(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、照明装置のさらなる光量向上のためには複数の照明灯を備えた多灯の照明装置の使用が望ましい。このような多灯の照明装置では遠方の対象物に多くの光を照射するため、各照明灯の照射方向は同一とすることが一般的である。しかしながら、このような照明装置では作業現場を照らすために光の照射方向を真下に向けた際に、照明装置の真下のみが照らされて作業現場を広範囲に照らすことができないという問題点がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光の照射方向が真下を向く仰角−90°の状態では各照明灯が自動的に外側を向く照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)仰角の変化が可能な4つの照明灯20a、20b、20a’、20b’を備えた照明部90を有する照明装置であって、
前記照明部90が真下を向く仰角−90°にあるときに、前記照明灯20a〜20b’は前記照明部90の方向に対して所定の仰角θで外側を向くとともに、前記照明部20a〜20b’の仰角が所定の角度となるまでは前記照明部90の仰角の増減に反比例して前記照明灯20a〜20b’の仰角がθ〜0°の範囲で増減し、前記照明部90の仰角が所定の角度以上では前記照明灯20a〜20b’の仰角は略0°に維持されて前記照明部90の法線方向と前記照明灯20a〜20b’の照射方向とが略一致することを特徴とする照明装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)照明部90が、
水平方向に回転可能な基部30と、
前記基部30の対向する2側面にそれぞれ1つ設置され、左右同軸で回転するとともに両端面40a、40b、40a’、40b’が長辺方向に対して略45°の角度をなす照明アーム部40、40’と、
前記照明アーム部40、40’の両端面40a〜40b’のそれぞれに仰角が変化可能に設置された照明灯20a〜20b’と、
前記照明アーム部40、40’毎に一つ設けられ前記照明アーム部40、40’の両端面40a〜40b’に設置された両照明灯20a〜20b’の仰角を変化させるリンク機構50と、を有し、
前記照明アーム部40、40’の回転と機械的に連動して前記照明灯20a〜20b’の仰角が変化することを特徴とする上記(1)記載の照明装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)1つのリンク機構50が、
照明アーム部40、40’を回転させる
回転筒(第1回転筒84、第2回転筒84’)と、
前記
回転筒と同軸の固定軸82と、
前記固定軸82と固定し所定の長さのアーム52aを備えた固定リンクプレート52と、
一端が前記固定リンクプレート52のアーム52aと接続する第1リンク54と、
1点が前記照明アーム部40、40’に回転自在に軸支されるとともに、他の1点に前記第1リンク54の他端が接続し、残りの1点に第2リンク55aと第3リンク55bとが接続する3点プレート60と、
他端が前記照明アーム部40、40’の一方の端面40a、40a’に向かって延びる第2リンク55aと、
他端が前記照明アーム部40、40’の他方の端面40b、40b’に向かって延びる第3リンク55bと、
前記一方の端面40a、40a’に回転可能に設置され、前記第2リンク55aの他端と接続する第1リンクプレート62aと、
前記他方の端面40b、40b’に回転可能に設置され、前記第3リンク55bの他端と接続する第2リンクプレート62bと、
前記第1リンクプレート62aとともに回転し所定の長さのアームを備えた第1チルトバー64aと、
前記第2リンクプレート62bとともに回転し所定の長さのアームを備えた第2チルトバー64bと、
前記第1チルトバー64aのアームに一端が接続した第1チルトリンク56aと、
前記第2チルトバー64aのアームに一端が接続した第2チルトリンク56bと、
前記照明アーム部40、40’の一方の端面40a、40a’に設置された照明灯20a、20a’に固定されるとともに略L字状に屈曲し、L字の先端部が前記第1チルトリンク56aの他端と接続する第1チルトステー66aと、
前記照明アーム部40、40’の他方の端面40b、40b’に設置された照明灯20b、20b’に固定されるとともに略L字状に屈曲し、L字の先端部が前記第2チルトリンク56bの他端と接続する第2チルトステー66bと、を有し、
前記照明アーム部40、40’が回転することで前記3点プレート60が回転し、前記3点プレート60と接続した前記第2リンク55aと第3リンク55bが略同一方向側に移動し、第1リンクプレート62aと第2リンクプレート62bとがそれぞれ回転して、第1チルトステー66aと第2チルトステー66bの略L字状に屈曲した先側を押し引きすることで、両端面40a〜40b’の照明灯20a〜20b’の仰角がそれぞれ等量変化することを特徴とする上記(2)記載の照明装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)基部30の水平方向の回転軸と同軸の垂直固定軸14と照明アーム部40、40’の固定軸82とがT字状に連結され、
前記照明アーム部40、40’の回転軸部80は、一方の照明アーム部40と接続するとともに前記固定軸82に挿入した第1回転筒84と、他方の照明アーム部40’と接続するとともに前記固定軸82に挿入した第2回転筒84’と、第1回転筒84と第2回転筒84’とを連結する接続バー86と、を有し、
前記接続バー86は前記第1回転筒84と第2回転筒84’の一部の周面に固定され、
さらに、前記接続バー86が前記垂直固定軸14に接触しないように前記第1回転筒84と第2回転筒84’の回転範囲を規制するチルト制限手段を有することを特徴とする上記(3)記載の照明装置100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る照明装置は、光の照射方向が真下を向く仰角−90°の直下照明位置においては各照明灯が自動的に外側を向く。このため、特別な操作を行わずとも作業現場を広範囲に照らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る照明装置100の実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、
図1は本発明に係る照明装置100の照明部90が仰角0°(水平方向を向いた状態)にあるときの正面図である。また、
図2は本発明に係る照明装置100の照明部90が仰角−90°(照明部90が真下を向いた直下照明位置)にあるときの斜視図である。尚、本発明に係る照明装置100は消防車等の特殊車両に搭載して車両から電源を得て稼働することを想定している。ただし、搭載車両はこれに限定するものではなく、工事車両やその他の車両に搭載しても良い。また、手押し車や台座等に設置して使用しても良い。
【0010】
先ず、本発明に係る照明装置100は照明部90と支柱部10とを有している。そして、照明部90は、支柱部10と接続する基部30と、この基部30の対向する2側面にそれぞれ1つ設置された照明アーム部40、40’と、この照明アーム部40、40’の各端面40a、40b、40a’、40b’に仰角が変化可能に設置された照明灯20a、20b、20a’、20b’と、照明アーム部40、40’毎に一つ設けられ照明灯20a〜20b’の仰角を変化させるリンク機構50と、を有している。尚、このリンク機構50に介しては後に詳述する。また、照明アーム部40、40’の端面40a〜40b’は、この照明アーム部40、40’の長辺方向に対して略45°の角度をなし、照明灯20a〜20b’は端面40a〜40b’に固定された照明灯ステー22を介してそれぞれ設置される。さらに、照明装置100は照明部90を水平方向(支柱部10に対して水平な方向)へ回転させる回転機構12を備えている。尚、本例では回転機構12を支柱部10と基部30との接続部分に設けた例を示しているが、回転機構12の構成は特にこれに限定されるものではない。
【0011】
また、支柱部10は照明部90を所定の高さに保持するものであり、手動もしくは電動で昇降するものを用いることが好ましく、特に支柱部10をパイプ状として内部に照明部90の各部と繋がるケーブルを通し、下方の操作盤や電源と接続させることが好ましい。
【0012】
また、4つの照明灯20a、20b、20a’、20b’は、それぞれ等間隔で放射状に配置することが好ましく、よって左右の照明アーム部40、40’は
図1中の一点鎖線で示す軸線及び二点鎖線で示す軸線の双方に対して照明灯20a〜20b’が互いに対称な位置となるように形成する。
【0013】
次に、照明装置100の好適な回転機構12の例を
図3(a)を用いて説明する。ここで、
図3(a)は基部30の内部を示す概略図である。
図3(a)に示す照明装置100に好適な回転機構12は、基部30の底面に固定された水平回転ギア16と、この水平回転ギア16と接続した水平回転モータ18と、を有している。そして、ユーザが操作盤等により照明装置100に対するパン操作を行うと、水平回転モータ18が回転し、これにより水平回転ギア16が回転して基部30が照明アーム部40、40’とともに回転する。これにより照明部90が水平方向に回転し、照明装置100がパン動作する。尚、回転機構12には、照明部90の照射方向(基部30の方向)を検知する水平方向検知手段を設けても良い。この構成によれば、水平方向検知手段からの信号によって照明部90の回転範囲の制限や、照明部90を予め設定された特定の方向へ自動的に位置させることができる。ここで、水平方向検知手段の好適な一例を示す。本発明に係る照明装置100の好適な水平方向検知手段は、支柱部10側と固定し周面の所定の位置に凹凸等のマークが施された固定筒15と、この固定筒15の周面に摺接するパンセンサ19とを有している。そして、水平回転モータ18により基部30が回転すると、パンセンサ19が固定筒15の周面に沿って回転移動し、固定筒15の周面のマークを検知する。そして、このパンセンサ19からの信号により照明部90の方向が認識され、照明部90に対する所定のパン制御が行われる。
【0014】
次に、照明アーム部40、40’を回転させる回転軸部80の好適な一例を説明する。先ず、基部30には対向する2側面を貫通する固定軸82が設置されている。そして、この固定軸82には一方の照明アーム部40と接続した第1回転筒84と、他方の照明アーム部40’と接続した第2回転筒84’とが可動な状態で挿入する。また、第1回転筒84と第2回転筒84’の一部の周面は接続バー86で固定され、この接続バー86によって第1回転筒84と第2回転筒84’とは連結される。そして、第1回転筒84と第2回転筒84’との間からは固定軸82が部分的に露出する。また、回転軸部80には、水平回転ギア16と同軸、即ち基部30の水平方向の回転軸と同軸の垂直固定軸14が設けられ、この垂直固定軸14と固定軸82とを第1回転筒84と第2回転筒84’との間の露出部分でT字状に連結する。このように、縦方向の垂直固定軸14と横方向の固定軸82とをT字状に連結することで、照明アーム部40、40’の旋回動作や照明部90のパン動作の際のねじれや偏心が抑制され、照明部90の各部の回転動作を円滑に行うことができる。
【0015】
また、第1回転筒84と第2回転筒84’にはそれぞれ回転ギア85が形成され、この回転ギア85には図示しないチルトモータが接続する。そして、このチルトモータが回転動作することで回転ギア85が回転し、これにより第1回転筒84、第2回転筒84’が回転して照明アーム部40、40’が同一の方向に同位相で旋回する。尚、このとき第1回転筒84と第2回転筒84’に挿入された固定軸82は回転しない。
【0016】
また、垂直固定軸14と固定軸82とをT字状に連結した場合、第1回転筒84と第2回転筒84’の回転によって接続バー86が垂直固定軸14に衝突する可能性が有る。よって、第1回転筒84もしくは第2回転筒84’には、これら第1回転筒84、第2回転筒84’の回転範囲を規制するチルト制限手段を設けることが好ましい。このチルト制限手段としては、例えば
図3(b)に示すように、第1回転筒84もしくは第2回転筒84’の周面の所定の位置に段差や凹凸等のマークを設けるとともに、このマークを検知する検知部材88を設け、この検知部材88からの信号によって第1回転筒84、第2回転筒84’の回転範囲を規制する構成が挙げられる。
【0017】
次に、照明装置100のリンク機構50の構成と動作とを
図4〜
図8を用いて説明する。ここで、
図4は直下照明位置にあるときの一方の照明アーム部40のリンク機構50を真下側から見た概略構成図である。また、
図5は直下照明位置のリンク機構50を基部30側から見た概略構成図である。また、
図6は照明部90が仰角−45°にあるときのリンク機構50を基部30側から見た概略構成図である。また、
図7は照明部90が仰角0°(水平方向を向いた状態)にあるときのリンク機構50を基部30側から見た概略構成図である。また、
図8は、
図5、
図6のリンク機構50の部分拡大図である。尚、照明アーム部40のリンク機構50と照明アーム部40’のリンク機構50とはそれぞれ対称に構成され、その動作は同一である。よって、ここでは一方の照明アーム部40の構成及び動作について説明を行う。
【0018】
先ず、
図4に示すように一方の照明アーム部40には固定軸82を軸として回転する第1回転筒84が固定されている。そして、第1回転筒84が回転することで照明アーム部40は固定軸82を軸に旋回動作する。また、固定軸82は照明アーム部40内に挿入され、
図4〜
図7に示すように、所定の長さのアーム52aを備えた固定リンクプレート52と固定する。よって、固定リンクプレート52及びアーム52aの方向は照明アーム部40の旋回動作に関わらず常に一定で変化しない。そして、固定リンクプレート52のアーム52aには所定の長さを有する第1リンク54の一端が可動な状態で接続する。尚、第1リンク54及び後述の第2リンク55a、第3リンク55b、第1チルトリンク56a、第2チルトリンク56bの両端は3次元的に可動する例えばボールジョイント等によりそれぞれ接続される。また、リンク機構50は1点が軸ピン60aによって照明アーム部40に軸支された3点プレート60を有している。そして、3点プレート60の他の1点には第1リンク54の他端が接続する。また、3点プレート60の残りの1点には、一方の端面40aに向かって延びる第2リンク55aの一端と、他方の端面40bに向かって延びる第3リンク55bの一端とが接続する。尚、第2リンク55aと第3リンク55bとは互いの接触を回避するために、
図4に示すように、3点プレート60の裏表面にそれぞれ接続させるとともに、3点プレート60の回転動作を後述の第1リンクプレート62a、第2リンクプレート62bに良好に伝達するため所定の角度で屈曲させることが好ましい。
【0019】
そして、第2リンク55aの他端は、照明アーム部40の一方の端面40aに回転可能に設置された第1リンクプレート62aのアームに接続する。また、第3リンク55bの他端は、照明アーム部40の他方の端面40bに回転可能に設置された第2リンクプレート62bのアームに接続する。そして、第1リンクプレート62aには、この第1リンクプレート62aとともに回転し所定の長さのアームを備えた第1チルトバー64aが固定される。また、第2リンクプレート62bには、この第2リンクプレート62bとともに回転し所定の長さのアームを備えた第2チルトバー64bが固定される。また、照明灯20aの底面には前面側が基部30側に向けて略L字状に屈曲した第1チルトステー66aが固定され、この屈曲した第1チルトステー66aの先側と第1チルトバー64aのアームの先側とが第1チルトリンク56aによって連結される。また、照明灯20bの底面には前面側が基部30側に向けて略L字状に屈曲した第2チルトステー66bが固定され、この屈曲した第2チルトステー66bの先側と第2チルトバー64bのアームの先側とが第2チルトリンク56bによって連結される。
【0020】
尚、これらリンク機構50の各構成部材の長さや角度等は照明部90を構成する各部の寸法や照明灯20a〜20b’に要求される仰角θの値等によって適宜最適な値に設計される。ただし、第1チルトバー64a、第1チルトリンク56a、第1チルトステー66aと、第2チルトバー64b、第2チルトリンク56b、第2チルトステー66bとは、それぞれ固定軸82の軸線に対してほぼ線対称となるように構成する。これに対し、第1リンクプレート62aと第1チルトバー64aとのなす角と、第2リンクプレート62bと第2チルトバー64bとのなす角は個別に適切な角度に設定される。尚、第1リンクプレート62aと第2リンクプレート62bとの位相差は概ね120°程度となり、第2リンク55a、第3リンク55bが3点プレート60によって移動すると、これらと接続した第1リンクプレート62a、第2リンクプレート62bは互いに逆方向に回転する。
【0021】
次に、リンク機構50の動作を説明する。先ず、
図5に示す直下照明位置では、第1チルトバー64a、第2チルトバー64bのアームの先端が一番前側に位置する。これにより、L字に屈曲した第1チルトステー66a、第2チルトステー66bの先側は第1チルトリンク56a、第2チルトリンク56bを介して前側に押圧され、照明灯20a、20bは照明灯ステー22の保持軸を軸に外側を向く。このときの照明部90の方向に対する照明灯20a、20bの仰角θは20°〜40°程度が好ましく、30°が最も好ましい。
【0022】
次に、
図5の直下照明位置の状態から
図6、
図7に示す状態に照明部90の仰角を増大させる場合、ユーザが操作盤等を用いてチルト操作を行う。これにより、基部30内のチルトモータが回転し、回転ギア85を介して第1回転筒84と第2回転筒84’とが回転する。第1回転筒84が回転すると、この第1回転筒84第2回転筒84’に固定した照明アーム部40、40’が固定軸82を軸に照明部90の仰角が増大する方向(
図5〜
図7中の反時計回りの方向)に旋回する。このとき、固定軸82に固定した固定リンクプレート52は、
図8(a)、(b)に示すように、照明アーム部40、40’の回転動作に関わらず変化しない。しかしながら、照明アーム部40、40’に設置された3点プレート60は、
図8(a)の実線の矢印に示すように、照明アーム部40の回転とともに固定軸82を軸に公転する。このときの3点プレート60の回転は固定リンクプレート52と接続した第1リンク54によって制限され、その結果、3点プレート60は固定軸82を中心に公転しながら軸ピン60aを中心に
図8(a)の破線の矢印に示す方向に自転する。尚、直下照明位置の近傍では、固定リンクプレート52のアーム52aは、軸ピン60aと固定軸82とのラインに対して略垂直な方向にあり、この領域ではアーム52aと3点プレート60の変位量は比較的大きい。そして、この3点プレート60の回動により、3点プレート60の残りの1点と接続した第2リンク55a、第3リンク55bは、
図8(b)の矢印に示すように、双方とも照明灯20a側に移動する。そして、この第2リンク55aの移動により第1リンクプレート62aは押圧され
図5中の反時計回りの方向に回転する。これにより、第1リンクプレート62aと固定した第1チルトバー64aも反時計回りの方向に回転し、第1チルトバー64aのアームは照明部90の裏面側に移動する。これにより、第1チルトステー66aの先側は第1チルトリンク56aを介して引っ張られ照明灯20aの仰角は角度θから減少する。また、第3リンク55bの移動により第2リンクプレート62bは引っ張られ
図5中の時計回りの方向に回転する。これにより、第2リンクプレート62bと固定した第2チルトバー64bも時計回りの方向に回転し、第2チルトバー64bのアームは照明部90の裏面側に移動する。これにより、第2チルトステー66bの先側は第2チルトリンク56bを介して引っ張られ照明灯20bの仰角は角度θから減少する。尚、このときの照明灯20bの仰角の変化量は照明灯20aと同一である。また、上記の動作は反対側の照明アーム部40’でも全く同様に行われ、よって照明部90の4つの照明灯20a、20b、20a’、20b’の仰角は照明部90(照明アーム部40、40’)の仰角の増大に反比例して減少する。
【0023】
そして、照明部90が所定の仰角となった時に、照明灯20a〜20b’の仰角は0°となり、照明部90の法線方向と照明灯20a〜20b’の照射方向とが略一致する。尚、照明部90(照明アーム部40、40’)の仰角の変化量と、照明灯20a〜20b’の仰角の変化量とは同等とすることが好ましい。即ち、直下照明位置における照明灯20a〜20b’の仰角θが30°の場合、照明アーム部40、40’が30°旋回したときに照明灯20a〜20b’の仰角が0°となるように構成することが好ましい。
【0024】
そして、照明灯20a〜20b’の仰角が0°となった例えば
図6の状態から、さらに照明部90の仰角を増大させる場合、チルトモータによって照明アーム部40、40’はさらに旋回動作する。ただし、この領域では固定リンクプレート52のアーム52aが固定軸82を挟んで軸ピン60aと逆側に位置し、照明アーム部40、40’の旋回動作に対する3点プレート60の変位量は小さい。このため、第2リンク55aと第3リンク55bはほとんど移動せず照明灯20a〜20b’の仰角はほぼ0°のまま維持される。尚、照明部90の仰角の可変範囲は例えば直下照明位置(−90°)〜約130°程度であり、これを超える仰角の変化は前述のチルト制限手段により制限される。
【0025】
また、この状態から照明部90の仰角を減少させる場合、照明部90の仰角が所定の角度となるまでは照明灯20a〜20b’の仰角はほぼ0°のまま維持される。そして、照明部90の仰角が所定の角度より減少すると3点プレート60の変位量が大きくなり、3点プレート60と接続した第2リンク55a、第3リンク55bが照明灯20b側に移動する。この第2リンク55aの移動により第1リンクプレート62aは引っ張られて
図6中の時計回りの方向に回転する。これにより、第1チルトバー64aも時計回りの方向に回転し、第1チルトバー64aのアームは照明部90の照射面側に移動する。これにより、第1チルトステー66aの先側は第1チルトリンク56aを介して押圧され照明灯20aの仰角は0°から増大する。また、第3リンク55bの移動により第2リンクプレート62bは押圧され
図6中の反時計回りの方向に回転する。これにより、第2チルトバー64bも反時計回りの方向に回転し、第2チルトバー64bのアームは照明部90の照射面側に移動する。これにより、第2チルトステー66bの先側は第2チルトリンク56bを介して押圧され照明灯20bの仰角は角度0°から増大する。尚、上記の動作は反対側の照明アーム部40’でも全く同様に行われ、よって照明部90の4つの照明灯20a、20b、20a’、20b’の仰角は照明部90(照明アーム部40、40’)の仰角の減少に反比例して増加する。そして、照明アーム部40、40’は
図5に示す直下照明位置となったところでチルト制限手段によって停止する。そして、このとき照明灯20a〜20b’は照明部90の方向に対して仰角θで外側を向き照明部90の周囲を照らす。
【0026】
尚、照明灯20a、20b、20a’、20b’は、
図1に示すように、直交方向を照らす照明手段26と、横方向に配光した長灯24と、を備えることが好ましい。この構成によれば、
図9の照度分布のシミュレーション結果に示されるように、照明部90からの照射光は十字方向に配光するとともに中央部分が重畳し、遠方照射時における中央部分の照度を増大させることができる。尚、照明手段26、長灯24は省エネルギーの観点から高照度LEDを用いることが好ましい。
【0027】
以上のように、本発明に係る照明装置100は、照明部90が仰角−90°の直下照明位置にあるときに照明灯20a、20b、20a’、20b’が自動的に外側を向く。これにより、作業現場を広範囲に照らすことができる。また、照明部90の仰角が所定の角度以上の領域では、照明灯20a〜20b’の仰角は略0°に維持され照明部90の法線方向と照明灯20a〜20b’の照射方向とは略一致する。これにより、照明部90は遠方の対象物を高照度で照らすことができる。そして、この照明灯20a〜20b’の仰角の変化及び維持は、照明アーム部40、40’の回転により照明灯20a〜20b’の仰角変化を行うリンク機構50によって照明アーム部40、40’の旋回動作と機械的に連動して行われる。これにより、照明アーム部40、40’を旋回させるチルトモータのみで照明灯20a〜20b’の仰角変化をも行うことが可能となり、部材コストの削減と高い動作安定性とを得ることができる。
【0028】
尚、本例で示した照明装置100、照明部90、リンク機構50、その他の各部材の形状、寸法、構成等は一例であり、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【解決手段】この照明装置100は、照明部90が仰角−90°の直下照明位置にあるときに照明灯20a〜20b’が自動的に外側を向く。これにより、作業現場を広範囲に照らすことができる。また、照明部90の仰角が所定の角度以上の領域では、照明灯20a〜20b’の仰角は略0°に維持され照明部90の法線方向と照明灯20a〜20b’の照射方向とは略一致する。これにより、照明部90は遠方の対象物を高照度で照らすことができる。そして、この照明灯20a〜20b’の仰角の変化及び維持は、リンク機構50によって照明アーム部40、40’の旋回動作と機械的に連動して行われる。