(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
〈第1実施形態〉
以下、本発明の第1実施形態に係るアクチュエータ駆動装置30について、図面を参照しつつ詳述する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0031】
(1)概要および空調機の構成
図1は、アクチュエータとしての室内ファンモータM22と、この室内ファンモータM22を駆動制御するための本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置30とを含む、アクチュエータ駆動システム100全体の構成を表している。
【0032】
室内ファンモータM22は、空調機10の室内ユニット21(
図2参照)に含まれる機器の1つである室内ファン22の駆動源として用いられるファンモータであって、交流電圧の印加によって駆動する交流モータである。アクチュエータ駆動装置30は、室内ユニット21内に搭載されており、室内ファンモータM22に流れる電流であるモータ電流Imに基づいて該モータM22をベクトル制御(すなわち、交流モータの磁界方向制御:Field Oriented Control)する装置である。
【0033】
ここで、空調機10の構成について、
図2を用いて説明する。空調機10は、主として、屋外に設置される室外ユニット11と、室内の天井や壁面等に設置される室内ユニット21とを有する、セパレートタイプの空調機である。これらのユニット11、21は、冷媒配管Pi1、Pi2によって接続されており、蒸気圧縮式の冷媒回路10aが構成されている。このような空調機10は、冷房運転および暖房運転等を行うことが可能となっている。
【0034】
(1−1)室外ユニット
室外ユニット11は、主として、圧縮機12、四路切換弁13、室外熱交換器14、膨張弁15、液側閉鎖弁16、ガス側閉鎖弁17、および室外ファン18を有している。
【0035】
圧縮機12は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して高圧のガス冷媒とした後に吐出する機構である。ここでは、圧縮機12として、ケーシング(図示せず)内に収容されたロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が、同じくケーシング内に収容された圧縮機モータM12を駆動源として駆動される密閉式圧縮機が採用されており、これにより圧縮機12の容量制御が可能になっている。すなわち、圧縮機12は、容量可変自在なタイプの圧縮機である。圧縮機モータM12は、3相のブラシレスDCモータであって、ステータおよびロータ等を有している。
【0036】
四路切換弁13は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁である。四路切換弁13は、冷房運転時には、圧縮機12の吐出側と室外熱交換器14のガス側とを接続するとともにガス側閉鎖弁17と圧縮機12の吸入側とを接続する(
図2における四路切換弁13の実線を参照)。また、四路切換弁13は、暖房運転時には、圧縮機12の吐出側とガス側閉鎖弁17とを接続するとともに室外熱交換器14のガス側と圧縮機12の吸入側とを接続する(
図2における四路切換弁13の破線を参照)。つまり、四路切換弁13の採り得る接続状態は、空調機10の運転種類に応じて変化する。
【0037】
室外熱交換器14は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。例えば、室外熱交換器14は、複数のフィンと、このフィンに挿入された複数の伝熱管とで構成されており、室外ファン18によって供給された室外空気と伝熱管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。室外熱交換器14は、その液側が膨張弁15に接続されており、ガス側が四路切換弁13に接続されている。
【0038】
膨張弁15は、電動膨張弁で構成されている。膨張弁15は、冷房運転時には、室外熱交換器14において凝縮した高圧の液冷媒を室内熱交換器23(後述)に送る前に減圧する。また、膨張弁15は、暖房運転時には、室内熱交換器23において凝縮した高圧の液冷媒を室外熱交換器14に送る前に減圧する。
【0039】
液側閉鎖弁16およびガス側閉鎖弁17は、外部の機器および配管Pi1、Pi2との接続口に設けられた弁である。室外ユニット11内部において、液側閉鎖弁16は、膨張弁15に接続されている。ガス側閉鎖弁17は、四路切換弁13に接続されている。
【0040】
室外ファン18は、室外空気を室外ユニット11内に吸入して室外熱交換器14に供給した後に、当該空気を該ユニット11の外に排出する。室外ファン18としては、例えばプロペラファンが採用されており、室外ファンモータM18を駆動源として回転駆動される。室外ファンモータM18は、ステータおよびロータを有する3相のブラシレスモータである。
【0041】
その他、室外ユニット11は、冷媒圧力センサ、冷媒温度検知センサ、外気温度検知センサ等の様々なセンサの他、該ユニット11内の各種機器を制御する室外制御部(図示せず)等を有している。
【0042】
(1−2)室内ユニット
室内ユニット21は、主として、室内ファン22および室内熱交換器23を有しており、これらは、該ユニット21のケーシング内部に配置されている。
【0043】
室内ファン22は、室内空気を吸い込み口(図示せず)を介してケーシング内に吸い込むと共に、室内熱交換器23にて熱交換された後の空気を吹き出し口(図示せず)を介してケーシング内から室内に吹き出す遠心送風機である。室内ファン22は、例えばシロッコファンで構成され、室内ファンモータM22を駆動源として回転駆動される。室内ファンモータM22は、アクチュエータ駆動装置30によって駆動制御される。
【0044】
ここで、室内ファンモータM22について、
図1を用いて詳述する。室内ファンモータM22は、他のモータM12、M18と同様、3相のブラシレスDCモータにて構成されており、ステータ22aとロータ22bとを有している。
【0045】
ステータ22aは、スター結線されたU相、V相およびW相の駆動コイルLu、Lv、Lwを含む。各駆動コイルLu、Lv、Lwの一方端は、それぞれインバータ38(後述)から延びるU相、V相およびW相の各配線の駆動コイル端子TU、TV、TWに接続されている。各駆動コイルLu、Lv、Lwの他方端は、互いに端子TNとして接続されている。これら3相の駆動コイルLu、Lv、Lwは、ロータ22bが回転することにより、その回転速度とロータ22bの位置に応じた誘起電圧を発生させる。
【0046】
ロータ22bは、N極およびS極からなる複数極の永久磁石を含み、ステータ22aに対し回転軸を中心として回転する。ロータ22bの回転トルクは、この回転軸と同一軸心上にある出力軸(図示せず)を介して室内ファン22に伝達される。
【0047】
ロータの構造に着目すると、モータの種類には、大きく分けて表面磁石型モータ(Surface Permanent Magnet Motor:以下、SPMモータと記載する)と埋め込み磁石型モータ(Interior Permanent Magnet Motor:以下、IPMモータと記載する)とがある。以下の説明では、室内ファンモータM22として使用されるブラシレスDCモータが、主に一般的なSPMモータである場合を想定することとする。
【0048】
室内熱交換器23は、冷房運転時には、冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には、冷媒の凝縮器として機能する熱交換器である。室内熱交換器23は、各冷媒配管Pi1、Pi2に接続されており、例えば、複数のフィンと、このフィンに挿入された複数の伝熱管とで構成されている。室内熱交換器23は、ケーシング内に吸い込まれた室内の空気と、伝熱管を流れる冷媒との間で、熱交換を行う。
【0049】
その他、室内ユニット21は、図示してはいないが、吹き出し口に設けられた水平フラップ、吸込空気温度センサ等の各種センサ、該ユニット21内の各種機器を制御する室内制御部等を有している。
【0050】
(2)アクチュエータ駆動装置の構成
本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置30は、
図1に示すように、直流電圧生成部31(電源生成部および電流供給部に相当)と、電圧検出部34と、切換部35と、電流検出部36と、駆動電圧生成部37(駆動信号生成部に相当)と、レベルシフタ42と、本体制御用マイクロコンピュータ43(統括制御部に相当)とを備える。
【0051】
アクチュエータ駆動装置30を構成するこれらの機能部は、例えば1枚のプリント基板上に実装されている。
【0052】
(2−1)直流電圧生成部
直流電圧生成部31は、商用電源91から入力される交流電圧Vacを直流電圧Vdcに変換するためのものである。直流電圧生成部31は、主として、整流部32と平滑コンデンサ33とを有する。
【0053】
なお、図示してはいないが、直流電圧生成部31と商用電源91とは、例えば家屋内のコンセントに電源コードによって接続される。
【0054】
(2−1−1)整流部
整流部32は、4つのダイオードD1a、D1b、D2a、D2bによってブリッジ状に構成されている。具体的には、ダイオードD1aとD1b、D2aとD2bは、それぞれ互いに直列に接続されている。ダイオードD1a、D2aの各カソード端子は、共に平滑コンデンサ33のプラス側端子に接続されており、整流部32の正側出力端子として機能する。ダイオードD1b、D2bの各アノード端子同士は平滑コンデンサ33のマイナス側端子に接続されており、整流部32の負側出力端子として機能する。ダイオードD1a、D1b同士の接続点およびダイオードD2a、D2b同士の接続点は、それぞれ商用電源91に接続されている。すなわち、ダイオードD1a、D1b同士の接続点、およびダイオードD2a、D2b同士の接続点は、それぞれ整流部32の入力の役割を担っている。
【0055】
このような構成を有する整流部32は、商用電源91から入力される交流電圧Vacを整流し、これを平滑コンデンサ33に供給する。
【0056】
(2−1−2)平滑コンデンサ
平滑コンデンサ33は、一端が整流部32の正側出力端子に接続され、他端が整流部32の負側出力端子に接続されている。平滑コンデンサ33は、整流部32によって整流された電圧を平滑する。平滑された電圧は、リップルの低い直流電圧Vdcであり、平滑コンデンサ33の後段、すなわち出力側に接続されたインバータ38に印加される。このコンデンサの他端側が、後述する切換部35などの基準電位(以下GNDと略す)となる。
【0057】
なお、コンデンサの種類としては、電解コンデンサやセラミックコンデンサ、タンタルコンデンサ等が挙げられるが、本実施形態においては、平滑コンデンサ33として電解コンデンサが採用される場合を例に採る。
【0058】
(2−2)電圧検出部
電圧検出部34は、平滑コンデンサ33の出力側において、平滑コンデンサ33に並列に接続されている。電圧検出部34は、平滑コンデンサ33の両端電圧、すなわち直流電圧生成部31から供給される電圧である直流電圧Vdcの値を検出する。
【0059】
特に、本実施形態に係る電圧検出部34は、
図3に示すように、例えば互いに直列に接続された2つの抵抗R34a、R34bが平滑コンデンサ33に並列接続され、直流電圧Vdcを分圧する構成を有している。2つの抵抗R34a、R34b同士の接続点の電圧値は、直流電圧Vdcに所定の分圧比をかけた値として、駆動電圧生成部37のセンサレス制御部41(後述)に入力される。なお、所定の分圧比は、互いに直接に接続された各抵抗R34a、R34bの値によって決定される。
【0060】
故に、このような構成を有する電圧検出部34は、直流電圧Vdcに伴う電流が電圧検出部34の内部(具体的には、抵抗R34a、R34b)を流れ、これによって直流電圧Vdcの値を検出することが可能となる。したがって、本実施形態に係る直流電圧生成部31は、電圧検出部34内部に電流を供給するための「電流供給部」とも呼称することができる。
【0061】
(2−3)切換部
切換部35は、電圧検出部34内部への電流の流れを切換えるためのものである。切換部35は、
図1および
図3に示すように、消費電力低減用スイッチ35aと駆動用電源供給部35bとを有する。
【0062】
(2−3−1)消費電力低減用スイッチ
消費電力低減用スイッチ35aは、電圧検出部34に直列に接続されており、平滑コンデンサ33に対しては電圧検出部34と共に並列に接続されている。消費電力低減用スイッチ35aは、例えば半導体スイッチの一種であるMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)で構成されており、電圧検出部34内部に電流が流れるか流れないかを切換えるスイッチの役割を担っている。すなわち、MOSFETは、ゲート端子の電位をソース端子の電位に対してしきい値以上とすることによりオンする。そのため、ゲート端子に適切な電圧を印加することにより、MOSFETで構成された消費電力低減用スイッチ35aは、オンとオフとを切換えるスイッチとして動作することができる。
【0063】
具体的に、消費電力低減用スイッチ35aは、室内ファンモータM22が駆動している駆動モード時には、オンしている。これにより、電圧検出部34内には電流が流れるため、消費電力低減用スイッチ35aは、電圧検出部34に対して直流電圧Vdcの値の検出動作を行わせていると言うことができる。また、消費電力低減用スイッチ35aは、室内ファンモータM22が駆動していない駆動停止モード時には、オフしている。これにより、電圧検出部34内には電流が流れなくなるため、消費電力低減用スイッチ35aは、電圧検出部34に対して直流電圧Vdcの値の検出動作を停止させている、と言うことができる。
【0064】
このように、消費電力低減用スイッチ35aは、室内ファンモータM22の採り得るモードが駆動モードであるのか、それとも駆動停止モードであるのかに応じて、オンまたはオフの状態を採り得る。これにより、電圧検出部34に常時電流が流れることを防止することができるため、消費電力低減用スイッチ35aは、直流電圧Vdcが印加されていれば電流が流れてしまう構成となっている電圧検出部34において、不必要に電力が消費されてしまうのを防ぐための電気部品であると言う事ができる。
【0065】
(2−3−2)駆動用電源供給部
駆動用電源供給部35bは、複数のトランジスタ等によって構成されている。駆動用電源供給部35bの入力は、本体制御用マイクロコンピュータ43およびレベルシフタ42に接続されており、駆動用電源供給部35bの出力は、消費電力低減用スイッチ35aのゲート端子に接続されている。駆動用電源供給部35bは、レベルシフタ42から所定電圧V2(後述)を供給される。駆動用電源供給部35bは、本体制御用マイクロコンピュータ43からの指示に応じて、消費電力低減用スイッチ35aのスイッチ駆動用電源Vswを生成し、これを消費電力低減用スイッチ35aに出力する。したがって、消費電力低減用スイッチ35aがオンおよびオフする動作は、本体制御用マイクロコンピュータ43によって制御されると言える。
【0066】
具体的に、駆動用電源供給部35bは、例えば5Vであるスイッチ駆動用電源Vswを消費電力低減用スイッチ35aに供給することで消費電力低減用スイッチ35aをオンさせ、電圧検出部34内に電流が流れるようにする。駆動用電源供給部35bは、スイッチ駆動用電源Vswの消費電力低減用スイッチ35aへの供給を断つことによって、消費電力低減用スイッチ35aをオフさせて、電圧検出部34内に電流が流れないようにする。
【0067】
なお、消費電力低減用スイッチ35aが、具体的にどのタイミングでオンからオフまたはオフからオンへと切換えられるのかについては、「(3)消費電力低減用スイッチおよび室内ファンモータの動作について」にて説明する。
【0068】
(2−4)電流検出部
電流検出部36は、
図1に示すように、平滑コンデンサ33と駆動電圧生成部37におけるインバータ38との間であって、かつ平滑コンデンサ33の負側出力端子側に接続されている。電流検出部36は、室内ファンモータM22の起動後、室内ファンモータM22に流れるモータ電流Imを検出する。
【0069】
このような電流検出部36は、
図3に示すように、例えばシャント抵抗R36aおよび増幅回路36bによって構成される。シャント抵抗R36aは、平滑コンデンサ33の負側出力端子に接続されているGND配線L1上において、直列に接続されている。増幅回路36bは、シャント抵抗R36aの両端の電圧を所定の倍率で増幅させるためのオペアンプなどからなる回路であって、2つの入力はシャント抵抗R36aの両端に接続されており、1つの出力はセンサレス制御部41に接続されている。室内ファンモータM22を流れる電流(すなわちモータ電流Im)はGND配線L1上を流れるため、電流検出部36は、このモータ電流Imに伴うシャント抵抗R36aの両端電圧を通電状態に応じて検出することによって、モータ電流Imを検出することができる。
【0070】
(2−5)駆動電圧生成部
駆動電圧生成部37は、室内ファンモータM22を駆動するための交流電圧である駆動電圧SU、SV、SW(駆動信号に相当)を、電圧検出部34および電流検出部36の各検出結果Vdc、Im等に基づいて生成し、生成した駆動電圧SU、SV、SWを室内ファンモータM22に出力する。特に、本実施形態に係る駆動電圧生成部37は、電圧検出部34の検出結果である直流電圧Vdcの値等を用いて、ロータ位置センサレス方式に基づく駆動電圧SU、SV、SWを生成する。
【0071】
駆動電圧生成部37は、
図1に示すように、インバータ38(出力部に相当)と、ファン制御用マイクロコンピュータ39(決定部に相当)とによって構成されている。
【0072】
(2−5−1)インバータ
インバータ38は、平滑コンデンサ33の出力側に接続されている。インバータ38は、
図1に示すように、複数の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、単にトランジスタという)Q3a、Q3b、Q4a、Q4b、Q5a、Q5bおよび複数の還流用ダイオードD3a、D3b、D4a、D4b、D5a、D5bを含む。トランジスタQ3aとQ3b、Q4aとQ4b、Q5aとQ5bは、それぞれ互いに直列に接続されている。各ダイオードD3a〜D5bは、トランジスタのコレクタ端子とダイオードのカソード端子とが接続されると共にトランジスタのエミッタ端子とダイオードのアノード端子とが接続されることで、各トランジスタQ3a〜Q5bに対して逆並列に接続されている。
【0073】
インバータ38には、平滑コンデンサ33からの直流電圧Vdcが印加される。そして、インバータ38は、ゲート駆動部40(後述)により指示されたタイミングで各トランジスタQ3a〜Q5bがオンおよびオフを行うことで、所望のデューティを有する駆動電圧SU、SV、SW(駆動信号に相当)を生成する。この駆動電圧SU、SV、SWは、各トランジスタQ3aとQ3b、Q4aとQ4b、Q5aとQ5bの各接続点NU、NV、NWから室内ファンモータM22に出力される。すなわち、インバータ38は、室内ファンモータM22に電力を供給する。
【0074】
(2−5−2)ファン制御用マイクロコンピュータ
ファン制御用マイクロコンピュータ39は、RAM、ROMおよびCPUからなるマイクロコンピュータであって、インバータ38と接続されている。ファン制御用マイクロコンピュータ39は、室内ファンモータM22専用の駆動制御用コンピュータであり、インバータ38が室内ファンモータM22に出力すべき駆動電圧SU、SV、SWを、電圧検出部34の検出結果等を用いて決定する制御を行う。
【0075】
このようなファン制御用マイクロコンピュータ39は、
図1に示すように、主として、ゲート駆動部40およびセンサレス制御部41を有する。
【0076】
(2−5−2−1)ゲート駆動部
ゲート駆動部40は、センサレス制御部41からの電圧指令値Vpwmに基づき、インバータ38の各トランジスタQ3a〜Q5bのオンおよびオフの状態を変化させる。具体的には、ゲート駆動部40は、センサレス制御部41によって決定されたデューティを有する駆動電圧SU、SV、SWがインバータ38から室内ファンモータM22に出力されるように、各トランジスタQ3a〜Q5bのゲートに印加するゲート制御電圧Gu、Gx、Gv、Gy、Gw、Gzを生成する。生成されたゲート制御電圧Gu、Gx、Gv、Gy、Gw、Gzは、それぞれのトランジスタQ3a〜Q5bのゲート端子に印加される。
【0077】
ここで、電圧指令値Vpwmとは、駆動電圧SU、SV、SWに関するパラメータを定めるための指令値である。電圧指令値Vpwmは、電圧検出部34および電流検出部36それぞれによって検出された直流電圧Vdcの値およびモータ電流Imの値の他、後述するq軸電流指令値Vqおよびd軸電流指令値Vdに関連して決定され、センサレス制御部41から出力される。駆動電圧SU、SV、SWに関するパラメータとしては、駆動電圧SU、SV、SWそれぞれのデューティ、周波数、電圧値等が挙げられるが、本実施形態では、電圧指令値Vpwmが駆動電圧SU、SV、SWのデューティを定めるための指令値である場合、つまりはファンモータM22がPWM制御される場合を例に採る。
【0078】
(2−5−2−2)センサレス制御部
センサレス制御部41は、電圧検出部34、電流検出部36、ゲート駆動部40、および本体制御用マイクロコンピュータ43と接続されている。センサレス制御部41は、室内ファンモータM22をセンサレス方式(より具体的には、ロータ位置センサレス方式)にて駆動制御するための機能部である。
【0079】
具体的には、室内ファンモータM22は、まずは、直流励磁方式または強制駆動方式にて起動する。直流励磁方式とは、起動直前の室内ファンモータM22に対して直流通電を行うことで、該モータM22におけるロータ22bの位置を所定位置に一旦固定させ、ロータ22bが固定した状態から室内ファンモータM22の駆動を開始させる方式である。強制駆動方式とは、ロータ22bの位置に関係なく、ある程度の電圧値および周波数を有する駆動電圧SU、SV、SWを室内ファンモータM22に印加する強制通電を行うことで、室内ファンモータM22を強制的に起動させる方式である。
【0080】
そして、センサレス制御部41は、起動後の室内ファンモータM22のロータ22bの位置を推定すると共に、推定したロータ22bの位置に基づいて室内ファンモータM22の回転数を推定する。推定された室内ファンモータM22の回転数は、回転数信号FGとして、本体制御用マイクロコンピュータ43に入力される。更に、センサレス制御部41は、本体制御用マイクロコンピュータ43から回転数指令Vfgを含む運転指令が送られてくると、この運転指令、推定したロータ22bの位置、推定した回転数、電圧検出部34の検出結果および電流検出部36の検出結果を用いて、ロータ位置センサレス方式により各制御タイミングにおける駆動電圧SU、SV、SWのデューティを、電圧指令値Vpwmとして決定していく。
【0081】
ここで、ロータ位置センサレス方式とは、室内ファンモータM22の特性を示す各種パラメータ、直流電圧Vdc(すなわち、電圧検出部34の検出結果)、モータ電流Im(すなわち、電流検出部36の検出結果)、および室内ファンモータM22の制御に関する所定の数式モデル等を用いて、ロータ22bの位置の推定、回転数の推定、回転数に対するPI制御、およびモータ電流Imに対するPI制御等を行う方式である。室内ファンモータM22の特性を示す各種パラメータとしては、使用される室内ファンモータM22の巻線抵抗、インダクタンス成分、誘起電圧、極数などが挙げられる。
【0082】
図4は、上述した制御を行うセンサレス制御部41の構成の一例を簡単に示している。
図4のセンサレス制御部41は、主として、モータモデル演算部41a、ロータ位置推定部41b、回転数推定部41c、LPF41d、回転数制御部41eおよび電流制御部41fにより構成されている。
【0083】
モータモデル演算部41aには、電圧指令値Vpwm、推定したロータ22bの位置、および推定した回転数が入力される。モータモデル演算部41aは、室内ファンモータM22の特性を示す各種パラメータをモータモデルとして用いて、入力された各種情報から、モータ電流Imの理想値を演算する。
【0084】
モータモデル演算部41aによって演算された理想値は、電流検出部36によって検出された実際のモータ電流Imの値との間で減算処理される。ロータ位置推定部41bは、この演算処理の結果が入力されると、当該結果を用いて現時点でのロータ22bの位置を推定する。回転数推定部41cは、推定されたロータ22bの位置を用いて、現時点での室内ファンモータM22の回転数を推定する。各推定部41b、41cにおける推定結果は、モータモデル演算部41aにおいて、モータ電流Imの理想値と実際のモータ電流Imとの差分が“0”となるような補正処理、ならびにモータモデルの補正に用いられる。
【0085】
LPF41dは、推定された回転数からノイズ成分および高調波成分を除去する。LPF41dから出力された室内ファンモータM22の回転数は、波形成形部41gによって所望の回転数信号FGとなり、本体制御用マイクロコンピュータ43に出力される。回転数信号FGは、室内ファンモータM22の回転数に応じた周期を有するパルス信号、または周波数は固定であるが該モータM22の回転数に応じたデューティを有するパルス信号、となっている。
【0086】
また、LPF41dから出力された室内ファンモータM22の回転数は、本体制御用マイクロコンピュータ43から送られてきた運転指令に含まれる回転数指令Vfgとの間で、減算処理が行われる。回転数制御部41eは、この減算処理の結果が入力されると、当該結果を用いて、室内ファンモータM22の回転数に対してPI制御を行う。電流制御部41fは、回転数制御部41eによる制御結果であるq軸電流指令値Vqと、例えばd軸電流指令値Vdが“0”となるような指令“Vd=0”と、電圧検出部34により検出された直流電圧Vdcとに基づいて電流制御を行い、モータ電流Imがこれらの指令に基づいた電流となるような電圧指令値Vpwmを生成する。このような電流制御部41fの制御により、駆動電圧SU、SV、SWのデューティを含む電圧指令値Vpwmが生成され、ゲート駆動部40に入力される。また、電圧指令値Vpwmは、モータモデル演算部41aに入力され、モータモデルの更なる補正に用いられる。
【0087】
ここで、本実施形態では、ロータ22bの永久磁石が作り出す磁束方向をd軸、これよりπ/2進んだ方向をq軸、と定めたdq座標系を用いている。上記「q軸電流指令値Vq」とは、室内ファンモータM22のトルクに寄与するq軸電流の指令値であり、上記「d軸電流指令値Vd」とは、室内ファンモータM22のトルクに寄与しないd軸電流(すなわち、磁束を作る成分である励磁電流)の指令値である。
【0088】
(2−6)レベルシフタ
レベルシフタ42は、
図1に示すように、平滑コンデンサ33に対し並列に接続されており、平滑コンデンサ33の両端電圧(つまりは直流電圧Vdc)が印加される。レベルシフタ42の出力は、ファン制御用マイクロコンピュータ39および本体制御用マイクロコンピュータ43に接続されている。このようなレベルシフタ42は、印加された直流電圧Vdcを、互いに値の異なる2つの所定電圧V1、V2に変換し、変換後の所定電圧V1、V2を電源電圧としてファン制御用マイクロコンピュータ39および本体制御用マイクロコンピュータ43それぞれに印加する。
【0089】
すなわち、レベルシフタ42は、各マイクロコンピュータ39、43の電源として機能する。一例として、直流電圧Vdcが140Vであるとして、レベルシフタ42は、この直流電圧Vdcを3Vの電圧V1と5Vの電圧V2とに変換する。3Vの電圧V1は、本体制御用マイクロコンピュータ43に印加される電源電圧であって、5Vの電圧V2は、ファン制御用マイクロコンピュータ39に印加される電源電圧である。
【0090】
また、レベルシフタ42は、上記と同様に、インバータ38を制御するための制御用電源電圧(例えば15V)を更に変換してもよい。
【0091】
(2−7)本体制御用マイクロコンピュータ
本体制御用マイクロコンピュータ43は、RAM、ROMおよびCPUからなるマイクロコンピュータであって、ファン制御用マイクロコンピュータ39の他に、図示してはいないが、リモートコントローラ、室内制御部、室外制御部等とも接続されている。本体制御用マイクロコンピュータ43は、空調機10に含まれる複数の機器(具体的には、圧縮機12、四路切換弁13、室外ファン18、室内ファン22等)を、統括的に制御する。
【0092】
例えば、本体制御用マイクロコンピュータ43は、リモートコントローラから運転開始の指示がなされた場合には、室外制御部に対し、圧縮機モータM12や室外ファンM18の起動指示を運転開始指示として出力する。また、本体制御用マイクロコンピュータ43は、リモートコントローラから運転開始の指示がなされた場合には、室内制御部に対し、室内ファンモータM22の起動指示を出力する。更に、本体制御用マイクロコンピュータ43は、室内ファンモータM22の回転数を示す回転数信号FGの監視を行ったり、回転数指令Vfgを含む運転指令をセンサレス制御部41に出力したりする。
【0093】
特に、本体制御用マイクロコンピュータ43は、スイッチ駆動用電源Vswの消費電力低減用スイッチ35aへの供給および遮断を駆動用電源供給部35bに行わせることで、以下に説明する消費電力低減用スイッチ35aのオンおよびオフの制御を行う。
【0094】
(3)消費電力低減用スイッチおよび室内ファンモータの動作について
ここで、本実施形態において、消費電力低減用スイッチ35aがオンからオフへと切換えられるタイミング、およびオフからオンへと切換えられるタイミング、室内ファンモータM22の動作等について説明する。
図5は、室内ファンモータM22の採り得るモード、ファン制御用マイクロコンピュータ39に印加される電源電圧V2、室内ファンモータM22の駆動状態、消費電力低減用スイッチ35aの採り得る状態、および電圧検出部34の動作が、時間の経過と共にどのように変化するかを表したタイミングチャートである。
【0095】
図5に示す「駆動モード」の場合、空調機10は運転している状態である。具体的には、室内ファンモータM22に着目すると、「駆動モード」の場合、ファン制御用マイクロコンピュータ39には5Vの電源電圧V2が印加されており、ファン制御用マイクロコンピュータ39は、室内ファンモータM22を駆動制御している状態にある。そのため、室内ファンモータM22は駆動している。そして、駆動用電源供給部35bは、スイッチ駆動用電源Vswを消費電力低減用スイッチ35aに供給している。消費電力低減用スイッチ35aはオンしており、電圧検出部34のGND側に接続される端子とGND配線L1とが繋がれた状態となっている。したがって、電圧検出部34の内部には、平滑コンデンサ33から電圧検出部34内部を介してGND配線L1へと電流が流れている。故に、電圧検出部34は、室内ファンモータM22の駆動制御において必要となる平滑コンデンサ33の両端電圧(つまりは、直流電圧Vdc)の値を検出できている。
【0096】
例えば、図示しないリモートコントローラを介してユーザにより運転停止指示がなされた場合、モードは、「駆動モード」から「駆動停止モード」へと移行し、空調機10は運転を停止する状態となる。「駆動停止モード」は、更なる詳細なモードとして、「待機判断モード」と「待機モード」とを有しているが、運転停止指示がなされてから所定時間までの間は、「待機判断モード」があてられる。「待機判断モード」は、「待機モード」に移行してもよいか否かを判断するためのモードである。一方で、「待機モード」は、例えばレベルシフタ42からファン制御用マイクロコンピュータ39および駆動用電源供給部35bへの電源電圧V2の供給を断っておくことによって、可能な限り空調機10内の各種機器の運転を停止させておくモードである。つまり、「待機モード」では、次に運転指示を受信した際には直ちに各種機器の起動ができるよう、最低限の機器のみを立ち上げた状態(待機状態)としておくことで、空調機10が消費する電力量を可能な限りセーブするモードである。「待機判断モード」から「待機モード」へと移行してよいか否かの判断は、本体制御用マイクロコンピュータ43によって行われる。
【0097】
したがって、運転停止指示がなされることによって、「駆動モード」から「駆動停止モード」における「待機判断モード」へと移行したタイミングにて、先ずは室内ファンモータM22の駆動が停止され、空調機10の運転が停止される。運転停止指示から所定時間が経過したことによって、「待機判断モード」から「待機モードへ」と移行したタイミングにて、本体制御用マイクロコンピュータ43は、消費電力低減用スイッチ35aをオンからオフへと切換える制御を行うと共に、ファン制御用マイクロコンピュータ39および駆動用電源供給部35bへの電源電圧V2の供給を断つべくレベルシフタ42の制御を行う。これにより、運転停止指示がなされてから所定時間経過した時、ファン制御用マイクロコンピュータ39は室内ファンモータM22の制御動作を停止した状態となる。また、駆動用電源供給部35bへの電源電圧V2が断たれることで、消費電力低減用スイッチ35aがオンからオフへと切換えられる。したがって、電圧検出部34からGND配線L1への電流経路が遮断され、電圧検出部34内部には電流が流れなくなり、電圧検出部34は、直流電圧Vdcの値の検出動作を行えない状態となる。
【0098】
一方で、「待機モード」中に、図示しないリモートコントローラを介してユーザにより運転指示がなされたタイミングにて、レベルシフタ42からファン制御用マイクロコンピュータ39および駆動用電源供給部35bへの電源電圧V2の供給が再開される。これにより、室内ファンモータM22の起動動作が開始される。同時に、消費電力低減用スイッチ35aには、スイッチ駆動用電源Vswが供給されるため、消費電力低減用スイッチ35aはオンする。したがって、電圧検出部34からGND配線L1への電流経路が再度形成され、平滑コンデンサ33から電圧検出部34内部を介してGND配線L1へと電流が流れるようになる。故に、電圧検出部34は、平滑コンデンサ33の両端電圧(つまりは、直流電圧Vdc)の値を検出することが可能となる。
【0099】
なお、上記からわかるように、モードの移行の判断は、本体制御用マイクロコンピュータ43が行なっているため、その電源を供給し続ける必要がある。言い換えれば、「待機モード」中においても、本体制御用マイクロコンピュータ43への電源電圧V1の供給が必要である。これに伴い、レベルシフタ42、および、その変換元である直流電圧生成部31も、少なくとも電源電圧V1の供給に関わる部分だけは、「待機モード」中においても、動作し続ける必要がある。
【0100】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置30によると、アクチュエータである室内ファンモータM22が駆動している「駆動モード」時、切換部35の消費電力低減用スイッチ35aはオンすることで、電圧検出部34の内部には電流が流れる。しかし、室内ファンモータM22の駆動が停止している「駆動停止モード」時、消費電力低減用スイッチ35aはオフすることで、電圧検出部34の内部には電流が流れないようになる。したがって、室内ファンモータM22の駆動が停止しているために直流電圧Vdcの検出を行う必要がないにも関わらず、電圧検出部34内に電流が流れていることによって電圧検出部34が直流電圧Vdcの値を検出してしまっており、故に電圧検出部34において電力が消費されてしまっていることを、防止することができる。
【0101】
(4−2)
本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置30では、室内ファンモータM22が駆動を停止してから所定時間が経過した時、切換部35における消費電力低減用スイッチ35aがオフすることで、電圧検出部34内への電流の流れが遮断される。つまり、本実施形態では、電圧検出部34の機能を確実に停止してもよい場合に、電圧検出部34内への電流の流れが遮断され、電圧検出部34による直流電圧Vdcの値の検出動作が停止されるようになる。
【0102】
(4−3)
本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置30では、駆動を停止している室内ファンモータM22が駆動を開始する時、切換部35における消費電力低減用スイッチ35aがオンすることで、電圧検出部34内には電流が流れる。これにより、室内ファンモータM22の駆動時には、電圧検出部34による直流電圧Vdcの値の検出が行われるようになる。したがって、室内ファンモータM22の駆動時には、切換部35(特に、消費電力低減用スイッチ35a)が設けられたことによる影響を受けることなく、室内ファンモータM22は、電圧検出部34の検出結果に基づく駆動電圧SU、SV、SWによって駆動することができる。
【0103】
(4−4)
本実施形態に係る電圧検出部34は、直流電圧生成部31に対して並列に接続されている。切換部35における消費電力低減用スイッチ35aは、電圧検出部34に直列に接続されている。このように、本実施形態に係る切換部35は、簡単な構成であるため、コストがかからずに済む。
【0104】
(4−5)
本実施形態に係る切換部35は、駆動用電源供給部35bによるスイッチ駆動用電源Vswの消費電力低減用スイッチ35aへの供給、もしくはスイッチ駆動用電源Vswの供給遮断により、電圧検出部34内への電流の流れを切換える。つまり、スイッチ駆動用電源Vswを消費電力低減用スイッチ35aに供給するか否かによって、電圧検出部34内への電流の流れが容易に切換えられる。
【0105】
(4−6)
本実施形態では、アクチュエータ駆動装置30の駆動対象が、空調機10に含まれている複数の機器のうち、室内ファン22の駆動源である室内ファンモータM22である。ところで、駆動電圧生成部37には、
図1に示すように、ファン制御用マイクロコンピュータ39とインバータ38とが含まれている。ファン制御用マイクロコンピュータ39は、電圧検出部34の検出結果(つまりは、直流電圧Vdcの値)を用いて駆動電圧SU、SV、SWを決定する制御を行う。インバータ38は、ファン制御用マイクロコンピュータ39により決定された駆動電圧SU、SV、SWを生成して、室内ファンモータM22に出力する。そして、切換部35における消費電力低減用スイッチ35aは、ファン制御用マイクロコンピュータ39とは別に、空調機10に含まれている複数の機器を統括的に制御する本体制御用マイクロコンピュータ43によって、切換制御される。
【0106】
これにより、「駆動停止モード」時、室内ファンモータM22と共にファン制御用マイクロコンピュータ39が機能停止の状態となっていても、消費電力低減用スイッチ35aは、ファン制御用マイクロコンピュータ39とは別に存在する本体制御用マイクロコンピュータ43によって切換制御がなされる。したがって、消費電力低減用スイッチ35aは、確実に切換えられることとなる。
【0107】
(4−7)
ところで、空調機10が運転を停止した後、アクチュエータ駆動装置30は、電圧検出部34の検出結果を用いる必要がなくなる。そこで、切換部35における消費電力低減用スイッチ35aは、空調機10が運転を停止してから所定時間が経過した時にオフすることで、電圧検出部34内への電流の流れを遮断する。これにより、電圧検出部34の機能を確実に停止してもよい場合に、電圧検出部34内への電流の流れが遮断され、電圧検出部34による直流電圧Vdcの値の検出動作が停止されるようになる。
【0108】
(4−8)
ところで、ロータ位置センサレス方式によりモータを駆動する際、直流電圧Vdcの値が必須となるため、電圧検出部34を設ける必要が生じる。本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置30では、室内ファンモータM22をロータ位置センサレス方式にて駆動するため、電圧検出部34を設ける必要が生じている。しかし、本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置30には、更に切換部35も設けられているため、電圧検出部34に常時電流が流れることを、防止することができる。
【0109】
(5)変形例
以上、本発明の実施形態およびその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態およびその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0110】
(5−1)変形例1A
上記実施形態では、
図1に示すように、切換部35が消費電力低減用スイッチ35aと駆動用電源供給部35bとを有する場合について説明した。しかし、
図6に示すように、切換部35は、駆動用電源供給部35bを有さずに、消費電力低減用スイッチ35aのみを有していていもよい。
【0111】
この場合のアクチュエータ駆動装置130の構成を、
図6に示す。
図6に示すように、切換部135を構成する消費電力低減用スイッチ135aのゲート端子は、本体制御用マイクロコンピュータ43と接続されている。消費電力低減用スイッチ135aのゲート端子には、本体制御用マイクロコンピュータ43から送られてくるスイッチ制御信号がスイッチ駆動用電源Vswとして印加される。これにより、消費電力低減用スイッチ135aは、オンおよびオフすることができる。なお、消費電力低減用スイッチ135aがオンおよびオフするタイミングは、上記実施形態にて
図5を用いて説明したタイミングと同じである。
【0112】
なお、
図6は、変形例Aに係るアクチュエータ駆動装置130の構成と、アクチュエータ駆動装置130によって駆動制御される室内ファンモータM22の構成とを表している。アクチュエータ駆動装置130が備える各種機能部のうち、切換部135を除く機能部は、上記実施形態にて
図1を用いて説明した構成と同様である。
【0113】
また同様に、
図1のように切換部35が駆動用電源供給部35bを有していたとしても、スイッチ駆動用電源Vswの供給および供給の遮断に応じて消費電力低減用スイッチ35aがオンおよびオフするのではなく、本体制御用マイクロコンピュータ43から送られてくるスイッチ制御信号の状態に応じて、消費電力低減用スイッチ35aがオンおよびオフしてもよい。
【0114】
(5−2)変形例1B
また、本発明に係るアクチュエータ駆動装置30は、
図1に示すような構成ではなく、
図7に示すアクチュエータ駆動装置230のような構成であってもよい。
【0115】
図7のアクチュエータ駆動装置230では、切換部235は、消費電力低減用スイッチ235aと駆動用電源供給部235bとを有する。消費電力低減用スイッチ235aは、上記実施形態に係る
図1と同様、電圧検出部34に直列に接続されている。駆動用電源供給部235bの制御信号用の入力は、本体制御用マイクロコンピュータ43に接続されている。駆動用電源供給部235bの出力は、消費電力低減用スイッチ235aのゲート端子と、ファン制御用マイクロコンピュータ39とに接続されている。
【0116】
駆動用電源供給部235bは、上記実施形態にて説明したように、本体制御用マイクロコンピュータ43からの指示に基づいて、スイッチ駆動用電源Vswを生成する。更に、駆動用電源供給部235bは、ファン制御用マイクロコンピュータ39を駆動するための電源電圧V3を生成し、これをファン制御用マイクロコンピュータ39に供給する。
【0117】
レベルシフタ242は、本体制御用マイクロコンピュータ43の電源電圧V1を生成し、これを本体制御用マイクロコンピュータ43に供給する。更に、レベルシフタ242は、駆動用電源供給部235bの電源電圧V2を生成して、これを駆動用電源供給部235bに供給する。駆動用電源供給部235bは、電源電圧V2が供給されると、スイッチ駆動用電源Vswおよび電源電圧V3を生成する。なお、電源電圧V3(機能部駆動用電源に相当)は、ファン制御用マイクロコンピュータ39の電源電圧である。
【0118】
すなわち、駆動用電源供給部235bは、消費電力低減用スイッチ235a用の電源のみならず、ファン制御用マイクロコンピュータ39用の電源としても用いられる。モードが「待機判断モード」から「待機モード」へと移行する場合、駆動用電源供給部235bは、スイッチ駆動用電源Vswの供給を断ち、消費電力低減用スイッチ235aをオンからオフへと切換える。また、このタイミングと同時に、駆動用電源供給部235bは、ファン制御用マイクロコンピュータ39への電源電圧V3の供給も断つことが可能である。これにより、「待機モード」時、電圧検出部34にて消費される電力と、ファン制御用マイクロコンピュータ39によって消費される電力との両方を、抑えられることが可能となる。逆に、モードが「待機モード」から「駆動モード」へと移行する場合、駆動用電源供給部235bは、スイッチ駆動用電源Vswの供給および電源電圧V3の供給を開始することができる。
【0119】
また、駆動用電源供給部235bは、スイッチ駆動用電源Vswの供給のタイミングと電源電圧V3の供給を断つタイミングとを、ずらすことも可能である。更に、駆動用電源供給部235bは、スイッチ駆動用電源Vswの供給を遮断するタイミングと、電源電圧V3の供給を遮断するタイミングとを、ずらすことも可能である。
【0120】
まとめると、駆動用電源供給部235bは、スイッチ駆動用電源Vswの供給および供給遮断のみならず、電源電圧V3のファン制御用マイクロコンピュータ39への供給および供給遮断を行う。これにより、駆動用電源供給部235bは、電圧検出部34内への電流の流れの切換のみならず、ファン制御用マイクロコンピュータ39への電流の流れを切換えることができる。
【0121】
また、上述した本変形例Bでは、駆動用電源供給部235bが、消費電力低減用スイッチ235aおよびファン制御用マイクロコンピュータ39の電源として共通に用いられる場合について説明した。しかし、駆動用電源供給部235bは、消費電力低減用スイッチ235aおよびインバータ38の制御用電源として共通に用いられてもよい。また、駆動用電源供給部235bは、消費電力低減用スイッチ235a、インバータ38制御用およびファン制御用マイクロコンピュータ39の電源として、共通に用いられてもよい。
【0122】
(5−3)変形例1C
上記実施形態では、電圧検出部34の検出対象が、直流電圧Vdcの値である場合について説明した。しかし、電圧検出部34の検出対象は、電圧の値であればよい。したがって、電圧検出部34の検出対象は、直流の電圧ではなく、交流の電圧であってもよい。この場合、電圧検出部34は、例えば商用電源91の交流電圧Vacを検出する。その検出値から直流電圧Vdcが推定されることで、アクチュエータ駆動装置30は、前述と同様の制御を行なうことができる。
【0123】
(5−4)変形例1D
上記実施形態にて説明した「待機モード」では、室外ユニット11と、その駆動用電源である商用電源91との間の主電源リレー(図示せず)もオフとすることで、商用電源91から室外ユニット11への交流電圧Vacの供給自体が断たれてもよい。これにより、「待機モード」時に室外ユニット11において消費される電力量を、上記実施形態に比して、より抑えることができる。
【0124】
具体的には、前述のように家屋内のコンセントを介して商用電源91と室内ユニット21とを接続する場合には、室内制御部に設けられた室外ユニット用主電源リレー(図示せず。もしくはスイッチ)を介して室外ユニット11に電源を供給する場合がある。その場合には、「待機モード」中に室外ユニット用主電源リレーをオフにすることで、室外ユニット11への電源の供給を停止できる。その時の空調機10全体における消費電力は、室内ユニット21にて消費された電力分のみとなるため、本願で提案する電圧検出部34の切り換えによる消費電力低減の効果が、より顕著となる。
【0125】
なお、室外ユニット11に供給される電力は、交流に限定されるわけではなく、直流であってもよい。
【0126】
(5−5)変形例1E
上記実施形態では、アクチュエータ駆動装置30が、ロータ位置センサレス方式にて室内ファンモータM22の駆動を制御する場合について説明した。
【0127】
しかし、本発明は、室内ファンモータM22の駆動制御を行うにあたり、平滑コンデンサ33の両端電圧(つまり、直流電圧Vdc)の値を用いて室内ファンモータM22の駆動制御を行うタイプの装置においても適用可能である。したがって、本発明に係るアクチュエータ駆動装置30は、ロータ位置センサレス方式にて室内ファンモータM22を駆動制御するタイプの装置に限定されるのではなく、例えばロータ22bの位置を検出する位置検出センサ(例えば、ホール素子)が搭載されている室内ファンモータM22に対し、該センサの検出結果に基づく制御を行うタイプの装置においても、適用可能である。
【0128】
ロータ位置センサレス制御を行わない場合においても、本発明に係るアクチュエータ駆動装置30は、例えば上記実施形態に係る
図3にて示したように、GND配線L1へと電流が常時流れる電流経路を内部に有する電圧検出部34と、電圧検出部34内における電流の流れを遮断することのできる切換部35とを有している。そのため、ロータ位置センサレス制御を行わない場合においても、不必要に電圧検出部34において電力が消費されてしまうことを、防止することができる。
【0129】
また同様に、アクチュエータ駆動装置30の駆動対象であるモータは、ブラシレスDCモータではなく、インバータで駆動する誘導モータなど、他の種類のモータであってもよい。
【0130】
(5−6)変形例1F
上記実施形態のようにロータ位置センサレス方式が採用される場合、
図4における回転数推定部41cは、室内ファンモータM22の起動開始直後は当該モータM22の回転数を正確に推定することが困難である。
【0131】
そこで、室内ファンモータM22の起動開始直後の回転数を導出するための回転数検出部が、センサレス制御部41とは別途設けられていてもよい。このような回転数検出部としては、例えば室内ファンモータM22の回転に伴い室内ファンモータM22の駆動コイルLu、Lv、Lwに発生する誘起電圧を用いて回転数を導出する方法等が挙げられる。
【0132】
(5−7)変形例1G
上記実施形態では、
図5に示すように、運転停止指示が為された時、運転停止指示を受け付けてから所定時間経過後に、モードが「待機判断モード」から「待機モード」へと移行する場合について説明した。
【0133】
しかし、運転停止指示が為されたタイミングにて、モードが「駆動モード」から直接「待機モード」へと移行すると共に、消費電力低減用スイッチ35aがオンからオフへと切換えられてもよい。すなわち、「駆動モード」から「待機モード」への移行においては、「判断待機モード」が介されずともよい。
【0134】
また、上記実施形態では、運転指示が為されたタイミングにて、モードが「待機モード」から「駆動モード」へと移行し、消費電力低減用スイッチ35aがオフからオンへと切換えられる場合について説明した。
【0135】
しかし、運転指示が為されてから所定時間が経過したタイミングにて、モードが「待機モード」から「駆動モード」へと移行する共に、消費電力低減用スイッチ35aがオフからオンへと切換えられてもよい。
【0136】
(5−8)変形例1H
上記実施形態では、消費電力低減用スイッチ35aは、ファン制御用マイクロコンピュータ39とは別に設けられた本体制御用マイクロコンピュータ43によって、切り替え制御がなされる場合について説明した。しかし、本発明に係る消費電力低減用スイッチは、ファン制御用マイクロコンピュータ39によって切り替え制御が為されてもよい。なお、その場合は、ファン制御用マイクロコンピュータ39へと供給される電源電圧が、スイッチ駆動用電源Vswと共に遮断されることはできない。
【0137】
(5−9)変形例1I
上記実施形態では、
図1、3に示すように、消費電力低減用スイッチ35aが、電圧検出部34に直列に接続されたMOSFETによって構成されている場合について説明した。しかし、本発明に係る消費電力低減用スイッチ35aは、電圧検出部34内の電流の流れを切換えることができるものであれば、どのように接続されており、且つどのような構成であってもよい。したがって、消費電力低減用スイッチ35aの構成は、MOSFETに限定されない。すなわち、消費電力低減用スイッチ35aは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やソリッドステートリレー等の他の半導体スイッチ、電磁リレーであってもよい。
【0138】
(5−10)変形例1J
上記実施形態では、本発明に係るアクチュエータ駆動装置30が、室内ファン22の駆動源である室内ファンモータM22を駆動制御するための装置として用いられる場合について説明した。しかし、アクチュエータ駆動装置30の駆動対象は、室内ファンモータM22に限定されず、電圧検出部34による検出結果に基づいて駆動するタイプのアクチュエータであれば、室外ファンモータM18や圧縮機モータM12、電動膨張弁15であってもよい。
【0139】
更に、アクチュエータ駆動装置30は、空調機10ではなく、給湯器などの他のヒートポンプ装置に含まれる圧縮機モータやポンプ用モータ、室外ファンモータ等の駆動用の装置として用いられてもよい。
【0140】
(5−11)変形例1K
上記実施形態では、電圧指令値Vpwmが、駆動電圧SU、SV、SWのデューティを定めるための指令値である場合、つまりは室内ファンモータM22がPWM制御される場合について説明した。しかし、室内ファンモータM22がPWM制御される場合に限定されず、電圧指令値Vpwmは、駆動電圧SU、SV、SWの周波数および/または電圧値を定めるための指令値であってもよい。
【0141】
(5−12)変形例1L
上記実施形態では、電圧指令値Vpwmを設定することで直接制御対象が電圧である、所謂電圧形インバータを例にとって説明した。しかし、本発明に係るアクチュエータ駆動装置は、電圧検出部34による検出結果に基づいてアクチュエータの駆動制御を行なうのであれば、チョッパやマトリックスコンバータなどであってもよい。
【0142】
(5−13)変形例1M
上記実施形態では、室内ファンモータM22がブラシレスDCモータであって、更に具体的にはSPMモータである場合について説明した。しかし、本発明に係るブラシレスDCモータの種類は、SPMモータに限定されない。
【0143】
(5−14)変形例1N
上記実施形態では、本体制御用マイクロコンピュータ43が、室内ユニット21内に位置している場合について説明した。しかし、本体制御用マイクロコンピュータ43は、室外ユニット11内に位置していてもよい。
【0144】
〈第2実施形態〉
以下、本発明の第2実施形態に係る電源装置300について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0145】
(1)概要
図8は、電源装置300の内部構成を示すブロック図である。電源装置300は、例えば空調機10等に搭載され、圧縮機モータM12やインバータ38などの負荷80に電力を供給するための装置である。具体的には、電源装置300は、商用電源91から入力される交流電圧Vacを直流電圧Vdc1に変換して昇圧し、電源入力力率を改善すると共に負荷80に電力を供給する。
【0146】
(2)電源装置
電源装置300は、入力側において家屋内のコンセント等を介して商用電源91と接続され、出力側において負荷80と接続されている。電源装置300は、主として、直流電圧生成部31、入力電圧検出部44、第1切換部45、電流検出部46、昇圧チョッパ回路47、出力電圧検出部52、第2切換部53、スイッチング素子制御部54、レベルシフタ55、負荷動作状態検出部56および統括制御部57等から構成されている。以下、これらについて説明する。なお、直流電圧生成部31については、アクチュエータ駆動装置30に使用されているものと同一の構成であるため説明を省略する。
【0147】
(2−1)入力電圧検出部
入力電圧検出部44は、直流電圧生成部31と昇圧チョッパ回路47の間において、直流電圧生成部31および昇圧チョッパ回路47と並列に接続されている。入力電圧検出部44は、アクチュエータ駆動装置30の電圧検出部34と同一の態様で構成されており、昇圧チョッパ回路47の入力電圧の値を検出している。この入力電圧検出部44の検出結果はスイッチング素子制御部54へ送られる。
【0148】
このような入力電圧検出部44は、直流電圧生成部31から供給される直流電圧Vdc1に伴う電流が内部を流れることで、昇圧チョッパ回路47の入力電圧の値を検出している。よって、直流電圧生成部31は、入力電圧検出部44に電流を供給するための「電流供給部」ともいえる。
【0149】
(2−2)第1切換部
第1切換部45は、入力電圧検出部44内部への電流の流れを切り換えるためのものである。第1切換部45は、主として、第1消費電力低減用スイッチ(以下、第1スイッチと記載)45aと、第1駆動電源供給部45bと、を有する。
【0150】
(2−2−1)第1スイッチ
第1スイッチ45aは、入力電圧検出部44に直列に接続されており、直流電圧生成部31に対して並列に接続されている。第1スイッチ45aの構成は、アクチュエータ駆動装置30の消費電力低減用スイッチ35aと同一の態様である。第1スイッチ45aは、入力電圧検出部44内部に電流が流れるか流れないかを切換えている。
【0151】
具体的に、第1スイッチ45aは、スイッチング素子制御部54がスイッチング素子50(後述)の制御を実行している時には、オンしている。これにより、入力電圧検出部44内に電流が流れるため、第1スイッチ45aは、入力電圧検出部44に対して昇圧チョッパ回路47の入力電圧の検出動作を行わせていると言うことができる。
【0152】
また、第1スイッチ45aは、スイッチング素子制御部54がスイッチング素子50の制御を停止している時には、オフしている。これにより、入力電圧検出部44内には電流が流れなくなるため、第1スイッチ45aは、入力電圧検出部44に対して昇圧チョッパ回路47の入力電圧の検出動作を停止させている、と言うことができる。
【0153】
このように、第1スイッチ45aは、スイッチング素子制御部54が制御を実行中であるか、停止中あるかに応じて、オンまたはオフの状態を採り得る。これにより、入力電圧検出部44に常時電流が流れることを防止することができるため、第1スイッチ45aは、直流電圧Vdc1が印加されていれば電流が流れてしまう構成となっている入力電圧検出部44において、不必要に電力が消費されてしまうのを防ぐための電気部品であると言う事ができる。
【0154】
(2−2−2)第1駆動電源供給部
第1駆動電源供給部45bは、複数のトランジスタ等によって構成されている。第1駆動電源供給部45bの出力は、第1スイッチ45aのゲート端子に接続されている。
【0155】
第1駆動電源供給部45bは、レベルシフタ55と接続され、レベルシフタ55から所定電圧V4(後述)を供給される。また、第1駆動電源供給部45bは、統括制御部57と接続されており、統括制御部57からの指令を受けて、第1スイッチ45aの第1スイッチ駆動用電源Vsw1を生成して第1スイッチ45aに出力する。したがって、第1スイッチ45aがオンおよびオフする動作は、統括制御部57によって制御されると言える。
【0156】
具体的に、第1駆動電源供給部45bは、例えば5Vである第1スイッチ駆動用電源Vsw1を第1スイッチ45aに供給することで第1スイッチ45aをオンさせ、入力電圧検出部44内に電流が流れるようにする。また、第1駆動電源供給部45bは、第1スイッチ駆動用電源Vsw1の第1スイッチ45aへの供給を断つことによって、第1スイッチ45aをオフさせて、入力電圧検出部44内に電流が流れないようにする。
【0157】
なお、第1スイッチ45aが、具体的にどのタイミングでオンからオフまたはオフからオンへと切換えられるのかについては、「(3)第1スイッチ、第2スイッチおよびスイッチング素子制御部の動作について」にて説明する。
【0158】
(2−3)電流検出部
電流検出部46は、アクチュエータ駆動装置30の電流検出部36と、同一の態様で構成されている。電流検出部46は、平滑コンデンサ33と昇圧チョッパ回路47との間において平滑コンデンサ33の負端子側に接続され、負荷80および昇圧チョッパ回路47に流れる電流を検出している。具体的には、負荷80および昇圧チョッパ回路47を流れる電流はGND配線L1上を流れるため、電流検出部46は、シャント抵抗の両端電圧を通電状態に応じて検出することで、負荷80および昇圧チョッパ回路47に流れる電流を検出する。そして、電流検出部46の検出結果はスイッチング素子制御部54へ送られる。
【0159】
(2−4)昇圧チョッパ回路
昇圧チョッパ回路47は、直流電圧生成部31から供給される直流電圧Vdc1を所定電圧Vdc2に昇圧して、負荷80に出力する。昇圧チョッパ回路47は、入力電圧検出部44と出力電圧検出部52の間において、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52と並列に配設されている。昇圧チョッパ回路47は、主として、昇圧チョークコイル48と、逆阻止ダイオード49と、スイッチング素子50と、平滑コンデンサ51と、を有している。
【0160】
昇圧チョークコイル48は、第1直流電圧生成部31の正端子側に直列に接続されている。逆阻止ダイオード49は、昇圧チョークコイル48の後段において直列に接続されている。スイッチング素子50は、昇圧チョークコイル48と逆阻止ダイオード49の間において、直流電圧生成部31の負端子側に接続される。スイッチング素子50は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やFET(Field Effect Transistor)で構成される。スイッチング素子50は、スイッチング素子制御部54によってオン、オフが切り換えられる。平滑コンデンサ51は、昇圧チョッパ回路47の出力電圧Vdc2を平滑化する。
【0161】
(2−5)出力電圧検出部
出力電圧検出部52は、昇圧チョッパ回路47の後段において、昇圧チョッパ回路47と並列に接続されている。出力電圧検出部52は、アクチュエータ駆動装置30の電圧検出部34と同一の態様で構成されており、昇圧チョッパ回路47の出力電圧Vdc2の値を検出している。そして、出力電圧検出部52の検出結果はスイッチング素子制御部54へ送られる。
【0162】
(2−6)第2切換部
第2切換部53は、出力電圧検出部52内部への電流の流れを切り換えるためのものである。第2切換部53は、主として、第2消費電力低減用スイッチ(以下、第2スイッチと記載)53aと、第2駆動電源供給部53bと、を有する。
【0163】
(2−6−1)第2スイッチ
第2スイッチ53aは、出力電圧検出部52に直列に接続されており、昇圧チョッパ回路47に対して並列に接続されている。第2スイッチ53aの構成は、アクチュエータ駆動装置30の消費電力低減用スイッチ35aと同一の態様である。第2スイッチ53aは、出力電圧検出部52内部に電流が流れるか流れないかを切換えている。
【0164】
具体的に、第2スイッチ53aは、スイッチング素子制御部54がスイッチング素子50の制御を実行している時には、オンしている。これにより、出力電圧検出部52内に電流が流れるため、第2スイッチ53aは、出力電圧検出部52に対して昇圧チョッパ回路47の出力電圧の検出動作を行わせていると言うことができる。
【0165】
また、第2スイッチ53aは、スイッチング素子制御部54がスイッチング素子50の制御を停止している時には、オフしている。これにより、出力電圧検出部52内には電流が流れなくなるため、第2スイッチ53aは、出力電圧検出部52に対して昇圧チョッパ回路47の出力電圧の検出動作を停止させている、と言うことができる。
【0166】
このように、第2スイッチ53aは、スイッチング素子制御部54が制御を実行中であるか、停止中あるかに応じて、オンまたはオフの状態を採り得る。これにより、出力電圧検出部52に常時電流が流れることを防止することができるため、第2スイッチ53aは、出力電圧検出部52において、不必要に電力が消費されてしまうのを防ぐための電気部品であると言う事ができる。
【0167】
(2−6−2)第2駆動電源供給部
第2駆動電源供給部53bは、複数のトランジスタ等によって構成されている。第2駆動電源供給部53bの出力は、第2スイッチ53aのゲート端子に接続されている。
【0168】
第2駆動電源供給部53bは、レベルシフタ55と接続され、レベルシフタ55から所定電圧V5(後述)を供給される。また、第2駆動電源供給部53bは、統括制御部57と接続されており、統括制御部57からの指令を受けて、第2スイッチ53aの第2スイッチ駆動用電源Vsw2を生成して第2スイッチ53aに出力する。したがって、第2スイッチ53aがオンおよびオフする動作は、統括制御部57によって制御されると言える。
【0169】
具体的に、第2駆動電源供給部53bは、例えば5Vである第2スイッチ駆動用電源Vsw2を第2スイッチ53aに供給することで第2スイッチ53aをオンさせ、出力電圧検出部52内に電流が流れるようにする。また、第2駆動電源供給部53bは、第2スイッチ駆動用電源Vsw2の第2スイッチ53aへの供給を断つことによって、第2スイッチ53aをオフさせて、出力電圧検出部52内に電流が流れないようにする。
【0170】
なお、第2スイッチ53aが、具体的にどのタイミングでオンからオフまたはオフからオンへと切換えられるのかについては、「(3)第1スイッチ、第2スイッチおよびスイッチング素子制御部の動作について」にて説明する。
【0171】
(2−7)スイッチング素子制御部
スイッチング素子制御部54は、RAM、ROMおよびCPUからなるマイクロコンピュータであって、スイッチング素子50のオン、オフの切換制御を行っている。
【0172】
具体的には、スイッチング素子制御部54は、入力電圧検出部44、電流検出部46および出力電圧検出部52の検出結果等に応じて、予め保持しているテーブルやプログラムに沿って、スイッチング素子50の切換制御を行う。これにより、スイッチング素子制御部54は、昇圧チョッパ回路47の出力電圧を設定値に昇圧するとともに、電源入力電流における高調波成分を低減して力率を向上させている。
【0173】
このように、スイッチング素子制御部54は、入力電圧検出部44、電流検出部46および出力電圧検出部52の検出結果を利用して制御を実行しているため、スイッチング素子制御部54を「検出結果利用部」ということができる。なお、スイッチング素子制御部54が予め保持しているテーブルやプログラムは公知のものが採用され、適宜更新が可能である。
【0174】
(2−8)レベルシフタ
レベルシフタ55は、平滑コンデンサ33に対し並列に接続されており、平滑コンデンサ33の両端電圧(つまりは直流電圧Vdc1)が印加される。レベルシフタ55の出力は、第1駆動電源供給部45b、第2駆動電源供給部53b、スイッチング素子制御部54および統括制御部57に接続されている。
【0175】
このようなレベルシフタ55は、印加された直流電圧Vdc1を、4つの所定電圧V4、V5、V6およびV7に変換する。そして、変換後の所定電圧V4を第1駆動電源供給部45bに、所定電圧V5を第2駆動電源供給部53bに、それぞれ供給する。また、レベルシフタ55は、所定電圧V6をスイッチング素子制御部54に、所定電圧V7を統括制御部57に、それぞれ供給する。
【0176】
すなわち、レベルシフタ55は、スイッチング素子制御部54および統括制御部57の電源として機能する。一例として、直流電圧Vdc1が140Vであるとして、レベルシフタ55は、直流電圧Vdc1を、5Vの電圧V4、V5およびV6と、3Vの電圧V7と、に変換する。
【0177】
(2−9)負荷動作状態検出部
負荷動作状態検出部56は、負荷80と接続されて負荷80の動作状態を検出している。具体的には、負荷動作状態検出部56は、負荷80が動作をしている状態にある場合にはこれをリアルタイムに検出する。負荷動作状態検出部56は、負荷80が動作をしている場合には、負荷80が動作していることを示す信号を生成して、当該信号を統括制御部57に送信している。
【0178】
(2−10)統括制御部
統括制御部57は、第1切換部45、第2切換部53、スイッチング素子制御部54、およびレベルシフタ55の動作を統括的に制御している。なお、統括制御部57は、負荷80が動作している場合には、負荷動作状態検出部56から負荷80が動作をしている状態にあることを示す信号を受信している。これにより、統括制御部57は、負荷80が、動作をしている状態にあるか、動作を停止している状態にあるか、を検知できる。また、統括制御部57は、タイマ機能を備えており、時間を計測できる。
【0179】
統括制御部57は、スイッチング素子50の制御を行う必要がない場合には、スイッチング素子制御部54の制御を停止させる。例えば、統括制御部57は、負荷80が動作をしている場合にはスイッチング素子制御部54の制御を実行させ、負荷80が動作を停止している場合にはスイッチング素子制御部54の制御を停止させる。
【0180】
また、統括制御部57は、第1スイッチ駆動用電源Vsw1の第1スイッチ45aへの供給および遮断を第1駆動電源供給部45bに行わせることで、第1スイッチ45aのオンおよびオフの制御を行う。また、統括制御部57は、第2スイッチ駆動用電源Vsw2の第2スイッチ53aへの供給および遮断を第2駆動電源供給部53bに行わせることで、第2スイッチ53aのオンおよびオフの制御を行う。
【0181】
すなわち、統括制御部57は、「検出結果利用部」であるスイッチング素子制御部54において入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果が必要な時には、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の内部に電流が流れるように第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aをオンにする制御を行う。また、統括制御部57は、「検出結果利用部」であるスイッチング素子制御部54において入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果が不要な時には、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の内部に電流が流れないように第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aをオフにする制御を行う。
【0182】
(3)第1スイッチ、第2スイッチおよびスイッチング素子制御部の動作について
以下、本実施形態において、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aがオンからオフへと切換えられるタイミング、およびオフからオンへと切換えられるタイミング、スイッチング素子制御部54の動作等について説明する。
図9は、負荷80の動作状態、スイッチング素子制御部54の制御実行状態、スイッチング素子制御部54に印加される電源電圧V6、第1スイッチ駆動用電源Vsw1および第2スイッチ駆動用電源Vsw2、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aの状態、入力電圧検出部44の動作状態、および出力電圧検出部52の動作状態が、時間の経過と共にどのように変化するかを表したタイミングチャートである。
【0183】
負荷80が動作をしている場合、スイッチング素子制御部54には5Vの電源電圧V6が印加されており、スイッチング素子制御部54は、スイッチング素子50の切換えを制御している状態にある。そして、第1駆動電源供給部45bは、第1スイッチ駆動用電源Vsw1を第1スイッチ45aに供給している。また、第2駆動電源供給部53bは、第2スイッチ駆動用電源Vsw2を第2スイッチ53aに供給している。このため、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aはオン状態となっている。この場合、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の内部には、電流が流れており、スイッチング素子50の切換制御において必要となる昇圧チョッパ回路47の入力電圧および出力電圧の値を検出可能な状態である。
【0184】
この状態において、例えば、ユーザにより負荷80の動作を停止させる動作停止指示がなされた場合、負荷80は動作を停止した状態となる。そして、統括制御部57は、負荷80が動作を停止したことを検知し、スイッチング素子制御部54の制御を停止させる指令を送信する。これを受けてスイッチング素子制御部54は、制御を停止する制御停止状態となる。
【0185】
統括制御部57は、スイッチング素子制御部54が制御停止状態となってから所定時間が経過したと判断した場合には、スイッチング素子制御部54へ供給される電源電圧V6、遮断するようにレベルシフタ55に指令を送信する。これにより、スイッチング素子制御部54への電源電圧V6の供給が遮断された状態となる。なお、当該所定時間は、例えば1分程度に設定される。
【0186】
また、これとともに、統括制御部57は、第1スイッチ45aへ供給される第1スイッチ駆動用電源Vsw1、および第2スイッチ53aへ供給される第2スイッチ駆動用電源Vsw2を遮断するように、第1駆動電源供給部45bおよび第2駆動電源供給部53bに指令を送信する。これにより、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aは、オン状態からオフ状態へ切り換わる。よって、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の内部には電流が流れなくなり、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52は、電圧値の検出を行えない検出不可状態となる。
【0187】
次に、このような状態において、ユーザによって負荷80の動作を開始させる動作開始指示がなされると、レベルシフタ55からスイッチング素子制御部54への電源電圧V6の供給が再開される。これにより、スイッチング素子50の制御が開始される。またこれとともに、第1スイッチ45aに第1スイッチ駆動用電源Vsw1が供給され、第2スイッチ53aに第2スイッチ駆動用電源Vsw2が供給される。このため、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aは、オン状態となる。よって、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の内部に電流が流れ、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52は、検出動作をできる検出可能状態となる。
【0188】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係る電源装置300によると、「検出結果利用部」であるスイッチング素子制御部54において、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果が必要な時には、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aをオンすることで、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の内部へ電流が流れる。一方で、スイッチング素子制御部54において、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果が不要な時には、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aをオフすることで、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の内部へ電流が流れない。
【0189】
したがって、スイッチング素子制御部54がスイッチング素子50の切換制御を停止しているために、入力電圧および出力電圧の検出を行う必要がないにも関わらず、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52内に電流が流れることによって無駄な電力が消費されてしまうことを、抑制できる。
【0190】
(4−2)
本実施形態に係る電源装置300によると、スイッチング素子制御部54がスイッチング素子50の制御を停止(すなわち入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果の利用を停止)してから所定時間が経過した時、第1切換部45における第1スイッチ45aおよび第2切換部53における第2スイッチ53aをオフすることで、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52内への電流の流れが遮断される。つまり、本実施形態では、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の機能を確実に停止してもよい場合に、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52内への電流の流れが遮断され、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52による検出が停止されるようになる。
【0191】
(4−3)
本実施形態に係る電源装置300によると、制御を停止(すなわち入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果の利用を停止)しているスイッチング素子制御部54が制御を開始する時、第1切換部45における第1スイッチ45aおよび第2切換部53における第2スイッチ53aをオフすることで、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52内へ電流が流れる。
【0192】
これにより、スイッチング素子制御部54が制御を行う(すなわち入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果を利用する)時には、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52による電圧値の検出が行われるようになる。したがって、スイッチング素子制御部54が制御を行う時には、第1切換部45および第2切換部53(特に、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53a)が設けられたことによる影響を受けることなく、スイッチング素子制御部54は、入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果に基づいて制御を実行することができる。
【0193】
(4−4)
本実施形態に係る電源装置300において入力電圧検出部44および出力電圧検出部52は、直流電圧生成部31に対して並列に接続されている。また、第1切換部45における第1スイッチ45aは、入力電圧検出部44に直列に接続されている。第2切換部53における第2スイッチ53aは、出力電圧検出部52に直列に接続されている。このように、本実施形態に係る第1切換部45および第2切換部53は、簡単な構成であるため、コストがかからずに済む。
【0194】
(4−5)
本実施形態に係る電源装置300において第1切換部45は、第1駆動電源供給部45bによる第1スイッチ駆動用電源Vsw1の第1スイッチ45aへの供給、遮断により、入力電圧検出部44内への電流の流れを切換える。また、第2切換部53は、第2駆動電源供給部53bによる第2スイッチ駆動用電源Vsw2の第2スイッチ53aへの供給、遮断により、出力電圧検出部52内への電流の流れを切換える。つまり、第1スイッチ駆動用電源Vsw1を第1スイッチ45aに供給するか否かによって入力電圧検出部44内への電流の流れが容易に切換えられ、また、第2スイッチ駆動用電源Vsw2を第2スイッチ53aに供給するか否かによって出力電圧検出部52内への電流の流れが容易に切換えられる。
【0195】
(5)変形例
(5−1)変形例2A
上記実施形態では、入力電圧検出部44の検出対象が、直流電圧Vdc1の値である場合について説明した。しかし、入力電圧検出部44の検出対象は、電圧の値であればよい。したがって、入力電圧検出部44の検出対象は、直流の電圧ではなく、交流の電圧であってもよく、例えば商用電源91の交流電圧Vacを検出するようにしてもよい。この場合には、交流電圧Vacから直流電圧Vdcを推定する。
【0196】
(5−2)変形例2B
上記実施形態では、
図9に示すように、ユーザによって負荷80の動作停止指示が為された場合、所定時間が経過してから、電源電圧V6の供給が遮断されるとともに、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aがオンからオフへ切り換えられるように構成されていた。しかし、これに限定されず、ユーザによって負荷80の動作停止指示が為されたタイミングにて、電源電圧V6の供給が遮断されるとともに、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aがオフされるように構成してもよい。
【0197】
また、上記実施形態では、ユーザによって負荷80の動作開始指示が為されたタイミングにて、電源電圧V6が供給されるとともに、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aがオフからオンへと切り換えられるように構成されていた。しかし、これに限定されず、動作開始指示が為されてから所定時間(例えば1分程度)が経過したタイミングにて、電源電圧V6が供給されるとともに、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aがオフからオンへと切り換えられるように構成してもよい。
【0198】
また、上記実施形態では、所定時間は、1分程度に設定されたが、当該数値には限定されず適宜変更が可能である。
【0199】
(5−3)変形例2C
上記実施形態では、第1切換部45が第1スイッチ45aと第1駆動電源供給部45bとを有し、また、第2切換部53が第2スイッチ53aと第2駆動電源供給部53bとを有する場合について説明した。しかし、第1切換部45は、第1駆動電源供給部45bを有さずに第1スイッチ45aのみを有していていもよく、第2切換部53は、第2駆動電源供給部53bを有さずに第2スイッチ53aのみを有していていもよい。
【0200】
この場合、第1スイッチ45aのゲート端子および第2スイッチ53aのゲート端子と、統括制御部57と、を接続して、第1スイッチ45aのゲート端子および第2スイッチ53aのゲート端子に、統括制御部57から送られてくるスイッチ制御信号を第1スイッチ駆動用電源Vsw1または第2スイッチ駆動用電源Vsw2として印加するようにすればよい。これにより、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aは、オンおよびオフすることができる。なお、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aがオンおよびオフするタイミングは、上記実施形態にて
図9を用いて説明したタイミングと同一にすればよい。
【0201】
また同様に、第1切換部45が第1駆動電源供給部45bを有し、また、第2切換部53が第2駆動電源供給部53bを有するとしても、第1スイッチ駆動用電源Vsw1および第2スイッチ駆動用電源Vsw2の供給および遮断に応じて第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aがオンおよびオフするのではなく、統括制御部57から送られてくるスイッチ制御信号の状態に応じて、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aがオンおよびオフするようにしてもよい。
【0202】
(5−4)変形例2D
上記実施形態では、第1駆動電源供給部45bおよび第2駆動電源供給部53bは、統括制御部57からの指示に応じて、第1スイッチ45aまたは第2スイッチ53aへの第1スイッチ駆動用電源Vsw1または第2スイッチ駆動用電源Vsw2の供給、遮断を切り換えていた。しかし、第1駆動電源供給部45bおよび第2駆動電源供給部53bは、自らの判断により、第1スイッチ駆動用電源Vsw1または第2スイッチ駆動用電源Vsw2の供給、遮断を切り換えるように構成してもよい。
【0203】
この場合、第1駆動電源供給部45bおよび第2駆動電源供給部53bは、負荷動作状態検出部56と接続されることで、負荷80が動作をしている状態にあるか否かを検知し、第1スイッチ駆動用電源Vsw1または第2スイッチ駆動用電源Vsw2を、負荷80が動作をしている場合に供給し、負荷80が動作を停止している場合に遮断するようにすればよい。
【0204】
または、第1駆動電源供給部45bおよび第2駆動電源供給部53bは、スイッチング素子制御部54と接続され、スイッチング素子制御部54から制御実行中であることを示す信号を受信することで、スイッチング素子制御部54が入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果を利用している状態であるか否かを検知する。そして、第1駆動電源供給部45bおよび第2駆動電源供給部53bは、第1スイッチ駆動用電源Vsw1または第2スイッチ駆動用電源Vsw2を、スイッチング素子制御部54が入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果を利用している状態にある場合に供給し、スイッチング素子制御部54が入力電圧検出部44および出力電圧検出部52の検出結果を利用していない状態にある場合に遮断するようにすればよい。
【0205】
(5−5)変形例2E
上記実施形態では、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aが、アクチュエータ駆動装置30の消費電力低減用スイッチ35aと同様に、入力電圧検出部44または出力電圧検出部52に直列に接続されたMOSFETによって構成されている場合について説明した。しかし、本発明に係る第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aは、入力電圧検出部44または出力電圧検出部52内の電流の流れを切換えることができるものであれば、どのように接続されており、且つどのような構成であってもよい。したがって、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aの構成は、MOSFETに限定されない。すなわち、第1スイッチ45aおよび第2スイッチ53aは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やソリッドステートリレー等の他の半導体スイッチ、電磁リレーであってもよい。
【0206】
〈第3実施形態〉
以下、本発明の第3実施形態に係る電源電圧異常検出装置400について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0207】
(1)概要
図10は、電源電圧異常検出装置400の内部構成を示すブロック図である。電源電圧異常検出装置400は、例えば空調機10等に搭載され、圧縮機モータM12やインバータ38などの負荷80に供給される電源電圧が想定される入力電圧とは異なる場合に、異常を検出する装置である。具体的には、電源電圧異常検出装置400は、商用電源91から入力される交流電圧Vacを直流電圧Vdcに変換して、直流電圧Vdcを検出し、電圧値が基準値より高いか否かを判定することで、交流電圧として例えば100Vおよび200Vのいずれが供給されているかを判断して異常を検出している。
【0208】
(2)電源電圧異常検出装置
電源電圧異常検出装置400は、入力側において家屋内のコンセント等を介して商用電源91と接続され、出力側において負荷80と接続されている。電源電圧異常検出装置400は、主として、直流電圧生成部31、電圧検出部60、切換部61、判定部62、レベルシフタ63、統括制御部64および入力表示部65等から構成されている。以下、これらについて説明する。なお、直流電圧生成部31については、アクチュエータ駆動装置30に使用されているものと同一の構成であるため説明を省略する。
【0209】
(2−1)電圧検出部
電圧検出部60は、直流電圧生成部31と負荷80の間において、直流電圧生成部31および負荷80と並列に接続されている。電圧検出部60は、アクチュエータ駆動装置30の電圧検出部34と同一の態様で構成されており、負荷80に供給される電圧値を検出している。そして、電圧検出部60の検出結果は、判定部62へ送られる。
【0210】
電圧検出部60は、直流電圧生成部31から供給される直流電圧Vdcに伴う電流が内部を流れることで、負荷80に供給される電圧値を検出している。よって、直流電圧生成部31は、電圧検出部60に電流を供給するための「電流供給部」ともいえる。
【0211】
(2−2)切換部
切換部61は、電圧検出部60内部への電流の流れを切り換えるためのものである。切換部61は、主として、消費電力低減用スイッチ(以下、スイッチと記載)61aと、駆動用電源供給部61bと、を有する。
【0212】
(2−2−1)スイッチ
スイッチ61aは、電圧検出部60に直列に接続されており、直流電圧生成部31に対して並列に接続されている。スイッチ61aの構成は、アクチュエータ駆動装置30の消費電力低減用スイッチ35aと同一の態様である。スイッチ61aは、電圧検出部60内部に電流が流れるか流れないかを切換えている。
【0213】
具体的に、スイッチ61aは、判定部62が判定を実行している時には、オンしている。これにより、電圧検出部60内に電流が流れるため、スイッチ61aは、電圧検出部60に対して直流電圧Vdcの検出動作を行わせていると言うことができる。
【0214】
また、スイッチ61aは、判定部62が電圧異常の判定を停止している時には、オフしている。これにより、電圧検出部60内には電流が流れなくなるため、スイッチ61aは、電圧検出部60に対して直流電圧Vdcの検出動作を停止させている、と言うことができる。
【0215】
このように、スイッチ61aは、判定部62が判定を実行中であるか、停止中あるかに応じて、オンまたはオフの状態を採り得る。これにより、電圧検出部60に常時電流が流れることを防止することができるため、スイッチ61aは、直流電圧Vdcが印加されていれば電流が流れてしまう構成となっている電圧検出部60において、不必要に電力が消費されてしまうのを防ぐための電気部品であると言う事ができる。
【0216】
(2−2−2)駆動用電源供給部
駆動用電源供給部61bは、複数のトランジスタ等によって構成されている。駆動用電源供給部61bの出力は、スイッチ61aのゲート端子に接続されている。
【0217】
駆動用電源供給部61bは、レベルシフタ63と接続され、レベルシフタ63から所定電圧V8(後述)を供給される。また、駆動用電源供給部61bは、統括制御部64と接続されており、統括制御部64からの指令を受けて、スイッチ61aのスイッチ駆動用電源Vswを生成してスイッチ61aに出力する。したがって、スイッチ61aがオンおよびオフする動作は、統括制御部64によって制御されると言える。
【0218】
具体的に、駆動用電源供給部61bは、例えば5Vであるスイッチ駆動用電源Vswをスイッチ61aに供給することでスイッチ61aをオンさせ、電圧検出部60内に電流が流れるようにする。また、駆動用電源供給部61bは、スイッチ駆動用電源Vswのスイッチ61aへの供給を断つことによって、スイッチ61aをオフさせて、電圧検出部60内に電流が流れないようにする。
【0219】
なお、スイッチ61aが、具体的にどのタイミングでオンからオフまたはオフからオンへと切換えられるのかについては、「(3)スイッチ、判定部の動作について」にて説明する。
【0220】
(2−3)判定部
判定部62は、RAM、ROMおよびCPUからなるマイクロコンピュータであって、判定部62は、電圧検出部60の後段において、電圧検出部60と直列に配設されている。
【0221】
判定部62は、予め所定の基準値を保持しており、統括制御部64からの指令を受けて、電圧検出部60から出力される直流電圧Vdcの電圧値が、基準値以上であるか否かを判定する。負荷80に電流が流れない状態においては、直流電圧生成部31により、交流電圧Vacが100Vの時には直流電圧Vdcは140V程度となり、交流電圧Vacが200Vの時には直流電圧Vdcは280V程度となる。そのため、所定の基準値は、例えば180Vに設定されるが、当該数値に限定されるものではなく適宜変更が可能である。そして、判定部62は統括制御部64と接続されており、判定部62の判定結果は統括制御部64へ送られる。
【0222】
なお、判定部62は、電圧検出部60の検出結果を利用して判定を行っているため、判定部62を「検出結果利用部」ということができる。
【0223】
(2−4)レベルシフタ
レベルシフタ63は、平滑コンデンサ33に対し並列に接続されており、平滑コンデンサ33の両端電圧(つまりは直流電圧Vdc)が印加される。レベルシフタ63の出力は、駆動用電源供給部61b、判定部62および統括制御部64に接続されている。
【0224】
このようなレベルシフタ63は、印加された直流電圧Vdcを、3つの所定電圧V8、V9およびV10に変換する。そして、変換後の所定電圧V8を駆動用電源供給部61bに、所定電圧V9を判定部62に、所定電圧V10を統括制御部64に、それぞれ供給する。
【0225】
すなわち、レベルシフタ63は、駆動用電源供給部61b、判定部62および統括制御部64の電源として機能する。一例として、直流電圧Vdcが140Vであるとして、レベルシフタ63は、直流電圧Vdcを、5Vの電圧V8およびV9と、3Vの電圧V10と、に変換する。
【0226】
(2−5)統括制御部
統括制御部64は、切換部61、判定部62、およびレベルシフタ63の動作を統括的に制御している。また、統括制御部64は、入力表示部65と接続されており、入力表示部65を介してユーザの指示を受ける。また、統括制御部64は、タイマ機能を備えており、時間を計測できる。
【0227】
統括制御部64は、入力表示部65を介してユーザから異常判断開始指示を受けると、負荷80に供給される直流電圧Vdcが負荷80の設定電圧の範囲内であるか否かを判断する。具体的には、統括制御部64は、判定部62の判定結果から、負荷80に供給される直流電圧Vdcが負荷80の設定電圧の範囲内であるか否か、を判断する。そして、統括制御部64は、判定部62の判定結果が基準値以上の場合には、印加されている交流電圧Vacが例えば200Vであると判断する。一方、統括制御部64は、判定部62の判定結果が基準値未満の場合には、印加されている交流電圧Vacが例えば100Vであると判断する。
【0228】
統括制御部64は、予め負荷80の設定電圧を保持している。そして、統括制御部64は、負荷80の設定電圧が100Vであるにも関わらず交流電圧Vacが200Vである場合や、設定電圧が200Vであるにも関わらず交流電圧Vacが100Vである場合には、電源電圧異常と判断し、当該判断結果を入力表示部65に出力する。
【0229】
また、統括制御部64は、判定部62が判定を行う必要がある場合には判定部62に判定を実行させ、判定部62が判定を行う必要がない場合には判定部62に判定を停止させる。例えば、統括制御部64は、入力表示部65を介して、ユーザから異常判断開始指示を受けると、判定部62の判定を行う必要があると判断して、判定部62に判定を実行させる。また、統括制御部64は、入力表示部65を介して、ユーザから異常判断停止指示を受けると、判定部62の判定を行う必要がないと判断して、判定部62に判定を停止させる。
【0230】
また、統括制御部64は、スイッチ駆動用電源Vswのスイッチ61aへの供給および遮断を駆動用電源供給部61bに行わせることで、スイッチ61aのオンおよびオフの制御を行う。つまり、統括制御部64は、「検出結果利用部」である判定部62において判定を行う必要がある時(すなわち、電圧検出部60の検出結果が必要な時)には、電圧検出部60の内部に電流が流れるようにスイッチ61aをオンにする制御を行う。また、統括制御部64は、「検出結果利用部」である判定部62において判定を行う必要がない時(すなわち、電圧検出部60の検出結果が不要な時)には、電圧検出部60の内部に電流が流れないようにスイッチ61aをオフにする制御を行う。
【0231】
(2−6)入力表示部
入力表示部65は、例えば、操作キーなどの入力部と、LEDランプや液晶モニタなどの表示部などで構成される。入力表示部65は、ユーザによって異常判断開始指示や異常判断停止指示が入力されると、当該指示を統括制御部64に送信する。また、入力表示部65は、統括制御部64の判断結果を受けて、当該判断結果をユーザに表示する。
【0232】
(3)スイッチおよび判定部の動作について
以下、本実施形態において、スイッチ61aがオンからオフへと切換えられるタイミング、およびオフからオンへと切換えられるタイミング、判定部62の動作等について説明する。
図11は、判定部62の制御実行状態、スイッチ61aの状態、判定部62に印加される電源電圧V9、および電圧検出部60の動作状態が、時間の経過と共にどのように変化するかを表したタイミングチャートである。
【0233】
ユーザから異常判断開始指示を受けている場合、判定部62には5Vの電源電圧V9が印加されており、判定部62は判定を実行している状態にある。そして、駆動用電源供給部61bは、スイッチ駆動用電源Vswをスイッチ61aに供給している。このため、スイッチ61aはオン状態となっている。この場合、電圧検出部60の内部には電流が流れており、判定部62の判定において必要となる直流電圧Vdcの値を検出可能な状態である。
【0234】
この状態において、例えば、ユーザによって、判断を停止させる異常判断停止指示が入力された場合、統括制御部64は、入力表示部65から当該指示を受けて、判定部62へ判定を停止させる指令を送信する。これを受けて判定部62は、判定を停止する判定停止状態となる。
【0235】
統括制御部64は、判定部62が判定停止状態となってから所定時間が経過したと判断した場合には、判定部62へ供給される電源電圧V9を遮断するようにレベルシフタ63に指令を送信する。これにより、判定部62への電源電圧V9の供給が遮断された状態となる。
【0236】
また、これとともに、統括制御部64は、スイッチ61aへ供給されるスイッチ駆動用電源Vswを遮断するように、駆動用電源供給部61bに指令を送信する。これにより、スイッチ61aは、オン状態からオフ状態へ切り換わる。よって、電圧検出部60の内部には電流が流れなくなり、電圧検出部60は、直流電圧Vdcの検出を行えない検出不可状態となる。
【0237】
次に、このような状態において、ユーザによって、判断を開始させる異常判断開始指示が入力されると、統括制御部64は、入力表示部65から当該指示を受けて、レベルシフタ63に電源電圧V9の供給を再開させる。これにより、判定部62は、判定を開始し、判定実行状態となる。また、これとともに、統括制御部64は、駆動用電源供給部61bにスイッチ駆動用電源Vswの供給を再開させる。このため、スイッチ61aはオン状態となる。よって、電圧検出部60の内部に電流が流れ、電圧検出部60は、直流電圧Vdcの検出が可能な状態となる。
【0238】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係る電源電圧異常検出装置400によると、「検出結果利用部」である判定部62において、電圧検出部60の検出結果が必要な時には、スイッチ61aをオンすることで、電圧検出部60の内部へ電流が流れる。一方で、判定部62において、電圧検出部60の検出結果が不要な時には、スイッチ61aをオフすることで、電圧検出部60の内部へ電流が流れない。
【0239】
したがって、判定部62が判定を停止しているために、直流電圧Vdcの検出を行う必要がないにも関わらず、電圧検出部60内に電流が流れることによって無駄な電力が消費されてしまうことを、抑制できる。
【0240】
(4−2)
本実施形態に係る電源電圧異常検出装置400によると、判定部62が判定を停止(すなわち電圧検出部60の検出結果の利用を停止)してから所定時間が経過した時、切換部61におけるスイッチ61aをオフすることで、電圧検出部60内への電流の流れが遮断される。つまり、本実施形態では、電圧検出部60の機能を確実に停止してもよい場合に、電圧検出部60内への電流の流れが遮断され、電圧検出部60による検出が停止されるようになる。
【0241】
(4−3)
本実施形態に係る電源電圧異常検出装置400によると、判定を停止(すなわち電圧検出部60の検出結果の利用を停止)している判定部62が判定を開始する時、切換部61におけるスイッチ61aをオンすることで、電圧検出部60内へ電流が流れる。
【0242】
これにより、判定部62が判定動作を行う(すなわち電圧検出部60の検出結果を利用する)時には、電圧検出部60による検出が行われるようになる。したがって、判定部62が判定を行う時には、切換部61(特に、スイッチ61a)が設けられたことによる影響を受けることなく、判定部62は、電圧検出部60の検出結果に基づいて判定動作を実行することができる。
【0243】
(4−4)
本実施形態に係る電源電圧異常検出装置400において電圧検出部60は、直流電圧生成部31に対して並列に接続されている。また、切換部61におけるスイッチ61aは、電圧検出部60に直列に接続されている。このように、本実施形態に係る切換部61は、簡単な構成であるため、コストがかからずに済む。
【0244】
(4−5)
本実施形態に係る電源電圧異常検出装置400において切換部61は、駆動用電源供給部61bによるスイッチ駆動用電源Vswのスイッチ61aへの供給、遮断により、電圧検出部60内への電流の流れを切換える。つまり、スイッチ駆動用電源Vswをスイッチ61aに供給するか否かによって電圧検出部60内への電流の流れが容易に切換えられる。
【0245】
(5)変形例
(5−1)変形例3A
上記実施形態では、電圧検出部60の検出対象が、直流電圧Vdcの値である場合について説明した。しかし、電圧検出部60の検出対象は、電圧の値であればよい。したがって、電圧検出部60の検出対象は、直流の電圧ではなく、交流の電圧であってもよく、例えば商用電源91の交流電圧Vacを検出するようにしてもよい。この場合には、交流電圧Vacの検出値で直接電圧異常を判定することになる。
【0246】
(5−2)変形例3B
上記実施形態では、
図11に示すように、ユーザによって異常判断停止指示が為された場合、所定時間が経過してから、電源電圧V9の供給が遮断されるとともに、スイッチ61aがオンからオフへ切り換えられるように構成されていた。しかし、これに限定されず、ユーザによって異常判断停止指示が為されたタイミングにて、電源電圧V9の供給が遮断されるとともに、スイッチ61aがオフされるように構成してもよい。
【0247】
また、上記実施形態では、ユーザによって異常判断開始指示が為されたタイミングにて、電源電圧V9が供給されるとともに、スイッチ61aがオフからオンへと切り換えられるように構成されていた。しかし、これに限定されず、異常判断開始指示が為されてから所定時間(例えば1分程度)が経過したタイミングにて、電源電圧V9が供給されるとともに、スイッチ61aがオフからオンへと切り換えられるように構成してもよい。
【0248】
また、上記実施形態では、所定時間は、1分程度に設定されたが、当該数値には限定されず適宜変更が可能である。
【0249】
(5−3)変形例3C
上記実施形態では、切換部61がスイッチ61aと駆動用電源供給部61bとを有する場合について説明した。しかし、切換部61は、駆動用電源供給部61bを有さずにスイッチ61aのみを有していていもよい。
【0250】
この場合、スイッチ61aのゲート端子と、統括制御部64と、を接続して、スイッチ61aのゲート端子に、統括制御部64から送られてくるスイッチ制御信号をスイッチ駆動用電源Vswとして印加するようにすればよい。これにより、スイッチ61aは、オンおよびオフすることができる。なお、スイッチ61aがオンおよびオフするタイミングは、上記実施形態にて
図11を用いて説明したタイミングと同一にすればよい。
【0251】
また同様に、切換部61が駆動用電源供給部61bを有するとしても、スイッチ駆動用電源Vswの供給および供給の遮断に応じてスイッチ61aがオンおよびオフするのではなく、統括制御部64から送られてくるスイッチ制御信号の状態に応じて、スイッチ61aがオンおよびオフするようにしてもよい。
【0252】
(5−4)変形例3D
上記実施形態では、駆動用電源供給部61bは、統括制御部64からの指示に応じて、スイッチ61aへのスイッチ駆動用電源Vswの供給、遮断を切り換えていた。しかし、駆動用電源供給部61bは、自らの判断により、スイッチ駆動用電源Vswの供給、遮断を切り換えるように構成してもよい。
【0253】
この場合、駆動用電源供給部61bは、判定部62と接続され、判定部62から判定実行中であることを示す信号を受信することで、判定部62が電圧検出部60の検出結果を利用している状態であるか否かを検知する。そして、駆動用電源供給部61bは、スイッチ駆動用電源Vswを、判定部62が電圧検出部60の検出結果を利用している状態にある場合に供給し、判定部62が電圧検出部60の検出結果を利用していない状態にある場合に遮断するようにすればよい。
【0254】
(5−5)変形例3E
上記実施形態では、スイッチ61aが、アクチュエータ駆動装置30の消費電力低減用スイッチ35aと同様に、電圧検出部60に直列に接続されたMOSFETによって構成されている場合について説明した。しかし、本発明に係るスイッチ61aは、電圧検出部60内の電流の流れを切換えることができるものであれば、どのように接続されており、且つどのような構成であってもよい。したがって、スイッチ61aの構成は、MOSFETに限定されない。すなわち、スイッチ61aは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やソリッドステートリレー等の他の半導体スイッチ、電磁リレーであってもよい。
【0255】
(5−6)変形例3F
上記実施形態では、判定部62が、統括制御部64からの指令を受けて、電圧検出部60から出力される直流電圧Vdcの電圧値が、基準値以上であるか否かを判定していた。しかし、これに限定されず、判定部62を削除し、統括制御部64に判定部62の機能を担わせてもよい。すなわち、統括制御部64が、電圧検出部60から出力される直流電圧Vdcの電圧値が、基準値以上であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0256】
この場合、統括制御部64は、電圧検出部60の検出結果を利用して判定を行うため、統括制御部64を「検出結果利用部」ということができる。そして、統括制御部64は、判定を実行している場合にはスイッチ61aをオンし、判定を停止している場合にはスイッチ61aをオフすればよい。
【0257】
(5−7)変形例3G
上記実施形態では、判定部62は、電圧検出部60から出力される直流電圧Vdcの電圧値が、基準値以上であるか否かを判定して、判定結果を統括制御部64へ出力していた。しかし、これに限定されず、判定部62に、基準値とは別に、所定の判定値を予め保持させ、直流電圧Vdcの値が判定値を超えている期間に、統括制御部64に信号を送るようにしてもよい。
【0258】
すなわち、電圧検出部60によって検出される直流電圧Vdcには、ある程度の大きさのリプルがあることから、判定値の設定によっては、直流電圧Vdcが判定値を超えている期間と、判定値未満の期間と、が周期的に変動する。そして、判定部62が、直流電圧Vdcの値が判定値を超えている期間を検出して統括制御部64に信号を送ることで、統括制御部64は、直流電圧Vdcが判定値を超えている期間および判定値未満の期間を判別でき、それぞれの時間を計測できる。これにより、統括制御部64は、当該計測した時間から、商用電源91から供給される交流電圧Vacの周波数を検出できる。
【0259】
このような構成とすることにより、電源電圧異常検出装置400は、電源周波数検出装置としても機能する。なお、この場合においても、判定部62は、電圧検出部60の検出結果を利用して判定を行っているため、判定部62を「検出結果利用部」ということができる。なお、電源周波数の検出は、交流電圧Vacを検出することでも行なうことができる。