(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5850968
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】不均一に分布させられた翼と均一なスロート面積とを備えたノズルリング
(51)【国際特許分類】
F02B 37/24 20060101AFI20160114BHJP
F01D 17/16 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
F02B37/24
F01D17/16 A
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-55776(P2014-55776)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-181716(P2014-181716A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2014年3月19日
(31)【優先権主張番号】13159879.9
(32)【優先日】2013年3月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501405177
【氏名又は名称】アーベーベー ターボ システムズ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン エム. ゼン
【審査官】
川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/042691(WO,A2)
【文献】
特開2000−045784(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102007036937(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/24
F01D 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの支持リングと、周方向に間隔を置かれた複数のベーンとを備え、
各ベーンは、
前記支持リングのうちの一方に固定して結合された根元部(4)と、
前記支持リングのうちの他方に固定して結合された先端部(3)と、
前縁(1)と、
後縁(2)と、
前記根元部(4)と前記先端部(3)との間において前記前縁(1)から前記後縁(2)まで延びた吸込面(8)及び圧力面(7)と、
前記ベーンのうちの隣のベーンの後縁(2’)とともにスロート面積(a)を形成するために前記圧力面(7)において前記根元部(4)から前記先端部(3)まで延びたスロートライン(5)と、を有し、
前記ベーンは少なくとも2つのセグメントに配置されており、該セグメントは、所定角度あたり異なるベーン分布を有する、排気ガス過給機のタービン用のノズルリングにおいて、
各セグメントは、所定角度あたり異なる数のベーンから成り、
前記ベーンは、各セグメントにおいて周方向で均一に分布させられており、
隣り合うベーンの間のスロート面積(a)は、全てのセグメントにおける隣り合うベーンのそれぞれの対において同じであり、
1つのセグメントの全てのベーンは、特定のプロファイル回転角度(γ1,γ2)で位置決めされており、
第1のセグメントの全てのベーンの特定のプロファイル回転角度(γ1)は、第2のセグメントの全てのベーンの特定のプロファイル回転角度(γ2)と異なり、
前記ノズルリングの前記ベーンは、同一の翼プロファイルを有することを特徴とする、排気ガス過給機のタービン用のノズルリング。
【請求項2】
請求項1記載のノズルリングを備える排気ガスタービン。
【請求項3】
請求項2記載の排気ガスタービンを備える過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、燃焼機関用の過給機の排気ガスタービン、特にこのようなガスタービンにおいて排気ガス流を案内するためのノズルリングに関する。
【背景技術】
【0002】
不変のタービンジオメトリを備えた燃焼機関用の過給機の慣用の排気ガスタービンは、排気ガスを複数のロータブレードへ送るためのタービンノズルを有する。タービンノズルは、周方向に間隔を置かれた複数のステータベーンを有する。ステータベーンは、その根元部及び先端部において、環状の、半径方向内側及び外側の支持リングに固定して結合されている。ラジアルタービン若しくは混合流タービンの場合、ノズルリングのステータベーンは、その根元部及び先端部において、環状の支持リングに固定されており、この支持リングは、流路のそれぞれ互いに反対の側において互いに隣接して配置されている。
【0003】
図4に示したように、各ノズルベーンは、前縁と、後縁と、前縁と後縁との間に延びる圧力面及び吸込面とを有する。1つのベーンの後縁は、隣接するベーンの吸込面から間隔を置かれている。各ベーンは、ベーン吸込面において根元部から先端部まで延びたスロートラインを有し、隣り合うベーンの後縁とともに、最小スロート面積のスロートを形成している。隣り合うベーンは、個々のスロート面積を形成しており、集合的に合計スロート面積を形成している。これらの面積は、それぞれの特定の排気ガスタービンの設計によって特定され、過給機の性能に影響する決定的な要因である。
【0004】
合計スロート面積は、好適には、隣り合うベーンの間に実質的に均一な個々のスロート面積を提供することによって得られる。隣り合うベーンの間のスロート面積の変動は、望ましくない空気機械的な励起圧力を提供する恐れがあり、この励起圧力は、ノズルよりも下流に配置されたロータブレードの望ましくない振動につながることがある。
【0005】
米国特許第5182855号明細書は、隣り合うベーンの間にスロート面積の所定値を得るためにタービンノズルを製造する方法を開示している。
【0006】
アキシャル、ラジアル、及び混合流過給機タービン用のノズルリングは、一般的に2つ以上の異なるセグメントに分割されており、これらのセグメントは、所定角度あたり異なる数のノズルベーンから成る。周方向で均一に分布させられたベーンを備える、セグメントに分割されていないノズルリングと比較して、ロータの空力的励起は低減され、高サイクル疲労に関する機械的完全性限界(mechanical integrity margin)が改善される。
【0007】
前述のセグメント分割されたノズルリング設計の主な問題は、ノズルスロート面積がセグメントごとに異なることである。したがって、ノズルの出口流れ角度もセグメントごとに異なる。流れが不均一であることにより、ロータは第1モード形状において励起され、タービン段の熱力学的効率は、均一に分布させられたベーンから成るノズルリングを備えた段と比較して、低減される。流れが不均一であることにより、ノズルリングは、ガス入口ケーシングに対して定位置に配置されていなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5182855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主たる課題は、隣り合うベーンの間に均一な個々のスロート面積を有する、セグメントごとに異なる数のノズルベーンから成る、セグメントに分割されたノズルリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により提供されるセグメントに分割されたノズルの場合、隣り合うベーンの間のスロート面積は、各セグメントにおいて同じであり、これは、異なるセグメントに属する個々のベーン部材の回転(すなわちスロート面積の開閉)によって達成される。その結果として提供される均一なスロート面積は、ノズルの均一な出口流れ角度と、ロータの均一な入口流れ角度とにつながる。
【0011】
これに基づき、不均一な流れによって生ぜしめられるロータの高サイクル疲労励起は排除され、タービン段の熱力学的効率を高めることができ、ノズルリングは、ガス入口ケーシングに対して定位置に配置されなくてもよい。タービン段の熱力学的効率及び高サイクル疲労に関するロータの機械的完全性限界は、高めることができる。より高いロータベーンを実現することができ、これは、増大した特定の流れ容量を提供する。空力的に高められたロータベーンを使用することができ、これは、より高い熱力学的効率を提供する。よりコンパクトな製品を実現することができ、製造コストを低減することができる。より高い熱力学的効率により、最終顧客にとって機関燃料コストが節約される。ノズルリングは、ガス入口ケーシングに対して定位置に配置されなくてもよいので、より単純でかつ安価な設計を実現することができ、この設計は、より簡単かつ迅速に取付けを行うことができ、ひいては、製造コスト及び保守コストをさらに低減することができる。
【0012】
本発明のこれらの及びその他の利点及び特徴は、例として発明の原理を例示している添付の図面に関連した以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【0013】
添付の図面は本発明を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】2つのセグメント及び均一なスロート面積を備えたアキシャル過給機タービン用のノズルリングを示す図である。
【
図2】一定のスロート面積を達するためのベーンの回転、すなわち閉鎖(図の上側)及び開放(図の下側)を示す図である。
【
図3】2つのセグメント及び均一なスロート面積を備えたラジアル若しくは混合流過給機タービン用のノズルリングを示す図である。
【
図4】2つのベーンの間のスロート面積を強調した、ノズルリングの2つの隣り合うベーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ノズルリングの各ベーンは、内側支持リングに慣用的に固定して結合された根元部と、外側支持リングに慣用的に固定して結合された先端部と、上流方向に面した前縁と、下流方向に面した後縁と、根元部と先端部との間において前縁から後縁まで延びた、互いに反対側に面した、吸込面若しくは凸面と、圧力面若しくは凹面とを有する。
【0016】
隣り合うベーンは、それらの間に、収束するチャネルを形成している。このチャネルは、燃焼ガスを、ベーンの間からスロートを通ってそこから下流へ慣用のタービンロータ段(図示せず)まで送るためのものである。
【0017】
上述しかつ
図4に示したように、各ベーンは、前縁1と、後縁2とを有する。各ベーンは、一方の支持リングに固定して結合された根元部4と、他方の支持リングに固定して結合された先端部3とを有する。圧力面7,7’と、吸込面8,8’とは、前縁1から後縁2まで、根元部4と先端部3との間に延びている。各ベーンは、ベーンの圧力面7において根元部4から先端部3まで延びたスロートライン5を有し、このスロートライン5は、隣り合うベーンの後縁2’とともに、最小スロート面積のスロートを形成するためのものである。
【0018】
ノズルリングは、2つ以上の異なるセグメントから成る。セグメントは、一定角度ごとに異なる数のベーンから成る。各セグメントにおいて、ベーンは周方向で均一に分布させられている。その種の既存のノズルリング設計とは対照的に、隣り合うベーンの間のスロート面積は、各セグメントにおいて同じであり、これは、それぞれ異なるセグメントに属する個々のベーン部材の回転(すなわち開閉)によって達成される。
【0019】
結果として提供される均一なスロート面積は、ノズルの均一な出口流れ角度と、ロータの均一な入口流れ角度とにつながる。それに基づき、不均一な流れによって生ぜしめられるロータの高サイクル疲労励起が排除され、タービン段の熱力学的効率を高めることができ、ノズルリングは、ガス入口ケーシングに対して定位置に配置されなくてもよい。
【0020】
図1には、アキシャル過給機タービン段用のノズルリングが示されており、このノズルリングは、2つのセグメント(セグメントの数s=2)から成る。第1のセグメントは、n
1=11のベーンを有し、第2のセグメントは、n
2=12のベーンを有する。各セグメントにおいて、ベーンは、周方向で均一に分布させられている。
【0021】
セグメント1におけるベーンの間の角度はα
1であり、セグメント2におけるベーンの間の角度はα
2であり、α
1≠α
2が当てはまる。各セグメントにおいて隣り合うベーンの間に等しいスロート面積を得るためには、異なるセグメントに属する個々のベーン部材が、
図2に示したように、プロファイル(翼断面)に対して垂直な、各ベーンの根元部から先端部まで延びた軸線を中心として一方又は他方の方向へ回転させられることによって(すなわち閉鎖又は開放することによって)特定のプロファイル回転角度に位置決めされる。第1のセグメントにおいて、ベーン部材は角度γ
1だけ閉鎖され、これにより、ベーンの圧力面において根元部から先端部まで延びたスロートラインと、隣のベーンの後縁との間に画定される面積を減じる。第2のセグメントにおいて、ベーン部材は角度γ
2だけ開放させられ、これにより、ベーンの圧力面において根元部から先端部まで延びたスロートラインと、隣のベーンの後縁との間に画定された面積を拡大する。セグメントの特定のプロファイル回転角度γ
1及びγ
2は、そのセグメントのスロート面積、すなわちセグメント1におけるa
1が、他方のセグメントのスロート面積、すなわちセグメント2におけるa
2と同じになるように選択され、a=a
1=a
2が目標スロート面積aに対応する。
【0022】
同じ概念が、
図3に示したように、ラジアル若しくは混合流過給機タービン段のノズルリングにも適用される。
【0023】
代替的に、その概念は、任意の数のベーンと、3つ以上のセグメントとによって実現することができ、すなわち、
【数1】
であり、γ
1,γ
2,...,γ
sは、a
1=a
2=...=a
s=aとなるようになっている。
【0024】
選択的に、所定角度あたり異なる数のベーンから成るセグメントにおける隣り合うベーンの間の等しいスロート面積を、異なるセグメントのベーンのために異なる翼プロファイルを用いることによって達成することができる。
【0025】
図4に示された構成の代わりに、ベーンの吸込面において根元部から先端部まで延びるスロートラインが隣のベーンの後縁と最小スロート面積のスロートを形成するようにベーンを配置することができる。
【0026】
少なくとも1つの好適な実施の形態に関連して発明を説明したが、発明がそれに限定されないことは当業者によって当然に理解されるべきである。むしろ、発明の範囲は添付の請求の範囲にのみ関連して解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0027】
1 ベーンの前縁
2,2’ ベーンの後縁
3 ベーンの先端部
4 ベーンの根元部
5 スロートライン
7,7’ ベーンの圧力面
8,8’ ベーンの吸込面
a 最小スロート面積
n
s セグメントごとのベーンの数
α
i,α
j 1つのセグメントの2つの隣り合うベーンの間の角度
γ
1,γ
2 ベーンプロファイル回転角度