(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように上記特許文献1の変速機の制御装置では、無段自動変速モードと有段自動変速モードとを車速及びスロットル開度に基づいて変速モードを切り換えるようにしている。
しかしながら、特許文献1の無段自動変速モードと有段自動変速モードの変速モードに、更に有段手動モードを加えると、例えば有段自動変速モードで車両が走行している時に運転者が有段手動モードを解除した場合には、解除時の車速及びスロットル開度に基づいて、変速モードを自動で変速する無段自動変速モード或いは有段自動変速モードのいずれかに復帰することとなる。
【0006】
このように解除時の車速及びスロットル開度に基づいて、変速モードを無段自動変速モード或いは有段自動変速モードのいずれかに復帰するようにすると、運転者が有段手動モードに変速モードを設定した時と運転者が有段手動モードを解除した後とでは、変速モードが異なる虞があり、運転者に変速モードが異なることで違和感を与える虞があり好ましいことではない。
【0007】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、違和感を与えすることなく有段手動モードから復帰することのできる変速機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の変速機の制御装置では、シフトレバーが自動シフトポジションにある際に無段階に変速する無段自動変速モード又は段階的に変速する有段自動変速モードで走行する自動変速モードと、運転者の手動操作に基づいて段階的に変速して走行する手動変速モードと、前記自動変速モードと前記手動変速モードとを切り換える制御手段と、前記自動変速モードより前記手動変速モードを優先して選択する手動モード選択手段と、を有する車両に搭載された変速機の制御装置において、前記制御手段は、前記手動変速モードの選択が解除された際に前記自動シフトポジションが選択されていることを認識すると、前記自動変速モードに切り換えると共に前記手動変速モードが選択される前に選択されていた前記無段自動変速モード又は前記有段自動変速モードのいずれかに復帰させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の変速機の制御装置では、請求項1において、前記手動変速モードが選択されていない際に前記無段自動変速モードと前記有段自動変速モードとを切り換えて選択する切換選択手段を更に備え、前記制御手段は、前記手動変速モードが選択されている際に前記切換選択手段が操作された場合は、切換選択された前記無段自動変速モード又は前記有段自動変速モードを記憶しておき、前記手動変速モードが解除された際に、記憶された前記無段自動変速モード又は前記有段自動変速モードのいずれかに復帰させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の変速機の制御装置では、請求項1或いは2において、前記手動変速モードでの変速段を検出する変速段検出手段を備え、前記制御手段は、前記手動変速モードでの前記変速段が所定変速段未満である時に前記手動変速モードが解除されると、強制的に前記無段自動変速モードに切り換えることを特徴とする。
また、請求項4の変速機の制御装置では、請求項1或いは2において、前記車両の速度を検出する車速検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記車両の速度が所定速度以下である時に前記手動変速モードが解除されると、強制的に前記無段自動変速モードに切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、手動変速モードが解除されると、変速モードを手動変速モード設定前の変速モードに切り換えるようにしており、例えば、手動変速モード設定前の変速モードが無段自動変速モードであれば、手動変速モードが解除されると手動変速モード設定前の変速モードと同一の無段自動変速モードに、手動変速モード設定前の変速モードが有段自動変速モードであれば、手動変速モードが解除されると手動変速モード設定前の変速モードと同一の有段自動変速モードに変速モードを切り換えることができる。
【0012】
したがって、無段自動変速モードと有段自動変速モードとのシフトポジションが自動シフトポジション、例えばDレンジで同一であったとしても、手動変速モードの設定前と解除後で変速モードを同一とすることができるので、運転者に違和感を与えることなく手動変速モードから無段自動変速モードと有段自動変速モードとのどちらかに復帰したかを認識させることができる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、変速モードが手動変速モードである時には、切換選択手段の操作を記憶し、手動変速モードが解除されると記憶した切換選択手段の操作に基づいて、変速モードを無段自動変速モード或いは有段自動変速モードのいずれか切り換えるようにしている。例えば、手動変速モードの設定前の変速モードが無段自動変速モードである場合には、運転者により手動モード選択手段が操作され、変速モードが手動変速モードとなった後に、運転者により切換選択手段が操作されると、切換選択手段の操作を記憶する。そして、その後に手動変速モードが解除されると、記憶した切換選択手段の操作に基づいて変速モードを有段自動変速モードにする。また、手動変速モードの設定前の変速モードが有段自動変速モードである場合には、運転者により手動モード選択手段が操作され、変速モードが手動変速モードとなった後に、運転者により切換選択手段が操作されると、切換選択手段の操作を記憶する。そして、その後に手動変速モードが解除されると、記憶した切換選択手段の操作に基づいて変速モードを無段自動変速モードにする。
【0014】
したがって、手動変速モードが解除される時、即ち手動変速モードからの復帰時に、運転による手動変速モード中の切換選択手段の操作に基づいて、運転者の所望する変速モードとすることができるので、運転者に違和感を与えることなく手動変速モードから復帰したことを認識させることができる。
また、請求項3の発明によれば、手動変速モードでの変速段が所定変速段未満である時に手動変速モードが解除されると、変速モードを強制的に無段自動変速モードに切り換えるようにしており、例えば、車速が低車速となるギヤ段を所定変速段とし、車両の走行状態が低車速である時に変速モードを無段自動変速モードとすることで、車両が低車速で走行中であっても内燃機関を最良の燃費となる回転速度及び負荷で運転することが可能となり、延いては燃費を向上させることができる。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、車両の走行状態が所定速度以下の低車速である際に、手動変速モードから無段自動変速モードにすることで、車両が低車速で走行中であっても内燃機関を最良の燃費となる回転速度及び負荷で運転することが可能となり、延いては燃費を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、図示しない車両に搭載された本発明の第1実施例に係る変速機の制御装置が適用された変速装置の概略構成図である。また、
図2は、本発明に第1実施例に係る変速機の制御装置における変速モードの切り替えを時系列で示す図である。また、
図3は、本発明に第1実施例に係る変速機の制御装置における変速モードの切り替えを時系列で示す図である。
図2及び
図3中の上段より変速モード、MODE切り替えSWの入力、自動変速制御モード、スポーツモードをそれぞれ示す。なお、
図2及び
図3中の縦軸の変速モードは、現在選択されているCVTの変速モードを、自動変速制御モードは、ECU内部に記憶されているECUがCVTを自動変速するモードを、スポーツモードは、運転者によりスポーツモードが設定の有無をそれぞれ示す。そして、
図2及び
図3中のSPは、スポーツモードSPを、SATは、STEP−AT自動変速モードSATを、CVTは、CVT自動変速モードをそれぞれ示す。なお、
図2と
図3では、スポーツモード中のMODE切り替えSWの操作の有無が異なる。以下、当該無段変速装置の構成を説明する。
【0018】
図1に示すように、変速装置1は、無段変速機(以下、CVTという)2と、シフト装置(手動モード選択手段)3と、MODE切り替えSW(切換選択手段)4と、車両を始動及び停止させるためのメイン電源を入り切り(ON/OFF)するイグニッションスイッチ(以下、IG−SWという)5と、車両の車速を検出する車速センサ(車速検出手段)6と、電子コントロールユニット(以下、ECUという)(制御手段)7とで構成されている。
【0019】
CVT2は、変速比を連続で可変可能な変速機である。そして、CVT2は、図示しないエンジンからの出力を増速或いは減速して駆動輪に出力するものである。また、CVT2は、ECU7が変速を制御する自動変速制御モードとして、車両の走行状態及びエンジンの運転状態に基づいて、エンジンの最良の燃費で運転可能とするCVT自動変速モード(本発明の無段自動変速モードに相当)と、従来の有段のオートマチックトランスミッションと同様に変速比を固定した複数のギヤ段が設定され、車速やスロットル開度等に応じてギヤ段を自動で択一的に選択し変速するSTEP−AT自動変速モード(本発明の有段自動変速モードに相当)とを有している。更にCVT2は、運転者が変速を制御する手動変速制御モードとして、STEP−AT自動変速モードに対して、運転者が手動でシフト装置3を操作し択一的にギヤ段を選択するスポーツモード(本発明の手動変速モードに相当)を有している。CVT自動変速モードとSTEP−AT自動変速モードとスポーツモードの制御モードの切り替え及びCVT自動変速モードとSTEP−AT自動変速モードでの変速は、ECU7より供給される信号に基づいて行われる。
【0020】
シフト装置3は、図示しない車両のセンターコンソール付近に設けられるシフトレバーと、ステアリングの背部に設けられるパドルとを含んで構成されている。そして、シフト装置3は、運転者がシフトレバーを操作することで、車両の駐車、後退走行、CVT自動変速モード(無段自動変速モード)或いはSTEP−AT自動変速モード(有段自動変速モード)での前進走行、更にはスポーツモードでの前進走行等の車両の運転状態を設定するものである。本実施例では、無段自動変速モードと有段自動変速モードとをまとめて自動変速モードとし、自動変速モードの際には、シフト装置3は概ねDポジション(自動シフトポジション)にある。また、シフト装置3は、スポーツモード設定時には、運転者がシフトレバーをDポジションから他のポジションへ移動させること或いはパドルを操作することで任意にギヤ段を変速可能としている。そして、シフト装置3は、シフトレバー及びパドルの操作信号をECU7に供給する。
【0021】
MODE切り替えSW4は、モーメンタリ式の押しボタンスイッチによって構成されている。そして、MODE切り替えSW4は、運転者によって操作され、MODE切り替えSW4が押される毎にCVT2のCVT自動変速モードとSTEP−AT自動変速モードの自動変速制御モードを切り替えるものである。そして、MODE切り替えSW4は、MODE切り替えSW4の操作信号をECU7に供給する。また、CVT2がスポーツモードである時に、MODE切り替え切り替えSW4が操作されると、当該操作は、ECU7に記憶され、スポーツモードの解除後に自動変速制御モードが切り替えられる。
【0022】
ECU7は、CVT2の総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置及びCPU等を含んで構成される。
ECU7の入力側には、上記CVT2、シフト装置3、MODE切り替えSW4、IG−SW5及び車速センサ7が電気的に接続されており、これら各種センサ類からの検出情報、CVT2の作動状況及びシフト装置3の操作状況が入力される。
【0023】
一方、ECU7の出力側には、上記CVT2が電気的に接続されている。
そして、ECU7は、CVT2の変速モードがCVT自動変速モードである時には、車両の走行状態及びエンジンの運転状態に基づいて、エンジンの燃費が最良となるようにCVT2の変速比を可変させる。また、ECU7は、CVT2がSTEP−AT自動変速モードである時には、車速やスロットル開度等に応じてギヤ段を自動で択一的に選択しCVT2を変速させる。
【0024】
また、ECU7は、自動変速モードであるCVT自動変速モード(無段自動変速モード)と、STEP−AT自動変速モード(有段自動変速モード)と、運転者がシフト装置3のシフトレバー或いはパドルを操作して任意に変速するスポーツモードとの複数の変速モードの切り替えも合わせて行う。詳しくは、ECU7は、IG−SW5がONとされると、自動変速制御モードをCVT自動変速モードとして、変速モードをCVT自動変速モードとする。そして、
図2に示すように、ECU7は、CVT自動変速モードである時にMODE切り替えSW4が操作されると、自動変速制御モードをSTEP−AT自動変速モードとして、変速モードをSTEP−AT自動変速モードとする(
図2a)。そして、STEP−AT自動変速モードである時に、MODE切り替えSW4が再度操作されると自動変速制御モードをCVT自動変速モードとして、変速モードをCVT自動変速モードとする変速モードの切り替え判定制御を実施する。
【0025】
そして、ECU7は、自動変速制御モードと変速モードがCVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードである時に、運転者によりシフト装置3のシフトレバーがDポジションから他のポジションに操作されると、この時のCVT2の変速モードを記憶し、即ち自動変速制御モードを保持し、CVT2の変速モードをスポーツモードとする(
図2b)。そして、ECU7は、CVT2の変速モードがスポーツモードである時に、運転者によりスポーツモードを解除するようにシフト装置3のシフトレバーが再度操作、即ちスポーツモードが解除されると、スポーツモード中にMODE切り替えSW4の操作がなければ、CVT2の変速モードを記憶したスポーツモード以前の変速モード、即ちスポーツモード以前の保持された自動変速制御モードの内容に基づいてCVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードにする(
図2c)。つまり、CVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードに復帰した際に、シフト装置3はDポジションとなっており、CVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードのいずれのモードを選択されているか分かりづらいが、運転者はスポーツモードを選択する前のモードを覚えておけばCVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードのいずれのモードになっているか容易に認識することができる。そして、再度MODE切り替えSW4が操作されると、スポーツモード以前の変速モードと自動変速制御モードとがSTEP−AT自動変速モードであればCVT自動変速モードに、スポーツモード以前の変速モードと自動変速制御モードとがCVT自動変速モードであればSTEP−AT自動変速モードにする(
図2d)。
【0026】
また、ECU7は、スポーツモード中にMODE切り替えSW4が操作されると、スポーツモード中のMODE切り替えSW4の操作後の自動変速制御モードを記憶する。例えば、スポーツモード以前の変速モードと自動変速制御モードとがSTEP−AT自動変速モードであればMODE切り替えSW4の操作後の自動変速制御モードをCVT自動変速モードとする(
図3c)。そして、ECU7は、運転者によりスポーツモードを解除するようにシフト装置3のシフトレバーが再度操作、即ちスポーツモードが解除されると、CVT2の変速モードを記憶したスポーツモード中のMODE切り替えSW4の操作、即ちMODE切り替えSW4の操作後の自動変速制御モードに基づいてCVT自動変速モードにする(
図3d)スポーツモードからの復帰時の変速モードの切り替え判定制御を実施する。
【0027】
以下、このように構成された本発明の第1実施例に係るECU7における変速モードの切り替え判定制御及びスポーツモードからの復帰時の変速モードの切り替え判定制御に付いて説明する。
図4は、本発明に第1実施例に係る変速機の制御装置における変速モードの切り替え判定制御の制御フローチャートである。また、
図5は、本発明に第1実施例に係る変速機の制御装置におけるスポーツモードからの復帰時の変速モードの切り替え判定制御の制御フローチャートである。
【0028】
まずは、変速モードの切り替え判定制御について説明する。本変速モードの切り替え判定は、IG−SW5のONと共に開始され、CVT2の変速モードによらず常時判定が行われ、IG―SW5のOFFとなると終了する。
図4に示すように、ステップS10では、CVT2の変速モードをCVT自動変速モードにする。詳しくは、自動変速制御モードをCVT自動変速モードとし、変速モードをCVT自動変速モードにする。そして、ステップS12に進む。
【0029】
ステップS12では、MODE切り替えSW4がONされたか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でMODE切り替えSW4がONされれば、ステップS16に進む。判別結果が偽(No)でMODE切り替えSW4がONされなければ、ステップS14に進む。
ステップS14では、IG−SW5がONであるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でIG−SW5がONであれば、ステップS10へ戻る。判別結果が偽(No)でIG−SW5がONでなければ、ステップS22に進む。
【0030】
ステップS16では、CVT2の変速モードをSTEP−AT自動変速モードにする(
図2a及び
図3a)。詳しくは、自動変速制御モードをSTEP−AT自動変速モードとし、変速モードをSTEP−AT自動変速モードにする。また、現在の変速モードがスポーツモードである場合には、STEP−AT自動変速モードを記憶、即ち自動変速制御モードのみをSTEP−AT自動変速モードする。そして、ステップS18に進む。
【0031】
ステップS18では、MODE切り替えSW4がONされたか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でMODE切り替えSW4がONされれば、ステップS10へ戻る。判別結果が偽(No)でMODE切り替えSW4がONされなければ、ステップS20に進む。
ステップS20では、IG−SW5がONであるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でIG−SW5がONであれば、ステップS16へ戻る。判別結果が偽(No)でIG−SW5がONでなければ、ステップS22に進む。
【0032】
ステップS22では、CVT2の変速モードをCVT自動変速モードとする。詳しくは、自動変速制御モードをCVT自動変速モードとし、変速モードをCVT自動変速モードにする。(
図2c及び
図3c)。そして、本ルーチンをリターンする。
このように、変速モードの切り替え判定制御では、CVT2がCVT自動変速モードである時に、運転者によりMODE切り替えSW4が操作されると、CVT2の変速モードをSTEP−AT自動変速モードとし、CVT2がSTEP−AT自動変速モードである時に、運転者によりMODE切り替えSW4が操作されると、CVT2の変速モードをCVT自動変速モードとする。また、CVT2の変速モードがスポーツモードである時には、運転者によりMODE切り替えSW4が操作されると、MODE切り替えSW4の操作MODE切り替えSW4の操作を記憶、即ち、変速モードはスポーツモードを保持し、自動変速制御モードのみを切り替える。
【0033】
次に、スポーツモードからの復帰時の変速モードの切り替え判定制御について説明する。本判定制御は、運転者によりスポーツモードを解除するようにシフト装置3のシフトレバーが操作された時に実行される。
図5に示すように、ステップS30では、変速モードがスポーツモードである時に、運転者によりシフト装置3のシフトレバーが操作されるとスポーツモードをOFFとし、スポーツモードを解除する。そして、ステップS32に進む。
【0034】
ステップS32では、自動変速制御モード状態を読み出す。詳しくは、
図4の変速モードの切り替え判定制御にて設定されている現在の自動変速制御モードを読み出す(例えば、
図3dではCVT自動変速モード)。そして、ステップS34に進む。
ステップS34では、CVT自動変速モードであるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でCVT自動変速モードであれば、ステップS36に進む。判別結果が偽(No)でCVT自動変速モードでなければ、ステップS38に進む。
【0035】
ステップS36では、自動変速制御モードをCVT自動変速モードとし、CVT2の変速モードをCVT自動変速モードとする。そして、本ルーチンをリターンする。
また、ステップS38では、自動変速制御モードをSTEP−AT自動変速モードとし、CVT2の変速モードをSTEP−AT自動変速モードとする。そして、本ルーチンをリターンする。
【0036】
このように、本発明の第1実施例に係る変速機の制御装置によれば、IG−SW5がONとされると、変速モードと自動変速制御モードとをCVT自動変速モードとする。そして、例えば、変速モードと自動変速制御モードとがCVT自動変速モードである時にMODE切り替えSW4が操作されると、変速モードと自動変速制御モードとをSTEP−AT自動変速モードとし(
図2a及び
図3a)、また変速モードと自動変速制御モードとがSTEP−AT自動変速モードである時に、MODE切り替えSW4が再度操作されると変速モードと自動変速制御モードとをCVT自動変速モードとする。また、CVT2の変速モードと自動変速制御モードがCVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードである時に、運転者によりシフト装置3のシフトレバーが操作されると、この時のCVT2の変速モードを記憶し、即ち自動変速制御モードを保持し、CVT2の変速モードをスポーツモードとする(
図2b及び
図3b)。そして、CVT2の変速モードがスポーツモードである時に、運転者によりスポーツモードを解除するようにシフト装置3のシフトレバーが再度操作、即ちスポーツモードが解除されると、スポーツモード中にMODE切り替えSW4の操作がなければ、CVT2の変速モードを記憶、即ち保持したスポーツモード以前の自動変速制御モード(例えば、
図2ではSTEP−AT自動変速モード)にする(
図2c)。そして、再度MODE切り替えSW4が操作されると、スポーツモード以前の変速モードと自動変速制御モードがSTEP−AT自動変速モードであればCVT自動変速モードに、スポーツモード以前の変速モードと自動変速制御モードがCVT自動変速モードであればSTEP−AT自動変速モードにする(
図2d)。
【0037】
また、変速モードがスポーツモード中である時にMODE切り替えSW4が操作されると、MODE切り替えSW4が操作を記憶、即ちMODE切り替えSW4の操作後の自動変速制御モードをCVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードに切り替える(例えば、
図3のようにスポーツモード以前の変速モードと自動変速制御モードがSTEP−AT自動変速モードであれば、自動変速制御モードをCVT自動変速モードに切り替える(
図3c))。そして、運転者によりスポーツモードを解除するようにシフト装置3のシフトレバーが再度操作、即ちスポーツモードが解除されると、CVT2の変速モードを記憶したスポーツモード中のMODE切り替えSW4の操作に基づいた、即ち、MODE切り替えSW4の操作によって切り替えられた自動変速制御モードにする(
図3d)。
【0038】
したがって、スポーツモードが解除されると、スポーツモードである時にMODE切り替えSW4の操作がなければ、変速モードをスポーツモード設定前の自動変速制御モードに切り換えるようにしており、例えば、スポーツモード設定前の変速モードがCVT自動変速モードであれば、スポーツモードが解除されるとスポーツモード設定前の変速モードと同一のCVT自動変速モードに、スポーツモード設定前の変速モードがSTEP−AT自動変速モードであれば、スポーツモードが解除されるとスポーツモード設定前の変速モードと同一のSTEP−AT自動変速モードに変速モードを切り換えることができる。
【0039】
よって、スポーツモードの設定前と解除後とで変速モードを同一とすることができるので、運転者に違和感を与えることなくスポーツモードからCVT自動変速モードとSTEP−AT自動変速モードとのどちらかに復帰したかを認識させることができる。
また、スポーツモードの設定時には、MODE切り替えSW4の操作を記憶、即ちECU7に記憶される自動変速制御モードを切り替え、スポーツモードの選択が解除されると記憶したMODE切り替えSW4の操作に、即ち切り替えられた自動変速制御モードに基づいて、変速モードをCVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードに切り換えるようにしており、例えば、スポーツモードの設定前の変速モードと自動変速制御モードがCVT自動変速モードである時に、運転者によりシフト装置3のシフトレバーが操作され、変速モードがスポーツモードとなった後に、運転者によりMODE切り替えSW4が操作されるとMODE切り替えSW4の操作を記憶、即ちECU7に記憶される自動変速制御モードをSTEP−AT自動変速モードに切り替え、その後にスポーツモードの設定が解除されると、MODE切り替えSW4の操作、即ちECU7に記憶される自動変速制御モードに基づいて変速モードをSTEP−AT自動変速モードにすることができる。また、スポーツモードの設定前の変速モードと自動変速制御モードがSTEP−AT自動変速モードである時に、運転者によりシフト装置3のシフトレバーが操作され、変速モードがスポーツモードとなった後に、運転者によりMODE切り替えSW4が操作されるとMODE切り替えSW4の操作を記憶、即ちECU7に記憶される自動変速制御モードをCVT自動変速モードに切り替え、その後にスポーツモードの設定が解除されると、MODE切り替えSW4の操作、即ちECU7に記憶される自動変速制御モードに基づいて変速モードをCVT自動変速モードにすることができる。
【0040】
したがって、スポーツモードの設定が解除される時、即ちスポーツモードからの復帰時に、運転者によるMODE切り替えSW4の操作に基づいて、運転者の所望する変速モードとすることができるので、運転者に違和感を与えることなくスポーツモードから復帰したことを認識させることができる。
[第2実施例]
以下、本発明の第2実施例に係る変速機の制御装置について説明する。
【0041】
第2実施例では、上記第1実施例に対して、スポーツモードからの復帰時の変速モードの切り替え判定制御において、スポーツモード復帰時の変速モードの決定に車速センサ(車速検出手段)6にて検出される車速による判定を追加している。以下に上記第2実施例に係る変速機の制御装置におけるスポーツモードからの復帰時の変速モードの切り替え判定制御に付いて説明する。
【0042】
図6は、本発明に第2実施例に係る変速機の制御装置におけるスポーツモードからの復帰時の変速モードの切り替え判定制御の制御フローチャートである。本判定制御は、運転者によりスポーツモードを解除するようにシフト装置3のシフトレバーが操作された時に実行される。
図6に示すように、ステップS30では、変速モードがスポーツモードである時に、運転者によりシフト装置3のシフトレバーが操作されるとスポーツモードをOFFとし、スポーツモードを解除する。そして、ステップS32に進む。
【0043】
ステップS32では、自動変速制御モード状態を読み出す。詳しくは、
図4の変速モードの切り替え判定制御にて設定されている現在の自動変速制御モードを読み出す(例えば、
図3dではCVT自動変速モード)。そして、ステップS34に進む。
ステップS34では、CVT自動変速モードであるか、否かを判別する。詳しくは、
図4の変速モードの切り替え判定制御にて設定されている現在の自動変速制御モードがCVT自動変速モードであるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でCVT自動変速モードであれば、ステップS36に進む。判別結果が偽(No)でCVT自動変速モードでなければ、ステップS37に進む。
【0044】
ステップS36では、自動変速制御モードをCVT自動変速モードとし、CVT2の変速モードをCVT自動変速モードとする。そして、本ルーチンをリターンする。
ステップS37では、車速が所定車速(所定速度)以下か、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で車速が所定車速以下であれば、ステップS39に進む。判別結果が偽(No)で車速が所定車速以下でなければ、ステップS38に進む。なお、所定車速は、CVT自動変速モードとすることでエンジンの燃費がSTEP−AT自動変速モードと比べて良好となる低車速に設定される。
【0045】
また、ステップS38では、自動変速制御モードをSTEP−AT自動変速モードとし、CVT2の変速モードをSTEP−AT自動変速モードとする。そして、本ルーチンをリターンする。
ステップS39では、自動変速制御モードをCVT自動変速モードとし、CVT2の変速モードをCVT自動変速モードとする。そして、本ルーチンをリターンする。
【0046】
このように、本発明の第2実施例に係る変速機の制御装置によれば、変速モードがスポーツモード中である時にMODE切り替えSW4が操作され、スポーツモード中のMODE切り替えSW4の操作後の自動変速制御モードがSTEP−AT自動変速モードであれば、車速が所定車速以下であるかを判別し、所定車速以下であればスポーツモード解除後のCVT2の変速モードをCVT自動変速モードにしている。
【0047】
したがって、スポーツモード後の変速モードをCVT自動変速モードとすることで、車両が低車速で走行中であってもエンジンを最良の燃費となる回転速度及び負荷で運転することが可能となり、延いては燃費を向上させることができる。
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の形態はこの実施形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、上記第2実施例では、変速モードがSTEP−AT自動変速モードである時に、車速が所定車速以下であると変速モードCVT自動変速モードにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、変速機(変速段検出手段)よりスポーツモード時のギヤ段情報が出力され、スポーツモードの解除時のギヤ段(変速段)が低車速となる所定ギヤ段(所定変速段)以下である時に、CVT自動変速モードとしてもよく、このようにすることで、同様に車両が低車速で走行中であってもCVT自動変速モードとすることでエンジンを最良の燃費となる回転速度及び負荷で運転することが可能となり、延いては燃費を向上させることができる。
【0049】
また、スポーツモードからの復帰先の自動変速制御モードを、車速やスポーツモード解除時のギヤ段によってCVT自動変速モード或いはSTEP−AT自動変速モードとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、運転者によるCVT自動変速モードとSTEP−AT自動変速モードの使用頻度を記憶して、CVT自動変速モードとSTEP−AT自動変速モードの使用頻度が所定値以上異なる場合に、スポーツモードからの復帰先の自動変速制御モードを使用頻度の多い自動変速制御モードとしてもよい。このようにすることで、運転者が好む自動変速制御モードとすることができる。