局との間で実行され、3つのステップ11、13、および15を含む。以下において、その方法は、
図2に従って、かつ
図1に示されるユーザ機器3、その基地局2と関連して詳細に説明される。
【0017】
ステップ11において、基地局2がユーザ機器3にハンドオーバ・コマンドを送信し、ハンドオーバ・コマンドは、Pセルと、Pセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む。
【0018】
概して、ハンドオーバ・コマンドは、PセルおよびSセルを指示する情報を含む。Pセルおよび各Sセルは、異なるリモート無線周波数ヘッド、周波数選択リピータまたは他のデバイス、モジュールにマッピングされる場合があるので、Pセルおよび各Sセルの信号は、異なる送信経路を経験する場合があり、それゆえ、タイミング調整を達成するのに、異なるタイミング・アドバンスが必要とされる。基地局2は、その構成に従って、どのSセル(1つまたは複数)がPセルと異なるタイミング・アドバンスを必要とするかを判断することができる。したがって、ハンドオーバ・コマンドにおいて、Pセルおよび各Sセルに加えて、どのSセル(1つまたは複数)がPセルと異なるタイミング・アドバンスを必要とするのかも指示される。
【0019】
ユーザ機器3は、基地局2からハンドオーバ・コマンドを受信し、その後、ステップ13において、ハンドオーバ・コマンドによって指示されるPセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする1つまたは複数のSセルにおいてランダム・アクセスを実行する。
【0020】
オプションでは、ステップ13において、ユーザ機器3は、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする1つまたは複数のSセルにおいて並行してランダム・アクセスを実行する。このようにして、ランダム・アクセス手順の終了を速めることができる。
【0021】
また、オプションでは、ステップ13において、ユーザ機器3は、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とする1つまたは複数のSセルにおいて逐次的にランダム・アクセスを実行し、そのランダム・アクセスは最初にPセルにおいて実行される。
【0022】
ステップ13を2つの方法において実行する利点は、ハンドオーバ手順において、Sセル初期化アップリンク同期が達成されることにある。したがって、ハンドオーバ後に、ランダム・アクセスを実行するのに成功した全てのSセルが、良好に構成されているが、非アクティブ状態にあり、それはLTE−A R10における対応する規則と一致する。それゆえ、ハンドオーバ手順のランダム・アクセスにおいて失敗したPセルまたはSセルが存在しない限り、ハンドオーバ後にアップリンク同期手順を開始する必要はない。ランダム・アクセスに失敗したPセルまたはSセルの場合、ユーザ機器3は、基地局2から物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)オーダ・シグナリングを受信した後に、ランダム・アクセスを再び実行することができるか、または自動的にランダム・アクセスを再び実行することができる。
【0023】
任意の搬送波成分(対)においてランダム・アクセスを実行するのに成功した後に、基地局2は対応するタイミング・アドバンスを決定する。その後、ステップ15において、基地局2は、ハンドオーバ・コマンドによって指示されるPセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルにおいてユーザ機器3がランダム・アクセスに成功するのに応じて、対応するタイミング・アドバンスを指示するための情報をユーザ機器3に送信する。言い換えると、基地局2は、ランダム・アクセスに成功した全てのPセルまたはSセルの対応するタイミング・アドバンスをユーザ機器3に指示する。
【0024】
LTE−A R10では、ランダム・アクセスがPセルにおいてのみ実行されるので、Pセルにおけるランダム・アクセス手順の終了は、ハンドオーバの終了も意味する。しかしながら、本発明によって提案される技術的解決策では、ハンドオーバの終了は、以下の2つの定義によって定義することができる:
(ハンドオーバ終了の)第1の定義:PセルおよびSセルの両方においてランダム・アクセスが終了し、失敗する。
(ハンドオーバ終了の)第2の定義:Pセルにおいてランダム・アクセスが終了し、少なくとも1つのSセルにおいてランダム・アクセス手順が成功する。
【0025】
本発明の一実施形態では、そのハンドオーバ方法は、以下のステップをさらに含む:Pセルにおいてユーザ機器3がランダム・アクセスに失敗し、少なくとも1つのSセルにおいてランダム・アクセスに成功する場合には、基地局2は、Pセルを変更するか否かを判断する。
【0026】
さらに、そのハンドオーバ方法は、以下のステップをさらに含む:Pセルを変更すると判断された場合には、基地局2は、新たなPセルを指示するための無線リソース制御層シグナリングをユーザ機器3に送信する。概して、新たなPセルは、ランダム・アクセスを実行するのに成功したSセルのうちの1つとすべきである。同時に、基地局2は、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)、半永続スケジュール(semi persistent schedule:SPS)リソース等を含む、新たなPセルに関連する専用リソースを構成する。オプションでは、これらのリソースの構成情報も、新たなPセルを指示するための無線リソース制御層シグナリング内に含まれる。
【0027】
このようにして、上記の解決策によれば、Pセルにおいてランダム・アクセスを実行するのに失敗した場合に、ハンドオーバの成功確率を高めるように、かつ不要な接続再確立手順を回避するように、ターゲット基地局はPセルを変更できるようになる。
【0028】
本発明の一実施形態では、上記のハンドオーバ方法は以下のステップをさらに含む:Pセルにおいてランダム・アクセスに成功するとき、ユーザ機器3はPセルを通してハンドオーバ完了コマンドを送信する。
【0029】
本発明の一実施形態では、上記のハンドオーバ方法は以下のステップをさらに含む:PセルおよびSセルにおいて少なくとも1つのランダム・アクセスに成功するとき、ユーザ機器3は、ランダム・アクセスを実行するのに成功したPセルまたはSセルを通してハンドオーバ(HO)完了コマンドを送信する。具体的には、Pセルにおいてランダム・アクセスに成功するとき、ユーザ機器3はPセルを通してハンドオーバ完了コマンドを送信することが好ましく、Pセルにおいてランダム・アクセスに失敗するが、少なくとも1つのSセルにおいてランダム・アクセスに成功するとき、ユーザ機器3は、ランダム・アクセスを実行するのに成功したSセルを通してハンドオーバ(HO)完了コマンドを送信する。
【0030】
LTE−A R10におけるハンドオーバ手順の場合、Pセルにおけるランダム・アクセスの失敗はハンドオーバ失敗を意味する。しかしながら、本発明によって提案される技術的解決策では、ハンドオーバ失敗は以下の2つの定義によって定義することができる:
(ハンドオーバ失敗の)第1の定義:PセルおよびSセルの両方においてランダム・アクセスに失敗する。
(ハンドオーバ失敗の)第2の定義:Pセルにおいてランダム・アクセスに失敗し、少なくとも1つのSセルにおいてランダム・アクセスに成功するが、基地局がPセルを変更しないと判断する。
【0031】
ハンドオーバ失敗の第1の定義に対応する、本発明の一実施形態では、そのハンドオーバ方法は以下のステップをさらに含む:ハンドオーバ・コマンドによって指示される、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルの両方においてランダム・アクセスに失敗するとき、ユーザ機器3は、無線リソース制御層接続の再確立手順を開始する。
【0032】
ハンドオーバ失敗の第2の定義に対応する、本発明の別の実施形態では、そのハンドオーバ方法はさらに以下のことを含む:
− ハンドオーバ・コマンドによって指示されるPセルにおいてランダム・アクセスに失敗するとき、基地局2はPセルを変更しないと判断し、無線リソース制御層接続を再確立するようにユーザ機器3に指示するための無線リソース制御層シグナリングをユーザ機器3に送信する。
− 基地局2から無線リソース制御層接続の再確立を指示するためのシグナリングを受信した後に、ユーザ機器3は、無線リソース制御層接続の再確立手順を開始する。
【0033】
2つのハンドオーバ失敗のための上記の2つの解決策および連続動作は、不要な接続再確立手順を回避するように、かつ基地局が電力を維持し、Pセルを変更すると判断できるように、ハンドオーバの成功率を高めるのにも有用である。また、2つの解決策は、非衝突ベースランダム・アクセス(non−contention based random access)手順も取り扱う。例えば、ハンドオーバ・コマンドにおいて或るプリアンブルが指示される場合には、ユーザ機器は、最初に非競合ベースのランダム・アクセス手順を実行すべきである。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態による、基地局におけるハンドオーバのための第1のハンドオーバ装置のブロック図を示す。その図に示されるように、本実施形態における第1のハンドオーバ装置20は、第1の送信ユニット21と、第2の送信ユニット22とを備える。第1のハンドオーバ装置20は通常、
図1に示される基地局2内のような基地局内に設置される。
【0035】
第1の送信ユニット21および第2の送信ユニット22を用いて、上記のハンドオーバ方法のうちの、それぞれステップ11および15を実現する。
【0036】
第1の送信ユニット21は、ユーザ機器にハンドオーバ・コマンドを送信するためのユニットであり、そのハンドオーバ・コマンドは、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示するための情報を含む。
【0037】
第2の送信ユニット22は、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルにおいてユーザ機器がランダム・アクセスに成功するのに応じて、対応するタイミング・アドバンスを指示するための情報をユーザ機器に送信するためのユニットである。
【0038】
図4は、本発明の一実施形態による、ユーザ機器におけるハンドオーバのための第2のハンドオーバ装置のブロック図を示す。その図に示されるように、本実施形態における第2のハンドオーバ装置30は、ハンドオーバ・コマンド受信ユニット31と、ランダム・アクセス・ユニット32とを備える。第2のハンドオーバ装置30は通常、
図1に示されるユーザ機器3内のようなユーザ機器内に設置される。
【0039】
ハンドオーバ・コマンド受信ユニット31は、上記のハンドオーバ方法のステップ11に対応し、ランダム・アクセス・ユニットは、上記のハンドオーバ方法のステップ13を実現するために用いられる。
【0040】
ハンドオーバ・コマンド受信ユニット31は、ターゲット基地局からハンドオーバ・コマンドを受信するためのユニットであり、そのハンドオーバ・コマンドは、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルを指示する情報を含む。
【0041】
ランダム・アクセス・ユニット32は、Pセル、およびPセルとは異なるタイミング・アドバンスを必要とするSセルにおいてランダム・アクセスを実行するためのユニットである。
【0042】
本発明の他の実施形態では、第1のハンドオーバ装置20および第2のハンドオーバ装置30は、上記のハンドオーバ方法における他のステップを実現するための対応するユニットをさらに備える。
【0043】
本発明における各ユニットは、ハードウェアモジュールによって実現することができるか、ソフトウェアの機能モジュールによって実現することができ、ソフトウェア機能モジュールを組み込まれたハードウェアモジュールによって実現することもできることを当業者は理解すべきである。
【0044】
上記の実施形態は、限定するものではなく、例示にすぎないことを当業者は理解すべきである。異なる実施形態における異なる技術的特徴を、有益な効果を達成するように組み合わせることができる。図面、説明および特許請求の範囲に基づいて、当業者は、開示される実施形態の他の変形形態を理解し、実現することができる。特許請求の範囲において、用語「〜を備える(含む)(comprising」は、他のユニットまたはステップを除外しない、不定冠詞「1つの(a/an)」は複数を除外しない、用語「第1の」、「第2の」は、任意の特定の順序以外の名称を表すために用いられる。特許請求の範囲内の任意の参照記号は、保護範囲に対する制限と理解すべきではない。特許請求の範囲において現れる複数の部分の機能は、単一のハードウェアまたはソフトウェアモジュールによって実現することができ、或る特定の部分の機能は、複数の異なるハードウェアまたはソフトウェアモジュールによって実現することもできる。幾つかの技術的特徴が異なる従属請求項において現れる場合であっても、有益な効果を得るために、これらの技術的特徴を組み合わせることができないことを意味するものではない。