(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
図1を参照して、電動モータ装置1の制御構成について説明する。
電動モータ装置1は、3相交流電流の供給を受けてロータ14を回転させる電動モータ10と、電動モータ10を制御する制御装置20と、3相交流電流を供給して電動モータ10のロータ14を回転させる第1駆動系統30および第2駆動系統50と、ロータ14の回転角θを検出する回転角センサ70とを有する。
【0026】
図2を参照して、電動モータ10の構成について説明する。
電動モータ10は、3相誘導モータである。電動モータ10には、U相ティース11と、V相ティース12と、W相ティース13と、ロータ14とが設けられている。U相ティース11には、第1駆動系統30が有する第1駆動系統U相巻線31と、第2駆動系統50が有する第2駆動系統U相巻線51とが束ねられた上で巻回されている。V相ティース12には、第1駆動系統30が有する第1駆動系統V相巻線32と、第2駆動系統50が有する第2駆動系統V相巻線52とが束ねられた上で巻回されている。W相ティース13には、第1駆動系統30が有する第1駆動系統W相巻線33と、第2駆動系統50が有する第2駆動系統W相巻線53とが束ねられた上で巻回されている。
【0027】
以下の説明では、第1駆動系統U相巻線31をU相ティース11に巻回したU相コイル、第1駆動系統V相巻線32をV相ティース12に巻回したV相コイル、および第1駆動系統W相巻線33をW相ティース13に巻回したW相コイルの3つのコイルを第1界磁部Mgaと称する。また、第2駆動系統U相巻線51をU相ティース11に巻回したU相コイル、第2駆動系統V相巻線52をV相ティース12に巻回したV相コイル、および第2駆動系統W相巻線53をW相ティース13に巻回したW相コイルの3つのコイルを第2界磁部Mgbと称する。第1駆動系統30が第1界磁部Mgaを有し、第2駆動系統50が第2界磁部Mgbを有する。また、以下の説明では、第1界磁部Mga、および第2界磁部Mgbの総称として単に界磁部と称する。
【0028】
図1を再度参照して、電動モータ装置1の制御構成についての説明を続ける。
制御装置20は、ECUである。制御装置20は、ロータ14の回転角θおよび目標回転数Nsに応じて第1駆動回路制御信号Saおよび第2駆動回路制御信号Sbの少なくとも一方を生成することにより電動モータ10を制御する。また、制御装置20は、記憶部21を有する。
【0029】
第1駆動系統30は、第1駆動回路制御信号Saに応じて3相交流電流を第1界磁部Mgaに供給する第1駆動回路34と、第1界磁部Mgaに供給される3相交流電流の相間電圧を検出する電圧センサ35〜37と、第1界磁部Mgaに供給される相電流をそれぞれ検出する電流センサ38〜40とを有する。
【0030】
UV間電圧センサ35は、第1界磁部MgaのU相とV相との相間電圧を検出する。VW間電圧センサ36は、第1界磁部MgaのV相とW相との相間電圧を検出する。WU間電圧センサ37は、第1界磁部MgaのW相とU相との相間電圧を検出する。
【0031】
U相電流センサ38は、第1駆動回路34から第1界磁部MgaのU相コイルに供給されるU相電流を検出する。V相電流センサ39は、第1駆動回路34から第1界磁部MgaのV相コイルに供給されるV相電流を検出する。W相電流センサ40は、第1駆動回路34から第1界磁部MgaのW相コイルに供給されるW相電流を検出する。
【0032】
第1駆動回路34は、3相インバータ回路を有する。第1駆動回路34は、制御装置20によって生成された第1駆動回路制御信号Saに応じて、3相インバータ回路のスイッチング素子の開閉状態を制御する。第1駆動回路34は、スイッチング素子の開閉状態を制御することにより、図示しない電源から供給される直流電流を、3相交流電流に変換して第1界磁部Mgaに供給する。
【0033】
第2駆動系統50は、第2駆動回路制御信号Sbに応じて3相交流電流を第2界磁部Mgbに供給する第2駆動回路54と、第2界磁部Mgbに供給される3相交流電流の相間電圧をそれぞれ検出する電圧センサ55〜57と、第2界磁部Mgbに供給される相電流をそれぞれ検出する電流センサ58〜60とを有する。
【0034】
UV間電圧センサ55は、第1界磁部MgaのU相とV相との相間電圧を検出する。VW間電圧センサ56は、第2界磁部MgbのV相とW相との相間電圧を検出する。WU間電圧センサ57は、第2界磁部MgbのW相とU相との相間電圧を検出する。
【0035】
U相電流センサ58は、第2駆動回路54から第2界磁部MgbのU相コイルに供給されるU相電流を検出する。V相電流センサ59は、第2駆動回路54から第2界磁部MgbのV相コイルに供給されるV相電流を検出する。W相電流センサ60は、第2駆動回路54から第2界磁部MgbのW相コイルに供給されるW相電流を検出する。
【0036】
第2駆動回路54は、3相インバータ回路である。第2駆動回路54は、制御装置20によって生成された第2駆動回路制御信号Sbに応じて、3相インバータ回路のスイッチング素子の開閉状態を制御する。第2駆動回路54は、スイッチング素子の開閉状態を制御することにより、図示しない電源から供給される直流電流を、3相交流電流に変換して第2界磁部Mgbに供給する。
【0037】
次に電動モータ装置1の動作について説明する。
なお、以下では、第1界磁部Mgaの温度を第1界磁温度Taと称し、第2界磁部Mgbの温度を第2界磁温度Tbと称する。また、第1界磁温度Taと第2界磁温度Tbとの差を界磁温度差ΔTと称する。また、第1界磁部Mgaの抵抗を第1界磁抵抗Raと称し、第2界磁部Mgbの抵抗を第2界磁抵抗Rbと称する。また、第1界磁抵抗Raと第2界磁抵抗Rbとの差を界磁抵抗差ΔRと称する。また、第1駆動系統30、および第2駆動系統50の総称として単に駆動系統と称する。
【0038】
制御装置20は、回転角センサ70によって検出されるロータ14の回転角θを時間微分することにより回転数Nを計算する。制御装置20は、ロータ14の回転数Nを目標回転数Nsに追従させるために必要なロータ14の回転トルクτを目標トルクτsとして計算し、目標トルクτsに比例するようにモータ電流Imを計算する。制御装置20は、ロータ14の回転トルクτに比例する所謂q軸電流としてモータ電流Imを計算する。制御装置20は、第1界磁部Mgaに供給される3相交流電流に相当するq軸電流と第2界磁部Mgbに供給される3相交流電流に相当するq軸電流との合計がモータ電流Imとなるように第1駆動回路34および第2駆動回路54を制御する。これにより、制御装置20は、ロータ14の回転トルクτを目標トルクτsになるように制御し、回転数Nを目標回転数Nsに追従させられる。なお、以下では、第1界磁部Mgaに供給される3相交流電流に相当するq軸電流を第1電流Iaと称する。また、第2界磁部Mgbに供給される3相交流電流に相当するq軸電流を第2電流Ibと称する。
【0039】
第1界磁抵抗Raおよび第2界磁抵抗Rbの計算方法について説明する。
なお、以下では、第1界磁抵抗Raおよび第2界磁抵抗Rbの総称として単に界磁抵抗と称する。
【0040】
制御装置20は、第1駆動回路34から第1界磁部Mgaに3相交流電流が供給されるときの各相電流と各相間電圧とに基づいて第1界磁部Mgaが有する各相コイルのそれぞれの抵抗を計算する。そして、制御装置20は、第1界磁部Mgaが有する各相コイルのそれぞれの抵抗の平均値を第1界磁抵抗Raとして計算する。
【0041】
制御装置20は、第2駆動回路54から第2界磁部Mgbに3相交流電流が供給されるときの各相電流と各相間電圧とに基づいて第2界磁部Mgbが有する各相コイルのそれぞれの抵抗を計算する。そして、制御装置20は、第2界磁部Mgbが有する各相コイルのそれぞれの抵抗の平均値を第2界磁抵抗Rbとして計算する。
【0042】
なお、制御装置20は、例えば、ロータ14を停止させる場面では、ロータ14が回転しない程度の電流を流すことによって界磁抵抗を計算する。
第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbの計算方法について説明する。
【0043】
なお、以下では、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbの総称として単に界磁温度と称する。
制御装置20は、第1界磁抵抗Raを計算する際に計算した各相コイルのそれぞれの抵抗に基づいて、この各相コイルの温度を推定する。制御装置20は、記憶部21に記憶されている抵抗温度マップを参照する。制御装置20は、記憶部21に記憶されている抵抗温度マップを参照することにより、第1界磁抵抗Raを計算する際に計算した各相コイルの抵抗に対応する各温度を、各相コイルの温度として推定する。制御装置20は、第1界磁部Mgaの各相コイルの温度を推定し、これらの温度の平均値を第1界磁温度Taとして計算する。
【0044】
制御装置20は、第2界磁抵抗Rbを計算する際に計算した各相コイルのそれぞれの抵抗に基づいて、この各相コイルの温度を推定する。制御装置20は、記憶部21に記憶されている抵抗温度マップを参照する。制御装置20は、記憶部21に記憶されている抵抗温度マップを参照することにより、第2界磁抵抗Rbを計算する際に計算した各相コイルの抵抗に対応する各温度を、各相コイルの温度として推定する。制御装置20は、第2界磁部Mgbの各相コイルの温度を推定し、これらの温度の平均値を第2界磁温度Tbとして計算する。
【0045】
なお、抵抗温度マップは、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbがそれぞれ有している各相コイルの抵抗と温度との対応関係を示すマップである。抵抗温度マップは、コイルの抵抗と温度との対応関係を予め測定することによって作成され、記憶部21に記憶される。
【0046】
制御装置20は、第1駆動系統30および第2駆動系統50のいずれかを用いて電動モータ10を制御する単一制御モードと、第1駆動系統30および第2駆動系統50の両方を用いて電動モータ10を制御する複合制御モードとを選択して制御する。
【0047】
制御装置20は、目標トルクτsがトルク基準値thτ未満のときに単一制御モードを選択し、目標トルクτsがトルク基準値thτ以上のときに複合制御モードを選択する。これにより、ロータ14の回転トルクτをトルク基準値thτ以上の大きな目標トルクτsにするときには、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの両方を用いて負荷を分散させられる。一方、ロータ14の回転トルクτを相対的に小さな目標トルクτsにするときにはいずれか一方の界磁部のみを用いて、不要な界磁部の使用を抑制できる。
【0048】
単一制御モードについて説明する。
制御装置20は、単一制御モードにおいて電動モータ10の制御に用いる駆動系統を選択する方法として、電動モータ装置1が始動する時に選択する第1選択方法と、電動モータ10の制御中に選択する第2選択方法とを有する。
【0049】
第1選択方法について説明する。
なお、以下では、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbのうち相対的に低い界磁温度を低界磁温度Tlowと称する。
【0050】
電動モータ装置1の始動時に第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbを計算し、低界磁温度Tlowの界磁部を始動用界磁部として選択する。始動用界磁部とは、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの中から予め定められた界磁部である。始動用界磁部として第1界磁部Mgaが予め定められている。
【0051】
第2選択方法について説明する。
なお、以下では、電動モータ10の制御に使用している一方の駆動系統が有する界磁部の界磁温度を使用界磁温度Tuと称する。
【0052】
制御装置20は、第1基準温度th1以上の使用界磁温度Tuの界磁部を有する駆動系統の使用を停止する。制御装置20は、第1駆動系統30を使用して電動モータ10を制御している場合に、第1界磁温度Taが第1基準温度th1以上のとき、第2駆動系統50を選択する。一方、制御装置20は、第2駆動系統50を使用して電動モータ10を制御している場合に、第2界磁温度Tbが第1基準温度th1以上のとき、第1駆動系統30を選択する。
【0053】
複合制御モードについて説明する。
制御装置20は、複合制御モードで電動モータ10を制御するとき、第1電流Iaおよび第2電流Ibそれぞれのモータ電流Imに対する分担率を第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbとして計算する。そして、制御装置20は、第1電流係数Kaをモータ電流Imに乗算することにより第1電流Iaを計算し、第2電流係数Kbをモータ電流Imに乗算することにより第2電流Ibを計算する。なお、以下の説明では、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbの総称として単に電流係数と称する。
【0054】
電流係数を決定する方法は2つある。電流係数の初期値を決定するための第1決定方法と、これらの初期値を補正するための第2決定方法である。
第1決定方法について説明する。
【0055】
制御装置20は、第1界磁抵抗Raを基準として、第1界磁抵抗Raから第2界磁抵抗Rbを減算することにより界磁抵抗差ΔRを計算する。したがって、界磁抵抗差ΔRは、第1界磁抵抗Raが第2界磁抵抗Rbを超える場合に正の符号となり、第1界磁抵抗Raが第2界磁抵抗Rb未満の場合に負の符号となる。
【0056】
制御装置20は、電流係数マップにおいて界磁抵抗差ΔRに対応する第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbをそれぞれ決定する。なお、電流係数マップは、記憶部21に予め記憶されている。
【0057】
図3は、電流係数マップの一例を示す図である。電流係数マップにおいて、界磁抵抗差ΔRが正の領域である場合には、界磁抵抗差ΔRが増加するのにしたがって第1電流係数Kaが減少し、第2電流係数Kbが増加するようにこれらの関係が定められている。すなわち、界磁抵抗差ΔRが正の領域である場合には、界磁抵抗差ΔRが増加するのにしたがって第1電流Iaが減少し、第2電流Ibが増加する。界磁抵抗差ΔRが負の領域である場合には、界磁抵抗差ΔRが減少するのにしたがって、第1電流係数Kaが増加し、第2電流係数Kbが減少する。
【0058】
電流係数マップは、第1電流係数Kaが漸減するときの変化量と、第2電流係数Kbが漸増するときの変化量とが同一となる。さらに、電流係数マップは、界磁抵抗差ΔRに関わらず電流係数の合計が常に1となるように予め定められる。また、電流係数マップでは、電流係数に対して上限値Kmaxと下限値Kminが定められている。界磁抵抗差ΔRがΔRmax以上のときには電流係数が上限値Kmaxに決定され、電流係数が−ΔRmax以下のときには電流係数が下限値Kminに決定される。
【0059】
図4を参照して、第2決定方法について説明する。
図4は、界磁温度差ΔT、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbを時間tの経過に沿って示すタイミングチャートの一例である。
図4(a)は、界磁温度差ΔTの変化を時間tの経過に沿って示している。
【0060】
一方、
図4(b)は、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbの変化を時間tの経過に沿って示すタイミングチャートである。
図4(b)は、界磁温度差ΔTが基準温度差ΔTxを超えるときに、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbの補正が開始された場合の経過を示している。
【0061】
制御装置20は、第1界磁温度Taを基準として、第1界磁温度Taから第2界磁温度Tbを減算することにより界磁温度差ΔTを計算する。したがって、界磁温度差ΔTは、第1界磁温度Taが第2界磁温度Tbを超える場合に正の符号となり、第1界磁温度Taが第2界磁温度Tb未満の場合に負の符号となる。
【0062】
第1界磁温度Taが第2界磁温度Tbを超え、且つ界磁温度差ΔTが基準温度差ΔTxを超えるとき、制御装置20は、時間の経過にしたがって漸減するように第1電流係数Kaを補正し、時間の経過にしたがって漸増するように第2電流係数Kbを補正する。界磁温度差ΔTが「0」になると、制御装置20は、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbの補正を終了する。補正が終了すると、界磁温度差ΔTが再び基準温度差ΔTxを超えるまで、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbの制御装置20による補正はされない。つまり、補正が終了すると、界磁温度差ΔTが再び基準温度差ΔTxを超えるまで、補正を終了したときの第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbがそれぞれ維持される。
【0063】
なお、第1電流係数Kaを漸減させるときの変化量と、第2電流係数Kbを漸増させるときの変化量とは同一である。そして、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbは、合計が1となるように補正される。
【0064】
制御装置20は、複合制御モードにおいて、第1界磁温度Taが第2基準温度th2以上となり、第1界磁部Mgaに異常が生じて過熱していると考えられる場合、第1駆動系統30の使用を停止する。また、制御装置20は、複合制御モードにおいて、第2界磁温度Tbが第2基準温度th2以上となり、第2界磁部Mgbに異常が生じて過熱していると考えられる場合、第2駆動系統50の使用を停止する。
【0065】
図5〜
図9に示すフローチャートを参照して、制御装置20の処理動作の流れについて具体的に説明する。
図5〜
図9のフローチャートは、電動モータ装置1に電源が投入されたときに制御装置20が所定のプログラムを読み込むことによって実行する処理動作の流れを示している。なお、制御装置20は、電動モータ装置1に電源が投入されると、
図5に示すメイン処理を開始する。
【0066】
メイン処理を開始すると、ステップS100では、単一制御モードで用いる初期の駆動系統を選択する初期駆動系統選択処理をする。
ステップS200では、複合制御モードにおける初期の電流係数を決定する初期電流係数決定処理をする。初期駆動系統選択処理および初期電流係数決定処理の詳細はそれぞれ後述する。
【0067】
ステップS11では、目標回転数Nsに応じて目標トルクτsを計算する。
ステップS12では、第2基準温度th2以上の界磁温度Thとなった界磁部を有する駆動系統を停止させたか否かを判断する。ステップS12において否定判定したとき、ステップS13において目標トルクτsがトルク基準値thτ以上であるか否かを判定する。一方、ステップS12において肯定判定したとき、ステップS14において、第1電流Iaおよび第2電流Ibのいずれかを計算する。
【0068】
ステップS13において肯定判定したとき、複合制御モードを選択し、ステップS300において、界磁温度差ΔTに応じて電流係数を補正するための
図8に示す複合制御モード処理を実行する。一方、ステップS13において否定判定したとき、単一制御モードを選択し、ステップS400において、単一制御モードで用いる駆動系統を再選択するための
図9に示す使用駆動系統選択処理を実行する。
【0069】
ステップS300を実行することにより第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbを決定したとき、ステップS14では、第1電流Iaおよび第2電流Ibを計算する。
ステップS400において第1駆動系統30を選択したとき、ステップS14では、モータ電流Imと等しい第1電流Iaを計算する。一方、ステップS400において第2駆動系統50を選択したとき、ステップS14では、モータ電流Imと等しい第2電流Ibを計算する。
【0070】
ステップS12において肯定判定したとき、ステップS14では第1電流Iaおよび第2電流Ibのいずれか一方のみを計算する。第1駆動系統30の使用を停止しているときには、ステップ14では、第2電流Ibのみを計算する。一方、第2駆動系統50の使用を停止しているときには、ステップ14では、第1電流Iaのみを計算する。
【0071】
ステップS15では、電動モータ装置1を停止させる信号が停止信号Stとして入力されたか否かを判定する。停止信号Stとは、例えば、電動モータ装置1への電源の供給を制御するスイッチがオンからオフに変更されたときに、当該スイッチから制御装置20に入力される信号である。ステップS15において肯定判定したときには、
図5のフローチャートに示すメイン処理を完了し、ステップS15において否定判定したときには、ステップS11から処理を繰り返す。
【0072】
図6を参照して、ステップS100の初期駆動系統選択処理について詳述する。
ステップS101では、第1界磁温度Ta、および第2界磁温度Tbをそれぞれ計算する。
【0073】
ステップS102では、第1界磁温度Taが第2界磁温度Tbを超えるか否かを判定する。ステップS102において肯定判定したとき、ステップS103において第2駆動系統50を選択する。一方、ステップS102において否定判定したとき、ステップS104において第1駆動系統30を選択する。駆動系統を選択すると、
図6のフローチャートに示す処理を終了し、
図5のメイン処理におけるステップ200の処理を開始する。
【0074】
図7を参照して、ステップS200の初期電流係数決定処理について詳述する。
ステップS201では、第1界磁抵抗Raおよび第2界磁抵抗Rbを計算する。
ステップS202では、ステップS201において計算した第1界磁抵抗Raおよび第2界磁抵抗Rbに基づいて界磁抵抗差ΔRを計算する。
【0075】
ステップS203では、記憶部21に記憶されている電流係数マップを参照して界磁抵抗差ΔRに対応する第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbをそれぞれ初期値として決定する。電流係数の初期値を決定すると、
図7のフローチャートに示す処理を終了し、
図5のメイン処理におけるステップS11の処理を開始する。
【0076】
図8を参照して、複合制御モード処理について詳述する。
ステップS301では、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbを、それぞれ計算する。
【0077】
ステップS302では、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbのうち少なくともいずれか一方の界磁温度が第2基準温度th2以上か否かを判定する。ステップS302において否定判定したとき、ステップS303では、ステップS301で計算した界磁温度の界磁温度差ΔTが「0」か否かを判定する。一方、ステップS302において肯定判定したとき、ステップS306では、第2基準温度th2以上の界磁部を有する駆動系統の使用を停止する。
【0078】
ステップS303において否定判定したとき、ステップS304では、ステップS301で計算した界磁温度の界磁温度差ΔTが基準温度差ΔTxを超えるか否かを判定する。一方、ステップS303において肯定判定したとき、
図8のフローチャートに示す処理を終了し、
図5のメイン処理におけるステップS14の処理を開始する。
【0079】
ステップS304において肯定判定したとき、ステップS305において第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbを補正する。一方、ステップS304において否定判定したとき、
図8のフローチャートに示す処理を終了し、
図5のメイン処理におけるステップS14の処理を開始する。
【0080】
ステップS305において電流係数を補正したとき、またはステップS306において界磁温度Thの界磁部の使用を停止したとき、
図8のフローチャートに示す処理を終了し、
図5のメイン処理におけるステップS14の処理を開始する。
【0081】
図9を参照して、使用駆動系統選択処理の詳細について説明する。
ステップS401では、使用界磁温度Tuを計算する。ステップS402では、ステップS401において計算した使用界磁温度Tuが第1基準温度th1以上であるか否かを判定する。
【0082】
ステップS402において肯定判定したとき、ステップS403において単一制御モードで電動モータ10の制御に用いている一方の駆動系統と異なる駆動系統を選択する。ステップS402において否定判定したとき、またはステップS403において駆動系統を選択すると、
図9のフローチャートに示す処理を終了し、
図5のメイン処理におけるステップS14の処理を開始する。
【0083】
(実施形態の効果)
本実施形態の電動モータ装置1によれば以下の効果が得られる。
(1)電動モータ装置1は、界磁温度差ΔTに応じて第1電流Iaおよび第2電流Ibの両方を制御する。
【0084】
この構成によれば、界磁温度差ΔTに応じて第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの両方の電流を制御することにより、界磁温度差ΔTを小さくすることができる。このため、界磁温度差ΔTが大きくなり、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbによって生じる磁力の差が大きくなることによって、ロータ14の回転が不安定になることが抑制される。
【0085】
(2)電動モータ装置1は、界磁温度差ΔTが基準温度差ΔTxを超えるときに、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの両方に流れる電流を制御する。
界磁温度差ΔTが基準温度差ΔTxを超えるときには、界磁温度差ΔTが基準温度差ΔTx以下のときと比較してロータ14の回転が不安定になる度合が大きい。この構成では、電動モータ10がそのような状態にあるとき、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの両方の電流を制御するため、ロータの回転が不安定になることを抑制する効果がより確実に得られる。
【0086】
(3)電動モータ装置1は、電動モータ装置1が始動したときの第1界磁抵抗Raおよび第2界磁抵抗Rbに応じて第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの両方に流れる電流を制御する。
【0087】
電動モータ10の始動時においては、電動モータ10が所定期間以上にわたり継続して駆動しているときと比較して界磁温度差ΔTが小さい、または界磁温度差ΔTが実質的に「0」となることもある。一方、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの間に個体差としての界磁抵抗差ΔRがある場合には、上記のように界磁温度差ΔTが小さいまたは生じていない状況においても界磁抵抗差ΔRに起因する磁力の違いを補正することが好ましい。上記構成では、この考えに基づいて、電動モータ10が始動したときの第1界磁抵抗Raおよび第2界磁抵抗Rbに応じて第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの両方の電流を制御するため、ロータ14の回転が不安定となることを抑制する効果がより多くの状況において得られる。
【0089】
(
4)電動モータ装置1では、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbのいずれか一方が漸増し、他方が漸減するようにそれぞれを補正する。
この構成によれば、ロータ14の回転トルクτを目標トルクτsに追従させながら、界磁温度差ΔTを「0」にできる。
【0090】
(
5)電動モータ装置1では、上限抵抗値ΔRmaxおよび下限抵抗値−ΔRmaxを界磁抵抗差ΔRに対して設ける。
この構成によれば、界磁抵抗差ΔRが過度に大きい場合、または過度に小さい場合に、第1電流係数Ka、または第2電流係数Kbが過大になることを抑制し、第1電流Ia、または第2電流Ibが過度に流れることを抑制できる。したがって、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbにかかる負荷が過大になることを抑制できる。
【0091】
(
6)電動モータ装置1では、複合制御モードにおいて第2基準温度th2以上の界磁部を有する駆動系統の使用を停止し、モータ電流Imに相当する3相交流電流を他方の駆動系統が有する界磁部に供給する。
【0092】
この構成によれば、異常が生じたと考えられる界磁部に3相交流電流が供給され続ける可能性を低下させることができる。また、モータ電流Imに相当する3相交流電流を他方の界磁部に供給するので、ロータ14の回転トルクτを、モータ電流Imに応じた目標トルクτsに維持できる。
【0093】
(
7)電動モータ装置1の始動時から、目標回転数Nsが入力されロータ14の回転を開始するまでの期間に、単一制御モードにおいて用いる初期の駆動系統の選択をし、複合制御モードにおける電流係数の初期値をそれぞれ決定する。この構成によれば、駆動系統の選択や電流係数の初期値を決定した後にロータ14の回転を開始させる構成と比較して、ロータ14の回転の開始を早められる。
【0094】
(第2実施形態)
本実施形態の電動モータ装置1は、第1実施形態の制御装置20の動作の一部を変更したものである。このため、以下では第1実施形態の電動モータ装置1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する点の説明の一部または全部を省略する。
【0095】
第1実施形態では、複合制御モードにおいて、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbのそれぞれを補正するものとした。しかし、複合制御モードにおいて、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbのうち、相対的に高い界磁温度の界磁部に供給される電流が漸減するように、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbのいずれかのみを漸減するように補正することもできる。
【0096】
(実施形態の効果)
(
8)電動モータ装置1によれば、上記第1実施形態の(3)
、(5)〜(
7)の効果を奏することができる。
【0098】
(第3実施形態)
本実施形態の電動モータ装置1は、第1実施形態の制御装置20の動作の一部を変更したものである。このため、以下では第1実施形態の電動モータ装置1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する点についてはその説明の一部、または全部を省略する。
【0099】
第1実施形態では、複合制御モードにおいて、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbのそれぞれを補正するものとした。しかし、複合制御モードにおいて、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbのうち、相対的に低い界磁温度の界磁部に供給される電流が漸増するように、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbのいずれかのみを漸増するように補正することもできる。
【0100】
(実施形態の効果)
(
9)電動モータ装置1によれば、上記第2実施形態の(
8)の効果を奏することができる。
【0101】
(1
0)電動モータ装置1によれば、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbのうち相対的に界磁温度が低い界磁部に供給される電流を増加させる。このため、各界磁部を用いてロータ14を回転させる場合において、ロータ14のトルクが低下することを抑制することができる。
【0102】
(第4実施形態)
本実施形態の電動モータ装置1は、第1実施形態の制御装置20の動作の一部を変更したものである。このため、以下では第1実施形態の電動モータ装置1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する点についてはその説明の一部、または全部を省略する。
【0103】
第1実施形態では、制御装置20が電動モータ装置1の始動時に駆動系統を選択する場合、低界磁温度Tlowの界磁部を選択する第1選択方法を用いるものとした。これに対して、制御装置20は、第1界磁停止温度Tc、第2界磁停止温度Td、経過時間tp、平均外気温Te、および冷却時間tjに基づいて選択する第3選択方法を用いることもできる。
【0104】
第3選択方法について説明する。
第1界磁停止温度Tcおよび第2界磁停止温度Tdは、電動モータ装置1が停止したときの第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbである。制御装置20は、電動モータ装置1が停止するときに第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbをそれぞれ第1界磁停止温度Tcおよび第2界磁停止温度Tdとして記憶部21に記憶させる。なお、以下では、第1界磁停止温度Tcおよび第2界磁停止温度の総称として単に界磁停止温度と称する。
【0105】
経過時間tpは、電動モータ装置1が停止してから次に始動したときまでの経過時間である。平均外気温Teは、電動モータ装置1の現在位置周辺の平均気温である。平均外気温Teは、例えば、電動モータ装置1の現在位置周辺における過去1ヶ月の平均気温であってもよい。制御装置20は、GPSなどの図示しない位置取得手段によって取得した現在位置を、図示しない無線通信手段を用いて送信し、同現在位置の平均外気温Teをサーバから取得する。
【0106】
冷却時間tjとは、第1界磁停止温度Tcおよび第2界磁停止温度Tdのうち高い界磁停止温度の界磁部が平均外気温Teまで冷却されるのに必要な時間として周知の手法により計算される時間である。
【0107】
制御装置20は、電動モータ装置1が始動すると、第1界磁停止温度Tcおよび第2界磁停止温度Tdを記憶部21から読み込み、平均外気温Teを取得する。第1界磁停止温度Tcおよび第2界磁停止温度Tdのうち高い方の界磁停止温度と平均外気温Teとに基づいて冷却時間tjを計算する。
【0108】
制御装置20は、経過時間tpが冷却時間tjよりも長いとき、始動用界磁部を含む駆動系統を選択する。始動用界磁部とは、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの中から予め定められた界磁部である。始動用界磁部はいずれの界磁部であってもよい。
【0109】
一方、制御装置20は、経過時間tpが冷却時間tj以下のとき、第1界磁停止温度Tcおよび第2界磁停止温度Tdのうち、相対的に低い界磁温度の界磁部を含む駆動系統を選択する。
【0110】
(実施形態の効果)
(1
1)電動モータ装置1によれば、上記第2実施形態の(1)〜(
7)の効果を奏することができる。
【0112】
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を組み合わせて実施することもできる。
【0113】
・第1実施形態(
図1)では、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbに応じて第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbに流れる電流の両方を制御するものとした。しかし、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbに代えて、または加えて第1界磁熱量Caおよび第2界磁熱量Cbに応じて第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbに流れる電流の少なくとも一方を制御することもできる。
【0114】
この場合、第1界磁熱量Caおよび第2界磁熱量Cbとは、例えば、電動モータ10のロータ14が回転を開始してから発生する熱量を測定、または推定した結果である。第1界磁熱量Caを推定する方法としては、第1界磁抵抗Raと第1電流Iaと回転を開始してからの経過時間とを乗算する方法が一例として挙げられる。同様に、第2界磁熱量Cbを推定する方法としては、第2界磁抵抗Rbと第2電流Ibと回転を開始してからの経過時間とを乗算する方法が一例として挙げられる。なお、第1界磁熱量Caおよび第2界磁熱量Cbを測定、または推定する場合、電動モータ10のロータ14の回転が開始したときからではなく、電動モータ装置1が始動したとき、または制御装置20が始動したときから測定、または推定することもできる。
【0115】
各界磁部の抵抗の大きさに違いがあるとき、この違いが各界磁部の熱量にも反映される。このため、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの電流を制御するときに参照するパラメータとして界磁熱量差を用いても、同パラメータとして界磁温度差を用いた場合に得られる効果に準じた効果が得られる。上記構成では、この考え方に基づいて、第1界磁部Mgaの熱量と第2界磁部Mgbの熱量との差に応じて各界磁部の少なくとも一方の電流を制御するため、ロータ14の回転が不安定になることを抑制する効果が得られる。
【0116】
・第4実施形態(
図1)では、図示しない無線通信手段と、図示しない位置取得手段とを用いて制御装置20が平均外気温Teを取得するものとしたが、電動モータ装置1に外気温を測定する温度計を設け、制御装置20が集計した外気温を平均外気温Teとすることもできる。
【0117】
・第4実施形態(
図1)では、電動モータ10の停止時に第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbを記憶しているが、電動モータ10のロータ14の回転停止時に第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbを記憶することもできる。
【0118】
・第4実施形態(
図1)では、第1界磁停止温度Tc、第2界磁停止温度Td、経過時間tp、および冷却時間tjを用いて、制御装置20が電動モータ装置1の始動時に駆動系統を選択するものとした。しかし、平均外気温Te、電動モータ装置1が停止したときの時刻、第1界磁停止温度Tc、および第2界磁停止温度Tdに基づいて、電動モータ装置1の始動時の各界磁部の界磁温度を推定し、相対的に低い界磁温度の界磁部を選択することもできる。
【0119】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、第1界磁温度Taおよび第2界磁温度Tbを計算するものとしたが、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbにそれぞれ熱電対などの温度センサを設けることにより、それぞれの界磁温度を測定することもできる。
【0120】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、電動モータ装置1の始動時にのみ界磁抵抗差ΔRに応じて電流係数を決定するものとした。しかし、界磁抵抗差ΔRに応じて電流係数を決定するのは電動モータ装置1の始動時に限られず、任意の時点で決定することもできる。
【0121】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、界磁温度差ΔTが基準温度差ΔTxを超えるときに、第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbの少なくとも一方の補正を開始するものとしたが、補正の開始時期は、界磁温度差ΔTが基準温度差ΔTxを超えるときに限られない。例えば、界磁温度差ΔTが常に「0」となるように第1電流係数Kaおよび第2電流係数Kbの少なくとも一方を補正することもできる。
【0122】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、第1界磁部Mgaおよび第2界磁部Mgbの2つの界磁部が設けられた単一の電動モータ10を制御しているが、1または複数の界磁部が設けられた1または複数の電動モータを制御することもできる。
【0123】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、電動モータ装置1の始動時から、電動モータ10の制御を開始するまでの期間に、単一制御モードにおいて用いる初期の駆動系統の選択、および複合制御モードにおける電流係数の初期値をそれぞれ決定するものとした。しかし、初期の駆動系統の選択、および電流係数の決定を行う期間はこれに限られない。この期間は、ロータ14の回転を開始するときに変更することもできる。
【0124】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、第1基準温度th1以上の界磁温度の界磁部を停止させるものとしたが、一度停止させた界磁部の界磁温度が第1基準温度th1未満となった場合に同界磁部を再使用することもできる。また、第1基準温度th1に応じた停止と再使用との時間間隔が基準時間より短くなり、界磁部による回転トルクτの出力が振動的になるハンチング現象が生じたときに、同界磁部を再使用することなく停止することもできる。
【0125】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、電流係数マップにおいて界磁抵抗差ΔRに上限値および下限値をそれぞれ設けているが、これら上限値および下限値を省略することもできる。
【0126】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、ロータ14の回転角θを検出する回転角センサ70を1つだけ備えているが、2以上の回転角センサを設けることもできる。
・第1〜第4実施形態(
図1)では、単一制御モードと複合制御モードとの切り替えに目標トルクτsを用いるものとしたが、目標トルクτsに代えて、または加えて目標回転数Nsなど他の任意のパラメータを用いることもできる。
【0127】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、本発明を3相誘導モータの制御に適用した場合について説明したが、複数の駆動系統で制御する2相以上の誘導モータおよび直流モータを制御する場合にも本発明は適用できる。
【0128】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、目標回転数Nsに基づいて電動モータ10を制御する電動モータ装置1について説明したが、例えば、操舵トルクなど他の入力値に基づいて電動モータ10を制御する場合にも本発明は適用できる。
【0129】
・第1〜第4実施形態(
図1)では、始動用界磁部として第1界磁部Mgaを定めていたが、いずれの界磁部を始動用界磁部として定めてもよい。