(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5849069
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】地盤掘削用アタッチメント、それを利用した掘削方法、および、土留支保工法
(51)【国際特許分類】
E21B 7/00 20060101AFI20160107BHJP
【FI】
E21B7/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-127956(P2013-127956)
(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-1147(P2015-1147A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2014年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508009460
【氏名又は名称】張山電氣株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】田 澤 秀 徳
(72)【発明者】
【氏名】張 山 國 男
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−021293(JP,A)
【文献】
特開2003−176683(JP,A)
【文献】
特開昭53−046103(JP,A)
【文献】
特開2011−236560(JP,A)
【文献】
特開昭63−055296(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3010430(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象掘削穴径よりも充分小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に冷却液用吐出口を開口した先導筒体を設け、該先導筒体吐出口に冷却液通過用間隙を確保するよう対峙した複数の半球形先導ビットを、同先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°の傾斜角度に軸着し、同先導筒体上端には、ボーリングロッド用の連結部と同一のものとするか、または、別体アダプターを介在させるものかの何れか一方とし、メインヘッドを介さずともパイロットヘッドをボーリングロッドに直接接続可能な脱着機構下部を設けた先端パイロットヘッドと、筒体の下端に脱着機構上部、同上端に連結部を有する後続筒体とを設け、同後続筒体周回りに、パイロットヘッド装着用間隙を確保するよう対峙した複数の半球形後続ビットを、同後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°の傾斜角度に軸着したメインヘッドとからなり、当該脱着機構下部に脱着機構上部を回転不能に組み合わせ、接続可能なものとしたことを特徴とする地盤掘削用アタッチメント。
【請求項2】
対象掘削穴径よりも充分小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に冷却液用吐出口を開口した先導筒体を設け、同先導筒体吐出口周回りの均衡する複数箇所夫々に、相互間に冷却液通過用間隙を確保するよう対峙した半球形先導ビットを、同先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°の傾斜角度とした軸機構によって各先導ビット統合外径が、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう軸着し、同先導筒体上端には、ボーリングロッド用の連結部と同一のものとするか、または、別体アダプターを介在させるものかの何れか一方とし、メインヘッドを介さずともパイロットヘッドをボーリングロッドに直接接続可能な脱着機構下部を設けた先端パイロットヘッドと、対象掘削穴径よりも小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に、当該脱着機構下部を接続可能な脱着機構上部、同筒体上端にボーリングロッド用の連結部を有する後続筒体を設け、同後続筒体周回りの均衡する複数箇所夫々に、当該パイロットヘッド装着用間隙を確保するよう対峙した半球形後続ビットを、同後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°の傾斜角度とした軸機構によって各後続ビット統合外径が、対象掘削穴径に一致するよう軸着したメインヘッドとからなり、当該脱着機構下部に脱着機構上部を回転不能に接続し、各先導ビットの上方外がわに、各後続ビットが配するよう組み合わせ、接続可能なものとしたことを特徴とする地盤掘削用アタッチメント。
【請求項3】
対象掘削穴径よりも充分小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に冷却液用吐出口を開口した先導筒体を設け、同先導筒体吐出口周回りの均衡する3箇所夫々に、相互間に冷却液通過用間隙を確保するよう対峙した半球形先導ビットを、同先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに45°の傾斜角度とした軸機構により、各先導ビット統合外径が対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう軸着し、同先導筒体上端には、ボーリングロッド用の連結部と同一のものとするか、または、別体アダプターを介在させるものかの何れか一方とし、メインヘッドを介さずともパイロットヘッドをボーリングロッドに直接接続可能な脱着機構下部を設けた先端パイロットヘッドと、対象掘削穴径よりも小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体の下端に、当該脱着機構下部を接続可能な脱着機構上部、同筒体上端にボーリングロッド用の連結部を有する後続筒体を設け、同後続筒体周回りの均衡する3箇所夫々に、当該パイロットヘッド装着用間隙を確保するよう対峙した半球形後続ビットを、同後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに45°の傾斜角度とした軸機構によって各後続ビット統合外径が、対象掘削穴径に一致するよう軸着したメインヘッドとからなり、当該脱着機構下部に脱着機構上部を回転不能に接続し、各先導ビットの上方外がわに、各後続ビットが配するよう組合せ接続可能なものとしたことを特徴とする地盤掘削用アタッチメント。
【請求項4】
各先導ビットおよび各後続ビットが、各半球形の外周縁をテーパー状に面取りし、半球面範囲およびテーパー状面取り範囲に、適宜間隔を隔てて万遍なく複数のチップを散在・突起するよう、着脱可能に設けてなるものとした、請求項1ないし3何れか一記載の地盤掘削用アタッチメント。
【請求項5】
パイロットヘッドの各先導ビットが、先導筒体下端に設けたスリーブ状支持部または各アーム部に軸着し、および/または、メインヘッドの各後続ビットが、後続筒体周回りに設けた星型支持部または各アーム部に軸着してなるものとした、請求項1ないし4何れか一記載の地盤掘削用アタッチメント。
【請求項6】
請求項1ないし5何れか一記載の地盤掘削用アタッチメントを、クレーンなどの吊下装置に吊り下げた回転駆動源、冷却液供給源、および該回転駆動源下に有って回転駆動するボーリングロッドの下端に連結し、ボーリングロッドから後続筒体、先導筒体を通じて吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、該ボーリングロッドおよび地盤掘削用アタッチメントを回転駆動し、パイロットヘッド各先導ビットで岩盤層の所望箇所に切り込み、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径の先導穴を穿設しながら掘り下げて当該地盤掘削用アタッチメントの回転中心を、当該所望箇所に安定誘導可能に支持するようにした上、当該パイロットヘッド各先導ビットに続くメインヘッド各後続ビットが、岩盤層の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径の対象掘削穴を所望深さまで掘削するようにしてなるものとした、請求項1ないし5何れか一記載の地盤掘削用アタッチメントを利用した地盤の掘削方法。
【請求項7】
クレーンなどの吊下装置に吊り下げた回転駆動源、冷却液供給源、および該回転駆動源下に有って回転駆動するボーリングロッドの下端に、請求項1ないし5何れか一記載の地盤掘削用アタッチメントのパイロットヘッドのみを連結し、吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、地表層の所望箇所に岩盤層まで達するよう先導穴のみを掘削した後、当該ボーリングロッドの下端に、メインヘッドおよびパイロットヘッドからなる請求項1ないし5何れか一記載の地盤掘削用アタッチメントを連結し、吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、先に掘削済とした地表層先導穴を対象掘削穴径とするよう拡大掘削し、岩盤層に達したパイロットヘッド各先導ビットで対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径の先導穴を穿設しながら掘り下げて当該地盤掘削用アタッチメントの回転中心を、当該所望箇所に安定誘導可能に支持するようにした上、当該パイロットヘッド各先導ビットに続くメインヘッド各後続ビットが、岩盤層の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径の対象掘削穴を所望深さまで掘削するようにしてなるものとした、請求項1ないし5何れか一記載の地盤掘削用アタッチメントを利用した地盤の掘削方法。
【請求項8】
目標土留領域を囲む各支持杭打ち込み箇所の地表層に、パイロットヘッドを用いて支持杭径に略一致する対象掘削穴よりも充分に小さな直径の先導穴を掘削した上、地表層の先導穴に、クレーンなどの吊下装置に吊り下げた回転駆動源、冷却液供給源、および、該回転駆動源下に有って回転駆動するボーリングロッドの下端に、メインヘッドおよびパイロットヘッドからなる請求項1ないし5何れか一記載の地盤掘削用アタッチメントを連結し、吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、先に掘削済とした地表層先導穴を対象掘削穴径とするよう拡大掘削し、岩盤層に達したパイロットヘッド各先導ビットで対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径の先導穴を穿設しながら掘り下げて当該地盤掘削用アタッチメントの回転中心を、当該所望箇所に安定誘導可能に支持するようにした上、当該パイロットヘッド各先導ビットに続くメインヘッド各後続ビットが、岩盤層の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径の対象掘削穴を所望深さまで掘削した後、当該地盤掘削用アタッチメントを引き上げた上、各支持杭の下端がわ所定範囲が、岩盤層の対象掘削穴に達するよう打ち込み、各支持杭間に矢板壁を掛け渡し設置するようにした、請求項1ないし5何れか一記載の地盤掘削用アタッチメントを利用した土留支保工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地盤掘削技術に関連するものであり、特に、振動や騒音の発生を抑え、掘削工事の円滑な施工を実現化可能とする掘削装置を製造、提供および利用する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、機械器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
硬岩盤箇所における電柱穴掘削や土留支保工法のための架設支持杭を施設する場面において、地山掘削や地面開削する場合には、一般に、バックホー、ブレーカー、パーカッション等の建設機械を使用し、電柱穴や地山掘削を行うための土留支保工法を用いて作業を実施しているが、こうした主に衝撃力を利用して岩盤を破砕・掘削する建設機械を利用すると、重量の大きなクローラ式建設機械が移動しながら岩盤を破砕・掘削することとなり、大きな振動と騒音とを発生し、近隣の建築物や施設などの構造物に損害を与えたり、住民や施設利用者などの生活環境を悪化させてしまったりする虞があるため、こうした重機類の使用に制約を受け、円滑な工事の実施が困難となる場合や、実質的に工事を行えないこともあるというのが現状であった。
【0003】
(従来の技術)
こうした現状を打開しようと、本願出願人は、下記の特許文献1(1)に示す、冷却水容器の中央に回転軸を貫通し、該回転軸下端には、先端にオーガヘッドを設けた掘削管を接続し、冷却水容器の上端がわに冷却水供給口と圧縮空気供給口とを設け、深い埋設穴を掘削する際に、オーガヘッドを回転駆動すると同時に、加圧冷却水を噴出し、掘削土との摩擦によるオーガヘッドの過熱防止を可能としたものや、特許文献1(2)に開示してある、供給管路が縦貫したセンターシャフトの周囲に、複数本の錐状カッターを配すると共に、該センターシャフト周壁には複数本の周壁噴射口を穿設し、センターシャフトの回転に伴い、同センターシャフトの周囲に公転する各錐状カッターが、各チップの掘削穴内周壁との接触摩擦によって同センターシャフトとは逆方向に自転するものとなり、しかも供給管路を通じて供給される冷却液を、掘削中に渡って各周壁噴射口および先端噴射口から連続的に放出し、掘削穴内のカッターヘッド周囲地層を効果的に泥土化し、各錐状カッターの回転、掘削で生じる摩擦抵抗を大幅に低減且つ冷却して、熔損や摩耗への耐久性を高めるものとしたカッターヘッドなどの開発を進めて来た。
【0004】
しかし、前者特許文献1(1)に示してある掘削装置では、直径100ないし150mmの小口径の埋設穴を、深さ10ないし30mの深さまで掘削する場合にあっては非常に有効なものとなったが、更に大きな、例えば450mm口径の穴を掘削する場合には、オーガヘッドの拡大が不可欠であり、こうした課題を解決するものとして開発した、後者特許文献1(2)は、センターシャフトの周囲に複数本の錐状カッターを配したカッターヘッドは、軟弱地盤における大口径の掘削に非常に有効なものであったが、センターシャフトと各錐状カッターとの間の隙間が狭く、しかも各錐状カッターの地層との接触面積が大きいため、岩盤層などの硬質地盤を掘削すると、隙間に小石や岩盤破片などを噛み込んでしまったり、各錐状カッターに摩擦熱を生じて過熱したりするなどして円滑な回転を得るのが困難となり、掘削不能となってしまうことが判明した。
【特許文献1】(1)特許第5129583号公報 (2)特開2011−236560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種掘削装置類は、何れも小径の深い埋設穴を掘削したり、または、軟弱地盤に大口径の埋設穴を掘削したりするのに有効であったものの、硬質の岩盤に大口径の埋設穴を円滑且つ静粛に掘削することができないという欠点が残るものであり、大口径のオーガーなどは、岩盤に達すると、回転軸の中心が横滑りするように偏心して定まらず掘削不能となってしまったり、正確な位置に掘削できずにズレたり傾斜してしまったりするなどして工事が難航してしまうことがあり、こうした事態を回避しようとしてバックホーやブレーカーなどといったクローラ式建設機械を利用して岩盤を破砕・除去しようとすると、大きな振動や騒音の発生を招き、特に、建築物に近接する場所の硬質な岩盤層に掘削工事を行う場合などには、近接する建築物を破損させたり、住民や建築物利用者などの生活に悪影響を与えたりするという問題を生じる外、ブーム・アームが届くよう充分接近して掘削しなければならないが、掘削箇所が地中埋設物上や湧水箇所などの重機の進入が不可能な場所に位置する場合には、こうしたクローラ式建設機械を使用することができず、工事手段を失い、施工不可能となる事態を招くこととなってしまい、早急にこうした課題を解決する必要がある。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、近隣施設に振動や騒音を及ぼしてしまうという理由の外、作業空間が狭かったり、表層地盤を荒らしてしまうなど、諸種の事情によってクローラ式建設機械などを利用できない環境の下であっても、それらより充分軽量なトラッククレーンやラフテレーンクレーンなどのホイール式建設機械に搭載し、近隣に悪影響を及ぼすことなく、岩盤に大口径穴を円滑且つ効率的に掘削できるようにした新たな地盤掘削技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の地盤掘削用アタッチメント、それを利用した新規な掘削方法、および、新規な土留支保工法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の地盤掘削用アタッチメントは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、対象掘削穴径よりも充分小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に冷却液用吐出口を開口した先導筒体を設け、該先導筒体吐出口に冷却液通過用間隙を確保するよう対峙した複数の半球形先導ビットを、同先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°、望ましくは45°の傾斜角度に軸着し、同先導筒体上端に脱着機構下部を設けた先端パイロットヘッドと、筒体の下端に脱着機構上部、同上端に連結部を有する後続筒体とを設け、同後続筒体周回りに、パイロットヘッド装着用間隙を確保するよう対峙した複数の半球形後続ビットを、同後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°、望ましくは45°の傾斜角度に軸着したメインヘッドとからなり、当該脱着機構下部に脱着機構上部を回転不能に組み合わせ、接続可能なものとした構成を要旨とする地盤掘削用アタッチメントである。
【0008】
この基本的な構成からなる地盤掘削用アタッチメントは、より具体的なものとして示すと、対象掘削穴径よりも充分小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に冷却液用吐出口を開口した先導筒体を設け、同先導筒体吐出口周回りの均衡する複数箇所夫々に、相互間に冷却液通過用間隙を確保するよう対峙した半球形先導ビットを、同先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°、望ましくは45°の傾斜角度とした軸機構によって各先導ビット統合外径が、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう軸着し、同先導筒体上端に脱着機構下部を設けた先端パイロットヘッドと、対象掘削穴径よりも小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に、当該脱着機構下部を接続可能な脱着機構上部、同筒体上端にボーリングロッド用の連結部を有する後続筒体を設け、同後続筒体周回りの均衡する複数箇所夫々に、当該パイロットヘッド装着用間隙を確保するよう対峙した半球形後続ビットを、同後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°、望ましくは45°の傾斜角度とした軸機構によって各後続ビット統合外径が、対象掘削穴径に一致するよう軸着したメインヘッドとからなり、当該脱着機構下部に脱着機構上部を回転不能に接続し、各先導ビットの上方外がわに、各後続ビットが配するよう組合せ接続可能なものとした構成からなる地盤掘削用アタッチメントとすることができる。
【0009】
さらに具体的には、対象掘削穴径よりも充分小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に冷却液用吐出口を開口した先導筒体を設け、同先導筒体吐出口周回りの均衡する3箇所夫々に、相互間に冷却液通過用間隙を確保するよう対峙した半球形先導ビットを、同先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに45°の傾斜角度とした軸機構により、各先導ビット統合外径が対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう軸着し、同先導筒体上端に脱着機構下部を設けた先端パイロットヘッドと、対象掘削穴径よりも小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体の下端に、当該脱着機構下部を接続可能な脱着機構上部、同筒体上端にボーリングロッド用の連結部を有する後続筒体を設け、同後続筒体周回りの均衡する3箇所夫々に、当該パイロットヘッド装着用間隙を確保するよう対峙した半球形後続ビットを、同後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに45°の傾斜角度とした軸機構によって各後続ビット統合外径が、対象掘削穴径に一致するよう軸着したメインヘッドとからなり、当該脱着機構下部に脱着機構上部を回転不能に接続し、各先導ビットの上方外がわに、各後続ビットが配するよう組合せ接続可能なものとした構成からなる地盤掘削用アタッチメントと言える。
【0010】
(関連する発明1)
上記した地盤掘削用アタッチメントに関連し、この発明には、それを利用した地盤の掘削方法も包含している。
即ち、この発明の根幹をなす上記の地盤掘削用アタッチメントを、クレーンなどの吊下装置に吊り下げた回転駆動源、冷却液供給源、および該回転駆動源下に有って回転駆動するボーリングロッドの下端に連結し、ボーリングロッドから後続筒体、先導筒体を通じて吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、該ボーリングロッドおよび地盤掘削用アタッチメントを回転駆動し、パイロットヘッド各先導ビットで岩盤層の所望箇所に切り込み、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径の先導穴を穿設しながら掘り下げて当該地盤掘削用アタッチメントの回転中心を、当該所望箇所に安定誘導可能に支持するようにした上、当該パイロットヘッド各先導ビットに続くメインヘッド各後続ビットが、岩盤層の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径の対象掘削穴を所望深さまで掘削するようにしてなるものとした、この発明の基本をなす地盤掘削用アタッチメントを利用した地盤の掘削方法である。
【0011】
この掘削方法を、表現を変えて示すと、クレーンなどの吊下装置に吊り下げた回転駆動源、冷却液供給源、および該回転駆動源下に有って回転駆動するボーリングロッドの下端に、請求項1ないし5何れか一項記載の地盤掘削用アタッチメントのパイロットヘッドのみを連結し、吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、地表層の所望箇所に岩盤層まで達するよう先導穴のみを掘削した後、当該ボーリングロッドの下端に、メインヘッドおよびパイロットヘッドからなる、この発明の根幹をなす地盤掘削用アタッチメントを連結し、吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、先に掘削済とした地表層先導穴を対象掘削穴径とするよう拡大掘削し、岩盤層に達したパイロットヘッド各先導ビットで対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径の先導穴を穿設しながら掘り下げて当該地盤掘削用アタッチメントの回転中心を、当該所望箇所に安定誘導可能に支持するようにした上、当該パイロットヘッド各先導ビットに続くメインヘッド各後続ビットが、岩盤層の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径の対象掘削穴を所望深さまで掘削するようにしてなるものとした、この発明の基本をなす地盤掘削用アタッチメントを利用した地盤の掘削方法ということができる。
【0012】
(関連する発明2)
上記した地盤掘削用アタッチメントに関連し、この発明には、それを利用した土留支保工法も包含している。
即ち、目標土留領域を囲む各支持杭打ち込み箇所の地表層に、パイロットヘッドを用いて支持杭径に略一致する対象掘削穴よりも充分に小さな直径の先導穴を掘削した上、地表層の先導穴に、クレーンなどの吊下装置に吊り下げた回転駆動源、冷却液供給源、および、該回転駆動源下に有って回転駆動するボーリングロッドの下端に、メインヘッドおよびパイロットヘッドからなるこの発明の根幹をなす地盤掘削用アタッチメントを連結し、吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、先に掘削済とした地表層先導穴を対象掘削穴径とするよう拡大掘削し、岩盤層に達したパイロットヘッド各先導ビットで対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径の先導穴を穿設しながら掘り下げて当該地盤掘削用アタッチメントの回転中心を、当該所望箇所に安定誘導可能に支持するようにした上、当該パイロットヘッド各先導ビットに続くメインヘッド各後続ビットが、岩盤層の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径の対象掘削穴を所望深さまで掘削した後、当該地盤掘削用アタッチメントを引き上げた上、各支持杭の下端がわ所定範囲が、岩盤層の対象掘削穴に達するよう打ち込み、各支持杭間に矢板壁を掛け渡し設置するようにした、この発明の基本をなす地盤掘削用アタッチメントを利用した土留支保工法である。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、この発明の地盤掘削用アタッチメントによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、硬質な岩盤に円滑且つ静粛に大口径の掘削穴を、効率的に穿設することができ、しかも小型・軽量化してホイール式建設機械に搭載し、クレーンの回転半径の距離を隔てた位置から掘削作業を遠隔操作的に制御できるから、近隣の建築物やその他の施設に過剰な振動や騒音を及ぼすことがない上、クレーンを延ばして掘削することにより、式建設機械の地中埋設物上や湧水箇所などへの進入を回避することができるようになるから、従前までは、振動・騒音の防止や、近隣建築物および地中埋設物の損傷防止などという理由の外、湧水箇所などの岩盤掘削にバックホーやブレーカーなどといったクローラ式建設機械を導入できず、掘削工事それ自体を断念せざるを得ない場合が生じて、都市開発などに多大な影響を及ぼしてきたが、こうした課題を解決し、従前まで不可能とされてきた建築物やその他の施設に近接する岩盤層への大口径穴の掘削工事を、円滑に行えるようにすることができるという秀れた特徴が得られるものである。
【0014】
加えて、筒体周回りの均衡する複数箇所夫々に、各半球形ビットを該筒体中心線に対し、下向き中心寄りの所定傾斜角度姿勢とした各軸機構を介して、筒体との間および相互間に適宜間隙を確保するよう軸着したものとすることにより、半球形ビットの地層との接触面積を縮小化し、摩擦抵抗を大幅軽減化すると共に、小石や岩盤破片などを噛み込むトラブルを解消して、岩盤などの硬質地盤を円滑に掘削可能として振動や騒音を格段に低減することができる上、対象掘削穴径よりも充分小径とした先導筒体の下端に、複数の半球形先導ビットを各先導ビット統合外径が、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう配したパイロットヘッドと、対象掘削穴径よりも小径とした後続筒体の周回りに、複数の半球形後続ビットを各後続ビット統合外径が対象掘削穴径に一致するよう配したメインヘッドとを、脱着機構を介して接続可能としたから、パイロットヘッドが、先に先導穴を掘削し、地盤に対して当該地盤掘削用アタッチメントの回転中心を安定的に支持可能なものとし、後続のメインヘッドが、先導穴を対象掘削穴径に拡大するよう掘削するようにしたから、硬質な岩盤にも正確な位置および姿勢の掘削穴を格段に効率的に穿設することができるものとなる。
【0015】
さらに、メインヘッドの下端に脱着機構を介してパイロットヘッドを接続し、それら後続筒体から先導筒体下端の吐出口に至る冷却液用の供給管路を縦貫し、且つ、各半球形先導ビットを、相互間に冷却液通過用間隙を確保するよう、該先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°望ましくは45°の傾斜角度に軸着したから、吐出口から噴射する冷却液が、各半球形先導ビット間の冷却液通過用間隙を円滑に通過するものとなり、しかもメインヘッドの各半球形後続ビット間および各後続ビットと後続筒体との間にパイロットヘッド装着用間隙を確保したから、吐出口から噴射して掘削穴を上昇する冷却液が、各半球形先導ビット間および各半球形後続ビット間を円滑に上昇し、小石や岩盤破片などの詰まりを一段と確実に解消するものとなり、地盤層との摩擦による温度上昇を大幅に軽減し、各ビッドの熔損や破損を防止して耐久寿命を格段に高めることができるという効果を奏するものとなる。
【0016】
そして、先導筒体吐出口周回りの均衡する3箇所夫々に、同先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに45°の傾斜角度とした軸機構によって各先導ビット統合外径が、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう軸着し、同先導筒体上端に脱着機構下部を設けた先端パイロットヘッドと、後続筒体周回りの均衡する3箇所夫々に、同後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに45°の傾斜角度とした軸機構によって各後続ビット統合外径が、対象掘削穴径に一致するよう軸着したメインヘッドとを設けたものは、部品点数を最小限に留めて構造を簡素化できる上、小型・軽量化を達成することができ、一層、耐久強度に秀れて、高い経済性を達成することができるといる利点が得られる。
【0017】
パイロットヘッド先導筒体上端の脱着機構下部が、ボーリングロッド用の連結部と同一のものとするか、または別体アダプターを介在させるものかの何れか一方とし、メインヘッドを介さずともパイロットヘッドをボーリングロッドに直接接続可能としたものは、パイロットヘッド単独で地表層から岩盤層に達するよう掘削することが可能となり、メインヘッドを組みこんだ場合よりも小径の掘削穴を効率的に穿孔可能なものとなり、メインヘッドとパイロットヘッドとを組み合わせると大径の掘削穴を掘削することができるから、一基の地盤掘削用アタッチメントで2種類の掘削を可能とすることができる外、パイロットヘッド単独で先導穴を掘削した後に、メインヘッドとパイロットヘッドとを組み合わせて対象掘削穴を拡大・掘削する作業を実現化することができ、多彩な使用法の実現化によって岩盤掘削の作業性を格段に高めたものとすることができる。
【0018】
各先導ビットおよび各後続ビットが、各半球形の外周縁をテーパー状に面取りし、半球面範囲およびテーパー状面取り範囲に適宜間隔を隔てて万遍なく複数のチップを散在・突起するよう着脱可能に設けてなるものは、半球形の外周縁に加わる摩擦抵抗を軽減し、より円滑な掘削を実現化すると共に、摩耗や損傷したチップを個別に交換して部品の性能を常に高く維持し、耐用年数を延長し、一段と経済的に利用できるものとなる。
【0019】
パイロットヘッドの各先導ビットが、先導筒体下端に設けたスリーブ状支持部または各アーム部に軸着し、および/または、メインヘッドの各後続ビットが、後続筒体周回りに設けた星型支持部または各アーム部に軸着してなるものとすることにより、各先導ビット同士の間隙、各後続ビット同士の間隙および各筒体との間隙などを広げて小石や岩盤破片などの詰まりを一段と確実に防止し、より円滑な掘削工事を実現化することができる。
【0020】
この発明の地盤掘削用アタッチメントを利用した地盤の掘削方法によると、当該地盤掘削用アタッチメントを、クレーンなどの吊下装置に吊り下げた回転駆動源、冷却液供給源、および、該回転駆動源下に有って回転駆動するボーリングロッドの下端に連結することにより、該冷却液供給源からボーリングロッドおよび後続筒体、先導筒体を通じて吐出口より冷却液を噴出するよう制御可能となり、該回転駆動源を駆動し、パイロットヘッド各先導ビットで岩盤層の所望箇所に切り込み、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径の先導穴を穿設しながら掘り下げて当該地盤掘削用アタッチメントの回転中心を、所望箇所に安定誘導可能に支持するようにした上、それに続くメインヘッド各後続ビットが、岩盤層の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径の対象掘削穴を所望深さまで掘削するように制御することにより、吐出口から先導穴および対象掘削穴を冷却液が通過・上昇する過程に、各先導ビット間や各後続ビット間の小石や岩盤破片などを滞りなく上昇・排出するようにして、目詰まりによる回転停止を防止する作用を格段に高めることができる上、各先導ビットおよび各後続ビットの摩擦やそれに起因する過熱を防止し、熔損や欠損などの発生をより確実に防ぐことができ、しかも先導穴を掘削する、パイロットヘッドが、それに後続して対象掘削穴を拡大掘削するメインヘッドの回転中心を安定的に支持するという、パイロットヘッドおよびメインヘッドによる2段階的掘削により、岩盤層に対して所望位置および姿勢の大口径穴を格段に正確に、しかも円滑且つ静粛に掘削することができるようになるという、従来には得られなかった大きな効果を奏するものとなる。
【0021】
加えて、この発明の地盤掘削用アタッチメントのパイロットヘッドのみによって吐出口より噴出するよう冷却液を供給しながら、地表層の所望箇所に岩盤層まで達するよう先導穴のみを掘削した後、メインヘッドおよびパイロットヘッドを組み合わせた地盤掘削用アタッチメントを用いて、吐出口より冷却液を吐出しながら、先に掘削済とした地表層先導穴を対象掘削穴径とするよう拡大掘削し、岩盤層に大口径穴を掘削するようにすることにより、掘削初期段階のパイロットヘッドのみによる掘削によって、掘削する地盤の様子を全体的に把握することができるから、大口径の対象掘削穴を掘削する作業段階には、一段と安定した掘削作業を実現化することができ、工事が予想外に難航して工期を延長せざるを得なくなるという事態を未然に防ぎ、より計画的で効率の良い施工を可能とすることができるという秀れた効果を奏するものとなる。
【0022】
この発明の地盤掘削用アタッチメントを利用した土留支保工法によると、目標土留領域を囲む各支持杭打ち込み箇所の地表層に、パイロットヘッドを用いて先導穴を掘削した上、メインヘッドおよびパイロットヘッドを組み合わせた地盤掘削用アタッチメントを利用し、岩盤層の対象掘削穴径の対象掘削穴を所望深さまで拡大掘削し、当該地盤掘削用アタッチメントを引き上げた上、各支持杭の下端がわ所定範囲が、岩盤層の対象掘削穴に達するよう打ち込み、各支持杭間に矢板壁を掛け渡し設置するようにすることにより、従前までであれば、建築物などの近接箇所に、岩盤層に達するような土留支保工を設置するのは非常に困難か、多くの場合に不可能となってしまい、工事の難航や中止を余儀無くされてしまうものであったが、こうした大きな課題を克服し、正確且つ静粛に大口径の岩盤掘削を実施することができ、土留支保工の施設可能性を格段に高め、従来に比較してより多様な場所に土留支保工を施工できるものになるという大きな効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
パイロットヘッドは、後続のメインヘッドに先立ち、地盤に対象掘削穴径よりも充分小径とする先導穴径の先導穴を掘削し、それよりも大径のメインヘッドの回転軸心を所望する箇所に安定的に支持、誘導可能とする機能を分担し、対象掘削穴径よりも充分小径として、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に冷却液用吐出口を開口した先導筒体を設け、同先導筒体吐出口周回りの均衡する複数箇所夫々に、相互間に冷却液通過用間隙を確保するよう対峙した半球形先導ビットを、同先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°望ましくは45°の傾斜角度とした軸機構によって各先導ビット統合外径が、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう軸着し、同先導筒体上端に脱着機構下部を設けたものとしなければならず、先導ビットの数は、3個以上とすべきであり、望ましくは後述する実施例に示すように、先導筒体吐出口周回りに120°の開き角度をもって3個を均衡するよう配置したものとするのが良い。
【0024】
パイロットヘッド先導筒体上端の脱着機構下部が、ボーリングロッド用の連結部と同一のものとするか、または、別体アダプターを介在させるものかの何れか一方とし、メインヘッドを介さずともパイロットヘッドをボーリングロッドに直接接続可能なものとすることができる。
【0025】
対象掘削穴径は、掘削目標とする穴径寸法であって、例えば、支持杭用打ち込み用の掘削を行う場合には、支持杭径に略一致するか、またはそれよりも僅かに大きな直径に設定するのが良く、その外、交通標識や交通信号機、看板、基礎杭、そのたの柱状体を地盤に埋設する場合には、それら対象柱状体下端の埋設部分直径に略一致する直径寸法に設定するのが望ましい。
【0026】
先導穴は、メインヘッドが対象掘削穴を掘削するのに先立ち、パイロットヘッドが、掘削位置を掘削して、該パイロットヘッドのみに留まらず、後続のメインヘッドを含む地盤掘削用アタッチメント、およびボーリングロッドの回転中心位置を安定的に支持、誘導可能とする機能を担い、パイロットヘッドが、地盤に掘削した穴としなければならない。
【0027】
先導筒体は、パイロットヘッドの各先導ビットを一定の中心軸回りに回転駆動可能とするよう支持すると共に、各先導ビット間に下端方向に向けて吐出口を開口する冷却液用の供給路となる機能を担い、その外径寸法を対象掘削穴径よりも充分小径に設定し、冷却液用の供給管路を縦貫すると共に、筒体下端に冷却液用吐出口を開口し、上端に脱着機構下部を設けたものとしなければならず、脱着機構下部を介して後続筒体下端の脱着機構下部に回転不能に接続可能なものとすべきであり、後述する実施例に示すように、その下端に各先導ビットを軸着するスリーブ状支持部または各アーム部を設けたものとすることができる。
【0028】
先導ビットは、パイロットヘッド先端に掘削性能を付与すると共に、掘削中の加熱を軽減し、小石や岩盤破片などを噛み込んで回転停止してしまうのを防止可能とする機能を担っており、先導筒体吐出口周回りの均衡する複数箇所夫々に、相互間に冷却液通過用間隙を確保するよう対峙した半球形のものとしなければならず、先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°望ましくは45°の傾斜角度とした軸機構によって各先導ビット統合外径が、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう軸着したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、各先導ビットおよび後述する各後続ビットが、各半球形の外周縁をテーパー状に面取りし、半球面範囲およびテーパー状面取り範囲に、適宜間隔を隔てて万遍なく複数のチップを散在・突起するよう設け、各チップは、固定型のものとする外、着脱交換可能なものとすることができる。
【0029】
冷却液通過用間隙は、先導筒体の上端から供給を受け、吐出口から地中に向けて噴出した冷却液が、先導筒体吐出口周回りに、互いに対峙するよう配した各先導ビット相互間を通じて円滑に送出可能にすると共に、各半球形先導ビットに小石や岩盤破片などを噛み込んだり、それらとの摩擦によって過熱したり、さらに焼き付きを生じてしまったりするのを阻止可能とする機能を担い、各先導ビットの半球面範囲同士を適宜間隔を隔てて対峙するように設定してなるものとするのが良い。
【0030】
各先導ビットの先導筒体に対する取付け姿勢は、先導筒体の中心線回りの回転によって地盤に接し、摩擦を受ける各先導ビットが、各軸機構回りに回転可能となるようにする機能を担い、各半球形先導ビット半球面範囲の中心軸から遠心がわとなる適所を先導筒体中心線の先端方向に平行する向きに設定しなければならず、しかも先導筒体の先端がわから正面視すると、吐出口の周囲に、互いに冷却液通過用間隙を隔てた各半球形先導ビットの半球面範囲のみが臨むような姿勢および配置とすべきであり、先導筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°望ましくは45°の傾斜角度とした軸機構によって各先導ビット統合外径が、対象掘削穴径よりも充分小径の先導穴径に一致するよう軸着したものとするのが良い。
【0031】
メインヘッドは、パイロットヘッドが所望する地盤箇所に、対象掘削穴径よりも充分小径とする先導穴径の先導穴を掘削、先導するのに追従し、先導穴を対象掘削穴径に一致する口径に拡大するよう掘削する機能を分担し、対象掘削穴径よりも小径とし、冷却液用の供給管路を縦貫した筒体下端に、当該脱着機構下部を接続可能な脱着機構上部、同筒体上端にボーリングロッド用の連結部を有する後続筒体を設け、同後続筒体周回りの均衡する複数箇所夫々に、当該パイロットヘッド装着用間隙を確保するよう対峙した半球形後続ビットを、同後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°望ましくは45°の傾斜角度とした軸機構によって各後続ビット統合外径が、対象掘削穴径に一致するよう軸着したものとしなければならず、後続ビットの数を3個以上とすべきであり、例えば、先導ビットが3個の場合に、後続ビットが3ないし4個設けたものとするのが良く、後述する実施例に示すように、後続筒体下端に脱着機構上部およびパイロットヘッド装着用間隙を確保するよう3個の後続ビットを、互いに120°の開き角度をもって均衡するよう配置したものとすることができる。
【0032】
後続筒体は、メインヘッドの各後続ビットを一定の中心軸回りに回転駆動可能とするよう支持すると共に、周囲各後続ビット間を通過する冷却液用供給路となる機能を担い、その外径寸法を対象掘削穴径よりも充分小径に設定し、冷却液用の供給管路を縦貫すると共に、筒体上端にボーリングロッド用の連結部を設け、筒体下端に脱着機構上部を設けたものとしなければならず、連結部を介してボーリングロッド下端を回転不能に連結し、脱着機構上部を介して、先導筒体上端の脱着機構下部に回転不能に接続可能なものとすべきであり、後述してある実施例にも示すように、その周回りの均衡する複数箇所夫々に、各後続ビットを軸着する星型支持部または各アーム部を設けたものとすることができる。
【0033】
後続ビットは、メインヘッドの周囲に掘削性能を付与すると共に、掘削中の加熱を軽減し、小石や岩盤破片などを噛み込んで回転停止してしまうのを防止可能とする機能を担い、後続筒体の外周壁周囲の均衡する複数箇所夫々に、相互間にパイロットヘッド装着用間隙を確保するよう対峙した半球形のものとしなければならず、後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°望ましくは45°の傾斜角度とした軸機構によって各後続ビット統合外径が、対象掘削穴径に一致するよう軸着したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、各半球形の外周縁をテーパー状に面取りし、半球面範囲およびテーパー状面取り範囲に、適宜間隔を隔てて万遍なく複数のチップを散在・突起するよう設け、各チップは、固定型のものとする外、着脱交換可能なものとすることができ、各先導ビットおよび各後続ビットは、全て同一半径に設定したものとすることができる外、何れか一方が、何れか他方よりも大きな半径のものとすることができ、また、各先導ビット同士間、および/または、各後続ビット同士間で、互いに半径が異なるものを組み合わせてなるものとすることが可能である。
【0034】
パイロットヘッド装着用間隙は、メインヘッド後続筒体下端の脱着機構上部に、パイロットヘッド先導筒体上端の脱着機構下部を装着する際に、該後続筒体の周囲に配した各後続ビット間に、先導筒体が干渉することなく、装着可能とするよう間隙を確保すると共に、各後続ビット同士間、および、各後続ビットと先導筒体との間などに小石や岩盤破片などが目詰まりしないようにし、さらに、後続筒体から先導筒体を経て、吐出口から噴出した冷却液が、掘削穴内を上昇する流れが、各後続ビット同士間、および、各後続ビットと先導筒体との間などを通じて円滑に流動・排出可能とする機能を担い、各後続ビットの半球面範囲同士間、および、各半球面範囲と後続筒体や先導筒体との間に適宜間隔を隔てるよう設定してなるものとするのが良い。
【0035】
各後続ビットの後続筒体に対する取付け姿勢は、後続筒体の中心線回りの回転によって地盤に接し、摩擦を受ける各後続ビットが、各軸機構回りに回転可能となるようにする機能を担い、各半球形後続ビット半球面範囲の中心軸から遠心がわとなる適所を後続筒体中心線の先端方向に平行する向きに設定しなければならず、しかも後続筒体の下端がわから底面視すると、脱着機構下部の外側周囲に、互いにパイロットヘッド装着用間隙を隔てた各半球形後続ビットの半球面範囲のみが臨むような姿勢および配置とすべきであり、後続筒体中心線に対し、下向き中心寄りに30°ないし60°望ましくは45°の傾斜角度とした軸機構によって各後続ビット統合外径が、対象掘削穴径に一致するよう軸着したものとするのが良い。
【0036】
脱着機構は、パイロットヘッド上端とメインヘッド下端とを同心状、且つ回転不能に接続可能とする機能を担い、各先導ビットの上方外がわに、各後続ビットが配するよう組合せ接続可能なものとする機能を担い、パイロットヘッドの先導筒体上端に脱着機構下部を設け、メインヘッド後の続筒体下端に脱着機構上部を設け、掘削中の負荷に耐える強度を有するものとしなければならず、パイロットヘッド上端の脱着機構下部が、ボーリングロッド用の連結部と同一のものとするか、または、別体アダプターを介在させるものかの何れか一方とし、メインヘッドを介さずともパイロットヘッドをボーリングロッドに直接接続可能なものとすることができ、脱着機構や連結部などは、機械的なネジ式やジョイント、クランプ、直径方向に貫通する連結ピンなど様々なものを利用することができる。
【0037】
この発明の地盤掘削用アタッチメントを利用した地盤の掘削方法は、地表層を掘削する場合に、始めからメインヘッドとパイロットヘッドとを組み合わせた地盤掘削用アタッチメントを使用し、そのまま岩盤層まで掘削するよう作業を進めることができる外、始めにパイロットヘッドのみをボーリングロッドに接続し、地表層または岩盤層まで達する先導穴を掘削した後、地上に抜き出したボーリングロッドから一旦、パイロットヘッドを取り外し、メインヘッドとパイロットヘッドとを組み合わせた地盤掘削用アタッチメントをボーリングロッドに組み込み、先に掘削した先導穴を案内として岩盤層まで達する所望対象掘削穴径の対象掘削穴を掘削するよう作業を進めことが可能である。
【0038】
クレーンなどの吊下装置は、クレーンを装備した建設機械などとすることができるものの、掘削目標位置付近に他の建築物などが有る場合など、大重量のクローラ式建設機械などを利用出来ない場合などには、後述してある実施例にも示しているように、ホイール式の、例えばトラッククレーンなどを利用するのが望ましく、回転駆動源は、ボーリングロッドおよび、この発明の地盤掘削用アタッチメントを充分なトルクで回転駆動可能な動力源としなければならず、静粛な掘削を実現可能な電動モーターおよび変速機構などからなるものとするのが望ましく、周辺条件に応じて油圧モーターやエンジンなどを利用することも可能であり、ボーリングロッドは、対象掘削穴の掘削目標深さよりも長く、しかも掘削中のトルクに充分に耐える強度を有するものとし、上端を回転駆動源に、下端をこの発明の地盤掘削用アタッチメントに夫々、適宜連結可能なものとしなければならず、下端には、地盤掘削用アタッチメント連結部および/または脱着機構下部を着脱自在に連結可能なものとすべきであり、冷却液供給源は、地上や車両に搭載した冷却液水槽からポンプなどによって汲み上げ、ボーリングロッド適所を通じて供給管路に強制的に供給可能とするものや、後述する実施例に示すように、ボーリングロッドの上端寄り中途適所が、冷却液タンクを縦貫するよう組合せ、重力またはポンプ、コンプレッサー利用の圧縮空気圧などによる冷却液圧を利用して供給管路に加圧供給可能とするものなどとすることができ、冷却液は、水を使用することが可能であり、水道水、雨水、地下水、各種水溶液、泥水その他、掘削への利用や、その後の土地利用など、自然環境に支障がない冷却液を利用することが可能である。
【0039】
この発明の地盤掘削用アタッチメントを利用するようにした土留支保工法は、始めからメインヘッドとパイロットヘッドとを組み合わせた地盤掘削用アタッチメントを使用して、そのまま岩盤層まで掘削し、岩盤層に達した地盤掘削用アタッチメントを引き抜き、その対象掘削穴に支持杭を打ち込むように作業を進めることが可能である他に、始めに、ボーリングロッドにパイロットヘッドを直接接続したものを利用して地表層または岩盤層に達するよう先導穴を掘削した後、メインヘッドとパイロットヘッドとを組み合わせた地盤掘削用アタッチメントを使用して、岩盤層に達するよう先導穴に誘導されるようにして対象掘削穴を掘削した上、地盤掘削用アタッチメントを引き抜き、その対象掘削穴に支持杭を打ち込むように作業を進め、各支持杭間に矢板壁を掛け渡し設置するようにしたものとすることができる
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図面は、この発明の地盤掘削用アタッチメント、それを利用した掘削方法、および、土留支保工法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図1】地盤掘削用アタッチメントを示す正面図である。
【
図2】地盤掘削用アタッチメントを示す上面図である。
【
図3】地盤掘削用アタッチメントを示す下面図である。
【
図4】分解した地盤掘削用アタッチメントを示す正面図である。
【
図8】一部の寸法および形状を変えた地盤掘削用アタッチメントを示す正面図である。
【
図9】この発明により地盤に先導穴を掘削する状態を模式的に示す正面図である。
【
図10】この発明により地盤に対象掘削穴を掘削する状態を模式的に示す正面図である。
【
図11】地盤掘削用アタッチメントが地盤掘削する状態を示す正面図である。
【
図12】杭施設対象となる地盤を示す断面図である。
【
図13】対象掘削穴を掘削する地盤掘削用アタッチメントを示す断面図である。
【
図14】対象掘削穴に打ち立てた杭を示す断面図である。
【
図15】土留支保工法の施工対象となる地盤を示す断面図である。
【
図16】対象掘削穴を掘削する地盤掘削用アタッチメントを示す断面図である。
【
図17】対象掘削穴に杭を打ち立てる作業状態を示す断面図である。
【
図18】土留領域を囲むよう掘削した対象掘削穴を示す平面図である。
【
図20】撤去作業を終えた地盤を示す平面図である。
【実施例1】
【0041】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の地盤掘削用アタッチメント1は、先導筒体20吐出口22に冷却液W通過用間隙S1を確保するよう対峙した複数の半球形先導ビット3,3,3を、同先導筒体20中心線Cに対し、45°の傾斜角度βに軸着し、同先導筒体20上端に脱着機構下部60を設けた先端パイロットヘッド2と、筒体40の下端に脱着機構上部61、同上端に連結部42を有する後続筒体40を設け、同後続筒体40周回りに、パイロットヘッド2装着用間隙S2を確保するよう対峙した複数の半球形後続ビット5,5,5を、同後続筒体40中心線Cに対し、45°の傾斜角度βに軸着したメインヘッド4とからなり、当該脱着機構下部60に脱着機構上部61を回転不能に接続し、各先導ビット3,3,3の上方外がわに、各後続ビット5,5,5が配するよう組合せ接続可能なものとした、この発明の地盤掘削用アタッチメントにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0042】
図1ないし
図7に図示しているとおり、地盤掘削用アタッチメント1は、パイロットヘッド2とメインヘッド3との組合せからなり、パイロットヘッド2は、その軸部分をなす先導筒体20が、例えば電柱(図示せず)を立てる目的で掘削を行う場合には、対象電柱の基端直径相当の対象掘削穴径Dよりも充分小径に設定し、同筒体20の内部に、冷却液W用の供給管路21を縦貫するようにすると共に、同筒体20の下端に冷却液W用吐出口22を開口した上に、該先導筒体20吐出口22には、先端に向かい僅かに拡開状となるスリーブ状支持部23を設け、該支持部23周回りに120°の角度α毎となる均衡する3箇所夫々に、相互間に冷却液通過用間隙S1を確保するよう対峙した半球形先導ビット3,3,3を、同先導筒体20中心線Cに対し、下向き中心寄りに45°の傾斜角度βとした軸機構30,30,30により、各先導ビット3,3,3統合外径dが対象掘削穴径Dよりも充分小径の先導穴径H1に一致するよう軸着した上、同先導筒体20上端に、当該地盤掘削用アタッチメント1の掘削作業中の正回転によって螺合・結合し、且つ、逆回転によって螺解・離脱可能なネジ部からなる脱着機構下部60を設けるようにしたものとしてある。
【0043】
メインヘッド4は、その軸部分をなす後続筒体40が、例えば電柱(図示せず)を立てる目的で掘削を行う場合には、対象電柱の基端直径相当の対象掘削穴径Dよりも小径に設定し、同筒体40の内部に、冷却液W用の供給管路41を縦貫すると共に、同筒体40の下端に、当該脱着機構下部60に対し、当該地盤掘削用アタッチメント1の掘削作業中の正回転によって螺合・結合し、且つ、逆回転によって螺解・離脱可能なネジ部からなる脱着機構上部61を、また、同筒体40上端にボーリングロッド73(
図13に示す)接続用の連結部42を夫々設けた上、該後続筒体40外周壁には、周回りに120°の角度α毎となる均衡する3箇所夫々から先端に向かい僅かに拡開状となるようにするため、該後続筒体40の先端を僅かに超えるようにしてアーム部43,43,43を延伸し、各々のアーム部43,43,43の先端にパイロットヘッド2装着用間隙S2を確保するよう対峙した半球形後続ビット5,5,5を、同後続筒体40中心線Cに対し、下向き中心寄りに45°の傾斜角度βとした軸機構50,50,50によって各後続ビット5,5,5統合外径Dが、対象電柱の基端直径相当の対象掘削穴径Dに一致するよう軸着したものである。
【0044】
地盤掘削用アタッチメント1のパイロットヘッド2先導ビット3,3,3統合外径dは、回転駆動源71およびボーリングロッド73の掘削方向性を確実に伝えることができる直径、例えばΦ100mm、Φ250mm、Φ320mmなどの何れかに設定可能であり、また、メインヘッド4の後続ビット5,5,5統合外径Dは、対象掘削穴径D、例えば電柱穴径に相当するΦ400mm、Φ420mm、Φ450mmなどの何れかに設定可能であり、それらを例えば、「d:Φ320mm、D:Φ420mm」、「d:Φ160mm、D:Φ400mm」、「d:Φ350mm、D:Φ420mm」のように組み合わせて利用することができる。
【0045】
パイロットヘッド2およびメインヘッド4は、当該脱着機構下部60に脱着機構上部61を回転不能に接続するようにし、各先導ビット3,3,3の上方外がわに各後続ビット5,5,5が配するよう組み合わせ、接続可能なものとし、且つ、パイロットヘッド2先導筒体20上端の脱着機構下部60が、ボーリングロッド73(
図13に示す)用の連結部42と同一のものとするか、または、別体アダプターを介在させるものかの何れか一方とし、メインヘッド4を介さずともパイロットヘッド2をボーリングロッド73に直接接続可能なものとしてある。
【0046】
図1、
図8および
図11に示すように、当該地盤掘削用アタッチメント1のパイロットヘッド2およびメインヘッド4要部の上下長寸法Lや、先導ビット3,3,3統合外径d、後続ビット5,5,5統合外径D、および、スリーブ状支持部23、アーム部43,43,43の形状や寸法などを適宜変更することが可能であり、各先導ビット3,3,3および各後続ビット5,5,5が、各半球形の外周縁をテーパー状に面取りし、半球面範囲31,51およびテーパー状面取り範囲32,52に、適宜間隔を隔てて万遍なく複数のチップ33,53を散在・突起するよう設けたものとし、摩耗した場合には着脱交換可能な、取付ネジなどの着脱構造(図示せず)を有するものとしてある。
【0047】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の地盤掘削用アタッチメント1は、
図9および
図10に示しているように、パイロットヘッド2のみをボーリングロッド73に接続して地盤8に先導穴径dの先導穴H1を掘削した後、一旦、ボーリングロッド73を引き上げてパイロットヘッド2を外し、メインヘッド4およびパイロットヘッド2を組み合わせた地盤掘削用アタッチメント1をボーリングロッド73に連結し、先の先導穴H1に沿ってパイロットヘッド2を打ち込むようにしてメインヘッド4の回転中心を安定化させ、所望する位置に正確に、対象掘削穴径Dの対象掘削穴H2を掘削するよう、この発明の掘削方法を実施することができる。
【0048】
また、
図11および
図13に図示しているとおり、この発明の地盤掘削用アタッチメント1は、トラッククレーン7搭載のクレーン70などの吊下装置に吊り下げた電動モーターや油圧モーターなどの回転駆動源71、冷却水タンクや、地上の水槽に溜めた冷却水を圧送可能な冷却水ポンプの吐出パイプなどの冷却液供給源72、および、該回転駆動源71下に有って回転駆動するボーリングロッド73の下端に連結し、地盤8に掘削を行う場合には、ボーリングロッド73および地盤掘削用アタッチメント1の回転駆動に伴い、パイロットヘッド2吐出口22より、
図11中の白抜き矢印に示すよう、冷却水Wを噴射し、該地盤掘削用アタッチメント1の回転によって破砕石や掘削土と混ざり合い泥水化しながら、先導穴H1から対象掘削穴H2へと冷却液通過用間隙S1、先導ビット3,3,3間、パイロットヘッド2装着用間隙S2、および後続ビット5,5,5間を通じて円滑に流動・上昇し、その上昇過程によって先導ビット3,3,3および後続ビット5,5,5の目詰まりを阻止し、且つ強制的に冷却して過熱による損傷を防止し、回転停止を回避して円滑な掘削を実現化することができる。
【0049】
そして、
図9ないし
図14のように、地盤掘削用アタッチメント1は、後続ビット統合外径Dを100〜400mmに設定し、この発明の掘削方法の実施によって、建築物82の近接位置に対象掘削穴径D(100〜400mm)の電柱9を施設する場合には、トラッククレーン7の吊下装置に吊り下げた電動モーターおよび減速機からなる回転駆動源71の回転軸下にボーリングロッド73上端を吊下・連結し、該ボーリングロッド73上端寄り適所には、同ボーリングロッド73が上下縦貫するよう外装した冷却液タンク、および車載の水槽、濾過機能を有する給水ポンプ、エアポンプ、および、先導穴H1、対象掘削穴H2開口縁掘り下げた貯水池から循環冷却液を回収し、水槽に循環する給水ポンプ(何れも図示せず)を有する冷却液供給源72を利用することができ、該ボーリングロッド73の下端に、地盤掘削用アタッチメント1のパイロットヘッド2のみを連結し、冷却液供給源72からボーリングロッド73内、供給管路41,21を通じて吐出口22より噴出するよう冷却液Wを供給しながら、地表層80の所望箇所に岩盤層81まで達するよう先導穴H1のみを掘削した後、一旦、ボーリングロッド73およびパイロットヘッド2を引き上げ、メインヘッド4およびパイロットヘッド2を組み合わせた地盤掘削用アタッチメント1をボーリングロッド73下端に連結した上、再び、吐出口22より冷却液Wを噴出させながら、先に掘削済とした地表層80先導穴H1を掘削し、岩盤層81に達したパイロットヘッド2各先導ビット3,3,3が、対象掘削穴径Dよりも充分小径の先導穴径dの先導穴H1を穿設しながら掘り下げ、当該地盤掘削用アタッチメント1全体の回転中心を、当該所望箇所に安定誘導可能に支持するようにした上、後続のメインヘッド4各後続ビット5,5,5が、岩盤層81の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径Dの対象掘削穴H2を所望深さまで掘削するようにすることができる。
【0050】
さらに、
図11および
図13に示しているとおり、掘削中には、冷却液供給源72から供給する冷却液Wが、パイロットヘッド2吐出口22から先導穴H1の最深部に噴射して、冷却液通過用間隙S1やパイロットヘッド2装着用間隙S2などの間隙を通じて各先導ビット3,3,3および各後続ビット5,5,5を冷却し、目詰まりや過熱による熔損などを防止し、円滑且つ静粛な掘削工事を実現化することができ、対象掘削穴H2の開口縁まで上昇した冷却液Wは、図示していない貯水池に溢れ出し、給水ポンプ(図示せず)が該貯水池から冷却液Wを吸い上げ、車載の水槽に循環し、給水ポンプが濾過し、冷却液供給源(冷却液タンク)72に圧送するようにし、冷却液Wを大量消費することなく循環して有効活用可能なものとしてある。
図13および
図14のように、掘削した対象掘削穴H2には、近接する建築物82に過剰な振動や騒音を及ぼすことなく、静粛且つ円滑に、電柱9の直径Dの基端がわ所定範囲が、岩盤層81に達するよう正確に打設することができる。
【0051】
また、
図9ないし
図11、および
図15ないし
図20に示すとおり、地盤掘削用アタッチメント1は、この発明の土留支保工法の実施によって、建築物82の近接位置に既存の埋設物(取り壊し建築物の基礎など)84の周囲に支保工90を施工し、埋設物84を安全に撤去しようとする場合に、先ず、目標土留領域83を囲む各支持杭91打ち込み箇所夫々の地表層80に、ボーリングロッド73にパイロットヘッド2のみを接続し、吐出口22より噴出するよう冷却液Wを供給しながら、支持杭91径dに略一致する対象掘削穴H2よりも充分に小さな先導穴径dの先導穴H1を掘削した上、ボーリングロッド73に、メインヘッド4およびパイロットヘッド2を組み合わせた地盤掘削用アタッチメント1を連結し、吐出口22より噴出するよう冷却液Wを供給しながら、地表層80の先導穴H1に対し、支持杭91の外周直径Dに略一致する対象掘削穴径Dとするよう拡大掘削し、その掘削中に、岩盤層81に達したパイロットヘッド2各先導ビット3,3,3で対象掘削穴径Dよりも充分小径の先導穴径dの先導穴H1を穿設しながら掘り下げて当該地盤掘削用アタッチメント1の回転中心Cを、当該所望箇所に安定誘導可能に支持するようにし、当該パイロットヘッド2各先導ビット3,3,3に続くメインヘッド4各後続ビット5.5.5が、岩盤層81の所望箇所に切り込み、所望対象掘削穴径Dの対象掘削穴H2を所望深さまで掘削した後、当該地盤掘削用アタッチメント1を引き上げた上、支持杭91の下端がわ所定範囲が、岩盤層81の対象掘削穴H2に達するよう打ち込み、このような支持杭91の打ち込み作業を、目標土留領域83を囲む各支持杭91打ち込み箇所夫々について行った後、
図19に示すように、地表層80の各支持杭91,91,……間に矢板壁92,92,……を掛け渡すよう埋設し支保工90を完成させることができる。
【0052】
さらにまた、ボーリングロッド73に吊下するようにした地盤掘削用アタッチメント1は、トラッククレーン7からクレーン70の回転半径(例えば7m程度)の範囲に掘削工事可能なものとすることができ、近隣の建築物82から充分に離れた位置にトラッククレーン7を停止させ、遠隔的に工事することにより、建築物82およびその利用者に与える、振動や騒音の影響を最小限に留めることができる外、地中埋設物上や湧水箇所などを迂回するようクレーン70を延ばして遠隔的に掘削することができる。
【0053】
そして、
図19および
図20に示してあるように、支保工90の完成後に、埋設物84を安全に撤去した上、撤去によって残った穴を埋め戻し、各支持杭91,91,……および矢板壁92,92,……を撤去して、その穴も埋め戻して整地し、更地に戻した状態とする。
【0054】
(結 び)
叙述の如く、この発明の地盤掘削用アタッチメント、それを利用した掘削方法、および、土留支保工法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの掘削装置技術に比較して、岩盤に対し大口径穴を静粛且つ格段に効率的に掘削可能なものとし、その地盤掘削用アタッチメントの耐久強度を大幅に高め、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、クローラ式の建設機械を不要として岩盤掘削作業性を大幅に改善し得るものとなることから、経費の節減および作業の効率化を希望する建設業界はもとより、従前までであれば、振動や騒音の発生や近隣建築物に近すぎる、地中埋設物上や湧水箇所などに重機を進入させられないなどの諸種の理由によって不可能とされてきた岩盤への大口径穴掘削工事、および、そうした岩盤掘削を伴う各種土木工事を是否とも施工したいと考える不動産業界および一般家庭においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0055】
1 地盤掘削用アタッチメント
2 パイロットヘッド
20 同 先導筒体
21 同 供給管路
22 同 吐出口
23 同 スリーブ状支持部(またはアーム部)
C 同 中心線
3 先導ビット
30 同 軸機構
31 同 半球面範囲
32 同 テーパー状面取り範囲
33 同 チップ
S1 同 冷却液通過用間隙
α 同 先導ビット開き角度
β 同 軸機構の傾斜角度
4 メインヘッド
40 同 後続筒体
41 同 供給管路
42 同 連結部(または別体アダプター)
43 同 アーム部
5 後続ビット
50 同 軸機構
51 同 半球面範囲
52 同 テーパー状面取り範囲
53 同 チップ
S2 同 パイロットヘッド装着用間隙
6 脱着機構
60 同 脱着機構下部
61 同 脱着機構上部
L 地盤掘削用アタッチメント要部の上下長寸法
H1 先導穴
d 同 先導穴径(先導ビット統合外径)
H2 対象掘削穴
D 同 対象掘削穴径(後続ビット統合外径)
7 トラック(建設機械)
70 同 クレーン
71 同 回転駆動源
72 同 冷却液供給源
W 同 冷却液
73 同ボーリングロッド
8 地盤
80 同 地表層
81 同 岩盤層
82 同 建築物
83 同 土留領域
84 同 埋設物
9 電柱
90 同 支保工
91 同 支持杭
92 同 矢板壁