(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円筒状の軸部と、この軸部の外周面に固定された螺旋羽根とを有する複数の螺旋軸が、同一平面上に互いに平行かつ軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列されてなる篩部と、
上記篩部の複数の螺旋軸を、互いに同じ方向に同じ速度で回転駆動する駆動部と、
上記篩部のうち、上記螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に、被処理物の全てを投入する投入部とを備え、
投入された上記被処理物が、上記篩部を、上記螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分から先端側部分まで、及び/又は、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分から先端側部分までを移動することにより、上記篩部の隣り合う螺旋軸の軸部の相互間を落下した小径物と、上記螺旋軸の溝に嵌合して移動し、この螺旋軸の送り方向に排出された中径物と、上記螺旋軸の螺旋羽根の周縁上に支持されて移動し、上記螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向に排出された大径物とに選別することを特徴とする廃棄物の選別機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の選別機は、篩部の多孔スクリーン上の中径物のうち、螺旋軸で送られずに残留するものが生じる。この残留した中径物により、多孔スクリーンの目詰まりや、多孔スクリーンと螺旋軸との間の噛み込みが発生し、動作不良が生じるおそれがある。また、上記従来の選別機は、篩部の隣り合う螺旋軸の螺旋羽根が、軸方向視において互いに隙間をおいて配列されているので、螺旋軸と平行をなす長尺の被処理物が、螺旋軸の相互間を落下して多孔スクリーンに受け取られ、多孔スクリーンと螺旋軸との間の噛み込みを招く不都合や、螺旋軸により排出されても、中径物に長尺物が混入する不都合が生じる。また、上記選別機は、ステージ上のショベルローダにより、篩部のフレームの幅方向の任意の位置から被処理物が投入されるので、排出部に近い位置に投入された被処理物は、螺旋軸上の移動距離が比較的短いうちに排出される。したがって、被処理物が十分に選別されないまま排出されるものが存在するので、選別精度が低いという問題がある。また、被処理物を篩部に投入するステージが、螺旋軸の送り方向の基端側に配置されているので、このステージの下に位置する駆動部の保守作業が行い難いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、被処理物の噛み込みに起因する動作不良を防止でき、被処理物を良好な精度で選別でき、駆動部の保守作業が容易な廃棄物の選別機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の廃棄物の選別機は、円筒状の軸部と、この軸部の外周面に固定された螺旋羽根とを有する複数の螺旋軸が、同一平面上に互いに平行かつ軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列されてなる篩部と、
上記篩部の複数の螺旋軸を、互いに同じ方向に同じ速度で回転駆動する駆動部と、
上記篩部のうち、上記螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に、被処理物を投入する投入部とを備え、
上記篩部の隣り合う螺旋軸の軸部の相互間を落下した小径物と、上記螺旋軸の溝に嵌合して移動し、この螺旋軸の送り方向に排出された中径物と、上記螺旋軸の螺旋羽根の周縁上に支持されて移動し、上記螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向に排出された大径物とに選別することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、篩部は、円筒状の軸部と、この軸部の外周面に固定された螺旋羽根とを有する複数の螺旋軸を有する。これらの複数の螺旋軸は、同一平面上に互いに平行に配列され、かつ、軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列される。この篩部の複数の螺旋軸は、駆動部により、互いに同じ方向に同じ速度で回転駆動される。上記篩部には、投入部により、篩部のうちの螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に、被処理物が投入される。駆動部により回転駆動された篩部の螺旋軸上に、投入部により被処理物が投入されると、螺旋軸の送り動作により、被処理物が、螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向及び螺旋軸の送り方向に送られる。被処理物は、螺旋軸で送られる過程で、被処理物のうちの小径物が、篩部の隣り合う螺旋軸の軸部の相互間を落下する。また、被処理物のうちの中径物は、螺旋軸の溝に嵌合して軸方向に移動し、篩部から螺旋軸の送り方向に排出される。また、被処理物のうちの大径物は、螺旋軸の螺旋羽根の周縁上に支持されて、螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向に移動し、篩部から螺旋羽根の頂部の回動方向に排出される。ここで、複数の螺旋軸の軸部の相互間を落下したものの全てが、小径物として選別されるので、本発明の廃棄物の選別機は、従来のような、多孔スクリーン上に残留した中径物に起因する目詰まりや噛み込みの不都合が無い。したがって、従来よりも不良動作が大幅に少なく、安定した選別動作を行うことができる。また、篩部の螺旋軸が、軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列されているので、長尺の被処理物が、螺旋軸の軸方向と平行方向を向いた状態で螺旋軸の相互間を落下することが無い。したがって、長尺の被処理物が小径物に混入する不都合を防止でき、選別精度を向上できる。また、投入部は、篩部のうちの螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に被処理物を投入する。したがって、投入された被処理物は、篩部を、螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分から先端側部分まで移動し、及び/又は、螺旋軸の送り方向における基端側部分から先端側部分までを移動することができる。その結果、被処理物を、従来よりも長く篩部に滞在させることができるので、効果的に小径物と中径物と大径物に選別することができ、選別精度を向上することができる。また、投入部は、篩部のうちの螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に被処理物を投入するように形成されているので、螺旋軸の送り方向の基端側に配置されたステージ上から被処理物を投入する従来の選別機よりも、平面視において駆動部との重複を少なくできる。したがって、駆動部の保守作業を容易に行うことができる。
【0010】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記篩部の複数の螺旋軸は、各々の上記螺旋羽根が、互いに同一の軸方向位置で同一の位相をなすように配列されている。
【0011】
上記実施形態によれば、篩部の複数の螺旋軸は、軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列されているうえ、各々の上記螺旋羽根が、互いに同一の軸方向位置で同一の位相をなすように配列されているので、均一の寸法の小径物を、安定して軸部の相互間を通過させることができる。また、均一の寸法の中径物を、安定して螺旋羽根の相互間に嵌合させて移動し、送り方向に排出することができる。このように、目開きに相当する螺旋羽根の軸部及び螺旋羽根で形成される領域の大きさを、安定して均一に保つことができるので、被処理物を、寸法に応じて精度良く、安定して選別することができる。
【0012】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記篩部の複数の螺旋軸は、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根の位相を所定値ずつずらして配列されている。
【0013】
上記実施形態によれば、篩部の複数の螺旋軸は、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根の位相が所定値ずつずれるように配列されているので、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根の相互間、かつ、隣り合う螺旋軸の軸部の相互間に、同じ軸方向位置において螺旋羽根を同じ位相で配列するよりも大きな被処理物を嵌合可能な領域を形成できる。これにより、比較的大きな被処理物を中径物として選別できる。
【0014】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記篩部の複数の螺旋軸は、送り方向における基端部分が回転可能に支持される一方、先端部分が自由端の片持ち梁状に形成されている。
【0015】
上記実施形態によれば、篩部を形成する複数の螺旋軸は、送り方向における基端部分が回転可能に支持される一方、先端部分が自由端に形成されているので、先端部分を支持するための軸受や軸が不要であるから、螺旋軸の送り方向に、軸受や軸等で中径物を妨げることなく排出することができる。また、小径物を、螺旋軸の先端部分から、軸受や軸で妨げることなく落下させることができる。したがって、篩部の動作不良を防止でき、また、被処理物を滞りなく選別できる。
【0016】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記駆動部は、上記複数の螺旋軸の送り方向における基端側に夫々固定されたスプロケットと、隣り合う2つの上記螺旋軸のスプロケットを順次接続する複数のチェーンと、配列方向の最端の上記螺旋軸に連結され、この螺旋軸を回転駆動する動力源とを有する。
【0017】
上記実施形態によれば、複数の螺旋軸を駆動する駆動部が、複数の螺旋軸に固定された複数のスプロケットと、これらの複数のスプロケットを接続する複数のチェーンと、螺旋軸に連結された動力源を有して形成される。スプロケットは、螺旋軸の送り方向における基端側に固定されるので、被処理物を駆動部から遠ざけて、被処理物の混入による駆動部の動作不良を防止できる。また、複数のチェーンは、隣り合う2つの螺旋軸のスプロケット毎に順次接続されるので、動力源によって最端の螺旋軸に入力された回転力が、複数の螺旋軸に順次伝達されて、複数の螺旋軸が安定して駆動される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態の廃棄物の選別機を示す平面図であり、
図2は、
図1におけるA−A線断面図であり、
図3は、
図1におけるB−B線断面図である。実施形態の廃棄物の選別機は、土や岩や植物が混在する建設系廃棄物や、生ゴミやプラスチックや金属が混在する都市ゴミ等のように、異なる種類のものが混在する廃棄物を、寸法に応じて選別するために用いられる。特に、この廃棄物の選別機は、都市ゴミの処理設備に使用され、袋体中に廃棄物を収容した袋入り廃棄物を破砕する破袋機に続く工程で、破砕された袋体や廃棄物を、寸法に応じて選別するために用いられるのが好ましい。
【0021】
この廃棄物の選別機は、複数の螺旋軸2,2,2・・・を含んで形成された概ね矩形の篩部1と、篩部1の螺旋軸2,2,2・・・を回転駆動する駆動部10と、篩部1に被処理物を投入する投入部としての投入コンベヤ3を備える。篩部1の下方には、選別された被処理物のうちの小径物を搬出する小径物コンベヤ4が配置されている。篩部1の螺旋軸2による送り方向Sの先端側には、選別された被処理物のうちの中径物を搬出する中径物コンベヤ5が配置されている。更に、篩部1の螺旋軸2の側方であって、螺旋羽根24における頂部24tの回動方向Cの先端側には、選別された被処理物のうちの大径物を搬出する大径物コンベヤ6が配置されている。篩部1の螺旋軸2による送り方向Sの基端側には、螺旋軸2を回転駆動する駆動部10が配置されている。
【0022】
篩部1は、ケーシング8の上部に配置されている。ケーシング8は、平面視において矩形を成し、螺旋軸2による送り方向の基端側に立設された奥壁部81と、螺旋軸2の螺旋羽根24における頂部24tの回動方向Cの基端側に配置された側壁部82と、篩部1の下方に配置されたホッパー状の2つの傾斜面83,83と、傾斜面83の下端に連なる排出口84を有する。傾斜面83は、
図3に示すように、螺旋軸2の軸方向に沿った断面において、幅方向の中央に向かって傾斜している。この傾斜面83の下端に連なる排出口84は、
図2に示すように、螺旋軸2の軸方向と直交する方向に延在し、この排出口84の下側に小径物コンベヤ4の搬送面が臨んでいる。
【0023】
篩部1の螺旋軸2は、円筒状の軸部23と、軸部23の外周面に固定された螺旋羽根24を有する。複数の上記螺旋軸2が、水平面上に互いに平行に配列されて篩部1を形成している。なお、複数の螺旋軸2が配列される篩部1の平面は、水平面以外に、螺旋軸2の送り方向S及び螺旋羽根24の頂部の回動方向Cのいずれか一方又は両方に向かって傾斜した傾斜面であってもよい。
【0024】
螺旋軸2は、小径の回転軸21に着脱可能に外嵌しており、回転軸21の基端側に固定された鍔部22に、螺旋軸2の端面が連結されて固定されている。回転軸21は、一端が、ケーシング8の奥壁部81に固定された軸受31と駆動部10の取付壁9に固定された軸受32とで支持され、片持ち梁を形成している。この回転軸21に固定された螺旋軸2もまた、送り方向Sの先端が自由端の片持ち梁を形成している。螺旋軸2の螺旋羽根24は、軸受31,32で支持される側の端であって駆動部10が設けられる側の端から、先端に向かって、被処理物を送るように形成されている。すなわち、螺旋軸2は、基端側から先端側を見て、時計回りに進む螺旋を描くように螺旋羽根24が形成されると共に、反時計回りに回転駆動される。したがって、
図2の先端側から基端側を見た場合は、回転軸21の回転方向Rは時計回りとなる。このように螺旋軸2が回転駆動されることにより、駆動部10の位置する基端側から先端側を向かう送り方向Sに、被処理物を送るように設定されている。また、螺旋羽根24は、
図1及び
図2に示すように、頂部24tの回動方向Cが、投入コンベヤ3側から大径物コンベヤ6側に向かうように駆動される。以下、螺旋軸2の螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cを、単に、螺旋軸2の回動方向Cという。この篩部1を形成する複数の螺旋軸2は、軸方向視において隣り合う螺旋羽根24,24,24・・・が重なり合うように配列されている。また、各々の螺旋羽根24,24,24・・・が、互いに同一の軸方向位置で、同一の位相をなすように配列されている。
【0025】
実施形態の選別機の篩部1は、回転軸21に装着する螺旋軸2を交換することにより、選別を行う基準の寸法を変更できるように形成されている。
図4Aは、
図1乃至3の篩部1における螺旋軸2,2,2の配列状況を示す部分横断面図であり、
図4Bは、変形例の螺旋軸52,52,52の配列状況を示す篩部1の部分横断面図である。変形例の螺旋軸52の軸部53の直径D2は、実施形態の螺旋軸2の軸部23の直径D1よりも、小さく形成されている。回転軸21に、変形例の螺旋軸52を装着した場合、軸部53と軸部53の隙間T2が、実施形態の螺旋軸2を装着した場合の隙間T1よりも拡大する。これにより、変形例の螺旋軸52を装着した場合、小径物の上限寸法が、実施形態の螺旋軸2を装着した場合よりも大きく設定される。すなわち、実施形態の螺旋軸2に替えて変形例の螺旋軸52を用いた場合、篩部1を篩であると想定した場合の目開きが大きくなるのと同じ効果が得られる。したがって、変形例の螺旋軸52を用いる篩部1は、実施形態の螺旋軸2を用いるよりも、寸法の大きな被処理物を小径物として選別することができる。ここで、変形例の螺旋軸52と実施形態の螺旋軸2は、いずれも、螺旋羽根54,24の外径は同じ大きさに形成されている。実施形態の螺旋軸2と変形例の螺旋軸52は、軸部23,53の端面が、回転軸21の鍔部22にボルト等の固定手段で固定される。この固定手段を解除して鍔部22から軸部23,53を取り外すことにより、螺旋軸2,52を容易に交換可能に形成されている。
図5は、変形例の螺旋軸52を回転軸21に装着した様子を示す縦断面図である。この選別機の篩部1は、回転軸21に螺旋軸2,52を外嵌し、鍔部22に軸部23,53の端面を固定して装着するように形成されているので、螺旋軸2,52を容易かつ迅速に交換して、小径物として設定する寸法を、容易に変更できる。
【0026】
投入コンベヤ3は、定量供給機等から供給された被処理物を、矢印Fで示すように搬送する。投入コンベヤ3は、ベルトコンベヤで形成されている。この投入コンベヤ3の先端は、平面視において、篩部1のうち、螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に位置している。
【0027】
小径物コンベヤ4は、ベルトコンベヤで形成され、篩部1の下方に配置されたケーシング8の傾斜面83,83の間に形成された排出口84に、搬送面を臨むように配置されている。この小径物コンベヤ4は、篩部1を透過して落下して上記傾斜面83で集められ、排出口84から排出された小径物を、矢印Gで示すように搬出する。
【0028】
中径物コンベヤ5は、篩部1の螺旋軸2による送り方向Sの先端側に、螺旋軸2の配列方向に延在して配置されている。中径物コンベヤ5は、ベルトコンベヤで形成されている。ケーシング8の中径物コンベヤ5側には、
図3の断面図に示すように、螺旋軸2の先端部の下方から中径物コンベヤ5の搬送面の縁部に向かって傾斜した第1排出斜面85が設けられている。中径物コンベヤ5は、被処理物のうち、螺旋軸2の螺旋羽根24の間に形成される溝に嵌合して移動し、螺旋軸2の先端から排出された中径物を受け取り、矢印Mに示すように搬出する。
【0029】
大径物コンベヤ6は、篩部1の螺旋軸2の回動方向Cの先端側に、螺旋軸2の軸方向と平行に延在して配置されている。大径物コンベヤ6は、ベルトコンベヤで形成されている。ケーシング8の大径物コンベヤ6側には、
図2の断面図に示すように、螺旋軸2の側方から大径物コンベヤ6の搬送面の縁部に向かって傾斜した第2排出斜面86が設けられている。大径物コンベヤ6は、被処理物のうち、螺旋軸2の螺旋羽根24の頂部24tに載置され、螺旋軸2の回動方向Cに移動し、螺旋軸2に対して概ね直角方向に排出された大径物を受け取り、矢印Lに示すように搬出する。
【0030】
駆動部10は、篩部1の螺旋軸2の送り方向Sの基端側に、螺旋軸2の配列方向に延在して配置されている。駆動部10は、複数の螺旋軸2の回転軸21に固定されたスプロケット26,27と、隣接するスプロケット26,27の間に架け渡された複数のチェーン28,29と、最端の回転軸21を駆動する動力源としてのモータ11を有する。螺旋軸2の回転軸21は、ケーシング8の奥壁部81を貫通してケーシング8の外側に突出しており、この奥壁部81に固定された軸受31と、奥壁部81に対向する取付壁9に固定された軸受32により、回転可能に支持されている。各回転軸21は、螺旋軸2に近い側と遠い側とに2つのスプロケット26,27が固定されている。これらの2つのスプロケット26,27は、互いに反対側に隣接する回転軸21,21に固定されたスプロケット26,27と、チェーン28,29を介して接続されている。これにより、螺旋軸2の配列方向に向かって、螺旋軸2の2つのスプロケット26,27が交互に互いに接続されている。モータ11は、出力軸のスプロケットが、螺旋軸2の回動方向Cにおいて、最も端に位置する螺旋軸2の回転軸21のスプロケット27dに、チェーン29dを介して接続されている。
【0031】
上記構成の廃棄物の選別機は、次のように動作する。まず、駆動部10のモータ11に駆動電力が供給され、モータ11の回転力が、螺旋軸2の回動方向Cにおいて最端の螺旋軸2の回転軸21に入力される。最端の螺旋軸2の回転軸21に入力された回転力は、スプロケット26,27及びチェーン28,29を介して隣接する回転軸21に順次伝達される。これにより、篩部1の全ての螺旋軸2が、互いに同じ速度で同じ方向に回転駆動される。螺旋軸2の駆動速度は、螺旋羽根24の周速度において5〜30m/秒である。
【0032】
篩部1の螺旋軸2の動作が開始されると、図示しない定量供給機等から供給された被処理物が投入コンベヤ3で搬送され、この投入コンベヤ3の排出側の端部から篩部1に落下する。こうして、投入コンベヤ3により、篩部1の螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に、被処理物が投入される。
【0033】
篩部1に投入された被処理物のうち、隣り合う螺旋軸2,2の軸部23,23の離隔距離よりも小さい小径物が、隣り合う螺旋軸2,2の軸部23,23の相互間を通過し、篩部1から下方に落下する。篩部1から落下した小径物は、ケーシング8の傾斜面83で収集されて排出口84から排出され、小径物コンベヤ4の搬送面に受け取られて、小径物コンベヤ4で搬出される。小径物としては、土砂、ガラス片、金属片及び陶器片等、比重の比較的大きい小寸法のものが多く含まれる。また、小型のペットボトルや瓶や缶等の小型容器や、乾電池等も小径物に含まれる。
【0034】
また、被処理物のうち、隣り合う螺旋軸2,2の軸部23,23の離隔距離よりも大きく、螺旋羽根24の軸方向間隔よりも小さい中径物が、螺旋軸2の螺旋羽根24の隙間、すなわち螺旋軸2の溝に嵌合して送り方向Sに移動する。こうして螺旋軸2に沿って移動した中径物は、螺旋軸2の先端から送り方向Sに排出される。螺旋軸2の先端から排出された中径物は、第1排出斜面85に沿って落下し、中径物コンベヤ5の搬送面に受け取られて、中径物コンベヤ5で搬出される。中径物としては、ビン、缶、ペットボトル及び棒状体等が含まれる。
【0035】
図6Aは、篩部1により中径物が搬送される様子を示す部分平面図であり、
図6Bは、篩部1により中径物が搬送される様子を示す部分横断面図である。
図6Aに示すように、隣り合う螺旋軸2の軸部23,23の離隔距離よりも大きく、かつ、螺旋羽根24の軸方向間隔よりも小さい中径物61が、
図6Bに示すように、隣り合う螺旋軸2の軸部23,23の上に支持される。この中径物61が、回転する螺旋軸2により、矢印S1で示すように、送り方向Sと実質的に同じ方向に搬送される。
【0036】
また、被処理物のうち、螺旋羽根24の軸方向間隔よりも大きい大径物は、隣り合う螺旋軸2の軸部23,23の間を落下することなく、また、螺旋羽根24の間隔に嵌合することなく、螺旋軸2の螺旋羽根24の周縁の上に残留して支持される。この大径物は、螺旋軸2の動作により、螺旋軸2の回動方向Cに移動し、篩部1から螺旋軸2の回動方向Cに排出される。篩部1から螺旋軸2の回動方向Cに排出された大径物は、第2排出斜面86に沿って落下し、大径物コンベヤ6の搬送面に受け取られて、大径物コンベヤ6で搬出される。大径物としては、材木、べニア板、石膏ボード、樹脂袋、樹脂シート等の比較的比重が小さく、板状やシート状のものが含まれる。
【0037】
図7は、篩部1により大径物が搬送される様子を示す部分断面図である。
図7に示すように、隣り合う螺旋軸2の軸部23,23の離隔距離よりも大きく、かつ、螺旋羽根24の軸方向間隔よりも大きい大径物62,63が、
図7に示すように、隣り合う又は複数の螺旋軸2の螺旋羽根24,24,24・・・の周縁の上に支持される。べニア板や石膏ボード等の板状の大径物62は、螺旋羽根24の頂部24tに接して、螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cと実質的に平行な方向C1に搬送される。一方、樹脂袋等の可撓性のシート状の大径物63は、螺旋羽根24の上部に接して、螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cと実質的に平行な方向C1に搬送される。なお、細長の材木や洗濯竿等の長尺物は、短辺が螺旋軸2,2の軸部23,23の離隔距離よりも小さくても、長辺が螺旋羽根24の周縁の上に載置されれば、螺旋軸2の回転によって螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cと実質的に平行な方向C1に送られる。
【0038】
本実施形態の廃棄物の選別機は、被処理物を、篩部1のうち、螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に投入する。したがって、投入された被処理物は、篩部1を、螺旋軸2の螺旋羽根24の頂部24tの回動方向における基端側部分から先端側部分まで、及び/又は、螺旋軸2の送り方向Sにおける基端側部分から先端側部分までを移動することができる。詳しくは、
図8の模式図に示すように、篩部1に、螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に投入された被処理物のうち、大径物は、矢印15に示すように、篩部1を、螺旋軸2の回動方向Cの基端側から先端側にわたって移動する。なお、
図8では、螺旋軸2の図示は省略している。また、篩部1に投入された被処理物のうち、中径物は、矢印16に示すように、篩部1を、螺旋軸2の送り方向Sの基端側から先端側にわたって移動する。また、篩部1に投入された被処理物のうち、大径物と中径物の間の大きさの被処理物は、矢印17に示すように、篩部1を、螺旋軸2の回動方向C及び送り方向Sの基端側から先端側にわたって移動する。このように、本実施形態によれば、被処理物を篩部1内で長い経路を通るように移動させることができるので、被処理物を篩部1に長く滞在させ、螺旋軸2の作用により、大径物や中径物に付着した小径物を効果的に分離することができる。また、被処理物を篩部1に長く滞在させて、螺旋軸2の作用により、大径物を解して中径物とし、中径物を解して小径物とすることができる。したがって、被処理物を、効果的に選別することができる。
【0039】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、投入部としての投入コンベヤ3が、篩部1のうちの螺旋軸2の回動方向Cにおける基端側部分、かつ、螺旋軸2の送り方向Sにおける基端側部分に被処理物を投入するように形成されているので、平面視において駆動部10との重複が無い。したがって、駆動部10の保守作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、複数の螺旋軸2の軸部23の相互間を落下したものの全てが、小径物として選別されるので、従来のような、多孔スクリーン上に残留した中径物に起因する目詰まりや噛み込みの不都合が無い。したがって、従来よりも不良動作が大幅に少なく、安定した選別動作を行うことができる。また、従来のように、多孔スクリーンと螺旋軸の間に噛み込んだ被処理物に抗して螺旋軸を駆動する必要が無いので、従来よりも出力の小さいモータ11で安定して作動させることができる。
【0041】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、篩部1を形成する複数の螺旋軸2を、送り方向Sにおける基端部分を回転可能に支持する一方、先端部分を自由端に形成したので、先端部分を支持するための軸受や軸が不要であるから、螺旋軸2の送り方向Sに中径物を、軸受や軸等で妨げることなく速やかに排出することができる。また、螺旋軸2の先端部分から、小径物を軸受や軸等で妨げることなく速やかに落下させることができる。したがって、篩部1の動作不良を防止でき、また、被処理物を滞りなく選別できる。
【0042】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、篩部1の螺旋軸2が、軸方向視において隣り合う螺旋羽根24が重なり合うように配列されているので、長尺の被処理物が、螺旋軸2の軸方向と平行方向を向いた状態で螺旋軸2の相互間を落下することが無い。したがって、長尺の被処理物が小径物に混入する不都合を防止でき、選別精度を向上できる。
【0043】
上記実施形態において、篩部1の螺旋軸2は、各々の螺旋羽根24,24,24・・・が、互いに同一の軸方向位置で同一の位相をなすように配列されたが、互いに同一の軸方向位置で異なる位相をなすように配列されてもよい。
図9Aは、隣り合う螺旋軸2の螺旋羽根24,24,24・・・を、位相を90°ずつずらして配置した篩部1を示す部分平面図であり、
図9Bは螺旋軸2,2,2,・・・の先端部の軸方向視の正面図である。
図9A及び9Bに示すように、篩部1を形成する複数の螺旋軸2A,2B,2C,2D,・・・は、回動方向C側に向かうにつれて、反時計回りに90°ずつ位相をずらして配置されている。すなわち、2Bの螺旋軸は2Aの螺旋軸に対し、2Cの螺旋軸は2Bの螺旋軸に対し、2Dの螺旋軸は2Cの螺旋軸に対し、2Aの螺旋軸は2Dの螺旋軸に対し、反時計回りに位相を90°ずらして配置されている。このように形成された篩部1は、
図9Aに示すように、隣り合う螺旋軸2,2の間に、同じ位相差で配列した場合よりも大きな中径物64を嵌合して搬送することができる。
【0044】
上記実施形態において、篩部1を通過した小径物を、ケーシング8の傾斜面83,83で収集して小径物コンベヤ4で搬出したが、小径物を収集及び搬出するケーシング8の傾斜面83,83及び小径物コンベヤ4に替えて、篩部1の下方にヤードを設置し、ヤードに落下した小径物を、人力又は特殊車両で収集して搬出してもよい。また、中径物コンベヤ5及び/又は大径物コンベヤ6に替えて、篩部1の送り方向Sの先端の縁と、篩部1の回動方向Cの先端の縁とに沿って壁を夫々設け、篩部1の下方を、篩部1の直下の領域と、篩部1の送り方向Sの外側の領域と、篩部1の回動方向Cの外側の領域とに区画してもよい。これらの領域から、人力又は特殊車両で、小径物と中径物と大径物を夫々収集して搬出してもよい。
【0045】
また、投入コンベヤ3は、ベルトコンベヤに限られず、スクリューコンベヤやチェーンコンベヤ等の他の投入手段を用いてもよい。
【0046】
また、篩部1を形成する螺旋軸2の螺旋羽根24は、周縁を鋸状や凸状に形成してもよく、また、周縁に刃を固定してもよく、これらにより、被処理物の破砕機能を付与することができる。例えば、被処理物として、例えば袋体中に廃棄物を収容した袋入り廃棄物が投入された場合に、破砕機能を有する螺旋軸で袋体を破って、廃棄物を選別すると共に、袋体を中径物や大径物として選別することができる。また、都市ゴミの処理設備において、破袋機に続く工程に配置された場合、破袋機で破砕されなかった袋体を破砕し、袋体中の廃棄物を漏れなく選別することができる。
【0047】
また、螺旋軸2は、先端を自由端とする片持ち梁に形成したが、螺旋軸2の先端の下側部分を支持してもよい。螺旋軸2は、平面視において軸部23の輪郭から突出していなければ、下側に支持機構を配置することができる。すなわち、中径物の送り方向Sへの移動や、小径物の落下の邪魔にならなければ、螺旋軸2は自由端でなくてもよい。
【0048】
また、駆動部10は、動力源としてのモータの駆動力を、チェーン28,29及びスプロケット26,27で伝達したが、歯車で伝達してもよい。
廃棄物の選別機は、複数の螺旋軸2,2,2・・・を水平面上に互いに平行に配列してなる篩部1と、篩部1に、螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に被処理物を投入する投入コンベヤ3を備える。篩部1の下方には、小径物を搬出する小径物コンベヤ4が配置され、篩部1の螺旋軸2の送り方向Sの先端側には、中径物を搬出する中径物コンベヤ5が配置され、篩部1の螺旋軸2の螺旋羽根24における頂部24tの回動方向Cの先端側には、大径物を搬出する大径物コンベヤ6が配置されている。投入コンベヤ3により投入された被処理物は、篩部1に長く滞在するので、精度良く小径物と中径物と大径物に選別される。