(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルポリオール(A1)を必須とする(メタ)アクリロイル基を有しないポリオール成分(A)と、(メタ)アクリロイル基を有し水酸基を2個以上有するポリオール成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)と、を反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)、及び
エポキシ樹脂(E)を含有し、
成分中にイソシアネート基を含まない活性エネルギー線硬化性接着剤。
前記ウレタン樹脂中の前記(メタ)アクリロイル基当量が、500〜40,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性接着剤。
活性エネルギー線硬化性接着剤の固形分を基準として、前記ウレタン樹脂(D)を50〜85重量%、前記エポキシ樹脂(E)を5〜40重量%含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性接着剤。
前記ポリオール成分(B)が、2個以上のエポキシ基を有する化合物のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸が付加した化合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。なお、本明細書及び請求の範囲において、或る化合物について「(メタ)アクリロ」という表記を使用した場合、その化合物は、「(メタ)アクリロ」を「アクリロ」に読み替えた化合物、及び、「(メタ)アクリロ」を「メタクリロ」に読み替えた化合物の何れも含むものとする。また、「(メタ)アクリル」、及び「(メタ)アクリレート」においても同様に定義する。
また、本明細書において「任意の数A〜任意の数B」なる記載は、数Aおよび数Aより大きい範囲であって、数Bおよび数Bより小さい範囲を意味する。また、図中の各部材の比率等は、説明の便宜上のものであり何ら限定されるものではない。
【0014】
本発明の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)(以下、単に「ウレタン樹脂(D)」とも称する)は、数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルポリオール(A1)を必須とする(メタ)アクリロイル基を有しないポリオール成分(A)と、(メタ)アクリロイル基を有し水酸基を2個以上有するポリオール成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)とを反応させて得ることができるものである。
【0015】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤は、上述した(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)及びエポキシ樹脂(E)を含有するものである。
さらに、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池に設けられている太陽電池素子の太陽光の入射面とは反対側の面を保護する太陽電池用裏面保護シートであって、2つ以上のシート状部材の積層体を備えるものである。そして、積層体を構成するシート状部材間の接着の少なくとも一部に、前述の活性エネルギー線硬化性接着剤から形成された活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層が用いられているものである。
【0016】
ウレタン樹脂(D)の数平均分子量(Mn)は、5,000〜150,000であることが好ましく、10,000〜100,000、さらに15,000〜90,000、特に20,000〜85,000であることがより好ましい。数平均分子量を5,000以上とすることにより、耐湿熱性試験時に硬化処理済み接着剤層の凝集力不足を原因とする水蒸気による膨潤を抑制し、シート状部材間の接着力をより良好に保つことができる。また、数平均分子量を150,000以下とすることにより、粘度上昇を抑えて塗工性がより良好となり、さらに活性エネルギー線硬化性接着剤を構成する他の成分との溶解性の悪化を効果的に抑制することができる。そして、活性エネルギー線硬化性接着剤をシート状部材に重ねた際、シート状部材に対する接着剤層の濡れ性を良好に保ち、結果としてシート状部材間の接着力をより効果的に保つことができる。
なお、本明細書の数平均分子量の値は、東ソー社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用い、溶媒としてテトラヒドロフランを用いて、標準ポリスチレン換算した値を示している。
【0017】
ウレタン樹脂(D)は、シート状部材間の接着力と耐湿熱性の両立の点から(メタ)アクリロイル基当量が500〜40,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることがより好ましい。より優れたシート状部材間の接着力と耐湿熱性を両立させる観点からは1,200〜20,000であることがより好ましく、さらに2,000〜10,000、特に2,400〜8,000であることが好ましい。ここで言う(メタ)アクリロイル基当量とは、ウレタン樹脂分子中の(メタ)アクリロイル基1つあたりの数平均分子量である。言い換えると(メタ)アクリロイル基当量とは、ウレタン樹脂(D)の数平均分子量を、ウレタン樹脂(D)の一分子が含んでいる(メタ)アクリロイル基の数の平均値で除することによって得られる値である。
(メタ)アクリロイル基当量を500以上とすることにより、活性エネルギー線硬化時の硬化収縮によるシート状部材間の接着力低下を効果的に抑制できる。また、(メタ)アクリロイル基当量を40,000以下とすることにより、耐湿熱性試験時に硬化処理済み接着剤層の凝集力不足を原因とする水蒸気による膨潤を抑制し、シート状部材間の接着力をより良好に保つことができる。
【0018】
ウレタン樹脂(D)は、水酸基末端、イソシアネート末端、エチレン性不飽和基を含む飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基等とすることができる。ウレタン樹脂(D)中にイソシアネート基を有すると、イソシアネート基が空気中の水分と反応し、粘度が大きくなったり、ゲル化してしまったりする可能性がある。このため、ウレタン樹脂の経時的安定性をより効果的に高める観点からは、末端や側鎖にイソシアネート基を有しないようにすることが好ましい。
ウレタン樹脂(D)の末端を水酸基とするためには、例えば、(メタ)アクリロイル基を有しないポリオール成分(A)と、(メタ)アクリロイル基を有し水酸基を2個以上有するポリオール成分(B)と、ポリイソシアネート成分(C)とを、相対的にイソシアネート基が少ない条件下に反応させればよい。また、相対的にポリオール成分(A)及び(B)中の水酸基の合計がポリイソシアネート成分(C)のイソシアネート基に比して少ない条件下に反応させ、イソシアネート基を有するウレタン樹脂を得、前記イソシアネート基を、例えば水酸基又はアミノ基を1つ有する化合物と反応させることにより、末端を飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基で封止したものを得ることができる。
【0019】
また、ウレタン樹脂(D)は、シート状部材間の接着力、及び耐湿熱性の点からウレタン結合当量が200〜3,000であることが好ましく、250〜2,000であることがより好ましく、さらに300〜1,500、特に350〜1250であることがより好ましい。ここで言うウレタン結合当量とは、ウレタン樹脂(D)一分子中のウレタン結合1つあたりの数平均分子量である。言い換えるとウレタン結合当量とは、ウレタン樹脂(D)の数平均分子量を、ウレタン樹脂(D)の一分子が含んでいるウレタン結合の数の平均値で除することによって得られる値である。
ウレタン結合当量を200以上とすることにより、硬化性接着剤層又は硬化処理済み接着剤層の凝集力を抑え、硬化性接着剤層又は硬化処理済み接着剤層の上層にシート状部材を重ねた際のシート状部材に対する接着剤層の濡れ性を良好とし、接着力を効果的に保つことができる。また、ウレタン結合当量を3,000以下とすることにより、耐湿熱性を良好に保ち、耐湿熱性試験後であってもシート状部材間の接着力低下が生じるのを抑制することができる。なお、「硬化性接着剤層」とは、活性エネルギー線照射前の接着層を指し、「硬化処理済み接着剤層」とは、活性エネルギー線照射後の硬化した接着層を指す。
【0020】
ウレタン結合間の主鎖骨格の原子数は3以上とすることが好ましく、5以上とすることがより好ましい。ウレタン結合間の主鎖骨格の原子数を3以上とすることで、ウレタン結合の凝集によるハードセグメントと、(メタ)アクリロイル基の架橋によるハードセグメントの接着剤皮膜中での距離を適切に保ち、より良好にそれぞれのセグメントで凝集力を発揮させることができる。その結果、耐湿熱性試験時に水蒸気による膨潤を抑制し、シート状部材間の接着力をより良好に保つことができる。
【0021】
ウレタン樹脂(D)の形成に使用される、数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルポリオール(A1)を必須とする(メタ)アクリロイル基を有しないポリオール成分(A)としては、数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルポリオール(A1)を必須とし、それ以外のポリオール(A2)を併用することができる。
【0022】
ウレタン樹脂(D)の形成に使用される、数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルポリオール(A1)としては、公知のポリエーテルポリオールを用いることができる。
ポリエーテルポリオール(A1)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの多価アルコールにアルカリ触媒やカチオン触媒を用いてアルキレンオキシドを開環重合させた水酸基が2個以上のものなどが挙げられる。ポリエーテルポリオール(A1)を合成する材料は、それぞれ独立に単独又は2種以上の組合せを使用することができる。アルキレンオキシドとしては、炭素数3以上のアルキレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、オキセタン、テトラヒドロフランなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せを使用することができる。また、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール,1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの多価アルコールもしくはこれらの混合物を脱水縮合させた水酸基2個以上のものなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せを使用することができる。
中でも、
一般式(1):HO(−R−O)
n−H
(式中Rは側鎖置換基を有していてもよい炭素数3〜8の炭化水素基、nは任意の整数で表わされる。側鎖置換基としては、メチル基やエチル基等が挙げられる)で示されるポリエーテルポリオールが良好な耐湿熱性を有するため好ましく、例えばポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
数平均分子量が500以上のポリエーテルポリオール(A1)を用いることにより、ウレタン結合基当量が小さくなるのを抑制し、硬化性接着剤層又は硬化処理済み接着剤層の凝集力が大きくなりすぎるのを防止できる。その結果、硬化性接着剤層又は硬化処理済み接着剤層にシート状部材を重ねた場合、シート状部材に対する接着剤層の濡れ性が良好となり、シート状部材間の接着力をより良好に保つことができる。また、ポリエーテルポリオール(A1)の数平均分子量を5,000以下とすることにより、凝集力を適切にして、シート状部材間の接着力をより良好に保つことができる。
【0023】
数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルポリオール(A1)以外のポリオール成分(A2)としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールなどのいわゆるプレポリマーや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブチレングリコール、1,9−ナノンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの脂肪族ジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどの脂環構造を有するジオール、ジメチロールブタン酸などのカルボキシル基を有するジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどのポリオールが挙げられる。(A2)成分は単独でも、2種類以上を併用してもよい。脂環構造を有するジオール成分を用いる場合、接着強度の耐湿熱性が優れる反面、初期接着強度(耐湿熱性試験前の接着強度)が低下する傾向にある。従って、要求に応じて、適宜脂環構造を導入することができる。
ポリオール成分(A1)、(A2)を併用する場合、それらの合計量に占める(A1)以外のポリオール成分(A2)の割合は、全ポリオール成分(A)中40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。換言すると、ポリオール成分(A1)の割合は、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。(A1)の割合を60重量%以上とすることにより、ポリエーテルポリオール骨格の接着力に対する効果を良好に保ち、優れた耐湿熱性と優れた接着力とをより効果的に両立することができる。また、(A2)として、低分子ポリオールを使用する場合、(A1)の割合を大きくすることによりウレタン結合当量を大きくし、溶解性悪化を抑制し、硬化性接着剤層又は硬化処理済み接着剤層の凝集力が大きくなるのを抑制することができる。そして、硬化性接着剤層又は硬化処理済み接着剤層にシート状部材を重ねた際、シート状部材に対する接着剤層の濡れ性を良好に保ち、接着力をより効果的に保つことができる。
【0024】
(メタ)アクリロイル基を有するポリオール成分(B)は、水酸基を2個以上有するものである。ポリオール成分(B)を用いることによって、ウレタン樹脂(D)の主鎖の末端のみではなく、側鎖にも(メタ)アクリロイル基を導入することができる。ポリオール成分(A1)、(A2)並びにポリオール成分(B)の組成を制御することによって、(メタ)アクリロイル基の導入量を制御することができる。
ポリオール成分(B)として、(メタ)アクリロイル基を2個以上持つものを用いると、高分子量のウレタン樹脂(D)であっても、(メタ)アクリロイル基を効率的に導入することができる。従って、活性エネルギー線硬化性が向上し、耐湿熱性が向上できるという優れたメリットがある。
【0025】
(メタ)アクリロイル基と2個以上の水酸基とを一分子中に有するポリオール成分(B)としては、2個以上のエポキシ基を有する化合物のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸が付加した化合物(B1)、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられこれらは単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0026】
2個以上のエポキシ基を有する化合物のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸が付加した化合物(B1)としては、例えば、プロピレングリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、エチレングリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、グリセリンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物などが挙げられる。
【0027】
本発明で使用されるポリイソシアネート成分(C)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、あるいは少なくとも一種以上から選択される上記イソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体が挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。耐候性の点から前記ジイソシアネート成分としては、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
【0028】
本発明の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)は、原料を無溶剤下で反応させて製造しても、有機溶剤中で反応させて製造しても良い。
有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物などの各種溶剤を使用することができる。
【0029】
また、本発明のウレタン樹脂(D)の合成時には、必要に応じて触媒を添加することができる。例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7,1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられる。これらは単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
次に本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤は、前述のウレタン樹脂(D)及びエポキシ樹脂(E)を含有するものである。
【0031】
本発明で使用されるエポキシ樹脂(E)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル化合物;テレフタル酸ジグリシジルエステルなどのグリシジルエステル化合物;ダイセル化学工業(株)製のEHPE−3150などの脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂;N,N,N',N'−テトラグリシジルメタキシレンジアミンなどのグリシジルアミン類や、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物との共重合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0032】
樹脂(E)を活性エネルギー線硬化性接着剤に含有させることにより、耐湿熱試験時にウレタン樹脂の分解によって発生した官能基をエポキシ基と反応させることができ、接着剤層の分子量低下を抑制でき、接着力低下を抑えることができる。
【0033】
接着剤層の耐湿熱性と、ウレタン樹脂(D)との相溶性の観点から、エポキシ樹脂(E)としては数平均分子量450〜5,000のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、450〜5,000のビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましく、さらに500〜5,000のビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましく、特に800〜4,000のビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましい。エポキシ樹脂の数平均分子量を450以上とすることにより、接着剤層が柔らかくなって耐湿熱性が得られなくなることを抑制し、より良好な耐湿熱性が得られる。エポキシ樹脂の数平均分子量を5,000以下とすることにより、活性エネルギー線硬化性接着剤の他の成分との相溶性の悪化を抑制し、接着剤が濁りやすくなるのを効果的に防止できる。
【0034】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤は、ウレタン樹脂(D)以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことができる。本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤に含まれるウレタン樹脂(D)以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、比較的低分子量の(メタ)アクリレートモノマーや、或る程度分子量が大きい所謂プレポリマー及びポリマーが挙げられる。
比較的低分子量の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びアクリロイルモルフォリンなどの単官能(メタ)アクリレートモノマー;並びに、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートモノマーを例示することができる。
プレポリマー及びポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエポキシ(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル化マレイン酸変性ポリブタジエンなどの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性プレポリマー又はポリマーを挙げることができる。
これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤には、適宜、光重合開始剤、増感剤、活性エネルギー線硬化性を有しない化合物などを含有させることができる。
【0036】
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を使用することができる。例えば、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフォニルホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノールオリゴマー、イソプロピルチオキサントン、(4−(メチルフェニルチオ)フェニル)フェニルメタン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン等であり、これらは単独でも、2種類以上を併用してもよい。
また、光重合開始剤とともに、増感剤としてn-ブチルアミン、トリエチルアミン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル等の脂肪族アミン、芳香族アミンを併用しても良い。
【0037】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤は、活性エネルギー線硬化性を有しないその他の化合物をさらに含有することができる。活性エネルギー線硬化性を有しない化合物としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂などの樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物などの硬化剤、アルミキレート化合物、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、接着助剤、分散剤、乾燥調整剤、耐摩擦剤等を配合することができる。
【0038】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤は、活性エネルギー線硬化性接着剤の固形分を基準として、ウレタン樹脂(D)を50〜85重量%、エポキシ樹脂(E)を5〜40重量%、ウレタン樹脂(D)以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を0〜30重量%含有することが好ましく、ウレタン樹脂(D)を60〜85重量%、エポキシ樹脂(E)を10〜34重量%、ウレタン樹脂(D)以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を0〜15重量%含有することがより好ましい。
ウレタン樹脂(D)を50重量%以上とすることにより、接着剤層の凝集力の低下を抑制し、接着力および耐湿熱性をより効果的に保つことができる。また、85重量%以下とすることにより、耐湿熱性をより良好に保つことができる。
エポキシ樹脂(E)を5重量%以上とすることにより、耐湿熱性をより良好とし、40重量%以下とすることにより、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)を十分に硬化させ、耐湿熱性や接着力をより良好に保つことができる。
ウレタン樹脂(D)以外の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を30重量%以下とすることにより、硬化時の収縮による接着力低下を効果的に防止することができる。
【0039】
本発明の太陽電池用裏面保護用シートを構成する活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層は、ガラス転移温度が−50℃〜30℃であることが好ましい。換言すると、活性エネルギー線硬化性接着剤は、活性エネルギー線の照射により硬化させた場合に、ガラス転移温度が−50℃〜30℃の硬化処理済み接着剤層を形成し得るものであることが好ましい。さらに−40℃〜25℃であることがより好ましく、−35℃〜20℃であることがより好ましく、さらに−35℃〜10℃、特に−35℃〜5℃が好ましい。
ガラス転移温度を30℃以下とすることにより、硬化性接着剤層又は硬化処理済み接着剤層にシート状部材を重ねた場合、シート状部材に対する接着剤層の濡れ性が乏しくなるのを抑制し、シート状部材間の接着力をより良好に保つことができる。また、ガラス転移温度を−50℃以上とすることにより、接着剤層の凝集力の低下を抑制し、接着力および耐湿熱性をより効果的に保つことができる。
【0040】
次に本発明の太陽電池用裏面保護シートについて説明する。まず、本発明に係る太陽電池モジュールの概略の一例である模式的断面図を
図1に示す。太陽電池モジュール100は、同図に示すように、太陽電池素子である太陽電池セル1、太陽電池用表面保護シート2、受光面側封止材層3、非受光面側封止材層4、太陽電池用裏面保護シート5を備える。太陽電池セル1は、
図1に示すように、太陽電池セル1の受光面側に位置する受光面側封止材層3と、太陽電池セル1の非受光面側に位置する非受光面側封止材層4とに挟持され、封止されている。そして、受光面側封止材層3は、太陽電池用表面保護シート2によって保護され、非受光面側封止材4は、太陽電池用裏面保護シート5によって保護されている。なお、本発明に係る太陽電池モジュールの構成は、
図1の構成に限定されず種々の変形が可能である。
【0041】
太陽電池用裏面保護シート5は、例えば、耐候性、水蒸気バリア性、電気絶縁性、機械特性、実装作業性などの性能を満足させるために、通常、複数層のシート状部材の積層体からなる。
【0042】
図2A〜
図2Fに、本発明に係る太陽電池用裏面保護シート5の例を説明する模式的断面図を示す。
図2Aの太陽電池用裏面保護シート5aは、第1シート状部材11、第2シート状部材12の2層のシート状部材を有する。第1シート状部材11と第2シート状部材12は、活性エネルギー線硬化性接着剤から形成された活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層51(以下、単に「接着剤層51」とも云う)を介して接合されている。第1シート状部材11と第2シート状部材12は、プラスチックフィルム、金属箔、金属層付きプラスチックフィルム、金属酸化物層付きプラスチックフィルム、非金属酸化物層付きプラスチックフィルム、及び窒化珪素層付きプラスチックフィルム等により形成することができる。金属層、金属酸化物層、非金属酸化物層、窒化珪素層は、蒸着等により形成することができる。
【0043】
図2Aの好適な例としては、例えば、第1シート状部材11をプラスチックフィルムにより形成し、第2シート状部材12をアルミニウム等の金属やアルミナ等の金属酸化物や二酸化珪素等の非金属酸化物や窒化珪素等からなる蒸着層22が設けられたプラスチックフィルム21より構成する例が挙げられる。また、
図2Bの太陽電池用裏面保護シート5bのように、第2シート状部材12のアルミナ等の金属酸化物や二酸化珪素等の非金属酸化物等からなる蒸着層22が、接着剤層51側に設けられていてもよい。さらに
図2Cのように、第2シート状部材12としてアルミニウム箔等の金属箔23を用いることもできる。この場合、金属箔23の非受光面側には、白コート層等のコーティング層24を設けることもできる。コーティング層24は、必要に応じて着色とすることができる。
これら
図2A〜2Cの場合、第2シート状部材12が水蒸気バリア層として機能する。無論、第1シート状部材11、第2シート状部材が共にプラスチックフィルム等によって構成されていてもよい。シートを2層積層することによって、太陽電池用裏面保護シートに要求される複数の特性を効果的に満足させることができる。なお、本明細書でいうフィルムは、特に厚みに制限はないものとする。
【0044】
図2Dの太陽電池用裏面保護シート5dは、第1シート状部材11、第2シート状部材12、第3のシート状部材13の3層のシート状部材を有する。第1シート状部材11と第2シート状部材12は、第1接着剤層51を介して接合され、第2シート状部材12と第3シート状部材13は、第2接着剤層52を介して接合されている。
図2Dの好適な例としては、第1シート状部材11〜第3シート状部材13をすべてプラスチックフィルムにより構成する例が挙げられる。また、
図2A,
図2Bのように、金属や金属酸化物や非金属酸化物が蒸着されたプラスチックフィルムがいずれかのシート状部材に採用されていてもよい。また、
図2Cのように、シート状部材自身がアルミニウム箔等の金属箔であってもよい。シートを3層積層することによって、太陽電池用裏面保護シートに要求される複数の特性をより効果的に満たすように設計することができる。
【0045】
図2Eに示す太陽電池用裏面保護シート5eは、第1シート状部材11、第2シート状部材12、第3シート状部材13、第4シート状部材14の4層のシート状部材を有する。第1シート状部材11と第2シート状部材12は、第1接着剤層51を介して接合され、第2シート状部材12と第3シート状部材13は、第2接着剤層52を介して接合され、第3シート状部材13と第4シート状部材14は、第3接着剤層53を介して接合されている。
図2Eの好適な例としては、例えば、第1シート状部材11、第2シート状部材12、第4シート状部材14をプラスチックフィルムにより構成し、第3シート状部材13をアルミニウム箔等の金属箔により構成する例が挙げられる。この場合、第3シート状部材13は、バリア層として機能する。シートを4層積層することによって、太陽電池用裏面保護シートの特性をより優れたものにすることができる。第3シート状部材13は、
図2Fに示す太陽電池用裏面保護シート5fのように、酸化珪素等からなる非金属酸化物層31をプラスチックフィルム32上に蒸着したものを用いてもよい。非金属酸化物層の代わりに金属や金属酸化物層をプラスチックフィルム32上に蒸着したものを用いることもできる。なお、
図2A〜
図2Fの各シート状部材の配置、層数や構成等は一例であって、種々の変形が可能である。
【0046】
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、
ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリスルホン系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、
ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。
これらのプラスチックフィルムを支持体として、アクリル系、フッ素系塗料がコーティングされてなるフィルムや、ポリフッ化ビニリデンやアクリル樹脂などが共押出しにより積層されてなる多層フィルムなどを使用することができる。さらに、ウレタン系接着剤層などを介して上記のプラスチックフィルムが複数積層されたシート状部材を用いても良い。
【0047】
金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔などが挙げられる。
蒸着される金属酸化物もしくは非金属無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物が使用できる。
【0048】
これらの中でも、太陽電池モジュールとして使用する際の耐候性、水蒸気バリア性、電気絶縁性、機械特性、実装作業性などの性能を満たす為に、温度に対する耐性を有する、ポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルムと、太陽電池セルの水の影響による出力低下を防止する為に水蒸気バリア性を有する金属酸化物もしくは非金属無機酸化物が蒸着されたプラスチックフィルムまたはアルミニウム箔などの金属箔と、光劣化による外観不良発生を防止する為に耐候性の良好なフッ素系樹脂フィルムとが積層されてなる太陽電池用裏面保護シートが好ましい。
【0049】
中でも、積層体のシート状部材の組合せとして、太陽光の入射面側から、被受光面側封止材層4と接着性の良好なポリエチレン系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、
若しくはポリエステル系樹脂層やアクリル系樹脂層などを形成したポリエステル系樹脂フィルムを積層し、次いで電気絶縁性の付与を目的として、100μmより厚いポリエステル系樹脂フィルムを積層し、次いで場合によって水蒸気バリア性を有する金属酸化物もしくは非金属無機酸化物が蒸着されたプラスチックフィルムまたはアルミニウム箔などの金属箔を積層し、次いで光劣化による外観不良発生を防止する為に耐候性の良好なフッ素系樹脂フィルム、耐候性樹脂層を形成しても良いポリエステル系樹脂フィルムとが積層されてなる太陽電池用裏面保護シートが好ましい。
【0050】
本発明の太陽電池用裏面保護用シートは、例えば、次のような製造方法で得ることができる。
[1] 任意の一のシート状部材に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗工し、形成された活性エネルギー線硬化性接着剤層に他のシート状部材を重ねた後、一方のシート状部材側から又は両シート状部材側から、活性エネルギー線を照射し、両シート状部材間に活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成したり、あるいは、
[2] 任意の一のシート状部材に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗工し、活性エネルギー線硬化性接着剤層を形成し、該活性エネルギー線硬化性接着剤層側から及び/又はシート状部材側から活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成した後、該活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層に他のシート状部材を積層したり、あるいは、
[3] 任意の一のシート状部材に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗工し、活性エネルギー線硬化性接着剤層を形成し、該活性エネルギー線硬化性接着剤層側から及び/又はシート状部材側から活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成した後、該活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層に、他のシート状部材形成用塗液を塗工し、熱もしくは活性エネルギー線により他のシート状部材を形成したりすることによって、本発明の太陽電池用裏面保護シートを製造することができる。
[3]の方法において用いられる他のシート状部材形成用塗液としては、プラスチックフィルムの形成に使用され得る、ポリエステル系樹脂溶液、ポリエチレン系樹脂溶液、ポリプロピレン系樹脂溶液、ポリ塩化ビニル系樹脂溶液、ポリカーボネート系樹脂溶液、ポリスルホン系樹脂溶液、ポリ(メタ)アクリル系樹脂溶液、フッ素系樹脂溶液等が好ましい例として挙げられる。
【0051】
[1]の方法は、2つのシート状部材で活性エネルギー線硬化性接着剤層を挟んだ状態で活性エネルギー線を照射するので、活性エネルギー線硬化性接着剤がラジカル重合性の場合、硬化の際に酸素阻害を受けにくいという長所を持つ。しかし、その反面、シート状部材を通して活性エネルギー線硬化性接着剤層に活性エネルギー線が照射されることになるので、活性エネルギー線硬化性接着剤がラジカル重合性であるか否かに関わらず、活性エネルギー線をできるだけ減衰させることなく透過し得るシート状部材を使用することが肝要である。
[2]の方法は、[1]の方法とは全く反対の特徴を有する。即ち、酸素阻害を受けやすい状況で活性エネルギー線を照射することになる反面、使用し得るシート状部材の選択肢が広がるという長所を有する。
[3]の方法は、最初の工程で酸素阻害を受けやすい状況で活性エネルギー線を照射することになる反面、形成された接着剤層に他のシート状部材形成用塗液を塗工し、他のシート状部材を形成するので、接着剤層と他のシート状部材との接着力を確保しやすいという長所を有する。
太陽電池用裏面保護シートとして要求される性能、価格、生産性等を勘案して、種々の製造方法を選択したり、さらに組み合わせたりすることができる。
なお、[1]、[2]の場合、硬化性接着剤層又は硬化処理済み接着剤層に他のシート状部材を重ねる際に、加熱及び/又は加圧条件下に重ね合わせることができる。
【0052】
活性エネルギー線硬化性接着剤をシート状部材に塗工する際、塗液を適度な粘度に調整するために、乾燥工程においてシート状部材への影響がない範囲内で溶剤が含まれてもよい。活性エネルギー線硬化性接着剤が溶剤を含む場合には、溶剤を揮散させた後、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性接着剤を硬化させることができる。
溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール等のアルコール類、水等が挙げられる。これら溶剤は単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0053】
本発明において活性エネルギー線硬化性接着剤をシート状部材に塗工する装置としては、コンマコーター、ドライラミネーター、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター等が挙げられる。
【0054】
シート状部材に塗布される接着剤量は、乾燥膜厚で0.1〜50g/m
2程度であることが好ましい。
【0055】
活性エネルギー線硬化性接着剤を硬化させるために照射する活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、γ線、赤外線、可視光線などが挙げられる。
【0056】
≪実施例≫
以下に実施例により本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものでない。なお、実施例中の部および%は、すべて重量部および重量%を示している。
以下に(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂の合成、活性エネルギー線硬化性接着剤、および太陽電池用裏面保護シートの作製方法について示す。
【0057】
実施例1 ((メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂の合成)
重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管、滴下槽を備えた重合反応装置の重合槽に、メチルエチルケトン(MEK)を800.0部、ポリテトラメチレンエーテルグリコールPTMG−2000(三菱化学社製)を857.4部、プロピレングリコールジグリシジルエーテルに2モルのアクリル酸が付加した化合物であるエポキシエステル70PA(共栄社化学社製)を31.2部、触媒としてジブチル錫ジラウレート(DBTDL)を0.5部、ラジカル重合禁止剤としてヒドロキノンを0.3部、酸化防止剤としてIRGANOX 1010(BASF社製)を0.1部仕込み、窒素気流下、攪拌しながら重合槽内の温度を80℃に上げた。80℃になったら、イソホロンジイソシアネート(IPDI)111.4部とMEK200.0部との混合物を滴下槽から、2時間かけて重合槽に滴下した。その後、80℃で4時間反応を続け、赤外分光光度計でイソシアネート基の吸収ピークが完全に消滅したことを確認して反応を終了し、固形分50%の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂D−1を得た。D−1の性状を表1Aに示す。
【0058】
実施例2〜10、実施例101〜103
表1A又は表1Bの組成に従って、合成例1と同様の方法で反応を行い(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂D−2〜D−10、及びウレタン樹脂D−14〜D−16を得た。ウレタン樹脂D−2〜D−10、及びウレタン樹脂D−14〜D−16の性状を表1A又は表1Bに示す。
【0059】
比較例1
重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管、滴下槽を備えた重合反応装置の重合槽に、メチルエチルケトン(MEK)を800.0部、ポリテトラメチレンエーテルグリコールPTMG−2000(三菱化学社製)を907.2部、触媒としてジブチル錫ジラウレート(DBTDL)を0.5部、ラジカル重合禁止剤としてヒドロキノンを0.3部、酸化防止剤としてIRGANOX 1010(BASF社製)を0.1部仕込み、窒素気流下、攪拌しながら重合槽内の温度を80℃に上げた。80℃になったら、イソホロンジイソシアネート(IPDI)92.8部とMEK200.0部との混合物を滴下槽から、2時間かけて重合槽に滴下した。その後、80℃で4時間反応を続け、赤外分光光度計でイソシアネート基の吸収ピークが完全に消滅したことを確認して一次反応を終了した。
次に反応槽にアクリル酸を3.6部と触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミドを1.0部投入し、重合槽内の温度を100℃に上げて反応を続けた。酸価が1.0mgKOH/g以下になるまで反応を続け、1.0mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、固形分50%の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂D−11を得た。ウレタン樹脂D−11の性状を表1Bに示す。
【0060】
比較例2
表1Bの組成に従って、比較例1と同様の方法で反応を行い(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂D−12を得た。ウレタン樹脂D−12の性状を表1Bに示す。
【0061】
比較例3
表1Bの組成に従って、合成例1と同様の方法で反応を行い(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂D−13を得た。ウレタン樹脂D−13の性状を表1Bに示す。
【0062】
表1A、表1B中の各成分の詳細は以下の通りである。
PTMG−3000:三菱化学社製ポリテトラメチレンエーテルグリコール 数平均分子量3,000
PTMG−2000:三菱化学社製ポリテトラメチレンエーテルグリコール 数平均分子量2,000
PTMG−1000:三菱化学社製ポリテトラメチレンエーテルグリコール 数平均分子量1,000
EXCENOL−2020:旭硝子社製ポリプロピレングリコール 数平均分子量2,000
C−1090:クラレ社製、ポリカーボネートジオール 数平均分子量=1,000
MPD:3−メチル−1,5−ペンタンジオール
1,9−ND:1,9−ノナンジオール
CHDM:シクロヘキサンジメタノール
エポキシエステル70AP:共栄社化学社製、プロピレングリコールジグリシジルエーテルに2モルのアクリル酸が付加した化合物
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート
IRGANOX1010:BASF社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤
IPDI:イソホロンジイソシアネート
AA:アクリル酸
TBAB:テトラブチルアンモニウムブロミド
MEK:メチルエチルケトン
【0063】
<Mn、Mw>
Mn、Mwの測定は東ソー社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用い、溶媒はテトラヒドロフランを用いた。MnとMwはポリスチレン換算で行った。
【0065】
実施例11〜20、実施例104〜106、比較例4〜6(活性エネルギー線硬化性接着剤の作製)
上記合成により得られた(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)の樹脂溶液、エポキシ樹脂(E)、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)以外の活性エネルギー線硬化性化合物、光重合開始剤およびその他の成分を表2A又は表2Bに示す重量部に従って配合し、活性エネルギー線硬化性接着剤1〜7、12〜17(以上、実施例11〜20、実施例104〜106)、活性エネルギー線硬化性接着剤8〜10(比較例4〜6)を得た。
【0067】
表2A,表2B中の各成分の詳細は以下の通りである。
エピコート834:エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製) 数平均分子量470エピコート1001:エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製) 数平均分子量900
エピコート1009:エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製) 数平均分子量3,800
M210:EO変性ビスフェノールAジアクリレート(東亞合成社製)
M305:ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成社製)
イルガキュア184:1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルーケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
【0068】
表2A,表2Bに示す各接着剤の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、以下のようにして求めた。厚み約200μmの接着剤硬化物シートを作製し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)を用いて測定し、tanδのピーク値の温度をガラス転移温度とした。
【0069】
なお、接着剤硬化物シートは、シリコーン系離形層を有するポリエステルフィルムにブレードコーターにて接着剤を塗工し、溶剤を乾燥後に、紫外線(120Wメタルハライドランプ、UV−A領域の積算光量500mJ/cm
2)を照射し、活性エネルギー線硬化性接着剤層を形成させ、ポリエステルフィルムを剥離することにより得た。
【0070】
(太陽電池用裏面保護シートの作製方法1〜6)
作製方法1
シート状部材(S1)に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、他のシート状部材(S2)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させた。積層後、他のシート状部材(S1)側から紫外線(120Wメタルハライドランプ、UV−A領域の積算光量500mJ/cm
2)を照射し、活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成させて太陽電池用裏面保護シートを作製した。なお、接着剤層の量は8〜10g/m
2とした。
【0071】
作製方法2
シート状部材(S2)に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面側から紫外線(120W高圧水銀ランプ、UV−A領域の積算光量200mJ/cm
2)を照射し活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成させた。その後、他のシート状部材(S1)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させて積層することにより積層物を作製した。
次に、この積層物のS2側に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面側から紫外線(120W高圧水銀ランプ、UV−A領域の積算光量200mJ/cm
2)を照射し活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成させた。その後、もう一つのシート状部材(S3)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層後、太陽電池用裏面保護シートを作製した。なお、2つの接着剤層の量はいずれも8〜10g/m
2とした。
【0072】
作製方法3
シート状部材(S4)に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面側から紫外線(120W高圧水銀ランプ、UV−A領域の積算光量200mJ/cm
2)を照射し活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成させた。その後、他のシート状部材(S3)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層後、積層物を作製した。
次に、この積層物のS3側に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面側から紫外線(120W高圧水銀ランプ、UV−A領域の積算光量200mJ/cm
2)を照射し活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成させた。その後、もう一つのシート状部材(S2)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層後、積層物を作製した。
次に、この積層物のS2側に活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面側から紫外線(120W高圧水銀ランプ、UV−A領域の積算光量200mJ/cm
2)を照射し活性エネルギー線硬化処理済み接着剤層を形成させた後、もう一つのシート状部材(S1)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層した。その後、太陽電池用裏面保護シートを作製した。なお、2つの接着剤層の量はいずれも8〜10g/m
2とした。
【0073】
作製方法4
シート状部材(S1)に熱硬化性ウレタン系接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、他のシート状部材(S2)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層した。その後、これを60℃の環境にて1週間エージングを行い、太陽電池用裏面保護シートを得た。なお、接着剤層の量は8〜10g/m
2とした。
【0074】
作製方法5
シート状部材(S2)に熱硬化性ウレタン系接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、他のシート状部材(S1)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層物を作製した。
次に、この積層物のS2側に熱硬化性ウレタン系接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、もう一つのシート状部材(S3)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層した。その後、これを60℃の環境にて1週間エージングを行い、太陽電池用裏面保護シートを得た。なお、2つの接着剤層の量はいずれも8〜10g/m
2とした。
【0075】
作製方法6
シート状部材(S4)に熱硬化性ウレタン系接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、他のシート状部材(S3)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層物を作製した。
次にこの積層物のS3側に熱硬化性ウレタン系接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、もう一つのシート状部材(S2)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層物を作製した。
次にこの積層物のS2側に熱硬化性ウレタン系接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、もう一つのシート状部材(S1)を重ねつつ、60℃に設定した2つのロール間を通過させ、積層した。その後、これを60℃の環境にて1週間エージングを行い、太陽電池用裏面保護シートを得た。なお、2つの接着剤層の量はいずれも8〜10g/m
2とした。
【0076】
(実施例21〜33、107〜109、比較例7〜15)
表3A、表3B,表4に示す活性エネルギー線硬化性接着剤と、太陽電池用裏面保護シートの作製方法、シート状部材の組合せで、太陽電池用裏面保護シートを得た。後述する方法に従い、接着性、耐湿熱性、生産性、気泡の有無を評価した。結果を表3A,表3B,表4に示す。なお、実施例21、比較例7、12、16は、
図2Cに示す積層構造の例であり、実施例22、比較例8、13、17は、
図2Dに示す積層構造の例であり、実施例23、25〜33、107〜109、比較例9、11、14、18は、
図2Eに示す積層構造の例であり、実施例24、比較例10、15、19は、
図2Fに示す積層構造の例である。
【0079】
(比較例16〜19)
ポリエステルジオールP−3010(クラレ社製)をイソホロンジイソシアネートと反応させてなる、数平均分子量15,000の水酸基を有するポリウレタンに、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体を固形分比で10:1になるように配合し、さらにエピコート1001を固形分比で30重量%配合し、熱硬化性ウレタン系接着剤11を作製した。これを使用して、表5に示す熱硬化性ウレタン系接着剤と、太陽電池用裏面保護シートの作製方法、シート状部材の組合せで、太陽電池用裏面保護シートを得た。後述する方法に従い、接着性、耐湿熱性、生産性、気泡の有無を評価した。結果を表5に示す。
【0081】
表3A〜表5中のシート状部材(S1〜S4)の略語の意味は以下の通りである。
・PET(250):透明のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ250μm)
・PET(188):透明のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ188μm)
・PET(125):透明のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ125μm)
・PET(50):透明のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)
・蒸着PET(12):ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)の片面に、珪素酸化物とフッ化マグネシウムの比率(モル%)が90/10の混合物を500Å(50nm)の厚さに蒸着したフィルム。
・AL(白コート):アルミニウム箔(厚さ30μm)の片面に10μmの耐候性樹脂層*を設けたもの。
耐候性樹脂層*:オブリガートPS2012(白) 主剤:硬化剤(13:1)(AGCコーテック社製)
・AL(20):アルミニウム箔(厚さ20μm)。
・PVF(30):ポリフッ化ビニルフィルム(厚さ30μm)
・LLDPE(50):ポリエチレンフィルム(厚さ50μm)
・EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂フィルム(厚さ100μm)
【0082】
表3A〜表5中の各評価方法、評価基準は以下の通りである。
(1)接着性
太陽電池用裏面保護シートを200mm×15mmの大きさに切断し、ASTM D1876−61の試験法に準じ、引張り試験機を用いて荷重速度300mm/分でT型剥離試験を行った。各シート状部材間の剥離強度(N/15mm巾)を5個の試験片の平均値で示した。
◎・・・6N以上
○・・・4N以上〜6N未満
△・・・2N以上〜4N未満
×・・・2N未満
【0083】
(2)耐湿熱性
太陽電池用裏面保護シートを85℃、85%RH雰囲気下に1000時間保存した。保存した太陽電池用裏面保護シートを200mm×15mmの大きさに切断し、ASTM D1876−61の試験法に準じ、引張り試験機を用いて荷重速度300mm/分でT型剥離試験を行った。各シート状部材間の剥離強度(N/15mm巾)を5個の試験片の平均値で示した。
◎・・・6N以上
○・・・4N以上〜6N未満
△・・・2N以上〜4N未満
×・・・2N未満
【0084】
(3)生産性
50cm巾、500m長の太陽電池用裏面保護シートのロール状物を作製し、巻芯を天地方向にした状態に立て、外周をつかみ持ち上げた。
○・・・接着したシート内にズレが生じることはなく、ロールの形状も維持できた。
×・・・接着したシート内にズレが生じ、ロールの形状も維持できなかった。
【0085】
(4)気泡、浮きの有無
50cm巾、500m長の太陽電池用裏面保護シートのロール状物を作製し、巻芯を天地方向にした状態に立て、60℃の環境に1週間保存した。
透明なシート状部材を通して接着剤層の状態を観察したり、シート状部材の浮きの有無を観察したりした。
○・・・異常なし
△・・・小さな気泡発生又は小さな浮きが発生。
×・・・大きな気泡発生又は大きな浮きが発生。
【0086】
さらに、以下の付記を開示する。
[付記1]
数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルポリオール(A1)を必須とする(メタ)アクリロイル基を有しないポリオール成分(A)と、
(メタ)アクリロイル基を有し水酸基を2個以上有するポリオール成分(B)と、
ポリイソシアネート成分(C)とを反応させることにより得られる(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
[付記2]
前記数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルポリオール(A1)が、
一般式(1):HO(−R−O)
n−H
(式中Rは、側鎖置換基を有していてもよい炭素数3〜8の炭化水素基、nは任意の整数を示す。)で表されることを特徴とする付記1に記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
[付記3]
数平均分子量が5,000〜150,000であることを特徴とする付記1又は付記2に記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
[付記4]
ウレタン結合当量が、200〜3,000であることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
[付記5]
前記(メタ)アクリロイル基当量が500〜40,000であることを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
[付記6]
前記(メタ)アクリロイル基当量が1,200〜20,000であることを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
[付記7]
末端が、水酸基、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基のいずれかであることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)
[付記8]
ウレタン結合間の主鎖骨格の原子数が3以上であることを特徴とする付記1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
[付記9]
前記ポリオール成分(B)が、(メタ)アクリロイル基を2個以上有することを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
[付記10]
前記ポリオール成分(B)が、2個以上のエポキシ基を有する化合物のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸が付加した化合物であることを特徴とする付記1〜9のいずれかに記載の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン樹脂(D)。
【0087】
この出願は、2010年12月15日に出願された日本出願特願2010−278715を基礎とする優先権、及び2011年10月27日に出願された日本出願特願2011−235723を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。