【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人科学技術振興機構、先端計測分析技術・機器開発プログラム、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベース部材、前記複数の環状部材及び前記底部部材が、隣接する前記ベース部材、前記環状部材若しくは前記底部部材と対向し前記連通方向に延びる面をそれぞれ有していることを特徴とする、請求項1に記載の乳房撮像装置。
前記ベース部材と該ベース部材に隣接する前記環状部材との間、互いに隣接する前記環状部材の間、及び前記底部部材と該底部部材に隣接する前記環状部材との間にシール部材が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の乳房撮像装置。
前記容器の内側に向けて配置され、前記乳房に向けて超音波を走査し、前記乳房からの反射波を受信する超音波探触子を更に備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乳房撮像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在普及している一般的なマンモグラフィ(乳房撮像)装置では、乳癌等の検査を行うため、被検者の乳房を圧迫しつつX線を照射し、透過したX線を撮像することにより乳房の内部情報を取得している。しかし、X線の照射が乳房および乳癌に及ぼす影響が懸念されるため、近年では、被検者の乳房に複数の位置から光を照射し、拡散光の強度を複数の位置で検出することにより乳房の内部情報を取得する方式が研究されている。
【0005】
このような方式の乳房撮像装置において、本発明者は次のような課題を見出した。すなわち、被検者の乳房の形状や大きさ(体積)は各被検者毎に異なるが、被検者の乳房への光の照射や拡散光の検出を行う光ファイバの位置が固定されていると、乳房の体積が大きい場合と小さい場合とで乳房内に入射される光量が異なってしまい、内部情報の精度に差が生じてしまう。
【0006】
このような問題について、更に詳しく説明する。
図12は、特許文献1に記載された乳房撮像装置の容器付近の構成を示す断面図である。この乳房撮像装置100は、乳房Bを囲む内側容器103と、内側容器103の外側に配置され内側容器103との間に隙間105を構成する外側容器104と、隙間105を流入室105a及び流出室105bに分割する隔壁106と、内側容器103の内側へ向けて配置され、光の照射及び検出を行うための複数の光ファイバ107と、流入室105aへ液状のインターフェース剤108を注入する配管109と、流出室105bからインターフェース剤108を排出する配管110とを備えている。なお、インターフェース剤108は、生体組織とほぼ同等の光学係数を有する液体で、内側容器103を通して容器内面に配設された光ファイバー107のファイバー端と乳房Bとの間の光吸収計数や光散乱係数等の光学係数を乳房Bと一致させるために、内側容器103と乳房Bとの隙間を満たす。これにより、内側容器103の内側形状に合わせた境界条件を使用して再構成画像を構築できる。
【0007】
このような構成を備える乳房撮像装置100において、或る光ファイバ107から照射された光は、乳房Bの内部に入射して拡散したのち、別の光ファイバ107に入射して検出される。ここで、
図13は、乳房Bの体積が大きい場合における光の伝搬の様子を示す図であり、
図14は、乳房Bの体積が小さい場合における光の伝搬の様子を示す図である。
図13に示されるように、乳房Bの体積が大きい場合には、乳房Bが各光ファイバ107に近接するので、光ファイバ107から照射された光Pの多くが乳房Bに入射する。そして、光Pは、乳房B内で拡散されたのち、乳房Bから出射して別の光ファイバ107に入射する。
【0008】
一方、
図14に示されるように、乳房Bの体積が小さい場合には、乳房Bが各光ファイバ107から離れてしまうので、光ファイバ107から照射された光Pの多くが、乳房Bに入射せずにインターフェース剤108のみを伝搬する。そして、光Pはインターフェース剤108内で拡散されたのち、別の光ファイバ107に入射する。したがって、
図13に示された場合と比較して、検出される拡散光に含まれる乳房Bの内部情報が少なく、最終的に得られる内部情報の精度が低下してしまう。このような内部情報の精度の低下は、例えば再構成画像の解像度の低下となって現れるので、診断に影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、乳房の形状や大きさ(体積)の違いによる内部情報の精度への影響を小さくすることができる乳房撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明による乳房撮像装置は、被検者の乳房に光を照射し、拡散光を検出することにより乳房の内部情報を取得する乳房撮像装置であって、乳房を囲む容器と、容器の内側へ向けて容器に取り付けられ、光の照射及び検出を行うための複数の光ファイバとを備え、容器は、被検者が乳房を挿入するための開口を有するベース部材と、開口と連通するように、被検者とは反対側に連続して配置された複数の環状部材と、複数の環状部材のうちベース部材から最も離れた環状部材の内側に配置された底部部材とを有し、各環状部材の内径は、ベース部材側に隣接する環状部材の内径若しくはベース部材の開口の内径よりも小さく、各環状部材及び底部部材が、ベース部材側に隣接する環状部材若しくはベース部材に対して相対的に連通方向に変位可能に構成されており、複数の光ファイバの少なくとも一部が複数の環状部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
この乳房撮像装置では、複数の光ファイバが取り付けられる容器が複数の環状部材と底部部材とを有しており、各環状部材及び底部部材は、ベース部材側に隣接する部材(ベース部材若しくは環状部材)に対して相対的に連通方向に変位可能に構成されている。このような構成によって、容器の内側の容積を被検者の乳房の形状や大きさ(体積)に合わせて変化させることができる。また、複数の光ファイバの少なくとも一部が複数の環状部材に取り付けられているので、複数の環状部材の変位と共に複数の光ファイバの位置も変化する。これにより、乳房の形状や大きさの違いに起因する複数の光ファイバと乳房との距離の変動を抑制し、乳房に入射する光の量を乳房の大きさに拘わらず一定量に近づけることができる。したがって、この乳房撮像装置によれば、乳房の形状や大きさの違いによる内部情報の精度への影響を小さくすることができる。
【0012】
また、乳房撮像装置は、ベース部材、複数の環状部材及び底部部材が、隣接するベース部材、環状部材若しくは底部部材と対向し連通方向に延びる面をそれぞれ有していることを特徴としてもよい。前述したように、乳房撮像装置においては、容器と乳房との隙間が液状のインターフェース剤で満たされる場合がある。このような場合、ベース部材、複数の環状部材及び底部部材が、隣接するベース部材、環状部材若しくは底部部材と対向し連通方向に延びる面をそれぞれ有することによって、複数の環状部材の変位に際して互いに隣接する部材同士を密着させ、隙間が生じることを防止できる。
【0013】
また、乳房撮像装置は、ベース部材と該ベース部材に隣接する環状部材との間、互いに隣接する環状部材の間、及び底部部材と該底部部材に隣接する環状部材との間にシール部材が設けられていることを特徴としてもよい。これらの面間にシール部材が設けられていることによって、インターフェース剤が容器から漏れることを好適に防ぐことができる。
【0014】
また、乳房撮像装置は、複数の環状部材及び底部部材の連通方向における変位を制御する制御部を更に備え、制御部は、ベース部材の開口から底部部材までの距離を連続的に変化させることを特徴としてもよい。これにより、乳房の様々な形状や大きさに合わせて容器の内側の容積を細かく変化させることができるので、乳房の形状や大きさの違いによる内部情報の精度への影響をより一層小さくすることができる。
【0015】
或いは、乳房撮像装置は、複数の環状部材及び底部部材の連通方向における変位を制御する制御部を更に備え、制御部は、ベース部材の開口から底部部材までの距離を、予め定められた複数の段階に変化させることを特徴としてもよい。乳房撮像装置では、検出された乳房からの拡散光に基づいて乳房の内部情報を取得する際、容器内面の境界条件から再構成画像を演算することがある。このような場合、被検者毎に容器の容積が細かく変化すると、境界条件をその都度演算する必要が生じ、再構成画像の演算に長時間を要してしまう。これに対し、上記した乳房撮像装置のように、制御部がベース部材の開口から底部部材までの距離を予め定められた複数の段階に変化させることによって、境界条件が予め定められた複数の条件に限定されるので、境界条件を測定の度に演算する必要がなく、再構成画像の演算時間を短縮することができる。
【0016】
また、乳房撮像装置は、容器の内側に向けて配置され、乳房に向けて超音波を走査し、乳房からの反射波を受信する超音波探触子を更に備えることを特徴としてもよい。これにより、乳房の超音波画像を作成して、ベース部材の開口から底部部材までの距離(すなわち容器の容積)や容器内の乳房の配置や容積を予め確認することができ、乳房の形状や大きさに合わせて容器の大きさを複合的に最適化することが可能となる。これにより、光により計測される乳房からの信号の大きさが、乳房の大きさに左右されること無く略等しくなり、再構成画像間のバラツキを小さくすることができる。更に、当該光計測により得られた再構成画像と超音波画像とを組み合わせることにより、より情報量の多い診断画像を提供できる。
【0017】
また、乳房撮像装置が探触子を備える場合、探触子は底部部材に取り付けられてもよい。これにより、乳房の正面から超音波を照射することができ、超音波画像を好適に作成することができる。
【0018】
また、上記乳房撮像装置において、複数の光ファイバの一部は、底部部材に取り付けられてもよい。また、複数の光ファイバの一部は、ベース部材の開口に取り付けられてもよい。このように、複数の環状部材以外の部材にも複数の光ファイバの一部が取り付けられることにより、乳房の周囲に複数の光ファイバを満遍なく配置することができ、内部情報の精度をより高めることができる。
【0019】
また、乳房撮像装置は、複数の光ファイバが、複数の環状部材それぞれにおいて周方向に並んで配置されており、連通方向を基準とする複数の光ファイバの取り付け角度が複数の環状部材毎に異なることを特徴としてもよい。これにより、光ファイバの取り付け位置に応じた角度でもって、乳房へ向けて光を正確に照射することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による乳房撮像装置によれば、乳房の形状や大きさ(体積)の違いによる影響を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明による乳房撮像装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明による乳房撮像装置の一実施形態の全体構成を示す図である。本実施形態による乳房撮像装置1は、被検者Aの乳房Bに光を照射し、拡散光(戻り光)を検出することにより乳房Bの内部情報を取得し、該内部情報に基づいて腫瘍や癌などの有無を検査するための装置である。
図1を参照すると、乳房撮像装置1は、被検者Aが伏臥するためのベッド(基台)10を備えており、該ベッド10には被検者Aの垂下した乳房Bを囲む半球状の容器3(計測カップ)が取り付けられている。容器3には、光を照射および検出するための複数の光ファイバ11の一端が容器3の内側へ向けて固定されており、計測部(ガントリー)2を構成している。また、乳房撮像装置1は、容器3内へ照射するパルス状の光を発生する光源装置4と、該光源装置4から出射される光と照射後の拡散光とに基づいて乳房Bの内部情報を算出する計測装置5とを備えている。複数の光ファイバ11の他端は計測装置5に光学的に接続されており、光源装置4と計測装置5とは光ファイバ12を介して互いに光学的に接続されている。なお、光源装置4と計測装置5とは、電気ケーブルを介して互いに時間整合された形で接続されてもよい。
【0024】
図2は、乳房撮像装置1の機能的な構成を示すブロック図である。なお、
図2では、説明を容易にするために、複数の光ファイバ11のうち照射用及び検出用の各々1本のみ代表して図示し、他の光ファイバ11の図示を省略している。
図2に示すように、乳房撮像装置1は、光源21、波長選択器22、光検出器23、信号処理部24、及び演算処理部25を備えている。これらのうち、光源21及び波長選択器22は、例えば光源装置4に内蔵される。また、光検出器23、信号処理部24、及び演算処理部25は、例えば計測装置5に内蔵される。
【0025】
光源21は、パルス光P1を発生させる装置である。パルス光P1としては、生体の内部情報が計測できる程度に短い時間幅のパルス光が用いられ、通常は例えば1ns以下の範囲の時間幅が選択される。光源21から発生したパルス光P1は、波長選択器22に入力される。光源21としては、発光ダイオード、レーザダイオード、及び各種のパルスダイオード等、様々なものを使用することができる。
【0026】
波長選択器22は、光源21から入力されたパルス光P1を、所定波長に波長選択する装置である。波長選択器22により選択される波長としては、生体の透過率と定量すべき吸収成分の分光吸収係数との関係等から、700〜900nm程度の近赤外線領域の波長が好ましい。波長選択器22により波長選択されたパルス光P2は、光照射用の光ファイバ11に入射される。なお、複数の成分についての内部情報を計測する場合等、必要に応じて、光源21及び波長選択器22は複数の波長成分のパルス光を計測光として入射可能に構成される。また、波長選択を行う必要がない場合等には、波長選択器22については、設置を省略してもよい。
【0027】
光照射用の光ファイバ11は、波長選択器22からパルス光P2の入力を受け付けて、その端面から容器3内の乳房Bに対して当該パルス光P2を照射する。この光ファイバ11の端面は、容器3の内壁における所定の光照射位置に配置されている。また、光検出用の光ファイバ11は、乳房Bから出射されたパルス光P2の拡散光をその一端面から入力し、光検出器23へ該拡散光を出力する。この光ファイバ11の端面は、容器3の内壁における所定の光検出位置に配置されている。なお、容器3の内壁と乳房Bとの隙間は、インターフェース剤Iで満たされている。インターフェース剤Iは、光散乱係数等の光学係数が生体組織とほぼ同等の液体である。
【0028】
光検出器23は、光検出用の光ファイバ11から入力された光を検出するための装置である。光検出器23は、検出した光の光強度等を示す光検出信号S1を生成する。生成された光検出信号S1は信号処理部24に入力される。光検出器23としては、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier)の他、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、PINフォトダイオード等、様々なものを使用することができる。光検出器23は、パルス光P2の波長の光を十分に検出できる分光感度特性を有していることが好ましい。また、乳房Bからの拡散光が微弱であるときは、高感度あるいは高利得の光検出器を使用することが好ましい。
【0029】
信号処理部24は、光検出器23及び光源21と電気的に接続されており、光検出器23により検出された光検出信号S1、及び光源21からのパルス光出射トリガ信号S2に基づいて、拡散光の光強度の時間変化を示す計測波形を取得するための手段である。信号処理部24は、取得した計測波形の情報を電子データとして保持し、この電子データD1を演算処理部25へ提供する。
【0030】
演算処理部25は、信号処理部24と電気的に接続されており、信号処理部24から電子データD1を入力して、当該電子データD1に含まれる計測波形の情報を用いて乳房Bの内部情報を算出するための手段である。内部情報は、例えば、乳房B内部の散乱係数及び吸収係数、並びに乳房Bに含まれている各成分の濃度である。内部情報の算出は、例えば、検出光の時間分解波形を利用する時間分解計測法(TRS法:Time Resolved Spectroscopy)、あるいは、変調光を利用する位相変調計測法(PMS法:Phase Modulation Spectroscopy)等による解析演算を適用することにより行われる。また、演算処理部25は、光源21や光検出器23等、上記の各構成要素を制御する機能を更に有するとよい。なお、このような演算処理部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)といった演算手段およびメモリ等の記憶手段を有するコンピュータによって実現される。
【0031】
なお、
図2では、光照射用の光ファイバ11および光検出用の光ファイバ11をそれぞれ1本ずつ代表して説明したが、本実施形態の乳房撮像装置1においては、例えば20本以上の多数の光ファイバ11が用いられており、それらの端部が、容器3の内面における所定位置にそれぞれ配置される。そして、一部の光ファイバ11が光照射用として用いられ、他の光ファイバ11が光検出用として用いられる。或いは、各光ファイバ11が、光照射用および光検出用の双方を兼ねてもよい。例えば、各光ファイバ11が二重のコアを有し、一方のコアから光を照射し、他方のコアで光を検出することにより、このような光ファイバ11を好適に実現できる。
【0032】
図3は、本実施形態の容器3を斜め上方から見た斜視図である。また、
図4は、容器3を乳房挿入方向に切断した様子を示す切り欠き斜視図である。
図3及び
図4に示されるように、容器3は、ベース部材30、複数(図では3個)の環状部材40(計測リング)、及び底部部材50(計測センターフランジ)を有している。なお、
図3及び
図4では、理解の容易のため、容器3に取り付けられる複数の光ファイバ11の図示を省略しており、複数の光ファイバ11がそれぞれ挿通固定される複数の貫通孔60が図示されている。
【0033】
ベース部材30は、
図1に示されたベッド10に取り付けられる部材である。ベース部材30は、被検者Aが接する表面31aと、被検者Aとは反対側の裏面31bとを有する略円盤環状の板状部31を含む。また、ベース部材30は、板状部31の裏面31b側に設けられた環状部32を含む。板状部31及び環状部32は、被検者Aが乳房Bを挿入するための略円形の開口30aを有している。開口30aの内周面は、容器3の内側面の一部を構成する。環状部32には、光ファイバ11が挿通固定されるための複数の貫通孔60が、開口30aの内側へ向けて形成されている。複数の貫通孔60は環状部32の周方向に略均等間隔に並んで形成されており、したがって、複数の光ファイバ11は、環状部32の周方向に略均等間隔に並んで配置される。なお、ベース部材30は、表面31aにおいて開口30aの周囲に形成された円形溝31cを更に有している。円形溝31cは、計測中に容器3と乳房Bとの隙間より溢れ出たインターフェース剤Iを受け止める。インターフェース剤Iは、円形溝31cに接続される図示しない吸引ポンプにより吸い取られる。ベース部材30がこのような円形溝31cを有することによって、開口30aの周辺がインターフェース剤Iによって汚れることを防止できる。
【0034】
複数の環状部材40は、ベース部材30に対して被検者Aとは反対側(すなわち裏面31b側)に配置されており、それぞれがベース部材30の開口30aと連通するように、開口30aの開口面と直交する軸線Cの方向に連続して(隙間無く)配置されている。複数の環状部材40は、容器3の内側面の一部を構成する内周面41と、容器3の外側面の一部を構成する外周面42とを有している。ベース部材30に隣接する環状部材40の内径は、ベース部材30の開口30aの内径よりも小さい。また、他の環状部材40の内径は、ベース部材30側に隣接する環状部材40の内径よりも小さい。このように、環状部材40がベース部材30から離れている程、その内径が小さくなっている。これにより、容器3の内部を略半球状とすることができる。
【0035】
また、各環状部材40には、複数の貫通孔60が形成されている。各環状部材40の複数の貫通孔60は、外周面42から内周面41を貫通するように形成されており、容器3の内側へ向かう方向に延びている。複数の貫通孔60は環状部材40の周方向に略均等間隔に並んで形成されており、したがって、複数の光ファイバ11は、環状部材40の周方向に略均等間隔に並んで配置される。
【0036】
再構成画像を演算する際、容器3の内側面は境界条件を規定する。このため、複数の環状部材40の内周面41の形状や傾斜角は、好適な境界条件に合わせて設定されている。また、複数の光ファイバ11の取り付け位置に応じた角度でもって、乳房Bへ向けて光を正確に照射する為に、複数の環状部材40の連通方向(すなわち軸線Cの方向)を基準とする複数の光ファイバ11の取り付け角度が、複数の環状部材40毎に異なっている。このため、
図4に示されるように、軸線Cの方向を基準とする複数の貫通孔60の中心軸方向の角度(
図4に、或る一つの貫通孔60についての角度θを例示)もまた、複数の環状部材40毎に異なっている。例えば、本実施形態では、ベース部材30から環状部材40までの距離が遠くなる程、軸線Cと貫通孔60の中心軸方向(すなわち光ファイバ11の光軸方向)とのなす角が次第に小さくなっている。
【0037】
底部部材50は、複数の環状部材40のうちベース部材30から最も離れた環状部材40の内側に配置されており、当該環状部材40の内周面41により形成される開口を塞いでいる。底部部材50は、容器3の内面の一部を構成する上面51と、容器3の外側面の一部を構成する下面52とを有している。また、底部部材50には、一つの貫通孔60が形成されている。底部部材50の貫通孔60は、下面52から上面51を貫通するように形成されており、容器3の内側へ向かう方向に延びている。本実施形態において、底部部材50の貫通孔60は、容器3の最深部に形成されている。そして、底部部材50の貫通孔60の中心軸線は軸線Cと一致しており、この貫通孔60は軸線Cの方向に延びている。
【0038】
また、
図4に示されるように、ベース部材30、複数の環状部材40及び底部部材50は、隣接するベース部材30、環状部材40若しくは底部部材50と対向し、且つ複数の環状部材40の連通方向(軸線Cの方向)に延びる面をそれぞれ有している。具体的には、ベース部材30は面33を有しており、面33は、隣接する環状部材40と対向しており且つ軸線Cの方向に延びている。同様に、底部部材50は面53を有しており、面53は、隣接する環状部材40と対向しており且つ軸線Cの方向に延びている。
【0039】
複数の環状部材40は、面43及び面44をそれぞれ有している。ベース部材30と隣接する環状部材40の面43は、ベース部材30の面33と対向しており、且つ軸線Cの方向に延びている。そして、当該環状部材40の面44は、隣接する環状部材40の面43と対向しており、且つ軸線Cの方向に延びている。同様に、底部部材50と隣接する環状部材40の面44は、底部部材50の面53と対向しており、且つ軸線Cの方向に延びている。そして、当該環状部材40の面43は、隣接する環状部材40の面44と対向しており、且つ軸線Cの方向に延びている。なお、他の環状部材40の面43及び44それぞれは、隣接する環状部材40の面44及び43それぞれと対向しており、且つ軸線Cの方向に延びている。
【0040】
ベース部材30、複数の環状部材40及び底部部材50の間には、シール部材(Oリング)70が設けられている。具体的には、一つのシール部材70は、ベース部材30の面33と、ベース部材30に隣接する環状部材40の面43との間に設けられており、本実施形態では、ベース部材30の面33に形成された溝に収容されている。また、別のシール部材70は、底部部材50の面53と、底部部材50に隣接する環状部材40の面44との間に設けられており、本実施形態では、底部部材50の面53に形成された溝に収容されている。また、その他のシール部材70は、環状部材40の面43と、隣接する環状部材40の面44との間に設けられており、本実施形態では、互いに対向する面43及び44の何れか一方に形成された溝に収容されている。
【0041】
以上に述べた構成を備える容器3では、各環状部材40及び底部部材50が、ベース部材30側に隣接する環状部材40若しくはベース部材30に対して相対的に連通方向(軸線Cの方向)に変位可能に構成されている。
図5は、このような変位の様子を示す図である。
図5では、ベース部材30に隣接する環状部材40が、ベース部材30に対して軸線Cの方向に変位しており、この環状部材40とベース部材30との距離が拡がっている。また、底部部材50が、隣接する環状部材40に対して軸線Cの方向に変位しており、この環状部材40と底部部材50との距離が拡がっている。これらと同様に、他の環状部材40が、ベース部材30側に隣接する環状部材40に対して軸線Cの方向に変位しており、互いに隣接する環状部材40間の距離が拡がっている。このように、各環状部材40及び底部部材50が軸線Cの方向に変位することにより、容器3の容積が大幅に増加する。また、複数の環状部材40の内周面41同士の間隔が拡がることによって、或る環状部材40に配置される複数の光ファイバ11と、他の環状部材40に配置される複数の光ファイバ11との間隔が拡がることとなる。
【0042】
なお、
図5に示されるように、各環状部材40及び底部部材50を変位させると容器3の内面に段差が生じる。乳房撮像装置1は、この段差を埋めて容器3の内面を滑らかにするためのスペーサを更に備えても良い。これにより、画像再構成の際の境界条件を単純化することができる。
【0043】
図6は、各環状部材40及び底部部材50を変位させるための構成を示すブロック図である。
図6に示されるように、乳房撮像装置1は、センサ81と、制御部82と、アクチュエータ83とを更に備えても良い。すなわち、センサ81は、各環状部材40及び底部部材50の軸線C方向における位置を検出する。センサ81は、各環状部材40及び底部部材50の位置に関する情報を含む位置信号Spを、制御部82へ送る。制御部82は、位置信号Spに基づいて、容器3の容積が所望の大きさとなるように、駆動信号Sdをアクチュエータ83へ送る。アクチュエータ83は、駆動信号Sdに応じて各環状部材40及び底部部材50を変位させる。
【0044】
本実施形態において、制御部82は、容器3の深さ、すなわちベース部材30の開口30aから底部部材50までの距離を連続的に変化させるか、或いは、該距離を予め定められた複数の段階に変化させる。ここで、予め定められた複数の段階とは、例えば2段階や3段階、或いは4段階であり、被検者Aの乳房Bの形状や大きさに応じて選択される。一例では、ベース部材30の開口30aから底部部材50までの距離を3段階(Sサイズ、Mサイズ及びLサイズ)とするとよい。この場合、Sサイズ、Mサイズ及びLサイズのそれぞれにおける容器3の深さを例えば49mm、64mm、及び86mmとするとよい。開口30aの直径が例えば128mmであるとき、容器3の容積は、425cc、559cc、及び775ccといった大きさとなる。
【0045】
以上に説明した、本実施形態に係る乳房撮像装置1によって得られる効果について説明する。この乳房撮像装置1では、複数の光ファイバ11が取り付けられる容器3が複数の環状部材40と底部部材50とを有しており、各環状部材40及び底部部材50は、ベース部材30側に隣接する部材(ベース部材30若しくは環状部材40)に対して相対的に連通方向に変位可能に構成されている。このような構成によって、容器3の内側の容積を被検者Aの乳房Bの形状や大きさ(体積)に合わせて変化させることができる。また、複数の光ファイバ11の少なくとも一部が複数の環状部材40に取り付けられているので、複数の環状部材40の変位と共に複数の光ファイバ11の位置も変化する。
【0046】
ここで、
図7〜
図9は、容器3の深さをSサイズ、Mサイズ、及びLサイズのそれぞれに設定した各場合における、乳房Bに対する光の照射及び検出の様子を模式的に示す断面図である。すなわち、
図7は、容器3の深さをSサイズに設定した場合を示しており、容器3の内側の容積を比較的小さな乳房Bに合わせて変化させている。また、
図8は、容器3の深さをMサイズに設定した場合を示しており、容器3の内側の容積を平均的な大きさの乳房Bに合わせて変化させている。また、
図9は、容器3の深さをLサイズに設定した場合を示しており、容器3の内側の容積を比較的大きな乳房Bに合わせて変化させている。これらの図に示されるように、容器3の深さを可変とすることで、乳房Bと各光ファイバ11との距離を、乳房Bの大きさに拘わらずほぼ一定とすることができる。このように、乳房撮像装置1によれば、乳房Bの形状や大きさの違いに起因する複数の光ファイバ11と乳房Bとの距離の変動を抑制し、乳房Bに入射するパルス光P2の量を乳房Bの大きさに拘わらず一定量に近づけることができる。したがって、乳房Bが比較的小さい場合であっても、検出される拡散光には乳房Bの十分な内部情報量が含まれるので、最終的に得られる内部情報の精度を高めることができる。すなわち、この乳房撮像装置1によれば、乳房Bの形状や大きさの違いによる内部情報の精度への影響を小さくすることができるので、再構成画像の画質や解像度を向上させ、画像歪みを低減し、且つ位置情報の精度を高めることができる。
【0047】
なお、ベース部材30の開口30aの直径は、乳房Bの形状や大きさには殆ど無関係である。乳房Bの形状や大きさが異なると、容器3の深さ方向における乳房Bの先端位置が主に変化する。したがって、本実施形態のように容器3の深さを可変とすることにより、上記した効果を好適に得ることができる。また、容器の深さを一定として光ファイバの位置のみを可変とする構成も考えられるが、このような構成では、光ファイバと乳房とが互いに接触して乳房が変形してしまうおそれがあり、好ましくない。
【0048】
また、本実施形態のように、ベース部材30、複数の環状部材40及び底部部材50は、面33,43,44,及び53をそれぞれ有していることが好ましい。前述したように、乳房撮像装置1では、容器3と乳房との隙間が液状のインターフェース剤Iで満たされる。このとき、ベース部材30、複数の環状部材40及び底部部材50が、隣接するベース部材30、環状部材40若しくは底部部材50と対向し連通方向に延びる面をそれぞれ有することによって、複数の環状部材40の変位に際して互いに隣接する部材同士を密着させ、隙間が生じることを防止できる。
【0049】
また、本実施形態のように、ベース部材30と該ベース部材30に隣接する環状部材40との間、互いに隣接する環状部材40の間、及び底部部材50と該底部部材50に隣接する環状部材40との間には、シール部材70が設けられていることが好ましい。これらの面間にシール部材70が設けられていることによって、インターフェース剤Iが容器3から漏れることを好適に防ぐことができる。
【0050】
また、前述したように、制御部82は、ベース部材30の開口30aから底部部材50までの距離(すなわち容器3の深さ)を連続的に変化させてもよい。これにより、乳房Bの様々な形状や大きさに合わせて容器3の容積を細かく変化させることができるので、乳房Bの形状や大きさの違いによる内部情報の精度への影響をより一層小さくすることができる。
【0051】
或いは、本実施形態のように、制御部82は、ベース部材30の開口30aから底部部材50までの距離(すなわち容器3の深さ)を、予め定められた複数の段階に変化させてもよい。乳房撮像装置1では、検出された乳房Bからの拡散光に基づいて乳房Bの内部情報を取得する際、容器3の内面を境界条件として再構成画像を演算する。このとき、被検者A毎に容器3の容積が細かく変化すると、境界条件をその都度演算する必要が生じ、再構成画像の演算に長時間を要してしまう。これに対し、本実施形態の乳房撮像装置1のように、制御部82が容器3の深さを予め定められた複数の段階に変化させることによって、境界条件が予め定められた複数の条件に限定されるので、境界条件を測定の度に演算する必要がなく、再構成画像の演算時間を短縮することができる。
【0052】
また、本実施形態のように、複数の光ファイバ11の一部は、底部部材50に取り付けられてもよい。また、複数の光ファイバ11の他の一部は、ベース部材30の開口30aに取り付けられてもよい。このように、複数の環状部材40以外の部材にも複数の光ファイバ11の一部が取り付けられることにより、乳房Bの周囲に複数の光ファイバ11を満遍なく配置することができ、内部情報の精度をより高めることができる。
【0053】
また、本実施形態のように、複数の光ファイバ11は、複数の環状部材40それぞれにおいて周方向に並んで配置されており、連通方向を基準とする複数の光ファイバ11の取り付け角度が複数の環状部材40毎に異なってもよい。これにより、光ファイバ11の取り付け位置に応じた角度でもって、乳房Bへ向けて光を正確に照射することができる。なお、各環状部材40が或る所定の位置(例えばMサイズの位置)にあるときに、各環状部材40に設けられた複数の光ファイバ11の光軸が軸線C上の一点で交わるように、軸線Cに対する複数の光ファイバ11の角度が設定されるとよい。
【0054】
(第1の変形例)
図10は、上記実施形態の第1変形例として、容器3付近の構成を示す断面図である。本変形例の構成と上記実施形態との相違点は、容器の底部構造である。すなわち、本変形例では、容器3の所定の位置(例えば底部部材50)に、光ファイバに代えて超音波探触子(プローブ)90が取り付けられている。超音波探触子90は、容器3の内側に向けて配置され、乳房Bに向けて超音波を走査(スキャン)し、乳房Bからの反射波を受信する。この受信信号は、例えば
図1に示された計測装置5に送られる。計測装置5は、超音波探触子90から得られる受信信号に基づいて、乳房Bの超音波画像を生成する。
【0055】
本変形例において、超音波探触子90は、底部部材50に形成された孔に挿通されている。また、超音波探触子90は、インターフェース剤Iの漏洩を防止し、且つ超音波のスキャン放射角を妨げないように、円筒状の筒92に挿入され、この筒92の内面に密着している。筒92と超音波探触子90との間には、インターフェース剤Iの漏洩を防止するためのシール94が設けられている。筒92と底部部材50との間には、インターフェース剤Iの漏洩を防止するためのシール96が設けられている。
【0056】
また、超音波探触子90の筒92の周囲には、超音波探触子90と乳房Bとの距離を可変にするための機構として、上下動作用回転リング98が設けられている。この上下動作用回転リング98によって、超音波探触子90が上下に移動する。超音波探触子90は、最も下がった状態では容器3の内面より外側に位置し、最も上がった状態では容器3の内面より内側に位置する。更に、超音波探触子90の筒92の周囲には、回転動作用リング99が設けられている。この回転動作用リング99は、乳房Bを通る軸まわりに超音波探触子90を回転させるための機構である。
【0057】
本変形例のように、乳房撮像装置は、超音波探触子90を更に備えてもよい。これにより、乳房Bの超音波画像を作成して、ベース部材30の開口30aから底部部材50までの距離(すなわち容器3の深さ)や容器3内の乳房Bの配置や容積を予め確認することができ、乳房Bの形状や大きさに合わせて容器3の大きさを複合的に最適化することが可能となる。これにより、光により計測される乳房Bからの信号の大きさは、乳房Bの大きさに左右されること無く略等しくなるので、再構成画像間のバラツキを小さくすることができる。更に、当該光計測により得られた再構成画像と超音波画像とを組み合わせることにより、より情報量の多い診断画像を提供できる。
【0058】
また、本変形例のように、超音波探触子90は底部部材50に取り付けられることが好ましい。これにより、乳房Bの正面から超音波を照射することができ、超音波画像を好適に作成することができる。
【0059】
(第2の変形例)
図11は、上記実施形態の第2変形例として、インターフェース剤Iの循環システム1Aの構成を示す図である。なお、
図11では、容器3を簡略化して示している。
図2に示されたように、容器3の内面と乳房Bとの隙間は、インターフェース剤Iで満たされる。このインターフェース剤Iにより、乳房Bと計測光ファイバ11との間の光学係数を乳房Bと一致させて、演算処理部25による演算時の境界条件を乳房Bの大きさによらず固定することができるので、乳房Bの内部情報をより容易に算出できる。インターフェース剤Iとしては、例えば、光散乱係数を生体と一致させるために光散乱物質(例えば、静脈注射用脂肪乳剤であるイントラリピッド(登録商標)など)を純水(例えば蒸留水)に適量混合し、また、光吸収係数を生体と一致させるために光吸収物質(例えばカーボンインクなど)を更に適量混合してなる液体が好適に用いられる。
【0060】
イントラリピッドやカーボンインクは疎水性である。インターフェース剤Iに含まれるこれらの光散乱物質や光吸収物質が疎水性である場合、容器3内のインターフェース剤Iにおいては、時間の経過にしたがって光散乱物質や光吸収物質が沈降し易い。これらの物質が沈降すると、インターフェース剤Iの光学係数が不均一となり、透過散乱光の検出精度が低下してしまう。従って、本変形例の乳房計測装置は、このような光散乱物質や光吸収物質の沈降を防ぐため、容器3の内外でインターフェース剤Iを循環させつつ容器3の外部でインターフェース剤Iを撹拌するための循環システム1Aを更に備えている。
【0061】
図11に示されるように、本変形例の循環システム1Aは、インターフェース剤Iを循環させるための循環用ポンプ16と、インターフェース剤Iを貯留すると共に撹拌するタンク17と、インターフェース剤Iに溶け込んだ空気や泡を取り除く脱気(脱泡)装置18と、インターフェース剤Iを加温する加温装置19とを備えている。インターフェース剤Iは、これらの装置によって加温、循環され、ガントリー内で沈殿、不均一化されてしまうことを防止できる。また、脱気装置18によってインターフェース剤Iの気泡が除去されるので、インターフェース剤を伝播する計測光に光学的な歪みが生じることを防止できる。
【0062】
循環用ポンプ16は配管13aを介して容器3と接続されており、インターフェース剤Iは容器3から配管13aを通して循環用ポンプ16に吸い込まれる。また、循環用ポンプ16は配管13bを介してタンク17と接続されており、インターフェース剤Iは配管13bを通してタンク17へ送り出される。タンク17の内部には図示しない撹拌器が取り付けられており、貯留されたインターフェース剤Iが撹拌される。タンク17は配管13cを介して脱気装置18と接続されており、撹拌されたインターフェース剤Iは配管13cを通って脱気装置18へ送られる。インターフェース剤Iは脱気装置18において減圧され、気泡および溶け込んだ気体成分が取り除かれる。脱気装置18は配管13dを介して加温装置19と接続されており、脱泡(および脱気)されたインターフェース剤Iは配管13dを通って加温装置19へ送られる。インターフェース剤Iが過度に冷たいと被検者Aに不快感を与えるので、インターフェース剤Iは加温装置19において体温程度まで加温される。加温装置19は配管13eを介して容器3と接続されており、インターフェース剤Iは配管13eを通って再び容器3へ送られる。このようにして、インターフェース剤Iは、撹拌されつつ容器3の内外を循環する。なお、循環ポンプ16、タンク17、脱気装置18、及び加温装置19に関しては、必要に応じて接続の順番を変更し、最適化することができる。
【0063】
本発明による乳房撮像装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、容器の形態として半球状のものを例示したが、容器の形状には、これ以外にも例えば円錐、円柱といった他の様々な形状を適用できる。また、上記実施形態では、複数の環状部材の連通方向(複数の環状部材の変位方向)が複数の環状部材の中心軸(軸線C)の方向と一致しているが、連通方向は環状部材の中心軸に対して傾斜していてもよい。