(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5850794
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】部品搬送装置および部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-104368(P2012-104368)
(22)【出願日】2012年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-232572(P2013-232572A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和弘
【審査官】
遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−511665(JP,A)
【文献】
特表2009−516366(JP,A)
【文献】
特開2005−285810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給位置から目標位置まで部品を搬送する部品搬送装置であって、
部品を吸着する複数の吸着ノズルが、Z方向に延びる軸線を中心として環状に配設されたノズル組付ブロックと、
前記ノズル組付ブロックを前記軸線を中心として回転させる回転駆動部と、
標準吸着位置で吸着された部品の搬送可能エリアを標準搬送エリアとし、前記部品の目標位置が前記標準搬送エリアよりもX方向一側に越えていると判断した場合に、前記標準吸着位置よりも前記X方向一側に位置する吸着ノズルによって部品を吸着し、この部品を吸着した際における吸着ノズルの位置とこの部品を前記目標位置に載置する際における吸着ノズルの位置とが一致するように制御するコントローラとを備えた部品搬送装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記部品の目標位置が前記標準搬送エリアよりもX方向他側に超えていると判断した場合に、前記標準吸着位置よりも前記X方向他側に位置する吸着ノズルによって部品を吸着し、この部品を吸着した際における吸着ノズルの位置とこの部品を前記目標位置に載置する際における吸着ノズルの位置とが一致するように制御することを特徴とする請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項3】
複数の前記ノズル組付ブロックがX方向に間隔を空けて配設されているものにおいて、前記コントローラは、前記部品の目標位置が前記標準搬送エリアよりもX方向一側に超えていると判断した場合に、前記複数のノズル組付ブロックのうち最もX方向一側に位置するノズル組付ブロックを選択して部品を吸着するように制御する請求項1または請求項2に記載の部品搬送装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記部品の目標位置が前記標準搬送エリアよりもX方向他側に超えていると判断した場合に、最もX方向他側に位置するノズル組付ブロックを選択して部品を吸着するように制御する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の部品搬送装置。
【請求項5】
前記吸着ノズルが最もY方向一側に配された位置を前記標準吸着位置である0°の位置と定義した場合に、前記コントローラは、前記部品の目標位置が前記標準搬送エリアよりもX方向一側に越えていると判断した場合に、前記軸線を中心として回転方向一側に90°回転させた位置で前記部品を吸着するように制御する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の部品搬送装置。
【請求項6】
前記吸着ノズルが最もY方向一側に配された位置を前記標準吸着位置である0°の位置と定義した場合に、前記コントローラは、前記部品の目標位置が前記標準搬送エリアよりもX方向他側に越えていると判断した場合に、前記軸線を中心として回転方向他側に90°回転させた位置で前記部品を吸着するように制御する請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の部品搬送装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の部品搬送装置によって部品を基板の上方に搬送し、吸着ノズルをZ方向に移動させることによって前記部品を前記基板の目標位置に実装する部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品搬送装置および部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、表面実装機などに設けられる部品搬送装置は、基台上に設置された少なくとも一対のY方向フレームと、隣り合う一対のY方向フレーム間に架け渡されたX方向フレームと、このX方向フレームに取り付けられたヘッドユニットとを備えて構成されている。X方向フレームは、Y方向フレームによってY方向に移動可能に設けられており、ヘッドユニットは、X方向フレームによってX方向に移動可能に設けられている。
【0003】
ヘッドユニットの構成として、ロータリーヘッドを設けたものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。ロータリーヘッドは、複数の吸着ノズルが環状に配設されてなるノズル組付ブロックを有し、このノズル組付ブロックがノズル組付ブロック駆動手段によって回転可能とされている。複数の吸着ノズルは、ノズル組付ブロックの回転軸を中心として環状に配置されている。
【0004】
各吸着ノズルは、ノズル回転駆動手段によって個別に回転可能とされており、ノズル回転駆動手段は、吸着ノズル毎に設けられている。このようなノズル回転駆動手段を備えると、部品の搬送可能エリアをX方向に拡張することができる。具体的に説明すると、0°の位置(例えばY方向における最も手前側の位置)で部品を吸着した後、ノズル組付ブロックを時計回り方向に90°回転させて部品を90°の位置(例えばX方向における最も左側の位置)に移動させるとした場合、部品の回転半径だけ部品がX方向左側へ移動することになる。このとき、部品は、時計回り方向に90°回転した姿勢をとることになるため、部品吸着時の姿勢に戻すべくノズル回転駆動手段によって吸着ノズルを反時計回り方向に90°回転させる。したがって、部品吸着時の姿勢を維持したまま、部品の回転半径だけ部品の搬送可能エリアをX方向左側に拡張することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4364693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、各吸着ノズルの設置間隔は、ノズル回転駆動手段が隣の吸着ノズルに干渉しないように設定されているため、各吸着ノズルを近づけて配設することができない。この結果、ノズル組付ブロックに対する吸着ノズルの取付本数を増やすことができず、部品の搬送効率を向上させることができなかった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品の搬送可能エリアを拡張した上で、ノズル組付ブロックに対する吸着ノズルの取付本数を増やして部品の搬送効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、部品供給位置から目標位置まで部品を搬送する部品搬送装置であって、部品を吸着する複数の吸着ノズルが、Z方向に延びる軸線を中心として環状に配設されたノズル組付ブロックと、ノズル組付ブロックを軸線を中心として回転させる回転駆動部と、標準吸着位置で吸着された部品の搬送可能エリアを標準搬送エリアとし、部品の目標位置が標準搬送エリアよりもX方向一側に越えていると判断した場合に、標準吸着位置よりもX方向一側に位置する吸着ノズルによって部品を吸着し、この部品を吸着した際における吸着ノズルの位置とこの部品を目標位置に載置する際における吸着ノズルの位置とが一致するよう
に制御するコントローラとを備えた構成としたところに特徴を有する。
【0009】
このような構成によると、目標位置が標準搬送エリアよりもX方向一側に超えている場合に、標準吸着位置よりもX方向一側に位置する吸着ノズルによって部品を吸着し、部品を吸着した際における吸着ノズルの位置を順次記憶しておく。そして、部品を目標位置に載置する際に、部品を吸着した際における吸着ノズルの位置となるように回転駆動部によって吸着ノズルを回転させる。このようにすると、部品を吸着した際における吸着ノズルの位置とこの部品を目標位置に載置する際における吸着ノズルの位置とを一致させることができる。このため、目標位置が標準搬送エリアよりもX方向一側に超えている場合でも、その目標位置に部品を載置することができ、部品の搬送可能エリアを拡張することができる。
【0010】
また、各吸着ノズルを個別に回転させるノズル回転駆動手段を設けなくてもよいため、各吸着ノズルをできるだけ近づけて配設することができる。このため、ノズル組付ブロックに対する吸着ノズルの取付本数を増やすことができ、部品の搬送効率を向上させることができる。
【0011】
また、コントローラは、部品の目標位置が標準搬送エリアよりもX方向他側に超えていると判断した場合に、標準吸着位置よりもX方向他側に位置する吸着ノズルによって部品を吸着し、この部品を吸着した際における吸着ノズルの位置とこの部品を目標位置に載置する際における吸着ノズルの位置とが一致するよう
に制御する構成としてもよい。
このようにすると、目標位置が標準搬送エリアよりもX方向他側に超えている場合でも、その目標位置に部品を搬送することができる。
【0012】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
複数のノズル組付ブロックがX方向に間隔を空けて配設されているものにおいて、コントローラは、部品の目標位置が標準搬送エリアよりもX方向一側に超えていると判断した場合に、複数のノズル組付ブロックのうち最もX方向一側に位置するノズル組付ブロックを選択して部品を吸着するように制御する構成としてもよい。
【0013】
同様に、コントローラは、部品の目標位置が標準搬送エリアよりもX方向他側に超えていると判断した場合に、最もX方向他側に位置するノズル組付ブロックを選択して部品を吸着するように制御する構成としてもよい。
これらの構成によると、複数のノズル組付ブロックが配設されている場合においても、最適なノズル組付ブロックを選択して部品を搬送することができる。
【0014】
吸着ノズルが最もY方向一側に配された位置を標準吸着位置である0°の位置と定義した場合に、コントローラは、部品の目標位置が標準搬送エリアよりもX方向一側に越えていると判断した場合に、軸線を中心として回転方向一側に90°回転させた位置で部品を吸着するよう
に制御する構成としてもよい。
【0015】
このような構成によると、最もX方向一側に位置する吸着ノズルによって部品を搬送することができ、部品の搬送可能エリアをX方向一側に最も拡張することができる。また、90°の位置にある吸着ノズルが軸線を中心として回転方向にずれた場合であっても、X方向のずれ量を最小限に留めることができる。
【0016】
同様に、吸着ノズルが最もY方向一側に配された位置を標準吸着位置である0°の位置と定義した場合に、コントローラは、部品の目標位置が標準搬送エリアよりもX方向他側に越えていると判断した場合に、軸線を中心として回転方向他側に90°回転させた位置で部品を吸着するよう
に制御する構成としてもよい。
【0017】
このような構成によると、最もX方向他側に位置する吸着ノズルによって部品を搬送することができ、部品の搬送可能エリアをX方向他側に最も拡張することができる。また、90°の位置にある吸着ノズルが軸線を中心として回転方向にずれた場合であっても、X方向のずれ量を最小限に留めることができる。
【0018】
また、本発明は、上記の部品搬送装置によって部品を基板の上方に搬送し、吸着ノズルをZ方向に移動させることによって部品を基板の目標位置に実装する部品実装機に適用してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品の搬送可能エリアを拡張した上で、部品の搬送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】90°の位置で部品を吸着する様子を示した図
【
図6】0°の位置で部品を吸着した場合における搬送可能エリア(標準搬送エリア)を示した図
【
図7】90°の位置で部品を吸着した場合における搬送可能エリアを示した図
【
図9】部品を吸着して実装する手順を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
本発明の実施形態を
図1ないし
図9の図面を参照しながら説明する。本実施形態における部品実装機10は、
図1に示すように、基台11上に配置されてプリント基板(以下、「基板」という)Bを搬送する一対のコンベア20と、これら一対のコンベア20を挟む両側に配置された4つの部品供給部30と、基台11の上方に設けられた部品実装用のロータリーヘッド40とを備えて構成されている。
【0022】
なお、以下の説明においては
図1におけるコンベア20の基板Bの搬送方向をX方向として、図示左側(X方向一側)を下流側とし、図示右側(X方向他側)を上流側とする。また、
図1における各コンベア20の並び方向をY方向とし、
図1における紙面と直交する方向をZ方向とする。
【0023】
部品供給部30は、一対のコンベア20を挟む両側において2つずつ設けられている。各部品供給部30には、テープフィーダ等の複数の部品供給装置31が設けられている。この部品供給装置31には、複数の電子部品ECが装着されている。また、基台11上においてX方向に隣り合う一対の部品供給部30の間には、部品カメラ32が設けられている。この基板カメラ32は一対設けられ、一対の部品カメラ32は一対のコンベア20を挟む両側にそれぞれ配されている。
【0024】
ロータリーヘッド40は、部品供給装置31から電子部品ECをピックアップして基板B上に装着し得るように、部品供給装置31の部品供給位置と基板Bの目標位置(実装位置)との間を移動可能となっている。具体的には、ロータリーヘッド40は、X方向に延びるX方向フレーム42に移動可能に支持され、このX方向フレーム42はその両端部においてY方向に延びるY方向フレーム43に移動可能に支持されている。そして、ロータリーヘッド40は、X軸モータ44によりボールねじ軸45を介してX方向の駆動が行われ、X方向フレーム42は、Y軸モータ46によりボールねじ軸47を介してY方向の駆動が行われるようになっている。
【0025】
ロータリーヘッド40は、複数の吸着ノズル41、これらの吸着ノズルが環状に組み付けられた一対のノズル組付ブロック48、各ノズル組付ブロック48を回転させるR軸モータ(本発明の「回転駆動部」の一例)49などを備えて構成されている。ノズル組付ブロック48は、断面円形の柱状とされており、
図2に示すように、回転軸P1を中心として回転可能とされている。各吸着ノズル41は、回転軸P1の軸線を中心として環状に配設されている。R軸モータ49の回転駆動力は、1つの駆動ベルトDBを通して各ノズル組付ブロック48に同時に伝達されている。R軸モータ49の駆動軸にプーリPが取り付け固定されており、このプーリPと各ノズル組付ブロック48を一括して囲むようにして駆動ベルトDBが掛け渡されている。
【0026】
なお、隣り合う一対のノズル組付ブロック48の間隔は、任意の一対の部品供給装置31の間隔と一致しており、一対のノズル組付ブロック48の各吸着ノズル41によって一対の電子部品ECを同時に吸着することができるようになっている。
【0027】
各吸着ノズル41の端部には、
図3に示すように、Z軸モータ50が取り付け固定されている。吸着ノズル41は、Z軸モータ50によってZ方向に移動可能とされている。このため、部品供給装置31では、吸着ノズル41を下降させて部品供給位置にある電子部品ECを吸着可能とされている。また、電子部品ECを吸着した後、再び吸着ノズル41を上昇させて基板Bの上方に移動させ、吸着ノズル41を下降させることで基板Bの目標位置に電子部品ECを実装することができる。なお、各吸着ノズル41を個別に回転させるモータは設けられておらず、各吸着ノズル41を回転不能であるものの、各吸着ノズル41をより近づけて配設することができる。
【0028】
次に、吸着ノズル41の搬送可能エリアについて
図4ないし
図7の図面を参照しながら説明する。
図4は、標準吸着位置で電子部品ECを吸着する様子を簡素化して示した図である。標準吸着位置とは、
図4における図示8本の吸着ノズル41のうち最もY方向一側に配された吸着ノズル41の位置である。この位置を以下においては0°の位置という。
図6の一点鎖線は、0°の位置にある吸着ノズル41の搬送可能エリアを示したものであって、このエリアを標準搬送エリアA1という。
【0029】
一方、
図5は、X方向一側に位置するノズル組付ブロック48において、最もX方向一側に配された吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着する様子を簡易的に示した図である。最もX方向一側に配された吸着ノズル41は、ノズル組付ブロック48の回転軸P1を中心として回転方向一側に90°回転させた位置に配されている。この位置を以下においては90°の位置という。
図7の太字の一点鎖線は、90°の位置にある吸着ノズル41の搬送可能エリアを示したものであって、このエリアを90°搬送エリアA2という。
【0030】
言い換えると、90°搬送エリアA2は、一対のノズル組付ブロック48のうちX方向一側に位置するノズル組付ブロック48の90°の位置にある吸着ノズル41の搬送可能エリアである。要するに、90°搬送エリアA2は、標準搬送エリアA1をX方向一側に所定の距離だけ平行移動させたものであり、詳細には吸着ノズル41から回転軸P1までの距離だけ標準搬送エリアA1をX方向一側に平行移動させたものが90°搬送エリアA2となる。
【0031】
図示はしないものの、一対のノズル組付ブロック48のうちX方向他側に位置するノズル組付ブロック48において0°の位置から回転方向他側に90°回転させた位置にある吸着ノズル41の搬送可能エリアは、標準搬送エリアA1からX方向他側に所定の距離だけ平行移動させたものであり、詳細には吸着ノズル41から回転軸P1までの距離だけ標準搬送エリアA1をX方向他側に平行移動させたものである。
【0032】
したがって、標準搬送エリアA1を基準として、吸着ノズル41から回転軸P1までの距離だけX方向両側に搬送可能エリアを拡張することができる。このようにして標準搬送エリアA1およびこれからX方向両側に拡張された搬送可能なエリアを以下においては拡張搬送エリアという。
【0033】
続いて、部品実装機10の演算処理部100を中心とした電気的構成について
図8のブロック図を参照しながら説明する。演算処理部100には、表示ユニット110、実装プログラム記憶手段120、データ記憶手段130、モータ制御部140、外部入出力部150、画像処理部160が接続されている。なお、演算処理部100、実装プログラム記憶手段120、データ記憶手段130、モータ制御部140、外部入出力部150、および画像処理部160によってコントローラCが構成されている。
【0034】
実装プログラム記憶手段120には、部品実装機10の実装動作を行うための実装プログラムが記憶されている。この実装プログラムには、基板Wのサイズ、基板Wのサイズに応じた電子部品ECの標準搬送エリア、電子部品ECの種類、電子部品ECの目標位置などのデータが含まれている。
【0035】
モータ制御部140は、X軸モータ44、Y軸モータ46、Z軸モータ50、およびR軸モータ49にそれぞれ設けられたエンコーダから信号を受けて、各吸着ノズル41のX方向、Y方向、Z方向、および回転方向における移動量を把握することができる。なお、CV軸モータは、各コンベア20を駆動させて基板Bを搬送するためのモータであり、W軸モータは、各コンベア20間の距離を変更するためのモータである。
【0036】
画像処理部160は、基板カメラと部品カメラ33が接続されている。部品カメラ33は、吸着ノズル41の下端に吸着された電子部品ECを下方から撮像した撮像画像に基づいて撮像中心に対する電子部品ECのずれ量を把握することができる。また、基板カメラは、基板Bの対角に配された一対のフィデューシャルマークFMを撮像するカメラであり、この撮像画像に基づいて画像処理部160が撮像中心に対する基板Bのずれ量を把握することができる。
【0037】
本実施形態は以上のような構成であって、次に電子部品ECの実装作業を
図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
まず、基板Bの実装プログラムが実行可能な基板データか否かをコントローラCによって判断する(S1)。ここでいう実行可能な基板データとは、電子部品ECの搭載座標が拡張搬送エリアの範囲内にあるものをいう。したがって、電子部品ECの搭載座標が拡張搬送エリアの範囲外にあるものが実装プログラムに含まれている場合には(S1でNo)、エラーと判定され(S7)、表示ユニット110にエラー表示がなされる。一方、電子部品ECの搭載座標が拡張搬送エリアの範囲内である場合には(S1でYes)、実装動作が開始される(S2)。
【0039】
次に、電子部品ECの搭載座標が0°の位置にある吸着ノズル41によって実装可能か否かをコントローラCによって判断する(S3)。つまり、電子部品ECの搭載座標が標準搬送エリアA1の範囲内にあるか否かを判断し、範囲内である場合には(S3でYes)、0°の位置にある吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着し、部品供給位置から基板Bの上方へ移動し、吸着ノズル41を下降させて電子部品ECを基板Bの目標位置に載置し実装する(S5)。一方、電子部品ECの搭載座標が標準搬送エリアA1の範囲外である場合には(S3でNo)、電子部品ECの搭載座標が90°の位置にある吸着ノズル41によって実装可能か否かを判断する(S4)。
【0040】
ここで、90°の位置とは、0°の位置から回転方向一側に90°回転させた位置のみならず、0°の位置から回転方向他側に90°回転された位置も含む。このため、電子部品ECの目標位置が、標準搬送エリアA1よりもX方向一側に超えている場合には、コントローラCが、一対のノズル組付ブロック48のうち最もX方向一側にあるノズル組付ブロック48を選択した上で、0°の位置から回転方向一側に90°回転させた位置にある吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着するように制御する。一方、電子部品ECの目標位置が、標準搬送エリアA1よりもX方向他側に超えている場合には、コントローラCが、最もX方向他側にあるノズル組付ブロック48を選択した上で、0°の位置から回転方向他側に90°回転させた位置にある吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着するように制御する。
【0041】
このように、電子部品ECの搭載座標が標準搬送エリアA1の範囲外であって拡張搬送エリアの範囲内である場合には(S4でYes)、90°の位置にある吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着し、部品供給位置から基板Bの上方へ移動し、吸着ノズル41を下降させて電子部品ECを基板Bの目標位置に載置し実装する(S6)。
【0042】
一方、電子部品ECの搭載座標が実装不能なエリアの範囲内である場合には(S4でNo)、エラーと判定され(S7)、表示ユニット110にエラー表示がなされる。ここで、実装不能なエリアの範囲内である場合とは、例えば、複数のロータリーヘッドを搭載した部品実装機において、これから実装しようとするエリアに電子部品ECを搬送したとすると、隣りのロータリーヘッドに衝突してしまうため搬送できないような場合が挙げられる。
【0043】
以上のように本実施形態によると、90°の位置にある吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着し、90°の位置で電子部品ECを基板Bに実装するようにしたから、基板Bにおける電子部品ECの実装可能エリアをX方向両側に拡張することができる。また、各吸着ノズル41を回転させるモータが不要となり、ノズル組付ブロック48に対する吸着ノズル41の取付本数を増やすことができる。したがって、電子部品ECの実装効率を高めることができる。また、90°の位置にある吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着しているから、吸着ノズル41がわずかに回転するなどして90°の位置から回転方向に位置ずれした場合であっても、X方向の位置ずれを最小限に留めることができる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では本発明の部品搬送装置を部品実装機に適用したものを例示しているものの、本発明によると、部品の検査を行う部品検査機に適用してもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では90°の位置にある吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着、実装しているものの、本発明によると、45°の位置にある吸着ノズル41によって電子部品ECを吸着、実装してもよい。
【0046】
(3)上記実施形態では吸着ノズル41で電子部品ECを吸着した後、そのまま基板Bの目標位置に実装する作業を説明したものの、本実施形態のノズル組付ブロック48には、8本の吸着ノズル41が組み付けられているため、吸着作業を連続して行った後、実装作業を連続して行うこともできる。すなわち、90°の位置にある1本目の吸着ノズル41で最初の電子部品ECを吸着した際、この電子部品ECと1本目の吸着ノズル41とを関連付けて記憶しておき、ノズル組付ブロック48を45°回転させた後、90°の位置にある2本目の吸着ノズル41で次の電子部品ECを吸着する。このように全ての吸着ノズル41に電子部品ECを順次吸着させた後、基板Bに順次実装していく。実装に際しては、R軸モータ49によって各電子部品ECに関連付けされた各吸着ノズル41を90°の位置に回転させ、吸着ノズル41を下降させて基板Bの目標位置に実装を行う。このようにすれば、ロータリーヘッド40が部品供給位置と目標位置の間を往復する回数を減らして移動距離を減らすことができるため、90°の位置で実装を行う場合においても実装効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
10…部品実装機(部品搬送装置)
41…吸着ノズル
48…ノズル組付ブロック
49…R軸モータ(回転駆動部)
A1…標準搬送エリア
B…基板
C…コントローラ
EC…電子部品
P1…回転軸(軸線)