特許第5849014号(P5849014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5849014
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20160107BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20160107BHJP
【FI】
   H01R13/629
   H01R13/639 Z
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-107891(P2012-107891)
(22)【出願日】2012年5月9日
(65)【公開番号】特開2013-235737(P2013-235737A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】神谷 淳
【審査官】 岩谷 一臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−331984(JP,A)
【文献】 特開2011−150934(JP,A)
【文献】 特開平6−290832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56−H01R13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコネクタハウジングと、
前記第1のコネクタハウジングと嵌合接続される第2のコネクタハウジングと、
前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとの嵌合操作時及び嵌合解除操作時の操作力を低減させるてこ部材として前記第1のコネクタハウジングに回動可能に装着される嵌合操作レバーと、
を備えるレバー式コネクタであって、
前記第1のコネクタハウジングは、
前記第2のコネクタハウジングの外周に嵌合する外筒壁部(フード部)と、
前記外筒壁部の互いに対向する一対の側壁の先端縁上で前記一対の側壁相互の対向方向と直交する方向の一端側に前記嵌合操作レバーの支点軸の外端部を挿入可能に切り欠き形成された第1の軸支凹部であって、その内奥には、挿入された前記支点軸が回動可能に当接する第1の軸ガイド面を有した第1の軸支凹部と、
前記外筒壁部の1又は複数の内側面に設けられて、前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとの嵌合接続が完了したときに前記第2のコネクタハウジングと係合してコネクタハウジング相互の接続状態をロックするロック用係止部と、
を備え、
前記第2のコネクタハウジングは、
前記第1の軸支凹部が備えられた一対の側壁の内面と対峙する一対の外側壁上に、前記嵌合操作レバーの支点軸の内端部を挿入可能に窪んで形成された第2の軸支凹部であって、前記第1の軸支凹部と対向する方向に凹の形状に形成されて、挿入された前記支点軸の内端部が回動可能に当接する第2の軸ガイド面を有し、当該第2の軸ガイド面に前記支点軸の内端部を当接させた状態で前記第2のコネクタハウジングを前記第1のコネクタハウジングとの嵌合開始位置に位置合わせすると、前記支点軸の外端部が前記第1の軸支凹部に挿入された状態となる第2の軸支凹部と、
前記第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとの嵌合接続が完了したときに前記ロック用係止部と係合してコネクタハウジング相互の接続状態をロックする係止受け部と、
一対の外側壁の表面上で、前記一対の外側壁の対向方向と直交する方向に所定距離だけ前記第2の軸支凹部から離れた位置に突設された作用受けボス部であって、前記第1の軸支凹部に回動可能に支持された前記嵌合操作レバーを所定方向に回動させると、前記嵌合操作レバーのレバー本体の側縁が当接して、前記嵌合操作レバーからコネクタハウジング相互の嵌合方向の力を受ける作用受けボス部と、
を備え、
前記嵌合操作レバーは、
前記第1のコネクタハウジングの一対の側壁と前記第2のコネクタハウジングの一対の外側壁との間の隙間に挿通可能に対向配置される一対のレバー本体であって、先端を前記第1の軸支凹部に回動可能に支持させて、前記第1の軸支凹部を支点として所定方向に回動させるとき、レバー本体の側縁が前記第1のコネクタハウジングに組み付けられている前記第2のコネクタハウジングの前記作用受けボス部に当接して、コネクタハウジング相互の嵌合方向の力を作用させる一対のレバー本体と、
前記レバー本体の先端から前記第1のコネクタハウジングの側壁に向かって突出して前記第1の軸支凹部に挿入可能な外端部と、前記レバー本体の先端から前記第2のコネクタハウジングの外側壁に向かって突出して前記第2の軸支凹部に挿入可能な内端部と、を具備した前記支点軸と、
を備え、
前記第2の軸支凹部における前記第2の軸ガイド面は、前記嵌合操作レバーが所定方向に回動操作力を受けて前記嵌合操作レバーが前記作用受けボス部を支点として回動する際に前記支点軸の内端部から当接部に作用する力で前記支点軸を前記第1の軸ガイド面に送り込んで前記支点軸が前記第1の軸ガイド面に回動可能に当接した状態にする第2傾斜面を備え、
前記第1の軸支凹部の前記第1の軸ガイド面は、前記嵌合操作レバーが所定方向に回動操作力を受けたときに、前記支点軸をてこの回動支点として支持して前記レバー本体をてこ部材として機能させると共に、前記嵌合操作レバーの回動操作によってコネクタハウジング相互の嵌合接続が完了した後に前記嵌合操作レバーに加えられる回動によって、前記支点軸を前記第1の軸支凹部の外に送り出して、前記嵌合操作レバーを前記第1のコネクタハウジングから離脱させる第1傾斜面を備えることを特徴とするレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図20は、レバー式コネクタの従来例を示したものである。
このレバー式コネクタ100は、下記特許文献1に開示されたもので、第1のコネクタハウジング110と、第1のコネクタハウジング110と嵌合接続される第2のコネクタハウジング120と、第1のコネクタハウジング110に回動可能に装着される嵌合操作レバー130と、を備えている。
【0003】
第2のコネクタハウジング120は、第1のコネクタハウジング110が挿入される外筒壁部(フード部)1121を有している。
【0004】
嵌合操作レバー130は、第1のコネクタハウジング110と第2のコネクタハウジング120との嵌合操作時及び嵌合解除操作時の操作力を低減させるてこ部材として、第1のコネクタハウジング110の外側面に突設されたボス部1111に回動可能に装着される。
【0005】
嵌合操作レバー130は、図示のように、第1のコネクタハウジング110の一対の外側面を挟むように対向配置される一対のレバー本体131と、これらの一対のレバー本体131の一端側を連結した連結部材132と、第1のコネクタハウジング110の外側面上のボス部1111と回動可能に係合するようにレバー本体131に形成された回動支点穴133と、第1のコネクタハウジング110と第2のコネクタハウジング120とを嵌合開始位置に位置合わせした嵌合開始時に外筒壁部1121の外側面に形成されたレバー係止穴1122に係合する作用点用突起部134と、を備えている。
【0006】
図示例の場合、連結部材132は、ボス部1111を回転中心としてレバー本体131を回動させる際の操作力を受ける力点部を兼ねている。
【0007】
特許文献1のレバー式コネクタ100は、次の手順で、第1のコネクタハウジング110と第2のコネクタハウジング120とを嵌合接続させる。
【0008】
まず、図示のように、第1のコネクタハウジング110は、嵌合操作レバー130を回動可能に取り付けた状態にする。次いで、図に矢印X1で示すように第1のコネクタハウジング110の先端部を第2のコネクタハウジング120の外筒壁部1121内に挿入して、第1のコネクタハウジング110と第2のコネクタハウジング120とを嵌合開始位置に位置合わせして、嵌合操作レバー130の作用点用突起部134を第2のコネクタハウジング120のレバー係止穴1122に係合させる。
【0009】
次いで、嵌合操作レバー130の連結部材132を押下して、図に矢印R1で示すように、嵌合操作レバー130を回動させる。この嵌合操作レバー130の回動動作により、第2のコネクタハウジング120が第1のコネクタハウジング110側に引き寄せられて、コネクタハウジング相互が嵌合完了状態になる。
【0010】
コネクタハウジング相互の嵌合を解除させる場合には、連結部材132を、図の矢印R1方向とは逆方向に回動させることで、コネクタハウジング相互を離反させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3442661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、特許文献1のレバー式コネクタ100の場合、コネクタハウジング相互を嵌合接続した状態では、嵌合操作レバー130を第1のコネクタハウジング110から取り外すことができない。
【0013】
そのため、特許文献1のレバー式コネクタ100の場合、コネクタハウジング相互の嵌合接続を完了させた実際の使用状態においても、嵌合操作レバー130の重量が加わっており、コネクタの重量化を招く要因となっていた。
【0014】
また、特許文献1のレバー式コネクタ100の場合、レバー式コネクタ100には、必ず嵌合操作レバー130を付随させておかなければならず、部品点数の増加によるコストアップを招くという問題もあった。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、部品点数の削減によるコストダウンと、使用状態における軽量化と、を実現することのできるレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 第1のコネクタハウジングと、
前記第1のコネクタハウジングと嵌合接続される第2のコネクタハウジングと、
前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとの嵌合操作時及び嵌合解除操作時の操作力を低減させるてこ部材として前記第1のコネクタハウジングに回動可能に装着される嵌合操作レバーと、
を備えるレバー式コネクタであって、
前記第1のコネクタハウジングは、
前記第2のコネクタハウジングの外周に嵌合する外筒壁部(フード部)と、
前記外筒壁部の互いに対向する一対の側壁の先端縁上で前記一対の側壁相互の対向方向と直交する方向の一端側に前記嵌合操作レバーの支点軸の外端部を挿入可能に切り欠き形成された第1の軸支凹部であって、その内奥には、挿入された前記支点軸が回動可能に当接する第1の軸ガイド面を有した第1の軸支凹部と、
前記外筒壁部の1又は複数の内側面に設けられて、前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとの嵌合接続が完了したときに前記第2のコネクタハウジングと係合してコネクタハウジング相互の接続状態をロックするロック用係止部と、
を備え、
前記第2のコネクタハウジングは、
前記第1の軸支凹部が備えられた一対の側壁の内面と対峙する一対の外側壁上に、前記嵌合操作レバーの支点軸の内端部を挿入可能に窪んで形成された第2の軸支凹部であって、前記第1の軸支凹部と対向する方向に凹の形状に形成されて、挿入された前記支点軸の内端部が回動可能に当接する第2の軸ガイド面を有し、当該第2の軸ガイド面に前記支点軸の内端部を当接させた状態で前記第2のコネクタハウジングを前記第1のコネクタハウジングとの嵌合開始位置に位置合わせすると、前記支点軸の外端部が前記第1の軸支凹部に挿入された状態となる第2の軸支凹部と、
前記第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとの嵌合接続が完了したときに前記ロック用係止部と係合してコネクタハウジング相互の接続状態をロックする係止受け部と、
一対の外側壁の表面上で、前記一対の外側壁の対向方向と直交する方向に所定距離だけ前記第2の軸支凹部から離れた位置に突設された作用受けボス部であって、前記第1の軸支凹部に回動可能に支持された前記嵌合操作レバーを所定方向に回動させると、前記嵌合操作レバーのレバー本体の側縁が当接して、前記嵌合操作レバーからコネクタハウジング相互の嵌合方向の力を受ける作用受けボス部と、
を備え、
前記嵌合操作レバーは、
前記第1のコネクタハウジングの一対の側壁と前記第2のコネクタハウジングの一対の外側壁との間の隙間に挿通可能に対向配置される一対のレバー本体であって、先端を前記第1の軸支凹部に回動可能に支持させて、前記第1の軸支凹部を支点として所定方向に回動させるとき、レバー本体の側縁が前記第1のコネクタハウジングに組み付けられている前記第2のコネクタハウジングの前記作用受けボス部に当接して、コネクタハウジング相互の嵌合方向の力を作用させる一対のレバー本体と、
前記レバー本体の先端から前記第1のコネクタハウジングの側壁に向かって突出して前記第1の軸支凹部に挿入可能な外端部と、前記レバー本体の先端から前記第2のコネクタハウジングの外側壁に向かって突出して前記第2の軸支凹部に挿入可能な内端部と、を具備した前記支点軸と、
を備え、
前記第2の軸支凹部における前記第2の軸ガイド面は、前記嵌合操作レバーが所定方向に回動操作力を受けて前記嵌合操作レバーが前記作用受けボス部を支点として回動する際に前記支点軸の内端部から当接部に作用する力で前記支点軸を前記第1の軸ガイド面に送り込んで前記支点軸が前記第1の軸ガイド面に回動可能に当接した状態にする第2傾斜面を備え、
前記第1の軸支凹部の前記第1の軸ガイド面は、前記嵌合操作レバーが所定方向に回動操作力を受けたときに、前記支点軸をてこの回動支点として支持して前記レバー本体をてこ部材として機能させると共に、前記嵌合操作レバーの回動操作によってコネクタハウジング相互の嵌合接続が完了した後に前記嵌合操作レバーに加えられる回動によって、前記支点軸を前記第1の軸支凹部の外に送り出して、前記嵌合操作レバーを前記第1のコネクタハウジングから離脱させる第1傾斜面を備えることを特徴とするレバー式コネクタ。
【0017】
上記(1)の構成によれば、コネクタハウジング相互を嵌合接続する際の操作手順として、まず、第2のコネクタハウジングの第2の軸支凹部に嵌合操作レバーの支点軸の内端部を挿入して、嵌合操作レバーを第2のコネクタハウジングに取り付けた状態にする。
【0018】
次いで、第2のコネクタハウジングが取り付けられた状態の第2のコネクタハウジングと第1のコネクタハウジングとを嵌合開始位置に位置合わせする。
【0019】
すると、嵌合操作レバーの支点軸の外端部が、第1のコネクタハウジングの第1の軸支凹部に挿入された状態になる。但し、この時点では、支点軸の外端部は、第1の軸ガイド面からは離間している。
【0020】
次いで、嵌合操作レバーを所定方向に回動開始すると、嵌合操作レバーは、レバー本体の側縁が当接する第2のコネクタハウジング上の作用受けボス部を支点として揺動し、その時に支点軸から作用力を受ける第2の軸ガイド面の第2傾斜面が、支点軸を対向する第1の軸支凹部の第1の軸ガイド面に送り込む。この第2傾斜面による送り込みによって、支点軸が第1の軸ガイド面に回動可能に当接した状態になる。そのため、嵌合操作レバーは、嵌合操作レバーに入力される操作力で、第1の軸支凹部の第1の軸ガイド面を回動支点としたてことして挙動し、第2のコネクタハウジング上の作用受けボス部に嵌合方向の力を印加し、コネクタハウジング相互を嵌合接続させる。
【0021】
そして、嵌合操作レバーの回動操作によってコネクタハウジング相互の嵌合接続が完了すると、第2のコネクタハウジングの係止受け部が第1のコネクタハウジングのロック用係止部に係止されて、コネクタハウジング相互の嵌合接続状態がロックされる。
【0022】
コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了した後、更に嵌合操作レバーが回動操作されると、嵌合操作レバーの支点軸は、第1の軸支凹部の第1傾斜面に沿って、第1の軸支凹部の開口部側に移動する。この第1傾斜面に沿う移動によって、支点軸が第1の軸支凹部の外に送り出されて、嵌合操作レバーがコネクタハウジングから離脱する。
【0023】
即ち、上記(1)の構成によれば、嵌合操作レバーの回動操作によってコネクタハウジング相互の嵌合接続を完了させた後、更に嵌合操作レバーを回動方向に押圧することで、嵌合操作レバーが自動的にコネクタハウジング相互から離脱するため、コネクタの使用状態においては嵌合操作レバーの重量がかからず、コネクタの使用状態における軽量化を実現することができる。
【0024】
また、コネクタハウジングから離脱した嵌合操作レバーは、他のレバー式コネクタの嵌合操作に使い回すことができる。そのため、通常の嵌合操作レバーの部品セットとしては嵌合操作レバーを除いた第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングだけにして、部品点数の削減によるコストダウンを実現することもできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるレバー式コネクタによれば、コネクタハウジング相互を完了させた後は、嵌合操作レバーがコネクタハウジング相互から離脱するため、コネクタの使用状態における軽量化を実現することができる。
【0026】
また、離脱した嵌合操作レバーは、他のレバー式コネクタの嵌合操作に使い回すことができる。そのため、通常の嵌合操作レバーの部品セットとしては嵌合操作レバーを除いた第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングだけにして、部品点数の削減によるコストダウンを実現することもできる。
【0027】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の分解斜視図である。
図2図1に示した第1のコネクタハウジングの側面図である。
図3図2のA部の拡大図である。
図4図1に示した第2のコネクタハウジングの側面図である。
図5図4のB部の拡大図である。
図6図1に示した嵌合操作レバーが取り付けられた第2のコネクタハウジングを、第1のコネクタハウジングに対向させた状態の側面図である。
図7図6のC部の拡大図である。
図8図6に示した第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとを嵌合開始位置に位置合わせした状態の側面図である。
図9図8のD部の拡大図である。
図10図8に示した状態から嵌合操作レバーの回動操作が開始されて、第2の軸支凹部の第2傾斜面222bが嵌合操作レバーの支点軸を第1の軸支凹部の第1の軸ガイド面に移動させるときの側面図である。
図11図10のE部の拡大図である。
図12】嵌合操作レバーの回動操作が進んで、嵌合操作レバーの支点軸が第1の軸支凹部の第1の軸ガイド面に当接した状態の側面図である。
図13図12のF部の拡大図である。
図14】嵌合操作レバーの回動操作が更に進んで、嵌合操作レバーがてこ部材としてコネクタハウジング相互を嵌合させている途中の状態の側面図である。
図15図14のG部の拡大図である。
図16】嵌合操作レバーの回動操作が更に進んで、コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了した時点の側面図である。
図17図16のH部の拡大図である。
図18】コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了した後、第1の軸ガイド面の第1傾斜面が嵌合操作レバーの支点軸を第1の軸支凹部の外に送り出して、嵌合操作レバーをコネクタハウジングから離脱させた状態の側面図である。
図19図18のI部の拡大図である。
図20】従来のレバー式コネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るレバー式コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1図10は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態を示したもので、図1は本発明の一実施形態のレバー式コネクタの分解斜視図、図2図1に示した第1のコネクタハウジングの側面図で、図3図2のA部の拡大図、図4図1に示した第2のコネクタハウジングの側面図、図5図4のB部の拡大図、図6図1に示した嵌合操作レバーが取り付けられた第2のコネクタハウジングを、第1のコネクタハウジングに対向させた状態の側面図、図7図6のC部の拡大図、図8図6に示した第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとを嵌合開始位置に位置合わせした状態の側面図、図9図8のD部の拡大図、図10図8に示した状態から嵌合操作レバーの回動操作が開始されて、第2の軸支凹部の第2傾斜面222bが嵌合操作レバーの支点軸を第1の軸支凹部の第1の軸ガイド面に移動させるときの側面図である。
【0031】
この一実施形態のレバー式コネクタ1は、図1に示すように、第1のコネクタハウジング10と、第1のコネクタハウジング10と嵌合接続される第2のコネクタハウジング20と、第1のコネクタハウジング10に回動可能に装着される嵌合操作レバー30と、を備えている。
【0032】
第1のコネクタハウジング10は、外筒壁部11と、第1の軸支凹部12と、ロック用係止部13と、を備える。
【0033】
外筒壁部11は、第1のコネクタハウジング10の先端側の部位で、第2のコネクタハウジング20の外周に嵌合する角筒状の構造である。
【0034】
第1の軸支凹部12は、外筒壁部11の互いに対向する一対の側壁11a,11aの先端縁111上に切り欠き形成されている。この第1の軸支凹部12が形成されている位置は、一対の側壁11a,11a相互の対向方向(図1の矢印X2方向)と直交する方向(図1及び図2の矢印Y2方向)の一端側(図2では、左端側)である。
【0035】
この第1の軸支凹部12は、後述する嵌合操作レバー30の支点軸33の外端部33aを挿入可能な切欠である。この第1の軸支凹部12は、後述する嵌合操作レバー30の支点軸33の外端部33aを出入りさせるための開口部121が、第2のコネクタハウジング20との嵌合方向(図1及び図2の矢印Z2方向)に向いて開口している。
【0036】
この第1の軸支凹部12は、図3に示すように、その内奥に、第1の軸ガイド面122を有している。
【0037】
第1の軸ガイド面122は、図13に示すように嵌合操作レバー30の支点軸33が回動可能に当接する面である。この第1の軸ガイド面122は、図3に示すように、第1当接面122aと、第1傾斜面122bとで構成されている。
【0038】
第1当接面122aは、コネクタハウジング相互の嵌合方向と直交する方向(図3の矢印Y3方向)に延在する面であり、支点軸33が当接することで、当該支点軸33の嵌合方向への移動を規制する。
【0039】
第1傾斜面122bは、コネクタハウジング相互の嵌合方向に対して傾斜した方向(図3の矢印Q3方向)に延在する面である。この第1傾斜面122bは、支点軸33が当接することで、当該支点軸33の嵌合方向と直交する方向への移動を規制する。
【0040】
第1の軸ガイド面122は、嵌合操作レバー30が所定方向に回動操作力を受けたときに、第1の軸ガイド面122に当接している嵌合操作レバー30の支点軸33をてこの回動支点として支持して、嵌合操作レバー30のレバー本体31をてこ部材として機能させる。
【0041】
更に、第1傾斜面122bは、嵌合操作レバー30の回動操作によってコネクタハウジング相互の嵌合接続が完了したときには、支点軸33に開口部121に向かう力を作用させ、支点軸33を当該第1の軸支凹部12の外に送り出して、図18及び図19に示すように、嵌合操作レバー30をコネクタハウジング10,20から離脱させる。
【0042】
ロック用係止部13は、図1に示すように、外筒壁部11の内側面11b1に設けられた係止突起である。本実施形態の場合、ロック用係止部13が設けられた内側面11b1は、一対の側壁11a,11aの他端側を連結している側壁11bの内面である。このロック用係止部13は、第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20との嵌合接続が完了したときに第2のコネクタハウジング20と係合してコネクタハウジング相互の接続状態をロックする。
【0043】
第2のコネクタハウジング20は、図1に示すように、第2の軸支凹部22と、係止受け部23と、作用受けボス部24と、を備える。
【0044】
第2の軸支凹部22は、外筒壁部11に挿入されるハウジング本体21の一対の外側壁211,211上に、窪んで形成されている。第2の軸支凹部22が形成される一対の外側壁211,211は、第1の軸支凹部12が備えられた一対の側壁11a,11aの内面と対峙する側壁である。
【0045】
第2の軸支凹部22は、嵌合操作レバー30の支点軸33の内端部33bを挿入可能に窪んで形成された窪みである。
【0046】
第2の軸支凹部22は、図4及び図5に示すように、第1の軸支凹部12と対向する方向(図5の矢印Y4方向)に凹の形状に形成されている。この第2の軸支凹部22には、図5の矢印Q4方向から、嵌合操作レバー30の支点軸33の内端部33bを挿入することができる。
【0047】
この第2の軸支凹部22は、図5に示すように、第2の軸ガイド面222と、離脱案内面223と、を有している。
【0048】
第2の軸ガイド面222は、図6及び図7に示すように、第2の軸支凹部22に挿入された支点軸33の内端部33bが回動可能に当接する面である。この第2の軸ガイド面222は、図5に示すように、第2当接面222aと、第2傾斜面222bとで構成されている。
【0049】
第2当接面222aは、コネクタハウジング相互の嵌合方向と直交する方向(図5の矢印Y4方向)に延在する面であり、支点軸33が当接することで、当該支点軸33の嵌合方向への移動を規制する。
【0050】
第2傾斜面222bは、コネクタハウジング相互の嵌合方向に対して傾斜した方向(図5の矢印Q4方向)に延在する面である。この第2傾斜面222bは、支点軸33が当接することで、当該支点軸33の嵌合方向と直交する方向(図5の矢印Y5方向)への移動を規制する。
【0051】
第2の軸支凹部22は、図6図9に示すように、上記第2の軸ガイド面222に嵌合操作レバー30の支点軸33の内端部33bを当接させた状態で当該第2のコネクタハウジング20を第1のコネクタハウジング10との嵌合開始位置に位置合わせすると、支点軸33の外端部33aが前記第1の軸支凹部12に挿入された状態となるように、配置されている。
【0052】
そして、図8及び図9に示すように、コネクタハウジング相互が嵌合開始位置に位置合わせされた状態で、第2の軸支凹部22に支点軸33を係合させている嵌合操作レバー30が所定方向(図8の矢印R1方向)に回動操作力を受けると、嵌合操作レバー30が後述の作用受けボス部24を支点として回動する際に、支点軸33の内端部33bから当該内端部が当接している第2傾斜面222bに、押圧荷重が作用する。第2傾斜面222bは、支点軸33の内端部33bから作用する押圧荷重で、図11に矢印F5示すように支点軸33を第1の軸ガイド面122側に送り込んで、支点軸33が第1の軸ガイド面122に回動可能に当接した状態にする。
【0053】
係止受け部23は、第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20との嵌合接続が完了したときに、第1のコネクタハウジング10のロック用係止部13と係合してコネクタハウジング相互の接続状態をロックする。この係止受け部23は、図4に示すように、ばね片231と、係止突起232と、を備える。
【0054】
ばね片231は、ハウジング本体21の外側面213からコネクタハウジング相互の嵌合方向に沿って延出した板ばね状である。また、係止突起232は、コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了したときにロック用係止部13と係合するように、ばね片231に突設されている。
【0055】
作用受けボス部24は、ハウジング本体21の一対の外側壁211,211の表面上に突設されている。この作用受けボス部24の装備位置は、一対の外側壁211,211の延在方向(図4の矢印Y6方向)に所定距離だけ、第2の軸支凹部22から離れた位置である。
【0056】
この作用受けボス部24は、図12図17に示すように、第1の軸支凹部12に回動可能に支持された嵌合操作レバー30を所定方向に回動させると、嵌合操作レバー30のレバー本体31の側縁が当接して、嵌合操作レバー30からコネクタハウジング相互の嵌合方向の力を受ける。
【0057】
嵌合操作レバー30は、第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20との嵌合操作時及び嵌合解除操作時の操作力を低減させるてこ部材として第1のコネクタハウジング10に回動可能に装着される。
【0058】
嵌合操作レバー30は、図1に示すように、一対のレバー本体31,31と、回動操作部32と、支点軸33と、を備える。
【0059】
一対のレバー本体31,31は、第1のコネクタハウジング10の一対の側壁11a,11aと第2のコネクタハウジング20の一対の外側壁211,211との間の隙間に挿通可能に対向配置されている棒状の部材である。
【0060】
回動操作部32は、一対のレバー本体31,31の基端側を連結している。この回動操作部32は、一対のレバー本体31,31を回動させる際の操作部となる部位である。
【0061】
支点軸33は、各レバー本体31の先端に一体形成されている。この支点軸33は、外端部33aと、内端部33bと、を備える。
【0062】
外端部33aは、レバー本体31の先端から第1のコネクタハウジング10の側壁11aに向かって突出して第1の軸支凹部12に挿入可能な軸部である。
【0063】
内端部33bは、レバー本体31の先端から第2のコネクタハウジング20の外側壁に向かって突出して第2の軸支凹部22に挿入可能な軸部である。
【0064】
嵌合操作レバー30の一対のレバー本体31,31は、先端(支点軸33)を第1の軸支凹部12に回動可能に支持させて、第1の軸支凹部12を支点として所定方向(図1のR方向)に回動させるとき、レバー本体31の側縁が第1のコネクタハウジング10に組み付けられている第2のコネクタハウジング20の作用受けボス部24に当接して、コネクタハウジング相互の嵌合方向の力を作用させる。
【0065】
また、一対のレバー本体31,31は、先端(支点軸33の内端部33b)を第2のコネクタハウジング20の第2の軸支凹部22に挿入した状態で、第2の軸支凹部22と一緒に第1のコネクタハウジング10に組み付けられる。
【0066】
本実施形態のレバー式コネクタ1は、コネクタハウジング相互を嵌合接続する際の操作手順として、まず、図6及び図7に示すように、第2のコネクタハウジング20の第2の軸支凹部22に嵌合操作レバー30の支点軸33の内端部33bを挿入して、嵌合操作レバー30を第2のコネクタハウジング20に取り付けた状態にする。
【0067】
嵌合操作レバー30は、図6及び図7に示すように、内端部33bを第2の軸支凹部22の第2の軸ガイド面222に当接させ、更に、レバー本体31の側縁を作用受けボス部24に当接させた状態とすることによって、第2のコネクタハウジング20に支持された状態になる。
【0068】
次いで、図8及び図9に示すように、第2のコネクタハウジング20が取り付けられた状態の第2のコネクタハウジング20と第1のコネクタハウジング10とを嵌合開始位置に位置合わせする。
【0069】
すると、嵌合操作レバー30の支点軸33の外端部33aが、第1のコネクタハウジング10の第1の軸支凹部12に挿入された状態になる。但し、この時点では、支点軸33の外端部33aは、図9に示すように、第1の軸ガイド面122からは離間している。
【0070】
次いで、図10及び図11に示すように、嵌合操作レバー30を所定方向(図10の矢印R2方向)に回動開始すると、嵌合操作レバー30は、レバー本体31の側縁が当接する第2のコネクタハウジング20上の作用受けボス部24を支点として揺動し、その時に支点軸33から作用力を受ける第2の軸ガイド面222の第2傾斜面222bが、図11に矢印F5で示すように、支点軸33を対向する第1の軸支凹部12の第1の軸ガイド面122に送り込む。この第2傾斜面222bによる送り込みによって、図12及び図13に示すように支点軸33が第1の軸ガイド面122に回動可能に当接した状態になる。
【0071】
そのため、嵌合操作レバー30は、嵌合操作レバー30に入力される操作力で、第1の軸支凹部12の第1の軸ガイド面122を回動支点としたてことして挙動し、図14及び図15に示すように、第2のコネクタハウジング20上の作用受けボス部24に嵌合方向の力Pを印加し、コネクタハウジング相互を嵌合接続させる。
【0072】
そして、図16及び図17に示すように嵌合操作レバー30の回動操作によってコネクタハウジング相互の嵌合接続が完了すると、第2のコネクタハウジング20の係止受け部23が第1のコネクタハウジング10のロック用係止部13に係止されて、コネクタハウジング相互の嵌合接続状態がロックされる。
【0073】
コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了した後、更に図16に示すように嵌合操作レバー30が矢印R5方向に回動操作されると、嵌合操作レバー30の支点軸33は、図17に矢印F6で示すように、第1の軸支凹部12の第1傾斜面122bに沿って、開口部121側に移動する。この第1傾斜面122bに沿う移動によって、図18及び図19に示すように、支点軸33が第1の軸支凹部12の外に送り出されて、嵌合操作レバー30がコネクタハウジングから離脱する。
【0074】
即ち、本実施形態のレバー式コネクタ1によれば、嵌合操作レバー30の回動操作によってコネクタハウジング相互の嵌合接続を完了させた後、更に嵌合操作レバー30を回動方向に押圧することで、嵌合操作レバー30が自動的にコネクタハウジング相互から離脱するため、コネクタの使用状態においては嵌合操作レバー30の重量がかからず、コネクタの使用状態における軽量化を実現することができる。
【0075】
また、コネクタハウジングから離脱した嵌合操作レバー30は、他のレバー式コネクタ1の嵌合操作に使い回すことができる。そのため、通常の嵌合操作レバー30の部品セットとしては嵌合操作レバー30を除いた第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20だけにして、部品点数の削減によるコストダウンを実現することもできる。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0077】
例えば、上記実施形態では、ロック用係止部13及び係止受け部23の装備数が単一であったが、ロック用係止部13及び係止受け部23の装備位置を複数箇所にして、複数の係止部でコネクタハウジング相互の接続状態をロックするようにしても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 レバー式コネクタ
10 第1のコネクタハウジング
11 外筒壁部
11a 側壁
11b1 内側面
12 第1の軸支凹部
13 ロック用係止部
20 第2のコネクタハウジング
22 第2の軸支凹部
23 係止受け部
24 作用受けボス部
30 嵌合操作レバー
31 レバー本体
33 支点軸
33a 外端部
33b 内端部
111 先端縁
122 第1の軸ガイド面
122b 第1傾斜面
211 外側壁
222 第2の軸ガイド面
222b 第2傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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