(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
揚穀コンベアに設けられた放出羽根によってグレンタンクに形成された投入口を介して前記グレンタンクの内部へ投入される穀粒の水分量を検出する水分量検出ユニットと、前記水分量検出ユニットの作動制御を司る制御装置とを備えたコンバインであって、
前記水分量検出ユニットは、前記放出羽根によって前記投入口を介して前記グレンタンク内に投入される穀粒の投入軌跡内に位置するように前記グレンタンクの周壁内表面に固着されたカバーであって、上方に開く受入口及び下方に開く放出口を有するカバーと、前記カバー内に配置された定量ケースを有する貯留部と、前記定量ケースに貯留された穀粒の水分量を検出する静電容量式センサと、前記貯留部の状態を変化させる電動アクチュエータとを備え、
前記貯留部は、前記制御装置によって制御される前記電動アクチュエータの作動に応じて、前記投入口を介して前記グレンタンク内に投入され且つ前記受入口を介して前記カバー内に入り込む穀粒を前記定量ケースに受け入れて貯留する受入状態と、前記定量ケース内の穀粒を貯留しつつ前記定量ケースへの新たな穀粒の受入を拒否する定量保持状態と、前記定量ケース内の穀粒を前記放出口を介して前記グレンタンク内に放出する放出状態とを選択的に取り得るように構成されていることを特徴とするコンバイン。
前記グレンタンクは、機体長手方向前方側及び後方側にそれぞれ位置する前側周壁及び後側周壁と、前記前側周壁及び前記後側周壁の機体幅方向内方側及び外方側にそれぞれ位置する内側周壁及び外側周壁と、前記複数の周壁によって画される空間の上方開口を閉塞する上壁とを有し、
前記カバーは、前記前側周壁の内表面の上部に固着されていることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
前記定量ケースは、上方及び下方がそれぞれ上方開口及び下方開口とされた収容空間と、前記上方開口及び前記下方開口を結ぶ上下方向とは直交する水平方向の一方側に前記収容空間を外方へ開く設置開口とを有し、
前記静電容量式センサは、前記収容空間に臨むように前記設置開口に配置され、
前記貯留部は、前記設置開口に対する前記センサの抜き差しを許容しつつ水平方向に沿った回転軸線回り相対回転可能に前記定量ケースに外挿され且つ前記電動アクチュエータによって前記回転軸線回りに駆動されるロータリシャッターを有し、
前記ロータリシャッターには、前記収容空間の前記上方開口及び前記下方開口をそれぞれ開放可能な受入開口及び放出開口が設けられ、
前記ロータリシャッターは、前記回転軸線回りに、前記定量ケースの前記下方開口を閉塞しつつ前記受入開口を介して前記上方開口を外部に開放する受入位置と、前記定量ケースの前記上方開口及び下方開口の双方を閉塞する定量保持位置と、前記放出開口を介して前記定量ケースの前記下方開口を外部に開放する放出位置とを取り得ることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のコンバイン。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るコンバインの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に、それぞれ、本実施の形態に係るコンバイン1の側面図及び平面図を示す。
図3に、前記コンバイン1の内部構成を示す模式側面図を示す。
【0021】
まず、
図1〜
図3を参照しつつ、前記コンバインの全体構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、前記コンバイン1は、機体フレーム2と、前記機体フレーム2に支持されたエンジン(図示せず)と、前記エンジンから入力される動力を変速する変速部(図示せず)と、前記機体フレーム2に連結され且つ前記変速部からの回転動力によって駆動される左右一対のクローラの形態をなす走行部3と、前記機体フレーム2の前方に配置され且つ前記機体フレーム2に昇降可能に連結された刈取部4と、前記刈取部4によって刈り取られた刈取穀稈を受け継ぐ刈取搬送部5と、前記刈取搬送部5から刈取穀桿を受け継いで機体後方へ搬送するフィードチェーン部6と、前記フィードチェーン部6によって搬送される穀桿に対して脱穀処理を行う脱穀部7と、前記脱穀部7によって脱穀された脱穀物に対して選別処理を行う選別部9と、前記選別部9によって選別された穀粒を貯留するグレンタンク30と、前記グレンタンク30に収容されている穀粒を外部へ排出する穀粒排出部10と、運転席及びステアリングハンドルを含む操縦部11とを備えている。
【0022】
前記刈取部4は、
図1及び
図2に示すように、圃場の穀稈を分草する分草具4aと、前記分草具4aによって分草された穀稈を引き起こす引起装置4bと、前記引起装置4bによって引き起こされた後の穀稈を切断する切断装置4cとを含んでいる。
【0023】
図3に示すように、前記脱穀部7は、扱室70と、前記扱室内に配設された扱胴71と、前記扱胴71の下方に配設された受網72とを有している。
前記扱胴71は、前記エンジンからの回転動力によって回転駆動される扱胴本体71aと、前記扱胴本体71aの外表面に螺旋状に配設された複数の扱歯71bとを有している。
なお、
図3中の符号73は、前記扱室70の上壁内表面に設けられた送塵弁である。
【0024】
本実施の形態においては、前記コンバイン1は、さらに、処理部8を有している。
前記処理部8は、前記扱室70の後方側に連通された処理室80と、前記処理室80内に配設された処理胴81と、前記処理胴81の下方に配設された処理網82とを有している。
【0025】
前記処理胴81は、前記エンジンからの回転動力によって回転駆動される処理胴本体81aと、前記処理胴本体81aの外表面に螺旋状に配設された複数の扱歯81bとを有している。
なお、
図3中の符号83は、前記処理室80の上壁内表面に設けられた送塵弁である。
【0026】
前記選別部9は、前記受網72及び前記処理網82から流下する脱穀物に対して揺動選別を行う揺動選別部91と、前記揺動選別部91に対して前下方から後上方へ向けて選別風を送る風選別部92と、前記揺動選別部91によって選別された一番物及び二番物をそれぞれ集約する一番樋93及び二番樋95と、前記一番樋93に集約された穀粒を前記グレンタンクへ搬送する穀粒搬送部94と、前記二番樋95に集約された二番物を前記揺動選別部91の上流側へ還元する二番物還元部96とを有している。
【0027】
前記揺動選別部91は、フィードパン91aと、前記フィードパン91aの後方側に配置されたチャフシーブ91bと、前記チャフシーブ91bの後方側に配置されたストローラック91cと、前記チャフシーブ91bの下方に配設されたグレンシーブ91dとを有している。
【0028】
前記風選別部92は、前記揺動選別部91の前下方に配設された唐箕92aと、前記揺動選別部91の後上方に配設された吸引ファン92bとを有している。
【0029】
前記穀粒搬送部94は、前記一番樋93に配設された一番コンベア940と、前記一番樋93及び前記グレンタンク30に形成された投入口30aの間を接続する揚穀筒941と、前記揚穀筒941内に配設された揚穀コンベア(図示せず)とを有している。
【0030】
前記一番コンベア940は、前記エンジンによって作動的に回転駆動される一番コンベア軸940aと、前記一番コンベア軸940aに螺旋状に設けられた一番搬送体940bとを有している。
【0031】
前記揚穀コンベアは、前記エンジンによって作動的に回転駆動される揚穀軸(図示せず)と、前記揚穀軸に螺旋状に設けられた揚穀搬送体(図示せず)と、前記揚穀搬送体によって送られてきた穀粒を跳ね飛ばす放出羽根942aであって、前記投入口30aに臨むように前記揚穀軸の上端部に設けられた放出羽根942aとを有している。
【0032】
前記二番還元部96は、前記二番樋95に配設された二番コンベア960と、前記二番樋95及び前記フィードパン91aの上部空間の間を接続する二番還元筒961と、前記二番還元筒961内に配設された二番還元コンベア(図示せず)とを有している。
【0033】
前記二番還元コンベア960は、前記エンジンによって作動的に回転駆動される二番還元軸960aと、前記二番還元軸960aに螺旋状に設けられた二番還元搬送体960bとを有している。
【0034】
前記穀粒排出部10は、前記グレンタンク30に形成された排出口から穀粒を排出するように前記グレンタンク30内に配設された排出コンベア(図示せず)と、下端部が前記排出口に接続された状態で略垂直に立設された縦オーガ筒10a(
図1参照)と、前記縦オーガ筒内に配設された縦オーガコンベア(図示せず)と、基端部が前記縦オーガ筒10aの上端部に水平な回動軸回り回動可能に連結された横オーガ筒10b(
図1及び
図2参照)と、前記横オーガ筒10b内に配設された横オーガコンベア(図示せず)とを有している。
【0035】
本実施の形態に係る前記コンバイン1は、さらに、前記グレンタンク30に収容される穀粒の水分量を検出する水分検出構造を備えている。
以下、前記水分検出構造について説明する。
【0036】
図4〜
図6に、それぞれ、前記グレンタンク30における上壁35の一部を外した状態の前記グレンタンク30近傍の拡大斜視図、拡大側面図及び拡大平面図を示す。
なお、
図4〜
図6においては、前記横オーガ筒10bの図示を省略している。
又、
図7に、前記コンバイン1に備えられる制御装置50のブロック図を示す。
【0037】
図4〜
図7に示すように、前記コンバイン1は、水分量検出ユニット100と前記水分量検出ユニット100の作動制御を司る前記制御装置50とを備えている。
【0038】
前記制御装置50は、センサやスイッチから入力される信号に基づいて演算処理を実行する制御演算手段を含む演算部51と、下記水分量検出プログラムや変換式、制御データ等を記憶するROM,設定値等を電源を切っても失われない状態で保存し且つ前記設定値等が書き換え可能とされたEEPROM及び前記演算部による演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等を含む記憶部52とを備えている。
【0039】
図8及び
図9に、前記水分量検出ユニット100の分解斜視図を示す。
図8及び
図9に示すように、前記水分量検出ユニット100は、上方に開く受入口110a及び下方に開く放出口110bを有するカバー110と、前記カバー110内に配置された定量ケース125を有する貯留部120と、前記定量ケース125に貯留された穀粒の水分量を検出する静電容量式センサ190と、電動アクチュエータ200とを備えている。
【0040】
前記カバー110は、前記揚穀コンベアの放出羽根942aによって前記投入口30aを介して前記グレンタンク30の内部に投入される穀粒の投入軌跡内に位置するように前記グレンタンク30の周壁内周面に固着されている。
【0041】
詳しくは、前記グレンタンク30は、機体長手方向前方側及び後方側にそれぞれ位置する前側周壁31及び後側周壁32と、前記前側周壁31及び前記後側周壁32の機体幅方向内方側及び外方側にそれぞれ位置する内側周壁33及び外側周壁と、前記複数の周壁31〜34によって画される空間の上方開口を閉塞する前記上壁35とを有している。
【0042】
本実施の形態においては、
図4〜
図6に示すように、前記投入口30aは、前記内側周壁33に形成されている。
そして、前記カバー110は、前記前側周壁31の内表面の上部に固着されている。
なお、他の部材のレイアウト等に応じて、前記投入口30aを前記後側周壁32に設けることも可能である。
【0043】
前記貯留部120は、前記電動アクチュエータ200の作動に応じて、前記定量ケース125への穀粒の受入を可能とする受入状態と、前記定量ケース125内の穀粒を貯留しつつ前記定量ケース125への新たな穀粒の受入を拒否する定量保持状態と、前記定量ケース125内の穀粒を放出する放出状態とを選択的に取り得るように構成されている。
即ち、前記制御装置50が前記電動アクチュエータ200を作動させることで、前記貯留部120が受入状態、定量保持状態又は放出状態の何れかの状態とされる。
【0044】
なお、前述の通り、前記定量ケース125は前記カバー110内に配置されている。
従って、前記定量ケース125への穀粒の供給は前記カバー110の前記受入口110aを介して行われ、前記定量ケース125からの穀粒の放出は前記カバー110の前記放出口110bを介して行われる。
【0045】
本実施の形態においては、
図6、
図8及び
図9に示すように、前記カバー110は、側壁111と前記側壁111の上方を閉塞する上壁112とを有し、前記側壁111の下方開口が前記放出口110bを形成している。
【0046】
前記側壁111のうち前記投入口30aを向く一の側壁(本実施の形態においては後壁111aは、下方へ行くに従って前記投入口30aに近接するように傾斜された傾斜面111bを有している。
そして、前記受入口110aは前記傾斜面111bに形成されている。
【0047】
斯かる構成によれば、前記投入口30aを介して前記放出羽根942aによって前記グレンタンク30内に投入される穀粒を安定的に前記定量ケース125へ案内することができる。
【0048】
なお、
図8及び
図9に示すように、本実施の形態においては、前記水分量検出ユニット100は、前記受入口110aを介して前記カバー110内に導入された穀粒を前記定量ケース125に導く案内部材115を、さらに備えている。
【0049】
図8及び
図9に示すように、本実施の形態においては、前記貯留部120は、前記定量ケース125に加えてロータリシャッター130を有しており、前記ロータリシャッター130が前記電動アクチュエータ200によって作動されることで前記貯留部120が受入状態、定量保持状態又は放出状態に選択的に切り替わるようになっている。
【0050】
図10に、
図6におけるX-X線に沿った前記水分量検出ユニット100の断面図を示す。
又、
図11に、
図6におけるX-X線に沿った前記水分量検出ユニット100の断面斜視図を示す。
【0051】
詳しくは、
図8〜
図11に示すように、前記定量ケース125は、上方及び下方がそれぞれ上方開口126a及び下方開口126bとされた収容空間126を有し且つ前記上方開口126a及び前記下方開口126bを結ぶ上下方向とは直交する水平方向の一方側に前記収容空間126を外方へ開く設置開口127が設けられている。
【0052】
前記設置開口127は、前記静電容量式センサ190を設置する為のものである。
即ち、
図10に示すように、前記静電容量式センサ190は、前記収容空間126に臨むように前記設置開口127に配置される。
【0053】
前記ロータリシャッター130は、
図10に示すように、前記設置開口127に対する前記センサ190の抜き差しを許容しつつ水平方向に沿った回転軸線回り回転可能に前記定量ケース125に外挿されている。
【0054】
詳しくは、前記ロータリシャッター130は、前記定量ケース125を囲繞する円筒状のシャッター本体131と、前記シャッター本体131に設けられた受入開口132a及び放出開口132bであって、前記収容空間126の前記上方開口126a及び前記下方開口126bをそれぞれ開放可能な受入開口132a及び放出開口132bとを有しており、前記電動アクチュエータ200による駆動に応じて、回転軸線回りに、受入位置、定量保持位置又は放出位置を取るように構成されている。
【0055】
図12及び
図13に、
図11に対応した前記水分量検出ユニット100の断面図であって、前記ロータリシャッター130が、それぞれ、定量保持位置及び放出位置に位置された状態の断面図を示す。
なお、
図11は、前記ロータリシャッター130が受入位置に位置された状態を示している。
【0056】
図11に示すように、前記ロータリシャッター130が受入位置に位置された状態においては、前記定量ケース125の前記下方開口126bは前記シャッター本体131によって閉塞されつつ、前記定量ケース125の前記上方開口126aは前記受入開口132aを介して外部に開放される。
この状態は、前記カバー110の前記受入口110aを介して前記カバー110内に入り込んだ穀粒が前記定量ケース125内に受け入れられる前記貯留部120の受入状態である。
【0057】
図12に示すように、前記ロータリシャッター130が定量保持位置に位置された状態においては、前記定量ケース125の前記上方開口126a及び前記下方開口126bの双方共に前記シャッター本体131によって閉塞される。
この状態は、前記定量ケース125内の穀粒を貯留しつつ新たな穀粒の前記定量ケース125への受け入れを拒否する前記貯留部120の定量保持状態である。
【0058】
図13に示すように、前記ロータリシャッター130が放出位置に位置された状態においては、前記定量ケース125の前記上方開口は前記シャッター本体131によって閉塞されつつ、前記定量ケース125の前記下方開口126bは前記放出開口132bを介して外部に開放される。
この状態は、前記定量ケース125内への新たな穀粒の受け入れを拒否しつつ、前記定量ケース125内に既に貯留されている穀粒を前記グレンタンク30内へ放出する前記貯留部120の放出状態である。
【0059】
本実施の形態においては、
図8〜
図10に示すように、前記水分量検出ユニット100は、さらに、前記ロータリシャッター130における水平方向他方側に固着された回転プレート135と、前記回転軸線上に位置するように前記回転プレート135から水平方向他方側へ延びる回転軸140と、前記回転軸を軸線回り回転自在に支持する支持部材145とを備えている。
【0060】
図8、
図9及び
図11〜
図13に示すように、前記回転プレート135は外周縁に歯部136を有しており、前記歯部136が前記電動モータ200の出力軸202に作動連結されている。
【0061】
本実施の形態においては、前記電動モータ200は、モータ本体201と前記モータ本体201から水平方向一方側へ延在された前記出力軸202とを有しており、前記出力軸202に設けられた出力ギヤ203が前記歯部136に係合している。
【0062】
斯かる構成により、前記電動モータ200が前記制御装置50によって作動制御されることで、前記回転プレート135が前記回転軸140の軸線回りに回転し、これにより、前記ロータリシャッター130が前記回転軸線回りに回転する。
【0063】
本実施の形態においては、
図8、
図9及び
図11〜
図13に示すように、前記水分量検出ユニット100は、さらに、3つのマイクロスイッチ150a〜150cを有しており、前記3つのマイクロスイッチ150a〜150cによって前記ロータリシャッター130の前記回転軸線回りの位置を検出するように構成されている。
【0064】
詳しくは、
図9及び
図11〜
図13に示すように、前記回転プレート135は、外周縁のうち前記歯部136が設けられた領域以外の領域に、被検出体137を有している。
本実施の形態においては、前記被検出体137は、径方向外方へ突出された凸部とされている。
【0065】
そして、前記3つのマイクロスイッチ150a〜150cは、前記ロータリシャッター130が受入位置、定量保持位置及び放出位置に位置された際に、それぞれ、前記被検出体137と当接するように、配置されている。
【0066】
前記制御装置50は、例えば、前記水分量検出プログラムに従って前記水分量検出ユニット100の作動制御を行う。
【0067】
即ち、
図7に示すように、前記コンバイン1には、前記エンジンから前記脱穀部7及び前記選別部9へ動力を伝達する脱穀・選別伝動経路に介挿された脱穀クラッチ315と、前記放出羽根942aによって前記投入口30aを介して前記グレンタンク30内に投入される穀粒量を検出し得るように前記グレンタンク30内に配設された投入量センサ330とが備えられている。
【0068】
なお、前記脱穀クラッチ315は、前記コンバイン1に備えられる脱穀スイッチ310への人為操作に応じて、前記制御装置50によって電気的に作動制御される。
【0069】
又、前記コンバイン1には、さらに、人為操作される刈取スイッチ320と、前記脱穀・選別伝動経路のうち前記脱穀クラッチ315より伝動方向下流側に介挿された刈取クラッチ325とが備えられている。
【0070】
前記制御装置50は、前記脱穀クラッチ315が係合されており且つ前記投入量センサ330からの信号によって前記グレンタンク30内への穀粒の投入を認識すると、前記水分量検出プログラムを起動する。
【0071】
前記水分量検出プログラムが起動されると、前記制御装置50は、まず、前記ロータリシャッター130が受入位置に位置するように前記電動モータ200を作動させる。
本実施の形態においては、前記制御装置50は、受入位置検出用のマイクロスイッチ150aが前記被検出体137を検出することによって、前記ロータリシャッター130が受入位置に位置したことを認識する。
【0072】
前記制御装置50は、前記ロータリシャッター130を受入位置に位置させてから(即ち、前記貯留部120を受入状態としてから)、この前記貯留部120の受入状態を所定時間、保持する。
【0073】
この所定時間は、前記放出羽根942aによって前記グレンタンク30内に投入された穀粒のうち前記受入口110a、前記受入開口132a及び前記上方開口126aを介して前記定量ケース125内に入り込む穀粒が前記定量ケース125の収容空間126を満杯にするような時間に設定される。
【0074】
前記所定時間経過後に、前記制御装置50は、前記ロータリシャッター130が受入位置から定量保持位置へ回転するように前記電動モータ200を作動させる。
本実施の形態においては、前記制御装置500は、定量保持位置検出用のマイクロスイッチ150bが前記被検出体137を検出することによって、前記ロータリシャッター137が定量保持位置に位置したことを認識する。
【0075】
前記ロータリシャッター130が定量保持位置に位置されている状態、即ち、前記貯留部120の定量保持状態において、前記制御装置50は、前記静電容量式センサ190から水分量に関する信号を入力する。
【0076】
斯かる構成によれば、穀粒の水分量を精度良く検出することができる。
即ち、前記静電容量式センサ190は、検出対象である穀粒の静電容量に基づき、当該穀粒の水分量を算出する。
ここで、前記静電容量式センサ190によって検出される穀粒の静電容量は、穀粒の水分量によっても変動するが、検出時点での穀粒の容量によっても変動する。
つまり、静電容量に基づいて穀粒の水分量を算出する為には、前記静電容量式センサ190が静電容量を検出する際の穀粒の容量を把握する必要がある。
【0077】
この点に関し、本実施の形態においては、前述の通り、前記制御装置50は、前記貯留部120の定量保持状態において、前記静電容量式センサ190から水分量に関する信号を入力する。
【0078】
即ち、前記制御装置50は、前記定量ケース125の収容空間126によって画される一定量の穀粒を被検出対象とした状態の前記静電容量式センサ190からの検出信号を入力している。
従って、穀粒の容量変動に起因する誤差を可及的に低減させて、穀粒の水分量を精度良く検出することができる。
【0079】
前記静電容量式センサ190からの信号を入力すると、前記制御装置50は、前記ロータリシャッター130が定量保持位置から放出位置へ移動するように前記電動モータ200を作動させる。
本実施の形態においては、前記制御装置50は、放出位置検出用のマイクロスイッチ150cが前記被検出体137を検出することによって、前記ロータリシャッター130が放出位置に位置したことを認識する。
【0080】
前記制御装置50は、前記ロータリシャッター130の放出位置(即ち、前記貯留部の受入状態)を、所定時間、保持する。
この所定時間は、前記定量ケース125内の穀粒が全て放出されるような時間に設定される。
【0081】
前記制御装置50は、前記脱穀クラッチ315の解除又は前記投入量センサ330からの信号に基づく前記グレンタンク30内への穀粒の投入停止を認識するまで、前記サイクルを繰り返す。
【0082】
なお、
図7に示すように、前記コンバイン1に温度センサ340及び湿度センサ350を備え、これらのセンサ340、350からの信号に基づいて、前記制御装置50が前記静電容量式センサ190からの検出信号を補正して水分量を得ることも可能である。
【0083】
このように、本実施の形態に係るコンバイン1においては、前記制御装置50によって制御される前記電動アクチュエータ200の作動に応じて、前記貯留部120が、穀粒を前記定量ケース125に受け入れて貯留する受入状態と、前記定量ケース125内の穀粒を貯留しつつ前記定量ケース125への新たな穀粒の受入を拒否する定量保持状態と、前記定量ケース125内の穀粒を放出する放出状態とを選択的に取り得るように構成されている。
【0084】
従って、前記貯留部120を定量保持状態としている際の前記静電容量式センサ190の検出信号を前記制御装置50が入力すれば、穀粒を圧砕する必要がない前記静電容量式センサを用いつつ、前記グレンタンク30に収容される穀粒の水分量を正確に得ることができる。
【0085】
さらに、前記コンバイン1においては、前記定量ケース125は前記揚穀コンベアの前記放出羽根942aによって前記グレンタンク30内へ投入される穀粒の投入軌跡内に位置するように前記グレンタンク30の周壁内表面に固着されている前記カバー110によって覆われている。ここで、前記カバー110は、上方及び下方にそれぞれ開く前記受入口110a及び前記放出口110bを有している。
【0086】
斯かる構成によれば、前記定量ケース125の直下に、前記グレンタンク30内に収容された穀粒によって充填され難い空きスペースを有効に確保することができる。従って、前記貯留部120を定量保持状態から放出状態へ移行して前記定量ケース125内の穀粒を放出させる際に、前記定量ケース125内に穀粒が残留することを有効に防止することができる。
【0087】
即ち、前記グレンタンク30内に収容される穀粒の収容形状(堆積形状)は当該穀粒の安息角によって画される。
例えば、前記カバー110を有さずに前記定量ケース125を前記グレンタンク30内に配置させたと仮定する。この場合には、前記グレンタンク30内に収容される穀粒は、前記グレンタンク30の周壁によって画される平面形状の全体に亘る一つの堆積形状で堆積される。
【0088】
これに対し、本実施の形態においては、前述の通り、前記カバー110が前記グレンタンク30における一の周壁内表面に固着されている。この場合には、前記カバー110の直下を除く部分には第1の堆積形状で穀粒が堆積され、前記カバー直下の部分には前記第1堆積形状とは別の第2の堆積形状で穀粒が堆積される。
【0089】
詳しくは、前記第2の堆積形状は、前記カバー110の側壁111のうち、前記グレンタンク30における前記一の周壁から最も離間された側壁の下端エッジを頂点とした前記穀粒の安息角によって定まる堆積形状となる。
従って、前記カバー110を有さない場合に比して、前記カバー110の直下に穀粒が充填され難い空きスペースを確保することができる。
【0090】
なお、本実施の形態においては、前記定量ケース125を覆う前記ロータリシャッター130によって、前記貯留部120の受入状態、定量保持状態及び放出状態の切替を行っているが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
【0091】
即ち、前記定量ケース125の上方開口126a及び下方開口126bをそれぞれ開閉する上方シャッター及び下方シャッターと、前記上方シャッター及び下方シャッターをそれぞれ作動させる上方電動アクチュエータ及び下方電動アクチュエータとを備え、前記制御装置50が前記上方電動アクチュエータ及び前記下方電動アクチュエータの作動制御を行うように構成することも可能である。