特許第5849999号(P5849999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5849999
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
   B41J11/70
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-137579(P2013-137579)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-9513(P2015-9513A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2013年12月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年2月13日東京ビックサイトにおいて開催された第47回スーパーマーケット・トレードショーで公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長能 弘明
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−250718(JP,A)
【文献】 特開2007−196444(JP,A)
【文献】 特開2006−335016(JP,A)
【文献】 特開2008−119838(JP,A)
【文献】 特開2004−136650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00 − 11/70
B65H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の用紙を切断して枚葉状のシートを形成するカッタの刃にオイルを塗布するオイル塗布部と、
前記オイル塗布部と前記カッタの刃とを相対的に移動し、前記オイル塗布部を前記カッタの刃に接離する接離機構と、
前記用紙の搬送路を開放する開放機構を開放させる操作のための第2の操作子と、
前記第2の操作子を連動せずに単独で操作することが可能であって、前記接離機構で前記オイル塗布部と、前記カッタの刃と、を接触させる操作のための第1の操作子と
備え、
前記第2の操作子は、前記開放させる操作により、前記第1の操作子による前記接離機構の動作を行わせる関連動作機構を備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記オイル塗布部にオイルを供給するオイル供給部と、
前記オイル供給部を着脱可能に収容する収容部と、
を備え、
前記収容部は前記接離機構に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記オイル塗布部は前記オイル供給部に備えられ、
前記接離機構は、当該印刷装置内で回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記カッタの刃を備えるカッタ部は開放可能に備えられ、
前記カッタ部を開放すると前記オイル塗布部の着脱が可能となることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状に巻かれた長尺なライナーレスラベル(台紙レスラベル)に情報を印刷するラベルプリンタ装置(ライナーレスラベルプリンタ装置)が実用されており、このラベルプリンタ装置では、印刷後のライナーレスラベルを、カッタで枚葉状のシートに切断する。
【0003】
そして、ライナーレスラベルの糊や切断時に発生する紙粉等がカッタの刃に付着しないように、例えば、オイルを含浸したスポンジ等のオイル含浸体を用いて、カッタの刃にオイルを塗布するオイル塗布機構を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−19256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カッタの刃にオイルを塗布する作業は、例えば、ラベルを200枚発行する毎に行うことが好ましいが、ラベルプリンタ装置のユーザがその作業を忘れると、それ以降の、ラベルプリンタ装置の動作に支障を来す不具合を生じる蓋然性があった。
【0006】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、カッタにオイルが塗布される機会を増やし、装置の動作に支障を来すような事態を抑えることができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、印刷部で印刷された長尺の用紙を切断して枚葉状のシートを形成するカッタの刃にオイルを塗布するオイル塗布部と、前記オイル塗布部と前記カッタの刃とを相対的に移動し、前記オイル塗布部を前記カッタの刃に接離する接離機構と、前記用紙の搬送路を開放する開放機構を開放させる操作のための第2の操作子と、前記第2の操作子を連動せずに単独で操作することが可能であって、前記接離機構で前記オイル塗布部と、前記カッタの刃と、を接触させる操作のための第1の操作子と、を備え、前記第2の操作子は、前記開放させる操作により、前記第1の操作子による前記接離機構の動作を行わせる関連動作機構を備えていることを特徴とする印刷装置である。
また、前記オイル塗布部にオイルを供給するオイル供給部と、前記オイル供給部を着脱可能に収容する収容部と、を備え、前記収容部は前記接離機構に設けられていることを特徴とする。
また、前記オイル塗布部は前記オイル供給部に備えられ、前記接離機構は、当該印刷装置内で回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
また、前記カッタの刃を備えるカッタ部は開放可能に備えられ、前記カッタ部を開放すると前記オイル塗布部の着脱が可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、オイルを塗布する操作のみならず、用紙の搬送路を開放する操作を行うと、カッタにオイルが塗布されるので、カッタにオイルを塗布する機会を増やすことができ、装置の動作に支障を来すような事態を抑えることができる。効果の詳細は、後述する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施例に係るラベルプリンタ装置(印刷装置)100の外観を示す概略斜視図である。
図2図2は、ラベルプリンタ装置100の上カバー部110と、ラベルプリンタ装置100の前部に設けたカッタ部130を開いた様子を示す概略斜視図である。
図3図3は、カッタ部130のカッタの刃132にオイルを塗布する塗布部TBと、オイルを収容するタンク部201とを一体化した構成を有するオイルカートリッジ200を、本体筐体120に取り付ける取付構造を説明するための概略分解斜視図である。
図4図4は、カートリッジ収容部250が回動する動作を説明するための概略部分断面図である。
図5図5(a)は、オイルカートリッジ200がカッタの刃132へオイルを塗布する際の動作の様子を例示した概略部分断面図であり、同図(b)は、オイルカートリッジ200がカッタの刃132へ当接してオイルを塗布する部分の一例を示した概略正面図である。
図6図6は、オイル塗布操作子SS3が操作されることにより操作されるオイル塗布リンク部310と、係合解除操作子SS1が操作されることにより操作される係合解除リンク部320の構成例を示した概略分解斜視図である。
図7図7は、オイル塗布リンク部310と係合解除リンク部320との関係を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔実施例〕
図1は、本発明の一実施例に係るラベルプリンタ装置(印刷装置)100の外観を示す概略斜視図であり、図2は、ラベルプリンタ装置100の上カバー部110と、ラベルプリンタ装置100の前部に設けたカッタ部130を開いた様子を示す概略斜視図である。
【0011】
図において、ラベルプリンタ装置100は、上カバー部110が本体筐体120の上部に設けられており、本体筐体120の前面部には、印刷後のロール状のライナレスラベル(図示略)を切断して枚葉状のラベルを形成するためのカッタ部130が設けられている。
上カバー部110は、本体筐体120にその一端が軸支され、本体筐体120との係合を解除して上方に回動させることで、本体筐体120の内部を開放する。
【0012】
本体筐体120の内部には、ロール状に巻かれた感熱紙型のライナーレスラベルを収容する収容部121、この収容部121にライナーレスラベルロール(図示略)を保持するためのラベル保持部122,123、ライナーレスラベルロールからライナーレスラベルを引き出して搬送方向へ送り出す給紙ローラ対の駆動側の給紙ローラ124、ライン状のサーマルヘッド(図示略)の印刷位置でライナーレスラベルを平坦に保持するためのプラテンローラ125、及び、上カバー部110を係合するための係合爪126,127が設けられている。また、図示しないが、本体筐体120には、給紙ローラ124の駆動機構、及び、プラテンローラ125の駆動機構も設けられている。
【0013】
また、上カバー部110の下側(収容部121と対向する側)には、給紙ローラ対の従動側の給紙ローラ111、ライナーレスラベルに印刷情報を印刷するためのライン状のサーマルヘッド112、及び、本体筐体120に設けた係合爪126,127が係合することで本体筐体120に上カバー部110を固定するための係合軸(図示略)が設けられている。
【0014】
また、上カバー部110の上側には、このラベルプリンタ装置100をユーザが操作するための操作部115、及び、ユーザに種々の情報を提供表示するための表示部116が設けられている。
【0015】
また、本体筐体120の側面には、係合爪126,127の近傍に、この係合爪126,127を回動して、係合軸との係合を解除するための操作を行うための係合解除操作子(第2の操作子)SS1,SS2を設けている。また、カッタ部130の近傍に、カッタ部130のカッタの刃(後述)にオイルを塗布する操作を行うためのオイル塗布操作子(第1の操作子)SS3を設けている。さらに、このラベルプリンタ装置100をユーザが持ち運ぶ際に把持するための取手HLを設けている。なお、係合解除操作子SS2は、図示とは反対側の本体筐体120に設けられているので図にはあらわれていない。
【0016】
カッタ部130は、その下端部が本体筐体120に回動自在に取り付けられていて、ライナーレスラベルを外部に出すための通紙部131、カッタの刃(刃体)132、刃132とこの刃132を駆動する駆動機構(図示略)等を収容したカッタ部カバー133、及び、カッタ部カバー133の上端部の両端にそれぞれ設けた係合操作子134,135を有する。また、カッタ部カバー133の表側には、通紙部131を通過したライナーレスラベルを手操作で切断する(ちぎり取る)ためのセレーション部(図示略)が、通紙部131の近傍に形成されている。
【0017】
また、係合操作子134,135は、その一端でカッタ部カバー133に弾発的に取り付けられた板材からなる部材であり、略中央に本体筐体120に対向する突出部(図示せず)が設けられていて、その突出部が、本体筐体120に設けた係合部(図示せず)に突入することで、カッタ部130が本体筐体120に係合される。このように、係合操作子134,135がカッタ部130を本体筐体120に確実に係合しているので、このラベルプリンタ装置100を動作しているときに、カッタ部130が本体筐体120から外れてしまうような事態を生じない。
【0018】
その係合操作子134,135を操作して本体筐体120とカッタ部130との係合を解除し、カッタ部130を用紙搬送方向の下流側(手前側)に倒すと、図2のようにカッタ部130が開放し、後述するオイルカートリッジ200とそれを収容したカートリッジ収容部250とが露出し、オイルカートリッジ200を交換する作業等を行うことができる。
【0019】
図3は、カッタ部130のカッタの刃132にオイルを塗布する塗布部TB(後述)と、オイルを収容するタンク部201(後述)とを一体化した構成を有するオイルカートリッジ200を、本体筐体120に取り付ける取付構造を説明するための概略分解斜視図であり、図4は、カートリッジ収容部250が回動する動作を説明するための概略部分断面図であり、図5(a)は、オイルカートリッジ200がカッタの刃132へオイルを塗布する際の動作の様子を例示した概略部分断面図であり、同図(b)は、オイルカートリッジ200がカッタの刃132へ当接してオイルを塗布する部分の一例を示した概略正面図である。
【0020】
オイルカートリッジ200を、本体筐体120に取り付ける取付構造は、オイルカートリッジ200を収容するカートリッジ収容部250、カートリッジ収容部250の下面に設けた係合軸受け251,252、本体筐体120の下部前端に設け、係合軸受け251,252が係合する係合軸253,254、及び、カートリッジ収容部250を一定の付勢力で所定方向に回動するためのコイルバネ255からなる。
【0021】
図4にも示したように、コイルバネ255は、カートリッジ収容部250の下端部に係合軸受け251,252よりも前方(ライナーレスラベルの搬送方向下流側)に設けた突起256と、本体筐体120の下部前端に、係合軸253,254よりも後方(ライナーレスラベルの搬送方向上流側)に設けた突起257との間に掛けられていて、係合軸253,254を中心として、カートリッジ収容部250を前方に倒す方向に回動する付勢力を発生する。
【0022】
ここで、カートリッジ収容部250の下端部後ろ側に設けた係合部259は、オイル塗布操作子(第1の操作子)SS3により操作されるオイル塗布リンク部310(後述)のストッパ部STに係合して、図5(a)の実線に示すように、ほぼ直立した状態に保持される。このように、ストッパ部STが係合部259と係合している状態では、コイルバネ255による付勢力が止められており、したがって、カートリッジ収容部250は直立状態を維持する。なお、図5(a)において、カッタの刃132は上下方向に動く可動刃であり、この刃132と共にライナーレスラベルを切断するための固定刃132bが、刃132の上方向に位置している。
【0023】
そして、後述するように、オイル塗布操作子SS3をオイル塗布操作方向(下方向)に操作すると、オイル塗布リンク部310のストッパ部STが係合部259との係合を解除するから、カートリッジ収容部250を前方に回動する方向にコイルバネ255の付勢力が作用し、図5(a)に二点鎖線で示したように、カートリッジ収容部250に収容したオイルカートリッジ200の塗布部TBがカッタ部130の刃132に当接し、それにより、オイルがカッタの刃132に塗布される。
【0024】
このとき、例えば、図5(b)に示すように、塗布位置OBの範囲にわたって塗布部TBが当接し、それにより、この塗布位置OBで刃132にオイルが塗布される。このとき、オイルカートリッジ200の塗布部TBがカッタ部130の刃132に作用する力は、コイルバネ255の付勢力に対応した一定の大きさとなる。
【0025】
また、オイルカートリッジ200のタンク部201の下面には、カートリッジ収容部250の底面に設けた係合孔260,261(261は見えない)に係合してオイルカートリッジ200をカートリッジ収容部250に固定するための取付部(係合爪)202,203が設けられている。取付部202,203の先端には、係合孔260,261とわずかに引っ掛かるように引っ掛かり部が形成されている。そして、取付部202,203の先端がわずかにこの係合孔260,261と引っ掛かることで、取付部202,203が係合孔260,261に対して固定される。そして、取付部202,203を取り外すときは、オイルカートリッジ200の塗布部TBの両側に設けた手がかり部204,205を掴んで強く上側へ引くと、上記引っ掛かりが解除されて取付部202,203が係合孔260,261から外れることで、オイルカートリッジ200を収容部250から取り外すことができ、それにより、オイルカートリッジ200を本体筐体120から取り外すことができる。
【0026】
図6は、オイル塗布操作子SS3が操作されることにより操作されるオイル塗布リンク部310と、係合解除操作子SS1が操作されることにより操作される係合解除リンク部320の構成例を示した概略分解斜視図であり、図7は、オイル塗布リンク部310と係合解除リンク部320との関係を示した概略構成図である。
【0027】
図6において、内部ケース330は、給紙ローラ124、プラテンローラ125、及び、給紙ローラ124の駆動機構とプラテンローラ125の駆動機構を組み付けるためのものであり、この内部ケース330の側面外側には、オイル塗布リンク部310と係合解除リンク部320が取り付けられている。なお、係合解除リンク部320と反対側には、係合爪126を有する係合解除リンク部が取り付けられている(図示略)。
【0028】
オイル塗布リンク部310においては、板金材を打ち抜き成形してなるプレートの一部を直角に折り曲げてストッパ部STを形成し、ストッパ部STの下側に、オイル塗布リンク部310を内部ケース330に回動自在に取り付けるための軸310aを設けている。
【0029】
また、軸310aを挟んだストッパ部STと反対側は、前方に突き出るように湾曲した先とがり状に形成され、その先端の突起部310bを、オイル塗布操作子SS1と係合させている。また、突起部310bと反対側で、ストッパ部STよりも上側には、コイルバネ312の一端を取り付けるための係止部310cを設けている。
【0030】
また、このオイル塗布リンク部310に対応し、内部ケース330には、軸310aを挿通するための軸孔部330aが形成されると共に、ストッパ部STの可動範囲に対応して側面をくり抜いて設けた窓部330bが形成されている。この窓部330bを通してストッパ部STが内部ケース330の内側に入り込むことで、ストッパ部STは、カートリッジ収容部250の下端部後ろ側に設けた係合部259と係合する。ここで、軸孔部330aは、ストッパ部STが係合解除リンク部320に設けた脚部320a(後述)に当接可能にするため、内部ケース330の側面から所定距離だけ離れた位置にオイル塗布リンク部310を位置決めするよう、内部ケース330の側面から突出するように形成されている。
【0031】
また、コイルバネ312の他端が、内部ケース330の側面にネジ止めされており、これにより、コイルバネ312は、図7の時計回り方向へ回動する力をオイル塗布リンク部310に作用する。そして、このコイルバネ312と後述するコイルバネ322が作用する力により、突起部310bがオイル塗布操作子SS3を上方向へ押し上げる。
【0032】
そして、このコイルバネ312の付勢力とコイルバネ322(後述)の付勢力との合力でオイル塗布リンク部310が回動することにより、ストッパ部STがカートリッジ収容部250の係合部259に図7の時計回り方向に及ぼす力は、コイルバネ255の付勢力により、カートリッジ収容部250の係合部259がストッパ部STに図7の反時計回り方向に及ぼす力より大きく設定されているので、外力が加えられない状態では、ストッパ部STがカートリッジ収容部250の係合部259を係止して、その位置関係を維持する。
【0033】
ここで、上述した外力とは、例えば、操作員等がオイル塗布操作子SS3をオイル塗布方向(下方向)へ操作することにより、オイル塗布リンク部310の突起部310bを押し下げる方向に作用する力であり、その外力がコイルバネ312の付勢力とコイルバネ322の付勢力との合力よりも大きい場合には(すなわち、オイル塗布操作子SS3を上方向に付勢するコイルバネ312の付勢力とコイルバネ322の付勢力との合力に抗して、操作員等がオイル塗布操作子SS3を下方向へ操作すると)、オイル塗布リンク部310は、図7の反時計回り方向に回動し、それによって、ストッパ部STがカートリッジ収容部250の係合部259から離れるため、カートリッジ収容部250は、コイルバネ255の付勢力によって回動し、カートリッジ収容部250の塗布部TBがカッタ部130のカッタの刃132に当接し、塗布部TBがカッタ部130の刃132にオイルを塗布する。
【0034】
係合解除リンク部320において、その上部には、係合爪127が設けられ、下部には、オイル塗布リンク部310のストッパ部STに当接する脚部320aが設けられており、中央部は、内部ケース330の側面から回動自在に突出している軸部330cが挿通する軸孔320bが形成されている。また、搬送方向の後方側には、係合解除操作子SS1に係合する係合部320dが形成されている。ここで、軸部330cと軸孔320bは、例えばネジ止めにより固定されていて、それにより、軸部330cを中心に、係合解除リンク部320は、回動自在に支持されている。
【0035】
また、脚部320aの近傍には、コイルバネ322の一端が係合する係合部320cが形成されており、このコイルバネ322の他端は、内部ケース330にネジ止めされている。そして、このコイルバネ322の付勢力は、係合解除リンク部320を、図7の反時計回り方向に、すなわち、係合解除リンク部320の係合爪127が上部カバー110に設けた係合軸114に係合する方向に回動する。
そして、上カバー110を開放するために、係合解除操作子SS1,SS2が下方向に操作されると、係合部320dが下方向へ移動するので、軸部330cを中心に、係合解除リンク部材320は、図7の時計回り方向に回動する。
【0036】
また、脚部320aは、その先端で、オイル塗布リンク部310のストッパ部STに当接し、それにより、脚部320aを介して、オイル塗布リンク部310のストッパ部STには、コイルバネ312の付勢力が図7の時計回り方向に作用するので、上述したように、ストッパ部STがカートリッジ収容部250の下端部後ろ側に設けた係合部259の動きを止めると共に、オイル塗布リンク部310の突起部310bによりオイル塗布操作子SS3が上方向に付勢される。
【0037】
ここで、内部ケース330の前端部に設けたスイッチSWaは、カッタ部130に設けた突起(図示略)によりオン動作する物であり、カッタ部130が本体筐体120を閉止していて、カッタ部130がライナーレスラベルを切断可能な状態になっていることを検知するためのセンサ手段の一例である。
【0038】
以上の構成で、操作員がオイルカートリッジ200を本体筐体120に収容する際には、図1の状態から、係合操作子134,135を内側に動かして、カッタ部130と本体筐体120との係合を解除してから、カッタ部13を手前に引き倒すと、カッタ部130が本体筐体120の側端部を開放する。これにより、オイルカートリッジ200を収容するカートリッジ収容部250が露出される。
【0039】
そして、その状態で、操作員がオイル塗布操作子SS3を下方向に操作すると、上述したように、オイル塗布リンク部310のストッパ部STがカートリッジ収容部250の係合部259との係合を解除するので、カートリッジ収容部250が手前側へ回動して開口部を外側へ向けるので、オイルカートリッジ200を受け入れやすい状態になる。
【0040】
そこで、そのままの状態で、操作員は、オイルカートリッジ200をカートリッジ収容部250に挿入し、取付部202,203がカートリッジ収容部250の係合孔260,261に係合するまで押し込むことで、オイルカートリッジ200をカートリッジ収容部250に取り付けることができる。
【0041】
その後、操作員がオイル塗布操作子SS3から手を離し、カッタ部130を元へ戻すと、このラベルプリンタ装置100を使う準備の一部が終了する。他の準備作業は、上カバー110を開いて、収容部121にロール状に巻かれた感熱紙型のライナーレスラベルを収容する作業である。
【0042】
一方、例えば、一定枚数のラベルを発行した後に、表示部116に「カッタにオイルを塗布して下さい」などのガイダンスメッセージが表示される。この表示は、図示しないラベルプリンタ装置100の制御手段により行われる。
【0043】
そこで、操作員が、オイル塗布操作子SS3を下方向へ操作すると、上述したように、オイル塗布リンク部310が図7の反時計回り方向に回動し、オイル塗布リンク部310のストッパ部STがカートリッジ収容部250の係合部259との係合を解除するので、カートリッジ収容部250が回動し、カートリッジ収容部250に収容されているオイルカートリッジ200の塗布部TBが、コイルバネ255の付勢力に対応した一定の力で、カッタ部130のカッタの刃132に当接する。それにより、塗布部TBを形成しているオイル含浸体PPがカッタの刃132に当接し、オイル含浸体PPからカッタの刃132にオイルが移り、カッタの刃132にオイルが塗布される。
【0044】
そして、操作員が、オイル塗布操作子SS3から手を離すと、コイルバネ312の付勢力がオイル塗布リンク部310に作用するので、オイル塗布リンク部310のストッパ部STがカートリッジ収容部250の係合部259に突き当たり、コイルバネ255の付勢力に抗して、カートリッジ収容部250を直立方向に回動して、一定の位置でその姿勢を保持する。
それとともに、オイル塗布リンク部310の突起部310bによりオイル塗布操作子SS3が上方向に付勢される。
【0045】
次に、操作員が、用紙(ライナーレスラベルロール)を交換、または、補給するために上カバー110を開くとき、操作員は、コイルバネ322の付勢力に抗して、係合解除操作子SS1,SS2を下方向へ操作する。それにより、上述したように、係合解除リンク部320が図7の時計回り方向へ回動し、係合爪126,127と係合軸との係合が解除され、それにより、上カバー110が開放する。
【0046】
このように、上カバー110が開放すると、ライナーレスラベルを搬送している給紙ローラ対のニップの形成が解除されると共に、プラテンローラ125とサーマルヘッド112との接触が解除されるので、搬送路上に位置している用紙が開放され、搬送路上に残っている用紙を容易に取り除くことができる。また、収容部121に新たな用紙をセットしたり、あるいは、収容部121に収容されている古い用紙を交換する作業を行うことができる。
【0047】
それとともに、操作員が係合解除操作子SS1,SS2を下方向へ操作すると、係合解除リンク部320の脚部320aが、その先端で、オイル塗布リンク部310のストッパ部STを押すから、オイル塗布リンク部310が図7の反時計回り方向に回動する。
【0048】
それにより、オイル塗布リンク部310のストッパ部STがカートリッジ収容部250の係合部259との係合を解除するので、カートリッジ収容部250が回動し、カートリッジ収容部250に収容されているオイルカートリッジ200の塗布部TBが、コイルバネ255の付勢力に対応した一定の力で、カッタ部130のカッタの刃132に当接し、カッタの刃132にオイルが塗布される。
【0049】
このようにして、本実施例では、操作員がオイル塗布操作子SS3をオイル塗布方向へ操作したときだけでなく、操作員が用紙を交換等するために、操作員が係合解除操作子SS1,SS2を操作したときにも、カッタの刃(可動刃)132にオイルが塗布されるので、カッタの刃132にオイルを塗布する頻度が増え、カッタの刃132に対する保守性が向上する。
【0050】
また、本実施例では、オイルカートリッジ200として、塗布部TBとタンク部201とを一体に形成したものを採用したので、オイルカートリッジ200を交換することで、塗布部TBにオイルを補給する作業を行え、オイル補給の作業性が非常に良好になる。
【0051】
また、本実施例では、オイル補給と塗布部TBの刷新とを同時に行うことができるので、カッタの刃132にオイルを塗布する機構を有するラベルプリンタ装置100の保守作業性が大幅に向上する。
【0052】
ところで、上述した実施例では、カッタ部が手前に開いて本体筐体の一側面を開放する構成を備えているが、カッタ部の構成としては、例えば、左右に開く構成や、上方向にユニットを抜き外すような構成を採用することもできる。
【0053】
また、上述した実施例では、オイルカートリッジを動かし、オイルの塗布部をカッタの刃に接離してオイルを塗布するようにしているが、オイルカートリッジ(オイルの塗布部)を固定し、カッタの刃側をオイルの塗布部に動かすことで、カッタの刃にオイルを塗布するように構成することもできる。すなわち、オイル塗布操作がされると、カッタの刃にオイルを塗布する塗布部と、カッタの刃が相対的に移動することで、オイルの塗布部がカッタの刃にオイルを塗布する機構であれば、本発明に適用することができる。
【0054】
また、上述した実施例では、ロール状の感熱紙型のライナーレスラベルを印刷用紙として用いる印刷装置について、本発明を適用した場合について説明したが、それ以外の引接機構を備えたライナーレスラベル印刷装置についても、本発明を同様にして適用することができる。
【0055】
また、上述した実施例では、オイルの塗布部とオイルを収容したタンク部とを一体に形成したオイルカートリッジを用いているが、塗布部が独立して取り外せる構成など、オイルの塗布機構として、オイルカートリッジ以外の手段を用いたライナーレスラベル印刷装置についても、本発明を同様にして適用することができる。
【0056】
また、以上述べてきた各実施形態の構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、カッタの刃にオイルを塗布する機構を有する印刷装置であれば、印刷機構の種類を問わず、任意の印刷装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
100 ラベルプリンタ装置
110 上カバー部
111,124 給紙ローラ
112 サーマルヘッド
113,114 係合軸
120 本体筐体
125 プラテンローラ
130 カッタ部
132 カッタの刃
134,135 係合操作子
200 オイルカートリッジ
201 タンク部
204,205 手がかり部
250 カートリッジ収容部
255,312,322 コイルバネ
259 係合部
310 オイル塗布リンク部
310a 軸
310b 突起部
310c 係止部
320 係合解除リンク部
320a 脚部
320b 軸孔
320c,320d 係合部
330 内部ケース
PP オイル含浸体
TB 塗布部
SLc スリット(連通部の一部)
ST ストッパ部
SS1,SS2 係合解除操作子
SS3 オイル塗布操作子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7