(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような冷媒熱交換器は、通常、熱源側熱交換器に対して空気流下流側に配置されることが多い。このため、冷房運転時においては、熱源側熱交換器において熱交換された空気が冷媒熱交換器を通過することになり、冷媒熱交換器における冷却効率が低下してしまう。また、冷媒熱交換器が熱源側熱交換器の空気流下流側に配置されることにより、熱源側熱交換器を通過した空気の風速を低下させることになり、熱源側熱交換器における熱交換効率も低下することが懸念される。
【0004】
そこで、本発明の課題は、冷媒―冷媒熱交換器の冷却効率の低下及び冷媒―空気熱交換器における熱交換効率の低下を抑制できる室外ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る室外ユニットは、上方に向かって空気を吹き出す室外ユニットが前提である。また、本発明の第1観点に係る室外ユニットは、ケーシングと、冷媒―空気熱交換器と、冷媒―冷媒熱交換器と、を備える。ケーシングは、上部に、空気を吹き出すための吹出口が形成される。冷媒―空気熱交換器は、ケーシング内に配置され、内部を流れる冷媒と空気との間で熱交換を行わせる。ケーシング内には、冷媒―空気熱交換器を通過して吹出口に向かって流れる空気流路が形成されている。また、ケーシング内であって冷媒―空気熱交換器の上方空間には、仕切り部材によって空気流路と仕切られる仕切り空間が形成されている。そして、冷媒―冷媒熱交換器は、仕切り空間に位置している。
【0006】
本発明では、冷媒―冷媒熱交換器が、空気流路と仕切られる仕切り空間に位置していることで、冷媒−空気熱交換器を通過した空気がほとんど通らないようになっている。これにより、冷媒―冷媒熱交換器の冷却効率の低下を抑制できる。また、冷媒―冷媒熱交換器が冷媒―空気熱交換器の上方空間に位置する仕切り空間に位置している。これにより、冷媒―空気熱交換器を通過した空気の風速の低下を抑制でき、冷媒―空気熱交換器における熱交換効率の低下を抑制できる。
【0007】
本発明の第2観点に係る室外ユニットは、本発明の第1観点に係る室外ユニットであって、ケーシング内において、吹出口の近傍に配置されるベルマウス、をさらに備える。ベルマウスは、第1仕切部と、第2仕切部とを有する、仕切り部材である。第1仕切部は、冷媒―空気熱交換器と冷媒―冷媒熱交換器とを上下方向に仕切る。第2仕切部は、第1仕切部から上方に向かって延びる。
【0008】
本発明では、ベルマウスにより、空気流路と冷媒―冷媒熱交換器とを仕切ることができるので、冷媒―冷媒熱交換器の冷却効率の低下を抑制できる。
【0009】
本発明の第3観点に係る室外ユニットは、本発明の第1観点又は第2観点に係る室外ユニットであって、冷媒―空気熱交換器は、上下方向に延びる第1ヘッダと、第1熱交換部とを有し、冷媒―冷媒熱交換器は、上下方向に延びる第2ヘッダと、第2熱交換部とを有する。第1熱交換部は、第1ヘッダに交差する方向に延び、端部が第1ヘッダに接続される複数の第1扁平管と、複数の第1扁平管のそれぞれの間に配置される第1伝熱フィンと、を含む。第2熱交換部は、第2ヘッダに交差する方向に延び、端部が第2ヘッダに接続される複数の第2扁平管と、複数の第2扁平管のそれぞれの間に配置される第2伝熱フィンと、を含む。そして、第1ヘッダと第2ヘッダとは、一体化している。
【0010】
本発明では、第1ヘッダと第2ヘッダとを一体化させることにより、冷媒―空気熱交換器と冷媒―冷媒熱交換器とを一体化させてコンパクト化することができる。これにより、冷媒―空気熱交換器及び冷媒―冷媒熱交換器のケーシング内における占有容積を小さくできる。
【0011】
本発明の第4観点に係る室外ユニットは、本発明の第3観点に係る室外ユニットであって、第1熱交換部と第2熱交換部との間には、隙間が確保されており、隙間には、断熱材が配置されている。
【0012】
本発明では、第1熱交換部と第2熱交換部との間における熱交換を抑制できる。よって、冷媒―空気熱交換器及び冷媒―冷媒熱交換器のそれぞれにおける熱交換効率の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1観点に係る室外ユニットでは、冷媒―冷媒熱交換器の冷却効率の低下及び冷媒―空気熱交換器における熱交換効率の低下を抑制できる。
【0014】
本発明の第2観点に係る室外ユニットでは、冷媒―冷媒熱交換器の冷却効率の低下を抑制できる。
【0015】
本発明の第3観点に係る室外ユニットでは、冷媒―空気熱交換器及び冷媒―冷媒熱交換器のケーシング内における占有容積を小さくできる。
【0016】
本発明の第4観点に係る室外ユニットでは、冷媒―空気熱交換器及び冷媒―冷媒熱交換器のそれぞれにおける熱交換効率の低下を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る室外ユニットの実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明に係る熱交換器の実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
(1)空気調和装置1の構成
図1は、本発明に係る室外ユニット20を有する冷凍装置の一例としての空気調和装置1の冷媒回路図である。
図2は、冷媒―空気熱交換器4及び冷媒―冷媒熱交換器5の概略の正面図である。
図3は、室外ユニット20の概略の外観図である。
図4は、ケーシング20aの一部やファン29を取り除いた状態の室外ユニット20の斜視図である。
図5は、ケーシング20a内の模式図である。尚、
図2における冷媒―空気熱交換器4及び冷媒―冷媒熱交換器5の正面とは、空気の流れ方向の上流側の部分をいう。また、
図4においては、圧縮機構2等の図示を省略し、冷媒―空気熱交換器4及び冷媒―冷媒熱交換器5を簡略化して図示している。
【0020】
空気調和装置1は、ビル用のマルチタイプの空気調和装置であって、
図1に示すように、1の室外ユニット20に対して複数の室内ユニット30a,30bが並列に接続される構成を有している。また、空気調和装置1は、冷房運転と暖房運転とを切換可能であり、二酸化炭素等の超臨界域で作動する冷媒を用いる冷凍サイクルを行う。
【0021】
空気調和装置1の冷媒回路10は、主として、圧縮機構2と、切換機構3と、冷媒―空気熱交換器4と、冷媒―冷媒熱交換器5と、膨張機構6a,6bと、利用側熱交換器7a,7bと、レシーバ9を有している。圧縮機構2、切換機構3、冷媒―空気熱交換器4、冷媒−冷媒熱交換器5、及び、レシーバ9は、室外ユニット20のケーシング20a(
図3や
図4を参照)内に収容され、膨張機構6a,6b及び利用側熱交換器7a,7bは、室内ユニット30a,30bのケーシング(図示せず)に収容されている。以下、冷媒回路10を構成する各構成要素について説明する。
【0022】
(2)冷媒回路10の構成要素
(2−1)圧縮機構2
圧縮機構2は、圧縮機構ケーシング21a内に、圧縮要素駆動モータ21bと、駆動軸21cと、第1圧縮要素2cと第2圧縮要素2dとが収容された密閉式構造を有している。圧縮要素駆動モータ21bは、駆動軸21cを介して第1圧縮要素2c及び第2圧縮要素2dを駆動する。圧縮機構2は、吸入管2aから低圧の冷媒を吸入し、吸入された低圧の冷媒を第1圧縮要素2cによって圧縮した後に中間冷媒管8に吐出する。さらに、圧縮機構2は、中間冷媒管8に吐出された冷媒を第2圧縮要素2dに吸入させてさらに圧縮した後に、吐出管2bに吐出している。ここで、中間冷媒管8は、第1圧縮要素2cで圧縮されて吐出された冷媒を、熱源側熱交換部40へと流した後に、第2圧縮要素2dに吸入させるための冷媒管である。尚、以下の説明においては、中間冷媒管8のうち、第1圧縮要素2cと冷媒―空気熱交換器4の熱源側熱交換部40(後述する)とを接続する冷媒管を第1中間冷媒管8aと示し、第2圧縮要素2dと熱源側熱交換部40とを接続する冷媒管を第2中間冷媒管8bと示すことにする。吐出管2bは、圧縮機構2から吐出された冷媒を冷媒―空気熱交換器4の中間熱交換部60(後述する)に送るための冷媒管である。
【0023】
(2−2)切換機構3
切換機構3は、冷媒回路10内における冷媒の流れ方向を切り換えるための機構である。切換機構3は、圧縮機構2の吸入側、圧縮機構2の吐出側、冷媒―空気熱交換器4の熱源側熱交換部40及び利用側熱交換器7a,7bに接続された四路切換弁である。切換機構3は、冷房運転時には、圧縮機構2の吐出側と熱源側熱交換部40の一端とを接続すると共に圧縮機構2の吸入側と利用側熱交換器7a,7bの一端とを接続する(
図1の切換機構3の実線を参照)。他方、切換機構3は、暖房運転時には、圧縮機構2の吐出側と利用側熱交換器7a,7bの一端とを接続すると共に圧縮機構2の吸入側と熱源側熱交換部40の一端とを接続する(
図1の切換機構3の点線を参照)。
【0024】
(2−3)冷媒―空気熱交換器4
冷媒―空気熱交換器4は、内部を流れる冷媒と外を通過する空気との間で熱交換を行わせる。尚、冷媒―空気熱交換器4の外を通過する空気は、ファン29によって供給され、
図2において、紙面手前側から奥側に向かって流れる。ファン29は、ファン駆動モータ29aによって駆動される。冷媒―空気熱交換器4は、熱源側熱交換部40と中間熱交換部60とを有している。熱源側熱交換部40と中間熱交換部60とは、熱源側熱交換部40が上段に、中間熱交換部60が下段に配置される2段構造を有している。熱源側熱交換部40と中間熱交換部60とは、後述するヘッダ43a、43b及びヘッダ63a,63b(第1ヘッダに相当)のそれぞれの長手方向における一端が互いにロウ付けによって接続されることにより、全体として一体化されている。そして、ヘッダ43a,43bとヘッダ63a,63bとが一体化されたヘッダが、冷媒―空気熱交換器4の第1ヘッダを構成している。
【0025】
(2−3−1)熱源側熱交換部40
熱源側熱交換部40は、冷房運転時に圧縮機構2で圧縮された冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時に、圧縮機構2で圧縮されて利用側熱交換器7a,7bで放熱された冷媒の加熱器として機能する。熱源側熱交換部40は、その一端が切換機構3に接続されており、その他端がエコノマイザ熱交換部70に接続されている。
【0026】
熱源側熱交換部40は、主として、空気流れ方向に列をなすように並ぶ第1部41及び第2部42を有している。第1部41及び第2部42とは、同様の構成を有している。第1部41は、空気の流れ方向上流側に位置し、第2部42は、空気の流れ方向下流側に位置している。ここで、
図2は、正面図であるため、空気流れ方向上流側に位置する第1部41のみが示されているが、第1部41によって隠れている第2部42の構成要素の番号についても、()内に示すことにする。
【0027】
第1部41及び第2部42は、それぞれ、主として、互いに離間した鉛直方向に延びる1対のヘッダ43a,43bと、1対のヘッダ43a,43b間をヘッダ43a,43bの延びる方向に対して交差する方向(具体的には、水平方向)に延び長手方向における端部がヘッダ43a,43bに接続される複数の扁平管44a,44bと、複数の扁平管44a,44bのそれぞれの間に配置される伝熱フィン45a,45bとから構成される積層型の熱交換部である。複数の扁平管44a,44bは、鉛直方向に所定の間隔を空けて配置されている。ここで、第2部42の1対のヘッダ43b,43bのうちの一方のヘッダ(本実施形態では、
図2の紙面左側のヘッダ43b)には、圧縮機構2から吐出された冷媒が流入する入口となる開口(図示せず)が形成されており、第1部41の1対のヘッダ43a,43aのうちの一方のヘッダ(本実施形態では、
図2の紙面左側のヘッダ43a)には、冷媒が熱源側熱交換部40から後述する第1エコノマイザ冷媒管71bへと流出する出口となる開口(図示せず)が形成されている。
【0028】
尚、第1部41と第2部42とは、2つのヘッダ43a,43bのうち一方のヘッダ(本実施形態では、
図2の紙面右側のヘッダ43a,43b)間で冷媒の流通が可能となるように構成されている。
【0029】
本実施形態の熱源側熱交換部40では、第2部42の
図2の紙面左側のヘッダ43bへ流入した冷媒は、扁平管44bを介して第2部42の
図2の紙面右側のヘッダ43bへ流入する。そして、第2部42の
図2の紙面右側のヘッダ43bから第1部41の
図2の右側のヘッダ43aと冷媒が流れ、扁平管44aを介して、第1部41の
図2の紙面左側のヘッダ43aと流れ、採取的に第1エコノマイザ冷媒管へと流れるようになっている。尚、ヘッダ43a,43b間で冷媒の流通を可能にするためには、別部材を用いてもよい。
【0030】
(2−3−2)中間熱交換部60
中間熱交換部60は、熱源側熱交換部40の下方に配置されて、熱源側熱交換部40と一体化される熱交換部である。中間熱交換部60は、中間冷媒管8に設けられており、その一端が第1圧縮要素2cに接続されるように、且つ、他端が第2圧縮要素2dに接続されるように構成されている。中間熱交換部60は、冷房運転時に、第1圧縮要素2cで圧縮されて第2圧縮要素2dに吸入される、冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒の放熱器として機能する。
【0031】
中間熱交換部60は、主として、空気流れ方向に列をなすように並ぶ第3部61及び第4部62を有している。第3部61及び第4部62とは、同様の構成を有している。第3部61は、空気の流れ方向上流側に位置し、第4部62は、空気の流れ方向下流側に位置している。尚、
図2は、正面図であるため、空気流れ方向上流側に位置する第3部61のみが示されているが、第3部61によって隠れている第4部62の構成要素の番号についても、()内に示すことにする。
【0032】
第3部61及び第4部62は、それぞれ、主として、互いに離間した鉛直方向に延びる1対のヘッダ63a,63bと、1対のヘッダ63a,63b間をヘッダ63a,63bの延びる方向に対して交差する方向(具体的には、水平方向)に延び長手方向における端部がヘッダ63a,63bに接続される複数の扁平管64a,64bと、複数の扁平管64a,64bのそれぞれの間に配置される伝熱フィン65a,65bとから構成される積層型の熱交換部である。複数の扁平管64a,64bは、鉛直方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0033】
本実施形態の中間熱交換部60では、第1中間冷媒管8aを流れてきた冷媒は、
図2の紙面左側のヘッダ63a,63bに流入し、扁平管64a,64bを介して、
図2の紙面右側のヘッダ63a,63bへと流れる。そして、第2中間冷媒管8bへと流出する。
【0034】
尚、第3部61と第1部41とは、平面視位置が略同じであり、第4部62と第2部42とは、平面視位置が略同じである。
【0035】
以上に説明したように、熱源側熱交換部40の扁平管44a,44b及び中間熱交換部60の扁平管64a,64bは、冷媒―空気熱交換器4の第1扁平管を構成していることになる。また、熱源側熱交換部40の伝熱フィン45a,45b及び中間熱交換部60の伝熱フィン65a,65bは、冷媒―空気熱交換器4の第1伝熱フィンを構成していることになる。また、熱源側熱交換部40の扁平管44a,44b及び伝熱フィン45a,45bと、中間熱交換部60の扁平管64a,64b及び伝熱フィン65a,65bとは、冷媒―空気熱交換器4の第1熱交換部を構成していることになる。
【0036】
(2−4)冷媒―冷媒熱交換器5
冷媒―冷媒熱交換器5は、冷媒間で熱交換を行わせる熱交換器であり、冷媒―空気熱交換器4の上方空間に配置されている。冷媒―冷媒熱交換器5は、エコノマイザ熱交換部70と、過冷却熱交換部80とを有している。エコノマイザ熱交換部70と過冷却熱交換部80とは、空気流れ方向に列をなすように並んで配置されている。具体的には、過冷却熱交換部80は、エコノマイザ熱交換部70に対して、空気流れ方向上流側に位置し、エコノマイザ熱交換部70は、過冷却熱交換部80に対して、空気流れ方向下流側に位置している。冷媒―冷媒熱交換器5は、冷媒―空気熱交換器4と、一体化されている。具体的には、冷媒―空気熱交換器4の第1ヘッダと、冷媒―冷媒熱交換器5の第2ヘッダ(後述する)とが、これらの長手方向における一端が互いにロウ付けによって接続されることにより、冷媒―空気熱交換器4と冷媒―冷媒熱交換器5とが一体化されている。
【0037】
(2−4−1)エコノマイザ熱交換部70
エコノマイザ熱交換部70は、冷媒回路10において、熱源側熱交換部40と、利用側熱交換器7a,7bとの間に配置される熱交換部であり、第1エコノマイザ冷媒流路71aと第2エコノマイザ冷媒流路72aとが形成されている。第1エコノマイザ冷媒流路71aと第2エコノマイザ冷媒流路72aとは、これらをそれぞれ流れる冷媒が対向するように構成されている。エコノマイザ熱交換部70では、冷房運転時に、第1エコノマイザ冷媒流路71aを流れる冷媒と第2エコノマイザ冷媒流路72aを流れる冷媒との間で熱交換を行わせる。尚、第1エコノマイザ冷媒流路71aは、後述する扁平管76aaに形成される複数の穴(図示せず)によって形成されている。また、第2エコノマイザ冷媒流路72aは、後述する扁平管76abに形成される複数の穴(図示せず)によって形成されている。
【0038】
第1エコノマイザ冷媒流路71aには、冷房運転時に熱源側熱交換部40において冷却された冷媒が流れている。第2エコノマイザ冷媒流路72aには、冷房運転時に熱源側熱交換部40において冷却された冷媒から分岐された一部の冷媒であって、エコノマイザ入口膨張機構79において中間圧付近まで減圧された後の冷媒が流れている。ここで、熱源側熱交換部40とエコノマイザ熱交換部70の第1エコノマイザ冷媒流路71aを形成する扁平管76aaとを接続する冷媒管を、第1エコノマイザ冷媒管71bとし、エコノマイザ熱交換部70の扁平管76aaとレシーバ9とを接続する冷媒管を、第2エコノマイザ冷媒管71cとする。第1エコノマイザ冷媒管71bには、エコノマイザ分岐管72が接続されている。
【0039】
エコノマイザ分岐管72は、熱源側熱交換部40で冷却された冷媒の一部を分岐してエコノマイザ熱交換部70に流した後に第2圧縮要素2dに戻すことが可能な冷媒管である。尚、第2エコノマイザ冷媒流路72aを形成する扁平管76abは、このエコノマイザ分岐管72を構成している。エコノマイザ分岐管72は、扁平管76abの他に、第1エコノマイザ分岐管72bと、第2エコノマイザ分岐管72cとを有している。ここで、第1エコノマイザ分岐管72bは、第1エコノマイザ冷媒管71bと、扁平管76abとを接続する冷媒管である。第2エコノマイザ分岐管72cは、扁平管76abと第2中間冷媒管8bとを接続する冷媒管である。第1エコノマイザ分岐管72bには、エコノマイザ入口膨張機構79が設けられている。エコノマイザ入口膨張機構79は、熱源側熱交換部40で冷却された高圧の冷媒を中間圧付近まで減圧する減圧機構である。尚、エコノマイザ入口膨張機構79には、開度調節が可能な電動膨張弁が使用される。エコノマイザ入口膨張機構79は、冷房運転時に、開度調整がされ、暖房運転時には、閉状態に制御される。
【0040】
以下、エコノマイザ熱交換部70の詳細構成について、
図2を用いて説明する。尚、
図2は正面図であるため、冷媒―冷媒熱交換器5において空気流れ方向下流側に位置するエコノマイザ熱交換部70は、過冷却熱交換部80によって隠れているが、エコノマイザ熱交換部70の構成要素の番号についても、()内に示すことにする。
【0041】
エコノマイザ熱交換部70は、主として、空気流れ方向に列をなすように並ぶ複数(本実施形態では、2つ)の積層型熱交換部73を有している。
【0042】
複数の積層型熱交換部73は、主として、互いに離間した鉛直方向に延びる1対のヘッダ75aと、1対のヘッダ75a間をヘッダ75aの延びる方向に対して交差する方向(具体的には、水平方向)に延び長手方向における端部がヘッダ75aに接続される複数(本実施形態では、2つ)の扁平管ユニット76aと、複数の扁平管ユニット76a間に配置される伝熱フィン77aとから構成される。複数の扁平管ユニット76aは、鉛直方向に所定の間隔を空けて配置されている。扁平管ユニット76aは、鉛直方向に並ぶ扁平管76aaと扁平管76abとを有している。扁平管76aaと扁平管76abとは、同様の構成を有する。扁平管76aa,76abは、その扁平な面の法線が鉛直方向に延びるように配置されている。また、扁平管ユニット76aは、2つの扁平管76aa,76abが、それらの扁平な面同士が互いに密着するように構成されている。扁平管76aa,76abには、上述したように、それぞれ、図示はしないが、複数の穴が形成されている。複数の穴は、それぞれを流れる冷媒が平行して流れるように形成されている。
【0043】
(2−4−2)過冷却熱交換部80
過冷却熱交換部80は、第1過冷却冷媒流路81aと第2過冷却冷媒流路81bとが形成されており、冷房運転時において、第1過冷却冷媒流路81aを流れる冷媒と、第2過冷却冷媒流路81bを流れる冷媒との間で熱交換を行わせる熱交換部である。過冷却熱交換部80では、冷房運転時において、利用側熱交換器7a,7bへと流れる冷媒を過冷却状態にしている。第1過冷却冷媒流路81aと第2過冷却冷媒流路81bとは、これらをそれぞれ流れる冷媒が対向するように構成されている。尚、第1過冷却冷媒流路81aは、後述する扁平管86aaに形成される複数の穴(図示せず)によって形成されている。また、第2過冷却冷媒流路81bは、後述する扁平管86abに形成される複数の穴(図示せず)によって形成されている。
【0044】
第1過冷却冷媒流路81aには、レシーバ9から抜き出された高圧の冷媒が流れている。第2過冷却冷媒流路81bには、レシーバ接続管94から分岐された冷媒であって後述する吸入膨張機構96によって低圧まで減圧された後の冷媒が流れている。
【0045】
ここで、レシーバ接続管94とは、一端がレシーバ9に接続され、他端が過冷却熱交換部80の第1過冷却冷媒流路81aを形成する扁平管86aaに接続される冷媒管である。また、過冷却熱交換部80の第2過冷却冷媒流路81bを形成する扁平管86abは、レシーバ接続管94に接続される吸入戻し管95を構成している。吸入戻し管95とは、レシーバ9内から冷媒を抜き出して、過冷却熱交換部80を介して吸入管2aに戻すことが可能な冷媒管であり、一端がレシーバ接続管94に接続され、他端が吸入管2aに接続されている。吸入戻し管95の、過冷却熱交換部80の冷媒流れ上流側の位置には、レシーバ9から抜き出された冷媒を低圧まで減圧する吸入膨張機構96が設けられている。吸入膨張機構96には、開度調整が可能な電動膨張弁が使用されている。尚、吸入膨張機構96は、冷房運転時に、開度調整がされ、暖房運転時には、閉状態に制御される。過冷却熱交換部80の扁平管86aaを出た冷媒は、冷媒管5aを介して膨張機構6a,6bへと送られる。ここで、冷媒管5aとは、一端が過冷却熱交換部80の扁平管86aaに接続され、他端が膨張機構6a,6bに接続される冷媒管である。
【0046】
以下、過冷却熱交換部80の詳細構成について、
図2を用いて説明する。
【0047】
過冷却熱交換部80は、主として、空気流れ方向に列をなすように並ぶ、複数(本実施形態では、2つ)の積層型熱交換部83を有している。
【0048】
複数の積層型熱交換部83は、主として、互いに離間した鉛直方向に延びる1対のヘッダ85aと、1対のヘッダ85a間をヘッダ85aの延びる方向に対して交差する方向(具体的には、水平方向)に延び長手方向における端部がヘッダ85aに接続される複数(本実施形態では、2つ)の扁平管ユニット86aと、複数の扁平管ユニット86a間に配置される伝熱フィン87aとから構成される熱交換部である。複数の扁平管ユニット86aは、鉛直方向に所定の間隔を空けて配置されている。扁平管ユニット86aは、鉛直方向に並ぶ扁平管86aaと扁平管86abとを有している。扁平管86aaと扁平管86abとは、同様の構成を有している。扁平管86aa,86abは、その扁平な面の法線が鉛直方向に延びるように配置されている。また、扁平管ユニット86aは、2つの扁平管86aa,86abが、その扁平な面同士が互いに密着するように構成されている。扁平管86aa,86abには、図示はしないが、上述したように、それぞれ、複数の穴が形成されており、複数の穴は、それぞれを流れる冷媒が平行して流れるように形成されている。
【0049】
以上に説明したように、エコノマイザ熱交換部70の扁平管76aa,76abと、過冷却熱交換部80の扁平管86aa,86abとは、冷媒―冷媒熱交換器5の第2扁平管を構成していることになる。また、エコノマイザ熱交換部70の伝熱フィン77aと過冷却熱交換部80の伝熱フィン87aとは、冷媒―冷媒熱交換器5の第2伝熱フィンを構成していることになる。また、エコノマイザ熱交換部70の扁平管76aa,76ab及び伝熱フィン77aと、過冷却熱交換部80の扁平管86aa,86ab及び伝熱フィン87aとは、冷媒―冷媒熱交換器5の第2熱交換部を構成していることになる。
【0050】
ここで、エコノマイザ熱交換部70の最下段に位置する扁平管ユニット76a及び過冷却熱交換部80の最下段に位置する扁平管ユニット86aと、熱源側熱交換部40の最上段に位置する扁平管45a,45bとの間には、伝熱フィンを配置していない。すなわち、冷媒―空気熱交換器4の第1熱交換部と冷媒―冷媒熱交換器5の第2熱交換部との間には、隙間Sが確保されている。
【0051】
(2−5)膨張機構6a,6b
膨張機構6a,6bは、例えば、電動膨張弁であり、熱源側熱交換部40及び冷媒―冷媒熱交換器5において冷却された高圧の冷媒を、利用側熱交換器7a,7bに送る前に、冷凍サイクルにおける低圧付近まで減圧する。膨張機構6a,6bの一端は、冷媒管5aを介して、冷媒―冷媒熱交換器5の過冷却熱交換部80に接続されている。膨張機構6a,6bの他端は、利用側熱交換器7a,7bに接続されている。
【0052】
(2−6)利用側熱交換器7a,7b
利用側熱交換器7a,7bは、膨張機構6a,6bによって減圧された低圧の冷媒を加熱して加熱させる加熱器である。利用側熱交換器7a,7bは、外を通過する空気と利用側熱交換器7a,7b内を流れる冷媒との間で熱交換を行わせる。尚、利用側熱交換器7a,7bを通過する空気流れは、図示しないファンによって生成される。利用側熱交換器7a,7bの一端は、膨張機構6a,6bに接続されている。利用側熱交換器7a,7bの他端は、冷媒管5b及び吸入管2aを介して、圧縮機構2の吸入側に接続されている。冷媒管5bは、利用側熱交換器7a,7bと、吸入管2aとを接続する冷媒管である。
【0053】
(2−7)レシーバ9
レシーバ9は、冷媒回路10における冷媒の循環量が異なる等の運転状態に応じて発生する余剰冷媒を溜める容器である。レシーバ9は、エコノマイザ熱交換部70の第1エコノマイザ冷媒流路71a、又は、過冷却熱交換部80の第1過冷却冷媒流路81aを通過した後の冷媒を一時的に溜めるための容器である。レシーバ9は、一端が第2エコノマイザ冷媒管71cに接続されており、他端がレシーバ接続管94に接続するように構成されている。
【0054】
(2−8)動作
以上のような冷媒回路10を有する空気調和装置1の運転時の動作について、冷媒回路10を循環する冷媒の流れに基づいて、説明する。
【0055】
(2−8−1)冷房運転時における動作
冷房運転時には、切換機構3が
図1の実線に示す状態に制御される。また、エコノマイザ入口膨張機構79及び吸入膨張機構96の開度が調整される。
【0056】
まず、圧縮機構2が駆動されると、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入される。圧縮機構2に吸入された低圧の冷媒は、第1圧縮要素2cによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に第1中間冷媒管8aに吐出される。この第1圧縮要素2cから吐出された冷媒は、冷媒―空気熱交換器4の中間熱交換部60に送られる。中間熱交換部60に送られた冷媒は、中間熱交換部60において外を通過する空気と熱交換を行うことで冷却され、第2中間冷媒管8bを介して第2圧縮要素2dに吸入される。尚、中間熱交換部60で冷却されて第2中間冷媒管8bに送られる冷媒は、第2中間冷媒管8bにおいて、エコノマイザ分岐管72を流れる冷媒と合流する。そして、中間熱交換部60で冷却されて第2中間冷媒管8bに送られる冷媒とエコノマイザ分岐管72を流れる冷媒とが合流した冷媒は、第2圧縮要素2dに吸入される。第2圧縮要素2dに吸入された冷媒は、第2圧縮要素2dにおいてさらに圧縮されて、吐出管2bに吐出される。圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を通じて、冷媒―空気熱交換器4の熱源側熱交換部40に送られる。熱源側熱交換部40に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換部40において、外を通過する空気と熱交換されて冷却される。熱源側熱交換部40において冷却された高圧の冷媒は、冷媒―冷媒熱交換器5のエコノマイザ熱交換部70に送られるが、その一部は、エコノマイザ分岐管72(具体的には、第1エコノマイザ分岐管72b)に分岐される。第1エコノマイザ分岐管72bを流れる高圧の冷媒は、エコノマイザ入口膨張機構79において、中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換部70の第2エコノマイザ冷媒流路72aを流れる。他方、第1エコノマイザ冷媒管71bを流れる高圧の冷媒も、エコノマイザ熱交換部70の第1エコノマイザ冷媒流路71aを流れる。そして、エコノマイザ熱交換部70において、第1エコノマイザ冷媒流路71aを流れる冷媒と、第2エコノマイザ冷媒流路72aを流れる冷媒との間で熱交換が行われる。具体的には、第1エコノマイザ分岐管72bを流れエコノマイザ熱交換部70の第2エコノマイザ冷媒流路72aに流入した冷媒は、第1エコノマイザ冷媒流路71aを流れる冷媒と熱交換を行って加熱され、第2エコノマイザ分岐管72cを介して第2中間冷媒管8bへ流れる。エコノマイザ熱交換部70の第2エコノマイザ冷媒流路72aを流れて第2中間冷媒管8bへと流入した冷媒は、第2中間冷媒管8bにおいて、中間熱交換部60において冷却された中間圧の冷媒と合流することになる。他方、エコノマイザ熱交換部70の第1エコノマイザ冷媒流路71aを流れる冷媒は、第2エコノマイザ冷媒流路72aを流れる中間圧の冷媒と熱交換を行って冷却される。エコノマイザ熱交換部70において冷却された冷媒は、レシーバ9内に一時的に溜められる。レシーバ9内に溜められた冷媒は、レシーバ接続管94へと流れる。レシーバ接続管94へ流れた冷媒は、一部が吸入戻し管95に分岐される。吸入戻し管95を流れる冷媒は、吸入膨張機構96において低圧付近まで減圧された後に過冷却熱交換部80の第2過冷却冷媒流路81bに送られる。第2過冷却冷媒流路81bを流れる冷媒は、第1過冷却冷媒流路81aを流れる冷媒と熱交換を行って加熱され、圧縮機構2の吸入側(吸入管2a)に流れる。他方、吸入戻し管95に一部が分岐された残りの冷媒は、過冷却熱交換部の第1過冷却冷媒流路81aに流入し、第1過冷却冷媒流路81aを通過する際に、第2過冷却冷媒流路81bを流れる低圧付近の冷媒と熱交換を行って冷却され過冷却状態となる。過冷却熱交換部80において冷却された冷媒は、冷媒管5aを介して、複数の室内ユニット30a,30bのそれぞれへと送られる。室内ユニット30a,30bへと送られた冷媒は、膨張機構6a,6bによって減圧されて低圧の冷媒となり、冷媒の加熱器として機能する利用側熱交換器7a,7bに送られる。そして、利用側熱交換器7a,7bに送られた低圧の冷媒は、外を通過する空気と熱交換を行って加熱される。そして、利用側熱交換器7a,7bで加熱された低圧の冷媒は、冷媒管5b及び吸入管2aを介して第1圧縮要素2cに吸入される。
【0057】
(2−8−2)暖房運転時における動作
暖房運転時には、切換機構3が
図1の点線に示す状態に制御される。また、エコノマイザ入口膨張機構79及び吸入膨張機構96が閉状態に制御される。よって、暖房運転時には、エコノマイザ熱交換部70及び過冷却熱交換部80は機能しない状態になっている。
【0058】
この冷媒回路10の状態において、圧縮機構2が駆動されると、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入される。圧縮機構2に吸入された低圧の冷媒は、第1圧縮要素2cによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に第1中間冷媒管8aに吐出される。この第1圧縮要素2cから吐出された冷媒は、冷媒―空気熱交換器4の中間熱交換部60に送られる。中間熱交換部60に送られた冷媒は、中間熱交換部60において外を通過する空気と熱交換を行うことで冷却され、第2中間冷媒管8bを介して第2圧縮要素2dに吸入される。第2圧縮要素2dに吸入された冷媒は、第2圧縮要素2dにおいてさらに圧縮されて、吐出管2bに吐出される。圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3及び冷媒管5bを通じて、複数の室内ユニット30a,30bのそれぞれに送られる。室内ユニット30a,30bに送られた高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器7a,7bにおいて、外を通過する空気と熱交換を行って冷却される。利用側熱交換器7a,7bにおいて冷却された高圧の冷媒は、膨張機構6a,6bによって減圧されて低圧の冷媒となり、冷媒管5aを介して、過冷却エコノマイザ熱交換部70を通過した後に、レシーバ9内に一時的に溜められる。レシーバ9に溜められた冷媒は、エコノマイザ熱交換部70を通過した後に、冷媒―空気熱交換器4の熱源側熱交換部40へと送られる。熱源側熱交換部40に送られた低圧の冷媒は、熱源側熱交換部40において、外を通過する空気と熱交換されて加熱される。熱源側熱交換部40において加熱された高圧の冷媒は、切換機構3及び吸入管2aを通じて、第1圧縮要素2cに吸入される。
【0059】
(3)室外ユニット20の詳細構成
以下、室外ユニット20の構成について、
図3〜
図5を用いて説明する。室外ユニット20は、ケーシング20aを有している。ケーシング20aは、主として、正面部分を形成する正面板21、左部分を形成する左側面板22、背面部分を形成する背面板23、右部分を形成する右側面板24、上部分を形成する天板25、下部分を形成する底板26、鉛直方向に延びる支柱91,92、及び、鉛直方向に延びる支柱93,94を有している。左側面板22及び右側面板24は、それぞれ、支柱91,92、支柱93,94と共に一体に成形されている。側面板22,24及び背面板23には、室外ユニット20のケーシング内に空気を取り込むための吸込口120aが形成されている(背面板23に形成される吸込口については図示せず)。また、天板25には、上方に向かって空調空気を吹き出すための吹出口120bが形成されている。正面板21及び背面板23は、それぞれ、支柱91,94、支柱92,93の外側に取り付けられている。また、支柱91〜94は、底板26、上部に位置する横ステー51、及び、上部に位置するモータ支持台52によって互いに連結されている。モータ支持台52には、ファン29を駆動するファン駆動モータ29aが固定されている。
【0060】
また、ケーシング20a内には、空気流路APが形成されている。空気流路APは、ファン29によって生成される空気流れが生じている流路であり、吸込口120aから吸い込まれて冷媒―空気熱交換器4を通過した空気がケーシング20aの上部に形成される吹出口120bに向かって流れる流路である。尚、空気流路APにおける空気流れを、
図5において矢印で示している。
【0061】
また、ケーシング20a内には、吹出口120bの近傍にベルマウス36が配置されている。ベルマウス36には、吹出口120bと略同じ大きさを有する開口36aが形成されている。ベルマウス36は、その下端部が横ステー51やファンモータ支持台52の上部に固定されており、開口36aがケーシング20aに形成される吹出口120bに沿うように配置されている。尚、図示はしていないが、天板25には、吹出口120bを覆うように網目状の吹出グリルが取り付けられている。
【0062】
ベルマウス36は、主として、開口36aが形成される筒状部37(第2仕切部に相当)と、筒状部37の外面から外側に向かって水平方向に延びる平面部38(第1仕切部に相当)とを有している。尚、筒状部37は、平面部38から上方に向かって(具体的には、鉛直方向に)延びている。筒状部37は、ケーシング20a内の上部空間であって且つ略中央部に配置されている。ベルマウス36は、筒状部37の側面が、冷媒―冷媒熱交換器5とファン29やファン駆動モータ29aとの間に位置するように配置されている。また、筒状部37は、開口36aが吹出口120bに沿うように、その上面が、天板25に接触している。
【0063】
平面部38は、一端が筒状部37の外面に接続され、他端が、ケーシング20aの側面を形成する板(正面板21、左側面板22、背面板23、及び、右側面板24)の内面に接続される。尚、本実施形態では、冷媒―空気熱交換器4及び冷媒―冷媒熱交換器5をそれぞれ構成する第1ヘッダ及び第2ヘッダは、一体化されているので、平面部38において第1ヘッダ及び第2ヘッダに対応する位置には、開口(図示せず)が形成されている。平面部38は、冷媒―冷媒熱交換器5の下方に位置しており、第1熱交換部と第2熱交換部との間に形成される隙間Sに位置している。平面部38は、筒状部37から正面側に向かって延びる正面側平面部(図示せず)と、筒状部37から左側に向かって延びる左側平面部38bと、筒状部37から背面側に向かって延びる背面側平面部(図示せず)と、筒状部37から右側に向かって延びる右側平面部38dとを有している。正面側平面部及び背面側平面部は、横ステー51及びファンモータ支持台52に接触しており、左側平面部38b及び右側平面部38dは、横ステー51に接触している。
【0064】
筒状部37の内面及び平面部38の下面は、正面板21、左側面板22、背面板23、右側面板24、及び、底板26と共に、空気流路APを形成している。すなわち、ベルマウス36は、開口36aに冷媒―空気熱交換器4を通過した後の空気を流すことで、冷媒―空気熱交換器4を通過した後の空気を吹出口120bへと案内している。また、ベルマウス36は、筒状部37と平面部38とによって、空気流路APと冷媒―空気熱交換器4の上方空間とを仕切る仕切り部材として機能している。具体的には、平面部38は、冷媒―空気熱交換器4と、冷媒―冷媒熱交換器5(空気流路AP)とを上下方向に仕切っている。また、筒状部37は、冷媒―冷媒熱交換器5の正面視における側面部分(具体的には、冷媒―冷媒熱交換器5の背面側部分)と、空気流路APとを仕切っている。
【0065】
これにより、ケーシング20a内において、冷媒―空気熱交換器4の上方空間には、空気流路APと仕切られる仕切り空間S1が形成されている。
【0066】
(4)特徴
図6は、従来の冷媒―空気熱交換器140と冷媒―冷媒熱交換器150との配置関係を示す模式図である。
【0067】
従来、
図6に示すように、冷媒間で熱交換を行わせる冷媒―冷媒熱交換器150は、冷媒と空気との間で熱交換を行わせる冷媒―空気熱交換器140に対して、空気流れ方向の下流側に配置されている。このため、冷房運転時においては、冷媒―空気熱交換器140において熱交換された空気が冷媒―冷媒熱交換器150を通過することになり、冷媒―冷媒熱交換器150における冷却効率が低下してしまう。また、冷媒―冷媒熱交換器150が冷媒―空気熱交換器140の空気流れ方向の下流側に配置されることにより、冷媒―空気熱交換器140を通過した空気の風速を低下させることになり、冷媒―空気熱交換器140における熱交換効率も低下することが懸念される。さらに、このように、冷媒―空気熱交換器140と冷媒―冷媒熱交換器150とを配置すると、ケーシング内における熱交換器の占有容積が大きくなる。尚、
図6においては、122が正面板であり、129がファンであり、136がベルマウスである。
【0068】
そこで、本実施形態では、まず、冷媒―空気熱交換器4と冷媒―冷媒熱交換器5とを第1ヘッダ及び第2ヘッダを介して一体化している。これにより、冷媒―空気熱交換器4と冷媒―冷媒熱交換器5とをコンパクト化することができる。よって、ケーシング20a内における冷媒―空気熱交換器4及び冷媒―冷媒熱交換器5の占有容積を小さくできる。そして、本実施形態では、仕切り部材としてのベルマウス36によって空気流路APと仕切られる仕切り空間S1に、冷媒―空気熱交換器4の上方に配置される冷媒―冷媒熱交換器5が位置するようにしている。これにより、冷媒―冷媒熱交換器5は、空気流路APと仕切られることになる。よって、冷媒―冷媒熱交換器5は、冷媒―空気熱交換器4において熱交換された後の空気がほとんど通過しない位置に配置されていることになる。これにより、冷媒―冷媒熱交換器5における冷却効率の低下を抑制できる。また、冷媒―空気熱交換器4を通過した後の空気の風速の低下も抑制でき、冷媒―空気熱交換器4における熱交換効率の低下も抑制できる。
【0069】
(5)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0070】
(5−1)変形例A
上記実施形態では、ベルマウス36が、空気流路APと仕切られる仕切り部材であると説明したがこれに限られるものではない。
【0071】
例えば、筒状部に相当する部分を構成するベルマウスと、平面部に相当する部分を構成する別部材とによって、仕切り部材を構成してもよい。この場合であっても、本変形例Aに係る仕切り部材が、空気流路APと冷媒―冷媒熱交換器5とを仕切ることができるので、上記実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0072】
(5−2)変形例B
上記実施形態の構成以外にも、第1熱交換部と第2熱交換部との間に確保される隙間S2に、断熱材を配置してもよい。これにより、第1熱交換部と第2熱交換部との間における熱交換を抑制でき、冷媒―冷媒熱交換器5の断熱性がより確保される。尚、断熱材は、より冷媒―冷媒熱交換器5の断熱性を確保するために、冷媒―冷媒熱交換器5の周囲を覆うように配置してもよい。
【0073】
(5−3)変形例C
上記実施形態では、冷凍装置として、冷房運転及び暖房運転を実行可能な空気調和装置1を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、本発明は、冷房運転のみを実行する空気調和装置に適用してもよいし、ヒートポンプ式の給湯装置に適用してもよい。