(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シートクッションと、前記シートクッションに支持されたシートバックと、シートベルトと、シートベルトを巻き取るシートベルト巻取装置とを備えた乗物用シートであって、
前記シートクッションは、左右に離間して配置され前後に延びる左右のサイドフレームを有してなり、
前記シートベルト巻取装置を、前記左右のサイドフレームの一方の下に配置し、
前記シートベルトは、前記シートクッションの下を、前記シートベルト巻取装置から後方へ向けて延びるように引き回されており、
前記前後に延びるシートベルトの上に、当該シートベルトに沿って設けられたカバー部材と、
前記一方のサイドフレームに設けられ、前記シートクッションの位置を変化させるための操作部材と、
前記操作部材に一端が掛止され、前記一方のサイドフレームと前記カバー部材の間を通過するケーブルとを備えることを特徴とする乗物用シート。
シートクッションと、前記シートクッションに支持されたシートバックと、シートベルトと、シートベルトを巻き取るシートベルト巻取装置とを備えた乗物用シートであって、
前記シートクッションは、左右に離間して配置され前後に延びる左右のサイドフレームを有してなり、
前記シートベルト巻取装置を、前記左右のサイドフレームの一方の下に配置し、
前記シートクッションを乗物に前後移動可能に支持する前後スライドレール機構をさらに備え、
前記シートベルト巻取装置は、前記前後スライドレール機構の左右方向外側で、かつ、前後スライドレール機構に左右方向から見て少なくとも一部が重なって配置されたことを特徴とする乗物用シート。
シートクッションと、前記シートクッションに支持されたシートバックと、シートベルトと、シートベルトを巻き取るシートベルト巻取装置とを備えた乗物用シートであって、
前記シートクッションは、左右に離間して配置され前後に延びる左右のサイドフレームを有してなり、
前記シートベルト巻取装置を、前記左右のサイドフレームの一方の下に配置し、
前記左右のサイドフレームの内側に設けられ、前記一方のサイドフレームに連結され前後に延びるインナーフレームと、
前記一方のサイドフレームと前記インナーフレームとを挟むように保持する挟持ブラケットとをさらに備え、
前記シートベルト巻取装置は、前記挟持ブラケットに固定されたことを特徴とする乗物用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シートクッションの下で、左右のサイドフレームの間にシートベルトの巻取装置を設けると、サイドフレームの間の空間が有効に利用できなくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、シートベルト巻取装置が設けられた乗物用シートにおいて、シートクッションの下の左右のサイドフレームの間のスペースを効率的に利用することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、シートベルト巻取装置の取付剛性を高めること、および、シートベルトのスムーズな動作を実現することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決する本発明は、シートクッションと、前記シートクッションに支持されたシートバックと、シートベルトと、シートベルトを巻き取るシートベルト巻取装置とを備えた乗物用シートであって、前記シートクッションは、左右に離間して配置され前後に延びる左右のサイドフレームを有してなり、前記シートベルト巻取装置を、前記左右のサイドフレームの一方の下に配置したことを特徴とする。
【0008】
このように構成すれば、シートクッションを構成する部材のうち、サイドフレームの下にシートベルト巻取装置を配置することで、左右のサイドフレームの間の空間を他の部材や配線の取り回しに有効利用することができる。この結果、乗物用シートを小型化し、シートの周囲の居住性を向上させることができる。
【0009】
前記した乗物用シートにおいて、前記シートベルトは、前記シートクッションの下を、前記シートベルト巻取装置から後方へ向けて延びるように引き回されており、乗物用シートは、前記前後に延びるシートベルトの上に、当該シートベルトに沿って設けられたカバー部材と、前記一方のサイドフレームに設けられ、前記シートクッションの位置を変化させるための操作部材と、前記操作部材に一端が掛止され、前記一方のサイドフレームと前記カバー部材の間を通過するケーブルとを備える構成とすることができる。
【0010】
このような構成によれば、カバー部材とサイドフレームの間を有効利用してケーブルを取り回すことができるとともに、カバー部材により、ケーブルとシートベルトの干渉を防止してシートベルトのスムーズな動作を実現することができる。
【0011】
前記した乗物用シートにおいては、前記シートクッションを乗物に前後移動可能に支持する前後スライドレール機構をさらに備え、前記シートベルト巻取装置は、前記前後スライドレール機構の左右方向外側で、かつ、前後スライドレール機構に左右方向から見て少なくとも一部が重なって配置されることが望ましい。
【0012】
このような構成によれば、前後スライドレール機構とシートベルト巻取装置を上下に並べた構成に比較して、乗物用シートの高さ方向の大きさを小さくすることができる。
【0013】
前記した乗物用シートにおいて、前記シートベルト巻取装置は、前記一方のサイドフレームに固定された構成とすることができる。
【0014】
シートベルト巻取装置を、高い剛性を有するサイドフレームに固定することで、シートベルト巻取装置の取付剛性を高くすることができる。
【0015】
前記した乗物用シートにおいては、前記左右のサイドフレームの内側に設けられ、前記一方のサイドフレームに連結され前後に延びるインナーフレームと、前記一方のサイドフレームと前記インナーフレームとを挟むように保持する挟持ブラケットとをさらに備え、前記シートベルト巻取装置は、前記挟持ブラケットに固定された構成とすることができる。
【0016】
このような構成によれば、高い剛性を有する挟持ブラケットにシートベルト巻取装置を固定することで、シートベルト巻取装置の取付剛性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サイドフレームの下にシートベルト巻取装置を配置することで、左右のサイドフレームの間の空間を他の部材や配線の取り回しに有効利用することができる。この結果、乗物用シートを小型化し、シートの周囲の居住性を向上させることができる。
【0018】
本発明によれば、カバー部材とサイドフレームの間を有効利用してケーブルを取り回すことができるとともに、カバー部材により、ケーブルとシートベルトの干渉を防止してシートベルトのスムーズな動作を実現することができる。
【0019】
本発明によれば、前後スライドレール機構とシートベルト巻取装置を上下に並べる場合に比較して、乗物用シートの高さ方向の大きさを小さくすることができる。
【0020】
本発明によれば、高い剛性を有するサイドフレームに固定することで、シートベルト巻取装置の取付剛性を高くすることができる。
【0021】
本発明によれば、高い剛性を有する挟持ブラケットにシートベルト巻取装置を固定することで、シートベルト巻取装置の取付剛性を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、車両用シートSは、自動車の後部座席に使用されるシートであり、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを主に備えている。
シートバックS2の右側の肩口(上縁の右端部)にはシートベルトSBをガイド孔111から引出可能に支持するベルトガイド部材110が設けられている。そして、シートクッションS1の右側後部には、車両用シートSを左右にスライド移動させるときに操作する操作部材の一例としての操作レバーL1が設けられている。
【0024】
シートクッションS1およびシートバックS2には、
図2に示すようなシートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するシートクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するシートバックフレームF2とから主に構成されている。シートクッションS1は、シートクッションフレームF1に、ウレタンフォームなどのクッション材からなるシートクッションパッドと、合成皮革や布地などからなる表皮材を被せることで構成され、シートバックS2は、シートバックフレームF2に、クッション材からなるシートバックパッドと、合成皮革や布地などからなる表皮材を被せることで構成されている。
【0025】
シートバックフレームF2は、左右のサイドフレーム81,82と、これらのサイドフレーム81,82の上端を連結するパイプ部材としての上部連結部材83とを有して構成されている。そして、シートバックフレームF2は、その下部が図示しないリクライニング機構にシートクッションフレームF1の後部に回動自在に支持されている。なお、本明細書において、前後、左右および上下は、リクライニング機構によってシートバックS2が倒されていない状態の車両用シートSに着座した乗員を基準とする。
【0026】
シートクッションフレームF1は、左右のサイドフレーム10と、左右のサイドフレーム10の内側で前後に延びるように配置された左右のインナーフレーム40と、左右のサイドフレーム10および左右のインナーフレーム40をそれらの後端で繋ぐ連結ビーム51と、左右のインナーフレーム40を前部で繋ぐ連結パイプ52とを備えている。
【0027】
左右のサイドフレーム10は、前後方向に延びる金属製のフレームであり、左右に離間して配置されている。サイドフレーム10は、
図3(a)に示すように、サイドフレーム10の側面を形成する第1側壁部11と、当該第1側壁部11の周縁から左右方向内側に延出した第1フランジ部12とを有している。また、サイドフレーム10のうち前端側の部分である前端部13は、前後方向に沿って延びるように形成され、当該前端部13よりも後側の部分である後部14は、前端部13の後端から左右方向外側に屈曲した後、後方に向けて延びるように形成されている。
【0028】
インナーフレーム40は、当該インナーフレーム40の側面を形成する第2側壁部41と、当該第2側壁部41の周縁から左右方向外側に延出した第2フランジ部42とを有している。そして、インナーフレーム40のうち前端側の部分である前端部43は、前後方向に沿って延びるように形成されて、サイドフレーム10の前端部13に溶接により直接接合されている。
【0029】
また、インナーフレーム40は、後側が前端部43に対して左右方向内側にずれるように屈曲する屈曲部44を3箇所有している。このため、インナーフレーム40の後端46は、サイドフレーム10に対して左右方向内側に離間して配置されている。そして、この後端46は、連結ビーム51に連結されている。ここで、連結ビーム51は、左右方向に延びる断面視略矩形の筒状部材であり、その両端が左右のサイドフレーム10に接合されている。
また、インナーフレーム40は、最も後の屈曲部44の後側の後端部45において、連結ビーム51から前方に離れた位置で、左右のインナーフレーム40同士を連結する円筒状の連結パイプ53により連結されている。
【0030】
このようにインナーフレーム40がサイドフレーム10に連結されることで、インナーフレーム40によってサイドフレーム10を補強することができるので、サイドフレーム10の剛性を向上させることが可能となっている。また、サイドフレーム10を補強するインナーフレーム40をサイドフレーム10の左右方向内側に配置することで、例えばサイドフレームの外側に補強部材を設ける構造に比べ、車両用シートSを左右方向に小型化することが可能となっている。
【0031】
また、インナーフレーム40は、屈曲部44を有していることで、立体的形状となり、高い剛性を有している。そして、左右のインナーフレーム40は、互いに距離が近い後端46において連結ビーム51により連結されるとともに、剛性が高いとともに、互いに距離が近い後端部45同士が連結パイプ53により連結されているので、捩れが抑制されて、非常に高い剛性を持った構造となっている。
【0032】
また、サイドフレーム10と、インナーフレーム40と、連結ビーム51とは、平面視で三角形の構造を構成していることで、水平面内で変形しにくい高い剛性を有している。なお、これらの部材は、略鉛直方向に延びる板形状を有しているので、上下にも変形しにくく高い剛性を有している。
【0033】
さらに、サイドフレーム10の前端部13とインナーフレーム40の前端部43を直接接合することによって構成される接合部Jは、
図3(a)に示すように、閉断面構造となっている。具体的に、接合部Jは、前述したサイドフレーム10の第1側壁部11および第1フランジ部12の前端側の部分と、インナーフレーム40の第2側壁部41および第2フランジ部42の前端側の部分とで構成されており、第1フランジ部12の前端側部分と第2フランジ部42の前端側部分とを溶接により接合することで閉断面構造となるように構成されている。
【0034】
このように接合部Jを閉断面構造とすることで、当該接合部Jの剛性を向上させることができ、ひいてはサイドフレーム10の剛性を向上させることが可能となっている。
【0035】
また、左右のサイドフレーム10および左右のインナーフレーム40に対してそれぞれ設けられた左右の接合部Jは、左右方向に延びる連結部材としての円筒状の連結パイプ52によって連結されている。これにより、インナーフレーム40の捩れを抑制することができ、左右の接合部Jの剛性をさらに向上させ、サイドフレーム10の剛性をさらに向上させることが可能となっている。
【0036】
また、サイドフレーム10とインナーフレーム40の下側、詳しくは接合部Jの後端付近には、サイドフレーム10とインナーフレーム40とを左右方向で挟み込むように保持する挟持ブラケット60が溶接により接合されている。挟持ブラケット60は、サイドフレーム10の左右方向外側からインナーフレーム40の左右方向内側まで延びる鉛直方向に直交した板状の基部61と、基部61の前端から上方に向けて延びて接合部Jを挟み込む第1挟持部62と、基部61の後端から上方に向けて延びて接合部J以外の部位を挟み込む第2挟持部63とを一体に有している。
【0037】
第1挟持部62は、
図3(a)に示すように、接合部Jの左右方向の幅と略同じ幅の溝62Aを有しており、当該溝62A内で接合部Jを挟持し、溝62Aの左右両側の縁部と接合部Jとが溶接されている。また、第2挟持部63は、
図3(b)に示すように、サイドフレーム10の後部14の左右方向外側の外面からインナーフレーム40の後部の左右方向内側の内面までの長さと略同じ幅の溝63Aを有しており、当該溝63A内でサイドフレーム10の後部14とインナーフレーム40の後部を挟持し、溝63Aの左右両側の縁部とサイドフレーム10またはインナーフレーム40とが溶接されている。
【0038】
このような挟持ブラケット60を設けることで、サイドフレーム10の剛性をさらに向上させることが可能となっている。また、挟持ブラケット60が第1挟持部62と第2挟持部63を一体に有しているので、例えば接合部を挟み込むブラケットと接合部以外の部位を挟み込むブラケットを別々に設ける構造に比べ、部品点数を削減できるとともに、挟持ブラケット60の組付作業を容易にすることが可能となっている。
また、
図8に示すように、挟持ブラケット60は、シートベルト巻取装置190を固定するために、後方へ延出する固定フランジ65を有している。
【0039】
図2に示すように、シートバックフレームF2の肩口(サイドフレーム81と上部連結部材83の連結部にあたる肩口)には、前記したベルトガイド部材110が設けられている。シートバックフレームF2のサイドフレーム81,82のうち、ベルトガイド部材110に対応する右側のサイドフレーム81は、十分な剛性を持たせるために、アウターサイドフレーム81Aとインナーサイドフレーム81Bとを接合することで閉断面構造を有している。すなわち、接合部Jの断面と同様に、アウターサイドフレーム81Aとインナーサイドフレーム81BがそれぞれU字断面を有し、U字の開口を向かい合わせて接合することで閉断面構造が構成されている。一方、左側のサイドフレーム82は、アウターサイドフレームのみで形成されている。このため、シートベルトSBから受ける荷重を右側のサイドフレーム81が高い剛性で受けることができるとともに、左側のサイドフレーム82をアウターサイドフレームのみとすることでコストダウンを図ることができる。
【0040】
図4に示すように、シートベルトSBには、タング120が設けられ、左のサイドフレーム10には、タング120を係留させるためのバックル121が固定されている。そして、
図5に示すように、右のサイドフレーム10には、シートベルトSBの端部を係留するアンカー122が固定されている。
【0041】
シートベルトSBは、
図2に示すように、ベルトガイド部材110のガイド孔111を通って下方に延びている。そして、
図5に示すように、シートクッションフレームF1の右側部分の後端からシートクッションフレームF1の下に回り込んで、シートクッションS1に沿って前方に延びている。シートクッションS1の下において、シートベルトSBは、下部ガイド130により前方に案内され、シートベルト巻取装置190に引出可能に巻き取られている。すなわち、シートベルトSBは、シートクッションS1の下を、シートベルト巻取装置190から後方へ向けて引き回されている。
下部ガイド130は、
図6(a)に示すようにレール部材131と、シートクッションS1の下で前後に延びるシートベルトSBの上に、当該シートベルトSBに沿って設けられたカバー部材132と、から構成されている。
【0042】
レール部材131は、前後方向に水平に延び、シートベルトSBの下に位置する案内板131Aと、案内板131Aの左右両側から立ち上がるサイドガイド131Bと、サイドガイド131Bの後端に設けられたフック部131Cと、サイドガイド131Bの前端部に設けられた固定部131Fを備えて構成されている。フック部131Cは、鉛直に延びる板状部で、後方に向けて開いた開口131Dを有している。固定部131Fは、水平に延びる板状部で、上下に貫通する取付穴131Gを有している。レール部材131は、シートベルトSBの下に配置されてシートベルトSBを覆うことで、シートベルトSBの案内機能に加え、カバー部材132とともにシートベルトSBを保護する機能をも有している。
【0043】
カバー部材132は、前後方向に水平に延び、シートベルトSBの上に位置する本体部132Aと、本体部132Aの左右両側から下方に延びるサイドガイド132Bと、サイドガイド132Bの後端に設けられたフック部132Cと、本体部132Aの前端部に設けられた固定部132Fを備えて構成されている。フック部132Cは、鉛直に延びる板状部で、後方に向けて開いた開口132Dを有している。固定部132Fは、水平に延びる板状部で、上下に貫通する取付穴132Gを有している。本体部132Aの前後方向の中ほどには、左右に長い凸部132Hが上方に突出して形成されている。
【0044】
このような下部ガイド130は、
図5に示すように、サイドフレーム10の一部としての、後ブラケット150と、図示しない前ブラケットに固定されている。後ブラケット150は、サイドフレーム10の後部に溶接されている。前ブラケットは、サイドフレーム10の前後方向中央付近にねじ止めにより固定されている。
【0045】
図6(a)に示すように、後ブラケット150は、前後方向を向く前壁部151と、前壁部151の左右両端から後方に延びる側壁部152とを備え、側壁部152に、円形の貫通穴153が形成されている。
【0046】
図6(b)に示すように、レール部材131の上にはカバー部材132が被せられ、レール部材131とカバー部材132の間の空間にシートベルトSBが通されている。レール部材131のフック部131Cとカバー部材132のフック部132Cとは、開口131D,132Dが重なるようにしてレール部材131とカバー部材132とが合わせられている。そして、開口131D,132Dを、後ブラケット150の貫通穴153に合わせた上、貫通穴153、開口131D,132Dに、棒状部材としてのピン160が挿通されることで、カバー部材132の後部が支持されている。ピン160は、シートベルトSBが巻き掛けられ、シートクッションフレームF1の下で前後方向に延びるシートベルトSBを、シートバックフレームF2の後側へ方向を変えて案内する部材として機能している。
【0047】
固定部131F,132Fは、図示しないサイドフレーム10から延出する前ブラケットに合わせられネジ(図示省略)により固定されている。
シートクッションフレームF1は、サイドフレーム10が、左右スライドレール機構140に支持されることで、左右方向にスライド移動可能となっている。具体的には、前後スライドレール機構180の前後スライダ(
図7、
図8参照)の上に、左右方向に延びる横レール141が固定されており、この横レール141に対しスライド移動可能に係合した横スライダ142が左右のサイドフレーム10に固定されている。
【0048】
ここで、前記したカバー部材132は、左右スライドレール機構140に一部が対向するように配置され、左右スライドレール機構140に対向する部分に凸部132Hが配置されている。前記したように、凸部132Hは、左右、すなわち、左右スライドレール機構140の長手方向に沿って長く延びている。これにより、左右スライドレール機構140を作動させた時に、横レール141がカバー部材132に接触したとしても、左右方向に延びる凸部132Hの頂部でのみ接触するので、接触音を抑えられるとともに、スムーズに摺動させることができる。そして、凸部132Hは、固定部131F,132Fと、ピン160の間に設けられている。
【0049】
前記したシートベルト巻取装置190は、
図7に示すように、右側のサイドフレーム10の下に配置されている。また、シートベルト巻取装置190は、シートクッションS1を前後移動可能に支持する前後スライドレール機構180の左右方向外側(右の前後スライドレール機構180の右側)に配置されている。前後スライドレール機構180は、図示しないブラケットにより車両の床に固定される前後レール181と、前後レール181に係合して前後レール181に対し前後にスライド移動可能な前後スライダ182とから構成されている。
図8に示すように、シートベルト巻取装置190は、左右方向から見て、前後スライドレール機構180の前後スライダ182に一部が重なって配置されている。また、サイドフレーム10の、シートベルト巻取装置190に対向する部分には、上方に凹む凹部が形成されており、このため、サイドフレーム10の下の空間が有効利用されて車両用シートSのコンパクト化が図られている。
【0050】
図5に示すように、右側のサイドフレーム10の後部における右側面には、操作レバーL1を取り付けるためのブラケット170が、溶接により固定されている。そして、ブラケット170の前方には、シートクッションフレームF1を左右にスライド移動させるときに引くケーブル175が2本配置されている。ケーブル175は、シートクッションフレームF1の下に配置され、一端が、カバー部材132とサイドフレーム10の間を通ってサイドフレーム10の左右方向外側に引き出されている。ケーブル175の一端は、
図9に示すように、操作レバーL1に掛止されている。また、ケーブル175の他端は、左右スライドレール機構140の横レール141に係合する公知のロック部材(図示省略)に連結されている。なお、
図9に示すように、ブラケット170には、樹脂製の操作レバー取付部材178が取り付けられ、操作レバーL1は、回動軸L11を中心に回動可能
となるように、操作レバー取付部材178に支持されている。
【0051】
図8に示すように、シートベルト巻取装置190は、サイドフレーム10に固定されている。具体的に、サイドフレーム10の後部の下端は、左右方向内側に折り曲げられてなる底壁10A(
図8で第1側壁部11を一部破断して示す)を有しており、底壁10Aには、下方および前方に屈曲する第1ブラケット192が溶接により固定されている。そして、第1ブラケット192の下端部には、前方および上方に屈曲する第2ブラケット193がピン199Aのカシメにより固定されている。さらに、第2ブラケット193の前端部には、シートベルト巻取装置190の後端部の上壁がピン199Bのカシメにより固定されている。
また、前記した挟持ブラケット60の固定フランジ65には、シートベルト巻取装置190の前端部がピン199Cのカシメにより固定されている。
このように、サイドフレーム10の下に、カシメまたは溶接によりサイドフレーム10と一体になった第2ブラケット193および挟持ブラケット60にシートベルト巻取装置190が固定されていることで、シートベルト巻取装置190は、高い取付剛性を持っている。
【0052】
以上のように構成された車両用シートSによれば、次のような効果を奏することができる。
シートベルト巻取装置190は、シートクッションS1の下に配置されているので、車両用シートSの周囲の居住性を向上させることができる。特に、車両用シートSは、シートベルト巻取装置190が、サイドフレーム10の下に配置されているので、左右のサイドフレーム10の間の空間を、他の部材や配線の取り回しなどに有効に利用することができ、居住性をさらに向上させ、小型化を図ることができる。
【0053】
また、シートクッションS1の下のシートベルトSBの上にはカバー部材132が配置され、カバー部材132とサイドフレーム10の間にケーブル175が通されているので、シートベルトSBとケーブル175の干渉を防止しながらこれらの間にケーブル175を引き回すことができる。このため、シートベルトSBのスムーズな動作を実現することができる。
【0054】
そして、シートクッションS1の下のシートベルトSBと左右スライドレール機構140との間にカバー部材132が設けられることでシートベルトSBと左右スライドレール機構140の干渉が防止される。そのため、左右スライドレール機構140を作動させたときにシートベルトSBと左右スライドレール機構140が干渉することがなく、シートベルトSBを引き出し、または、巻き戻す際にも、左右スライドレール機構140とシートベルトSBが干渉することがない。つまり、シートベルトSBと左右スライドレール機構140の干渉を抑制してシートベルトSBおよび左右スライドレール機構140のスムーズな動作を実現するとともに、シートベルトSBの耐久性の向上を図ることができる。
【0055】
また、カバー部材132には、左右スライドレール機構140と対向する部分に凸部132Hが形成され、凸部132Hは、左右スライドレール機構140の長手方向に沿っているので、カバー部材132と左右スライドレール機構140が干渉したとしても、これらがスムーズに摺動し、左右スライドレール機構140をスムーズに作動させることができる。
【0056】
また、カバー部材132およびレール部材131の後端には、それぞれ、開口132Dを有するフック部132Cおよび開口131Dを有するフック131Cが形成され、サイドフレーム10の後端部の後ブラケット150に係合したピン160に開口132D,131Dが係合することでカバー部材132およびレール部材131が支持されているので、カバー部材132およびレール部材131を安定して支持することができる。しかも、ピン160は、シートベルトSBのガイドを兼ねているので、シートベルトSBのガイドとカバー部材132を支持する部材を別に構成する場合に比較して部品点数を削減することができる。
【0057】
そして、カバー部材132およびレール部材131は、凸部132Hの前側の固定部132F,131Fと、後側のピン160により支持されていることで、これらが安定して支持され、カバー部材132の凸部132Hとスライドレール機構140が干渉した場合に、凸部132Hとスライドレール機構140が安定して摺動することができる。
【0058】
そして、シートベルト巻取装置190は、前後スライドレール機構180の左右方向外側で、かつ、左右方向から見て前後スライドレール機構180に重なって配置されているので、前後スライドレール機構180とシートベルト巻取装置190を上下に並べた構成に比較して車両用シートSの高さ方向の大きさを小さくすることができる。
【0059】
また、シートベルト巻取装置190は、後端部がサイドフレーム10の一部としての第2ブラケット193に固定されていることで取付剛性を高くすることができるとともに、前端部が挟持ブラケット60の固定フランジ65に固定されていることで取付剛性を高くすることができる。
【0060】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
【0061】
前記実施形態では、シートクッションS1の下にシートベルト巻取装置190を配置する例として、サイドフレーム10の下に配置する場合について説明したが、シートベルト巻取装置190は、左右のサイドフレーム10の間に配置してもよい。この場合には、サイドフレーム10の高さ位置を低くして、シートクッションS1の座面を低くすることも可能である。
【0062】
前記実施形態では、前後レール181や前後スライダ182などを一部品のように図示していたが、これらは、複数の部品の組合せにより構成されていてもよい。
【0063】
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。