特許第5849105号(P5849105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5849105
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20160107BHJP
   B29C 45/84 20060101ALI20160107BHJP
【FI】
   B29C45/76
   B29C45/84
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-553145(P2013-553145)
(86)(22)【出願日】2012年1月12日
(86)【国際出願番号】JP2012050481
(87)【国際公開番号】WO2013105245
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2014年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】黒田 裕充
(72)【発明者】
【氏名】黒田 章公
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/124199(WO,A1)
【文献】 特開2008−94027(JP,A)
【文献】 特開2008−105185(JP,A)
【文献】 特開2000−6222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
47/00−47/96
F16D 49/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型のキャビティに射出される溶融樹脂の計量を行うときに駆動される駆動源としての計量用電動サーボモータと、
該計量用電動サーボモータの駆動力が伝達される計量用駆動伝達ベルトと、
該計量用駆動伝達ベルトが掛け回された計量用従動プーリと、
前記溶融樹脂の計量を行うときに前記計量用従動プーリの回転に伴い回転される射出スクリューと、を備え、
前記計量用従動プーリに円弧溝を形成し、
前記計量用従動プーリに形成した円弧溝に対し挿入することができる突出しピンを進退可能に設け、
該突出しピンが前記計量用従動プーリの円弧溝に対し挿入されることで前記射出スクリューの回転動作を規制できるようにしたことを特徴とする射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の交換作業性や保守点検作業性の向上を図った射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ターンテーブルを回転させることにより、1つの上側金型に対して、ターンテーブルに取り付けた2つの下側金型の各々を型開閉可能な対向位置に移動させ、縦方向に型開閉を行う、いわゆる2ステーション方式の縦型射出成形機が用いられている。こうした上側金型と複数の下側金型とを型締めする縦型射出成形機においては、成形体を成形する型締め工程の間に、型締めされている下側金型の反対側に配置された下側金型にインサート成形用の金属製の部品を組み付け、その組み付け後にターンテーブルを所定位置に回転し、金属製の部品を組み付けた下側金型と上側金型とを型締めすることで、金属製のインサート部品と樹脂とを一体成形する製造方法が採られており、型閉された金型のキャビティに溶融樹脂を射出充填するに際しては、上側金型の上方に配設された射出ユニットが下降され、それに伴い射出ユニット先端(下端)に装着された射出ノズルが、上側金型にタッチされ、その状態にて金型のキャビティへ溶融樹脂の射出充填が、加熱筒内に設けられた射出スクリューの前進駆動により行われる。
【0003】
ところで、縦型射出成形機を含む公知の射出成形機においては、定期的な保守点検作業や交換作業のため、加熱筒内で回転可能に配設されたスクリューを取り外したり、加熱筒内に組み付けたりするといった着脱作業が行われる。こうしたスクリュー等の部品の着脱作業を容易に行えるようにするためには、部品を着脱し易い所定位置に配置したり、着脱対象の部品が回転などしないよう保持(回り止め等)を行なったりする必要があり、例えば、射出成形機において、スクリューの取り外し作業を行なう場合には、従来、スクリューの回転止めをするため、スクリューとスクリューを保持する部材との間にウエス等をつめるなどして、スクリューの回転を規制したうえで、着脱作業を行っていたという実情があった。
【0004】
また、加熱筒内で縦方向に昇降されるスクリューを備えた縦型射出成形機においては、その稼動を停止すると、スクリューの自重が作用し、当該スクリューが最下限まで降下してしまうため、スクリューの自重により当該スクリューが最下限まで降下した状態では、スクリューのほぼ全体が加熱筒で覆われてしまうことになるため、スクリューの取り外し作業の行い易い、ユーザの所望する適切な位置に当該スクリューを保持できるようにすることが望まれていた。前記従来技術に関連するものとして特許文献1には、縦型射出成形機が開示されており、当該特許文献1においては、固定盤に対し型開閉される可動盤を、電動モータを駆動源として型開閉方向に駆動するトグル式型締装置を備え、該トグル式型締装置を駆動するボールネジに取り付けられる従動側プーリの逆回転を、該従動側プーリの歯にストッパーの突起を噛み合せて阻止し、可動盤の落下移動を防止する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2にはエレベータ非常ブレーキ装置において、エレベータの昇降とともに回転される鋼車の開口孔に係合部材を係合させることで、停止中のエレベータが異常により動き出そうとすることを阻止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−105185号公報
【特許文献2】特開2010−189088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている縦型射出成形機においては、タイミングベルトが切断された時に、可動盤の落下を阻止し安全を図ろうという技術であり、可動盤が動かぬよう保持することが可能ではあるが、ユーザが所望する位置で可動盤等の部品を保持できるようにして、部品の交換作業性や保守点検作業性の向上を図ろうという技術については開示されてはいない。
【0008】
また、特許文献2に開示されている技術は、停止中にある鋼車の開口孔に対し係合部材を挿入することで、鋼車を動かぬよう確実に阻止しようという技術であるが、鋼車の開口孔の径は係合部材の径よりも大きいため、鋼車を静止状態で保持させることは実質困難である。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、射出スクリューを回転することがないよう保持できるようにすることで、当該部品の交換作業性や保守点検作業性の向上を図った射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本射出成形機の発明は、
金型のキャビティに射出される溶融樹脂の計量を行うときに駆動される駆動源としての計量用電動サーボモータと、
該計量用電動サーボモータの駆動力が伝達される計量用駆動伝達ベルトと、
該計量用駆動伝達ベルトが掛け回された計量用従動プーリと、
前記溶融樹脂の計量を行うときに前記計量用従動プーリの回転に伴い回転される射出スクリューと、を備え、
前記計量用従動プーリに円弧溝を形成し、
前記計量用従動プーリに形成した円弧溝に対し挿入することができる突出しピンを進退可能に設け、
該突出しピンが前記計量用従動プーリの円弧溝に対し挿入されることで前記射出スクリューの回転動作を規制できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本射出成形機の発明によれば、突出しピンが計量用従動プーリの円弧溝に対し挿入されることで射出スクリューの回転動作を規制できるので、射出スクリューの交換作業や保守点検を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】縦型射出成形機に構成される射出ユニットを示す正面図であり、射出駆動部を上昇させた状態を示している。
図2】縦型射出成形機に構成される射出ユニットを示す正面図であり、射出駆動部を下降させた状態を示している。
図3】縦型射出成形機に構成される射出ユニットを示す側面図であり、射出駆動部を上昇させた状態を示している。
図4】縦型射出成形機に構成される射出ユニットを示す平面図である。
図5】縦型射出成形機に構成されるマグクランプ及び突出しピンを示す断面図である。
図6】従動プーリ及び突出しピンを示す斜視図である。
図7】変形例1の射出ユニットを示す平面図である。
図8】変形例2の射出ユニットを示す平面図である。
図9】変形例3の射出ユニットを示す平面図である。
図10図3におけるA−A線で切り欠いた状態を示す透視図である。
図11】射出ユニットの下方に設けられる型締ユニットを示す正面図である。
図12】射出ユニットの下方に設けられる型締ユニットを示す側面図である。
図13】射出ユニットの下方に設けられる型締ユニットを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための実施形態の一例を図1図13により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0014】
本発明の一例の縦型射出成形機は大別すると、溶融樹脂を金型のキャビティへ射出充填する射出ユニット1、金型の型開閉を行う型締めユニット(図示せず)から構成されており、射出ユニット1には、成形体の材料となるペレットを加熱溶融する加熱筒2、この先端(下部)に着脱可能に螺合させた射出ノズル3が構成されている。
【0015】
射出ユニット1の加熱筒2内には、射出ノズル3の先端側へ溶融樹脂を供給する射出スクリュー4が挿脱可能設けられており、溶融樹脂の計量時には、射出スクリュー4は、計量用電動サーボモータとしての第1の電動サーボモータ5を駆動源とし、第1の回転プーリ6、計量用従動プーリとしての第2の回転プーリ7、計量用駆動伝達ベルトとしての第1のタイミングベルト8を介して回転され、射出ノズル3の先端側へ溶融樹脂の供給が行われる。
【0016】
また、計量された溶融樹脂を射出ノズル3の先端から射出するときには、第2の電動サーボモータ10を駆動源とし、この駆動力が、第2の電動サーボモータ10の回転軸に装着された主動プーリ11、主動プーリ11に掛け回された駆動伝達ベルトたる第2のタイミングベルト12、第2のタイミングベルト12が掛け回された従動プーリ13,13aへと伝達され、従動プーリ13,13aの回転運動を、駆動伝達部としてのボールネジ機構14により直線運動に変換することで縦方向に昇降可能に設けられた射出駆動部15を駆動し、射出駆動部15に回転可能に固定された射出スクリュー4が射出駆動部15と共に下降することで、射出ノズル3から溶融樹脂が射出される。
【0017】
また、射出駆動部15を構成する射出ユニット1の昇降は、射出ユニット昇降用電動サーボモータである第3の電動モータ16を駆動源とし、この駆動力が、第3の電動モータ16の回転軸に装着された昇降用主動プーリ17、昇降用主動プーリに17に掛け回された射出ユニット昇降用駆動伝達ベルトたる第3のタイミングベルト18、第3のタイミングベルト18が掛け回された射出ユニット昇降用従動プーリである昇降用従動プーリ19へと伝達され、昇降用従動プーリ19の回転運動を、加熱筒取付ブラケット20に装着された射出ユニット昇降用駆動伝達部たるボールネジ機構21により直線運動に変換することで、該運動による加熱筒取付ブラケット20の昇降により射出ユニット1を昇降することができる。
【0018】
また、図11〜13に示す型締ユニット40は、射出ユニット1の下部に一体に装着されるものであり、これらの図に示すように、型締ユニット40には、金型を縦方向に型開閉する際に駆動源として駆動される型締ユニット昇降用電動サーボモータ41、この型締ユニット昇降用電動サーボモータ41の駆動力が伝達される型締ユニット昇降用駆動伝達ベルト42、この型締ユニット昇降用駆動伝達ベルト42が掛け回された型締ユニット昇降用従動プーリ43、この型締ユニット昇降用従動プーリ43が回転駆動されるのに従い、縦方向に伸長・屈曲される、型締ユニット昇降用駆動伝達部たるトグルリンク機構44、このトグルリンク機構44の動作により昇降される、可動金型(図示せず)の装着される可動ダイプレート45を備えている。
【0019】
図3及び図4に示すように、射出駆動部15には、第2のタイミングベルト12が切断されたこと、又は第2の電動サーボモータ10に対する通電がオフされ該第2の電動サーボモータ10が停止されたことを検出する検出手段22、弾性体たるスプリング25を介在してこのスプリング25の弾性力により突出される突出しピン26、検出手段22により第2のタイミングベルト12が切断されたこと又は第2の電動サーボモータ10が停止されたことが検出されたときに、コイル27、磁性材料等からなる電磁石の磁力を用いて後退させた状態でクランプされた突出しピン26をアンクランプするマグクランプ24、マグクランプ24の動作制御を行う制御手段23等が構成されている。
【0020】
ここで、円弧溝28の形成された一方の従動プーリ13について、図6によりさらに説明する。第2の電動サーボモータ10を駆動源として駆動される従動プーリ13には、該従動プーリ13の円周方向に4箇所(複数)の円弧溝28が形成されており、突き出された突出しピン26は円弧溝28に挿通されることで、従動プーリ13の回転を規制する。
【0021】
また、従動プーリ13のほか、第2の回転プーリ7、昇降用従動プーリ19、型締ユニット昇降用従動プーリ43には、突出しピン26が円弧溝28に挿入されたとき、突出しピン26の先端がスプリング25の弾性力により押圧される傾斜部29が形成されている。そして、縦型射出成形機が停止状態等にあるときには、突出しピン26の傾斜部29に対する押圧作用により各プーリ13,7,19,43は回転しない静止状態で保持される。
【0022】
また、図6では従動プーリ13の回転方向を矢印で示しているのだが、円弧溝28の傾斜部29は、同図に示すように、突出しピン26に対向するようにして形成されており、円弧溝28の底面に形成された傾斜部29は、従動プーリ13の回転方向(矢印方向)とは逆方向に向かって溝深さが浅くなるよう形成されている。そして、第2のタイミングベルト12が切断された、射出ユニット1の射出スクリュー4(射出駆動部15)の駆動動作を直ちに停止させることが求められるようなときや、第2の電動サーボモータ10への通電がオフされたときには、制御手段23により円弧溝28へ突出しピン26が突出挿入され、従動プーリ13が回転中であるときにおいて、突出しピン26の先端は、従動プーリ13の回転に伴い傾斜部29に対し摺動され、その摺動抵抗により、従動プーリ13の回転速度を速やかに減速させる。つまり、射出駆動部15や該射出駆動部15に設けられた射出スクリュー4を下降するために回転される従動プーリ13を減速させることができ、その減速後に、円弧溝28の端部の内壁面30が突出しピン26に衝突させることにより、従動プーリ13を停止させることができる。よって、第2のタイミングベルト12が切断されたときや、第2の電動サーボモータ10が停止されるときには、従動プーリ13は減速されてから停止させることができるから、これにより、従動プーリ13の回転に伴い動作される射出駆動部15や射出駆動部15の射出スクリュー4が自重により下降しないよう確実に抑止することができ、しかも、突出しピン26や射出駆動部15を保持する部材に大きな衝撃が加わってしまうことをも防止することができる。
【0023】
なお、本実施形態においては、図4に示すように、円弧溝28が形成された円型の従動プーリ13の接線方向となるようにして、突出しピン26を保持する矩形型の保持プレート31を配設し、この保持プレート31の中心に突出しピン26を配置し、ボルト32により保持プレート31の端部を射出駆動部15に固定した構造を採用しているが、図7図8に示すように保持プレート31を、三角形型のものを採用したり、図9に示すように保持プレート31の端部を複数のボルト32で固定するようにしたり、或いは、図8に示すように、突出しピン26を三角形型の保持プレート31の一辺側に沿うようにして配置するなどして、従動プーリ13の回転を突出しピン26で阻止したとき、すなわち、射出スクリュー4の設けられた射出駆動部15の自重落下を阻止するときに、保持プレート31に加わる衝撃を緩和できるようにしてもよい。
【0024】
また、上記射出駆動部15と同様に、計量用従動プーリたる第2の回転プーリ7、射出ユニット昇降用従動プーリである昇降用従動プーリ19、及び型締ユニット昇降用従動プーリ43の円弧溝に対し、それぞれに対応して設けられた突出しピン26が前進して挿通されることで、縦型射出成形機の稼動が停止状態等にあるときに、各プーリ7,19,43が回転しまわぬよう確実に抑止することができる。そして、従動プーリ13、昇降用従動プーリ19、及び型締ユニット昇降用従動プーリ43の回転が阻止されることにより、これらのプーリ13,19,43と連動して下降動作される、射出駆動部15、射出スクリュー4、射出ユニット1、トグルリンク機構44、金型の装着された可動ダイプレート45が、縦型射出成形機の稼動の停止状態になるとき、これらの自重によって下降動作してしまうことを確実に防止することが可能となる。
【0025】
なお、突出しピン26は、図5に示すように、弾性体たるスプリング25を介在してこのスプリング25の弾性力により突出されるようになっており、検出手段22により、タイミングベルト8,12,18,42が切断されたこと、何れかのモータ5,10,16,41が停止されたこと、或いは、縦型射出成形機の稼動が停止されたことが検出手段22により検出されたとき、制御手段23がマグクランプ24の動作制御を行い、コイル27、磁性材料等からなる電磁石の磁力を用いて後退させた状態でクランプされた突出しピン26をアンクランプすることで、各突出しピン26が前進され、当該突出しピン26がそれぞれに対応するプーリ7,13,19,43の円弧溝28に挿通される。
【0026】
次に、射出スクリュー4を交換する際の手順について説明する。まず、各ユニットを所定位置に移動させる。射出ユニット1は、後退限(上昇限)。射出駆動部15は、上昇限。型締ユニット40は、型開き限(上昇限)に移動させる。次に電源を停止すると、それに伴いモータ5,10,16,41が停止されることから、突出しピン26は各々に対応するプーリ7,13,19,43の円弧溝28に自動的に挿入される。その後、射出ノズル3を取り外してから、射出スクリュー4を射出駆動部15から取り外す。そして、射出ノズル側より射出スクリュー4を下方に引き抜き取出す。そして、新たな射出スクリュー4を用意し、前述した手順の逆手順で作業を行うことで射出スクリュー4の交換が完了することになる。
【0027】
以上のように本実施形態に係る縦型射出成形機によれば、射出ユニット1に構成された射出駆動部15と射出駆動部15の駆動源としての第2の電動サーボモータ10と、第2の電動サーボモータ10の駆動力が伝達される駆動伝達ベルトたる第2のタイミングベルト12と、第2のタイミングベルト12が掛け回された従動プーリ13と、従動プーリ13の回転に伴い射出スクリュー4が設けられた前記射出駆動部15を縦方向に昇降させる駆動伝達部たるボールネジ機構14と、前記射出ユニット1を昇降する際に駆動源として駆動される射出ユニット昇降用電動サーボモータたる第3の電動モータ16と、第3の電動モータ16の駆動力が伝達される射出ユニット昇降用駆動伝達ベルトたる第3のタイミングベルト18と、第3のタイミングベルト18が掛け回された昇降用従動プーリ19と、昇降用従動プーリ19の回転に伴い前記射出ユニット1を昇降させる射出ユニット昇降用駆動伝達部たるボールネジ機構21と、前記金型を縦方向に型開閉する際に駆動源として駆動される型締ユニット昇降用電動サーボモータ41と、型締ユニット昇降用電動サーボモータ41の駆動力が伝達される型締ユニット昇降用駆動伝達ベルト42と、型締ユニット昇降用駆動伝達ベルト42が掛け回された型締ユニット昇降用従動プーリ43と、型締ユニット昇降用従動プーリ43の回転に伴い前記型締ユニット40に構成された前記金型の装着される可動ダイプレート45を昇降させる型締ユニット昇降用駆動伝達部たるトグルリンク機構44とを備え、前記従動プーリ13、前記射出ユニット昇降用従動プーリたる昇降用従動プーリ19、及び前記型締ユニット昇降用従動プーリ43のそれぞれに円弧溝28を形成し、円弧溝28のそれぞれに挿入される突出しピン26を進退可能に設けたものである。これにより、縦型射出成形機の稼動が停止等されたときに、従動プーリ13,19,43の円弧溝28に対し突出しピン26を突き出して挿入されることにより、射出駆動部15や射出駆動部15に設けられた射出スクリュー4が降下してしまうことを防止でき、昇降用従動プーリ19の円弧溝28に対し突出しピン26を突き出して挿入させることにより、射出ユニット1が降下してしまうことを防止でき、型締ユニット昇降用従動プーリ43の円弧溝28に対し突出しピン26を突き出して挿入させることにより、金型が装着される可動ダイプレート45やトグルリンク機構44が降下してしまうことを防止できる。すなわち、縦型射出成形機に昇降可能に設けられた特有の部材が自重により降下してしまうことを抑止することが可能となることから、ひいては安全性に優れた縦型射出成形機を得ることができる。
【0028】
さらに、加熱筒2内で挿脱可能であって縦方向に昇降可能に設けられた射出スクリュー4は、射出成形機の稼動を停止した際、その自重により前進限まで降下しようとする力が働くものであり、後退限側に位置するときには、射出スクリュー4の一部が加熱筒2の外側に露出されるものであるのだが、射出駆動部15に設けられた射出スクリュー4を最も後退(上昇)させた位置を後退限とし、最も前進(下降)させた位置を前進限とした場合、後退限から前進限までの間の位置にて、従動プーリ13に形成した円弧溝28に対し挿入することができる突出しピン26を進退可能に設け、該突出しピン26が従動プーリ13の円弧溝28に対し挿入されることで射出スクリュー4の進退動作を規制できるように構成していることから、これにより、前進限側ではない、所定位置において、突出しピン26が従動プーリ13の円弧溝28に対し挿入されることで、射出スクリュー4を後退限側に配置した状態で射出スクリュー4の進退動作を規制できる。よって、射出スクリュー4の一部や、或いは全体を、加熱筒2の外側に露出した状態で配置(保持)することが可能となり、また、計量軸も回転不可とすることにより、加熱筒2内で挿脱される射出スクリュー4の交換作業や保守点検を容易に行うことが可能となる。
【0029】
さらに、金型のキャビティに射出される溶融樹脂の計量を行うときに駆動される駆動源としての計量用電動サーボモータたる第1の電動サーボモータ5と、該第1の電動サーボモータ5の駆動力が伝達される計量用駆動伝達ベルトとしての第1のタイミングベルト8と、該第1のタイミングベルト8が掛け回された計量用従動プーリとしての第2の回転プーリ7とを備え、射出スクリュー4は、溶融樹脂の計量を行うときに前記第2の回転プーリ7の回転に伴い回転されるものであり、前記第2の回転プーリ7に円弧溝28を形成し、前記第2の回転プーリ7に形成した円弧溝28に対し挿入することができる突出しピン26を進退可能に設け、該突出しピン26が前記第2の回転プーリ7の円弧溝28に対し挿入されることで射出スクリュー4の回転動作を規制できるようにしたものである。これにより、突出しピン26が第2の回転プーリ7の円弧溝28に対し挿入されることで射出スクリュー4の回転動作を規制できるので、射出スクリュー4の進退移動(射出スクリューの自重による降下)を規制するのに加え、射出スクリュー4が回転しないよう規制(回転止め)することができる。よって、射出スクリュー4の交換作業性や保守点検作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 射出ユニット
2 加熱筒
4 射出スクリュー
5 第1の電動サーボモータ(計量用電動サーボモータ)
7 第2の回転プーリ(計量用従動プーリ)
8 第1のタイミングベルト(計量用駆動伝達ベルト)
10 第2の電動サーボモータ(電動サーボモータ)
12 第2のタイミングベルト(駆動伝達ベルト)
13 従動プーリ
14 駆動伝達部(ボールネジ機構)
15 射出駆動部
26 突出しピン
28 円弧溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13