特許第5848757号(P5848757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許58487572,2−ジフルオロエチル−1−ハロエタン類を用いてアルキル化することによる2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5848757
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】2,2−ジフルオロエチル−1−ハロエタン類を用いてアルキル化することによる2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/61 20060101AFI20160107BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160107BHJP
【FI】
   C07D213/61
   !C07B61/00 300
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-514656(P2013-514656)
(86)(22)【出願日】2011年6月10日
(65)【公表番号】特表2013-530171(P2013-530171A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2011059691
(87)【国際公開番号】WO2011157650
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年6月6日
(31)【優先権主張番号】61/354,933
(32)【優先日】2010年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10166019.9
(32)【優先日】2010年6月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512137348
【氏名又は名称】バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ルイ,ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ハインリツヒ,イエンツ−デイトマール
(72)【発明者】
【氏名】モラデイ,バヘト・アーメト
(72)【発明者】
【氏名】フンケ,クリステイアン
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/036900(WO,A1)
【文献】 特表2009−531348(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/036901(WO,A1)
【文献】 特表2008−506708(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/015208(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/61
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(III)
【化1】
〔式中、Aは、ピリダ−2−イル、ピリダ−4−イル及びピリダ−3−イル[ここで、これは、6位がフッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで置換されていてもよい]
並びに、下記式
【化2】
[式中、
Xは、ハロゲン、C−C12−アルキル又はC−C12−ハロアルキルであり;及び、
Yは、ハロゲン、C−C12−アルキル、C−C12−ハロアルキル、C−C12−ハロアルコキシ、アジド又はシアノである]
で表されるピリダ−3−イルからなる群から選択される置換されていてもよいヘテロ環である〕
で表される2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製する方法であって、一般式(I)
【化3】
〔式中、Halは、Cl、Br又はヨウ素である〕
で表される2,2−ジフルオロエチル−1−ハロエタン化合物を塩基の存在下で、一般式(II)
【化4】
〔式中、Aは、上記で定義されているとおりである〕
で表されるアミンと反応させることによる、前記方法。
【請求項2】
一般式(I)で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンと一般式(II)で表されるアミンのモル比が、1:1.5〜20:1の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基が、第3級窒素塩基、無機水性塩基及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩又は炭酸塩から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基が、置換されているピリジン類及び置換されていないピリジン類、置換されているキノリン類及び置換されていないキノリン類、並びに、一般式(IV)
【化5】
〔式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、C1−12−アルキル、C6−18−アリール、C7−19−アルキルアリール若しくはC7−19−アリールアルキルであるか、又は、当該ラジカルのうちの2つが一緒になって5員〜8員の窒素含有ヘテロ環であるか、又は、3つのラジカル全てが一緒になって1つの環あたり5個〜9個の環原子を有しているN−ヘテロ二環式ラジカル若しくはN−三環式ラジカルの一部分であり、ここで、前記環は、さらなるヘテロ原を含んでいてもよい〕
で表される第3級アミン類から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記さらなるヘテロ原子が、酸素又は硫黄である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記塩基が、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、キノリン、キナルジン、N,N,N,N−テトラメチルエチルジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ジアザシクロヘキサン、N,N−ジエチル−1,4−ジアザシクロヘキサン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、メチルイミダゾール、ブチルイミダゾール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムから選択される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応を、触媒の存在下、及び塩基の存在下で、実施する、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記触媒が、アルカリ金属の臭化物及びヨウ化物、臭化アンモニウム及びヨウ化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムの臭化物及びヨウ化物、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム又はハロゲン化テトラアリールホスホニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド及びテトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムブロミド、並びに、ビス(ジメチルアミノ)[(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)アミノ]メチリウムブロミドから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒が、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化テトラブチルアンモニウム及び臭化テトラフェニルホスホニウムから選択される、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,2−ジフルオロエチル−1−ハロエタンから出発して、特定の2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体は、農薬活性成分の調製における有用な中間体である(WO 2007/115644を参照されたい)。2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体の調製に関して、種々の方法が知られている。
【0003】
WO 2009/036900には、例えば、N−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−2,2−ジフルオロアセトアミドのアミドを水素化することによる2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体の調製方法が記載されている(スキーム1)。
【0004】
スキーム1
【0005】
【化1】
この調製方法の不利な点は、ホウ水素化ナトリウムのような錯体の水素化物を使用することである。なぜなら、水素化物は高価であり、また、水素化物を使用するには複雑な安全対策を必要とするからである。
【0006】
WO 009/036901には、水素によるN−(6−クロロピリジン−3−イル)メチレン−2,2−ジフルオロエタンアミンの還元について記載されている(スキーム2)。
【0007】
スキーム2
【0008】
【化2】
この調製方法の不利な点は、水素を使用することである。なぜなら、この場合も、水素を使用するには極めて複雑な安全対策を必要とするからである。
【0009】
刊行物WO 2007/115644は殺虫活性を有する4−アミノブタ−2−エノリド化合物の調製を扱っているが、そのWO 2007/115644には、窒素をアルキル化することによる一般式A−CH−NH−R〔式中、Aは、特定のヘテロ環を表し、及び、Rは、ハロアルキルを表す〕で表される化合物の調製について記載されている(スキーム3)。
【0010】
スキーム3
【0011】
【化3】
E=Hal(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、O−トシル、O−メシル。
【0012】
特に、WO 2007/115644には、N−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−2,2−ジフルオロエタン−1−アミン(化合物(3))の調製について記載されており、ここで、該N−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−2,2−ジフルオロエタン−1−アミン(化合物(3))は、トリエチルアミンの存在下において、2−クロロ−5−クロロメチルピリジン(化合物(2))と2,2−ジフルオロエタン−1−アミン(化合物(1))から出発して合成されている(スキーム4を参照されたい)。化合物(1)と化合物(2)とトリエチルアミンは、等モル量で使用されている。所望の生成物は、53%の収率で得られる。
【0013】
スキーム4
【0014】
【化4】
WO 2007/115644には、さらに、化合物N−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−3−フルオロプロパン−1−アミン及び化合物N−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−2−クロロ−2−フルオロエタン−1−アミンが同様に調製されたということも示されている。
【0015】
一般式A−CH−NH−R〔式中、Aは、特定のヘテロ環を表し、及び、Rは、ハロアルキルを表す〕で表される化合物を調製するためのWO 2007/116544に記載されている調製方法は、当該反応中に窒素がポリアルキル化され得るので、都合が悪い。これは、結果として収率損失をもたらす。この収率損失は、記載されている実施例の収率からも明らかである。当該収率は、53%しかない。これらのポリアルキル化は、大過剰量のアミンを使用することによってしか低減させることができない。従って、アミン類は多くの場合極めて高価であるという事実は別として、過剰に添加されて変換されなかったアミンは処理しなければならないか又は複雑な方法で回収しなければならないという理由により、上記調製方法も非経済的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO 2007/115644
【特許文献2】WO 2009/036900
【特許文献3】WO 2009/036901
【特許文献4】WO 2007/115644
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体は農薬活性成分を合成するための構成単位として重要であることから、工業規模で安価に使用することが可能な調製方法を見いだすことが必要である。さらに、特定の2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を高収率且つ高純度で得て、好ましくは目標化合物をおそらくは複雑であろうさらなる精製に付す必要をなくすることも、望ましい。しかしながら、上記調製方法は、この目的に適していない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
特定の2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製するための調製方法が見いだされた。ここで、該調製方法は、既知調製方法の上記不利な点を回避し、さらに、容易に且つ安価に実施することが可能であり、従って、工業規模で使用することが可能である。
【0019】
本発明は、かくして、一般式(III)
【0020】
【化5】
〔式中、Aは、ピリダ−2−イル(pyrid−2−yl)、ピリダ−4−イル(pyrid−4−yl)及びピリダ−3−イル(pyrid−3−yl)[ここで、これは、6位がフッ素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで置換されていてもよい]、並びに、ピリダジン−3−イル[ここで、これは、6位が塩素又はメチルで置換されていてもよい]、並びに、ピラジン−3−イル、2−クロロピラジン−5−イル及び1,3−チアゾール−5−イル[ここで、これは、2位が塩素又はメチルで置換されていてもよい]、並びに、ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、1,2,4−トリアゾリル及び1,2,5−チアジアゾリル[ここで、これらは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル(ここで、該アルキルは、フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい)、C−C−アルキルチオ(ここで、該アルキルチオは、フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい)又はC−C−アルキルスルホニル(ここで、該アルキルスルホニルは、フッ素及び/又は塩素で置換されていてもよい)で置換されていてもよい]、並びに、下記式
【0021】
【化6】
[式中、
Xは、ハロゲン、C−C12−アルキル又はC−C12−ハロアルキルであり;及び、
Yは、ハロゲン、C−C12−アルキル、C−C12−ハロアルキル、C−C12−ハロアルコキシ、アジド又はシアノである]
で表されるピリダ−3−イルからなる群から選択される置換されていてもよいヘテロ環である〕
で表される特定の2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を調製する方法に関し、ここで、該方法は、一般式(I)
【0022】
【化7】
〔式中、Halは、Cl、Br又はヨウ素である〕
で表される2,2−ジフルオロエチル−1−ハロエタン化合物を、場合により塩基の存在下で、一般式(II)
【0023】
【化8】
〔式中、Aは、上記で定義されているとおりである〕
で表されるアミンと反応させることによる。
【0024】
本発明による反応は、スキーム5に示されている。
【0025】
スキーム5
【0026】
【化9】
一般式(III)で表される所望の2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体は、本発明による調製方法によって、良好な収率で且つ高純度で得られる。当該所望の化合物は、反応生成物の大規模な後処理を通常必要としない純度で得られる。
【0027】
本発明による調製方法を使用して、WO 2007/115644に記載されている調製方法よりも良好な収率を達成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に関連して、「誘導体」は、名前が挙げられている有機基礎構造(構成単位)から誘導されて類似した構造を有している物質を意味する。即ち、2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体は、特に、2,2−ジフルオロエチルアミン構成単位を含んでいる化合物を意味するものと理解される。
【0029】
一般式(I)〔式中、Halは、塩素及び臭素である〕で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンを使用するのが好ましい。化合物CHF−CHCl(2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン)が特に好ましい。
【0030】
さらに、本発明による調製方法においては、式(II)〔式中、Aラジカルは、6−フルオロピリダ−3−イル、6−クロロピリダ−3−イル、6−ブロモピリダ−3−イル、6−メチルピリダ−3−イル、6−トリフルオロメチルピリダ−3−イル、6−トリフルオロメトキシピリダ−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、6−メチル−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、2−メチル−1,3−チアゾール−5−イル、2−クロロピリミジン−5−イル、2−トリフルオロメチルピリミジン−5−イル、5,6−ジフルオロピリダ−3−イル、5−クロロ−6−フルオロピリダ−3−イル、5−ブロモ−6−フルオロピリダ−3−イル、5−ヨード−6−フルオロピリダ−3−イル、5−フルオロ−6−クロロピリダ−3−イル、5,6−ジクロロピリダ−3−イル、5−ブロモ−6−クロロピリダ−3−イル、5−ヨード−6−クロロピリダ−3−イル、5−フルオロ−6−ブロモピリダ−3−イル、5−クロロ−6−ブロモピリダ−3−イル、5,6−ジブロモピリダ−3−イル、5−フルオロ−6−ヨードピリダ−3−イル、5−クロロ−6−ヨードピリダ−3−イル、5−ブロモ−6−ヨードピリダ−3−イル、5−メチル−6−フルオロピリダ−3−イル、5−メチル−6−クロロピリダ−3−イル、5−メチル−6−ブロモピリダ−3−イル、5−メチル−6−ヨードピリダ−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−フルオロピリダ−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−クロロピリダ−3−イル、5−ジフルオロメチル−6−ブロモピリダ−3−イル及び5−ジフルオロメチル−6−ヨードピリダ−3−イルからなる群から選択される〕で表される化合物を使用するのが好ましい。好ましいAラジカルは、6−フルオロピリダ−3−イル、6−クロロピリダ−3−イル、6−ブロモピリダ−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、2−クロロピリミジン−5−イル、5−フルオロ−6−クロロピリダ−3−イル、5,6−ジクロロピリダ−3−イル、5−ブロモ−6−クロロピリダ−3−イル、5−フルオロ−6−ブロモピリダ−3−イル、5−クロロ−6−ブロモピリダ−3−イル、5,6−ジブロモピリダ−3−イル、5−メチル−6−クロロピリダ−3−イル、5−クロロ−6−ヨードピリダ−3−イル及び5−ジフルオロメチル−6−クロロピリダ−3−イルである。特に好ましいAラジカルは、6−クロロピリダ−3−イル、6−ブロモピリダ−3−イル、6−クロロ−1,4−ピリダジン−3−イル、2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル、5−フルオロ−6−クロロピリダ−3−イル及び5−フルオロ−6−ブロモピリダ−3−イルである。
【0031】
本発明による調製方法は、好ましくは、塩基の存在下で実施する。使用される一般式(II)のアミンは、塩基としても作用し得る。従って、その場合は、一般式(II)で表されるアミンの比率を増大させなければならない。
【0032】
本発明に従って適切な塩基は、例えば、第3級窒素塩基、例えば、第3級アミン類、置換されているか又は置換されていないピリジン類、置換されているか又は置換されていないキノリン類、置換されているか又は置換されていないイミダゾール類、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩又は炭酸塩、及び、別の無機水性塩基などである。
【0033】
置換されているピリジン類及び置換されていないピリジン類、置換されているキノリン類及び置換されていないキノリン類、並びに、一般式(IV)
【0034】
【化10】
〔式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、C1−12−アルキル、C6−18−アリール、C7−19−アルキルアリール若しくはC7−19−アリールアルキルであるか、又は、当該ラジカルのうちの2つが一緒になって5員〜8員の窒素含有ヘテロ環であるか、又は、3つのラジカル全てが一緒になって1つの環あたり5個〜9個の環原子を有しているN−ヘテロ二環式ラジカル若しくはN−三環式ラジカルの一部分であり、ここで、前記環は、さらなるヘテロ原子(例えば、酸素又は硫黄)を含んでいてもよい〕
で表される第3級アミン類を使用するのが好ましい。
【0035】
一般式(IV)で表される本発明による塩基の例は、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、キノリン、キナルジン、N,N,N,N−テトラメチルエチル−ジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ジアザシクロヘキサン、N,N−ジエチル−1,4−ジアザシクロヘキサン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノナン(DBN)、ジアザビシクロウンデカン(DBU)、アルキルイミダゾール(例えば、メチルイミダゾール及びブチルイミダゾール)である。
【0036】
本発明によるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩又は炭酸塩及び別の無機水性塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムである。上記無機塩基は、場合により、約10〜40重量%の範囲内にある濃度の水溶液として使用することができる。
【0037】
特に好ましい塩基は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,6−ルチジン、メチルイミダゾール、ブチルイミダゾール、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
【0038】
使用する上記塩基と式(I)で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンのモル比は、例えば、約10〜0.5の範囲内にあり得る。約8〜1の範囲が好ましく、さらに好ましくは、約6〜1.1の範囲内にある。さらに多い量の塩基を使用することは原理上は可能であるが、非経済的である。
【0039】
本発明による調製方法は、触媒の存在下で実施することも可能である。適切な触媒は、式(II)で表されるアミンとの反応を促進する触媒である。適切な触媒の混合物も考えられる。本発明に従う適切な例は、以下のものである:アルカリ金属の臭化物及びヨウ化物(例えば、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム);臭化アンモニウム及びヨウ化アンモニウム;テトラアルキルアンモニウムの臭化物及びヨウ化物(例えば、ヨウ化テトラエチルアンモニウム);特定のハロゲン化ホスホニウム、例えば、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム又はハロゲン化テトラアリールホスホニウム(例えば、臭化ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、臭化ステアリルトリブチルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラオクチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム及び臭化テトラフェニルホスホニウム)、テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド及びテトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムブロミド;並びに、ビス(ジメチルアミノ)[(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)アミノ]メチリウムブロミド。
【0040】
本発明による調製方法において、使用する触媒は、好ましくは、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化テトラブチルアンモニウム又は臭化テトラフェニルホスホニウムであり、さらに好ましくは、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウム及び臭化カリウムである。
【0041】
化合物(I)として2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを使用する場合、本発明による調製方法を触媒の存在下で実施するのが特に有利である。それは、当該反応がより急速に進行するからである。
【0042】
本発明による調製方法においては、該触媒は、使用される式(I)の2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンに基づいて、約0.01重量%〜約25重量%の濃度で使用する。原理的には、さらに高い濃度も可能である。該触媒は、好ましくは、約0.2重量%〜約25重量%の濃度で、さらに好ましくは、約0.4重量%〜約20重量%の濃度で、最も好ましくは、約0.5重量%〜約15重量%の濃度で使用する。しかしながら、該触媒は、、好ましくは、約0.05重量%〜約3重量%の濃度で、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で、又は、約0.5重量%〜約10重量%の濃度で使用することも可能である。
【0043】
特に別途示されていない限り、用語「アルキル」は、本発明に関連して、単独でも、又は、さらなる用語と組み合わされても(例えば、ハロアルキル)、分枝鎖又は非分枝鎖であり得る1〜12個の炭素原子を有する飽和脂肪族ヒドロカルビル基のラジカルを意味するものと理解される。C−C12−アルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル及びn−ドデシルである。これらのアルキルラジカルのうちで、C−C−アルキルラジカルが特に好ましい。C−C−アルキルラジカルがとりわけ好ましい。
【0044】
特に別途示されていない限り、用語「アリール」は、本発明に従って、6〜14個の炭素原子を有する芳香族ラジカル(好ましくは、フェニル)を意味するものと理解される。
【0045】
特に別途示されていない限り、用語「アリールアルキル」は、本発明に従って定義されている「アリール」ラジカルと「アルキル」ラジカルの組合せを意味するものと理解され、ここで、該ラジカルは、一般に、該アルキル基を介して結合している;その例は、ベンジル、フェニルエチル又はα−メチルベンジルであり、ベンジルが特に好ましい。
【0046】
本発明に関連して、「ハロゲンで置換されているラジカル」(例えば、ハロアルキル)は、1回ハロゲン化されているか又は2回以上で置換基の可能な最大数までハロゲン化されているラジカルを意味するものと理解される。ポリハロゲン化の場合、そのハロゲン原子は同一であっても又は異なっていてもよい。この場合、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0047】
用語「アルコキシ」は、本発明に関連して、単独でも、又は、さらなる用語と組み合わされても(例えば、ハロアルコキシ)、O−アルキルラジカルを意味するものと理解され、ここで、用語「アルキル」は上記で定義されているとおりである。
【0048】
置換されていてもよいラジカル(optionally substituted radical)は、1置換されていてもよいか又は多置換されていてもよく、多置換の場合、該置換基は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0049】
本発明による調製方法において、使用する一般式(I)で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンと一般式(II)で表されるアミンのモル比は、約1:1.5〜約20:1の範囲内にある。好ましくは、約1:1〜約10:1の範囲内にあり、さらに好ましくは、約1:1〜約3:1の範囲内にある。
【0050】
本発明による調製方法は、溶媒を使用せずに、又は、溶媒を使用して、実施することができる。溶媒を使用する場合、溶媒は、当該反応混合物がその調製方法全体を通して良好に撹拌可能な状態にあるような量で使用する。有利には、使用する式(I)で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンに基づいて、1〜50倍の量の溶媒、好ましくは、2〜40倍の量の溶媒、さらに好ましくは、2〜20倍の量の溶媒を使用する。
【0051】
本発明による調製方法を実施するのに有用な溶媒には、当該反応条件下において不活性である全ての有機溶媒が包含される。不活性な溶媒は、いずれの場合にも所与の条件下において、可能な反応相手と、たとえ反応するとしても、無視できるほど僅かにしか反応しない溶媒である。溶媒は、本発明に従えば、純粋な溶媒の混合物も意味するものと理解される。
【0052】
本発明に従って適切な溶媒は、特に、以下のものである:アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール(即ち、n−ブタノール、tert−ブタノール、2−ブタノール)、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコール);エーテル類(例えば、エチルプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、並びに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのポリエーテル);テトラヒドロチオフェンジオキシドのような化合物、及び、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ベンジルメチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジイソアミルスルホキシド;スルホン類、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジヘキシルスルホン、メチルエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン及びペンタメチレンスルホン;脂肪族、シクロ脂肪族又は芳香族の炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、例えば、沸点が例えば40℃〜250℃の範囲内にある成分を含んでいる「ホワイトスピリット」、シメン、70℃〜190℃の沸点範囲内にある石油流分、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、キシレン);エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、炭酸ジメチル、炭酸ジブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン);アミド類(例えば、ヘキサメチルホスホルアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジプロピルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジン、オクチルピロリドン、オクチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジオン、N−ホルミルピペリジン、N,N’−1,4−ジホルミルピペラジン)、又は、それらの混合物。
【0053】
本発明による調製方法においては、使用する溶媒は、好ましくは、アルコール類(特に、n−ブタノール)、アミド類(特に、N−メチルピロリドン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジオン)、エーテル類(特に、トリエチレングリコールジメチルエーテル)及びジメチルスルホキシド若しくはテトラメチレンスルホキシド、又は、それらの混合物である。
【0054】
本発明による反応は、広い温度範囲内で(例えば、50℃〜200℃の範囲内で)実施することが可能である。当該反応は、70℃〜160℃の温度範囲内で実施するのが好ましい。
【0055】
該反応は、原則として、密閉された圧力安定性(pressure−stable)実験容器(オートクレーブ)の中で自己圧力(autogenous pressure)下で実施する。反応中の圧力(即ち、自己圧力)は、使用する反応温度、使用する溶媒及び使用する2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンに依存する。圧力の上昇が望ましい場合、付加的な圧力の上昇は、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスを添加又は供給することによって実施することが可能である。
【0056】
当該反応の反応時間は、短時間であり、約0.5〜約16時間の範囲内である。もっと長い反応時間も可能であるが、経済的に意味がない。
【0057】
当該反応混合物の後処理及び精製は、例えば、式(III)で表される2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を蒸留することによって、又は、対応する塩を介して、実施することができる。通常は、当該反応混合物を水の上に注ぎ、そして、その溶液のpHを12に調節する。溶媒を用いた抽出によって式(III)で表される2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体を抽出することが可能であり、次いで、標準圧力下又は減圧下に、好ましくは蒸留によって、単離することが可能である。
【0058】
一般式(III)で表される2,2−ジフルオロエチルアミン誘導体の塩、例えば、有機酸又は無機酸の塩(例えば、塩酸塩又は酢酸塩)は、好ましくは、結晶化によって精製する。水溶性塩は、当該水溶液を抽出することによって精製することができる。次いで、最後に、有機塩基又は無機塩基と反応させることによって、当該アミンをその塩から遊離させることができる。好ましい塩基は、NaHCO、NaCO又はNaOHである。
【0059】
下記実施例によって、本発明について詳細に例証するが、本発明はそれら実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0060】
実施例1
【0061】
【化11】
26.3g(0.135mol)の2,2−ジフルオロ−1−ヨードエタン、10g(0.067mol)の1−(6−クロロピリジン−3−イル)メタンアミン及び8.2gのトリエチルアミンを、最初に、31gのN−メチルピロリドンに装入する。その混合物を50分間100℃に加熱し、次いで、再度80℃まで冷却する。減圧下に80℃でN−メチルピロリドンを留去し、その反応混合物を50mLの水の上に注ぐ。3mLの45%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを12に調節し、次いで、その混合物を30mLのトルエンで2回抽出する。その生成物を、次いで、減圧下で精密に蒸留する。これにより、11.1gのN−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる(これは、収率79.5%に相当する)。
NMR(d−DMSO): 1H(s,8,35ppm);1H(dd,7,82ppm);1H(d,7,46ppm);1H(tt,6,02ppm);2H(s,3,8ppm);2H(td,2,9ppm)。
【0062】
実施例2
【0063】
【化12】
19.9g(0.135mol)の2,2−ジフルオロ−1−ブロモエタン、10g(0.067mol)の1−(6−クロロピリジン−3−イル)メタンアミン及び8.2gのトリエチルアミンを、最初に、31gのN−メチルピロリドンに装入する。その混合物を2時間100℃に加熱し、次いで、再度80℃まで冷却する。減圧下に80℃でN−メチルピロリドンを留去し、その反応混合物を50mLの水の上に注ぐ。2mLの45%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを12に調節し、次いで、その混合物を30mLのトルエンで2回抽出する。その生成物を、次いで、減圧下で精密に蒸留する。これにより、11.5gのN−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる(これは、収率83.1%に相当する)。
NMR(d−DMSO): 1H(s,8,35ppm);1H(dd,7,82ppm);1H(d,7,46ppm);1H(tt,6,02ppm);2H(s,3,8ppm);2H(td,2,9ppm)。
【0064】
実施例3
【0065】
【化13】
13.7g(0.135mol)の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン、10g(0.067mol)の1−(6−クロロピリジン−3−イル)メタンアミン及び8.2gのトリエチルアミンを、最初に、31gのN−メチルピロリドンに装入する。さらに、4g(0.033mol)の臭化カリウムを添加する。その混合物をオートクレーブ内で自己圧力下で16時間120℃に加熱し、次いで、再度80℃まで冷却する。減圧下に80℃でN−メチルピロリドンを留去し、その反応混合物を20mLの32%塩酸の上に注ぐ。その混合物を減圧下で濃縮乾燥させ、次いで、10mLの45%NaOHを用いてpH12に調節する。その混合物を30mLのトルエンで3回抽出し、その有機相を減圧下で蒸留する。これにより、9.8gのN−[(6−クロロピリジン−3−イル)メチル]−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる(これは、収率71%に相当する)。
NMR(d−DMSO): 1H(s,8,35ppm);1H(dd,7,82ppm);1H(d,7,46ppm);1H(tt,6,02ppm);2H(s,3,8ppm);2H(td,2,9ppm)。