(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5848445
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】支持足部を備えた内視鏡器具
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20160107BHJP
【FI】
A61B1/00 300P
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-517637(P2014-517637)
(86)(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公表番号】特表2014-526912(P2014-526912A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】EP2012062264
(87)【国際公開番号】WO2013000873
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2014年1月6日
(31)【優先権主張番号】1155827
(32)【優先日】2011年6月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504317743
【氏名又は名称】ユニベルシテ ピエール エ マリー キュリー(パリ シズエム)
(73)【特許権者】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス)
(73)【特許権者】
【識別番号】514005331
【氏名又は名称】モーナ ケア テクノロジ
(73)【特許権者】
【識別番号】511237520
【氏名又は名称】アンドコントロル
【氏名又は名称原語表記】ENDOCONTROL
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ ローザ
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ エルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム シェブチク
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム モレル
(72)【発明者】
【氏名】クレマン ビダル
(72)【発明者】
【氏名】パトリック アンリ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ラコンブ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム ロペ
【審査官】
小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−012637(JP,A)
【文献】
特表2009−531081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に導入されて内臓に接近するように設計された遠位端(4)を備えた細長い本体を有する内視鏡器具(1)であって、
前記遠位端が、内臓における処置のためのツール(7)を支持し、
前記内視鏡器具が、
前記遠位端と強固に接続し且つ内臓に係止するように設計された足部(10、110)と、
前記足部が内臓に係止しているときに、前記ツールに、少なくとも前記内視鏡器具の遠位端の長手方向の軸線(X)に対して横断する方向への動きを付与する、制御可能な運動手段(13、13’、113)と、
を有する、
前記内視鏡器具において、
前記運動手段が、前記ツールと連結し且つ前記足部内において全体的に配置された少なくとも1つのアクチュエータ(13、13’、113、213)を有することを特徴とする、
内視鏡器具。
【請求項2】
前記アクチュエータ(213)が、前記内視鏡器具の遠位端と前記ツール(207)の間で延びている、
請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記足部(10;110)と前記ツール(7;107)との間で延びている、
請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項4】
前記運動手段が、複数のアクチュエータ(13、13’、113)を有し、
前記アクチュエータのそれぞれは、前記足部と前記ツールとの間で所定の方向に延びており、全てのアクチュエータの前記所定の方向は収束する、
請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項5】
前記運動手段が、それぞれの高さ位置において、それぞれオフセットした高さ位置に配置された少なくとも2組のアクチュエータ(13、13’)を有し、
前記アクチュエータのそれぞれは、前記足部と前記ツールとの間で所定の方向に延びており、同じ高さ位置に配置された全てのアクチュエータの前記所定の方向は収束する、
請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項6】
前記足部が、前記内視鏡に固定する固定部(12)と接続した係止部(11)を有し、
前記係止部及び前記固定部が1つの部品で形成されている、
請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項7】
前記足部が、可撓部(14)によって固定部(12)と接続している係止部(11)を有する、
請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項8】
前記可撓部が、
− 球状支持面が設けられた、前記係止部(311)と1つの部品で形成された少なくとも1つの第1の要素と、前記第1の要素の球状支持面と適合する球状支持面が設けられた、前記固定部(312)と1つの部品で形成された少なくとも1つの第2の要素と、
− 弾性材料から形成されており、且つ前記第1の要素及び前記第2の要素を少なくとも部分的に覆っている鞘部(319)と、
を有する、
請求項7に記載の内視鏡器具。
【請求項9】
前記足部(110)が、前記足部の係止部を形成する端部を備えた複数の脚部(111)を有する、
請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項10】
前記足部の係止部を形成している前記脚部の少なくとも端部が、互いに独立している、
請求項9に記載の内視鏡器具。
【請求項11】
前記脚部(111)が、前記内視鏡器具の内部に収納可能である、
請求項9に記載の内視鏡器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足部を備えた内視鏡器具に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡器具は、内臓の処置(intervention)を行う目的で、自然経路又はカニューレ等の人口経路を通じて患者の体内、例えば腹腔に挿入される。この際、内臓の生検を行ったり、プローブを内臓の組織の正確な位置に挿入したりすることがある。
【0003】
また、内臓の表面の一部分を検査することもある。その場合には、内視鏡器具の遠位端にはカメラや超音波プローブ等のツールが備えられる。場合によっては、内臓に対する位置決め及び完全固定を確実に行うことが必要な場合や、内臓に対してその外面にほぼ平行に、内視鏡器具の遠位端の相対運動、例えばスキャン運動を生じさせることが必要な場合がある。
【0004】
そのような運動を実現するために、当業者は、内視鏡器具の体の外にある部分で作業することにより、手動又はロボットの助けを借りて内視鏡器具を動かす。しかしながら、このような動作はあまり正確ではないし、またアクセス経路の動きを誘発してしまう患者の動きや、患者の体内の臓器の固有運動のことは考慮されていない。
【0005】
臓器を固定させる手段、具体的には、臓器を固定させようとして臓器にしっかりと押し付ける成形ツールを使用することが提案されているが、臓器の固定が保証されていない上、この種の固定デバイスは扱いにくく、また侵襲的である。
【0006】
また、内臓に対する内視鏡器具の遠位端の相対運動を無効とすることを目的として、内臓カメラにより内臓に対する内視鏡器具の遠位端の位置を自動制御することも提案されている。この方法では、実時間映像の取得、並びに複合再帰アルゴリズム及び適応制御アルゴリズムを使用する必要がある。
【0007】
また、臓器によってツールに加えられ且つ内臓の生理学的運動に起因する力の周期成分を無効とすることを伴う、力に関する自動制御を行うことも提案されている。
【0008】
また、内視鏡器具の遠位端に制御された運動手段を備えつけることも提案されている。この制御された運動手段は、内視鏡器具に対する、少なくとも内視鏡器具の端部の長手方向の軸線に対して横断する方向へのツールの動きを得るために、内視鏡器具とツールとの間に配置される。
【0009】
第1の使用法においては、内視鏡器具はツールが臓器から離れているときに固定され、運動手段は、臓器に対するツールの相対運動を生じさせるために制御される。しかしながら、内視鏡器具を固定させることによって患者の体内のアクセス経路に圧迫感が生じ、それにより患者に不快感を与えるおそれがある。その上、臓器の固有運動によって、臓器に対するツールの正確な位置決めや運動が妨げられる。
【0010】
第2の使用法においては、ツールを臓器に接触させ、内視鏡器具は患者に合わせて自由に動くようにしておく。しかしながら、ツールと臓器とが癒着してしまってツールの動きに対して抵抗が生じ、その結果臓器に対するツールの動きが妨げられるか、あるいは逆に、突然の且つ制御されていない滑りが起こるおそれがある。
【0011】
また、特許文献1により、内視鏡器具の遠位端に内臓に係止するように設計された足部を備えつけることも知られている。内視鏡器具の端から端まで通っている形状記憶ワイヤーにより、足部が内臓に係止しているときにツールを動かすことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0060227号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、内視鏡器具であって、前記器具によって支持されるツールを治療対象の内臓に対して正確に位置決めし且つ/又は動かすことができる内視鏡器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、患者の体内に導入されて内臓に接近するように設計された遠位端を備えた細長い本体を有する内視鏡器具であって、遠位端が、内臓における処置のためのツールを支持し、内視鏡器具が、遠位端と強固に接続し且つ内臓に係止するように設計された足部と、足部が内臓に係止しているときに、ツールに、少なくとも内視鏡器具の遠位端の長手方向の軸線に対して横断する方向への動きを付与するための制御可能な運動手段とを有する、内視鏡器具が提供される。本発明によれば、運動手段は、ツールと連結して足部内部に全体的に配置される少なくとも1つのアクチュエータを有する。
【0015】
足部は、内臓に接触させられて、内臓に対する足部の相対運動を妨げるのに充分な圧力で内臓に押し当てられる。すると内視鏡器具の遠位端は、内臓に対する相対運動なしに、内臓の固有運動を追動する。次に、運動手段を制御して内臓に対してツールを動かすが、このときツールは、内臓の表面よりもわずか後方に保持されるか、又は内臓に対する足部の動きを引き起こさずに内臓に接触させられる。これにより、内臓に対するツールの相対位置が生理学的運動に影響されないこと、及び内臓に対するツールの動きのみが制御された運動であることが確実となる。
【0016】
さらに、アクチュエータを全体的に足部の内側に設置することにより、非常に正確なツールの動きを制御することが可能となる。アクチュエータは、実際のところ、小型のものであってもよく、できる限りツールの近くに設置される。
【0017】
好都合なことに、本発明の好ましい実施形態によれば、アクチュエータは足部とツールとの間で延びている。
【0018】
足部を内臓に接触させて、内臓に対する足部の相対運動を妨げるのに充分な圧力をかけながら内臓に押し当て、その結果、内臓が足部の基準枠内に固定されると考えられる。アクチュエータが足部とツールとの間で延びているために、足部、ひいては内臓に対するツールの正確且つ安定した動きを容易に制御できる。すなわち、アクチュエータが足部の内側に配置されていることにより、内臓に対するツールの位置のより一層正確且つ簡単な制御が可能となる。
【0019】
本発明は、以下の本発明の特定の実施形態の説明により、また添付の図面を参照することにより、より理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】患者の腹腔内で位置決めされている、本発明の第1の特定の実施形態の内視鏡器具の、部分的な長手方向の断面における概略図である。
【
図3a】それ自体は公知である器具と、内臓に対して斜めに近付けて使用されている本発明の器具とを比較している概略図である。
【
図3b】それ自体は公知である器具と、内臓に対して斜めに近付けて使用されている本発明の器具とを比較している概略図である。
【
図4a】
図1に類似した図であり、本発明の内視鏡器具の第2の特定の実施形態を示している図である。
【
図4b】
図1に類似した図であり、
図4aに示した特定の実施形態の変形例を示している図である。
【
図4c】
図1に類似した図であり、
図4aに示した特定の実施形態の変形例を示している図である。
【
図4d】
図4b及び4cに示した器具の部分分解図である。
【
図5】
図1に類似した図であり、本発明の内視鏡器具の第3の特定の実施形態を示している図である。
【
図6】
図1に類似した図であり、足部が展開位置で示された、本発明の内視鏡器具の第4の特定の実施形態を示している図である。
【
図7】足部が収納位置で示された、
図6の器具の図である。
【
図8】
図1に類似した図であり、本発明の内視鏡器具の第5の特定の実施形態を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を、マウナケアテクノロジーズ社製の超高精細プローブ等の、例えば、解像度が240×200マイクロメートルの視野につき1マイクロメートルであり、毎秒12枚の画像を撮影可能な医療用撮像プローブを有する内視鏡に関連して説明する。その目的は、内臓の外面の正確な目視検査を行うことであり、この検査を本明細書中では光学的生検と記す。当然のことながらこれは非限定的な例である。
【0022】
図1及び2を参照すると、内視鏡1は細長い本体を有し、この本体は套管針(トローカル)3を介して患者の腹腔2の中へと挿入される。内視鏡1は遠位端4を有し、遠位端4は内臓6の外面に近接させる。この目的のため、内視鏡は、前記端部を内臓の目的の部位に対向させるために変形可能になっている。
【0023】
遠位端4はプローブ7を有し、プローブ7は内視鏡1の中まで延びているケーブル8と接続している。このケーブル8によって、プローブ7と内視鏡1の遠位端4とが可撓性(フレキシブル)接続を形成している。
【0024】
本発明によれば、遠位端4には、内臓6に係止するための係止部11と内視鏡の遠位端に固定するための固定部12とを有する足部10が備えられている。ここで、係止部11と固定部12とは1つの部品で形成されており、一般的なベルの形の足部を形成している。固定部12は内視鏡の端部に単純に嵌合している。
【0025】
さらに本発明によれば、内視鏡1には、足部10に対してプローブ7を動かす手段が備えられている。この場合の手段とはアクチュエータ13(3個が120度ずつ均等に分布している)であり、内視鏡1の遠位端4の長手方向の軸線Xに対して横断する方向へのプローブ7の制御された運動を可能にするために、足部10とプローブ7との間でほぼ収束半径方向に向かって延びている。
【0026】
ここで、アクチュエータ13は、入れ子型アクチュエータの形態で模式的に示しており、両端部にて、足部10の係止部11及びプローブ7と間接接合している。これらのアクチュエータは、例えば、油圧式又は電気機械式ジャッキであってもよい。3個のアクチュエータ13は、内臓に対向させるようにプローブを動かすために長さが違っていてもよい。この目的のため、3個のアクチュエータ13は、望ましい軌道上でプローブ7を動かすために同時に制御される 。
【0027】
本発明の内視鏡器具の使用法は以下のとおりである。内視鏡1を患者の腹腔内に挿入して足部10を内臓に接近させる。足部を検査対象部位に対向させ、内臓に対する係止部11の動きを妨げるのに充分な圧力をかけながら足部10の係止部11を内臓に押し当てる。
図3bから、足部10の支持により内臓を局所的に変形させることができ、検査対象の内臓の表面が長手方向の軸線Xに対して局所的に垂直になっていることがわかるが、これは
図3aに示す従来の内視鏡とは異なる。
【0028】
次に、足部10が内臓に係止した状態で、検査対象部位をスキャンするように、アクチュエータ13を制御してプローブ7を動かす。このスキャンは、プローブ7で撮影した画像がそれぞれ前の画像と重複率約30%で重複するように行うことが好ましい。検査部位の特に正確なマップを作成するため、画像再合成用ソフトによりプローブ7で撮影した画像を回復させる。足部に対する内臓の動きが無いことにより、プローブ7で撮影した画像の重複を非常に良いものとすることができる。
【0029】
次に、
図4aに示す第2の特定の実施形態によれば、足部10の係止部11は、内視鏡1に固定させるために、可撓部14によって固定部12と接続しており、これにより内視鏡1の遠位端4と足部10の係止部11との相対運動が可能となる。この構成により、内視鏡1に対する内臓の動きがある程度自由になる。しかしながら、足部10の係止部11を内臓に押し当てると、係止部11及び内臓の相対運動が妨げられる。アクチュエータ13が、係止部11とプローブ7との間で延びているため、内臓に対するプローブ7の位置は完全に制御されたままとなる。すなわち、可撓部14によって、特に長手方向の力を係止部11に伝えることが可能となって、内臓に対する足部10の相対運動を妨げるのに充分な圧力をかけながら足部10を内臓に押し当てることが確実にできるようになり、その一方で、内臓の動きと同期した係止部11の特に横方向への動きが可能となる。そして可撓部14は、内視鏡1の遠位端4が内臓に対して固定されたままとなるように変形する。
【0030】
可撓部14を、例えば蛇腹の形態で、係止部11及び固定部12と1つの部品から作成することができる。また可撓部14は、弾性リング等の、係止部11と固定部12との間に加えられる構成要素であってもよい。あるいは可撓部は、内視鏡自体と一体化することにより足部の上流側に延びていてもよく、それにより足部は可撓部とともに内視鏡の端部と強固に接続する。
【0031】
別の形態によれば、
図4b及び4dを参照すると、可撓部314は、球状支持面が設けられた係止部311と1つの部品で形成された第1の要素と、第1の要素の球状支持面と適合する球状支持面が設けられた固定部312と1つの部品で形成された第2の要素とを少なくとも有する。可撓部314は、弾性材料から形成されており、且つ第1の要素及び第2の要素を少なくとも部分的に覆っている鞘部319をさらに有する。当然のことながらこれらの要素には中央に穴がありツールが通過可能である。
【0032】
例えば、第1の要素は凹状の球面部を有し、第2の要素は凸状の球面部を有する。ここで、可撓部314は、第1の要素及び第2の要素の球状支持面と適合する球状支持面を有する、係止部311と固定部312との間に介装された第3の要素318を有する。
【0033】
すなわち、可撓部314によって、特に長手方向の力を係止部311に伝えることが可能となって、内臓に対する足部310の相対運動を妨げるのに充分な圧力をかけながら足部310を内臓に押し当てることが確実にできるようになり、その一方で、内臓の動きと同期した係止部311の特に横方向への動きが可能となる。
図4cに示すように、可撓部314の各要素は、第2の要素が、またそれに従って内視鏡の遠位端が内臓に対して固定されたままとなるように、互いに動く。
【0034】
次に、
図5に示す第3の実施形態によれば、運動手段は、長手方向の軸線Xに沿ってオフセットした(異なる)2つの高さ位置で延びる2組のアクチュエータ13及び13’を有し、それによりプローブ7の作用軸線Yの角度方向αを正確に調節することが可能となる。
【0035】
ここで、アクチュエータの軸線は、各高さ位置において収束している。例えば、これらのアクチュエータで操作するツールが可撓性を有する場合や、ツールの端部の位置決めを確実に正確に行うためにツールをいくつかの高さ位置で保持する必要がある場合は、当然のことながら2つよりも多い高さ位置のアクチュエータを使用することも可能である。
【0036】
次に、
図6に示す第4の実施形態によれば、足部は、3つの脚部111を有する三脚110の形態であり、脚部111の各端部は、内臓に係止し、且つ収束方向に向かって延びているアクチュエータ113の各端部をそれぞれ受取る。
【0037】
脚部111は、可撓性であり、かつ脚部111を内視鏡の中に収納する手段と接続して、足部110が内視鏡101に収納されている
図7に示す形態になることが好ましい。この形態において、アクチュエータ113は脚部111に重なるように折り畳まれている。
【0038】
これを行うには、例えばプローブ107のケーブル108を引っ張るだけで充分である。この収納位置とすることで、患者の体内に内視鏡を挿入することが極めて容易となる。内視鏡の遠位端を挿入して内臓に接近させた後、プローブ107をケーブル108(ケーブル108の堅さが充分な場合)で押し戻すことにより足部110を展開する。こうして足部110を内臓に押し当てる準備ができる。ケーブル108で足部110の展開/収納機能を実施できない場合は、内視鏡に滑り入るように内視鏡の内側であって脚部111が固定されている端部に取り付けられている管状鞘部等の、特殊な作動手段を設けて、こうした作用を確実に行えるようにする。
【0039】
次に、
図8に示す内視鏡器具の第5の特定の実施形態によれば、内視鏡201は足部210を有し、プローブ207を動かすためのアクチュエータ213が備えられている。ただし、ここでのアクチュエータ213は、プローブ207と内視鏡201の端部との間で延びている。
【0040】
この配置により、ツールに動きを付与することがより容易になり、その動きはもはや短手方向の動きだけでなく長手方向の動きでもある。この特徴は、ツールが生検針である場合やプローブが内臓を貫通しなければならない場合に特に有用である。
【0041】
当然のことながら、本発明は、これまで記載したものに限定されず、その代わり、特許請求の範囲で定義した範囲内のあらゆる変形例を包含する。特に、図で示した本発明の種々の実施形態の説明に関連して本明細書中に記載した機能的特徴は、当然のことながら互いに組み合わせることができる。
【0042】
内視鏡器具は広義に理解されるべきであり、気管支鏡、胃鏡、直腸鏡、腹腔鏡、関節鏡等の器具が含まれる。
【0043】
本明細書中において内視鏡器具によって運ばれるツールは撮像プローブであるが、当然のことながら本発明はこの種のツールに限定されるものではない。また本発明は、治療用ツール(掻爬ツール、薬物送達用ツール等)、手術用ツール(針、刃、鉗子等)又は他のツールを有する内視鏡器具にも適用される。
【0044】
当然のことながら、本発明は、足部に対して器具のツールを動かすための、入れ子型アクチュエータの使用や前述のアクチュエータの数に限定されるものではない。あらゆる制御可能な運動手段が本発明の範囲内にあると想定されるが、ただし、少なくとも内視鏡器具の遠位端の長手方向の軸線に対して横断する方向へのツールの動きが可能であることが条件である。例えば、電気機械式、油圧式、圧電式のアクチュエータ又は形状記憶合金製の構成要素に基づいたアクチュエータを使用することが可能である。またツールがスリーブと強固に接続していてもよいが、このスリーブは、スリーブの周囲に延びており且つスリーブをいずれか一方の短手方向に引き寄せることができる周囲電磁アクチュエータの作用への感受性が高いものである。
【0045】
また本明細書中においては、プローブは、足部に対するプローブの自由な動きを可能にするケーブルを介して内視鏡の遠位端と接続しているが、当然のことながら、ツールと内視鏡を接続するものは他のタイプのものであってもよい。例えば、ツールは、内視鏡の遠位端と連結したアームの端部に取り付けてもよい。またツールは、運動手段のみを介して内視鏡と強固に接続することもできる。
【0046】
図6に示す第4の実施形態においては、足部の係止部を形成している脚部は互いに独立している。また当然のことながら、脚部は可撓性ウェブ等で互いに接続していてもよい。