特許第5850500号(P5850500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5850500
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】液体吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20160114BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   B65D47/34 DBRG
   B65D83/00 K
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-216641(P2012-216641)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69835(P2014-69835A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】神村 千秋
【審査官】 神山 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−12009(JP,A)
【文献】 特開2011−11781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(A)内部へシリンダ(B1)を垂下させた状態で、その口頸部(12)を閉塞して容器体(A)にポンプ(B)を着脱可能に装着するとともに、シリンダ(B1)下端より容器体(A)内底部へディップチューブ(B3)を垂設し、且つ、ポンプ(B)の作動により容器体(A)内の液体を吐出する如く構成した液体吐出器であって、口頸部(12)とシリンダ(B1)との間を閉塞して口頸部(12)に嵌着し、先端部をシリンダ(B1)外周に摺動可能に嵌合させた扱き部材(C)を設けるとともに、ディップチューブ(B3)の外周下端部に係止面(f1)を突設し、ポンプ(B)の取り外しに当たり、扱き部材(C)の先端部がシリンダ(B1)外周及びディップチューブ(B3)外周を摺動した後係止面(f1)に当接し、係止面(f1)の押し上げにより扱き部材(C)の取り外しが可能に構成したことを特徴とする液体吐出器。
【請求項2】
扱き部材(C)は、口頸部(12)上面に当接嵌合するフランジ(60a)の内周縁より口頸部(12)内周上部に嵌合する嵌合筒(60b)を延設した装着部(60)と、装着部(60)下端縁より下方へ漸次縮径した弾性壁(63)と、弾性壁(63)の下端縁より延設してシリンダ(B1)外周に摺動可能な摺動筒(64)とを備えている請求項1に記載の液体吐出器。
【請求項3】
扱き部材(C)の弾性壁(63)に容器体(A)内へ外気を導入する透孔(65)を設けた請求項2に記載の液体吐出器。
【請求項4】
ポンプ(B)は、口頸部(12)外周に装着キャップ(B2)を嵌合させることにより、容器体(A)内部へシリンダ(B1)を垂下させた状態で、容器体(A)に着脱可能に装着させ、シリンダ(B1)内より突設したステム(51)の上端に吐出ヘッド(52)を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材(B4)を備え、作動部材(B4)の上下動により容器体(A)内の液を吐出ヘッド(52)の吐出口(54)より吐出する如く構成するとともに、押し下げ状態での作動部材(B4)の係止が可能に構成した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出器。
【請求項5】
吐出ヘッド(52)の頂部に安定載置が可能な載置面(f2)を備え、取り外したポンプ(B)の倒立載置が可能に構成した請求項4に記載の液体吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出器に関し、詳しくは、ポンプの付着液で周囲を汚すことなく液の詰め替えを行える液体吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出器として、容器体の口頸部にポンプを装着したものが一般に知られている。これらは種々の形態が提案されているが、廃棄物の量にその処理が対応しきれない現状に鑑みて、近年では廃棄物の量をできるだけ減少させる工夫がなされており、その結果、収納液を使い切った後に液だけを詰め替える如く構成した液体吐出器が種々提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
前者は注出器と容器からなる液体注出容器の詰め替え容器であって、胴部と注出口部からなる自立容器であり、この自立容器は注出口部が注出器と嵌合して内容物を密封できる構造であることを特徴とするものであり、液体注出容器の内容物が消費されてなくなったときは注出器と容器の螺子を弛めて注出器を取り外し、次に新しい詰め替え容器のキャップを取り除き、この容器に注出器の吸い上げ管を挿入して注出器と容器をセットし、更に、注出器と容器を螺子締めして一体化し、容器に入っている内容物を密封する。これで内容物の詰め替えは終了し、注出器の押し下げヘッドを押すことによって内容物を排出することができる。
【0004】
また後者は外周にボトルの口頸部に嵌合して装着するキャップを回転自在に枢着し下方に汲み上げチューブをもつディスペンサーであって、汲み上げチューブに、装着リングの外周面に鉤の手状の係止部を突設する係止部材を挿着して取り付けたことを特徴とするもので、新しい内容物を詰め替え用容器から移しかえるときに、まず、ディスペンサーのキャップを回転させてディスペンサーをボトル口頸部から取り外し、次に、ディスペンサーを上方へ引き上げ、係止部材の鉤の手状の係止部をボトル口部の片側にディスペンサーが寄せられて係止することができ、この際、ボトル口部の他方側は大きく開口している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−29655号公報
【特許文献2】特開2000−289766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の液体吐出器のうち前者は、詰め替え容器としてカートリッジ式の容器を使用しているため、内容物の詰め替えを極めて簡単に行うことができる便利なものであるが、使用済みの容器からポンプを外して詰め替え容器に装着するまでの間にポンプの吸い上げパイプ等に付着した液が垂れてあたりを汚す虞がある。
【0007】
また、後者も同様に内容物を詰め替え用容器から移し替えるときに詰め替え操作が容易であり、ポンプをボトルから引き抜く必要がないので、容器外のところをポンプに付着する内容物で汚すことがない優れたものであるが、液詰め替えの際に係止部の付着液が口頸部に付着し、それが容器外方に垂れ落ちる等の不都合を生じる虞がある。即ち、詰め替えの際は収納液は容器体内に殆ど残っていない状態であるため、直接係止部に接触していないが、液が充満した最初の状態では係止部は液中に浸漬しているため液が減少しても係止部に付着液が残存する。特に液が粘度の高いものの場合にはその確率が大きく、これらの付着液が上記した如く口頸部に付着する可能性が高い。
【0008】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、詰め替えにより容器体及び周囲を液により汚す虞がなく、しかも、液の詰め替えを容易に行なえるとともに、取り扱いが便利である液体吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体A内部へシリンダB1を垂下させた状態で、その口頸部12を閉塞して容器体AにポンプBを着脱可能に装着するとともに、シリンダB1下端より容器体A内底部へディップチューブB3を垂設し、且つ、ポンプBの作動により容器体A内の液体を吐出する如く構成した液体吐出器であって、口頸部12とシリンダB1との間を閉塞して口頸部12に嵌着し、先端部をシリンダB1外周に摺動可能に嵌合させた扱き部材Cを設けるとともに、ディップチューブB3の外周下端部に係止面f1を突設し、ポンプBの取り外しに当たり、扱き部材Cの先端部がシリンダB1外周及びディップチューブB3外周を摺動した後係止面f1に当接し、係止面f1の押し上げにより扱き部材Cの取り外しが可能に構成した。
【0010】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、扱き部材Cは、口頸部12上面に当接嵌合するフランジ60aの内周縁より口頸部12内周上部に嵌合する嵌合筒60bを延設した装着部60と、装着部60下端縁より下方へ漸次縮径した弾性壁63と、弾性壁63の下端縁より延設してシリンダB1外周に摺動可能な摺動筒64とを備えている。
【0011】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、扱き部材Cの弾性壁63に容器体A内へ外気を導入する透孔65を設けた。
【0012】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、ポンプBは、口頸部12外周に装着キャップB2を嵌合させることにより、容器体A内部へシリンダB1を垂下させた状態で、容器体Aに着脱可能に装着させ、シリンダB1内より突設したステム51の上端に吐出ヘッド52を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材B4を備え、作動部材B4の上下動により容器体A内の液を吐出ヘッド52の吐出口54より吐出する如く構成するとともに、押し下げ状態での作動部材B4の係止が可能に構成した。
【0013】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第4の手段に於いて、吐出ヘッド52の頂部に安定載置が可能な載置面f2を備え、作動部材B4の押し下げ係止状態で、取り外したポンプBの倒立載置が可能に構成した。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器体A内の液を使い切った際の液の詰め替え時に、容器体A及び周囲を液により汚す虞がなく、しかも、液の詰め替えを容易に行なえるという特徴がある。即ち、装着した扱き部材CはポンプBの引き上げに対してシリンダB1及びディップチューブに付着した液を削ぎ落とした後にポンプBとともに取り外されるため、容器体A及び周囲を付着液で汚す虞がなく、しかも、液の詰め替えの際に口頸部12は最大限の大きさを確保できて液の詰め替えを容易に行なえ、その取り外し操作も容易である。
【0015】
扱き部材Cは、口頸部12上面に当接嵌合するフランジ60aの内周縁より口頸部12内周上部に嵌合する嵌合筒60bを延設した装着部60と、装着部60下端縁より下方へ漸次縮径した弾性壁63と、弾性壁63の下端縁より延設してシリンダB1外周に摺動可能な摺動筒64とを備えている場合には、液の詰め替えの際に、フランジ60aの存在で、ポンプBとともに取り外した扱き部材Cを口頸部12の所定位置に容易に装着することができるという特徴があり、また、摺動筒64の存在で、シリンダB1外周及びディップチューブB3外周の付着液のより確実な削ぎ落としが可能であり、更に、摺動筒64の存在で、係止面f1の押し上げをより安定的に行なえるという特徴がある。
【0016】
扱き部材Cの弾性壁63に容器体A内へ外気を導入する透孔65を設けた場合には、液の減少に伴い減圧する容器体A内への外気の導入が可能となり、減圧により容器体Aが変形する等を防止できる。
【0017】
吐出ヘッド52の頂部に安定載置が可能な載置面f2を備え、取り外したポンプBの倒立載置が可能に構成した場合には、取り外したポンプBを邪魔なスペースをとらずに倒立させておくことができ、液が付着していたシリンダB1及びディップチューブB3を周囲に接触させずに倒立させておくことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】液体吐出器の要部切欠き側面図である。(第1実施例)
図2】扱き部材の斜視図である。(第1実施例)
図3】ポンプ上端部の要部斜視図である。(第1実施例)
図4】作用を説明する説明図である。(第1実施例)
図5】ポンプ上端部の要部側面図である。(第2実施例)
図6】液体吐出容器の要部切欠き側面図である。(第3実施例)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図4は本発明の第1実施例を示し、液体吐出器1は、容器体Aと、ポンプBと、扱き部材Cとを備えている。尚、説明の便宜上、図1に於ける左方を前部、右方を後部とし、手前を右部、奥側を左部として説明する。
【0021】
容器体Aは合成樹脂等により形成されたもので、筒状の胴部10上端より肩部11を介して口頸部12を起立して構成している。
【0022】
ポンプBも合成樹脂等により形成される。第1実施例では、ポンプBは、シリンダB1と、装着キャップB2と、ディップチューブB3と、作動部材B4とを備えている。
【0023】
シリンダB1は合成樹脂等により形成され、上下端を開口した筒状をなし、筒壁20の外周上部にフランジ21を突設している。シリンダB1の筒壁20外周は扱き部材Cの先端部を摺動させるため、径の変化が少ないものが好ましく、また、筒壁20は垂直であるものが好ましい。特に、扱き部材Cの先端部を摺動させる範囲では、少なくとも、径の変化が少ないものが好ましいが、多少の径の変化も扱き部材Cの弾力性により対応できる如く構成している。第1実施例では、筒壁20の下端部外周は小径部20aに形成され、小径部20aの外面には周方向複数の案内突部22を突設している。案内突部22は小径部20a上方の大径の筒壁20外面と同一外面となる突出幅を有し、下端部外面を案内用の湾曲面に形成している。従って、筒壁20外周の若干の径の変化があるものではあるが、案内筒部22の存在で扱き部材Cの摺動の円滑性を補正している。尚、筒壁20の上部所定位置には外気導入孔22を穿設しており、外部と、容器体A内とを、筒壁20内周面と、作動部材B4の後述するステム51外周面との間、外気導入孔22を介して連通させている。また、シリンダB1内下端部には図示しないが吸込み弁を設けている。
【0024】
装着キャップB2は、口頸部12外周に嵌合させることにより容器体AにポンプBを着脱可能に装着するもので、第1実施例では、ジョイントキャップB2aと、主キャップB2bと、から構成している。
【0025】
ジョイントキャップB2aは、シリンダB1の外周上端部に嵌合させた嵌合筒30を環状の頂板31より垂設し、また、頂板31の外周縁より、下部をフランジ部32aを介して拡径した外周壁32を、その下端がシリンダB1のフランジ21と間隔をあけて垂下している。更に、外周壁32の上部の小径部分外周に、後述する吐出ヘッド52を螺着させる螺条を設けている。また、頂板31の内周縁部より、二重筒状で、中間部を周方向複数のリブ33aで連結した内周壁33を垂設しており、この内周壁33をシリンダB1内周上端部に嵌着している。
【0026】
主キャップB2bは、シリンダB1のフランジ21上面とジョイントキャップB2aの外周壁32下面との間に回動可能に嵌合させたフランジ状頂壁35の外周縁より、容器体口頸部12外周に螺着させる周壁36を垂設して構成している。尚、装着キャップは第1実施例のものに限らず、要は、容器体A内部へシリンダB1垂下させた状態でその口頸部12を閉塞して容器体AにポンプBを着脱可能に装着する形態であれば良い。
【0027】
ディップチューブB3は合成樹脂等により形成でき、シリンダB1下端より容器体A内底部へ垂設したもので、ディップチューブB3は、扱き部材Cの先端部を摺動させるために、シリンダB1の外径と同外径かあまり相違しない外径を備えたもので、真っ直ぐなものが好ましく、第1実施例では、シリンダB1の下端部内に嵌合させた嵌合部分を除いて、露出部分はシリンダB1の小径部20a外径と同外径の外周面を備えて垂直に垂設している。また、ディップチューブB3の外周下端部には係止面f1を突設している。この係止面f1は扱き部材Cの下端を当接係止して扱き部材Cを押し上げるためのもので、第1実施例では、ディップチューブB3の外周下端部に突設したフランジ状の係止板40の上面を係止面f1としている。係止板40の下面を、周方向複数突設した三角板状の支持板41で支持している。尚、係止面f1は第1実施例のものに限らず、ディップチューブB3の外周下端部に突設し、扱き部材Cの下端部に当接係止して扱き部材Cの押し上げが可能であれば良く、例えば、ディップチューブB3の外周に周方向複数突設した、上面が水平面をなす板状突部の各上面を係止面とすることも可能である。
【0028】
作動部材B4は合成樹脂等により形成されたもので、第1実施例では、シリンダB1を摺動するピストン50を外周下端部より突設し、上端を装着キャップB2上方へ突設したステム51を備え、ステム51の上端に吐出ヘッド52を嵌着している。吐出ヘッド52は、ステム51内と内部を連通するノズル53を前面に突設し、ノズル53の先端に吐出口54を開口している。この作動部材B4はコイルスプリングsにより上方付勢されており、コイルスプリングsの弾発力に抗しての押し下げ、押し下げ状態からコイルスプリングsの弾発力により上昇が可能に構成している。尚、この作動部材B4の具体的構成は、シリンダB1内より突設したステム51の上端に吐出ヘッド52を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着したものであれば種々採用できる。
【0029】
また、吐出ヘッド52は押し下げ状態で係止可能に構成しており、即ち、作動部材B4の押し下げ状態で係止可能に構成している。第1実施例では、ジョイントキャップB2aの外周壁32に、吐出ヘッド52の周壁55内面を螺着させることで、作動部材B4を押し下げた状態で装着キャップB2に対して係止可能に構成している。この際、吐出ヘッド52の周壁55下面は外周壁のフランジ部32aに下面を当接係止される。
【0030】
更に、吐出ヘッド52の頂部に安定載置が可能な載置面f2を備えており、取り外したポンプBの倒立載置が可能に構成している。第1実施例では、図3に示す如く、吐出ヘッド52の上面を水平面に形成して倒立載置が可能な載置面f2として構成している。この安定載置が可能な載置面f2としては、本例のものに限らず、例えば、吐出ヘッド52の頂面周縁部を環状の平面に形成することも可能である。また、取り外したポンプBは作動部材B4が上方付勢されたそのままの状態で倒立させることが可能であり、また、作動部材Bを押し下げ係止した状態で、倒立させることも可能である。尚、吐出ヘッドに安定載置が可能な載置面f2がなく、倒立載置が不能な場合も本発明は包含し、例えば、図5に第2実施例として示す如き吐出ヘッド52の上面が湾曲面をなすものであってもよい。第2実施例の構成は、この部分以外は第1実施例と同様である。
【0031】
そして、作動部材B4の上下動により容器体A内の液を、ディップチューブB3を介してシリンダB1内に吸い上げ、また、シリンダB1内に吸い上げた液を作動部材B4内を介して吐出口54より吐出する如く構成しており、その際、図示しない吸込み弁や吐出弁等の内部の公知のポンプ機構が作用する。
【0032】
扱き部材Cは、合成樹脂或いはエラストマー等の弾力性を備えた材質で形成され、口頸部12とシリンダB1との間を閉塞して口頸部12に嵌着し、先端部をシリンダB1外周に摺動可能に嵌合させたもので、第1実施例では、口頸部12上面に当接嵌合するフランジ60aの内周縁より口頸部12内周上部に嵌合する嵌合筒60bを延設した装着部60と、装着部60下端縁より下方へ漸次縮径した弾性壁63と、弾性壁63の下端縁より延設してシリンダB1外周に摺動可能な摺動筒64とを備えている。摺動筒64は、シリンダB1外周に圧接されており、ポンプBを取り外す際には、シリンダB1外周からやや小径のディップチューブB3外周にも縮径して圧接する如く構成されている。
【0033】
また、弾性壁63には透孔65を穿設しており、液の減少による容器体A上部の減圧時に、シリンダB1の外気導入孔23を介して導入された外気を、この透孔65を介して容器体A内に導入する役割を果たす。従って、この場合は扱き部材CのシリンダB1外周への圧接位置はシリンダB1の外気導入孔23より下方に位置する必要がある。また、図6に第3実施例と示す如く、弾性壁63に透孔を設けていない場合には、扱き部材CのシリンダB1外周への圧接位置はシリンダB1の外気導入孔23より上方に位置する必要がある。第3実施例では、扱き部材Cが、口頸部12上面に当接嵌合するフランジ60a形態をなす装着部60を備え、装着部60内周縁より直接、下方へ漸次縮径した弾性壁63を延設し、弾性壁63の下端縁より摺動筒64を延設しており、弾性壁63の上端外周を口頸部12内周上端部に圧接している。その他の構成は第1実施例と同様である。
【0034】
上記の如く構成した液体吐出器1は、液の詰め替えに当たり、ポンプBを取り外すが、このポンプBの取り外しに当たり、例えば、装着キャップB2の主キャップB2bを螺脱してポンプBを引き上げると、図4(a)に示す如く、扱き部材Cの先端部の摺動筒64がシリンダB1外周を摺動してそこに付着した液を削ぎ落とし、次いで、各案内突部22外周から湾曲面を介してディップチューブB3外周を摺動してそこに付着した液を削ぎ落とし、図4(b)に示す如く、扱き部材Cの下端部である摺動筒64の下面が係止面f1に当接し、次いで、更にポンプBを引き上げると、図4(c)に示す如く、係止面f1の押し上げにより扱き部材Cが口頸部12から外れ、ポンプBと一緒に外れる。取り外した扱き部材C付きのポンプBは、図4(d)に示す如く、倒立状態で載置しておくことができる。
【0035】
次いで、詰め替え用の容器(図示せず)から口頸部12内へ詰め替え液を注入した後、扱き部材C及びポンプBを再び容器体Aに装着して詰め替えを終了する。扱き部材Cの装着は、例えば、扱き部材Cが係止されたディップチューブB3の先端を口頸部12より挿入し、同時にフランジ60を押し込むことで、扱き部材Cを口頸部12に嵌着し、更にシリンダB1を押し込み挿入した後、主キャップB2bを口頸部に螺着することで装着することで、簡単に装着することができる。
【符号の説明】
【0036】
1:液体吐出器
A:容器体
10…胴部、11…肩部、12…口頸部
B:ポンプ
B1:シリンダ
20…筒壁、20a…小径部、21…フランジ゛22…案内突部、
23…外気導入孔
B2:装着キャップ
B2a:ジョイントキャップ
30…嵌合筒、31…頂板、32…外周壁、32a…フランジ部、33…内周壁、
33a…リブ
B2b:主キャップ
35…フランジ状頂壁、36…周壁
B3:ディップチューブ
40…係止板、41…支持板、f1…係止面
B4:作動部材
50…ピストン、51…ステム、52…吐出ヘッド、53…ノズル、54…吐出口、
55…周壁、f2…載置面
C:扱き部材
60…装着部、60a…フランジ、60b…嵌合筒、63…弾性壁、64…摺動筒、
65…透孔
s:コイルスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6