特許第5849860号(P5849860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5849860
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】自動取引装置、及び自動取引方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20160114BHJP
   G07D 1/00 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   G07D9/00 456F
   G07D1/00 341C
   G07D9/00 403A
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-127995(P2012-127995)
(22)【出願日】2012年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-254247(P2013-254247A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(72)【発明者】
【氏名】小出 正市
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−97241(JP,A)
【文献】 特開2006−313398(JP,A)
【文献】 特開平9−128595(JP,A)
【文献】 特開平9−212719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G07D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金に関する取引を行う自動取引装置であって、
現金の授受が行われる授受口と、
移動することにより、前記授受口を開閉可能な開閉部材と、
前記開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知部と、
前記自動取引装置のリセット動作の際に前記開閉部材を開閉して動作確認処理を行い、前記動作確認処理後に前記開閉部材の開閉状態を検知させ、開閉状態が異常であると判定した場合には前記取引の中止状態を継続する制御部と、
を備えることを特徴とする、自動取引装置。
【請求項2】
前記授受口の現金を検知する現金検知部を更に備え、
前記制御部は、前記授受口に現金が残留していると検知された場合には、前記動作確認処理を行わないことを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記授受口の現金を装置内へ取り込む現金処理部を更に備え、
前記制御部は、前記現金の装置内への取り込み後に、前記動作確認処理を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記自動取引装置に発生した障害に関する障害情報を取得する取得部を更に備え、
前記制御部は、
取得された前記障害情報が前記開閉部材の障害を示す場合には、前記動作確認処理を行い、
前記障害情報が前記開閉部材の障害以外の障害を示す場合には、前記動作確認処理を行わないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記自動取引装置の周囲における人の有無を検知する人検知部を更に備え、
前記制御部は、前記周囲に人がいると検知された場合には、前記動作確認処理を行わないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記自動取引装置の動作モードを設定するモード設定部を更に備え、
前記制御部は、設定された動作モードが所定モードである場合には、前記動作確認処理を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記所定モードは、前記動作確認処理を強制的に行うモードを含むことを特徴とする、請求項6に記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記動作確認処理の不実行回数を取得する取得部を更に備え、
前記所定モードは、前記不実行回数が所定回数を超えた場合に前記動作確認処理を強制的に行うモードを含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の自動取引装置。
【請求項9】
前記所定モードは、予め設定された所定時間内に前記リセット動作が行われた場合に前記動作確認処理を強制的に行うモードを含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記所定モードは、前記開閉部材の障害を確認するモードを含むことを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項11】
前記自動取引装置に発生した障害に関する障害情報を取得する取得部を更に備え、
前記制御部は、取得された前記障害情報が前記開閉部材の障害を示し、かつ前記動作確認処理を行わない場合には、前記開閉部材の障害を通知することを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項12】
自動取引装置により現金に関する取引を行う自動取引方法であって、
前記自動取引装置のリセット動作の際に、現金の授受が行われる授受口を開閉可能な開閉部材を開閉して動作確認処理を行うステップと、
前記動作確認処理後に前記開閉部材の開閉状態を検知するステップと、
開閉状態が異常であると判定した場合には前記取引の中止状態を継続するステップと、
を有することを特徴とする、自動取引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、及び自動取引方に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関のATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置は、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置されている。顧客は、自動取引装置に表示される表示画面において各種操作を行うことにより、入金、出金および残高照会などの取引を行うことができる。
【0003】
自動取引装置は、顧客との間で現金(例えば、紙幣)の授受を行うための授受口(接客口とも呼ぶ)を備える。また、授受口には、開閉可能なシャッタが設けられている。シャッタは、通常は閉じているが、顧客との間で現金を授受する際にシャッタが開くことにより、顧客は現金を授受口に入れ、又は授受口から受け取ることができる。
【0004】
ところで、自動取引装置のリセット動作等の初期化においては、シャッタは閉じている状態を維持し、シャッタの動作確認は行われていなかった。これは、遠隔操作や自動でリセット動作を行わせてシャッタを開閉すると、自動取引装置の前にいる人がいたずら等により不正な取引をする恐れがあるためである。
【0005】
そこで、従来においては、出金時にシャッタの状態チェックを行なって、不正な取引を防止する方策が採用されていた(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−313398号公報
【特許文献2】特開2008−97241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の方策では、シャッタに障害が発生した状態でリセット動作により自動取引装置を復旧してしまうと、その後の取引において障害となり、自動取引装置を無駄に運用してしまう恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、シャッタ障害が発生した際に自動取引装置が無駄に運用されてしまうことを抑制できる、新規かつ改良された自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、現金に関する取引を行う自動取引装置であって、現金の授受が行われる授受口と、移動することにより、前記授受口を開閉可能な開閉部材と、前記開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知部と、前記自動取引装置のリセット動作の際に前記開閉部材を開閉して動作確認処理を行い、前記動作確認処理後に前記開閉部材の開閉状態を検知させ、開閉状態が異常であると判定した場合には前記取引の中止状態を継続する制御部と、を備えることを特徴とする、自動取引装置が提供される。
【0010】
かかる自動取引装置によれば、制御部は、リセット動作の際に開閉部材を開閉して動作確認処理を行い、動作確認処理後に開閉部材の開閉状態を検知させ、開閉状態が異常であると判定した場合には取引の中止状態を継続する。これにより、出金時だけでなくリセット動作の際にも開閉部材を開閉させることで、開閉部材の状態を適切に検知できるので、開閉部材が異常な状態で自動取引装置が復旧することを防止できる。この結果、自動取引装置が無駄に運用されることを抑制できる。
【0011】
また、前記授受口の現金を検知する現金検知部を更に備え、前記制御部は、前記授受口に現金が残留していると検知された場合には、前記動作確認処理を行わないこととしても良い。
【0012】
また、前記授受口の現金を装置内へ取り込む現金処理部を更に備え、前記制御部は、前記現金の装置内への取り込み後に、前記動作確認処理を行うこととしても良い。
【0013】
また、前記自動取引装置に発生した障害に関する障害情報を取得する取得部を更に備え、前記制御部は、取得された前記障害情報が前記開閉部材の障害を示す場合には、前記動作確認処理を行い、前記障害情報が前記開閉部材の障害以外の障害を示す場合には、前記動作確認処理を行わないこととしても良い。
【0014】
また、前記自動取引装置の周囲における人の有無を検知する人検知部を更に備え、前記制御部は、前記周囲に人がいると検知された場合には、前記動作確認処理を行わないこととしても良い。
【0015】
また、前記自動取引装置の動作モードを設定するモード設定部を更に備え、前記制御部は、設定された動作モードが所定モードである場合には、前記動作確認処理を行うこととしても良い。
【0016】
また、前記所定モードは、前記動作確認処理を強制的に行うモードを含むこととしても良い。
【0017】
また、前記動作確認処理の不実行回数を取得する取得部を更に備え、前記所定モードは、前記不実行回数が所定回数を超えた場合に前記動作確認処理を強制的に行うモードを含むこととしても良い。
【0018】
また、前記所定モードは、予め設定された所定時間内に前記リセット動作が行われた場合に前記動作確認処理を強制的に行うモードを含むこととしても良い。
【0019】
また、前記所定モードは、前記開閉部材の障害を確認するモードを含むこととしても良い。
【0020】
また、前記自動取引装置に発生した障害に関する障害情報を取得する取得部を更に備え、前記制御部は、取得された前記障害情報が前記開閉部材の障害を示し、かつ前記動作確認処理を行わない場合には、前記開閉部材の障害を通知することとしても良い。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、自動取引装置により現金に関する取引を行う自動取引方法であって、前記自動取引装置のリセット動作の際に、現金の授受が行われる授受口を開閉可能な開閉部材を開閉して動作確認処理を行うステップと、前記動作確認処理後に前記開閉部材の開閉状態を検知するステップと、開閉状態が異常であると判定した場合には前記取引の中止状態を継続するステップと、を有することを特徴とする、自動取引方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、シャッタ障害が発生した際に自動取引装置が無駄に運用されてしまうことを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態に係る自動取引システム1の概略構成を説明するための図である。
図2】シャッタ19の構成例を示す模式図である。
図3】第1の実施形態に係る自動取引装置10の構成例を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る制御装置132の機能構成例を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係るリセット処理時の自動取引装置10の動作例を示すフローチャートである。
図6】シャッタ動作のチェック処理を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態に係る制御装置132の機能構成例を示すブロック図である。
図8】第2の実施形態に係るリセット処理時の自動取引装置10の動作例を示すフローチャートである。
図9】第2の実施形態に係るリセット処理時の自動取引装置10の動作例を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態に係るリセット処理時の自動取引装置10の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
<1.第1の実施形態>
(1−1.自動取引システムの概要)
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る自動取引システム1の概要について説明する。
【0026】
図1は、第1の実施形態に係る自動取引システム1の概略構成を説明するための図である。図1に示すように、自動取引システム1は、自動取引装置10と、専用網20と、金融機関ホスト30と、を備える。
【0027】
自動取引装置10は、金融機関の顧客による操作に基づいて現金の取引を実行する顧客操作型端末である。自動取引装置10は、例えば、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内等の多様な施設に設置される。
【0028】
自動取引装置10は、顧客操作表示部12と、通帳挿入口14と、カード挿入口16と、授受口の一例である接客口18と、を備える。顧客操作表示部12は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部および顧客操作を検出する顧客操作部としての機能を有する。表示部としての機能は、例えば液晶ディスプレイ装置等により実現される。顧客操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。
【0029】
通帳挿入口14は、顧客の通帳の挿入および排出を行う。カード挿入口16は、顧客のキャッシュカードの挿入および排出を行う。接客口18は、顧客との間で現金の授受が行われるものであり、顧客による紙幣の入金口、および顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。また、図2に示すように、接客口18の上部には開閉可能な開閉部材の一例であるシャッタ19が設けられている。シャッタ19は、移動することにより、接客口18を閉塞し、又は開放する。ここで、図2に示すように曲面状のシャッタが回動して開閉しても良いが、平面状のシャッタをスライドさせて開閉することにしても良い。図2は、シャッタ19の構成例を示す模式図である。また、上記では、シャッタ19が移動することにより接客口18を開放又は閉塞することとしたが、これに限定されず、例えば、接客口が形成された円筒状の接客ドラムを回動させて、接客口を開閉することとしても良い。かかる場合には、シャッタが不要となる。
【0030】
専用網20は、金融機関のネットワークであり、例えばIP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)により構成される。自動取引装置10は、専用網20を介して金融機関ホスト30と通信することができる。
【0031】
金融機関ホスト30は、専用網20を介して自動取引装置10と通信することにより、各種取引を制御する。例えば、金融機関ホスト30は、自動取引装置10を操作する顧客の認証を行ったり、自動取引装置10において顧客により指示された入金や振込などの金銭取引(勘定の取引処理)を実行したりする。また、金融機関ホスト30は、口座番号、暗証番号、氏名、住所、年齢、生年月日、電話番号、職業、家族構成、年収、預金残高などの顧客情報(口座の元帳)を管理する。
【0032】
(1−2.自動取引装置の構成例)
図3を参照しながら、第1の実施形態に係る自動取引装置10の構成例について説明する。
【0033】
図3は、第1の実施形態に係る自動取引装置10の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、自動取引装置10は、操作表示装置110と、顧客入力装置112と、レシートプリンタ114と、カードリーダ・ライタ116と、現金入出金機118と、センサ群120と、記憶装置130と、制御装置132と、を備える。
【0034】
操作表示装置110は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部、および顧客操作を検出する顧客操作部としての機能を有する装置である。顧客入力装置112は、顧客が暗証番号のような認証情報や取引金額などを入力するための装置である。
【0035】
レシートプリンタ114は、レシートを印刷する印刷装置である。カードリーダ・ライタ116は、キャッシュカードの読出し、およびキャッシュカードへの書き込みを行う磁気装置である。現金入出金機118は、顧客から挿入された紙幣の格納、および顧客へ受け渡す紙幣の排出などを行う。センサ群120は、赤外線センサや光学センサ等のセンサを有し、様々な状態を検知する。
【0036】
記憶装置130は、自動取引装置10が動作するためのプログラムなどを記憶する。制御装置132は、自動取引装置10の動作全般を制御する。以下、このような制御装置132の機能構成例について、図4を参照しながら具体的に説明する。
【0037】
(1−3.制御装置の機能構成例)
図4は、第1の実施形態に係る制御装置132の機能構成例を示すブロック図である。図4に示すように、第1の実施形態に係る制御装置132は、開閉検知部202と、現金検知部204と、現金処理部206と、障害情報取得部208と、人検知部210と、制御部212と、を備える。
【0038】
開閉検知部202は、センサ群120を介してシャッタ19の開閉状態を検知する。これにより、シャッタ19が正常に開閉しているか否かを検知できる。開閉検知部202は、シャッタ19の開閉状態の検知結果を制御部212に出力する。
【0039】
現金検知部204は、センサ群120を介して接客口18の紙幣の有無を検知する。これにより、接客口18に紙幣が残留しているか否かを検知できる。現金検知部204は、紙幣の有無の検知結果を制御部212に出力する。
【0040】
現金処理部206は、紙幣の処理に関する処理を行う。例えば、現金処理部206は、接客口18にある紙幣を装置内に取り込む処理を行う。これにより、接客口18に紙幣が残留することを解消できる。
【0041】
障害情報取得部208は、自動取引装置10に発生した障害に関する障害情報を取得する。これにより、自動取引装置10において発生した障害を把握できる。障害情報は、例えば、シャッタ19の障害や、他の構成要素の障害を示す情報である。障害情報取得部208は、取得した障害情報を制御部212に出力する。
【0042】
人検知部210は、センサ群120を介して自動取引装置10の周囲(例えば、接客口18の前)における人の有無を検知する。人検知部210は、人の有無の検知結果を制御部212に出力する。
【0043】
制御部212は、自動取引装置10のリセット動作の際に、シャッタ19を開閉して動作確認処理を行う。そして、制御部212は、動作確認処理後にシャッタ19の開閉状態を開閉検知部202に検知させ、開閉状態が異常であると判定した場合には取引の中止状態を継続する。
【0044】
制御部212は、自動取引装置10の状態に応じて、シャッタ19の動作確認処理を制御する。例えば、制御部212は、接客口18に紙幣が残留していると現金検知部204により検知された場合には、シャッタ19の動作確認処理を行わない。これにより、残留する紙幣によってシャッタ19が正常に動作せず、動作確認処理を適切に行えないことを防止できる。
【0045】
また、制御部212は、現金処理部206による紙幣の装置内への取り込み後に、シャッタ19の動作確認処理を行う。これにより、接客口19に残留する紙幣を確実に排除できる。
【0046】
また、制御部212は、障害情報取得部208により取得された障害情報がシャッタ19の障害を示す場合には、シャッタ19の動作確認処理を行い、障害情報がシャッタ19の障害以外の障害を示す場合には、動作確認処理を行わない。シャッタ19以外の障害であればシャッタ19の動作確認を行う必要が無いので、シャッタ19を動作させることによる自動取引装置の無駄な運用を防止できる。
【0047】
また、制御部212は、人検知部210により自動取引装置10の周囲に人がいると検知された場合には、シャッタ19の動作確認処理を行わない。これにより、例えば接客口18の前にいる人によるいたずらを防止できる。
【0048】
(1−4.自動取引装置の動作例)
次に、図5を参照しながら、リセット処理時の自動取引装置10の動作例について説明する。
【0049】
図5は、第1の実施形態に係るリセット処理時の自動取引装置10の動作例を示すフローチャートである。本処理は、制御装置122が記憶装置130に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。そして、図5のフローチャートは、自動取引装置10に障害が発生したところから開始される。
【0050】
まず、制御装置122は、現状の障害情報を記憶する(ステップS102)。次に、制御装置122は、シャッタ19を閉状態とする(ステップS104)。次に、制御装置122は、現金入出金機118等の各装置に初期化を指示し、リセット動作を行う(ステップS106)。
【0051】
次に、制御装置122は、動作が正常に終了したか否かを判定する(ステップS108)。そして、ステップS108で正常に終了したと判定された場合には(Yes)、制御装置122は、接客口18に紙幣が残留しているか否かを判定する(ステップS110)。一方で、ステップS108で正常に終了していないと判定された場合には(No)、制御装置122は、取引を中止する(ステップS128)。
【0052】
ステップS110で紙幣が残留していると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、残留している紙幣を装置内に取り込んで退避させる(ステップS112)。次に、制御装置122は、紙幣の取り込みが正常に終了したか否かを判定する(ステップS114)。
【0053】
ステップS114で正常に終了したと判定された場合には(Yes)、制御装置122は、接客口18に紙幣が残留しているか否かを再度判定する(ステップS116)。そして、ステップS116で紙幣が残留していないと判定された場合には(No)、制御装置122は、ステップS102で記憶した障害情報がシャッタ19の障害に関するものか否かを判定する(ステップS118)。また、ステップS110で紙幣が残留していないと判定された場合にも(No)、制御装置122は、ステップS118の処理を行う。
【0054】
一方で、ステップS116で紙幣が残留していると判定された場合には(Yes)、すなわち紙幣が正常に取り込まなかった場合には、制御装置122は、取引を中止する(ステップS128)。また、ステップS114で正常に終了していないと判定された場合にも(No)、制御装置122は、取引を中止する(ステップS128)。
【0055】
ステップS118で障害情報がシャッタ19の障害に関するものであると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、自動取引装置10の前に顧客がいるか否かを判定する(ステップS120)。そして、ステップS120で装置前に顧客がいないと判定された場合には(No)、制御装置122は、シャッタ動作のチェック処理を実行する(ステップS122)。一方で、ステップS120で装置前に顧客がいると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、取引を中止する(ステップS128)。
【0056】
ここで、図6を参照しながら、シャッタ動作のチェック処理について説明する。図6は、シャッタ動作のチェック処理を示すフローチャートである。チェック処理において、制御装置122は、まず、シャッタ19の閉状態を確認する(ステップS152)。次に、制御装置122は、シャッタ19を開方向に所定量(少量)だけ移動させる(ステップS154)。
【0057】
次に、制御装置122は、移動させたシャッタ19が実際に開いたことを検知する(ステップS156)。次に、制御装置122は、シャッタ19を閉方向に移動させる(ステップS158)。次に、制御装置122は、移動させたシャッタ19が実際に閉じたことを検知する(ステップ160)。これにより、図5のステップS122のシャッタ動作のチェック処理が完了する。
【0058】
図5のフローチャートに戻って説明を続ける。制御装置122は、上述したシャッタ動作のチェック処理により、シャッタ19の開閉が正常であるか否かを判定する(ステップS124)。
【0059】
ステップS124でシャッタ19の開閉が正常であると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、シャッタ19が正常な状態であると判定し、取引を実行する(ステップS126)。なお、ステップS118で障害情報がシャッタ19の障害に関するもので無いと判定された場合には(No)、すなわちシャッタ19以外の障害である場合には、制御装置122は、シャッタ19のチェック処理(ステップS122)を行わずに取引を実行する(ステップS126)。
【0060】
ステップS124でシャッタ19の開閉が異常であると判定された場合には(No)、制御装置122は、シャッタ19の障害状態が解消されていないと判定し、取引を中止する(ステップS128)。これにより、第1の実施形態に係る一連のリセット処理が完了する。
【0061】
(1−5.自動取引装置の有効性)
上述した第1の実施形態によれば、制御装置122は、リセット動作の際にシャッタ19を開閉して動作確認処理を行う。そして、制御装置122は、動作確認処理後にシャッタ19の開閉状態を検知させ、開閉状態が異常であると判定した場合には取引の中止状態を継続する。
【0062】
これにより、出金時だけでなくリセット動作の際にもシャッタ19を開閉させることにより、シャッタ19の状態を適切に検知できるので、シャッタ19が異常な状態で自動取引装置10が復旧することを防止できる。この結果、自動取引装置10が無駄に運用されることを抑制できる。
【0063】
<2.第2の実施形態>
(2−1.制御装置の機能構成例)
図7は、第2の実施形態に係る制御装置132の機能構成例を示すブロック図である。図7に示すように、第2の実施形態に係る制御装置132は、開閉検知部202と、現金検知部204と、現金処理部206と、障害情報取得部208と、人検知部210と、制御部212と、モード設定部220と、回数情報取得部222と、を備える。
【0064】
第2の実施形態に係る開閉検知部202、現金検知部204、現金処理部206、障害情報取得部208、及び人検知部210は、図4で説明した第1の実施形態と同様な機能を有するため、詳細な説明を省く。
【0065】
モード設定部220は、自動取引装置10の動作モードを設定する。例えば、モード設定部220は、顧客が顧客入力装置112により入力(選択)したモードを、動作モードとして設定する。モード設定部220は、設定した動作モードに関する情報を制御部212に出力する。
【0066】
回数情報取得部222は、シャッタ19の動作確認処理の不実行回数を取得する。例えば、回数情報取得部222は、自動取引装置10のリセット動作の際における動作確認処理の不実行回数を取得する。回数情報取得部222は、取得した不実行回数に関する情報を制御部212に出力する。
【0067】
第2の実施形態に係る制御部212は、モード設定部220により設定された動作モードが所定モード(具体的には、以下に説明する第1モード〜第4モードのいずれか)である場合には、シャッタ19の動作確認処理を強制的に行う。これにより、シャッタ19の動作確認処理が行われない状態が継続することを防止できる。
【0068】
ここで、第1モードは、シャッタ19の動作確認処理を強制的に必ず行うモードである。第2モードは、回数情報取得部222により取得された不実行回数が所定回数を超えた場合にシャッタ19の動作確認処理を強制的に行うモードである。第3モードは、予め設定された所定時間内に自動取引装置10のリセット動作が行われた場合にシャッタ19の動作確認処理を強制的に行うモードである。第4モードは、シャッタ19の障害を確認するモードである。このようなモードを用いることにより、装置の使用状況に応じたシャッタ19の動作確認処理を行いやすくなる。
【0069】
また、制御部212は、障害情報取得部208により取得された障害情報がシャッタ19の障害を示し、かつシャッタ19の動作確認処理を行わない場合には、シャッタ19の障害を通知する。これにより、顧客はシャッタ19の障害が解消されていないことを把握できる。
【0070】
(2−2.自動取引装置の動作例)
図8図10を参照しながら、リセット処理時の自動取引装置10の動作例について説明する。図8図10は、第2の実施形態に係るリセット処理時の自動取引装置10の動作例を示すフローチャートである。
【0071】
以下では、図5のフローチャートと異なる部分を中心に説明する。ステップS102〜S116の処理は、図5とほぼ同様である。第2の実施形態では、ステップS110やステップS116において接客口18に紙幣が残留していないと判定された場合には(No)、制御装置122は、シャッタ動作のチェック処理を必ず行うモードか否かを判定する(ステップS202)。
【0072】
ステップS202でチェック処理を必ず行うモードであると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、Skipカウンタをクリアし(ステップS208)、シャッタ動作のチェック処理を実行する(ステップS122)。このシャッタ動作のチェック処理は、前述した図6のフローチャートに示す処理である。
【0073】
ステップS202でチェック処理を必ず行うモードで無いと判定された場合には(No)、制御装置122は、チェック処理を行う指定時間内に該当するか否かを判定する(ステップS204)。この指定時間は、予め設定されている。ステップS204で指定時間内に該当すると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、シャッタ動作のチェック処理を実行する(ステップS208、S122)。
【0074】
ステップS204で指定時間内に該当しないと判定された場合には(No)、制御装置122は、ステップS102で記憶した障害情報がシャッタ19の障害に関するものとか否かを判定する(ステップS118)。そして、ステップS118で障害情報がシャッタ19の障害に関するものであると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、シャッタ障害のチェックモードであるか否かを判定する(ステップS206)。
【0075】
ステップS206でシャッタ障害のチェックモードであると判定された場合には(Yes)、装置前に人がいるか否かを判定せずに、シャッタ動作のチェック処理を実行する(ステップS208、S122)。
【0076】
ステップS118で障害情報がシャッタ19の障害に関するもので無いと判定された場合(No)、又はステップS120で装置前に人がいると判定された場合(Yes)には、制御装置122は、シャッタ動作の回数チェックモードであるか否かを判定する(ステップS210)。
【0077】
ステップS210で回数チェックモードであると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、Skipカウンタをクリアし(ステップS212)、シャッタ動作を実行しなかった回数が指定回数を超えたか否かを判定する(ステップS214)。そして、ステップS214で指定回数を超えたと判定された場合には(Yes)、制御装置122は、シャッタ動作のチェック処理を実行する(ステップS208、S122)。
【0078】
ステップS210で回数チェックモードでは無いと判定された場合(No)、又はステップS214で指定回数を超えていないと判定された場合には(No)、制御装置122は、シャッタ障害の通知モードであるか否かを判定する(ステップS216)。
【0079】
ステップS216でシャッタ障害の通知モードであると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、ステップS102で記憶した障害情報がシャッタ19の障害に関するものであるかを判定する(ステップS218)。そして、ステップS218で障害情報がシャッタ19の障害に関するものであると判定された場合には(Yes)、制御装置122は、取引を中止し、シャッタ障害であることを通知する(ステップS128)。
【0080】
一方で、ステップS218で障害情報がシャッタ19の障害に関するもので無いと判定された場合(No)、又はステップS216でシャッタ障害の通知モードで無いと判定された場合には(No)、制御装置122は、取引を実行する(ステップS126)。
【0081】
上述した第2の実施形態によれば、制御装置132が、動作モードが所定モード(第1モード〜第4モードのいずれか)である場合には、シャッタ19の動作確認処理を強制的に行う。このように自動取引装置10の使用環境に応じて動作確認処理を行う条件を設定することにより、シャッタ19の動作確認処理が行われない状態が継続することを防止できる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
また、上記では、接客口18において現金の一例として紙幣の授受を顧客との間で行うこととしたが、これに限定されない。例えば、接客口18において硬貨の授受を行うこととしても良い。
【0084】
また、上述した自動取引装置10の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、自動取引装置10の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0085】
また、自動取引装置10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した自動取引装置10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 自動取引装置
18 接客口
19 シャッタ
132 制御装置
202 開閉検知部
204 現金検知部
206 現金処理部
208 障害情報取得部
210 人検知部
212 制御部
220 モード設定部
222 回数取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10