(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態)
本実施形態に係る微粒子検知システムについて、図面を参照して説明する。本実施形態の微粒子検知システム1(
図1参照)は、主として、検知部10と、回路部201と、外装部材14と、圧縮空気AKを生成する圧縮空気源である圧送ポンプ300とからなる。
検知部10は、車両(図示しない)に搭載した内燃機関(図示しない)の排気管EPのうち、取付開口EPOが穿孔された取付部EPTに装着され、概略円筒状に延びた形状をなしている。そして、その一部(
図1中、取付部EPTよりも右側(先端側))は取付開口EPOを通じて排気管EP内に配置され、残部(
図1中、取付部EPTよりも左側(基端側))は排気管EP外に位置している。
回路部201は、排気管EP外で検知部10の基端側に連設されている。つまり、本実施形態の微粒子検知システム1では、外部に露出するケーブルを介することなく検知部10と回路部201とが着脱不能に一体化された構成を有している。この回路部201は、検知部10を駆動するとともに、後述する信号電流Isを検知する回路を有している。
外装部材14は、検知部10のうち排気管EPの外部に位置する部位、及び、回路部201の周囲を包囲している。この外装部材14は、圧送ポンプ300の供給した圧縮空気AKが流入する圧縮空気ポート70を有している。
【0022】
先ず、本システム1のうち、回路部201の電気回路上の構成について説明する。回路部201は、計測制御回路220と、イオン源電源回路210と、補助電極電源回路240とを有している。
このうち、イオン源電源回路210は、第1電位PV1とされる第1出力端211と、第2電位PV2とされる第2出力端212とを有している。第2電位PV2は、具体的には、第1電位PV1に対して、正の高電位とされている。さらに具体的には、第2出力端212からは、第1電位PV1に対し、100kHz程度の正弦波を半波整流した、1〜2kV0-pの正のパルス電圧が出力される。なお、イオン源電源回路210は、その出力電流についてフィードバック制御され、自律的に、その実効値が予め定めた電流値(例えば、5μA)を保つ定電流電源を構成している。
【0023】
一方、補助電極電源回路240は、第1電位PV1とされる補助第1出力端241と、第3電位PV3とされる補助第2出力端242とを有している。この第3電位PV3は、具体的には、第1電位PV1に対して、正の直流高電位であるが、第2電位PV2のピーク電位(1〜2kV)よりも低い、例えば、DC100〜200Vの電位にされている。
【0024】
さらに、計測制御回路220の一部をなす信号電流検知回路230は、イオン源電源回路210の第1出力端211に接続する信号入力端231と、接地電位PVEに接続する接地入力端232とを有している。この信号電流検知回路230は、後述する信号電流Isを検知する回路である。
【0025】
加えて、この回路部201において、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240は、第1電位PV1とされる第1回路ケース250に包囲されている。イオン源電源回路210の第1出力端211、補助電極電源回路240の補助第1出力端241、及び、信号電流検知回路230の信号入力端231は、この第1回路ケース250に接続している。
なお、本実施形態では、この第1回路ケース250は、アルミニウム製で、イオン源電源回路210、補助電極電源回路240及び絶縁トランス270の二次側鉄心271Bを収容して包囲すると共に、後述する第1導通部材13に導通している。
【0026】
一方、絶縁トランス270は、その鉄心271が、一次側コイル272を捲回した一次側鉄心271Aと、電源回路側コイル273及び補助電極電源側コイル274が捲回された二次側鉄心271Bとに、分離して構成されている。但し、絶縁トランス270は、一次側鉄心271Aと二次側鉄心271Bとを、絶縁性樹脂からなる第4絶縁スペーサ126(後述する)による小さな隙間を介して離間させ、電気的に互いに絶縁しながらも、磁気回路的には両者を共通の磁束が通過するように構成することで、絶縁トランス270としての変成作用を果たす。なお、鉄心271のうち、一次側鉄心271Aは、接地電位PVEに導通し、二次側鉄心271Bは、第1電位PV1(イオン源電源回路210の第1出力端211)に導通している。
【0027】
また、信号電流検知回路230を含む計測制御回路220は、信号電流検知回路230の接地入力端232に導通して接地電位PVEとされる第2回路ケース260に包囲されている。さらに、信号電流検知回路230の接地入力端232の他、絶縁トランス270の一次側鉄心271Aは、この第2回路ケース260に接続している。
なお、本実施形態では、この第2回路ケース260は、アルミニウム製で、内部に信号電流検知回路230を含む計測制御回路220及び絶縁トランス270の一次側鉄心271Aを収容して包囲すると共に、外装部材14に導通している。
【0028】
さらに、イオン源電源回路210、補助電極電源回路240、第1回路ケース250、絶縁トランス270、信号電流検知回路230を含む計測制御回路220、及び、第2回路ケース260は、接地されて接地電位PVEとされる外装部材14に包囲されている。
【0029】
計測制御回路220は、レギュレータ電源PSを内蔵している。なお、このレギュレータ電源PSは、電源配線BCを通じて外部のバッテリBTで駆動される。
また、計測制御回路220は、マイクロプロセッサ(図示しない)を含み、通信線CCを介して内燃機関を制御する制御ユニットECUと通信可能となっており、前述した信号電流検知回路230の測定結果(信号電流Isの大きさ)、これを微粒子量などに換算した値、あるいは、微粒子量が所定量を超えたか否かなどの信号を、制御ユニットECUに送信可能となっている。これにより、制御ユニットECUで、内燃機関の制御や、フィルタ(図示しない)の不具合警告を発するなどの動作が可能となる。
【0030】
外部からレギュレータ電源PSを通じて計測制御回路220に入力された電力の一部は、絶縁トランス270を介して、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に分配される。なお、絶縁トランス270においては、計測制御回路220の一部をなす一次側コイル272と、イオン源電源回路210の一部をなす電源回路側コイル273と、補助電極電源回路240の一部をなす補助電極電源側コイル274と、鉄心271(一次側鉄心271A,二次側鉄心271B)とは、互いに絶縁されている。このため、計測制御回路220から、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に電力を分配できる一方、これら同士間の絶縁を保つことができる。
なお、本実施形態では、絶縁トランス270は、補助電極電源回路240に電力を供給する補助電極絶縁トランスをも兼ねている。
【0031】
図1,
図4,
図6に白抜き矢印で示すように、圧送ポンプ300は、自身の周囲の大気(空気)を取り込んで、外装部材14の圧縮空気ポート70に接続された送気パイプ310を通じて、清浄な圧縮空気AKを圧送する。圧送ポンプ300は、内燃機関の運転中、常時、送気パイプ310を通じて圧縮空気AKを送るように駆動される。
なお、送気パイプ310は、外装部材14の圧縮空気ポート70に、継ぎ手283を介して接続されている。また、外装部材14は、回路部201及び検知部10の一部との間に、圧縮空気AKが流動する連続した空隙GPをなしている。また、後述する第1導通部材13は、外装部材14内を通った圧縮空気AKを、内部に導く流入孔71を有している。さらに、この第1導通部材13の内部には、圧縮空気AKをイオン気体噴射源11に導くイオン源向け通気路RAが形成されている。
【0032】
イオン源電源回路210の第2出力端212は、針状電極体20(延出部21及びイオン源11内の針状先端部22)に接続、導通している。また、補助電極電源回路240の補助第2出力端242は、補助電極体50(延出部51及び補助電極部53)に接続、導通している。さらに、イオン源電源回路210の第1出力端211は、補助電極電源回路240の補助第1出力端241、信号電流検知回路230の信号入力端231、第1回路ケース250、及び、第1導通部材13に接続され、互いに導通している。加えて、信号電流検知回路230の接地入力端232は、接地電位PVE及び第2回路ケース260に接続され、互いに導通している。
【0033】
次いで、本システム1の機械的構成について、
図2〜
図7の縦断面図及び
図8の分解斜視図を参照して説明する。なお、
図2〜
図8において図中上方を先端側とし、図中下方を基端側とする。まず、回路部201の機械的構成について説明する。
第1回路ケース250は、アルミニウム製で、先端側に位置する径小な小円筒部252と、基端側に位置し小円筒部252よりも径大な大円筒部253とからなる第1回路ケース本体251と、これとは別体とされた円板状の第1回路ケース蓋254とからなる(
図4,
図7,
図8参照)。
第1回路ケース本体251のうち、大円筒部253内には、第1回路モールド体280が収容されており、第1回路ケース蓋254で大円筒部253の開口(
図4中、下側)が塞がれている。第1回路モールド体280は、イオン源電源回路210及び補助電極電源回路240のほか、これらの回路に電力を供給する絶縁トランス270のうち、二次側鉄心271B及びこれに捲回された電源回路側コイル273及び補助電極電源側コイル274が一体に樹脂モールドされたものである。また、
図7において破線で示すように、二次側鉄心271Bのうち、一次側鉄心271Aと対向して近接して配置される面271BSが、第1回路モールド体280の底面から露出しており、計測制御回路220内の一次側鉄心271Aの面271ASに対向するように配置されている。なお、前述したように、二次側鉄心271Bは、第1回路ケース250に導通している(
図1参照)。
【0034】
一方、第1回路ケース250の小円筒部252内には、接続端子127,128と、これら接続端子127,128を固定する絶縁性樹脂からなる端子ホルダ129とが収容されている。
このうち、接続端子127は、その基端側に、第2電位PV2とされるイオン源電源回路210の第2出力端212が接続している。一方、この接続端子127の先端側には、針状電極体20が接続している。また、接続端子128は、その基端側に、第3電位PV3とされる補助電極電源回路240の補助第2出力端242が接続している。一方、この接続端子128の先端側には、補助電極体50が接続している。
【0035】
また、第1電位PV1とされるイオン源電源回路210の第1出力端211及び補助電極電源回路240の補助第1出力端241は、第1回路ケース250に導通している。さらに、第1回路ケース250の小円筒部252は、第1導通部材13の一部をなす内筒80に接続して、これを含む第1導通部材13に導通している。
なお、第1回路ケース250は、外装部材14の一部をなす第1外筒部材110(後述する)内に収容される。加えて、第1回路ケース250は、絶縁性樹脂からなる第3絶縁スペーサ125及び同じく絶縁性樹脂からなる第4絶縁スペーサ126を介して、第1外筒部材110部材及び第2回路ケース260とは離間し絶縁されている。
【0036】
一方、信号電流検知回路230を含む計測制御回路220、絶縁トランス270のうちの一次側鉄心271A、及びこれに捲回された一次側コイル272は一体に構成され、樹脂モールドされて第2回路モールド体290とされている。そして、この第2回路モールド体290は、アルミニウム製の第2回路ケース260に収容されている。具体的には、第2回路ケース260のうち、概略有底円筒状の第2回路ケース本体261に収容されており、これとは別体で円環板状の第2回路ケース蓋262で第2回路ケース本体261の開口(
図4中、下側)を塞いでいる。なお、第2回路ケース蓋262の中央の貫通孔262Hからは、後述するケーブル160が引き出されている。また、一次側鉄心271Aは、その面271ASが、第2回路モールド体290の上面から露出しており(
図8参照)、二次側鉄心271Bの面271BSと対向するように、配置されている。
【0037】
この第2回路ケース260は、外装部材14の一部をなす第2外筒部材115(後述する)内に収容される。加えて、第2回路ケース260(第2回路ケース蓋262)は、第2外筒部材115の底部117Sに配置された円環板状で金属製の皿バネ132を介して、第2外筒部材115に導通して、接地電位PVEとされている。また、計測制御回路220の基準電位及び絶縁トランス270の一次側鉄心271Aも、第2回路ケース260を通じて、接地電位PVEとされている。
また、第2回路ケース260内に収容された計測制御回路220(第2回路モールド体290)からは、内部に通信線CC及び電源配線BCを含むケーブル160が第2外筒部材115(外装部材14)の外部に引き出されており、このケーブル160を介して、計測制御回路220が、バッテリBT及び制御ユニットECUと接続する。
なお、本実施形態において、第1回路ケース250の大円筒部253及び第2回路ケース260の第2回路ケース本体261が回路部201の周囲を包囲する回路包囲部材に相当する。
【0038】
次いで、外装部材14の一部をなす第1外筒部材110及び第2外筒部材115について、説明する(
図4,
図7,
図8参照)。
第1外筒部材110は、ステンレスからなり、内部に内筒80の基端部分及び第1回路ケース250の小円筒部252を収容する比較的径小で円筒状の第1円筒部111、及びこの第1円筒部111の基端側に位置し、この第1円筒部111より径大の円筒状で、内部に第1回路ケース250の大円筒部253を収容する第2円筒部112を有する。さらに、第2円筒部112の基端部分から径方向外側に膨出する円環状のフランジ部113、及び第2円筒部112から基端側(図中、下方)に延び、外周に雄ねじが形成され、第2外筒部材115に螺合する基端ネジ部114を有する。
【0039】
一方、第2外筒部材115も、ステンレスからなり、内部に第2回路ケース260及び第4絶縁スペーサ126(後述する)を収容する概略有底円筒状の円筒部117、並びに、この円筒部117の先端部に位置し、径方向外側に膨出する円環状のフランジ部116を有する。さらに、この第2外筒部材115の円筒部117のうち先端部分は、その内周面に雌ねじが形成されて先端ネジ部117aとされ、第1外筒部材110の基端ネジ部114と螺合する。なお、第1外筒部材110のフランジ部113には、円環状のOリング保持溝113Oが形成され、このOリング保持溝113Oと第2外筒部材115のフランジ部116との間にゴム製のOリング131が配置される。このように、第1外筒部材110及び第2外筒部材115は、その内部に、第1回路ケース250に包囲された第1回路モールド体280、及び、第2回路ケース260に収容された第2回路モールド体290を、気密に収容している。
【0040】
さらに、第2外筒部材115の円筒部117のうち、基端側の底部117Sには、挿通孔117Hが設けられている。この挿通孔117Hを通じて、ケーブル160が第2外筒部材115の外部に引き出されている。また、底部117Sに装着されたケーブルホルダ133,134によって、ケーブル160は、第2外筒部材115の底部117Sに保持されている。
【0041】
加えて、この第2外筒部材115の円筒部117のうち、第2回路ケース260の第2回路ケース本体261(回路包囲部材)の外側面と対面する位置に、圧縮空気ポート70が設けられている。この圧縮空気ポート70には、これに螺設された継ぎ手283を介して、送気パイプ310が接続されている。これにより、送気パイプ310及び圧縮空気ポート70を通して、圧送ポンプ300からの圧縮空気AKが第1外筒部材110及び第2外筒部材115(外装部材14)内に流入する。
【0042】
また、第4絶縁スペーサ126が、第1回路ケース250(第1回路ケース蓋254)と第2回路ケース260との間(第1回路モールド体280と第2回路モールド体290との間)に配置されている。この第4絶縁スペーサ126と第3絶縁スペーサ125により、第1回路ケース250は、外装部材14をなす第1外筒部材110及び第2外筒部材115内で、空隙GPを介して、これらから離間して配置され、電気的にも熱的にも絶縁されている。また、第2回路ケース260は、同じく外装部材14をなす第1外筒部材110及び第2外筒部材115内において、電気的には、皿バネ132を通じて、これらに導通しているが、熱的には、第4絶縁スペーサ126及び皿バネ132により、空隙GPを介して、これらから離間して配置され、熱絶縁されている。さらに、この第4絶縁スペーサ126は、一次側鉄心271A及び二次側鉄心271B(これらの面271AS,271BS)を、互いに離間させて絶縁しつつ近接して配置するのにも用いられている。この第4絶縁スペーサ126(
図8も参照)は、絶縁性樹脂からなり、断面略H字状とされ、内壁部126Iは円板状とされ、その周囲に概略円筒状の側筒部126Sを有する。また、この側筒部126Sの外周面は、第2外筒部材115内に取り入れた圧縮空気AKを先端側に送る通り道をなす凹溝126Oを多数有する。
【0043】
また、第1回路ケース250の大円筒部253と第1外筒部材110の第2円筒部112との間には、これらの間を離間させて絶縁する、第3絶縁スペーサ125が配置されている。この第3絶縁スペーサ125(
図8も参照)も、絶縁性樹脂からなり、円環の外周縁から円筒が延びた形状をなしている。但し、その外表面は、第1外筒部材110(第2円筒部112)内の圧縮空気AKを第1円筒部111内を通じてさらに先端側に送気できるように通り道をなす凹溝125Oを複数設けた形態とされている。
【0044】
次いで、検知部10について説明する(
図2〜
図3,
図5〜
図6及び
図8参照)。前述したように、検知部10は、内燃機関(図示しない)の排気管EPのうち取付開口EPOを有する取付部EPTに装着される。この検知部10は、先端側の一部(図中、取付部EPTよりも上側の部位)が、排気管EP内に位置する一方、基端側の残部(図中、取付部EPTよりも下側の部位)が、排気管EP外に位置している。そして、回路部201は、検知部10を介して、排気管EPとは逆側(基端側)に接続している。また、検知部10は、その電気的機能において、大別して、イオン源(イオン気体噴射源)11と微粒子帯電部12と第1導通部材13とから構成されている。
【0045】
図2,
図3に示すように、イオン源電源回路210の第2出力端212に接続した接続端子127には、針状電極体20が接続されている。この針状電極体20は、タングステン線からなり、概略直棒状の延出部21と、その先端部分(図中上端部)に位置し、針状に尖った形態とされた針状先端部22とからなる。また、針状電極体20の延出部21は、その周囲をセラミックからなる円筒状の針状電極絶縁パイプ75で被覆され、金属製の第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61に穿孔した針状電極挿通孔60H,61H内に挿通されて、針状電極絶縁パイプ75と共に第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61に保持されている。
【0046】
また、補助電極電源回路240の補助第2出力端242に接続した接続端子128には、補助電極体50が接続されている。この補助電極体50は、ステンレス線からなり、概略直棒状の延出部51と、その先端側でU字状に曲げ返された曲げ返し部52と、補助電極部53とからなる。なお、補助電極部53の先端部分も針状に尖った形状とされ、針状先端部53Sとなっている。また、補助電極体50の延出部51は、その周囲をセラミックからなる円筒状の補助電極絶縁パイプ77で被覆され、第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61に穿孔した補助電極挿通孔60I,61I内に挿通されて、補助電極絶縁パイプ77と共に第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61に保持されている。
【0047】
一方、
図3,
図4,
図6に示すように、第1回路ケース250のうち先端側の小円筒部252内には、金属製で内部が中空の円筒状をなす内筒80が内挿されている。さらに、この内筒80の先端側には、この内筒80を閉塞するように第2パイプホルダ61が、さらにその先端側には、第1パイプホルダ60が配置されている。
また、内筒80には、流入孔71(本実施形態では2箇所)が設けられている。この流入孔71は、後述するように第1外筒部材110の第1円筒部111と第1回路ケース250の小円筒部252との間を通った白抜き矢印で示す圧縮空気AKを、流入孔71を通じて、内筒80の内部に導く。そして、内筒80内に導き入れられた圧縮空気AKは、第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61に穿孔した通気貫通孔60J,61J(
図6参照)を通じて、さらに先端側(図中上方)の放電空間DS(後述する)に圧送される。このように、流入孔71,内筒80内及び通気貫通孔60J,61Jは、放電空間DSに向けて圧縮空気AKを圧送するイオン源向け通気路RAをなす。
なお、内筒80は、第1回路ケース250(小円筒部252)を通じて、イオン源電源回路210の第1出力端211に導通し、第1電位PV1とされている。
【0048】
さて、
図3,
図6に示す、第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61は、いずれもステンレスからなる。このうち、第1パイプホルダ60は、概略円柱状の本体部63と、本体部63のうち基端側寄りの位置から径方向外側に膨出する円環状のホルダフランジ部66を有している。また、第2パイプホルダ61は、概略円柱状であり、第1パイプホルダ60の基端側に嵌め込まれて、これと一体をなす。また、これら第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61には、それぞれ図中上下方向に延びる、針状電極挿通孔60H,61H、補助電極挿通孔60I,61I、及び、通気貫通孔60J,61Jが穿孔されており、前述したように、針状電極挿通孔60H,61H内に針状電極体20の延出部21が、補助電極挿通孔60I,61I内に補助電極体50の延出部51が挿通、保持されている。そして、本体部63の先端側(図中、上方)には、この本体部63から針状電極体20の針状先端部22が突出している。
これら第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61は、第1パイプホルダ60が第2パイプホルダ61に、第2パイプホルダ61が内筒80に、それぞれ嵌め込まれ固定されると共に、これらは電気的にも導通している。そして、これら第1パイプホルダ60,第2パイプホルダ61及び内筒80は、針状電極体20の延出部21及び補助電極体50の延出部51を包囲する第1導通部材13をなしている。
【0049】
さらに、第1パイプホルダ60の先端側(図中、上方)には、先端側が底となる有底円筒状のノズル部材30が嵌め込まれている。このノズル部材30も、ステンレスからなる。また、ノズル部材30の先端側の底部は、ノズル部31とされている。このノズル部31は、その中央が先端側に向かう凹形状とされ、その中心には、微細な透孔が形成されて、ノズル31Nとなっている。
また、このノズル部材30は、第1パイプホルダ60の先端部分に嵌め込まれ固定されると共に、電気的にも導通し、第1電位PV1とされている。
【0050】
このようにして、第1パイプホルダ60の本体部63の先端側(図中上方)にノズル部材30が嵌め込まれることで、これらの内部に、放電空間DSが形成される。この放電空間DSでは、第1パイプホルダ60から針状電極体20の針状先端部22が突出しており、この針状先端部22は、ノズル部31の基端側の面であり凹形状をなす対向面31Tと向き合っている。従って、針状先端部22とノズル部31(対向面31T)との間に高電圧を印加すると、気中放電が生じ、大気中のN
2,O
2等が電離し、正イオン(例えば、N
3+,O
2+。以下、イオンCPともいう)が生成される。また、第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダに穿孔した通気貫通孔60J,61J(イオン源向け通気路RA)を通じて、白抜き矢印で示す圧縮空気AKもこの放電空間DSに供給される。このため、ノズル部31のノズル31Nから、圧縮空気AKを起源とする空気ARが、これより先端側の混合領域MX(後述する)に向けて高速で噴射されると共に、圧縮空気AK(空気AR)に混じって、イオンCPも混合領域MXに噴射される。
【0051】
さらに、ノズル部材30の先端側には、円筒状の中継筒33(
図8も参照)が嵌め込まれている。この中継筒33も、ステンレスからなり、その側面には、1箇所、(排気管EPの下流側に向けて開口する)取入口33I(
図6参照)が穿孔されている。この取入口33Iは、後述するように、排気ガスEGを、ノズル部材30と中継筒33と混合排出部材40とで形成される混合領域MX(後述する)に取り入れるための開口である。
また、この中継筒33は、ノズル部材30に嵌め込まれ固定されると共に、電気的にもこれに導通して、第1電位PV1とされている。
【0052】
さらに、中継筒33の先端側(図中上方)には、混合排出部材40(
図8も参照)が嵌め込まれている。この混合排出部材40も、ステンレスからなり、基端側(図中下方)に位置し、次述する構造を有する基端部41と、この基端部41の周縁から先端側に延出した円筒状の先端側筒壁部43とからなる。また、この先端側筒壁部43は、先端側から蓋部材48が被せられて閉塞されている。また、先端側筒壁部43には、1箇所、(排気管EPの下流側に向けて開口する)排出口43Oが穿孔されている。
この混合排出部材40のうち、基端部41は、内側に膨出した捕集極42により、内側の空間がスリット状に狭められた形態とされている。一方、先端側筒壁部43内には、円柱状の空間が形成される。なお、捕集極42には、中継筒33の取入口33Iの位置に合わせて、切り欠き部42Kが形成されている。
また、この混合排出部材40は、中継筒33に嵌め込まれ固定されると共に、電気的にも導通して、第1電位PV1とされている。
【0053】
かくして、ノズル部材30のノズル部31のうち図中上方を向く先端側面31Sと、中継筒33と、混合排出部材40の基端部41(捕集極42)とで、中継筒33内に概略円柱状の空間が形成される。この空間は、混合領域MXのうち、円柱状混合領域MX1をなす。一方、混合排出部材40の基端部41の捕集極42で構成されるスリット状の内部空間は、スリット状混合領域MX2をなす。また、先端側筒壁部43内の円柱状の空間は、排出口43Oに連通する排出路EXをなす。加えて、捕集極42の切り欠き部42Kによって、取入口33Iから混合領域MX(円柱状混合領域MX1)に連通する引き込み路HKが形成される。
【0054】
なお、後述するように、ノズル31NからイオンCPを含む空気ARが高速で噴射されると、噴射された空気ARは、円柱状混合領域MX1、スリット状混合領域MX2、及び排出路EXを経由して、排出口43Oから排出される。さらに、高速で噴射された空気ARの流れにより、円柱状混合領域MX1の気圧が下がるので、取入口33Iの外部の排気ガスEGが、この取入口33Iから引き込み路HKを通じて、混合領域MX(円柱状混合領域MX1、スリット状混合領域MX2)に取り入れられる。取り入れられた取入排気ガスEGIは、混合空間MXでイオンCPを含む空気ARと混合され、この空気ARと共に、排出路EXを経由して、排出口43Oから排出される。
【0055】
また、先に説明した補助電極体50の延出部51及びこれを囲む補助電極絶縁パイプ77は、第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61内の補助電極挿通孔60I,61Iよりも、さらに先端側(図中上方)まで延びており、ノズル部材30のノズル部31、中継筒33、及び混合排出部材40内を通っている。そして、延出部51に連なる曲げ返し部52が、混合排出部材40の先端側筒壁部43内(排出路EX)に位置している。そして、基端側(図中下方)を向く補助電極部53は、混合排出部材40の基端部41がなすスリット状混合領域MX2内に位置している。
【0056】
また、
図3,
図6に示すように、第1パイプホルダ60のホルダフランジ部66の先端側(図中上方)には、アルミナ等の絶縁セラミックからなり、第1パイプホルダ60の本体部63及びノズル部材30との連結部分を取り囲む概略円筒状の第1絶縁スペーサ121が配置されている。また、ホルダフランジ部66の基端側(図中下方)にも、アルミナ等の絶縁セラミックからなり、第1パイプホルダ60のうち基端側の部分及び第2パイプホルダ61を取り囲む概略円筒状の第2絶縁スペーサ122が配置されている。さらに、第2絶縁スペーサ122の基端側周縁には、これに係合する金属製のスペーサ123が嵌め込まれている。さらにこれらの径方向周囲(図中左右方向)には、ステンレスからなる主体金具90及び栓金具100が配置されている。
【0057】
このうち、主体金具90は、筒状部91とフランジ部95とからなる。このうち、概略円筒状の筒状部91は、自身の内部に第1パイプホルダ60、第2パイプホルダ61、第1絶縁スペーサ121、及び第2絶縁スペーサ122を保持する保持孔91Hを有している。また、この筒状部91のうち基端側は内壁に雌ねじが形成された雌ねじ部92となっている。
一方、フランジ部95は、筒状部91の先端部分から径方向外側に張り出した板状で、外形概略長円板形状を有している。また、自身の厚み方向に貫通するボルト貫通孔95H,95Hを有している(本実施形態では2箇所)。
【0058】
さらに、この主体金具90のうち筒状部91の雌ねじ部92には、栓金具100が、その外周に雄ねじを形成した雄ねじ部102で螺合している。この栓金具100は、概略円筒状であり、内筒80を非接触で包囲している。また、栓金具100は、雄ねじ部102よりも先端側(図中上方)に、平坦な先端面101Sが形成され、雄ねじ部102より小径な先端押圧部101を有する。また、雄ねじ部102より基端側(図中下方)には、径方向外側に向けてフランジ状に張り出して、外周が六角形状とされた六角部103を有する。
栓金具100の雄ねじ部102を、主体金具90の雌ねじ部92に螺入すると、栓金具100が先端側に進み、その先端押圧部101が、スペーサ123に先端側で当接すると共に、スペーサ123を介して第2絶縁スペーサ122を先端側に押圧する。すると、この第2絶縁スペーサ122は、第1パイプホルダ60のホルダフランジ部66を先端側に向けて押圧する。さらに、この第1パイプホルダ60のホルダフランジ部66は、第1絶縁スペーサ121を先端側に向けて押圧する。第1絶縁スペーサ121は、板パッキン124を介して主体金具90の筒状部91の保持孔91Hに係合する。これにより、第1パイプホルダ60、第2パイプホルダ61、第1絶縁スペーサ121、第2絶縁スペーサ122、スペーサ123、及び板パッキン124は、外装部材14の一部をなす栓金具100及び主体金具90に保持され、包囲される。
また、第1パイプホルダ60及び第2パイプホルダ61と主体金具90及び栓金具100との間には、第1絶縁スペーサ121及び第2絶縁スペーサ122が介在して、両者を離間、絶縁している。なお、第1パイプホルダ60のうち、径方向外側に張り出したホルダフランジ部66と、主体金具90(筒状部91)との間は、空間を空けて離間されて、両者間の絶縁が保たれている。
【0059】
さて、検出部10の取付けに当たっては、
図5及び
図6に示すように、排気管EPのうち、取付部EPTの取付開口EPOから、ノズル部材30、中継筒33、混合排出部材40等を排気管EP内に挿入すると共に、取付開口EPOに隣在して設けられているスタッドボルトEPB,EPBを、フランジ部95のボルト貫通孔95Hにそれぞれ挿通し、ナットEPNで締結する。これにより、主体金具90を含め、検知部10が、排気管EPの取付部EPTに固定される。
なお、主体金具90の先端側面90Sのうち、保持孔91Hの周囲には、円環状のガスケット保持溝96が形成されており、排気管EPの取付部EPTと主体金具90とは、このガスケット保持溝96内に配置された銅製のガスケット130を介して気密に結合している。
また、栓金具100の基端部104には、既に説明したステンレス製の第1外筒部材110の第1円筒部111が接続されている。
これにより、ガスケット130、主体金具90、栓金具100、第1外筒部材110、及び、第2外筒部材115は、排気管EPと同じ接地電位PVEとされる。
【0060】
次いで、本実施形態の微粒子検知システム1の各部の電気的機能及び動作について、
図1〜
図8のほか、
図9をも参照して説明する。なお、この
図9は、本システム1の検知部10の電気的機能及び動作を理解容易のため模式的に示したものであり、他の各図等に記載の形態等と異なる部分が存在する点に留意されたい。
針状電極体20は、イオン源電源回路210の第2出力端212に接続、導通している。従って、この針状電極体20は、前述したように、第1電位PV1に対して、100kHz,1〜2kV0-pの正の半波整流パルス電圧である、第2電位PV2とされる。
また、補助電極体50は、補助電極電源回路240の補助第2出力端242に接続、導通している。従って、この補助電極体50は、前述したように、第1電位PV1に対して、100〜200Vの正の直流電位である、第3電位PV3とされる。
さらに、内筒80,第1パイプホルダ60,第2パイプホルダ61,ノズル部材30,中継筒33,混合排出部材40は、イオン源電源回路210の第1出力端211、補助電極電源回路240の補助第1出力端241、これらの回路を囲む第1回路ケース250、及び信号電流検知回路230の信号入力端231に接続、導通している。これらは、第1電位PV1とされる。
加えて、第1外筒部材110,第2外筒部材115,皿バネ132,栓金具100,主体金具90,及びガスケット130は、信号電流検知回路230を含む計測制御回路220を囲む第2回路ケース260及び信号電流検知回路230の接地入力端232に接続、導通している。これらは、排気管EPと同じ、接地電位PVEとされる。
【0061】
従って、前述したように、第1電位PV1とされるノズル部31(対向面31T)と、これよりも正の高電位である第2電位PV2とされる針状先端部22との間では、気中放電、具体的にはコロナ放電が生じる。さらに具体的には、正極となる針状先端部22の周りにコロナが発生する正針コロナPCを生じる。これにより、その雰囲気をなす大気(空気)のN
2,O
2等が電離等して、正のイオンCPが発生する。発生したイオンCPの一部は、放電空間DSに供給された圧縮空気AK(空気AR)と共に、ノズル31Nを通って、混合領域MXに向けて噴射される。
本実施形態では、針状先端部22とノズル部材30のノズル部31が気中放電(コロナ放電)を発生する2つの電極に相当する。また、放電空間DSを囲む、ノズル部材30及びそのノズル部31、針状先端部22が、イオン源11となり、かつ、イオン気体噴射源11をなしている。
【0062】
空気ARが混合領域MX(円柱状混合領域MX1)に噴射されると、前述したように、この円柱状混合領域MX1の気圧が低下するため、取入口33Iから排気ガスEGが引き込み路HKを通じて、混合領域MX(円柱状混合領域MX1、スリット状混合領域MX2)に取り入れられる。取入排気ガスEGIは、空気ARと混合され、空気ARと共に、排出路EXを経由して、排出口43Oから排出される。
その際、排気ガスEG中に、ススなどの微粒子Sが含まれていた場合、
図9に示すように、この微粒子Sも混合領域MX内に取り入れられる。ところで、噴射された空気ARには、イオンCPが含まれている。このため、取り入れられたススなどの微粒子Sは、イオンCPが付着して、正に帯電した帯電微粒子SCとなり、この状態で、混合領域MX及び排出路EXを通って、排出口43Oから、空気ARと共に排出される。
一方、混合領域MXに噴射されたイオンCPのうち、微粒子Sに付着しなかった浮遊イオンCPFは、補助電極体50の補助電極部53から斥力を受け、第1電位PV1とされた捕集極42をなす混合排出部材40(基端部41,先端側筒壁部43)に各部に付着し、排出されない(捕捉される)。
【0063】
従って、この帯電微粒子SCにより排出された排出イオンCPHの電荷量に対応する信号電流Isを信号電流検知回路230で検知することにより、排気ガスEG中の微粒子Sの量が検知できる。
本実施形態では、混合領域MX及び捕集極42をなす、ノズル部材30のノズル部31,中継筒33,混合排出部材40,蓋部材48が、微粒子帯電部12に相当する。
【0064】
また、第1パイプホルダ60,第2パイプホルダ61及び内筒80は、上述の微粒子帯電部12及びこれに含まれるノズル部材30のノズル部31に導通する一方、針状電極体20の延出部21及び補助電極体50の延出部51の径方向周囲を取り囲んでいる。
本実施形態では、これら第1パイプホルダ60,第2パイプホルダ61及び内筒80が、第1導通部材13に相当する。
また、これらイオン気体噴射源11、微粒子帯電部12、及び、第1導通部材13で、検知部10をなしている。
【0065】
さらに、主体金具90,栓金具100,第1外筒部材110,及び、第2外筒部材115は、排気管EPと導通して接地電位PVEとされる一方、上述の微粒子帯電部12(ノズル部材30のノズル部31など)及び第1導通部材13(内筒80など)とは電気的に絶縁されている。
本実施形態では、これら主体金具90,栓金具100,第1外筒部材110,及び、第2外筒部材115が、外装部材14に相当する。
また、外装部材14のうち、主体金具90の筒状部91,栓金具100,及び第1外筒部材110の第1円筒部111は、微粒子帯電部12、イオン気体噴射源11及び第1導通部材13のうち、排気管EPの外部(
図2,
図5において排気管EPより下方)に位置する部位を取り囲んでいる。具体的には、針状電極体20の延出部21,補助電極体50の延出部51のうち基端側の部位、第1パイプホルダ60,第2パイプホルダ61,内筒80の径方向周囲を取り囲んでいる。
【0066】
さて、前述の通り、外装部材14のうちの第2外筒部材115に設けられた圧縮空気ポート70を通じて、外装部材14をなす第1外筒部材110及び第2外筒部材115の内部に、圧送ポンプ300からの圧縮空気AKが流入する。さらに、これら外装部材14と、第1回路ケース250及び第2回路ケース260との間は、圧縮空気AKが流動する空隙GPをなしている。これにより、外装部材14の内部に流入した圧縮空気AKがこの空隙GPを流動して、第1回路ケース250(大円筒部253)及び第2回路ケース260(第2回路ケース本体261)を介して回路部201が冷却される。
【0067】
なお、圧縮空気ポート70は、外装部材14のうちの第2外筒部材115に設けられており、第2回路ケース260の第2回路ケース本体261(回路包囲部材)の外側面と対面する位置に配置されている。このため、圧縮空気ポート70を通った圧縮空気AKは、第2回路ケース260に直接当たり、その後、外装部材14と第1回路ケース250及び第2回路ケース260との間の空隙GPを流動して、第1回路ケース250をも冷却する。つまり、回路部201全体を外側から冷却する。
また、回路部201は、第3絶縁スペーサ125,第4絶縁スペーサ126及び皿バネ132により、外装部材14内に、空隙GPを介して、保持されている。このため、回路部201は、外装部材14とは、熱絶縁されている。
【0068】
さらに、回路部201を冷却した圧縮空気AKは、第1回路ケース250の小円筒部252と第1外筒部材110の第1円筒部111の間を通って、内筒80と栓金具100との間に導かれる。この過程で、第1導通部材13である内筒80が外側から冷却される。
【0069】
さらに、内筒80に開けた流入孔71を通じて、内筒80内に流入する。内筒80内には、前述したように、針状電極絶縁パイプ75に包囲された針状電極体20の延出部21及び補助電極絶縁パイプ77に包囲された補助電極体50の延出部51が配置されている。従って、流入孔71から流入した圧縮空気が当たり、針状電極体20の延出部21及び補助電極体50の延出部51が内筒80内で冷却される。
【0070】
さらに、圧縮空気AKが、先端側に移動(流通)する際には、内筒80が内側から冷却される。その後、圧縮空気AKは、通気貫通孔60J,61Jを通じて、イオン気体噴射源11に供給される。
【0071】
検知部10は排気管EPに装着されているので、排気ガスEGあるいは排気管EPから熱が伝わり、高温となり得る。このため、高温となった検知部10から回路部201へと熱が伝わって、回路部201の回路も高温になり易い。
これに対して、本実施形態のシステム1では、回路部201の周囲を包囲する回路包囲部材である第1回路ケース250の大円筒部253及び第2回路ケース260の第2回路ケース本体261、及び、これら回路包囲部材253,261の外側面を空隙GPを介して包囲する外装部材14(第1外筒部材110,第2外筒部材115)を備える。そして、外装部材14の内部に流入した圧縮空気AKを回路包囲部材253,261の外側面と外装部材14との間の空隙GPに流動させ、回路包囲部材253,261を介して回路部201を冷却している。
このため、排気管EPからの熱によって、回路部201の回路が温度上昇して、温度ドリフトを生じたり、回路部品が故障したりする熱の影響を抑えることができる。
かくして、本実施形態のシステム1では、検知部10と回路部201を連設して、システム全体をコンパクトにしながらも、排気管EPから回路部201へ伝わる熱の影響を抑制して、排気ガスEG中の微粒子Sの量を適切に検知することができる。
しかも、回路部201を回路包囲部材253,261で包囲して、回路部201のイオン源電源回路210や補助電極電源回路240等の各回路に直接圧縮空気AKを当てないので、回路部201を圧縮空気AKが流動することによるノイズが信号に重畳するのを確実に防止できる。その上、圧縮空気ポート70から流入させた圧縮空気AKが回路包囲部材253,261(本実施形態では、第2回路ケース260の第2回路ケース本体261)の外側面に直接当たるので、回路包囲部材253,261を介して回路部201を適切に冷却することができる。
【0072】
さらに、本実施形態のシステム1では、回路部201を冷却した圧縮空気AKを用いて、検知部10のうち、回路部201のイオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に導通する第1導通部材13、針状電極体20の延出部21及び補助電極体50の延出部51を冷却している。
回路部201に加え、検知部10のうち、回路部201のイオン源電源回路210及び補助電極電源回路240に導通する第1導通部材13、針状電極体20の延出部21及び補助電極体50の延出部51の少なくとも一部(本例では三者とも)が冷却されることにより、これらを通して排気管EPから回路部201のイオン源電源回路210及び補助電極電源回路240へ伝わる熱の影響をさらに抑制することができる。
【0073】
さらに、本実施形態のシステム1では、検知部10は、回路部201を冷却した圧縮空気AKを、イオン源11に導くイオン源向け通気路RAを有する。そして、イオン気体噴射源11では、生成したイオンCPを、自身に供給された圧縮空気AKと共に、ノズル部31から、混合領域MXに噴射する。これにより、圧縮空気AKを、冷却用と気体噴射源用とで兼用でき、システムをコンパクトにすることができる。
【0074】
さらに、本実施形態のシステム1では、回路包囲部材253,261が、外装部材14とは、空隙GPを介して、熱絶縁されている。
外装部材14も排気管EPからの熱により高温となり得るが、回路包囲部材253,261はこれと熱絶縁されているため、回路包囲部材253,261内の回路部201をなすイオン源電源回路210や補助電極電源回路240等の各回路が外装部材14からの熱伝導により温度上昇することをも抑制することができる。
【0075】
(変形形態)
次に、上述の実施形態の変形形態について、
図10を参照して説明する。前述の実施形態の微粒子検知システム1では、外装部材14のうち、第2外筒部材115の筒壁(円筒部117)に圧縮空気ポート70が設けられており、この圧縮空気ポート70に螺設された継ぎ手283を介して、送気パイプ310が接続されて、圧送ポンプ300からの圧縮空気AKを外装部材14内に流入させていた。従って、圧縮空気ポート70を通った圧縮空気AKは、回路部201を包囲する回路包囲部材である第1回路ケース250の大円筒部253及び第2回路ケース260の第2回路ケース本体261のうち、排気管EPから離れた側の第2回路ケース260の第2回路ケース本体261に直接当たっていた。
【0076】
これに対し、
図10に示す本変形形態のシステム1Aでは、外装部材14のうち、排気管EP寄りの第1外筒部材110の筒壁(第2円筒部112)に圧縮空気ポート70Aが設けられており、この圧縮空気ポート70Aは、回路部201を包囲する回路包囲部材253,261のうち、排気管EP寄りの第1回路ケース250の大円筒部253の外側面と対面する位置に配置されている。そして、圧縮空気ポート70Aには、これに螺設された継ぎ手283Aを介して、送気パイプ310Aが接続されている。従って、圧送ポンプ300から圧送されて圧縮空気ポート70Aを通った圧縮空気AKは、回路包囲部材のうち、排気管EP寄りの第1回路ケース250の大円筒部253に直接当たるようになっている。
【0077】
これにより、本変形形態のシステム1Aは、実施形態と同様の作用効果を奏するほか、回路部201のうち、熱源となる排気管EPに近い側を効果的に冷却することができる。
なお、本変形形態では、第1回路ケース250の大円筒部253が回路包囲部材の排気管側部に相当する。
【0078】
以上において、本発明を実施形態のシステム1及び変形形態のシステム1Aに即して説明したが、本発明は実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、回路部201を冷却した後の圧縮空気AKで、第1導通部材13(内筒80)、針状電極体20の延出部21及び補助電極体50の延出部51のいずれをも冷却した。しかし、これらのうち、少なくともいずれかを冷却する構成としても良い。
また、上記実施形態では、回路包囲部材253,261を介して回路部201の冷却に用いた圧縮空気AKを、補助電極体50の延出部51等の冷却に用いて、さらに、イオン気体噴射源11から噴射させた例を示した。しかし、回路包囲部材253,261を介して回路部201の冷却のみに用いても良い。