(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマー中の式(1)で表される繰り返し単位のモル数と、前記イオン性液体のモル数とのモル比(イオン性液体とのモル数/式(1)で表される繰り返し単位のモル数)が2〜10である、請求項1または2に記載の非水電解液電池用の電解質。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の電解質の好適実施態様について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明の特徴点の一つとしては、クルクミンまたはその誘導体を原料として使用して得られるバイオベースポリマーを用いる点が挙げられる。このバイオベースポリマー中のクルクミンまたはその誘導体由来の繰り返し単位中のジケトン基には、ホウ素原子が導入されている。
従来、高分子電解質として使用されていたポリエチレンオキシドは、リチウムイオンに対して強い配位性を示すため、リチウム塩の解離を促進する。しかしながら、エーテル酸素のリチウムイオンに対する配位性が、対アニオンに対する配位性よりも強いため、リチウムイオンがエーテル酸素によって移動を拘束される。このため、リチウムイオン輸率が低い。
それに対して、上記バイオベースポリマーは、クルクミンおよびその誘導体由来のジケトン基にホウ素原子を結合させて得られるホウ素系塩構造をポリマー鎖中に有することにより、高いリチウムイオン輸率を達成できる。また、ホウ素原子の導入により、ポリマーの耐熱性、さらには難燃性も向上し、電池の破壊や爆発などの危険性を低下させることが可能となる。さらに、このポリマーは、クルクミンまたはその誘導体という植物由来の化合物を原料としており、環境負荷低減にも寄与し得る。
【0015】
本発明の電解質は、後述する式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーと、イオン性液体とを含有する。
以下では、まず、各化合物(ポリマー、イオン性液体)について詳述する。
【0016】
(式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー)
ポリマーは、以下の式(1)で表される繰り返し単位(ユニット)を有する。この繰り返し単位は、クルクミンまたはその誘導体を原料として得られ、ホウ素系塩構造を有する繰り返し単位である。ポリマー中にこの繰り返し単位が含まれることにより、電解質の優れた耐熱性およびイオン伝導特性が達成される。
【0018】
式(1)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水酸基、または、ヘテロ原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基を表す。なお、R
1とR
2とは、結合して環を形成してもよい。
【0019】
該炭化水素基中の炭素数は特に制限されないが、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる点より、炭素数2〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましい。
【0020】
該炭化水素基にはヘテロ原子が含まれていてもよく、ヘテロ原子の種類は特に制限されないが、例えば、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。より具体的には、−Y−(Y:酸素原子、硫黄原子、セレン原子)、−N=、−C(=Y)−、−CONH−、−SO
n−(n:1〜3の整数)などの態様で含まれることが好ましい。
【0021】
ヘテロ原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基の種類は特に限定されず、例えば、ヘテロ原子を含んでいてもよい1価の脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい1価の芳香族炭化水素基、またはその組み合わせが挙げられる。
該脂肪族炭化水素基としてはその種類は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
該脂肪族炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよく、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、および硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1個の原子を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
該芳香族炭化水素基としてはその種類は特に限定されず、例えば、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。より具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられる。
該芳香族炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよく、いわゆる芳香族複素環基であってもよい。芳香族複素環基としてはその種類は特に限定されず、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、および硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1個の原子を含む単環または縮合多環芳香族複素環基が挙げられる。より具体的には、フラニル基、チエニル基、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基などが挙げられる。
【0022】
なかでも、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる点より、R
1およびR
2が、ヘテロ原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基であることが好ましく、1価の芳香族炭化水素基(特に、フェニル基)または1価の芳香族複素環基であることがより好ましい。
【0023】
式(1)中、R
3またはR
4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルコキシ基を表す。
アルコキシ基中のアルキル部分の炭素数は特に制限されないが、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる点より、炭素数1〜6が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルが挙げられる。
なかでも、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる点より、R
3およびR
4がアルコキシ基であることが好ましい。
【0024】
式(1)中、L
1およびL
2は、それぞれ独立に、−C=C−または−CH
2CH
2−を表す。
なかでも、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる点より、L
1およびL
2が、−C=C−であることが好ましい。
【0025】
ポリマー中に含まれる式(1)で表される繰り返し単位の含有量は特に限定されないが、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる点より、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、20〜100モル%が好ましく、30〜50モル%がより好ましい。
【0026】
ポリマーの数平均分子量は特に限定されないが、溶媒への溶解性の点から、1000〜100000が好ましく、10000〜30000がより好ましい。
【0027】
なお、ポリマー中には式(1)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位が含まれていてもよい。例えば、後述するジカルボン酸由来またはジイソシアネート化合物由来の繰り返し単位や、−CO−基などが挙げられる。
また、ポリマー中には、ジオール化合物由来の繰り返し単位が含まれていてもよい。
【0028】
(ポリマーの好適態様)
上記ポリマーの好適態様として、以下の式(2)または式(3)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。ポリマー中に式(2)または式(3)で表される繰り返し単位が含まれることにより、ポリマーの可撓性が向上して製造適性が向上すると共に、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる。
【0030】
式(2)および式(3)中、R
1〜R
4、L
1およびL
2の定義は、上述の通りである。
式(2)中、L
3およびL
4は、それぞれ独立に、−CO−、または−CONH−を表す。L
3またはL
4が−CO−の場合、酸素原子と共にエステル結合を形成し、L
3またはL
4が−CONH−の場合、酸素原子と共にウレタン結合を形成する。なかでも、電解質の耐熱性およびイオン伝導特性がより優れる点で、L
3およびL
4が−CO−であることが好ましい。
【0031】
式(2)中、Xは、ヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基中の炭素数は特に制限されないが、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる点より、炭素数2〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましい。
【0032】
該炭化水素基にはヘテロ原子が含まれていてもよく、ヘテロ原子の種類は特に制限されないが、例えば、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。より具体的には、−Y−(Y:酸素原子、硫黄原子、セレン原子)、−N=、−C(=Y)−、−CONH−、−SO
n−(n:1〜3の整数)などの態様で含まれることが好ましい。
【0033】
なかでも、ポリマーの合成が容易であり、電解質の耐熱性またはイオン伝導特性がより優れる点より、Xとしては、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基)、2価の芳香族炭化水素基(好ましくは、アリーレン基)、またはこれらの組み合わせが好ましい。
【0034】
さらに、式(2)で表される繰り返し単位を有するポリマーの好適態様として、式(4)〜(7)のいずれかで表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げられる。該ポリマーであれば、合成が容易であり、電解質の特性もより優れる。
なお、式(4)および(5)中、nは1〜12の整数を示す。
また、式(6)および(7)中、Zは炭素数1〜12のアルキレン基または炭素数6〜12のアリーレン基を示す。
【0037】
(ポリマーの合成方法)
上記ポリマーの合成方法は出発原料としてクルクミンまたはその誘導体を使用する限り特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
クルクミンは、ショウガ科の植物ウコン(Curcuma longa)に含まれる成分であり、βジケトン構造を有するとともに、ジオールとして用いることもできる化合物である。クルクミン誘導体としては、例えば、テトラヒドロクルクミン、テトラヒドロジメトキシクルクミン、ビスジメトキシクルクミン、テトラヒドロビスジメトキシクルクミンなどが挙げられる。
なお、クルクミンまたはその誘導体は、以下の式(8)で表される。
【0039】
上記ポリマーの合成方法の一例としては、まず、クルクミンまたはその誘導体と、ホウ素化合物とを反応させ、ホウ素系塩構造が導入されたクルクミンまたはその誘導体(以後、適宜クルクミンモノマーと称する)を合成する。
使用されるホウ素化合物の種類は適宜選択され、例えば、トリフェニルボラン、トリメシチルボラン、ボロン酸、フェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、p-メチルフェニルボロン酸、p−トリフルオロメチルフェニルボロン酸などが挙げられる。
なお、クルクミンまたはその誘導体とホウ素化合物との反応方法は、公知の方法を採用することができる。
【0040】
次に、得られたクルクミンモノマーとジカルボン酸化合物またはその酸クロライドとを出発原料として、重縮合反応によってポリエステルを合成することができる。重縮合反応の手順・条件としては、公知の手順・条件を採用することができる。
なお、ジカルボン酸化合物またはその酸クロライドとしては、例えば、炭素数1〜12の脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸)またはそのハロゲン化物(セバシン酸ジクロリドなどの塩化物、フッ化物および臭化物)が挙げられる。
【0041】
また、他の合成方法としては、クルクミンモノマーとジイソシアネート化合物とを出発原料として、重付加反応によってポリウレタンを合成する方法が挙げられる。重付加反応の手順・条件としては、公知の手順・条件を採用することができる。
なお、ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシアネートのいずれも使用することができる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、4、4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0042】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−プロピレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0043】
なお、必要に応じて、クルクミンまたはその誘導体以外のジオール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール 、シクロヘキサンジメタノールなど)も上記反応に併用して、クルクミンまたはその誘導体由来の繰り返し単位以外の他の繰り返し単位をポリマー中に含有させてもよい。
【0044】
また、上記では一旦クルクミンモノマーを合成して、重縮合反応または重付加反応を実施していたが、先にクルクミンまたはその誘導体と他の化合物(例えば、ジカルボン酸化合物)とを用いて共重合体を合成し、その後該共重合体とホウ素化合物とを反応させて、上記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーを合成してもよい。
【0045】
(イオン性液体)
イオン性液体とは、イオンのみ(アニオン、カチオン)から構成される塩であり、通常、常温で液体状であるという性質を持つ。
例えば、大野弘幸編「イオン性液体−開発の最前線と未来−」CMC出版(2003)、「イオン性液体の機能創製と応用」エヌ・ティー・エス(2004)等に記載されている第4級アンモニウム塩類、イミダゾリウム塩類、ピリジニウム塩類、ピロリジニウム塩類、ピペリジニウム塩類等を使用することができる。
【0046】
上記イオン性液体のカチオンとしては、例えば、ピリジニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、アンモニウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、ピペリジニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオンなどが挙げられ、より具体的には、下記式(A)または(B)で表されるカチオンが好適に例示される。
【0048】
式(A)中、R
11は、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。R
12およびR
13は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。ただし、窒素原子が二重結合を含む場合、R
13は存在しない。
式(B)中、Qは、窒素原子、酸素原子、リン原子または硫黄原子を表し、R
14、R
15、R
16およびR
17は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。ただし、Qが酸素原子または硫黄原子の場合、R
17は存在せず、Qが硫黄原子の場合、R
14およびR
15は連結していてもよい。
【0049】
ここで、上記式(A)中のR
11の炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、上記式(A)中の窒素原子(アンモニウムイオン)とともに環構造を採るものであるのが好ましい。
【0050】
また、上記式(A)中のR
12およびR
13の炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、具体的には、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ウンデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフルオロエチル基等)、炭素数2〜15のアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基等)、炭素数7〜20のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基等)、炭素数2〜20のアルキルアルコキシ基(例えば、メチレンメトキシ基(−CH
2OCH
3)、エチレンメトキシ基(−CH
2CH
2OCH
3)、n−プロピレン−イソ−プロポキシ基(−CH
2CH
2CH
2OCH(CH
3)
2)、メチレン−t−ブトキシ基(−CH
2−O−C(CH
3)
3、ブチレンメトキシ基、ペンチレンメトキシ基、へキシレンメトキシ基、ヘプチレンメトキシ基、オクチレンメトキシ基、メチレンエトキシ基、エチレンエトキシ基、プロピレンエトキシ基、ブチレンエトキシ基、ペンチレンエトキシ基、へキシレンエトキシ基、エチレンエトキシメトキシ基等)等が挙げられる。
【0051】
また、上記式(B)中、R
14、R
15、R
16およびR
17の炭素数1〜8のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、具体的には、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基等)、炭素数2〜8のアルキルアルコキシ基(例えば、メチレンメトキシ基(−CH
2OCH
3)、エチレンメトキシ基(−CH
2CH
2OCH
3)、n−プロピレン−イソ−プロポキシ基(−CH
2CH
2CH
2OCH(CH
3)
2)、メチレン−t−ブトキシ基(−CH
2−O−C(CH
3)
3等)等が挙げられる。
【0052】
上記式(A)で表されるカチオンとしては、例えば、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオン等が挙げられる。
具体的には、下記式(C)〜(F)のいずれかで表されるカチオンが好適に例示される。
【0054】
式(C)〜(F)中、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜20の窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。
上記式(B)で表されるカチオンとしては、例えば、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン等の有機カチオンが挙げられる。
具体的には、以下に示すカチオンが好適に例示される。
【0056】
一方、上記イオン性液体が有するアニオンとしては、具体的には、I
-、Br
-、AlCl
4-、Al
2Cl
7-、NO
3-、BF
4-、PF
6-、CH
3COO
-、CF
3COO
-、CF
3SO
3-、(CN)
4B
-、SCN
-、(CF
3SO
2)
2N
-、(FSO
2)
2N
-、(CN)
2N
-、(CF
3SO
2)
3C
-、(CN)
3C
-、AsF
6-、SbF
6-、F(HF)
n-、CF
3CF
2CF
2CF
2SO
3-、(CF
3CF
2SO
2)
2N
-、CF
3CF
2CF
2COO
-などが好適に例示され、なかでも、得られる電解質のイオン伝導性がより優れる点で、PF
6-、(FSO
2)
2N
-、(CF
3SO
2)
2N
-、またはCF
3COO
-が好ましい。
【0057】
電解質中におけるイオン性液体の含有量は特に制限さないが、得られる電解質のイオン伝導特性がより優れる点で、上記ポリマー中の式(1)で表される繰り返し単位のモル数Aと、イオン性液体のモル数Bとの比(B/A)が、1〜20であることが好ましく、2〜10であることが好ましい。
【0058】
(任意成分)
本発明の電解質には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ポリマーおよびイオン性液体以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、電解質には、溶媒、特に非水性有機溶媒が含まれていてもよい。溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンの移動を助ける役割を果たす。
非水性有機溶媒としては、例えば、カーボネート系溶媒、エステル系溶媒、またはエーテル系溶媒が挙げられる。カーボネート系溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などが挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテートなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0059】
また、電解質には、電解質塩が含まれていてもよい。電解質塩は、電池内でイオンの供給源として作用し、電解質のイオン導電性が向上する。
電解質塩としては、例えば、軽金属塩が挙げられる。軽金属塩にはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩が挙げられ、目的に応じて1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
例えば、リチウム塩の具体例としては、LiAsF
6、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4、LiB(C
6H
5)
4、LiCH
3SO
3、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(C
4F
9SO
2)(CF
3SO
2)、LiC(CF
3SO
2)
3、LiAlCl
4、LiSiF
6、LiCl、LiBrなどが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、電気特性の観点からは、LiN(CF
3SO
2)
2(以下、「LiTFSA」と称する)を用いることが好ましい。
【0060】
電解質中におけるリチウム塩の含有量は特に制限さないが、電解質のイオン伝導度がより優れる点で、上記イオン性液体のモル量Bと電解質塩のモル量Cとの比(C/B)は、0.1〜10が好ましく、0.1〜1.5がより好ましい。
【0061】
(電解質)
本発明の電解質(イオンゲル)は、電気化学デバイスの電解質(特に、電池用電解質)として好適に使用できる。電気化学デバイスとしては、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオン電池、燃料電池、太陽電池、電気二重層キャパシタなどが挙げられる。なかでも、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオンキャパシタ等の非水電解液電池の電解質として好適に使用でき、特にリチウム二次電池に好適に使用できる。
以下に、リチウム二次電池の態様について詳述する。
【0062】
(リチウム二次電池)
本発明の電解質は、リチウム二次電池用の電解質として好適に使用できる。二次電池の構成は従来公知の構成を採ることができ、例えば、負極活物質を含む負極と、正極活物質を含む正極と、その間に上述した電解質が配置される。
【0063】
負極活物質としては従来公知の材料を使用でき、例えば、金属リチウム、リチウム含有合金、または、リチウムイオンのドープおよび脱ドープが可能な材料等を用いることができる。そのようなリチウムイオンをドープおよび脱ドープすることが可能な材料としては、炭素材料、酸化スズ、シリコン、酸化チタン、あるいは遷移金属窒素化物等の中から適宜選択することができる。これらの中でもリチウムイオンをドープおよび脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましく、それはグラファイトであっても非晶質炭素であってもよい。具体的には、活性炭、炭素繊維、カーボンブラック、メソカーボンマイクロビーズ、天然黒鉛を例示することができる。
【0064】
正極活物質としては従来公知の材料を使用でき、例えば、MoS
2、TiS
2、MnO
2、V
2O
5などの遷移金属酸化物または遷移金属硫化物、LiCoO
2、LiMnO
2、LiMn
2O
4、LiNiO
2、LiNi
XCo
(1-X)O
2などのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール/ポリアニリン複合体などの導電性高分子化合物、ジスルフィド化合物等が挙げられる。これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。
【0065】
なお、必要に応じて、正極と負極の接触を防ぐためのセパレータを使用してもよい。セパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、紙、ガラス繊維、等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。
【0066】
電池の形状としては、フィルム型、コイン型、円筒型、または角型など任意の形状をとることができる。
本発明の電解質を用いたリチウム二次電池の用途は、特に限定されないが、例えば、ノートパソコン、ラップトップパソコン、ポケットワープロ、携帯電話、コードレス子機、ポータブルCDプレーヤー、ラジオ、液晶テレビ、バックアップ電源、電気シェーバー、メモリーカード、ビデオムービー等の電子機器、自動車、電動車両、ゲーム機器等の民生用電子機器が挙げられる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
(合成例1:クルクミンとトリフェニルボランとの反応によるCur−BPh
2の合成)
50mLのナスフラスコにクルクミン(0.986g,2.68mmol)とトリフェニルボラン(0.70g,2.89mmol)を入れ、窒素置換したのちTHF(50mL)を加えた。還流条件下で磁気攪拌のもと24時間反応させ、反応溶液をヘキサンに滴下して、精製を行い、Cur−BPh
2(1.32g,2.47mmol)を得た(収率:92%)。得られたCur−BPh
2の
1H NMR測定、
13C NMR測定、
11B NMR測定、吸収スペクトル測定を行い、その構造を同定した。
1H NMR(CDCl
3,400MHz):δ(ppm) 3.84(6H,s,CH
3O−),6.24(1H,s,−CO−CH=CO−),6.85−7.33(6H,m,Ar),6.91−6.95(2H,d,J=15.6Hz,Ar−CH=CH−),7.08−7.47(10H,m,Ph
2−B−),7.94−7.98(2H,d,J=15.6Hz,Ar−CH=CH−)
13C NMR(DMSO,100MHz):δ(ppm) 55.8(CH
3O−),102.8(−CO−CH=CO−),112.4−150.7(Ar−CH=CH−,−B−Ph),179.5(−CO−CH=CO−)
11B NMR(CDCl
3,BF
3・Et
2O,135MHz):δ(ppm) 6.8
λ
max(CHCl
3):464nm,493nm
【0069】
【化9】
【0070】
(合成例2:Cur−BPh
2とセバシン酸クロリドとの重縮合によるCur−BPh
2−SBA−polyesterの合成)
50mLの二口フラスコにCur−BPh
2(0.299g,0.561mmol)を入れ、窒素置換したのちクロロホルム(5.0mL)、トリエチルアミン(0.160mL,1.15mmol)を加えた。滴下ロートにクロロホルム(3.0mL)とセバシン酸クロリド(0.120mL,0.561mmol)を加え、氷浴中で磁気攪拌のもと10分間冷却し、滴下を開始した。滴下を1時間かけて行い、滴下終了後さらに3時間攪拌をつづけた。得られた溶液にクロロホルムを加え、脱イオン水で3回洗浄したのちヘキサンで再沈殿を行い、Cur−BPh
2−SBA−polyester(0.357g,0.511unit mmol)を得た(収率は91%)。得られたCur−BPh
2−SBA−polyesterの
1H NMR測定、
13C NMR測定、
11B NMR測定、吸収スペクトル測定、IR測定を行い、その構造を同定した。
1H NMR(CDCl
3,400MHz):δ(ppm) 1.45−1.47(8H,−OCOCH
2CH
2CH
2CH
2−),1.79−1.83(4H,−OCOCH
2CH
2−),2.61−2.64(4H,−OCOCH
2−),3.87(6H,CH
3O−),5.72(1H,−CO−CH=CO−),6.54−6.58(2H,Ar−CH=CH−),7.05−7.61(10H,Ph
2−B−),7.25−7.34(6H,Ar),7.87−7.91(2H,Ar−CH=CH−)
13C NMR(DMSO,100MHz):δ(ppm) 25.1(−OCOCH
2CH
2−),29.0(−OCOCH
2CH
2CH
2CH
2−),29.2(−OCOCH
2CH
2CH
2−),34.2(−OCOCH
2−),56.1(CH
3O−),103.7(−CO−CH=COH−),112.3−151.7(Ar−CH=CH−,−B−Ph),171.6(−OCOCH
2−),180.3(−CO−CH=CO−)
11B NMR(CDCl
3,BF
3・Et
2O,135MHz):δ(ppm) 5.4
IR:1762cm
-1(ester)
λ
max(CHCl
3):445nm
【0071】
【化10】
【0072】
(合成例3;Cur−BPh
2とスベリン酸クロリドとの重縮合によるCur−BPh
2−SUA−polyesterの合成)
50mLの二口フラスコにCur−BPh
2(0.283g,0.532mmol)を入れ、窒素置換したのちクロロホルム(4.5mL)、トリエチルアミン(0.150mL,1.08mmol)を加えた。滴下ロートにクロロホルム(3.0mL)とスベリン酸クロリド(0.100mL,0.531mmol)を加え、氷浴中で磁気攪拌のもと10分間冷却し、滴下を開始した。滴下を1時間50分かけて行い、滴下終了後さらに2時間10分攪拌をつづけた。得られた溶液にクロロホルムを加え、脱イオン水で3回洗浄した後、ヘキサンで再沈殿を行い、Cur−BPh
2−SUA−polyester(0.323g,0.481 unit mmol)を得た(収率:91%)。得られたCur−BPh
2−SUA−polyesterの
1H NMR測定、
13C NMR測定、
11B NMR測定、IR測定を行い、その構造を同定した。
1H NMR(CDCl
3,400MHz):δ(ppm) 1.54(4H,−OCOCH
2CH
2CH
2−),1.84(4H,−OCOCH
2CH
2−),2.63−2.66(4H,−OCOCH
2−),3.88(6H,CH
3O−),5.82(1H,−CO−CH=CO−),6.58−6.62(2H,Ar−CH=CH−),7.07−7.61(10H,Ph
2−B−),7.25−7.34(6H,Ar),7.93−7.97(2H,Ar−CH=CH−)
13C NMR(DMSO,100MHz):δ(ppm) 24.9(−OCOCH
2CH
2−),28.7(−OCOCH
2CH
2CH
2−),34.0(−OCOCH
2−),56.0(CH
3O−),103.8(−CO−CH=COH−),112.4−151.7(Ar−CH=CH−,−B−Ph),171.4(−OCOCH
2−),180.3(−CO−CH=CO−)
11B NMR(CDCl
3,BF
3・Et
2O,135MHz):δ(ppm) 3.0
IR:1760cm
-1(ester)
【0073】
【化11】
【0074】
(電解質の作製(その1))
上記で合成したBPh
2−Cur−SBA−Polyesterと、[AMIm][TFSA]と、LiTFSAとを後述する表1に記載の組成比に従って100mlフラスコに入れ、テトラヒドロフラン(40ml)を加え、スターラーで磁気攪拌を行った。その後、テトラヒドロフラン(THF)を減圧留去し、加熱真空乾燥を十分に行い、電解質を得た。
なお、[AMIm][TFSA]は、以下の化合物を意味する。
【0075】
【化12】
【0076】
なお、以下の表1中の「BPh
2−Cur−SUA−Polyester」欄の数値は電解質中におけるポリマー中の式(1)で表される繰り返し単位のモル数を表し、「[AMIM][TFSA]」欄および「LiTFSA」欄をそれぞれの化合物の電解質中のモル数を表す。
【0077】
【表1】
【0078】
<交流インピーダンス法によるイオン伝導度測定(その1)>
表1の組成比で得られた電解質のイオン伝導特性を、交流インピーダンス法にて評価した。交流インピーダンス法による測定は温度を変化させてイオン伝導特性の温度依存性を評価した。結果を
図1に示す。
なお、交流法とは一定の交流電圧下で周波数を変化させて測定する方法である。これは、周波数を変化させて測定した交流応答を等価回路によって解析することにより、イオン伝導体の導電率、誘電率などの固有の性質のみならず、イオン伝導体内部の不均一性、さらには電流/イオン伝導体界面に関する情報など、数多くの情報が得られる方法である。交流インピーダンス測定はソーラートロン1260を使用して行った。
【0079】
図1から明らかなように、イオン性液体およびリチウム塩の濃度が高いサンプル1の方が、イオン性液体およびリチウム塩の濃度が低いサンプル3よりもイオン伝導特性に優れることが分かった。
【0080】
この結果について、Vogel-Fulcher-Tammanプロット(以下、「VFTプロット」と称する)によるイオン伝導挙動の解析を行った。VFTプロットは下式(1)を用いて解析を行う方法であり、測定したイオン導電性材料におけるイオン伝導の機序を推定することができる手法である。
【0081】
【数1】
【0082】
ここで式(1)中、A、Bはそれぞれ系中のキャリアーイオン数とイオン輸送の活性化エネルギーに相当するパラメータである。またT
0は理想的なガラス転移温度である。この式を用いることにより、理想溶液からのずれの影響を排除し、直線状のフィッティングを得ることができる。
図1に示す結果を式(1)に当てはめたところ、
図2に示す良好な直線関係が得られた。この結果から式(1)におけるA、B、T
0を算出した。結果を表2に示す。なお、表2中のR
2は、直線性を表し、1であることが好ましい。
【0083】
【表2】
【0084】
上記結果から、本発明の電解質は優れたイオン伝導特性を示すことが確認された。より具体的には、ポリエチレンオキシドのイオン伝導度は通常、室温では10
-6Scm
-1程度あるが、本発明の電解質は、10
-4Scm
-1程度と優れた伝導特性を示す。
なお、表2に示すように、サンプル1〜3を比較すると、サンプル3ではイオン液体およびリチウムイオンの量が少なく、キャリアーイオン数(A)が著しく低いためにイオン伝導度は他のサンプルと比較して低い値にとどまる。一方、ポリマーユニットに対して3倍以上のイオン液体およびリチウム塩を用いるサンプル1および2においては、十分な系内のキャリアーイオン数(A)と比較的高いイオン伝導度を達成することができる。
また、活性化エネルギー(B)に関しては、通常、イオン液体の量が増すと活性化エネルギーの減少が観測されることが多いが、本系では粘性を増大させるリチウム塩もそれに応じて加えているため、活性化エネルギー(B)に関しては系による大幅な変動はなく、キャリアーイオン数(A)がイオン伝導度の主たる支配因子になっていると考えられる。
【0085】
(電解質の作製(その2))
上記で合成したBPh
2−Cur−SBA−Polyesterと、[AMIm][TFSA]と、LiTFSAとを後述する表3に記載の組成比に従って100mlフラスコに入れ、テトラヒドロフラン(40ml)を加え、スターラーで磁気攪拌を行った。その後、テトラヒドロフラン(THF)を減圧留去し、加熱真空乾燥を十分に行い、電解質を得た。
【0086】
<交流インピーダンス法によるイオン伝導度測定(その2)>
表3の組成比で得られた電解質のイオン伝導特性を、交流インピーダンス法にて評価した。結果を
図3に示す。
また、上記同様に、
図3に示す結果を式(1)に当てはめたところ、
図4に示すように、各試験例のイオン導電性材料のVFTプロットは良好な直線性を示した。VFT式を用いた解析によって得られた。この結果から式(1)におけるA、B、T
0を算出した。結果を表4に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
上記結果より、リチウム塩が過剰に添加された場合、イオン伝導の低下が見られた。これは、電荷同士が凝集し、キャリアーイオンの減少が減少し、イオン伝導度に影響を与えたためと考えられる。
【0090】
<熱安定性の評価>
上記サンプル1の電解質の熱重量分析(TGA)を行った。TGA測定はセイコーインスツルメンツ製TGA−6200熱重量分析計を使用した。結果を
図5に示す。なお、
図5では、サンプル1の電解質を窒素雰囲気下または空気下で加熱した結果、および、サンプル1で使用したポリマー(BPh
2−Cur−SBA−Polyester)のみを窒素雰囲気下または空気下で加熱した結果である。
【0091】
図5から分かるように、本発明の電解質は、ポリマーのみのTGA測定結果と比較して、400℃付近においてより優れた耐熱性を示すことが確認された。これは、ポリマー中のホウ素系塩構造とイオン性液体との間で相互作用が生じ、結果として耐熱性の向上につながったと推測される。
なお、ポリエチレンオキシドは400℃では分解が進行し、ほとんど残存しないことからも、本発明の電解質の耐熱性が優れていることが分かる。