(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載の架橋剤組成物と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプタン基、ホスフィン基、アミド基、イミド基、カルバメート基、イミノ基及びアミノ基からなる群から選択される反応性官能基を有するオリゴマー又はポリマー材料とを含む、架橋性組成物。
官能基がヒドロキシル基であり、オリゴマー又はポリマー材料が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエーテルポリオールからなる群から選択され、オリゴマー又はポリマー材料が5mg/gから300mg/gのヒドロキシル価を有することを特徴とする、請求項4に記載の架橋性組成物。
官能基がカルボキシル基であり、オリゴマー又はポリマー材料が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシエステル樹脂、ビニル樹脂、ロジン及びマレイネート樹脂からなる群から選択され、オリゴマー又はポリマー材料が5mg/gから300mg/gの酸価を有することを特徴とする、請求項4に記載の架橋性組成物。
官能基がアミノ基であり、オリゴマー又はポリマー材料が、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシアミン付加体及びビニル樹脂からなる群から選択され、ポリマー材料が5mg/gから300mg/gのアミン価を有することを特徴とする、請求項4に記載の架橋性組成物。
官能基がカルバメート官能基であり、オリゴマー又はポリマー材料が、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシアミン付加体及びビニル樹脂からなる群から選択され、オリゴマー又はポリマー材料が0.1mmol/gから6mmol/gのカルバメート基の特定の物質量を有することを特徴とする、請求項4に記載の架橋性組成物。
架橋剤(a)の活性化温度及び架橋剤(b)の活性化温度が、少なくとも10K異なり、架橋剤(a)の活性化温度が、架橋剤(b)の活性化温度より低い、請求項1に記載の架橋剤組成物。
基材が、紙、段ボール、布地、皮革、木材、加工木材、並びに複合材料、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含むプラスチックからなる群から、さらに金属、セラミック、石、石膏、ガラス及びコンクリートから選択されることを特徴とする、請求項13に記載の使用方法。
紙、布地、木材、加工木材、皮革又はセルロース材料からなる群から選択される基材用の架橋剤として、請求項1又は請求項2に記載の架橋剤組成物を使用する方法であって、
触媒、充填剤、湿潤剤、溶媒及び希釈剤の少なくとも1種を、請求項1又は請求項2に記載の架橋剤組成物に混合するステップ、並びに
このようにして形成された混合物を基材に塗布するステップ
を含む、上記使用方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明によれば、反応生成物UAと、上で詳説された架橋剤(b)の少なくとも1種とのそのような混合物を使用する場合、架橋剤(b)の質量m(b)に対する、又は、これらの架橋剤(b)の2種以上が使用される場合は混合物中の全ての架橋剤(b)の質量の合計m(b tot)に対する反応生成物UAの質量m(UA)の比は、1/99から99/1、好ましくは10/90から90/10、特に好ましくは30/70から70/30である。本明細書において使用される質量mは、別段に明示的に示されていない場合、常に活性成分の質量を表し、活性成分を含有する溶液の質量ではない。
【0016】
多官能性アルデヒドAは、式OHC−R’−CHO(式中、R’は、直接的な結合、又は、好ましくは直鎖、分岐鎖若しくは環式脂肪族基であってもよく、また1個から20個の炭素原子を有してもよい二価基(これらのR’の選択肢は両方とも、厳密に2つの−CHO基を有する二価アルデヒドをもたらす)、又は、直鎖、分岐鎖若しくは環式であってもよく、また1個から20個の炭素原子を有してもよい脂肪族二価基であってもよく、脂肪族二価基は、少なくとも1つの追加的アルデヒド基−CHOを保持する(後者の選択肢は、少なくとも3つのアルデヒド基を有する三価又は多価アルデヒドをもたらす)。
【0017】
「多官能性」(“multifunctional”)は、本発明に関して、2種以上の官能基を有する分子を指すように使用される。好ましいアルデヒドは、二価脂肪族アルデヒド、特にグリオキサール、マロン酸ジアルデヒド、コハク酸ジアルデヒド、及びグルタル酸ジアルデヒドである。特に好ましいのは、グリオキサールである。また、これらの混合物、好ましくは少なくとも50%の質量分率のグリオキサール、特に好ましくは少なくとも70%の質量分率のグリオキサールを含む混合物も使用することができる。グリオキサールは、本発明において、水溶液として、無水固体(これは、融点が15℃であるため冷却される必要がある)として、又はその二量体若しくは三量体の形態で、任意選択で二水和物としての固体水和形態で、又は酸性条件下で分解する亜硫酸塩若しくは亜硫酸水素塩とのその付加生成物の形態で使用されてもよい。
【0018】
本発明に従い使用され得る環状尿素Uは、少なくとも1つの置換されていないアミド性>NH基を有する。これらの環状尿素Uは、環構造内に構造要素−NH−CO−NH−を有する脂環式又は二脂環式化合物であり、環原子の総数は、好ましくは、5個から7個(エチレン尿素、1,2−プロピレン尿素、1,3−プロピレン尿素、1,4−ブチレン尿素又はテトラメチレン尿素)である。特に好ましいのは、エチレン尿素又はエチレン尿素を含む混合物、特に少なくとも50%の質量分率のエチレン尿素を含む混合物である。二環式化合物の場合、最も単純な構造は、グリコールウリル(glycoluril)又はアセチレン二尿素である。ヒドロキシ官能性尿素は、本発明においては有用ではない。
【0019】
環状尿素は、N若しくはC原子上、又はその両方で、好ましくはアルキル基により置換されていてもよく、アルキル残基は、好ましくは、1個から4個の炭素原子を有する。窒素原子の少なくとも1個は、アルデヒド官能性分子との反応を可能とするために、置換されていないままでなければならない。好ましくは、少なくとも1種の環状尿素Uは、エチレン尿素、1,2−プロピレン尿素、グリコリル尿素としても知られるヒダントイン、及びオキサリル尿素としても知られるパラバン酸、及びグリコールウリルからなる群U1から、並びに、環状尿素U1の窒素又は炭素原子の少なくとも1個上に追加的に少なくとも1つの置換基R
3を有する前記環状尿素U1からなる群U2から選択されるが、ただし、少なくとも1個の窒素原子は置換されておらず、置換基R
3は、1個から10個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖及び環式アルキル基からなる群から選択される。
【0020】
特に好ましい組合せは、他の多官能性アルデヒド及び/又は他の環状尿素と混合された、エチレン尿素と反応したグリオキサール、及び任意選択でグリオキサール若しくはエチレン尿素のいずれか、又はその両方である。
【0021】
市販の品質、例えば約96%の純度を有する市販のエチレン尿素(1つの市販製品中のエチレン尿素の質量分率は、(96.0±0.5)%である)の代わりに、精製された環状尿素を使用する場合、多官能性アルデヒドとの反応生成物の色及び安定性の両方が改善されることが見出された。精製は、再結晶、抽出、吸着及びイオン交換反応、蒸留若しくは昇華、又は錯化等の通常のプロセスにより、好ましく溶融結晶化により行うことができ、後者のプロセスは、低いエネルギー消費量、高い空時収率、及び一貫して良好な品質の利点を有する。
【0022】
より高いモル質量の反応生成物UAは、複数ステッププロセスにより作製することができ、ステップa)において、添加される多官能性アルデヒドAの量は、必要とされる化学量論的量の90%未満、好ましくは必要とされる化学量論的量の20%から80%の間、特に好ましくは必要とされる化学量論的量の30%から70%の間であり、ステップa)の後、さらなる量の多官能性アルデヒドAが添加され、ステップa)において形成された反応混合物と反応され、添加される多官能性アルデヒドAの総量は、多官能性アルデヒドAにおけるアルデヒド基の物質量n(−CHO)及び環状尿素Uにおける−CO−NH−基の物質量n(−CO−NH)の比が、好ましくは0.2mol/molから4mol/mol、特に好ましくは0.8mol/molから1.40mol/mol、特に好ましくは1.0mol/molから1.30mol/molであるように選択されることが見出された。
【0023】
さらに、環状尿素Uと多官能性脂肪族アルデヒドAとの間の反応は、好ましくは、環状尿素U、多官能性脂肪族アルデヒドA、及びそれらの反応生成物UAのいずれとも反応しない溶媒の存在下で行うことができることが見出された。溶媒は、複数ステッププロセスにおいて、第1のステップの間に反応混合物に、又は第1のステップの後に反応混合物に添加されてもよい。有用な溶媒は、異性体キシレン、それらの混合物、さらにトルエン及びエチルベンゼンとの混合物等の芳香族化合物及びそれらの混合物、芳香族及び脂肪族エステル、パラフィン及びそれらの混合物、分岐鎖脂肪族炭化水素、並びに直鎖、分岐鎖及び環式脂肪族エーテルである。これらの溶媒はまた、水溶液又は水和物の形態で添加され得る出発生成物からの共沸蒸留において水を除去するために使用されてもよい。
【0024】
好ましい変形例において、環状尿素U、多官能性アルデヒドA、及び任意選択で水又は溶媒の混合物は、蒸留、又は減圧下での蒸留により揮発性構成物質を除去することで、反応前又は反応中に濃縮される。
【0025】
好ましい実施形態において、好ましくは少なくとも部分的にエーテル化された反応生成物UAが、本発明による架橋剤組成物における成分(a)として使用される。
【0026】
「エーテル化された」とは、本明細書において、アルデヒドの環状尿素への付加反応(Xは、多官能性アルデヒドと反応していてもよい、又は、−CO−NH−基を取り出した後にポリマー若しくはオリゴマー鎖の一部であってもよい環状尿素の残基である):
【化1】
の生成物において、付加反応において生成されるアルデヒド分子のカルボニル炭素原子(上記式において太字の「C」で示される)に結合したヒドロキシル基が、アルコキシ基−ORにより置きかえられることを意味する。(成長)ポリマー鎖は、
【化2】
で示される。
【0027】
「部分的にエーテル化された」とは、本明細書において、アルデヒドのカルボニル炭素原子に結合した−OH及び−OR基の両方が、そのような「部分的にエーテル化された」生成物中に存在し、少なくとも部分的にエーテル化された反応生成物は、アルデヒドAのカルボニル炭素原子上の置換基として、ヒドロキシル基−OH及びアルコキシ基−ORからなる群から選択される官能基の少なくとも1種を有することを意味する。
【0028】
本発明の少なくとも部分的にエーテル化された反応生成物は、アルデヒドAのカルボニル炭素原子上の置換基として、ヒドロキシル基−OH及びアルコキシ基−ORからなる群から選択される官能基の少なくとも1種を有し、基−ORが、アルコキシ基−OR
1及び−OR
2(式中、R
1及びR
2は共に、互いに独立して、−O−、−NR”−、−S−の1つ又は複数により中断されていてもよい(式中、R”は、H、又は1個から6個の炭素原子を有するアルキル基を表す)が、ただし、2つの−O−又は2つの−S−原子が直接隣接することはできない1個から12個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖又は環式アルキル基からなる群から選択される)を含むことを特徴とし、
− 第1の実施形態において、R
1及びR
2は互いに異なり、R
2は、R
1よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、又は、
− 第2の実施形態において、R
1及びR
2は同じである。
【0029】
本発明との関連において、「部分的にエーテル化された」とは、好ましくは、アルデヒド基とn(−CO−NH)基との反応により形成されるヒドロキシル基のアルコールでのエーテル化により生成されたアルコキシ基の物質量n(−OR)の、前記アルコキシ基の物質量n(−OR)及びエーテル化されていない前記ヒドロキシル基の物質量n(−OH)の合計に対する比が、少なくとも0.01mol/molであることを意味する。
【0030】
環状尿素としてエチレン尿素を、及び多官能性アルデヒドとしてグリオキサール使用する好ましい場合において、−R’−は、直接的な結合であり、−X−は、−NH−CH
2−CH
2−である。
【0031】
本発明に有用な脂肪族アルコールR−OHは、少なくとも1つのヒドロキシル基、及び、−O−、−NR”−、−S−の1つ又は複数により中断されていてもよい(式中、R”は、H、又は1個から6個の炭素原子を有するアルキル基を表す)が、ただし2つの−O−又は2つの−S−原子が直接隣接することはできない1個から12個の炭素原子、好ましくは1個から8個の炭素原子を有する。脂肪族アルコールは、直鎖、分岐鎖又は環式、好ましくは直鎖又は分岐鎖であってもよく、好ましくはモノアルコールであり、好ましくは1個から12個、好ましくは1個から8個の炭素原子を有し、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソ−プロパノール、並びに異性体ブタノール、特にn−ブタノール及びイソ−ブタノール、n−ヘキサノール、又は2−エチルヘキサノールである。他の好ましいアルコールは、式R
3−(O−C
nH
2n)
m−OH(式中、R
3は、好ましくは1個から4個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは、2から4の整数であり、mは、1から10の整数である)のエーテルアルコール、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルである。環式脂肪族アルコールのうち、シクロヘキサノールが好ましい。少量、すなわち使用される脂肪族アルコールの10%の質量分率までが、二官能性又は多官能性(3種以上の官能基を有する)であってもよい。
【0032】
本発明の第1の実施形態による環状尿素Uと多官能性アルデヒドAとの少なくとも部分的にエーテル化された反応生成物UAを調製するために、少なくとも2つの異なるそのようなアルコールR
1−OH及びR
2−OHが使用される必要があり、これらのモル比n(R
1−OH)/n(R
2−OH)は、1mol/99molから99mol/1mol、好ましくは10mol/90molから90mol/10mol、特に好ましくは25mol/75molから75mol/25molである。脂肪族アルコールR
2−OHは、その分子内に、R
1−OH内の炭素原子より少なくとも1個多い炭素原子を有する。好ましい実施形態において、R
1−OHとしてメタノールが使用され、R
2−OHは、エタノール、又は、分岐鎖及び環式脂肪族モノアルコールを含む、12個までの炭素原子を有するより高級のそれらの同族体であってもよい。R
2−OHとして好ましいのは、エタノール、n−及びイソ−プロパノール、n−ブタノール、sec.−ブタノール、イソ−ブタノール、n−ペンタノール、2−及び3−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ドデカノール、並びにこれらの混合物、さらに、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコールである。R
1−OHとしてメタノールが使用される場合、これらのモル比n(R
1−OH)/n(R
2−OH)は、特に好ましくは、15mol/85molから45mol/55mol、好ましくは20mol/80molから40mol/60molである。さらに、アルコールR
1−OHが極めて水混和性であることが好ましく、これは、水とR
1−OHとの混合物が均質混合相を形成することを意味する。さらに、アルコールR
1−OHが極めて水混和性であり、アルコールR
2−OHが最大限でも水に対する制限された溶解度を有することが好ましく、制限された溶解度とは、水相が、30%を超える質量分率のアルコールR
2−OHを含有しないことを意味する。R
1及びR
2が互いに異なるこの実施形態において、R
2は、R
1よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、反応生成物UAにおける、−OH基の数、及びアルデヒドAのカルボニル炭素原子上の置換基である−OR基の数の合計に対する−OR基の数の比は、60%超であり、−OR基の数は、−OR
1基の数及び−OR
2基の数の合計である。
【0033】
さらに、反応生成物における化学的に結合した環状尿素Uの物質量(U)に対するアルコキシ基の物質量n(RO−)の比n(RO−)/n(U)として測定される、反応生成物UAのエーテル化度は、少なくとも1.1mol/molであることが好ましい。
【0034】
さらに、反応生成物UAが、0.2mol/mol以下の、環状尿素Uから得られた部分の物質量に対する残りの>NH基の物質量の比を有することが好ましい。
【0035】
本発明によるプロセスにおいて、以下の追加的な好ましい方策が、単独で、又は任意の組合せとして実現され得る。
− 多官能性アルデヒドAが第1に投入される、
− 環状尿素Uが第1に投入される、
− 水が多官能性アルデヒドAに、又は環状尿素Uに、又はそれらの混合物に添加され得る、
− 多官能性アルデヒドAと環状尿素Uとの混合物のpHが、5.0から8.0、好ましくは5.5から7.5、特に好ましくは6.2から6.8に調整され得る、
− 環状尿素Uと多官能性アルデヒドとの混合物が、周囲温度から80℃未満、好ましくは35℃から50℃の間に加熱され得る、
− 反応混合物中に存在する環状尿素Uの質量及びアルデヒドAの質量が、好ましくは、多官能性アルデヒドにおけるアルデヒド基の物質量n(−CHO)、及びアルデヒドの混合物の場合は、環状尿素Uにおける−CO−NH−基の物質量の比のために、以下の条件が満たされるように選択される:
0.8mol/mol≦n(−CHO)/n(−CO−NH−)≦1.40mol/mol、
特に好ましくは、
1.0mol/mol≦n(−CHO)/n(−CO−NH−)≦1.30mol/mol、
− 脂肪族アルコールR
1−OHが、好ましくは、多官能性アルデヒドAにおけるアルデヒド基の物質量に対するアルコールR
1−OHの物質量n(R
1−OH)の比が、0.6mol/molから20mol/molであるような量で添加される、
− 第2のアルコールR
2−OHが、アルコールR
1−OHが使用されているエーテル化段階の後で添加される、
− エーテル化又はアルキル化反応中のpHが、好ましくは5未満、特に好ましくは3.0未満である、
− エーテル化が、好ましくは、25℃から100℃の間、最も好ましくは40℃から45℃の間で達成される、
− エーテル化中に形成される水、及び未反応のアルコールが、好ましくは、減圧下での、さらに好ましくは50℃から80℃の間の温度での蒸留により、エーテル化中又はその後に除去される、
− 水及びアルコールがエーテル化中に除去される場合、アルコールが好ましくは再循環される、
− 反応並びに任意選択の未反応アルコール及び水の除去後、好ましくは、反応混合物が冷却され、脂肪族多官能性アルデヒドAと環状尿素Uとの少なくとも部分的にエーテル化された反応混合物の溶液を得る、また、
− このプロセスのエーテル化生成物におけるアルコキシ基−O−R
1の物質量n(−O−R
1)に対するアルコキシ基−O−R
2の物質量n(−O−R
2)の比が、0.11mol/molから20mol/molの間である。
これらの好ましい実施形態の2つ以上を組み合わせると、特に良好な結果が得られた。
【0036】
R
1及びR
2が異なる反応生成物UAを作製するための好ましいプロセスは、
a)多官能性アルデヒドAと環状尿素Uとを混合して付加反応を引き起こし、任意選択で水を除去するステップと、
b)脂肪族アルコールR
1−OHを添加し、酸性条件下でエーテル化するステップと、
c)その分子内に、R
1−OH内の炭素原子より少なくとも1個多い炭素原子を有する、さらなる脂肪族アルコールR
2−OHを添加し、酸性条件下でエーテル化するステップと
を含み、ステップb)及びc)のいずれか又は両方が1回又は複数回反復されてもよい。
【0037】
R
1及びR
2が同じである反応生成物UAを作製するための、さらに好ましいプロセスは、
a)多官能性アルデヒドAと環状尿素Uとを混合して付加反応を引き起こし、任意選択で水を除去するステップと、
b)脂肪族アルコールR
1−OHを添加し、酸性条件下でエーテル化するステップと、
c)さらなる量の脂肪族アルコールR
1−OHを添加し、酸性条件下でエーテル化するステップと
を含み、ステップc)は、1回行われてもよく、又は少なくとも2回行われるように反復されてもよい。
【0038】
エーテル化ステップ、すなわちアルコールの添加並びに水及び未反応アルコールの任意選択的除去後のさらなるエーテル化の反復は、エーテル化度を増加させることが見出された。この反復は、エーテル化のために1種のみのアルコールが使用されている場合に特に好ましい。したがって、2回又は3回又は複数回のエーテル化(反復数は所望のエーテル化度を達成するように選択される)は、好ましい方法である。
【0039】
好ましい変形例において、エーテル化ステップの後、未反応アルコールの少なくとも一部、及び任意選択で、存在する水の少なくとも一部、さらに任意選択で、アルデヒド基、n(−CO−NH)基、又はヒドロキシル基と反応する反応基を有さない少なくとも1種の溶媒の少なくとも一部が、共沸蒸留により除去され、蒸留により分離された水の少なくとも一部を含有する水相から分離する相を形成するように水と非混和性である溶媒が添加され、水相とは異なる相は、蒸留器に、又は再び反応器に再循環される。
【0040】
反応中に固体沈殿物又は懸濁固体が形成される場合、この固体物質は、好ましくは、遠心分離又は濾過等の通常のプロセスのいずれかにより分離される。
【0041】
さらに、環状尿素Uと多官能性脂肪族アルデヒドAとの間の反応は、好ましくは、環状尿素U、多官能性脂肪族アルデヒドA、及びそれらの反応生成物UAのいずれとも反応しない溶媒の存在下で行うことができることが見出された。有用な溶媒は、異性体キシレン、それらの混合物、さらにトルエン及びエチルベンゼンとの混合物等の芳香族化合物及びそれらの混合物、芳香族及び脂肪族エステル、パラフィン及びそれらの混合物、分岐鎖脂肪族炭化水素、並びに直鎖、分岐鎖及び環式脂肪族エーテルである。これらの溶媒はまた、水溶液又は水和物の形態で添加され得る出発生成物からの共沸蒸留において水を除去するために使用されてもよい。
【0042】
このようにして得られた反応生成物は、架橋剤組成物として、(b1)から(b8)として言及された架橋剤と一緒に、活性水素官能基(ヒドロキシル又はカルボン酸基)を有する溶剤系結合剤樹脂及び水系結合剤樹脂の両方と組み合わせることができる。
【0043】
これらの追加的な架橋剤(b1)から(b8)は、当技術分野において周知であり、関連した文献において十分に説明されている。Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、Weinheim 1991、第A18巻、「Paints and Coatings」、359〜544頁、及びその中の参考文献を参照されたい。
【0044】
特に好ましいのは、
(a)環状尿素Uと多官能性脂肪族アルデヒドAとの反応生成物、並びに
(b)(b1)アミノトリアジンと、脂肪族モノアルデヒド及び構造Y(CHO)
n(式中、Yは、n官能性脂肪族残基であり、nは、1より大きい)を有する多官能性脂肪族アルデヒドからなる群から選択される少なくとも1種のアルデヒドとの反応生成物、
(b2)尿素及び/又は環状尿素と脂肪族アルデヒドとの反応生成物、
(b3)アルコキシカルボニルアミノトリアジン
からなる群から選択される少なくとも2種の架橋剤
を含む架橋剤組成物である。
【0045】
反応生成物UAのために、さらに任意選択で、ヒドロキシル基を有する架橋剤(b)の反応生成物のために、エーテル化アルコールとしてメタノール又はエタノールが単独又は組み合わせて使用される場合、得られる架橋剤組成物は、水系架橋性樹脂と組み合わせると特に有用である。プロパノール又はブタノール等の高級アルコールを使用すると、架橋剤組成物は、溶剤系架橋性樹脂に対しより適合性となる。本発明に従い調製された架橋剤組成物は、より高い反応性を有し、適切に触媒されると、室温であっても硬化に使用することができること、並びに、硬化膜の外観もまた、黄色さ及び光沢及び曇りにおいて、本発明による架橋剤に有利であることが見出された。
【0046】
好ましい変形例において、架橋性組成物は、官能基がヒドロキシル基であるオリゴマー又はポリマー材料を含み、ポリマー又はオリゴマー材料は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエーテルポリオールからなる群から選択され、ポリマー又はオリゴマー材料が5mg/gから300mg/gのヒドロキシル価を有することを特徴とする。
【0047】
さらに好ましい変形例において、架橋性組成物は、官能基がカルボキシル基であるオリゴマー又はポリマー材料を含み、オリゴマー又はポリマー材料は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシエステル樹脂、ビニル樹脂、ロジン、及びマレイネート(maleinate)樹脂からなる群から選択され、オリゴマー又はポリマー材料が5mg/gから300mg/gの酸価を有することを特徴とする。
【0048】
好適な活性水素含有材料は、例えば、多官能性ヒドロキシ基含有材料、例えばポリオール、ペンダント又は末端ヒドロキシ官能基を有するヒドロキシ官能性アクリル樹脂、ペンダント又は末端ヒドロキシ官能基を有するヒドロキシ官能性ポリエステル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリウレタンプレポリマー、エポキシ化合物とアミンとの反応から得られる生成物、及びそれらの混合物を含む。アクリル及びポリエステル樹脂が好ましい。多官能性ヒドロキシ基含有材料の例は、DURAMAC(登録商標)203−1385アルキド樹脂(Eastman Chemical Co.製)、Beckosol(登録商標)12035アルキド樹脂(Reichhold Chemical Co.製)、JONCRYL(登録商標)500アクリル樹脂(S.C.Johnson&Sons社製、Racine、Wis.)、AT−400アクリル樹脂(Rohm&Haas社製、Philadelphia、Pa.)、CARGILL(登録商標)3000及び5776ポリエステル樹脂(Cargill社製、Minneapolis、Minn.)、K−FLEX(登録商標)XM−2302及びXM−2306樹脂(King Industries社製、Norwalk、Conn.)、CHEMPOL(登録商標)11−1369樹脂(Cook Composites and Polymers社製、Port Washington、Wis.)、CRYLCOAT(登録商標)3494固体ヒドロキシ末端ポリエステル樹脂(Cytec Industries Inc.製、Woodland Park、NJ)、RUCOTE(登録商標)101ポリエステル樹脂(Ruco Polymer社製、Hicksville、N.Y.)、JONCRYL(登録商標)SCX−800−A及びSCX−800−Bヒドロキシ官能性固体アクリル樹脂(S.C.Johnson&Sons社製、Racine、Wis.)等の市販の材料を含む。
【0049】
カルボキシ官能性樹脂の例は、CRYLCOAT(登録商標)固体カルボキシ末端ポリエステル樹脂(Cytec Industries Inc.製、Woodland Park、NJ)を含む。アミノ、アミド、カルバメート又はメルカプタン基(これらに変換可能な基を含む)を含有する好適な樹脂は、一般に当業者に周知であり、好適に官能化されたモノマーを、それと共重合可能なコモノマーと共重合させることを含む、既知の方法により調製され得る。
【0050】
さらに好ましい変形例において、架橋性組成物は、官能基がアミノ基であるオリゴマー又はポリマー材料を含み、オリゴマー又はポリマー材料は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシアミン付加体、及びビニル樹脂からなる群から選択され、オリゴマー又はポリマー材料が5mg/gから300mg/gのアミン価を有することを特徴とする。
【0051】
さらに好ましい変形例において、架橋性組成物は、官能基がカルバメート官能基であるオリゴマー又はポリマー材料を含み、ポリマー材料は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシアミン付加体、及びビニル樹脂からなる群から選択され、ポリマー材料が0.1mmol/gから6mmol/gのカルバメート基の特定の物質量を有することを特徴とする。
【0052】
さらに好ましい変形例において、架橋性組成物は、水性分散液として存在するオリゴマー又はポリマー材料を含む。
【0053】
さらに好ましい変形例において、架橋性組成物は、非水性溶媒中の溶液として存在するオリゴマー又はポリマー材料を含む。
【0054】
さらに好ましい変形例において、架橋性組成物は、35℃を超える融点を有する粒子状固体として存在するオリゴマー又はポリマー材料を含む。
【0055】
さらなる好ましい変形例において、架橋剤組成物は、架橋剤(a)の活性化温度及び架橋剤(b)の活性化温度が、少なくとも10K、好ましくは少なくとも20K、特に好ましくは少なくとも30K異なり、架橋剤(a)の活性化温度は、架橋剤(b)の活性化温度より低いような組成物である。実用上の配慮から、活性化温度は、本明細書において、標準アルキド樹脂、この場合Beckosol(登録商標)12−035が、適切な触媒の存在下で、考慮される架橋剤により、7:3の(希釈されていない)架橋剤の質量に対する(希釈されていない)結合剤樹脂の質量の比で硬化され、以下でさらに詳説されるように、特定の硬化時間後に少なくとも20回のMEK往復摩擦に対する耐性を提供する温度として定義される。
【0056】
本発明のさらなる好ましい目的は、特許請求の範囲に記載されている。
【0057】
コーティング組成物は、反応生成物UA及び架橋剤(b)の少なくとも1種を含む混合物を、活性水素原子、すなわち、ヒドロキシル基、酸性基、好ましくはカルボキシル基、カルバメート基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプタン基、又はホスフィン基の少なくとも1種を有するポリマー結合剤樹脂に混合することによって調製される。得られた混合物は、均質化され、噴霧、はけ塗り、ワイヤコーティング、カーテンコーティング、ブレードコーティング、ロールコーティング、浸漬、電気泳動析出、粉末噴霧、又は静電噴霧により、基材に塗布される。
【0058】
反応生成物UA及び追加的架橋剤(b)の質量の合計に対する固体結合剤樹脂の質量の比は、好ましくは99/1から50/50、特に好ましくは95/5から60/40、最も好ましくは90/10から70/30である。
【0059】
反応生成物UAと、上で詳説された架橋剤(b)の少なくとも1種とのそのような混合物を使用する場合、架橋剤(b)の質量m(b)に対する、又は、これらの架橋剤(b)の2種以上が使用される場合は混合物中の全ての架橋剤(b)の質量の合計m(b tot)に対する反応生成物UAの質量m(UA)の比は、1/99から99/1、好ましくは10/90から90/10、特に好ましくは30/70から70/30である。本明細書において使用される質量mは、別段に明示的に示されていない場合、常に活性成分の質量を表し、活性成分を含有する溶液の質量ではない。
【0060】
本発明による架橋剤組成物は、好ましくはヒドロキシ若しくはカルボン酸官能基、又はその両方における水素原子である活性水素原子を有する溶剤系又は水系結合剤樹脂(これらの樹脂は、以後総称して「活性水素材料」とも呼ばれる)、特に、ヒドロキシ又はカルボン酸官能性アルキド樹脂、ヒドロキシ又はカルボン酸官能性アクリル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリウレタン樹脂、及びヒドロキシ官能性エポキシ樹脂と組み合わされて、コーティング組成物の構成物質として使用され得る硬化性組成物を生成することができることが確認されている。
【0061】
これらの架橋剤組成物は、適切に触媒されると、周囲温度(20℃〜25℃)ですでに活性であることから、これらは、熱に敏感な基材、例えば紙、段ボール、布地、皮革、木材、加工木材、並びに複合材料、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含むプラスチックに対するコーティングを硬化させるのに特に有用である。これらの架橋剤組成物は、当然ながら、より高い硬化温度を許容する、金属、半導体表面、セラミック、石、石膏、ガラス及びコンクリート等の基材に対して使用されるコーティング組成物用の架橋剤としても機能する。硬化温度又は省エネルギーが問題となる場合には、適切な触媒と共に上述の結合剤樹脂と組み合わせた前記架橋剤組成物の塗布もまた考慮され得る。
【0062】
好適な触媒は、好ましくは、酸触媒、特に、有機スルホン酸、有機ホスホン酸、有機スルホンイミド、及びルイス酸、又はアミン塩若しくはエーテル錯体等のルイス酸の塩若しくは錯体からなる群から選択されるものである。有用な触媒は、揮発性アミンでブロックされていてもよい、パラ−トルエンスルホン酸(pTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、及びジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)である。特に好ましいのは、N−メチルスルホニル−p−トルエンスルホンアミド(MTSI)、パラ−トルエンスルホン酸(pTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、及びジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)である。当然ながら、例えば加熱により酸が解放されるブロック酸触媒、例えば酸エステル又は酸とエポキシド官能性化合物との反応生成物もまた、使用することができる。特に有用な触媒は、通常アルコールに溶解した、トルエンスルホン酸又はジノニルナフタレンジスルホン酸等の酸触媒である。
【0063】
当然ながら、有機溶媒、合体剤、消泡剤、平滑化剤、充填剤、顔料、光安定剤、顔料、流動調整剤、垂れ制御剤、皮張り防止剤、沈降防止剤、付着促進剤、湿潤剤、保存剤、可塑剤、離型剤、及び腐食阻害剤等の通常の添加剤もまた、本発明の架橋剤組成物を含むコーティング組成物において使用することができる。
【0064】
本発明の架橋剤組成物は、そのような組成物として、紙、布地、木材、加工木材、皮革、又はセルロース材料からなる群から選択される基材に塗布され得るが、その目的のために、それらの組成物は、触媒、充填剤、湿潤剤、溶媒、及び希釈剤の少なくとも1つと混合されて基材に塗布され得る。
【0065】
本発明の硬化性組成物は、好ましくは、自動車コーティングを含む相手先商標製品製造(OEM)、工業的メンテナンスコーティングを含む一般的な工業コーティング、建築用コーティング、農業及び建設用機器コーティング(ACE)、粉末コーティング、コイルコーティング、缶コーティング、木材コーティング、並びに、低温硬化自動車補修コーティング等のコーティングの一般的な領域において、コーティングとして使用され得る。組成物は、ワイヤ、器具、自動車部品、家具、管、機械等のためのコーティングとして使用可能である。また、組成物は、金属化回路基板、半導体表面、ディスプレイ、及び電子回路用パッケージのためのコーティングを含む、電子機器用途において使用することができる。
【0066】
コーティング組成物は、噴霧、浸漬、はけ塗り、ワイヤコーティング、カーテンコーティング、及びドクターブレードの使用等の既知の技術のいずれかにより塗布され得る。固体として調合される場合、組成物はまた、粉末コーティング組成物中の架橋剤として使用されてもよく、静電噴霧又は粉末噴霧等の通常の方法により塗布され得る。
【0067】
本発明による架橋剤組成物の1つの具体的及び予想外の利点は、架橋剤混合物中の成分(a)及び(b)の質量分率によっては2段階硬化が可能であることであり、硬度及び埃が粘着しないほどの乾燥又は指触乾燥の早期発生が観察され、これによって、室温(20℃〜25℃の間)で24時間未満の硬化後に、又は50℃未満の若干高い温度で3時間未満後に、コーティングされた基材を取り扱うことができる。次いで、コーティングされた基材は、大容量炉に移送され、架橋剤混合物の成分(b)に必要な活性化温度に加熱することにより、硬度等の最終膜特性が形成されるが、これらの大容量炉は、好ましくは、オフガス焼却又は吸収機器を備える。この二重硬化法により、最終硬化が施される前のコーティングされた部品の取扱い、将来の使用のための保存、又は後形成が可能となる。
【0068】
環状尿素Uと多官能性脂肪族アルデヒドAとの反応生成物UAが、ホルムアルデヒドとアミノ又はアミド又はウレタン化合物、例えば芳香族アミン、メラミン、他のアミノトリアジン、尿素及び置換尿素、カルボンアミド、スルホンアミド、シアナミド、及びグアニジンとの反応生成物をベースとした架橋剤と組み合わされる場合、予想外にも、そのような系のホルムアルデヒド排出が、この混合物の(a)に従う架橋剤及び(b)に従う架橋剤の質量比から予想されるものより低いことが見出された。この発見は、コーティング組成物用の架橋剤として最も広く受け入れられているメラミン−ホルムアルデヒド樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂の組合せにおいて特に重要であるが、それは、これによって塗料製造者が、これらの前記アミノプラスト樹脂の有利な架橋特性を維持すると同時に、硬化中に分離するホルムアルデヒドの量を低減することができるためである。
【0069】
したがって、本発明の架橋剤組成物は、そのような用途において有利に使用することができ、硬化ステップ中、及び前記架橋剤を含むコーティング組成物でコーティングされた部品の保存又は使用中のホルムアルデヒド排出が制限される。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、限定を意図せずに本発明を例示する。「%」で示される全ての濃度(強度)及び比率は、質量分率(濃度の場合は混合物の質量mで除した、又は比率の場合は第2の物質Dの質量m
Dで除した、特定の物質Bの質量m
Bの比率)である。酸価は、DIN EN ISO 3682(DIN 53 402)に従い、試験している試料を中和するために必要なその水酸化カリウムの質量m
KOH、及びこの試料の質量m
B、又は溶液若しくは分散液の場合は試料中の固体の質量の比として定義され、その習慣的な単位は「mg/g」である。ヒドロキシル価は、DIN EN ISO 4629(DIN 53 240)に従い、試料と同じ数のヒドロキシル基を有する水酸化カリウムの質量m
KOH、及びその試料の質量m
B(溶液又は分散液の場合は、試料中の固体の質量)の比として定義され、その習慣的な単位は「mg/g」である。動的粘度は、Gardner−Holtスケールで測定し、SI単位(mPa・s)に変換した。GOは、グリオキサールを表し、EUは、エチレン尿素を表す。nは、物理量である「物質量」(“amount of substance”)の記号であり、SI単位は「mol」である。Mは、物理量である「モル質量」の記号であり、SI単位は「kg/mol」である。
【0071】
13C−NMR分析は、100mmプローブを有するBruker−Oxford Avance II 400 NMR分光器を用いて行った。試料は、反応生成物をほぼ同じ質量のジメチルスルホキシド−d
6で希釈することにより調製した。
【0072】
反応生成物UAのモル質量の測定は、HPSEC又はゲル透過クロマトグラフィーにより行ったが、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、試料濃度は1g/100ml、流量は1.0ml/分、カラム温度は40℃であり、また屈折率検出を行い、5imの粒径を有する架橋ポリスチレンビーズ充填カラムのセットを使用し、細孔サイズは100nm(1×)、50nm(2×)、及び10nm(3×)であり、100g/molから50kg/molの測定範囲を提供し、較正にはポリスチレン標準を使用した。データ収集及び分析は、Polymer Standards Service WinGPCシステムにより提供されるソフトウェアを用いて行った。
【0073】
例1 エチレン尿素及びグリオキサールの付加生成物をベースとした架橋剤の調製
エチレン尿素及びグリオキサールの付加生成物をベースとした架橋剤樹脂を、以下の手順により調製した。
【0074】
グリオキサール水溶液(エタンダイヤル、溶質の質量分率40%)363g(2.6mol)を、窒素パージ下で反応槽に導入し、固体の質量分率10%の重炭酸ナトリウム水溶液の添加により、pHを6.2に調整した。エチレン尿素(2−イミダゾリジノン半水和物、固体)207g(2.18mol)を添加し、得られた混合物を40℃〜45℃の間の温度に加熱し、撹拌下で3時間保持した。3時間の終わりに、メタノール464g(14.5mol)を添加した。硫酸水溶液(溶質の質量分率25%)でpHを約2.5に調整し、次いで反応温度を上げ、(48±3)℃で3時間維持した。3時間のメチル化の終わりに、1−ブタノール998g(13.5mol)を添加し、上述の硫酸水溶液でpHを約2.5に再調整した。再び反応温度を(48±3)℃で1時間維持し、次いで、全反応質量の約36%から40%の質量分率が除去されるまで、減圧下(25.333kPaから直線的に徐々に16kPaに減圧、これは190mmHgから120mmHgへの傾斜に等しい)で過剰のメタノール及びブタノールを徐々に除去した。次いで、残りの反応混合物を約35℃に冷却し、次いで、25%の固体の質量分率を有する水酸化ナトリウム水溶液で、反応混合物のpHを約6.5に調整した。次いで、反応温度を(55±5)℃に上げ、約300mPa・sの動的粘度及び61.4%の固体の質量分率が得られるまで、減圧下(16kPaから直線的に徐々に6.7kPaに減圧、これは120mmHgから50mmHgへの傾斜に等しい)で過剰のメタノール及びブタノールの除去を継続した。
【0075】
得られた麦藁色の架橋剤溶液(814g)のエーテル化度は、
13C−NMR分析により、n(−O−アルキル)/n(EU)=1.92mol/molと決定されたが、「EU」は、エチレン尿素を表し、そのモル質量は、HPSECにより、M
w=1553g/molと決定され、M
wは、重量平均モル質量を表す。ゲル透過クロマトグラフィーとも呼ばれる高性能サイズ排除分析において一般的に提供される屈折数差(refraction number difference)対溶出体積のグラフにおける、低モル質量範囲、すなわち1kg/molのモル質量未満の領域の割合は、34.1%であった。ハーゼン色数(DIN−ISO 6271に従い決定される)は、383であった。反応生成物におけるメトキシ基の物質量n(−O−Me)に対するn−ブトキシ基の物質量n(−O−Bu)の比は、2.7mol/molであった。
【0076】
例2 混合架橋剤を含むコーティング組成物
以下の成分を互いに混合することにより、透明膜形成組成物を調製した。ココナツ油をベースとした市販のアルキド樹脂(キシレンに溶解した60%の固体の質量分率、155mg/gのヒドロキシル価、及び12mg/gの酸価を有するBeckosol(登録商標)12−035)を、結合剤樹脂として使用した。塗料において、添加する溶媒の量は、固体の質量分率45%のコーティング調合物を提供するように選択され、架橋剤中の固体の質量に対するアルキド樹脂結合剤中の固体の質量の比は、常に70/30であった。
【0077】
塗料2.1を以下のように調製した。
【0078】
酢酸ブチル14.2g、メトキシプロパノール0.9g、及びn−ブタノール9.0gを、上述のアルキド樹脂52.5gに添加し、混合した。次いで、40%強度のパラ−トルエンスルホン酸のイソ−プロパノール溶液2.2gを、希釈されたアルキド樹脂に添加し、混合した。例1のエーテル化架橋剤19.8gをアルキド溶液に添加した。ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤(CYMEL(登録商標)MB−94樹脂、固体の質量分率:96%)1.4gを、最後に調合物に添加し、混合した。ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、9:1であった。
【0079】
塗料2.1と同様にして塗料2.2を調製したが、この場合では、酢酸ブチル17.4g、例1の架橋剤11.0g、ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤7.0gを使用した。ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0080】
塗料2.1と同様にして塗料2.3を調製したが、この場合では、酢酸ブチル20.5g、例1の架橋剤2.2g、ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤12.7gを使用した。ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:9であった。
【0081】
塗料2.1と同様にして塗料2.4を調製したが、この場合では、酢酸ブチル13.2g、例1の架橋剤11.0g、ブチル化尿素ホルムアルデヒド架橋剤樹脂(CYMEL(登録商標)U−216−10LF樹脂、固体の質量分率60%)11.2gを使用した。ブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0082】
塗料2.1と同様にして塗料2.5を調製したが、この場合では、酢酸ブチル17.7g、例1の架橋剤11.0g、メチル化エチル化ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂(CYMEL(登録商標)1123樹脂、固体の質量分率100%)11.2gを使用した。メチル化エチル化ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0083】
塗料2.1と同様にして塗料2.6を調製したが、この場合では、酢酸ブチル10.9g、例1の架橋剤11.0g、トリス−アルキルカルボニルアミノトリアジン架橋剤(CYLINK(登録商標)2000樹脂、固体の質量分率50%)13.5gを使用した。トリス−アルキルカルボニルアミノトリアジン架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0084】
塗料2.1と同様にして塗料2.7を調製したが、この場合では、酢酸ブチル13.4g、例1の架橋剤11.0g、及びWO2004/094498の例1Bの架橋剤11.3gを使用した。WO2004/094498の例1Bの架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0085】
塗料2.1と同様にして塗料2.8を調製したが、この場合では、酢酸ブチル17.4g、例1の架橋剤11.0g、ブチル化グリコールウリルホルムアルデヒド架橋剤樹脂(CYMEL(登録商標)1170樹脂、固体の質量分率96%)7.0gを使用した。ブチル化グリコールウリルホルムアルデヒド樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0086】
塗料2.1と同様にして塗料2.9を調製したが、この場合では、酢酸ブチル14.8g、例1の架橋剤11.0g、ブロックイソシアネート(Trixene(登録商標)BI7982、Baxenden Chemicals社製、3,5−ジメチルピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、固体の質量分率70%)9.6gを使用した。ブロックイソシアネート架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0087】
塗料2.1と同様にして塗料2.10を調製したが、この場合では、酢酸ブチル17.7g、例1の架橋剤11.0g、水分散性エポキシ樹脂((登録商標)Beckopox EP 147w、固体の質量分率100%;エポキシド基の特定量5.1mol/kg並びに23℃及び100s
−1での動的粘度11Pa・s)6.8gを使用した。エポキシ樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0088】
塗料2.1と同様にして塗料2.11を調製したが、この場合では、酢酸ブチル16.0g、例1の架橋剤11.0g、及びフェノールホルムアルデヒド架橋剤樹脂((登録商標)Phenodur PR−612/80B、固体の質量分率80%)8.4gを使用した。フェノールホルムアルデヒド樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0089】
塗料2.1と同様にして塗料2.12を調製したが、この場合では、酢酸ブチル16.5g、例1の架橋剤11.0g、及びカルボキシ官能性メチル化エチル化ベンゾグアナミンホルムアルデヒド架橋剤樹脂(CYMEL(登録商標)1125樹脂、固体の質量分率85%)7.8gを使用した。メチル化エチル化ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤中の固体の質量に対する例1のエーテル化架橋剤中の固体の質量の比は、1:1であった。
【0090】
塗料2.1と同様にしてさらなる塗料2.13を調製したが、この場合では、さらなる架橋剤を添加することなく、酢酸ブチル13.4g及び例1の架橋剤22.0gを使用した。
【0091】
塗布する調合物を引き出して均一膜を得るために#40巻き線コーティングバーを使用して、塗料を101.6mm×304.8mm(4”×12”)のリン酸鉄化スチールパネル上に塗布した。次いで、コーティングされたパネルを、室温で10分間フラッシングした。次いで、パネルを、周囲条件(20℃の室温)で24時間硬化させるか、又は65℃で15分間若しくは120℃で20分間硬化させ、24時間後に測定した。コーティングされた試料に対し、以下の特性を決定した。
硬度 硬度は、ASTM D4366−95に従うケーニッヒ硬度としてBYK Gardner Pendulum Hardness Testerを使用して測定した。
MEK耐性は、損傷又は破壊する(コーティング膜の50%超が除去される)までの、ASTM D4572に従う往復摩擦の回数として決定され、試験は、200回の往復摩擦で終了した。
【0092】
以下の結果が得られた。
【表1】
【0093】
エチレン尿素−グリオキサール樹脂の半分が従来の架橋剤で置きかえられた塗料調合物2.2、2.4、2.7、2.8及び2.11において、本発明による架橋剤の存在が、周囲温度(20℃)又は若干高い温度(65℃)での硬化後に、架橋剤中の固体物質に対する結合剤樹脂中の固体物質の70/30の同じ質量比におけるこれらの従来の架橋剤の単独使用(周囲温度(20℃)での架橋では、5回未満の往復摩擦及び15s未満のケーニッヒ硬度が見られた)と比較して、ケーニッヒ硬度若しくは溶媒耐性のいずれか、又はその両方において大幅な増加をもたらしたことが分かる。等しい質量の架橋剤固体との全ての組合せ(2.2及び2.4から2.12)は、20℃で24時間の硬化後、埃が粘着しないほど乾燥していた。メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤をベースとした架橋剤樹脂との混合物(塗料2.1から2.3)において、特に有利な発見が得られた。
【0094】
例3
上記塗料2.1と同様にして塗料3.1を調製したが、この場合では、酢酸ブチル21.1g、及び例2.1のブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤14.2gを使用した。
【0095】
塗料2.1と同様にしてさらなる塗料3.2を調製したが、この場合では、酢酸ブチル17.5g、例1に従い調製されたが63%の固体の質量分率を有する架橋剤溶液10.7g、及び例2.1のブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤溶液7.1gを使用した。ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂の質量に対する例1の架橋剤樹脂の質量の比は、1:1であった。
【0096】
塗料2.1と同様にしてさらなる塗料3.3を調製したが、この場合では、さらなる架橋剤を添加することなく、酢酸ブチル13.9g、及び塗料3.2と同様の架橋剤溶液21.4gを使用した。
【0097】
全ての塗料は、45%の固体樹脂(架橋性ヒドロキシ官能性樹脂及び固体架橋剤)の質量分率を有していた。硬化条件に依存して、以下の結果が得られた。
【表2】
【0098】
さらなる実験において、塗料3.2でコーティングされ65℃で15分間硬化されたスチールシートを、120℃で20分間、後硬化した。後硬化後、ケーニッヒ硬度は27sから140sに増加し、MEK往復摩擦の回数は、25回から160回に増加した。
【0099】
さらなる予想外の発見は、メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤及び環状尿素Uと多官能性脂肪族アルデヒドAとの反応生成物を含む本発明による混合架橋剤におけるホルムアルデヒド排出が、混合物中に存在するホルムアルデヒドベース架橋剤の単なる割合から計算したものより著しく低いことであった。この発見は、ホルムアルデヒドを解放する傾向がより低く、且つ周囲温度(20℃)から80℃未満、好ましくは65℃までの範囲のより低い温度で硬化される能力を有する、アミノプラスト樹脂架橋剤を含む混合架橋剤を調合するための架橋技術において使用することができる。ホルムアルデヒドを解放する傾向がより低いことは、以下の実験により示される。
【0100】
例4 混合架橋剤からのホルムアルデヒド排出
塗料4.1から4.5を、アルキド樹脂(Beckosol(登録商標)12−035:上で詳説されているもの)、並びに、例1のエチレン尿素とグリオキサールとの反応混合物、及び塗料2.1から2.3の調製に使用されたようなブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤(CYMEL(登録商標)MB−94樹脂、固体の質量分率:96%)から、30:0、21:9、15:15、9:21及び5:25のメラミンホルムアルデヒド樹脂及び例1の架橋剤樹脂中の固体物質の質量比で調製された架橋剤混合物から調製した。架橋剤の固体の質量に対するアルキド結合剤樹脂の固体の質量の比は、全ての場合において70:30であった。
【0101】
塗料4.1から4.5を、以下のように調製した:酢酸ブチル14.2g、メトキシプロパノール0.9g及びn−ブタノール9.0gを、上述のアルキド樹脂52.5gに添加し、混合した。次いで、40%強度のパラ−トルエンスルホン酸のイソ−プロパノール溶液2.2gを、希釈されたアルキド樹脂に添加し、混合した。次いで、例1の架橋剤を混合し、混合物を撹拌して均質化し、続いてメラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤を混合し、さらなる均質化ステップを行った。
【0102】
塗布する調合物を引き出して均一膜を得るために#65巻き線コーティングバーを使用して、このようにして調製された塗料を101.6mm×304.8mm(4”×12”)のリン酸鉄化スチールパネル上に塗布した。次いで、コーティングされたパネルを、室温で10分間フラッシングした。次いでパネルを130℃で20分間硬化させた。コーティング膜の硬化中に発生したホルムアルデヒドをウォータートラップ内に回収し、その質量を、James E. McClure、「ポストカラム誘導体化を用いたイオンクロマトグラフィーによる水溶液中のホルムアルデヒドの10億分の1レベルの測定(Determination of Parts−Per−Billion Levels of Formaldehyde in Aqueous Solution by Ion Chromatography with Post−Column Derivatisation)」、Analytical Letters 21(2)、253〜263頁、1988に記載の方法に従い、イオンクロマトグラフィーにより決定した。
【0103】
ホルムアルデヒド放出は、硬化膜の質量で除したトラップ内に回収されたホルムアルデヒドの質量の比w(FA)として与えられる。
【0104】
図1に可視化されるように、以下のデータが得られた。
【表3】
なお、本発明に包含される諸態様は、以下のように要約することができる。
[1].
(a)環状尿素Uと多官能性アルデヒドAとの反応生成物、並びに
(b)(b1)アミノトリアジンと、脂肪族モノアルデヒド及び構造Y(CHO)n(式中、Yは、n官能性脂肪族残基であり、nは1より大きい)を有する多官能性脂肪族アルデヒドからなる群から選択される少なくとも1種のアルデヒドとの反応生成物(架橋剤(b)が(b1)である場合、Uはジヒドロキシエチレン尿素ではない)、
(b2)尿素及び/又は環状尿素とホルムアルデヒドとの反応生成物、
(b3)アルコキシカルボニルアミノトリアジン、
(b4)部分的又は完全にブロックされていてもよい多官能性イソシアネート、
(b5)フェノールと脂肪族モノアルデヒドとの反応生成物、
(b6)多官能性エポキシド、
(b7)多官能性アジリジン、
(b8)多官能性カルボジイミド
からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
を含み、
ヒドロキシル基を有する架橋剤(a)及び(b)のいずれかが、1種又は複数種の直鎖、分岐鎖、又は環式脂肪族アルコールでエーテル化されていてもよい、架橋剤組成物。
[2].
(a)環状尿素Uと多官能性アルデヒドAとの反応生成物、並びに
(b)(b1)アミノトリアジンと、脂肪族モノアルデヒド及び構造Y(CHO)n(式中、Yは、n官能性脂肪族残基であり、nは、1より大きい)を有する多官能性脂肪族アルデヒドからなる群から選択される少なくとも1種のアルデヒドとの反応生成物、
(b2)尿素及び/又は環状尿素とホルムアルデヒドとの反応生成物、
(b3)アルコキシカルボニルアミノトリアジン
からなる群から選択される少なくとも2種の架橋剤
を含む、上記[1]項に記載の架橋剤組成物。
[3].
Uが、エチレン尿素、1,2−及び1,3−プロピレン尿素、ブチレン尿素、及びグリコールウリルからなる群から選択される、上記[1]項に記載の架橋剤組成物。
[4].
上記[1]、[2]又は[3]項のいずれか一項に記載の架橋剤組成物と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプタン基、ホスフィン基、アミド基、イミド基、カルバメート基、イミノ基及びアミノ基からなる群から選択される反応性官能基を有するオリゴマー又はポリマー材料とを含む、架橋性組成物。
[5].
官能基がヒドロキシル基であり、オリゴマー又はポリマー材料が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエーテルポリオールからなる群から選択され、オリゴマー又はポリマー材料が5mg/gから300mg/gのヒドロキシル価を有することを特徴とする、上記[4]項に記載の架橋性組成物。
[6].
官能基がカルボキシル基であり、オリゴマー又はポリマー材料が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシエステル樹脂、ビニル樹脂、ロジン及びマレイネート樹脂からなる群から選択され、オリゴマー又はポリマー材料が5mg/gから300mg/gの酸価を有することを特徴とする、上記[4]項に記載の架橋性組成物。
[7].
官能基がアミノ基であり、オリゴマー又はポリマー材料が、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシアミン付加体及びビニル樹脂からなる群から選択され、ポリマー材料が5mg/gから300mg/gのアミン価を有することを特徴とする、上記[4]項に記載の架橋性組成物。
[8].
官能基がカルバメート官能基であり、オリゴマー又はポリマー材料が、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシアミン付加体及びビニル樹脂からなる群から選択され、オリゴマー又はポリマー材料が0.1mmol/gから6mmol/gのカルバメート基の特定の物質量を有することを特徴とする、上記[4]項に記載の架橋性組成物。
[9].
オリゴマー又はポリマー材料が水性分散液として存在する、上記[4]から[8]項までのいずれか一項に記載の架橋性組成物。
[10].
オリゴマー又はポリマー材料が非水性溶媒中の溶液として存在する、上記[4]から[8]項までのいずれか一項に記載の架橋性組成物。
[11].
オリゴマー又はポリマー材料が、35℃を超える融点を有する粒子状固体として存在する、上記[4]から[8]項までのいずれか一項に記載の架橋性組成物。
[12].
架橋剤(a)の活性化温度及び架橋剤(b)の活性化温度が、少なくとも10K異なり、架橋剤(a)の活性化温度が、架橋剤(b)の活性化温度より低い、上記[1]項に記載の架橋剤組成物。
[13].
基材をコーティングするために、上記[12]項に記載の架橋剤組成物を使用する方法であって、
a)上記[1]項に記載の架橋剤組成物と、ヒドロキシル基、酸性基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、メルカプタン基、ホスフィン基、及びカルバメート基からなる群から選択される反応性官能基を有する少なくとも1種のオリゴマー又はポリマー材料とを混合して、架橋性混合物を形成するステップ、
b)前記架橋性混合物を基材に塗布し、前記基材の少なくとも1つの表面上に少なくとも1つの層を有する、コーティングされた基材を形成するステップ、
c)コーティングされた基材を、架橋剤(a)の活性化温度と少なくとも同じ高さであるが、架橋剤(b)の活性化温度より低い温度に供するステップ、
d)任意選択で、ステップa)からc)を繰り返すステップ、並びに
e)コーティングされた基材を、架橋剤(b)の活性化温度と少なくとも同じ高さの温度に供するステップ
を含む、上記使用方法。
[14].
基材が、紙、段ボール、布地、皮革、木材、加工木材、並びに複合材料、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含むプラスチックからなる群から、さらに金属、セラミック、石、石膏、ガラス及びコンクリートから選択されることを特徴とする、上記[13]項に記載の使用方法。
[15].
上記[4]項に記載の架橋性組成物の硬化中のホルムアルデヒド排出を低減する方法であって、
(a)環状尿素Uと多官能性脂肪族アルデヒドAとの反応生成物、並びに
(b)(b1)アミノトリアジンとホルムアルデヒドとの反応生成物、
(b2)尿素及び/又は環状尿素とホルムアルデヒドとの反応生成物、及び
(b5)フェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物
からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤
を混合して、混合架橋剤を形成するステップ、及び
前記混合架橋剤を、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプタン基、ホスフィン基、アミド基、イミド基、カルバメート基、イミノ基及びアミノ基からなる群から選択される反応性官能基を有するオリゴマー又はポリマー材料の少なくとも1種に混合するステップ
を含む、上記方法。
[16].
紙、布地、木材、加工木材、皮革又はセルロース材料からなる群から選択される基材用の架橋剤として、上記[1]又は[2]項に記載の架橋剤組成物を使用する方法であって、
触媒、充填剤、湿潤剤、溶媒及び希釈剤の少なくとも1種を、上記[1]又は[2]項に記載の架橋剤組成物に混合するステップ、並びに
このようにして形成された混合物を基材に塗布するステップ
を含む、上記使用方法。