(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一のデバイス層(210)の一部を通り、前記第二のデバイス層(110)の一部を通って延在する相互接続路(400)をさらに含んでいる請求項1に記載のセンサ。
前記通気孔空洞(330)は、当該センサの内部で前記隔膜空洞(230)から前記基材ウェーハ(300)の側面を通って延在する中空の空洞を含んでいる、請求項1に記載のセンサ。
前記通気孔空洞(330)は、当該センサの内部で前記隔膜空洞(230)から前記基材ウェーハ(300)の側面及び前記底面の両方を通って延在する中空の空洞を含んでいる、請求項1に記載のセンサ。
前記通気孔空洞(330)は、当該センサの内部で前記隔膜空洞(230)から前記基材ウェーハ(300)の前記底面を通って延在する中空の空洞を含んでいる、請求項1に記載のセンサ。
【背景技術】
【0002】
半導体微小電子センサ及びMEMS方式センサの進歩によって、かかるセンサの寸法及び費用が大幅に縮小した。シリコン・マイクロセンサの電気的特性及び機械的特性は、従来十分に記述されている。シリコン微細加工技術及び半導体微小電子技術は成長してセンサ業界を活性化し、多数の実用的応用を生み出した。例えば、微細加工されたシリコン圧力センサ、加速センサ、流量センサ、湿度センサ、マイクロホン、機械的発振器、光学式及びRF式の開閉器及び減衰器、マイクロバルブ、インク・ジェット・プリント・ヘッド、並びに原子間力顕微鏡探針等が周知であり、医療、航空宇宙、製造業及び自動車等の大型市場の様々な応用に参入している。シリコンは、強度、弾性及びレジリエンスが大きいため共振構造の理想的な基本材料となっており、例えば電子式の周波数制御構造又はセンサ構造に有用であり得る。腕時計、スキューバ・ダイビング用装備品及び掌中型タイヤ空気圧ゲージのような民生品にもシリコン微細加工センサが内蔵されている場合がある。
【0003】
シリコン・センサの利用分野は拡大し続けており、シリコン・センサに対する需要は、特定の環境及び応用向けに最適化された新たな及び異なるシリコン・マイクロセンサの幾何学的形状及び構成に対する必要性を絶えず喚起している。残念ながら、従来のバルク・シリコン微細加工手法の欠点は、得られるシリコン微細構造体の外形及び幾何学的形状が、製造方法によって著しく限定されていることである。例えば、従来のエッチング手法によるシリコン構造のエッチングは、部分的にはシリコン基材の結晶配向によって制約されており、このため多くの望まれる構造の幾何学的形状及び小型化の試みが限定されている。
【0004】
マイクロセンサによって圧力を測定する用途は増大し続けており、例えばキャパシタとして、また静電力を発生するために用いられる小型のシリコン・プレート構造の開発を促している。例えば、櫛形ポリシリコン・プレートのアレイを用いてキャパシタンスを測定するマイクロセンサが存在する。同様に、成層プレートのアレイを用いて静電力を発生するマイクロセンサが存在する。さらに、圧力又は加速のような力に応答するシリコン構造の曲げすなわち屈曲を測定するマイクロセンサが存在する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の特徴が理解され得るような態様で幾つかの実施形態を参照して本発明の詳細な説明を提供することができ、実施形態の幾つかは添付図面に示される。但し、図面は本発明の幾つかの実施形態のみを示し、従って、本発明の範囲は他の同等に実効的な実施形態を包含しているため図面は発明の範囲を限定しないものと考えられたい。図面は必ずしも縮尺通りではなく、発明の幾つかの実施形態の特徴を説明することを一般に主眼とする。従って、本発明のさらに十分な理解のためには、以下の詳細な説明を図面と共に読んで参照することができる。
【
図1】本発明の一実施形態での例示的な差圧センサの断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態での差圧センサを作製するのに用いられる2個の例示的なシリコン積載絶縁体型デバイス・ウェーハ、及び例示的な基材ウェーハの断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態での埋め込み型通気孔を示す差圧センサの例示的な上面図である。
【
図4】本発明の一実施形態での通気孔を有する基材ウェーハを第一のデバイス層に接着し、隔膜空洞を有するこの第一のデバイス層を第二のデバイス・ウェーハに接着した状態での例示的な基材ウェーハの図である。
【
図5】本発明の一実施形態でのエッチングされた側面通気孔を有する例示的な基材ウェーハの図である。
【
図6】本発明の一実施形態でのエッチングされた側面及び底面通気孔を有する例示的な基材ウェーハの図である。
【
図7】本発明の一実施形態でのエッチングされた底面通気孔を有する例示的な基材ウェーハの図である。
【
図8】本発明の一実施形態での通気孔を有する基材ウェーハを第一のデバイス層に接着し、隔膜空洞を有するこの第一のデバイス層を相互接続路、感知素子及び相互接続を有する第二のデバイス層に接着した状態での例示的な基材ウェーハの図である。
【
図9】本発明の一実施形態での差圧センサを製造する例示的な工程フローの図である。
【
図10】本発明の一実施形態での差圧センサの基部側面の例示的な断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態での例示的な絶対圧センサの図である。
【
図12】本発明の一実施形態での絶対圧センサを製造する例示的な工程フローの図である。
【
図13】本発明の一実施形態での絶対圧センサの基部側面の例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な微細加工圧力センサが、シリコン構造の内部に空洞を形成し、空洞に隣接して隔膜を形成することにより作製され得る。差圧センサの実施形態では、空洞は、センサの外部からセンサの側面、底面、又は側面及び底面の組み合わせの何れかを通じて当該空洞への通気を提供する通気孔に接続される。選択された参照圧力に対して測定を行なう絶対圧センサの場合には、空洞は真空圧又は選択された内部圧力に保たれ得る。圧力センサは、隔膜の曲げを感知すること、例えば隔膜の前面に作用する圧力が隔膜を内向きに撓ませる圧力がどの程度かを感知することにより、圧力を測定する。隔膜の辺の近くに形成される1又は複数の感知素子が典型的には、隔膜の曲げ又は撓みを感知する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態での底面通気孔空洞330を有する差圧センサ10の例示的な断面図である。圧力センサ10は、デバイスの圧力感知素子を収容した末梢端50を有することができ、圧力感知素子は一実施形態では、圧力測定値を取得するために媒体、例えば患者の呼吸系に挿入自在であり得るカテーテルの先端を構成している。圧力センサ10はまた、圧力測定値を読み取って処理する他のデバイスと電気的に結合することが可能であり得る基部端75を有し得る。
【0013】
圧力センサ10は、共に加工されて接着される3個のウェーハ、例えば2個のシリコン積載絶縁体型(SOI)半導体ウェーハ及び1個の両面研摩(DSP)半導体ウェーハ、又は3個のSOIウェーハを用いて製造され得る。
図2は、本発明の一実施形態での3個の例示的な開始ウェーハを示す。デバイス・ウェーハ100及び200はSOIウェーハであってよく、それぞれデバイス層110及び210、絶縁体層115及び215、並びにハンドル層120及び220を有する。デバイス層110は、一実施形態では厚みが1μmから10μmでありn型ドーピングを有し得る単結晶シリコン基材であってよい。デバイス層210は、一実施形態では特定の設計仕様に合致するように選択された厚みでありn型ドーピング又はp型ドーピングを有し得る単結晶シリコン基材であってよい。SOIウェーハの様々な層の厚みは、従来のSOIチップ製造手法を用いて正確に設定されることができ、各層の正確な厚みが圧力センサ10の後の動作特性を決定するように選択され得る。このことについては後にあらためて説明する。絶縁体層115及び215は一実施形態では、二酸化ケイ素であってよく、厚みが0.05μmから1.0μmにわたり得る。ハンドル層120及び220は、製造工程時にそれぞれデバイス・ウェーハ100及び200を把持するために用いられ、絶縁体層115及び215がそれぞれデバイス層110及び210とハンドル層120及び220との間に配置されるように位置し得る。ハンドル層120及び220は、例えば厚みが200μmから600μmのn型シリコン又はp型シリコンから成っていてよい。一実施形態では、基材ウェーハ300は、一実施形態では厚みが300μmから600μmでありn型ドーピング又はp型ドーピングを有し得る両面研摩シリコン・ウェーハであってよい。他の実施形態では、基材ウェーハ300は、第三のSOIウェーハであってよい。合わせると、圧力センサ10を構成する様々な層の厚みは、デバイスの全厚が一実施形態では390μm以下となり得るように選択され得る。
【0014】
図1に戻り、圧力センサ10は、デバイス層110、デバイス層210及び基材ウェーハ300で構成され得る。1又は複数の感知素子140、例えばp型ピエゾ抵抗感知素子が、シリコン構造の曲げを感知するために最大の効果が得られるようにデバイス層110の内部に打ち込まれ又は拡散され得る。圧力センサ10はまた、例えば二酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、又は両者の組み合わせから成っていてよい不動態化層170及び470を含み得る。不動態化層170及び470は、製造時及び動作時の圧力センサ10に対する絶縁及び保護を提供し得る。デバイス層110の上に形成された1又は複数の相互接続(インタコネクト)150が、1又は複数の感知素子140を圧力センサ10の外部に電気的に結合し得る一方、1又は複数の金属化層160が相互接続150と圧力センサ10の基部端75との間の電気的接続を提供することができ、圧力センサが、例えば鉛接着を通じて他のデバイス又は接続に電気的に結合され得るようにしている。
【0015】
図1及び
図3を参照して、本発明の一実施形態での例示的な差圧センサ10及び該センサ10の動作について説明する。
図3は、差圧センサ10の例示的な上面図であって、本発明の一実施形態での埋め込み型通気孔空洞330を示す。
図3の点線は、圧力センサ10の内部で通気孔330を形成する例示的な埋め込み構造を示し、
図3の破線は、圧力センサ10の内部に埋め込まれた例示的な隔膜空洞230を示す。圧力センサ10は、基材ウェーハ300とデバイス・ウェーハ110との間に接着されているデバイス層210に形成された隔膜空洞230を覆ってデバイス層110に形成された薄く加工された構造又は隔膜130の曲げを測定することにより動作する。隔膜は、圧力センサ10の曲げ構造となる。通気孔空洞330は、隔膜空洞230に接続された通気孔陥凹332から開始して基材ウェーハ300を通り外部に開放した通気孔出口335まで延在する中空の通気孔通路333を通じて隔膜空洞230を圧力センサ10の外部に接続する。隔膜130に上から加わる圧力が変化するのに伴って、隔膜130は通気孔出口335の圧力に対して隔膜空洞230に接近したり隔膜空洞230から遠ざかったりするように撓む。圧力センサ10の構造は細長いので、圧力センサ10は、隔膜130を構成する圧力センサ10の部分が媒体、例えば患者の呼吸系又は血流に挿入され得るようなカテーテル先端型圧力センサとして作用することが可能になり、通気孔出口335は外部の圧力勾配、例えば大気圧に露出されたままであるため、これにより差圧測定を提供する。
【0016】
隔膜130は隔膜空洞230に対して、隔膜130に加わる圧力から予測可能な方法で撓む。隔膜130の曲げは、デバイス層110において隔膜130の辺に又は辺の近くに形成されている1又は複数の感知素子140によって検出され得る。ピエゾ抵抗感知素子を用いる一実施形態では、ホイートストン・ブリッジ回路等のような回路を介して感知素子140の抵抗を決定することができ、かかる回路は、1又は複数の相互接続150を用いて、相互接続150からデバイス層110又はデバイス層110及び210の両方に形成された相互接続路400を通って圧力センサ10の基部端75まで延在し得る1又は複数の金属化層160に取り付けられて相互接続される。電気的インタフェイス又は他のかかるデバイスを金属化層160の辺に取り付けて、圧力センサ10を他のデバイスと電気的に連絡するようにすることができる。ピエゾ抵抗感知素子の抵抗は隔膜130の曲げと共に変化する。このようにして、感知素子140のピエゾ抵抗の抵抗測定値を用いて隔膜130の曲げの量を決定することができ、これによりセンサに加わる圧力を決定することができる。
【0017】
図1に示すもののようなシリコン・センサを製造する例示的な工程を、
図1から
図10までを参照して説明する。
図9は、本発明の一実施形態での差圧センサ10を製造する例示的な工程フローである。
図9のステップ501では、圧力センサ10の通気孔空洞330を共に形成し得る通気孔陥凹332、通気孔通路333及び通気孔出口335を、深堀り反応性イオン・エッチング(DRIE)を用いた乾式エッチング、又は水酸化カリウム(KOH)か水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)若しくは他のシリコン・エッチング液等による湿式エッチングのような標準的な半導体エッチング手法を用いて、基材ウェーハ300の基材上面310に形成することができる。一実施形態では、第一のエッチングを行なって通気孔陥凹332及び通気孔通路333を形成し、続いて第二のエッチングを行なって通気孔出口335を形成する。
【0018】
図5から
図7に示すように、様々なエッチング形状を用いて、基材ウェーハ300の基材上面310に陥凹を形成し、様々な通気孔空洞構成を達成することができる。
図5に示す一実施形態では、通気孔空洞330は、通気孔出口335が基材ウェーハ330の側面に開口を形成しているような側面通気孔構成であり得る。底面通気孔空洞330構成又は側面/底面を組み合わせた通気孔空洞330構成を有する他の実施形態では、後の製造ステップが、基材ウェーハ300を薄く加工して通気孔出口335を差圧センサ10の外部に露出させることを含み得る。例えば、底面通気孔及び側面/底面通気孔の実施形態では、基材ウェーハ300の基材底面320を
図6及び
図7に示す厚み示線350まで除去することができる。
図6に示す実施形態では、基材ウェーハ300の基材底面320を厚み示線350まで薄く加工すると、開口を基材ウェーハ330の側面及び底面の両方に設けた側面/底面通気孔空洞330が形成される。
図7に示すもう一つの実施形態では、基材ウェーハ300の基材底面320を厚み示線350まで薄く加工すると、開口を基材ウェーハ300の基材底面320に設けた底面通気孔が形成される。
【0019】
図4は、本発明の一実施形態での通気孔空洞330を有する基材ウェーハ300を第一のデバイス層210に接着し、隔膜空洞230を有するこの第一のデバイス層210を第二のデバイス・ウェーハ100に接着した状態での例示的な基材ウェーハ300である。
図4及び
図9を参照して述べると、製造工程のステップ502は、従来のシリコン溶融接着手法を用いて基材ウェーハ300の基材上面310にデバイス・ウェーハ200のデバイス層210を接着することであり得る。一つの例示的な溶融接着手法では、向かい合った表面を親水性にすることができる。すなわち、各表面を強い酸化剤で処理して表面に水を付着させることができる。次いで、2個のウェーハを、接着の品質によって要求される時間にわたり高温環境に置くことができる。このシリコン溶融接着手法は、単結晶シリコン・ウェーハと異なる熱膨張率を有し得る介在する接着材を利用しないで基材ウェーハ300とデバイス・ウェーハ200とを共に接着する。また、各ウェーハの一方又は両方の接着面に酸化物層を形成する溶融接着を行なってもよい。
【0020】
ステップ503では、基材ウェーハ300の基材上面310とデバイス層210とを接着した後に、絶縁体層215に達すると停止するKOH又はTMAHのような湿式エッチング液を用いてデバイス・ウェーハ200のハンドル層220を除去することができる。加えて、絶縁体層215を、湿式又は乾式何れかのエッチング手法を用いて除去して、接着したデバイス層210のみを残してこの段階で露出させることができる。
【0021】
ステップ504では、デバイス層210を貫通して延在し得る孔である隔膜空洞230を、DRIE、又はKOHかTMAH若しくは他のシリコン・エッチング液による湿式エッチング等を用いてデバイス層210にエッチングすることができる。隔膜空洞230は、様々な幾何学的形状、例えば方形、矩形又は円形を有していてよく、特定の応用及びデバイス層210の選択された厚みに依存して、例えば5ミクロン未満から100ミクロンを超えるまでの任意の所要の深さを有し得る。隔膜空洞230の表面及び通気孔空洞330の表面は、露出したシリコン、酸化したシリコン、ドープされたシリコンの何れであってもよいし、後のウェーハ接着及び加工温度に耐えることが可能な他の任意の薄膜で被覆されていてもよい。
【0022】
ステップ505では、従来のシリコン溶融接着手法を用いて、デバイス・ウェーハ100のデバイス層110をデバイス・ウェーハ200のデバイス層210に接着して、デバイス対450を形成することができる。一つの例示的な溶融接着手法では、向かい合った表面を親水性にすることができる。すなわち、各表面を強い酸化剤で処理して表面に水を付着させることができる。次いで、2個のウェーハを、接着の品質によって要求される時間にわたり高温環境に置くことができる。このシリコン溶融接着手法は、単結晶シリコン・ウェーハと異なる熱膨張率を有し得る介在する接着材を利用しないでデバイス・ウェーハ100とデバイス・ウェーハ200とを共に接着する。また、各ウェーハの一方又は両方の接着面に酸化物層を形成する溶融接着を行なってもよい。
【0023】
ステップ506では、デバイス層210及びデバイス110の向かい合った表面が接着した後に、絶縁体層115に達すると停止するKOH又はTMAHのような湿式エッチング液を用いてデバイス・ウェーハ100のハンドル層120を除去することができる。加えて、湿式又は乾式何れかのエッチング手法を用いて絶縁体層115を除去して、接着していないデバイス層110を露出させて残すことができる。
【0024】
図8は、本発明の一実施形態での通気孔空洞330を有する基材ウェーハ300を第一のデバイス層210に接着し、隔膜空洞230を有するこの第一のデバイス層210を、相互接続路400、感知素子140及び相互接続150を有する第二のデバイス層110に接着した状態での本発明の一実施形態での例示的な基材ウェーハ300である。
図8及び
図9を参照して述べると、ステップ507では、例えば二酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、又は両者の組み合わせを用いて不動態化層170をデバイス層110の接着していない方の面に堆積させて、製造工程時及び動作時の両方でデバイス・ウェーハ110を適正に絶縁して保護することができる。ステップ508では、1又は複数の感知素子140を、一好適実施形態ではピエゾ抵抗感知素子を用いて、デバイス層110の一部として形成され得る隔膜130の辺の近くでのドープされたn型デバイス層110への低ドープされたp型材料の拡散又はイオン打ち込みによって加えることができる。例えば、高温でのホウ素打ち込み及び拡散によって、デバイス層110の内部に1又は複数のピエゾ抵抗感知素子を形成することができる。ピエゾ抵抗感知素子は、隔膜130の曲げを感知するように配置され得る。尚、任意の数のピエゾ抵抗感知素子を用いてよく、また隔膜130に対するピエゾ抵抗感知素子の正確な配置は、特定の応用、期待される圧力、及び感度要件等に依存して異なっていてよいことを特記しておく。加えて、感知素子140に電気伝導を提供し得る1又は複数の相互接続150を、ドープされたn型デバイス層110への高ドープされたp型材料の拡散又はイオン打ち込みによって感知素子140に重ねて加えることができる。感知素子140及び相互接続150の拡散又は打ち込みは、個別のステップにおいて実行されてもよいし、単一のステップにおいて実行されてもよい。
【0025】
ステップ509では、導体のために圧力センサ10に沿った通路を提供する1又は複数の相互接続路400を、一実施形態ではデバイス層110及び210にエッチングすることができる。
図8に示すように、相互接続路400の位置を圧力センサ10の基部端75に画定するように、乾式又は湿式何れかのエッチング手法を用いて不動態化層170をエッチングすることができる。一旦、不動態化層170が除去されたら、1又は複数の相互接続路400を、例えばKOH又はTMAHを用いた湿式エッチング手法を通じてデバイス層110にエッチングすることができ、また選択随意でデバイス層210にエッチングすることができる。一実施形態では、相互接続路400は、
図10に示す圧力センサ10の基部端75の例示的な断面として示すように、一連の隔設されたV字溝を形成するようにエッチングされる。相互接続路400は、カテーテル先端型圧力センサのような幾つかの応用について要求される小型で細長いパッケージ形状を保ちつつ、圧力センサ10の基部端75への1又は複数の導体の後の取り付けを容易にすることができる。
【0026】
図9及び
図10を参照して述べると、ステップ510では、不動態化層470を、例えば二酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、又は両者の組み合わせを用いて、相互接続路400の表面に堆積させて、製造工程時及び動作時の両方に相互接続路400を適正に絶縁すると共に保護することができる。加えて、相互接続150に接触し得るように、乾式又は湿式何れかのエッチング手法を用いて不動態化層170をエッチングすることができる。ステップ511では、金属化層160を加えて、圧力センサ10の基部端75から相互接続150を通って感知素子140までの電気伝導を提供することができる。金属化層160は、例えば金又はアルミニウムで形成されて、デバイス設計の必要に適合するのに望ましい厚みに作製され得る。
【0027】
基材ウェーハ300がSOIウェーハであるような実施形態では、絶縁体層に達すると停止するKOH又はTMAHのような湿式エッチング液を用いて基材ウェーハ300のハンドル層を除去することができる。加えて、湿式又は乾式何れかのエッチング手法を用いて絶縁体層を除去し、デバイス層210に接着された通気孔300を含むSOIウェーハのデバイス層のみを残すことができる。
【0028】
最後に、圧力センサ10が底面通気孔の実施形態又は側面/底面通気孔の実施形態である場合には、ステップ512において、乾式エッチング手法、又は例えばKOH若しくはTMAHを用いた湿式エッチング手法を用いて、基材ウェーハ300を薄く加工して、通気孔出口335を圧力センサ10の外部に露出させることができる。
【0029】
図11は、真空若しくは他の選択された圧力が隔膜空洞230の内部に形成されて当該圧力センサ10が絶対圧センサとなるようにして圧力センサ10を製造し得る例示的な一実施形態を示す。本実施形態では、圧力測定値はセンサの外圧に対して取得される訳ではないので、センサの内部での通気孔の製造は不要である。
図12は、本発明の一実施形態での絶対圧センサ10を製造するために実行され得るステップを示す例示的な工程フローである。用いられる手法は差圧センサを製造する場合の手法と同様であるが、この実施形態は通気孔を必要としないので、圧力センサ10は2個のウェーハのみを用いて製造されることができ、従って、幾つかの製造ステップを省くことができる。一実施形態では、絶対圧センサ10は、SOIデバイス・ウェーハ100及びDSP基材ウェーハ300を含み得る。もう一つの実施形態では、絶対圧センサ10は第一のSOIデバイス・ウェーハ100を含み、基材ウェーハ300は第二のSOIデバイス・ウェーハを含み得る。
【0030】
図11及び
図12を参照して述べると、ステップ601では、隔膜空洞230を、DRIE、又はKOHかTMAH若しくは他のシリコン・エッチング液による湿式エッチング等を用いて基材ウェーハ300に直接エッチングすることができる。隔膜空洞230は、様々な幾何学的形状、例えば方形、矩形又は円形を有していてよく、特定の応用及び基材ウェーハ300の選択された厚みに依存して、例えば5ミクロン未満から100ミクロンを超えるまでの任意の所要の深さを有し得る。隔膜空洞230の表面は、露出したシリコン、酸化したシリコン、ドープされたシリコンの何れであってもよいし、後のウェーハ接着及び加工温度に耐えることが可能な他の任意の薄膜で被覆されていてもよい。
【0031】
ステップ602では、従来のシリコン溶融接着手法を用いて、デバイス・ウェーハ100のデバイス層110を基材ウェーハ300の表面に接着して、デバイス対450を形成する。一つの例示的な溶融接着手法では、向かい合った表面を親水性にすることができる。すなわち、各表面を強い酸化剤で処理して表面に水を付着させることができる水。次いで、2個のウェーハを、接着の品質によって要求される時間にわたり高温環境に置くことができる。上述のシリコン溶融接着手法は、単結晶シリコン・ウェーハと異なる熱膨張率を有し得る介在する接着材を利用しないで基材ウェーハ300とデバイス・ウェーハ100とを共に接着する。また、ウェーハの一方又は両方の接着面に酸化物層を形成する溶融接着を行なってもよい。
【0032】
ステップ603では、基材ウェーハ300及びデバイス層110の向かい合った表面を接着した後に、絶縁体層115に達すると停止するKOH又はTMAHのような湿式エッチング液を用いてデバイス・ウェーハ100のハンドル層120を除去することができる。加えて、湿式又は乾式何れかのエッチング手法を用いて絶縁体層115を除去することができ、接着したデバイス層110を残し、接着していない上面はこのとき露出する。加えて、ステップ604では、例えば、二酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、又は両者の組み合わせを用いて不動態化層170をデバイス層110の接着していない上面に堆積させて、製造工程時及び動作時の両方でデバイス・ウェーハ110を適正に絶縁して保護することができる。
【0033】
図12のステップ605を参照して述べると、1又は複数の感知素子140を、一好適実施形態ではピエゾ抵抗感知素子を用いて、デバイス層110の一部として形成され得る隔膜130の辺の近くでのドープされたn型デバイス層110への低ドープされたp型材料の拡散又はイオン打ち込みによって加えることができる。例えば、高温でのホウ素打ち込み及び拡散によって、デバイス層110の内部にピエゾ抵抗感知素子140を形成することができる。感知素子140は、隔膜130の曲げを感知するように配置され得る。尚、任意の数の感知素子140を用いてよく、また隔膜130に対する感知素子140の正確な配置は特定の応用、期待される圧力、及び感度要件等に依存して異なっていてよいことを特記しておく。加えて、感知素子140に電気伝導を提供し得る1又は複数の相互接続150を、ドープされたn型デバイス層110への高ドープされたp型材料の拡散又はイオン打ち込みによって感知素子140に重ねて加えることができる。
【0034】
ステップ606では、様々な導体のために圧力センサ10に沿った通路を提供する1又は複数の相互接続路400を、一実施形態ではデバイス層110及び210にエッチングすることができる。先ず、
図11に示すように、相互接続路400の位置を、隔膜を含む端部に対して反対側の圧力センサの基部端に画定するように、乾式又は湿式何れかのエッチング手法を用いて不動態化層170をエッチングする。一旦、不動態化層170が除去されたら、例えばKOH又はTMAHを用いた湿式エッチング手法を通じて1又は複数の相互接続路400をデバイス層110に、及び選択随意でデバイス層210にエッチングすることができる。一実施形態では、相互接続路400をエッチングして、
図13に示す圧力センサ10の基部端75の例示的な断面に示すような一連の隔設されたV字溝を形成する。相互接続路400は、カテーテル先端型圧力センサのような幾つかの応用に要求される小型で細長いパッケージ形状を保ちつつ、圧力センサ10の基部端75への1又は複数の導体の後の接続を可能にする。
【0035】
図11及び
図12に戻り、ステップ607では、例えば二酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、又は両者の組み合わせを用いて不動態化層470を相互接続路400の表面に堆積させて、製造工程時及び動作時の両方で相互接続路400を適正に絶縁して保護することができる。加えて、乾式又は湿式何れかのエッチング手法を用いて、相互接続150を露出させるように不動態化層170をエッチングすることができる。ステップ608では、金属化層160を加えて、圧力センサ10の基部端75から相互接続150を通って感知素子140までの電気伝導を提供することができる。金属化層160は、例えば金又はアルミニウムで形成されて、デバイス設計の必要に適合するのに望ましい厚みに作製され得る。
【0036】
基材ウェーハ300は、圧力センサ10の所与の設計仕様及び厚み要件を確保するように従来のエッチング手法を用いて薄く加工され得る。加えて、基材ウェーハ300がSOIウェーハである実施形態では、絶縁体層に達すると停止するKOH又はTMAHのような湿式エッチング液を用いて基材ウェーハ300のハンドル層を除去することができる。加えて、絶縁体層を、湿式又は乾式何れかのエッチング手法を用いて除去して、デバイス層110に接着された通気孔300を含むSOIウェーハのデバイス層のみを残すことができる。
【0037】
本書に記載される差圧センサの実施形態及び絶対圧センサの実施形態の両方を参照して述べると、圧力センサ10の形成時に作製される各々のエッチング産物は、特定の応用に依存して任意の選択された幾何学的形状を有し、また任意の所要の深さを有し得る。加えて、エッチング産物は必ずしも単一の一様な深さを有しなくてもよく、得られるエッチング産物は等方性であっても異方性であってもよい。各々のエッチング産物の選択される深さ及び幾何学的形状は、得られる圧力センサ10の設計特性を変化させるように選択され得る。例えば、隔膜空洞230によって支配されるデバイス層110の厚み、並びに隔膜130の寸法及び形状を、得られる圧力センサ10の感度を決定するように選択することができる。デバイス層110の選択される厚みは、SOIウェーハを製造するときに任意に選択されて正確に制御されることができ、この厚みによって、隔膜130の可撓性に対する改善された制御、従って、得られる圧力センサ10の性能特性に対する改善された制御を行なうことができる。加えて、製造目的のためにはプレーナ型の製造工程が理想的であり、製造歩留まりを高めるのみならず、得られるデバイスの全体的な信頼性及び長期性能を高め得る。従って、圧力センサ10の性能特性に対する一様な制御を達成することができる。
【0038】
以上の詳細な説明は実施形態の例を説明するために掲げられており、制限のためのものではない。センサを製造する方法を、圧力を測定する実施形態に関して図示して記載したが、同様の手法を用いて他のパラメータを測定することが可能なセンサを製造し得ることは当業者には明らかであろう。例えば、本書に開示されるセンサ及び関連する製造方法の様々な実施形態の例は様々なカテーテル先端型医療応用に関して記載されているが、これらの装置及び製造方法は、本書に明記されていない広範な他の応用において有用であることを認められたい。また、本発明の範囲内の多くの改変及び変形が可能であることは当業者には明らかであろう。さらに、当業者によって認められるように、多数の他の材料及び工程を所載の例示的な方法及び構造の範囲内で用いることができる。例えば、本書に記載されるp型材料及びn型材料を代替的な態様で用いることができ、例えばn型材料の代わりにp型材料を置き換えたり、反対に置き換えたりすることにより用い得ることを認められたい。加えて、当業者には、様々な実施形態の例において指定されて記載されたステップの系列は必ずしも所載の順序で生じなくてもよく、他の実施形態では様々なステップを組み合わせて異なる順序で又は並列に実行して、しかも依然として同じ結果を達成することが明らかであろう。
【0039】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。