特許第5850934号(P5850934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5850934自動車におけるより良いナビゲーション精度のためのPND再位置決め検出器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5850934
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】自動車におけるより良いナビゲーション精度のためのPND再位置決め検出器
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20160114BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   G01C21/28
   G01C21/26 A
【請求項の数】36
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-523235(P2013-523235)
(86)(22)【出願日】2011年7月29日
(65)【公表番号】特表2013-538345(P2013-538345A)
(43)【公表日】2013年10月10日
(86)【国際出願番号】US2011046001
(87)【国際公開番号】WO2012018695
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2013年1月30日
(31)【優先権主張番号】12/848,807
(32)【優先日】2010年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ライオネル・ジェイ・ガリン
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−281967(JP,A)
【文献】 特許第3594011(JP,B2)
【文献】 特開平03−154819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内パーソナルナビゲーション装置であって、前記装置がパーソナルナビゲーションデバイス(PND)を含み、前記PNDが、
磁界を生成するための磁石を含むマウント構造に前記PNDを移動可能に結合するためのインターフェースと、
ナビゲーションデータを提供するためのプロセッサと、
前記プロセッサに結合された慣性センサであり、前記プロセッサに対する慣性センサ測定値を生成する慣性センサと、
前記プロセッサに結合され、前記マウント構造から前記磁界を感知するために前記PNDに配置される磁気センサであり、相対的な再配向に対応するために磁気センサ測定値を前記プロセッサに提供する磁気センサと
を含む、装置。
【請求項2】
前記PNDが、前記プロセッサに結合された衛星ナビゲーションシステム(SPS)受信機をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記SPS受信機が全地球測位衛星(GPS)受信機を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記磁界を生成するための前記磁石と、前記PNDに接続するための相補型インターフェースとを含む前記マウント構造をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記PNDの前記インターフェースおよび前記相補型インターフェースが、前記PNDが前記マウント構造から着脱可能である接続を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記PNDの前記インターフェースおよび前記相補型インターフェースが、前記PNDと前記マウント構造との間に平行移動の変位を提供するための接続を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記PNDの前記インターフェースおよび前記相補型インターフェースが、前記PNDと前記マウント構造との間に回転の変位を提供するための接続を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記PNDの前記インターフェースおよび前記相補型インターフェースが、前記PNDの再配向のために、磁束の変化の強度を単調な磁束の変化に制限するために配置された、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記PNDの前記インターフェースおよび前記相補型インターフェースが、前記磁気センサの感度軸と前記磁石の磁気モーメントベクトルとの間の相対的な動きを非交差、非平行、および非直交になるように制限する、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記磁気センサが1次元の磁気センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記磁気センサが3次元の磁気センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記磁気センサが磁束センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記磁気センサがホール効果検出器を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記PNDが、前記磁気センサに結合された制御モジュールをさらに含み、前記制御モジュールが、前記磁気センサ測定値における変化に基づいて、前記PNDにおけるアクションをトリガする、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記アクションがデッドレコニングアルゴリズムの再較正を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記アクションが、前記ナビゲーションデータにおける前記慣性センサ測定値の寄与を無効にするステップを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記アクションが前記慣性センサの再較正をトリガするステップを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記アクションが基準フレーム変換行列を再較正するステップを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
パーソナルナビゲーションデバイス(PND)とマウント構造との間の相対的な再配向に対応するための方法であって、
前記PND前記マウント構造に結合された場合に、前記マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を、プロセッサにおいて、磁気センサから受信するステップと、
前記PNDが前記マウント構造に結合された場合に、最初の磁気センサ測定値に基づいて、メモリに格納される基準値を、前記プロセッサによって、生成するステップと、
前記PNDが前記マウント構造に結合された場合に、慣性センサ測定値を、前記プロセッサにおいて、慣性センサから受信するステップと、
前記PNDが前記マウント構造に結合された場合に、前記慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを、前記プロセッサで、計算するステップと、
前記マウント構造に対して前記PNDが再配向された場合に、追加の磁気センサ測定値を、前記プロセッサにおいて、前記磁気センサから受信するステップと、
前記マウント構造に対して前記PNDが再配向された場合に、前記追加の磁気センサ測定値に基づく値と前記基準値との間の差を、前記プロセッサによって、検出するステップと、
前記マウント構造に対して前記PNDが再配向された場合に、前記差に基づいて前記PNDにおけるアクションを、前記プロセッサによって、トリガするステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記マウント構造に対して前記PNDを再配向する前記動作が、前記PNDと前記マウント構造との間に平行移動の変位を提供するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記マウント構造に対して前記PNDを再配向する前記動作が、前記PNDと前記マウント構造との間に回転の変位を提供するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記マウント構造に対して前記PNDを再配向する前記動作が、前記マウント構造に対して前記PNDを再配向するステップであって、前記PNDと前記マウント構造とが、磁束の変化の強度を単調な磁束の変化に制限するように配置される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記PNDを前記マウント構造に結合する前記動作が、前記磁気センサの感度軸と磁石の磁気モーメントベクトルとの間の相対的な動きを非交差、非平行、および非直交になるように制限するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記追加の磁気センサ測定値を受信する前記動作が、1次元の磁気センサから前記追加の磁気センサ測定値を受信するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記追加の磁気センサ測定値を受信する前記動作が、3次元の磁気センサから前記追加の磁気センサ測定値を受信するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記差を検出する前記動作が、前記追加の磁気センサ測定値に基づく絶対値と前記基準値との間の差を決定するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記アクションがデッドレコニングアルゴリズムの再較正を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記アクションが、前記ナビゲーションデータにおける前記慣性センサ測定値の寄与を無効にするステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記アクションが前記慣性センサの再較正をトリガするステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記アクションが基準フレーム変換行列を再較正するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
車内パーソナルナビゲーション装置であって、前記装置がパーソナルナビゲーションデバイス(PND)を含み、前記PNDが、
前記PNDをマウント構造に結合するための手段と、
前記マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を受信するための手段と、
最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値を生成するための手段と、
慣性センサ測定値を受信するための手段と、
前記慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを計算するための手段と、
追加の磁気センサ測定値を受信するための手段と、
前記追加の磁気センサ測定値に基づく値と前記基準値との間の差を検出するための手段と、
前記差に基づいて前記PNDにおけるアクションをトリガするための手段と
を含む、装置。
【請求項32】
パーソナルナビゲーションデバイス(PND)を含む車内パーソナルナビゲーションのためのプログラムコードを記録したコンピュータ可読記録媒体であって、前記プログラムコードが、
マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を、プロセッサにおいて、磁気センサから受信するためのプログラムコードと、
最初の磁気センサ測定値に基づいて、メモリに格納される基準値を、前記プロセッサによって、生成するためのプログラムコードと、
慣性センサ測定値を、前記プロセッサにおいて、慣性センサから受信するためのプログラムコードと、
前記慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを、前記プロセッサで、計算するためのプログラムコードと、
前記マウント構造に対して前記PNDが再配向された場合に、追加の磁気センサ測定値を、前記プロセッサにおいて、前記磁気センサから受信するためのプログラムコードと、
前記マウント構造に対して前記PNDが再配向された場合に、前記追加の磁気センサ測定値に基づく値と前記基準値との間の差を、前記プロセッサによって、検出するためのプログラムコードと、
前記マウント構造に対して前記PNDが再配向された場合に、前記差に基づいて前記PNDにおけるアクションを、前記プロセッサによって、トリガするためのプログラムコードと を含む、コンピュータ可読記録媒体。
【請求項33】
プロセッサおよびメモリを含む車内パーソナルナビゲーションのためのパーソナルナビゲーションデバイス(PND)であって、前記メモリが、
マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を、プロセッサにおいて、受信するためのプログラムコードと、
最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値を、前記プロセッサによって、生成するためのプログラムコードと、
慣性センサ測定値を、前記プロセッサにおいて、受信するためのプログラムコードと、
前記慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを、前記プロセッサで、計算するためのプログラムコードと、
前記マウント構造に対して前記PNDを再配向するためのプログラムコードと、
追加の磁気センサ測定値を、前記プロセッサにおいて、受信するためのプログラムコードと、
前記追加の磁気センサ測定値に基づく値と前記基準値との間の差を、前記プロセッサによって、検出するためのプログラムコードと、
前記差に基づいて前記PNDにおけるアクションを、前記プロセッサによって、トリガするためのプログラムコードと を含む、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)。
【請求項34】
パーソナルナビゲーションデバイス(PND)であって、
3次元磁気センサ測定値を生成するための3次元磁気センサと、
慣性センサ測定値を生成するための慣性センサと、
基準の大きさを含むメモリと、
前記3次元磁気センサ測定値を受信するための、前記3次元磁気センサに結合された磁気較正モジュールであり、前記3次元磁気センサ測定値から前記PNDのごく近い周囲を表す周囲磁界を取り除くことによって、較正された磁気センサ測定値を生成するための変換行列を含む磁気較正モジュールと、
前記較正された磁気センサ測定値を受信するための、前記磁気較正モジュールに結合された大きさモジュールと、
前記較正された磁気センサ測定値の大きさを決定するための大きさユニットと、
前記決定された大きさを前記メモリにおける前記基準の大きさと比較することによって比較結果を生成するための比較器と
を含むプロセッサと、
前記慣性センサ測定値を無効にするための、前記慣性センサに結合され、前記比較器に結合されたナビゲーションモジュールであり、前記慣性センサ測定値に基づくナビゲーション出力データを計算する、ナビゲーションモジュールと
を含むパーソナルナビゲーションデバイス(PND)。
【請求項35】
パーソナルナビゲーションデバイス(PND)における方法であって、
3次元磁気センサ測定値を、3次元磁気センサにおいて、生成するステップと、
楕円体の磁気センサ測定値を球体の較正された磁気センサ測定値に変換するために変換行列を、プロセッサにおいて、決定するステップと、
前記較正された磁気センサ測定値の大きさから基準値を、前記プロセッサにおいて、決定するステップと、
慣性センサ測定値を、慣性センサにおいて、生成するステップと、
前記慣性センサ測定値に基づいてナビゲーション出力データを、前記プロセッサにおいて、計算するステップと、
前記較正された磁気センサ測定値の大きさを、前記プロセッサにおいて、前記基準値と比較して、比較結果を設定するステップと、
前記比較結果に基づいて前記慣性センサ測定値なしにナビゲーション出力データを、前記プロセッサにおいて、計算するステップと
を含む方法。
【請求項36】
パーソナルナビゲーションデバイス(PND)における方法であって、
3次元磁気センサ測定値を、3次元磁気センサにおいて、生成するステップと、
較正された磁気センサ測定値の大きさから準拠楕円体を、プロセッサにおいて、決定するステップと、
慣性センサ測定値を、慣性センサにおいて、生成するステップと、
前記磁気センサ測定値の大きさを、前記プロセッサにおいて、前記準拠楕円体と比較して、比較結果を設定するステップと、
前記比較結果に基づいて前記慣性センサ測定値なしにナビゲーション出力データを、前記プロセッサにおいて、計算するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、車内ナビゲーションガイダンス(in-vehicle navigational guidance)を提供するための装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、走行中の車両をその現在位置から目的地まで案内するためのより正確でリアルタイムなナビゲーション情報を提供できるように、較正されていない車内基準フレームの改良された検出に使用するパーソナルナビゲーションデバイス(PND)および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバが車両によって、車両の現在位置から所望の目的地まで移動するのを支援する車内ナビゲーションガイダンスのためのデバイスは、現代の車両における必須の機能になっている。そのようなデバイスは、開始位置から所望の目的地までの運転経路の事前の計画または手動のマッピングの負担をなくす。たとえば、(参照により本明細書に組み込まれる2010年2月4日に公開されたワタナベらの「Position detecting apparatus and method used in navigation system」という名称の)米国特許出願公開第2010/0030471号は、加速度センサ、角速度センサ、およびデッドレコニング計算機を含む、車両位置を検出するためのナビゲーションシステムで使用する位置検出装置について記述する。また、加速度計およびジャイロスコープなどの微小電気機械システム(MEMS)センサを有するデバイスを示す、(参照により本明細書に組み込まれる2009年5月7日に公開されたRamanおよびGarinの「Systems and Methods for Global Differential Positioning」という名称の)米国特許出願公開第2009/0115656号も参照されたい。この装置は、開始位置から所望の目的地まで車両の運転を案内するための車内ナビゲーションシステムの一部として使用され得る。車両に固定されていない場合、装置が車両に対して移動するたびに、加速度および角速度のセンサ測定値に基づくデッドレコニングは、信頼できなくなる可能性がある。ひとたび移動すると、デッドレコニングの計算は、未知の基準系からのセンサ測定値に基づく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0030471号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0115656号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、現在位置から所望の目的地まで車両を運転するための、および車両に対する装置の移動によりセンサ測定値が非較正になったときを検出するための、正確なリアルタイムのナビゲーションガイダンスの改良された装置および方法の態様を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
移動中の車両を案内するとき、リアルタイムの不正確なナビゲーション情報が使用されないように、非較正の車内基準フレームを検出するための装置および方法が開示される。
【0006】
いくつかの態様によれば、車内パーソナルナビゲーション装置が開示され、装置は、その現在位置から所望の目的地まで車両を運転するためのナビゲーションガイダンス情報をドライバに提供するためのパーソナルナビゲーションデバイス(PND)を含む。PNDは、PNDをマウント構造に移動可能に結合するためのインターフェースを含み得、マウント構造は、磁界を生成するための磁石を含む。PNDは、ナビゲーションデータを提供するためのプロセッサ、およびプロセッサに結合される慣性センサも含み得、慣性センサは、プロセッサに対する慣性センサ測定値を生成する。PNDは、プロセッサに結合され、マウント構造において磁石によって生成される磁界を感知するためにPNDに配置される磁気センサをさらに含み得、磁気センサは、磁気センサ測定値をプロセッサに提供する。
【0007】
いくつかの態様によれば、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)とマウント構造との間の相対的な再配向に対応するための方法が開示される。方法は、PNDをマウント構造に結合するステップと、マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を受信するステップと、最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値を生成するステップとを含み得る。方法は、慣性センサ測定値を受信するステップと、慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを計算するステップとも含み得る。方法は、マウント構造に対してPNDを再配向するステップと、追加の磁気センサ測定値を受信するステップと、追加の磁気センサ測定値に基づく値と基準値との間の差を検出するステップと、差に基づいてPNDにおけるアクションをトリガするステップとをさらに含み得る。
【0008】
いくつかの態様によれば、車内パーソナルナビゲーション装置が開示され、装置は、その現在位置から所望の目的地まで車両を運転するためのナビゲーションガイダンス情報をドライバに提供するためのパーソナルナビゲーションデバイス(PND)を含む。PNDは、PNDをマウント構造に結合するための手段と、マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を受信するための手段と、最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値を生成するための手段とを含み得る。PNDは、慣性センサ測定値を受信するための手段と、慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを計算するための手段とも含み得る。PNDは、追加の磁気センサ測定値を受信するための手段と、追加の磁気センサ測定値に基づく値と基準値との間の差を検出するための手段と、差に基づいてPNDにおけるアクションをトリガするための手段とをさらに含み得る。
【0009】
いくつかの態様によれば、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)を含む車内パーソナルナビゲーションのためのプログラムコードを記憶したコンピュータ可読媒体が開示され、プログラムコードは、マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を受信するためのプログラムコードと、最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値を生成するためのプログラムコードとを含む。プログラムコードは、慣性センサ測定値を受信するためのプログラムコードと、慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを計算するためのプログラムコードとも含み得る。プログラムコードは、マウント構造に対してPNDを再配向するためのプログラムコードと、追加の磁気センサ測定値を受信するためのプログラムコードと、追加の磁気センサ測定値に基づく値と基準値との間の差を検出するためのプログラムコードと、差に基づいてPNDにおけるアクションをトリガするためのプログラムコードとをさらに含み得る。
【0010】
いくつかの態様によれば、プロセッサおよびメモリを含む車内パーソナルナビゲーションのためのパーソナルナビゲーションデバイス(PND)が開示され、メモリは、マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を受信するためのプログラムコードと、最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値を生成するためのプログラムコードとを含む。プログラムコードは、慣性センサ測定値を受信するためのプログラムコードと、慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを計算するためのプログラムコードとも含み得る。プログラムコードは、マウント構造に対してPNDを再配向するためのプログラムコードと、追加の磁気センサ測定値を受信するためのプログラムコードと、追加の磁気センサ測定値に基づく値と基準値との間の差を検出するためのプログラムコードと、差に基づいてPNDにおけるアクションをトリガするためのプログラムコードとをさらに含み得る。
【0011】
いくつかの態様によれば、その現在位置から所望の目的地まで車両を運転するためのナビゲーションガイダンス情報をドライバに提供するためのパーソナルナビゲーションデバイス(PND)が開示される。PNDは、磁気センサ測定値を生成するための3次元磁気センサを含み得る。PNDは、地球の磁気ダイポールを表し、磁気センサ測定値に基づく遠隔磁界値、およびPNDのごく近い周囲を表し、磁気センサ測定値に基づく周囲磁界値を含む、3次元磁気センサに結合された磁気較正モジュールも含み得る。PNDは、慣性センサ測定値を生成するための慣性センサ、および慣性センサに結合され、磁気較正モジュールから周囲磁界値を受信するために結合された慣性較正モジュールをさらに含み得る。慣性較正モジュールは、周囲磁界値の変化に基づく再較正出力信号と、慣性センサに結合され、慣性センサ測定値に基づくナビゲーション出力データを含むナビゲーションモジュールとを含む。
【0012】
いくつかの態様によれば、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)においてナビゲーションデータを計算するための方法が開示され、方法は、3次元磁気センサ測定値を生成するステップと、磁気センサ測定値に基づいて地球の磁気ダイポールを表す遠隔磁界値を決定するステップと、磁気センサ測定値に基づいてPNDのごく近い周囲を表す周囲磁界較正値を決定するステップとを含む。方法は、慣性センサ測定値を生成するステップと、慣性センサ測定値に基づいてナビゲーション出力データを計算するステップとも含み得る。方法は、ごく近い周囲に対してPNDを再配向するステップと、更新された周囲磁界値と周囲磁界較正値との間の差を決定するステップと、差に基づいて慣性センサ測定値なしにナビゲーション出力データを計算するステップとをさらに含み得る。
【0013】
いくつかの態様によれば、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)における方法が開示され、方法は、3次元磁気センサ測定値を生成するステップと、楕円体の磁気センサ測定値を球体の較正された磁気センサ測定値に変換するために変換行列を決定するステップと、較正された磁気センサ測定値の大きさから基準値を決定するステップと、慣性センサ測定値を生成するステップと、慣性センサ測定値に基づいてナビゲーション出力データを計算するステップと、較正された磁気センサ測定値の大きさを基準値と比較して、比較結果を設定するステップと、比較結果に基づいて慣性センサ測定値なしにナビゲーション出力データを計算するステップとを含む。
【0014】
いくつかの態様によれば、パーソナルナビゲーションデバイス(PND)における方法が開示され、方法は、3次元磁気センサ測定値を生成するステップと、較正された磁気センサ測定値の大きさから準拠楕円体を決定するステップと、慣性センサ測定値を生成するステップと、磁気センサ測定値の大きさを準拠楕円体と比較して、比較結果を設定するステップと、比較結果に基づいて慣性センサ測定値なしにナビゲーション出力データを計算するステップとを含む。
【0015】
例として様々な態様について示し、記述した以下の詳細な説明から、他の態様が当業者に容易に明らかになることを理解されたい。図面および詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであって、限定的なものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、車両の基準フレームおよび車内パーソナルナビゲーションデバイスの基準フレームを示す図である。
図1B】本発明のいくつかの実施形態による、車両の基準フレームおよび車内パーソナルナビゲーションデバイスの基準フレームを示す図である。
図1C】本発明のいくつかの実施形態による、車両の基準フレームおよび車内パーソナルナビゲーションデバイスの基準フレームを示す図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、車内パーソナルナビゲーション装置を示す図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、車内パーソナルナビゲーション装置の磁気検出器および磁石の相対配向を示す図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、磁気応答対回転角度のグラフィカルプロットである。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、パーソナルナビゲーションデバイスの様々な構成要素を示すブロック図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、パーソナルナビゲーションデバイスの基準フレームを再度整合させるためのアクションをトリガするためのプロセスを示すフローチャートである。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、磁気応答のグラフィカルプロットである。
図8】本発明のいくつかの実施形態による、車内パーソナルナビゲーション装置を示す図である。
図9】本発明のいくつかの実施形態による、パーソナルナビゲーションデバイスの様々な構成要素を示すブロック図である。
図10】本発明のいくつかの実施形態による、パーソナルナビゲーションデバイスの再配向の前および後にナビゲーションガイダンス情報を計算するためのプロセスを示すフローチャートである。
図11A】本発明のいくつかの実施形態による、車両に対する磁界ベクトルを示す図である。
図11B】本発明のいくつかの実施形態による、車両に対する磁界ベクトルを示す図である。
図11C】本発明のいくつかの実施形態による、車両に対する磁界ベクトルを示す図である。
図12】本発明のいくつかの実施形態による、感知された磁界値を較正するための較正モジュールを示す図である。
図13】本発明のいくつかの実施形態による、楕円体を画定する磁界ベクトルのグラフィカルプロットである。
図14】本発明のいくつかの実施形態による、楕円体を画定する磁界ベクトル、および球体を画定する較正された磁界ベクトルのグラフィカルプロットである。
図15】本発明のいくつかの実施形態による、磁界ベクトルV、および較正された磁界ベクトルV'の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面に関する下記の詳細な説明は、本開示の様々な態様の説明として意図されており、本開示が実行され得る態様のみを表すことが意図されているわけではない。本開示で説明される各態様は、本開示の単なる例または説明として与えられ、他の態様よりも好適または有利であるとは、必ずしも解釈されるべきではない。詳細な説明は、本開示の完全な理解をもたらす目的で、具体的な詳細を含んでいる。しかし、本開示がこれらの具体的な詳細なしに実行され得ることが、当業者には明らかであろう。場合によっては、本開示の概念を曖昧にするのを回避するために、周知の構造およびデバイスがブロック図の形式で示されている。略語または他の説明のための用語は、単にわかりやすくするために便宜的に用いられ得るものであり、本開示の範囲を限定することは意図されない。
【0018】
車内パーソナルナビゲーションデバイス(PND)は、車両のダッシュボード、フロントガラス、またはフロントパネルに固定式に接続する、または組み込むことができる。そのような固定されたPNDは、現在位置から所望の目的地まで車両を運転するためのナビゲーション情報を車両のドライバに提供する。車両の乗員にとっての付加的な便宜として、車内PNDは、移動可能に車両に取り付けられてもよく、さらには車両から着脱可能であってもよい。PND上のディスプレイのより良いビューを取得する、またはより明確にナビゲーション情報を閲覧するように、車両のドライバまたは同乗者は、PNDの位置を調整することができる。残念ながら、ひとたび回転すると、PNDは、既知の方位に対する加速度計およびジャイロメータのセンサ測定値をもはや生成しない場合がある。すなわち、これらのセンサ測定値は、PNDのあらかじめ決定された基準フレームに関連がない。
【0019】
図1A図1B、および図1Cは、本発明のいくつかの実施形態による、車両10の基準フレーム16および車内パーソナルナビゲーションデバイス(PND12)の基準フレーム14を示す。図1Aでは、車両10は、車両10のマウント構造20に移動可能に取り付けられたPND12を含む。ともに、PND12およびマウント構造20は、多くの車両に見られるパーソナルナビゲーション装置を形成する。最初の状態では、PND12の基準フレーム14は、ナビゲーション情報または方向がPND12のディスプレイに正確に表示されるように、車両10の基準フレーム16と整合され得る。たとえば、車両が前方加速度を受けるとき、PND12も前方加速度を受ける。
【0020】
図1Bでは、PND12のディスプレイのより良いビューを得るために、車両10のドライバによって、PND12の位置が調整され得る。PND12が車両10に対して回転されるとき、PND12の変位とともに基準フレーム14も移動する。その結果、基準フレーム14は、車両10の基準フレーム16に整合されなくなる。不整合な基準フレーム14に基づいてPND12によって提供される任意のデッドレコニングベースのナビゲーション方向は、使用不可能であり、誤った情報が表示される可能性があり、それによって、ドライバは、目的とする運転経路からそれる可能性がある。
【0021】
図1Cでは、基準フレーム14が不整合であることをPND12が認識することによって、問題が解決される。一般的に、PND12は、慣性測定値をGPS測定値と比較することによって、または、再較正またはリセットコマンドをドライバから受信することによって、この不整合を認識する。PND12は、ひとたびその基準フレーム14が不整合であると認識すると、その基準フレーム14を車両10の基準フレーム16に再度整合させるために、再較正操作を行う。再較正された後、(加速度計および/またはジャイロメータセンサ測定値に基づく)デッドレコニングに基づいて決定された位置の変化は、再度使用可能である。
【0022】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、車内パーソナルナビゲーション装置40を示す。車内パーソナルナビゲーション装置40は、PND12およびマウント構造20を含む。PND12は、PND12をマウント構造20に移動可能に結合するためのインターフェースを含む。このインターフェースは、PND12をマウント構造20に結合するための手段として働く。マウント構造20は、磁界30を生成する磁石26、およびマウント構造20を車両10の表面200に結合するための表面インターフェース要素22を含む。表面インターフェース要素22は、表面インターフェース要素22の表面200への接着を可能にする吸着カップまたは接着剤などとすることができる。表面200は、車両のダッシュボードまたはフロントガラスの一部でもよい。
【0023】
マウント構造20は、PND12のインターフェース要素との回転可能な結合を補う相補型インターフェース要素も含む。PND12のインターフェース要素およびマウント構造20の相補型インターフェース要素(たとえばボールとソケットとの組合せ)が結合されて、1つ、2つ、または3つの回転自由度により回転可能な接続24を形成することができる。マウント構造20は、PND12の平行移動も可能にし得る。一例では、回転可能な接続24は、1つまたは複数の軸に沿ったPND12の平行移動を可能にする機能(たとえば平行移動ガイド)を含むこともできる。別の例では、様々な方向へのPND12の平行移動を可能にするようにマウント構造20を操作できるように、マウント構造20を、弾性のあるおよび変形可能な材料から構成することができる。
【0024】
PND12は、磁界または磁束強度を検出するための磁気センサ28も含む。この例では、マウント構造20は磁石26を含み、PND12は磁気センサ28を含む。代替実施形態では、マウント構造20は、磁気検出器28を含むことができ、一方、PND12は磁石26を含むことができる。
【0025】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、車内パーソナルナビゲーション装置40の磁気検出器28および磁石26の相対配向を示す。磁気センサ28の磁気感度軸34、および磁石26の磁気モーメント32が互いから不平衡となるように、磁気センサ28および磁石26を、PND12およびマウント構造20に取り付けることができる。すなわち、磁気感度軸34および磁気モーメント32は、PND12とマウント構造20との間の回転自由度の範囲にわたって非直交、非平行、および非交差である。
【0026】
たとえば、磁気検出器28の磁気感度軸34は、磁石26の磁気モーメント32に対する相対オフセット36で配向され得る。相対オフセット36は、2本の線、磁気感度軸34から延びる想像上の線と磁気モーメント32から延びる想像上の線との間で最も短い線(またはすなわち最も近いポイント)として定義される。相対オフセット36は、空間または距離のオフセットおよび角度オフセットから構成され得る。たとえば、磁気感度軸34は、3ミリメートル(mm)〜9mmの相対オフセット36を形成するように、磁気モーメント32から間隔をおいて配置され得る。一実施形態では、磁気感度軸34は、約6mmだけ磁気モーメント32から間隔をおいて配置され得る。磁気感度軸34は、回転可能な接続24から約9mmに配置され、磁気モーメント32は、回転可能な接続24から約3mmに配置され得る。さらに、磁気感度軸34と磁気モーメント32との間の角度オフセットは、水平軸上では1〜14度および垂直軸上では1〜20度の角度を画定し得る。一実施形態では、角度オフセットは、水平軸上では7度、および垂直軸上では10度である。
【0027】
いくつかの実施形態では、回転可能な接続24は、磁気センサ28の磁気感度軸34と磁石26の磁気モーメント32との間の不平衡(非直交、非平行、および非交差)な方位を維持する。PND12の位置が調整される(たとえば、回転され、および/または平行移動される)につれて、磁気センサ28の磁気感度軸34は、磁石26によって生成される磁界30の磁束の全体にわたって横切る。PND12の移動によって、磁気センサ28は、磁石26のより近くに、または磁石26から離れてより遠くに配置され得る。同様に、PND12の移動によって、磁気モーメント軸と磁気感度軸との間の角度が変化する場合があり、したがって、磁気センサ28の応答が変化する。したがって、磁気センサ28は、PND12が移動するにつれて、磁石26の磁界30の増加または減少する磁束振幅を検出する。いくつかの実施形態では、磁気センサ28および磁石26の相対オフセットの方位のために、PND12が単一の軸の周りを回転するにつれて、磁気センサ28は、磁界30の磁束振幅の増加または減少する単調な変化を検出する。
【0028】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、磁気応答対回転角度のグラフィカルプロットを示す。動きの単一の軸上で、磁束測定値は、PND12がマウント構造20に対してX軸の周りを回転するとき、磁気センサ28によって検出されるように、単調に変化する。水平軸は、マウント構造のX軸の周りのPND12の角回転を表し、垂直軸は、磁気センサ28によって検出される磁界30における磁束の振幅を表す。この仮定的な例では、PND12がX軸の周りをある方向に回転する場合、磁束の振幅は増加する。PND12がX軸の周りを反対方向に回転するとき、磁束の振幅は減少する。単調応答は、有利には、軸の周りのPND12の有意の動きを、磁気測定値における有意な変化に関係付ける。応答が非単調である場合、2つの離れた角度は、類似の磁気測定値を生成することができる。
【0029】
ひとたび慣性センサが較正されると、PND12は、現在の磁気測定値(たとえば磁束の大きさの値)を記録し、基準値(Ref)としてそれを保存する。動作中、PND12は、磁気センサ測定値をこの基準値と比較する。PND12が位置を変えない、または単に振動するだけ、もしくはマウント構造20の方にわずかな量だけ相対位置を移動させる場合、磁気センサ28からの磁気測定値は、明らかな量を超えては変化しない(たとえば閾値Th未満)。磁気測定値の変化が基準値(>Ref±Th)から離れて閾値(Th)を超える場合、PND12の位置は、マウント構造20に対して、慣性センサ測定値が非較正となるほど十分移動しており、基準フレーム14の再較正が必要である。基準フレーム14が較正されていない間、加速度計およびジャイロメータの測定値は、デッドレコニングのためには十分な信頼性はない。ひとたび再較正されると、新しい磁気センサ測定値は、将来の比較のために基準値(Ref)として保存される。磁気振幅の検出された変化が更新された基準値(Ref)から離れて閾値(Th)を超えない限り、PND12の位置は、基準フレーム14の再較正を必要とするほど大幅には変化しておらず、加速度計およびジャイロメータの測定値は、デッドレコニングのために依然として信頼性が高い。
【0030】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、PND12の様々な構成要素のブロック図を示す。PND12は、プロセッサ502、慣性センサ504、衛星ナビゲーションシステム(SPS)受信機506、磁気センサ28、およびユーザディスプレイ510を含む。プロセッサ502は、1つまたは複数のバスおよびポートを介して慣性センサ504、SPS受信機506、磁気センサ28、およびユーザディスプレイ510に結合される。プロセッサ502は、汎用マイクロコンピュータまたはマイクロコントローラでもよく、または特定用途向けマイクロコントローラでもよい。プロセッサ502は、内部メモリを含むことができ、および/または外部メモリに結合することができる。ユーザディスプレイ510は、プロセッサ502から表示すべきナビゲーションデータを受信し、LCD画面などを含むことができる。
【0031】
慣性センサ504は、慣性測定値をプロセッサ502に提供し、プロセッサ502はデッドレコニングナビゲーションの間、それを使用することができる。たとえば、慣性測定値は、加速度計からの線形加速測定値、および/またはジャイロメータからの角加速度測定値を含む。加速度計およびジャイロメータは各々、単一の軸(1次元または1D)、2本の軸(2D)、または代わりに3本の軸(3D)に沿って加速を検出することができる。
【0032】
SPS受信機506は、米国の全地球測位システム(GPS)、ロシアのGLONASS、および欧州のGalileoシステムを含むいくつかの全地球航法衛星システム(GNSS)のいずれかを受信することができる。衛星(または疑似衛星)が利用可能でないとき、ナビゲーションシステムは、慣性センサ測定値を入力として、デッドレコニング技法を使用して位置更新を生成することができる。十分な数の衛星が利用可能でないとき、ナビゲーションシステムは、SPS測定値からの位置推定値およびデッドレコニングを結合することができる、またはデッドレコニングを単独で使用することができる。
【0033】
磁気センサ28は、磁界または磁束の強度を測定する。いくつかの実施形態では、磁気センサ28は、1次元のデバイスである。たとえば、磁気センサ28は、単一の軸(1D)のホール効果検出器でもよい。他の実施態様において、磁気センサ28は、2Dまたは3Dのデバイスである。磁気センサ28は、磁界の強度を測定する磁力計、または磁界の強度および方向を測定する電子コンパスでもよい。
【0034】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、PND12の基準フレーム14を再度整合させるためのアクションをトリガするためのプロセスのフローチャートを示す。ひとたび不整合が検出されると、PND12の基準フレーム14は車両10の基準フレーム16に再較正され得る。
【0035】
602で、PND12は、車両10に接続されたマウント構造20に結合される。いくつかの実施形態では、ひとたび結合されると、磁気センサ28の磁気感度軸34、および磁石26の磁気モーメント32が互いから不平衡となる。いくつかの実施形態の場合、一連の相対位置にわたってマウント構造20のPND12を再配置することは、この不平衡の特性を保つ。
【0036】
604で、磁気センサ28は、磁界30の磁気値(たとえば絶対磁束振幅)を測定する。磁気センサ28によって生成されるこの最初の磁気センサ測定値は、プロセッサ502によって受信される。
【0037】
606で、プロセッサ502は、最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値(Ref)を生成する。プロセッサ502は、内部および/または外部メモリにこの基準値(Ref)を保存することができる。たとえば、プロセッサ502は、最初の磁気センサ測定値を基準値(Ref)として保存する。あるいは、プロセッサ502は、最初の磁気センサ測定値の平均を計算し、基準値(Ref)として記憶することができる。あるいは、プロセッサ502は、最初の磁気センサ測定値の合計の平方根を計算し、基準値(Ref)として記憶することができる。あるいは、プロセッサ502は、最初の磁気センサ測定値の合計を計算し、基準値(Ref)として記憶することができる。
【0038】
608で、プロセッサ502は、慣性センサ504から慣性センサ測定値を受信し、車両基準フレーム16上にPND12の基準フレーム14を整合させる。
【0039】
610で、慣性センサ504からの慣性センサ測定値および/またはSPS受信機506から受信されたグローバルな測位情報に基づいて、プロセッサは、ナビゲーションガイダンス情報を計算し、情報をユーザディスプレイ510に表示する。グローバルな測位情報単体では正確な測位に不十分である場合、プロセッサ502は、少なくとも部分的にデッドレコニングに基づいて位置推定値を計算することができる。
【0040】
612で、PND12は、ユーザによってマウント構造20において物理的に調整または再配向される(車両10に対して)。この時点で、十分に移動した場合、慣性センサ測定値がPND12の基準フレーム14に関して非較正になり、したがって、デッドレコニングナビゲーションには不十分である。
【0041】
614で、磁気センサ28は、新しい磁気値を測定し、これは追加の磁気センサ測定値としてプロセッサ502によって受信される。
【0042】
616で、プロセッサ502は、追加の磁気センサ測定値(Meas)を基準値(Ref)と比較する。この新しい磁気センサ測定値(Meas)が前に保存された基準値(Ref)からの閾値(Th)内である場合、アクションを起こさない。この新しい磁気センサ測定値(Meas)が基準値(Ref)からの閾値(Th)よりも大きい、またはそれ未満(すなわち、{|Meas|>(|Ref|+Th)}または{|Meas|<(|Ref|-Th)})である場合、PND12は、非較正と宣言される。
【0043】
618で、追加の磁気センサ測定値(Meas)と基準値(Ref)との間の検出された差が閾値(Th)を超えることに基づいて、PND12が非較正である場合、プロセッサ502は、1つまたは複数のアクションをトリガする。アクションは、慣性センサ504によって提供される測定値を無効にすることを含み得る。アクションは、慣性センサ504、デッドレコニングアルゴリズム、および/または基準フレーム変換行列を再較正することも含み得る。
【0044】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、磁気応答のグラフィカルプロットを示す。PND12は、1つまたは複数の自由度を可能にするために、マウント構造20に結合される。この例では、結合は、3つの動きの程度(たとえば、Xの周りの水平方向、Yの周りの垂直方向、およびZの周りの回転方向)を可能にする。垂直、水平、および回転の動きについての磁気変化は、グラフ上の3本の曲線によってそれぞれ示される。動きの程度ごとに、他の動きの程度から分離されている場合、磁気センサ28および磁石26は、アクセスに沿ってPND12が回転または移動したとき、磁気応答が単調であるように、互いに対して配置される。図示のように、水平軸(X)の周りの角度が増加することによって、磁石測定値が単調減少する。垂直軸(Y)の周りの角度が増加することによっても、磁石測定値が単調減少する。回転軸(Z)の周りの角度が増加することによって、磁石測定値が単調増加する。
【0045】
2つ以上の軸の周りでPND12を移動させるとき、測定された磁気値は、示される線の線形結合である。
【0046】
上記で説明した実施形態では、マウント構造20は、磁石26を含む。これらの実施形態では、磁気センサ28は、磁石26によって生成される磁界30を測定する。以下で説明する実施形態では、磁石26によって生成される磁界30ではなく、車両10の局所の磁界の変化が検出される。本質的には、(個別の磁石26によって生成されるよりはむしろ)車両自体が磁界30を生成する。磁気センサ28は、(1)地球の磁界、(2)車両10の金属構造物において地球の磁界によって誘導される磁界、および(3)車両10の本体および電子回路によって生成される磁界の組合せを含む磁界を検出する。局所または周囲の磁界は、後の2つのソースの結果である。遠隔の磁界は、地球の磁界であるとみなされる。
【0047】
仮説的には、3次元において車両10が回転した場合、測定された磁界は、車両10の構造によってひずみ、楕円体として現れる。3D磁気センサ28は、この磁界を振幅として測定し、これは、楕円体の様々な半径を表す。2次元では、測定値の振幅が車両10の回転角度に対してプロットされるとき、車両10が水平な360度の回転を行うにつれて、磁気センサ測定値は結果的に楕円になり得る。
【0048】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、車内パーソナルナビゲーション装置40を示す。本実施形態では、個別の磁石26を使用する代わりに、車両10自体が2次磁石として使用される。この2次磁界は、車両10に固有の磁気特性との組合せで、車両10において誘導される地球の磁気の結果である。車内パーソナルナビゲーション装置40は、PND12およびマウント構造20を含む。PND12は、3次元(3D)の磁気センサ28およびマウント構造20にそれを結合できるようにするコネクタを含む。マウント構造20は、相補型コネクタ24、および車両10の表面200にマウント構造20を結合するための表面インターフェース要素22を含む。回転可能な接続24によって、PND12は、マウント構造20に移動可能に結合され得、それは車両の表面200に結合される。
【0049】
図9は、本発明のいくつかの実施形態による、PND12の様々な構成要素のブロック図を示す。PND12は、3次元(3D)磁気センサ28、慣性センサ504、衛星ナビゲーションシステム(SPS)受信機506、ユーザディスプレイ510、およびプロセッサ502を含む。プロセッサ502は、ナビゲーションモジュール902、大きさ決定モジュール(magnitude determination module)905、および磁気較正モジュール909を含むソフトウェアモジュールを含む。これらのモジュールは、個別のソフトウェアルーチンとして、および/またはインラインコードとして一緒に存在することができる。1D、2D、または3Dの磁気センサ28を含み得る図5のPND12とは異なり、ここでの磁気センサ28は、3D磁気センサである。
【0050】
ナビゲーションモジュール902は、SPS受信機506から衛星信号を受信する。ナビゲーションモジュール902は、デッドレコニングナビゲーションのために、慣性センサ504から慣性測定値を受信する。衛星(または疑似衛星)が利用可能であるとき、ナビゲーションモジュール902は、慣性センサ測定値を入力として、デッドレコニングを使用して位置更新を生成することができる。ナビゲーションモジュール902は、ディスプレイ510によってユーザに表示されるナビゲーション情報を精緻化する。
【0051】
磁気較正モジュール909は、3D磁気センサ28から磁気センサ測定値を受信する。上述のように、測定された磁界は、3つの成分、(1)地球の磁界、(2)車両10の金属構造物において地球の磁界によって誘導される磁界、および(3)車両10の本体および電子回路によって生成される磁界の組合せを含む。局所または周囲の磁界は、後の2つのソースの結果である。遠隔の磁界は、地球の磁界であるとみなされる。磁気較正モジュール909は、楕円体を画定する磁気センサ測定値を、球体を画定する較正された磁気センサ測定値に変換するための変換行列などを含む。変換行列は、周囲磁界(成分(2)および(3))を測定された磁界から取り除いて、結果的に地球の磁界(成分(3))が得られる。磁気センサ測定値は、磁界測定値および変換行列を乗算して、結果的に較正された磁気センサ測定値が得られる。適切に較正された場合、較正された磁気センサ測定値は、非摂動の地球磁界に整合される一定の大きさおよび方位を有する。
【0052】
大きさモジュール905は、較正された磁気センサ測定値を監視する。大きさモジュール905は、較正された磁気センサ測定値を受信するために、磁気較正モジュール909に結合され得る。大きさモジュール905は、較正された磁気センサ測定値の大きさを決定するための大きさユニット、および決定された大きさをメモリ内の基準の大きさと比較することによって比較結果を生成するための比較器を有することができる。
【0053】
較正された磁気センサ測定値が受信されると、大きさモジュール905は、大きさを計算する(たとえば、
【0054】
【数1】
【0055】
または、同等に、平方根を無視して(x2+y2+z2))。この計算された大きさは、同じように計算された大きさ(較正後の基準値(Ref)として前に保存された)と比較されて、比較結果が生成される。大きさが基準値(Ref)からの閾値(Th)内である場合、較正された磁気センサ測定値は、依然として球体を形成し、比較結果は、慣性センサ測定値が依然として有効であることを示す。一方、大きさが基準値(Ref)からの閾値(Th)よりも大きい場合、較正された磁気センサ測定値がもはや球体を画定しておらず、したがって、PND12は適切に較正されておらず(たとえば、車両10に対してPND12が回転されたので)、比較結果は、慣性センサ測定値が無効になったことを示す。
【0056】
慣性センサ測定値が有効であることを比較結果が示すとき、ナビゲーションモジュール902は、デッドレコニングのために慣性センサ測定値を使用することができる。慣性センサ測定値が無効であることを比較結果が示すとき、ナビゲーションモジュール902は、無効な慣性センサ測定値が位置推定値に悪影響を与えるのを妨げることができる。
【0057】
プロセッサ502は、マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を受信するための、最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値を生成するための、慣性センサ測定値を受信するための、慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを計算するための、追加の磁気センサ測定値を受信するための、追加の磁気センサ測定値に基づく値と基準値との間の差を検出するための、および差に基づいてPNDにおけるアクションをトリガするための手段として働く。
【0058】
たとえば、磁気較正モジュール909は、マウント構造から磁界の最初の磁気センサ測定値を受信するための、慣性センサ測定値を受信するための、および追加の磁気センサ測定値を受信するための手段として働く。大きさ決定モジュール905は、最初の磁気センサ測定値に基づいて基準値を生成するための、追加の磁気センサ測定値に基づく値と基準値との間の差を検出するための、および差に基づいてPNDにおけるアクションをトリガするための手段として働く。ナビゲーションモジュール902は、慣性センサ測定値に基づいてナビゲーションデータを計算するための手段として働く。
【0059】
図10は、本発明のいくつかの実施形態による、PND12の再配向の前および後にナビゲーションガイダンス情報を計算するためのプロセスのフローチャートを示す。較正されたナビゲーションデータは、車両10の基準フレーム16に整合されるPND12の較正された基準フレーム14に基づく。
【0060】
1002で、3D磁気検出器28は、周囲の磁界を感知し、3次元磁気センサ測定値を生成する。磁気センサ測定値は、(1)地球の磁界、(2)誘導された磁界、および(3)生成された磁界の組合せを表す。
【0061】
1004で、3次元磁気検出器28は、磁気較正モジュール909に3次元磁気センサ測定値を送る。初期化ステップの間、磁気較正モジュール909は、遠隔磁界値から周囲磁界を取り除くために、変換行列を決定する。ひとたび初期化されると、磁気較正モジュール909は、変換行列を使用して、楕円体の3D磁気センサ測定値を球体の3D磁気センサ測定値に変換する。すなわち、受信された3D磁気センサ測定値ごとに、磁気較正モジュール909は、周囲磁界を取り除き、結果的に磁界が3次元の磁北を指し示す。
【0062】
1006で、大きさ決定モジュール905は、較正された磁気センサ測定値の大きさから、基準値(Ref)を決定する。この基準値(Ref)は、将来較正される磁気センサ測定値との比較のためにメモリに保存される。
【0063】
1008で、慣性センサ504は、慣性センサ測定値を生成し、ナビゲーションモジュール902に送る。この時点で、十分な数の衛星が利用可能ではないと仮定する。したがって、ナビゲーションモジュール902は、(たとえば、デッドレコニングを介して)慣性センサ測定値に基づいて、期間中にナビゲーション出力データを計算する。
【0064】
1010で、ユーザは、このデッドレコニング期間中に車両10に対してPND12を物理的に再配向する。
【0065】
1012で、大きさ決定モジュール905は、較正された磁気センサ測定値の大きさを基準値(Ref)と比較して、比較結果を設定する。大きさが基準値(Ref)の閾値(Th)内である場合、較正された磁気センサ測定値は、依然として球体を形成し、慣性センサ測定値が有効であるとみなされる。大きさが基準値(Ref)からの閾値(Th)よりも大きい場合、較正された磁気センサ測定値は、もはや球体を形成しておらず、慣性センサ測定値が無効であるとみなされる。
【0066】
1014で、ナビゲーションモジュール902は、比較結果に基づいてアクションをトリガする。たとえば、ナビゲーションモジュール902は、較正された磁気センサ測定値が依然として球体を形成する場合、デッドレコニングのために慣性センサ測定値を使用することができる。慣性センサ測定値が無効であることを比較結果が示す場合、ナビゲーションモジュール902は、デッドレコニングのために慣性センサ測定値を使用することを停止することができ、慣性センサ504を再較正し始めることができる。次いで、比較結果は、デッドレコニングアルゴリズムを再較正し、変換行列を再較正することをトリガすることができる。
【0067】
図11A図11B、および図11Cは、本発明のいくつかの実施形態による、車両10に対する磁界ベクトルを示す。図11Aでは、車両10は、その現在位置から目的地まで車両10を運転するためのナビゲーションガイダンス情報を提供するためのPND12を含む。この例では、PND12は、ごく近い周囲の磁界の強度を検出し、特定の大きさおよび方位を有する磁気ベクトルV(VX, VY, VZ)によって表され得る磁界測定値を生成する3次元磁気検出器を含む。磁気ベクトルVは、車両10の磁気ベクトルMCARと地球の磁気ダイポールの磁気ベクトルNMAGとの積とすることができる。したがって、ベクトルVの大きさおよび方位は、ベクトルMCARとベクトルNMAGとの合計でもよい。この例では、図11Aに示すように、車両10の磁気ベクトルMCARは、車両の左後角の方に向けられ、地球の磁気ダイポールの磁気ベクトルNMAGは、車両10の左の方に向けられる。ベクトルVは、ベクトルMCARとベクトルNMAGとの合計であり、ベクトルMCARとベクトルNMAGとの合計の方向または方位に向けられる。
【0068】
図11Bでは、車両10の方位が変えられ得、地球の磁気ダイポールの磁気ベクトルNMAGに対する車両10の磁気ベクトルMCARの方位もそれに応じて変化する。車両に対する磁気ベクトルMCARの方位および大きさは、一般に一定のままである。車両10の方位の変化のため、図11BのVの大きさおよび方位の変化によって示されるように、磁気ベクトルVも変化する。磁界ベクトルVは、正規化することができ、較正されたベクトルV'は上記で説明したように生成される。図の補正されたベクトルV'は理想的に等しいことに留意されたい。
【0069】
図11Cでは、車両10の方位は、図11Bに示された方位からさらに変更されている。車両に対する磁気ベクトルMCARの方位および大きさが一般に一定のままでも、地球の磁気ダイポールの磁気ベクトルNMAGに対する車両10の磁気ベクトルMCARの方位は、それに応じて変化する。ベクトルMCARとベクトルNMAGとの積として、磁界ベクトルVは、磁界ベクトルVの大きさおよび方位の変化によって示されるように変化した。磁界ベクトルVは、磁気較正モジュールVCAL909によって正規化され、較正されたベクトルV'が生成される。
【0070】
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、感知された磁界値を較正するための較正モジュールを示す。磁気較正モジュール(VCAL)909は、(球体上と予想される)補正または較正された測定値を形成するために、(楕円体上と予想される)入って来る磁気測定値に変換行列を掛けることによって、正規化プロセスを実行することができる。
【0071】
図13は、本発明のいくつかの実施形態による、楕円体を画定する磁界ベクトルのグラフィカルプロットを示す。プロットは、車両10の様々な方位についての磁界ベクトルVを示し、対応する時刻tk+N(ここではN=0, 1, 2, ..., 11)に磁界ベクトルが取得される。各ベクトルは、特定の時刻tに角度方位および大きさNMEAS(tK+N)を示す。図示のように、プロットされた磁界ベクトルは、2Dの楕円または3Dの楕円体を画定し得る。
【0072】
図14は、本発明のいくつかの実施形態による、楕円体を画定する磁界ベクトル、および球体を画定する較正された磁界ベクトルのグラフィカルプロットを示す。磁気センサ測定値は、磁界ベクトルVによって表され、楕円体に位置する。対応する較正された磁気センサ測定値は、較正された磁界ベクトルV'によって表され、球体に位置する。測定値を磁気較正モジュール909に通すことによって、測定値に変換行列が掛けられ、V'が生成される。事実上、V'=V-VCALであり、VCALは、特定の3D角度で、測定値を補正するための較正ベクトルである。すなわち、ベクトルVは、楕円体を画定するベクトルのうちの1つであり、VCALと結合されてV'が生成され、V'は、球体を画定するベクトルのうちの1つである。ベクトルVCALは、定数でもよく、または、Vの方位の関数でもよい。較正係数VCALが磁界ベクトルVを正規化するにはもはや十分ではないときを決定するために、内側閾値球体(inner-threshold sphere)(半径Ref-Th)および外側閾値球体(outer-threshold sphere)(半径Ref+Th)が画定され得る。PND12が再配向されたとき、そのような状態が生じることになり、PND12の基準フレーム14は、車両10の基準フレーム16と整合するために再較正されなければならない。
【0073】
図15は、本発明のいくつかの実施形態による、磁界ベクトルV、および較正された磁界ベクトルV'の詳細を示す。PND12がその第1の位置または第1の方位にあるとき、検出された磁界ベクトルV1は、較正係数VCAL,1によって正規化され得る。較正されたベクトルV'1は、内側閾値球体および外側閾値球体内に含まれ、このことは、PND12が較正内であり、PND12の基準フレーム14が車両10の基準フレーム16に整合されることを示す。PND12は、第2の位置に再配向される。この第2の位置では、PND12の第2の位置の観点で、同じ較正係数VCAL,1がV1に適用される。この例では、較正された磁界ベクトルV'2は、以前較正された磁界ベクトルV'1と同じ大きさを有していない。較正された磁界ベクトルV'2が内側閾値球体および外側閾値球体内に含まれないように、大きさV'1とV'2との差は十分である。この例は、第2の位置にPND12を再配向することによって、PND12を較正外としたことを示す。V'1とV'2との間の差は、慣性データを使用してナビゲーション出力データを生成する前に再較正するように、PND12におけるアクションをトリガする。トリガされたアクションは、再配向されたPND12の観点から、慣性センサ測定値が較正外である可能性が最も高いので、慣性センサ測定値なしにナビゲーション出力データを計算することを含む。したがって、アクションは、そうでなければユーザディスプレイ510に表示される、ナビゲーションガイダンス情報を生成するための慣性センサによって提供される測定値を無効にすることを含み得る。アクションは、車両10の基準フレーム16と整合するために、PND12の基準フレーム14を再較正するために、慣性センサ504、デッドレコニングアルゴリズム、および基準フレーム変換行列を再較正することを含むこともできる。
【0074】
上記で説明した実施形態のいくつかは、一般的には楕円体に位置する3次元磁気センサ測定値を球体に位置する較正された磁気センサ測定値に変換する。すなわち、測定値は、楕円体領域から球体領域に変換される。変換行列が環境で較正されるとき、較正された磁気センサ測定値はほぼ一定の大きさを有する。較正されないとき、較正された磁気センサ測定値は、結果的に様々な大きさになる。この実施形態は、有利には、較正された磁気センサ測定値の大きさを、較正された球体の大きさを表す一定の基準値と比較する。この手法は、較正されると、球体に位置するように、楕円体領域から球体領域に測定値を変換するために、変換行列を使用する。較正された測定値が球体に位置するかどうかを決定するために、半径を表す大きさが、基準球体の半径を表す基準値と比較される。
【0075】
代替実施形態では、3次元磁気センサ測定値は、変換されるのではなく、楕円体領域において分析される。この代替実施形態では、測定値が楕円体に位置する(または楕円体に対する閾値内)かどうかを決定するために、3次元磁気センサ測定値が準拠楕円体と直接比較される。この代替の手法は、変換行列の複雑さなしで済ませるが、単純化した大きさの比較をなくす。代わりに、測定値が3次元楕円体モデルと比較される。この手法は、最初の摂動磁界の方位を決定し、(一定の半径を有する球体から楕円体上の可変半径への)逆変換を適用して、測定された磁気ベクトルの大きさと楕円体領域における予測された磁気ベクトルの大きさとを比較する。
【0076】
この代替実施形態では、PND12は、初期化のために、3次元磁気センサ測定値(たとえば、ベクトルV)を生成し、較正された磁気センサ測定値の大きさから準拠楕円体を決定し(そのため、楕円体領域における将来の測定値をテストすることができ)、この較正後、慣性センサ測定値を生成し、磁気センサ測定値の大きさを準拠楕円体と比較して、比較結果を設定し、比較結果に基づいて、慣性センサ測定値なしにナビゲーション出力データを計算することができる。すなわち、PND12が3Dセンサからの最初の磁気センサ測定値に基づいて準拠楕円体を特徴づけた後、PND12は、将来の磁気センサ測定値をこの準拠楕円体と比較することができる。ひとたび将来の磁気センサ測定値が準拠楕円体から離れて閾値距離を超えると、PND12は、そのナビゲーション計算で慣性センサ測定値を使用するのを停止しなければならない。
【0077】
開示される態様の上記の説明は、当業者なら誰でも本開示を作成または使用できるようにするために提供される。これらの態様への様々な修正が当業者には容易に明らかになることになり、本明細書に定義する一般的な原理は、本開示の趣旨や範囲を逸脱することなしに他の態様に適用され得る。
【符号の説明】
【0078】
10 車両
12 PND
14 基準フレーム
16 基準フレーム
20 マウント構造
22 表面インターフェース要素
24 回転可能な接続
24 相補型コネクタ
26 磁石
28 磁気センサ、磁気検出器
30 磁界
32 磁気モーメント
34 磁気感度軸
36 相対オフセット
40 車内パーソナルナビゲーション装置
200 表面
502 プロセッサ
504 慣性センサ
506 衛星ナビゲーションシステム(SPS)受信機
510 ユーザディスプレイ
902 ナビゲーションモジュール
905 大きさ決定モジュール
909 磁気較正モジュール
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図7