(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5850954
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製するための無害技法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/18 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
H05K3/18 B
H05K3/18 H
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-555533(P2013-555533)
(86)(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公表番号】特表2014-506737(P2014-506737A)
(43)【公表日】2014年3月17日
(86)【国際出願番号】US2012026182
(87)【国際公開番号】WO2012116107
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2013年8月23日
(31)【優先権主張番号】13/035,531
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513213999
【氏名又は名称】タイワン グリーン ポイント エンタープライジーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TAIWAN GREEN POINT ENTERPRISES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】イー,シォンホゥン
(72)【発明者】
【氏名】リアォ,ペン イー
【審査官】
遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−209607(JP,A)
【文献】
特開平07−066533(JP,A)
【文献】
特開2011−017069(JP,A)
【文献】
特開2005−050965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性基板上に連続導電性回路を製造する無害作製方法において、
非導電性基板の少なくとも1つの表面上に、活性金属の金属基層を形成する工程、
回路設計に基づいて、前記金属基層内に回路パターンを作製する工程であって、該回路パターンの各素子の周りで、前記非導電性基板の前記少なくとも1つの表面の完全性および/または元の形状を損なわずに、前記非導電性基板の前記少なくとも1つの表面から前記金属基層を除去する工程を含み、前記回路パターンを含む前記金属基層が、前記非導電性基板の前記少なくとも1つの表面上に存在する前記金属基層の残りから物理的に隔てられており、前記回路パターンを囲む前記非導電性基板の前記少なくとも1つの表面の領域がメッキ領域と称され、前記残りを表す前記非導電性基板の前記少なくとも1つの表面の領域が非メッキ領域と称されるものである、工程、
前記金属基層上に第1の金属層を加える工程、
前記メッキ領域の前記第1の金属層上に第2の金属層を加える工程であって、該第2の金属層が、前記非メッキ領域の前記第1の金属層上には加えられない工程、および
前記第2の金属層を加えた後、前記非メッキ領域から前記第1の金属層と前記金属基層を除去する工程であって、前記金属基層、前記第1の金属層、および前記第2の金属層からなる連続導電性回路のみが、前記非導電性基板の前記少なくとも1つの表面上に残っている工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記金属基層を形成する工程が、液体を使用して施す工程を利用する場合、前記方法が、
前記非導電性基板を所定の時間に亘り、前記金属基層を形成するための金属粒子を含有する活性金属溶液中に浸漬する工程、および
前記所定の時間が経過したときに、前記非導電性基板を前記活性金属溶液から取り出す工程、
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記回路パターンを作製する工程が、
前記非導電性基板の前記少なくとも1つの表面上に前記回路パターンを所望の位置に位置決めする工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記回路パターンの全体の周りで、前記非導電性基板の前記少なくとも1つの表面上から所定の量の前記金属基層を必要に応じて除去し、それによって、前記メッキ領域が前記非メッキ領域から前記非導電性基板の露出表面により隔てられる工程、
をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属層を加える工程が、
前記非導電性基板を所定の時間に亘り、前記第1の金属層を形成するための金属粒子を含有する化学メッキ溶液中に入れる工程、および
前記所定の時間が経過したときに、前記化学メッキ溶液から前記非導電性基板を取り出す工程であって、前記第1の金属層が前記金属基層上に形成されている工程、
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第2の金属層を加える工程が、
前記非導電性基板の前記メッキ領域を電気メッキプロセスの装置に取り付ける工程、および
前記電気メッキプロセスを行って、前記非導電性基板の前記メッキ領域内の前記第1の金属層上に第2の金属層を形成する工程、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
導電性回路であって、
非導電性基板、
前記非導電性基板の一部分の上の、前記導電性回路上の回路パターンを形成する、活性金属の金属基層、
前記金属基層の上の、無電解メッキ層である第1の金属層、および
前記金属基層および前記第1の金属層の上の、電気メッキ層である第2の金属層、
を有してなる、導電性回路において、
前記回路パターンの各素子の周りの前記金属基層のない前記非導電性基板の部分が、複数のレーザパターンを含み、かつ、前記金属基層のない前記非導電性基板の前記部分において、前記非導電性基板の前記部分の完全性および/または元の形状が維持されており、
前記金属基層のない前記非導電性基板の前記部分が、前記第1の金属層も欠如しており、かつ、
前記金属基層のない前記非導電性基板の前記部分が、前記第2の金属層も欠如している、
導電性回路。
【請求項8】
前記導電性回路が、非平面であり、凸形状、凹形状、複数の凸部と凹部、およびその組合せの内の少なくとも1つを有する、請求項7記載の導電性回路。
【請求項9】
非導電性基板上に連続導電性回路を製造する無害作製方法において、
非導電性基板を所定の時間に亘り、金属粒子を含有する活性金属溶液中に浸漬する工程、
前記所定の時間が経過したときに、前記非導電性基板を前記活性金属溶液から取り出し、取り出された非導電性基板が、前記金属粒子から形成された活性金属の金属基層を備える工程、
前記非導電性基板から、該非導電性基板の表面の完全性および/または元の形状を損なわずに前記金属基層の一部分を除去することによって、回路パターンを形成する工程であって、前記回路パターンを有する得られた基板が中間体と称され、前記金属基層が、互いから隔てられ、よって互いから電気的に隔離された少なくとも2つの別個の連続領域を備える、工程、
前記中間体を化学メッキ溶液中に入れ、よって、前記金属基層の上に第1の金属層が形成される工程、および
前記少なくとも2つの別個の連続領域の一方の前記第1の金属層のみに電極を取り付けて、その連続領域の該第1の金属層の上に第2の金属層を形成することによって、前記中間体を電気メッキする工程
を有してなり、
前記少なくとも2つの別個の連続領域の少なくとも1つが、前記電気メッキ後に前記第2の金属層を欠如している、
方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、ここにその全てを引用する、2011年2月25日に出願された、「非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製するための無害技法」と題する米国特許出願第13/035531号の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、電子回路の製造分野に関し、より詳しくは、非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製するための無害技法に関する。
【背景技術】
【0003】
回路の設計と製造は、多くの精密工程を含む骨の折れるプロセスである。これらの工程により精密で高品質の回路構成が製造されるが、設計/製造プロセスは、決まったものとなり、変えることが極めて難しい。回路設計の変更は、製造プロセスの要素に対する指数関数的な数の変更へと増える。
【0004】
例えば、集積回路(IC)チップの製造において、回路設計の変更には、たいてい、多層のマスクおよび/または特定の工程を実施するためのパラメータを変える必要がある。
【0005】
従来の回路製造プロセスにおいて本質的となってきたこの融通の利かなさのために、費用効果の高い様式で設計変更を適時実施する企業の能力が発揮されない。さらに、従来の製造プロセスは、回路を収容するために使用される非導電性基板内の作業に依存している。回路素子は、非導電性基板内に埋め込まれるか形成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、非導電性基板上に連続導電性回路を作製するための無害技法およびその方法により製造された製品を含み得る。この態様は、非導電性基板の表面上に金属基層を施すことから始められる。この金属基層は、パラジウム、ロジウム、白金、イリジウム、オスミウム、金、ニッケル、および/または鉄から構成することができる。回路パターンは、回路設計に基づいて、金属基層内に作製することができる。回路パターンを備えた金属基層は、非導電性基板上の残りの金属基層から物理的に隔てることができる。回路パターンを囲む非導電性基板の表面領域は、メッキ領域と称することができる。非導電性基板の残りの表面は、非メッキ領域と称することができる。次いで、金属基層上に第1の金属層を加えることができる。メッキ領域の第1の金属層上に第2の金属層を加えることができる。この第2の金属層は、導電性であり得、非メッキ領域の第1の金属層上には加えることができない。
【0007】
本発明の別の態様は、非導電性基板上に連続導電性回路を作製する方法およびその方法により製造された製品を含み得る。この態様は、非導電性基板を、所定の時間に亘り活性金属溶液中に浸漬することができる。この活性金属溶液は金属粒子を含有し得る。所定の時間が経過したときに、非導電性基板を活性材料溶液から取り出すことができる。取り出された非導電性基板は、前記金属粒子から形成された金属基層を備え得る。回路パターンは、非導電性基板から金属基層の一部を除去することによって形成することができる。回路パターンを備えた、得られた基板は、中間体と称することができる。金属基層は、互いから隔てられ、よって互いから電気的に隔離された少なくとも2つの別個の連続領域を備えることができる。この中間体を化学メッキ溶液中に入れ、その結果、金属基層の上に第1の金属層を形成することができる。中間体は、少なくとも2つの別個の連続領域の一方の第1の金属層のみに電極を取り付けて、その連続領域の第1の金属層の上に第2の金属層を形成することによって、電気メッキすることができる。少なくとも2つの別個の連続領域の少なくとも一方は、その電気メッキ後に、第2の金属層が欠如していて差し支えない。
【0008】
本発明の別の態様は、非導電性基板、金属基層、第1の金属層、および第2の金属層を備えた導電性回路を含むことができる。非導電性基板は、以下の材料:高分子ポリマー、ガラス、セラミック、木材、および布地の内の少なくとも1つから形成することができる。金属基層は、非導電性基板の一部分の上に形成することができる。金属基層は、導電性回路上に回路パターンを形成できる。金属基層は、パラジウム、ロジウム、白金、イリジウム、オスミウム、金、ニッケル、および鉄の内の少なくとも1つから構成することができる。金属基層のない非導電性基板の一部分は、レーザを使用して金属基層内に回路パターンを形成したときに生じた複数のレーザパターンを含み得る。第1の金属層が、存在することができ、金属基層の上に結合することができる。金属基層のない非導電性基板の一部分は、第1の金属層も欠如している。第1の金属層は、化学メッキプロセスを使用して加えられた第1の金属層を示す構造的特徴を有し得る。第2の金属層が、存在することができ、金属基層の上に結合することができる。金属基層のない非導電性基板の一部分は、第2の金属層も欠如している。第2の金属層は、金属メッキプロセスを使用して加えられた第2の金属層を示す構造的特徴を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ここに開示された本発明の配置の実施の形態による非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製するための無害プロセスの高レベル概要を提供する方法の流れ図
【
図2】ここに開示された本発明の配置の実施の形態による、より詳しい、非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製するための無害プロセスを説明する方法の流れ図
【
図3】ここに開示された本発明の配置の実施の形態による非導電性基板上に連続導電性回路380の無害作製を示すプロセスの流れ300
【
図3A】記載された無害プロセスを使用した非導電性基板の表面上の連続導電性回路の形成の最終状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製する無害プロセスを開示する。非導電性基板の1つ以上の表面に金属基層を施すことができる。回路パターンは、その回路パターンの素子の周りの金属基層を除去することによって、金属基層に形成することができる。次いで、第1の金属層を金属基層に加えることができる。導電性金属の第2の金属層は、回路パターンの第1の金属層上に加えることができる。
【0011】
図1は、ここに開示された本発明の配置の実施の形態による非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製するための無害プロセスの高レベル概要を提供する方法100の流れ図である。
【0012】
ここに用いたように、「非導電性基板」という用語は、電気を全く通さないか、少量しか通さない様々な材料を称するために使用することができる。ここに記載されたプロセスに使用できる非導電性基板の例としては、以下に限られないが、高分子ポリマー、ガラス、セラミック、木材、布地などが挙げられる。また、ステンレス鋼を含む非導電性基板を、ここに開示された方法に適用することもできる。
【0013】
ここに用いたように、「無害」という用語は、説明したプロセスが、非導電性基板の完全性に損傷を与えない、またはそれを損なわないことを示すために使用できる。すなわち、説明したプロセスを使用して作製された連続導電性回路は、非導電性基板の性質および/または元の形状を損なわずに、非導電性基板の表面上に存在できる。
【0014】
方法100は、非導電性基板の表面に金属基層を施すことができる工程105で始まることができる。金属基層を形成するために使用される金属としては、以下に限られないが、パラジウム、ロジウム、白金、イリジウム、オスミウム、金、ニッケル、鉄、およびその組合せが挙げられる。
【0015】
次いで、工程110において、金属基層内に回路パターンを形成することができる。工程115において、化学メッキプロセスを使用して、金属基層の上に第1の金属層を加えることができる。工程120において、電気メッキプロセスを使用して、第1の金属層の上に第2の金属層を形成して、非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製することができる。
【0016】
工程120が完了した際に、非導電性基板および/または連続導電性回路は、電子機器製造プロセスにさらに使用することができる(すなわち、電子部品を、作製された導電性回路に接続することができるおよび/または非導電性基板をデバイス内に実装することができる)。
【0017】
図2は、ここに開示された本発明の配置の実施の形態による、より詳しい、非導電性基板の表面上に連続導電性回路を作製するための無害プロセスを説明する方法200の流れ図である。方法200は、方法100のより詳しい実施の形態を表すことができる。
【0018】
方法200は、調製された非導電性基板を活性金属溶液中に入れることのできる工程205で始まることができる。非導電性基板の調製は、無害プロセスの特定の実施および/または使用されている非導電性基板のタイプについて要求されるように、洗浄、脱脂、エッチングなどの行為を含み得る。非導電性基板の表面上に活性金属の金属基層を形成した後、工程210において、非導電性基板を活性金属溶液から取り出すことができる。
【0019】
工程210の性能は、溶液中の時間および/または活性金属層の厚さなどの量的パラメータに基づき得る。これらのパラメータは、非導電性基板のタイプ、連続導電性回路の施用、および/または金属化プロセスの仕様(例えば、モル濃度、使用した特別な活性金属)に基づいて様々であり得る。
【0020】
工程215において、金属基層の一部分を除去して、金属基層内に回路パターンを実現することができる。回路パターンを実現するための金属基層の除去により、回路素子を非導電性基板の残りの上の金属基層から隔てることができる。回路パターンが実現された非導電性基板の表面の領域はメッキ領域と称することができ、非導電性基板の残りの表面は非メッキ領域と称することができる。
【0021】
1つの検討された実施の形態において、工程205の非導電性基板の調製は、非導電性基板が活性金属溶液中に入れられているときに、金属基層の結合を防ぐまたはある程度阻害する物質を非導電性基板の一部分に施す工程を含むことができる。この結合の阻害物質により、金属基層の一部分を除去して、そうでなければ可能であるよりも容易に、メッキ領域(工程215の)を作製することができる。
【0022】
次いで、工程220において、パターンの形成された非導電性基板を化学メッキ溶液中に入れることができる。工程225において、化学メッキ溶液中に含まれる金属からなる第1の金属層を金属基層上に形成した後、非導電性基板を化学メッキ溶液から取り出すことができる。工程215において金属基層の除去により露出された非導電性基板の面積は、化学メッキ溶液により影響を受け得ない。
【0023】
次いで、工程230において、電気メッキプロセスのために、メッキ領域を準備することができる(すなわち、濯ぎ、乾燥、電極取り付けなど)。工程235において、メッキ領域の第1の金属層上に第2の金属層を電気メッキすることができる。
【0024】
電気メッキプロセスは、メッキ領域上のみに行われ、メッキ領域は非メッキ領域から導電的に隔てられており、よって第2の金属層は、非メッキ領域の第1の金属層上に形成され得ないことを強調すべきである。
【0025】
工程240において、第1の金属層および金属基層は、非メッキ領域において非導電性基板の表面から除去することができる。それゆえ、非導電性基板に影響を与えずに、非導電性基板の表面上に、金属基層、第1の金属層、および第2の金属層からなる連続導電性回路のパターンが残される。
【0026】
図3は、ここに開示された本発明の配置の実施の形態による非導電性基板305上に連続導電性回路380の無害作製を示すプロセスの流れ300である。このプロセスの流れ300は、方法100および/または200の特別な実施の形態を表すことができる。
【0027】
プロセスの流れ300は、導電性回路380をその上に形成すべき表面が、金属化のために既に準備できている非導電性基板305で始めることができる。非導電性基板305の表面は、平らな輪郭に制限される必要はないことを強調すべきである。すなわち、記載されたプロセスは、受け入れる表面が凹面および/または凸面を含む非導電性基板305上に導電性回路380を形成することができる。
【0028】
例えば、このプロセスにより、球状または円筒状物体の外面(凸状)または内面(凹状)上に導電性回路380を形成することができる。あるいは、表面は、波または波紋などの凸面および/または凹面を有しても差し支えない。
【0029】
それゆえ、記載したプロセスは、導電性回路380の基礎として使用できる形状に加えて、非導電性基板305の表面的特徴の種類を広げることができる。記載されたプロセスにより、その表面の不完全さが従来の技法にとって許容できないと考えられる非導電性基板305を使用することが可能になるおよび/または化学機械平坦化(CMP)などの、表面の平坦度を改善するための工程の必要性を減少させることができる。すなわち、ここに記載されたプロセスを使用して、光化学加工(PCM)技法による表面平坦度の改善が必要ない。
【0030】
プロセスの流れ300に示された実例において、非導電性基板305は、ポリカーボネートの一片であり得る。非導電性基板305は、10〜70ppmのモル濃度を有するパラジウム溶液などの、活性金属溶液310内に入れることができる。
【0031】
非導電性基板305の活性金属溶液310中への浸漬と、そこからのその後の取出しにより、中間体315を得ることができる。この実例に示されるように、中間体315は、非導電性基板305の表面上に、活性金属溶液310により供給された活性金属から形成された、薄灰色により示された金属基層320を有することができる。
【0032】
金属基層320の具体的な厚さは、活性金属の種類、非導電性基板305の種類、形成されている導電性回路380の種類、並びに他のプロセスに特異的な変量に基づいて、様々であり得る。
【0033】
金属基層320は、非導電性基板305が示す全表面区域に形成することができ、プロセスの流れ300に示された層形成が、層の区別を強調するように断面図を表せることに留意すべきである。すなわち、活性金属溶液310中に入れられたときに、板状の非導電性基板305の全表面が露出される場合、その結果得られた中間体315は、この実例に示されるように、「上」層だけではなく、非導電性基板305の全表面を覆う金属基層320を有するであろう。
【0034】
回路パターン330は、金属基層320において実現され、中間体325を得ることができる。回路パターン330の実現は、回路パターン330を含む区域の周りの非導電性基板305からの金属基層320の除去を含み得る。
【0035】
例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザを使用して、金属基層320を除去することができる。そのようなプロセスにおいて、YAGレーザは、1〜7%の出力密度で、5〜30kHzの周波数で、4〜10Wの出力を提供することができる。
【0036】
さらに、金属基層320において回路パターン330を実現するためのプロセスは、金属基層320を2つの別々の領域に物理的に隔てることができる。メッキ領域335は、回路パターン330およびそのプロセスにおいて後に金属メッキすべき任意の他の補助区域を含み得る。メッキ領域335に含まれない金属基層320の残りは、非メッキ領域340と称することができる。
【0037】
プロセスの流れ300の代わりの実施の形態において、非メッキ領域340の金属基層320を同様に除去して、非導電性基板305の表面上にメッキ領域335のみを残しても差し支えない。
【0038】
次いで、中間体325を化学メッキ溶液345中に入れて、中間体350を形成することができる。中間体350により示されるように、化学メッキ溶液345は、金属基層320(薄灰色の層)上に第1の金属層355(中位の灰色により示される)を形成することができる。
【0039】
例えば、無電解銅メッキプロセスにより、銅の第1の金属層355を形成しても、または無電解ニッケルメッキプロセスにより、ニッケル層355を製造しても差し支えない。
【0040】
第1の金属層355が、メッキ領域335および非メッキ領域340の両方において金属基層320上に形成できることに留意することが重要である。第1の金属層355は、基本的に、回路パターン330の金属基層320上のみしか必要とされないが、両方の領域335および340の第1の金属層355を作製することは、非メッキ領域340における第1の金属層355の形成を阻害するために、非導電性基板305を加工するよりも、より費用効果が高く、時間が節約できる。すなわち、金属基層320の全体を第1の金属層355で被覆し、後に、非メッキ領域340から第1の金属層を除去することが、第1の金属層355の形成をメッキ領域335に制限する試みよりも容易かつより効率的であり得る。
【0041】
電気メッキプロセス360を中間体350のメッキ領域335に使用して、中間体365を製造することができる。電気メッキプロセス360に使用される電極は、接触がメッキ領域335のみに行われるように接続することができる。したがって、濃灰色の層により示される第2の金属層370が、メッキ領域335内に含まれる第1の金属層355上のみに形成することができる。
【0042】
さらに、メッキ領域335の第1の金属層355と非メッキ領域340の第1の金属層355は物理的に隔てられているので、追加の絶縁を提供することができ、電気メッキプロセス360をメッキ領域335のみに制限することができる。
【0043】
次いで、中間体365を、他の電子回路プロセスのための入力媒体として使用することができる。あるいは、第1の金属層355と金属基層320を中間体365から除去して、
図3Aに示された最終状態375を形成しても差し支えない。
【0044】
最終状態375は、非導電性基板305の表面に形成された導電性回路380を含むことができる。導電性回路380は、第1の金属層355と第2の金属層370を非導電性基板305に結合させる金属基層320を含むことができる。
【0045】
非導電性基板305が、最終状態375に示された導電性回路380の形成によって、変わっていないことに留意することが重要である。非導電性基板305内に導電性回路380の1つ以上の層を埋め込む他の従来の形成技法とは異なり、プロセスの流れ300により、非導電性基板305の表面を破壊せずに、導電性回路380を作製することができる。これにより、非導電性基板305の完全性を無傷のままにできる。
【0046】
さらに、この無害プロセスは、設計すなわち回路パターン330を収容するための非導電性基板305の変更を考慮する必要がないので、新規の回路パターン330または既存の回路パターン330への変更を実施するために必要な時間を著しく減少させることができる。
【0047】
例えば、集積回路(IC)(すなわち、マイクロプロセッサまたはマイクロチップ)のための典型的な製造プロセスは、特化した基板(すなわち、ドープトシリコンウェハー)および導電性回路380を形成するための多数のリソグラフィー工程、エッチング工程および/または、成膜工程を含み得る。この種類のプロセスに対して1つの設計変更を実施すると、新規/変更されたマスクと共に働く機械装置を再構成することは言うまでもなく、回路パターン330を含む各マスクを再加工するおよび/または変更することとなり得る。
【0048】
この多量の諸経費のために、設計変更は、実際の製造に関して、実現するため多大な時間がかかり得る。それゆえ、多くのIC製造業者は、製造中に設計を変更する試みをする代わりに、設計変更または検討を新たな製造ラインに転じる傾向にある。
【0049】
しかしながら、記載したプロセスにより、それほど難なく、より適時の様式で、設計を実施することができる。回路パターン330が1つの構造として非導電性基板305の表面に施されるので、設計への変更は、プロセスを新規の回路パターン330に単に調節することによって、このプロセス内で実現することができる。
【0050】
例えば、新たな回路パターン330を使用するために、金属基層320内の回路パターン330の実現を変更することができる(すなわち、レーザのオペレータは、新規の回路パターン330に従うであろう)。新規の回路パターン330には、電気メッキプロセス360中の電極の配置を変更する必要があるかもしれない。これらのプロセスの変更は、従来の導電性回路380の形成プロセスにおいて遭遇する変更と比べた場合、比較的軽微であると考えることができる。
【符号の説明】
【0051】
300 プロセスの流れ
305 非導電性基板
310 活性金属溶液
315,325,350,365 中間体
320 金属基層
330 回路パターン
335 メッキ領域
340 非メッキ領域
345 化学メッキ溶液
355 第1の金属層
360 連続導電性回路
370 第2の金属層
375 最終状態
380 導電性回路