【文献】
金山隆志 他,相互補完ネットワークにおける通信ノードの設計,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO)シンポジウム,2005年 7月,p.633−636
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この告知放送システムにおける受信機は、伝送線路の断線などの伝送線路に異常があると、センター装置から告知放送信号を受信することができない。このような問題に対して、伝送線路に異常がある場合であっても受信機が告知放送信号を受信できるようにするためには、例えば、センター装置から告知放送信号を無線で送信し、当該送信された告知放送信号を受信機に受信させることが考えられる。また、センター装置と伝送線路にて接続された中継設備を所定エリア毎に設け、当該中継設備から告知放送信号を無線で送信し、当該送信された告知放送信号を受信機に受信させることが考えられる。
【0005】
しかしながら、このような従来の告知放送システムにおける受信機は、上述したセンター装置や中継設備等から告知放送信号を送信することに関して改善の余地があった。例えば、センター装置から告知放送信号を無線送信する場合には無線用アンテナ設備を新たに設けなければならず、また中継設備から告知放送信号を無線送信する場合にも所定エリア毎に中継設備を設けなければならないので、設備コストが多大になるという問題があった。また、センター装置から告知放送信号を無線送信する場合、中継設備を所定エリア毎に設ける場合に比べて、山や高層建造物等による通信障害が生じやすいため、地域によっては受信機の告知放送信号の受信が困難になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、伝送線路に異常がある場合であっても告知放送信号を安定して受信することができ、且つ大規模な設備を必要としない、告知放送用受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の告知放送用受信機は、告知放送信号を伝送線路を介して受信する受信手段と、前記受信手段にて受信された前記告知放送信号を、他の告知放送用受信機に無線送信する無線送信手段と、他の告知放送用受信機から無線送信された前記告知放送信号を受信する無線受信手段と、
前記伝送線路の異常の有無を検出する検出手段と、前記検出手段が前記伝送線路の異常を検出した場合に、前記無線送信手段にて前記伝送線路に異常がある旨を示す信号を他の告知放送用受信機に無線送信させ、前記無線受信手段が他の告知放送用受信機から前記伝送線路に異常がある旨を示す信号を無線受信した場合に、前記受信手段にて受信された告知放送信号を、前記無線送信手段にて他の告知放送用受信機に無線送信させる制御手段とを備える。
【0009】
また、請求項
2に記載の告知放送用受信機は、請求項
1に記載の告知放送用受信機において、前記制御手段は、前記受信手段が前記告知放送信号を受信した場合に、当該告知放送信号に緊急放送が含まれているか否かを判定し、含まれている場合には、当該告知放送信号を前記無線送信手段にて他の告知放送用受信機に無線送信させる。
【0010】
また、請求項
3に記載の告知放送用受信機は、請求項
1に記載の告知放送用受信機において、自己が属するグループに関する信号であるか否かを一意に識別するためのグループアドレスを特定するためのグループアドレス情報を格納する記憶手段を備え、前記制御手段は、前記検出手段が前記伝送線路の異常を検出した場合に、前記無線送信手段にて前記伝送線路に異常がある旨を示す信号に前記記憶手段に格納されている前記グループアドレス情報を付加して他の告知放送用受信機に無線送信させ、前記無線受信手段が他の告知放送用受信機から前記伝送線路に異常がある旨を示す信号を無線受信した場合に、当該伝送線路に異常がある旨を示す信号が自己の属するグループに関する信号であるか否かを、当該伝送線路に異常がある旨を示す信号に付加されたグループアドレス情報と前記記憶手段に格納されている前記グループアドレス情報とに基づいて判定し、当該伝送線路に異常がある旨を示す信号が自己の属するグループに関する信号である場合には、前記受信手段にて受信された告知放送信号を、前記無線送信手段にて他の告知放送用受信機に無線送信させる。
【0011】
また、請求項
4に記載の告知放送用受信機は、請求項
3に記載の告知放送用受信機において、前記制御手段は、前記無線受信手段が他の告知放送用受信機から前記告知放送信号を無線受信した場合に、当該告知放送信号が自己の属するグループに関する信号であるか否かを、当該告知放送信号に付加された前記グループアドレス情報と前記記憶手段に格納されている前記グループアドレス情報とに基づいて判定し、当該告知放送信号が自己の属するグループに関する信号である場合には、当該告知放送信号に基づいて告知放送を行う。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の告知放送用受信機によれば、無線送信手段は受信手段にて受信された告知放送信号を他の告知放送用受信機に無線送信し、無線受信手段は他の告知放送用受信機から無線送信された告知放送信号を受信するので、告知放送用受信機間で告知放送信号の無線通信を行うことができ、伝送線路に異常がある場合であっても告知放送信号を安定して受信することができる。これにより、伝送線路に異常がある場合でも、告知放送信号を受信できるようにするために、センター装置に無線用アンテナ設備を設けたり、あるいは所定エリア毎に中継設備を設ける等の大規模な設備の増設を行う必要がない。
また、制御手段は、無線受信手段が他の告知放送用受信機から伝送線路に異常がある旨を示す信号を無線受信した場合に、受信手段にて受信された告知放送信号を、無線送信手段にて他の告知放送用受信機に無線送信させるので、伝送線路に異常がある旨の信号を受信したことをトリガとして当該告知放送信号の無線送信を開始することができ、伝送線路の異常があった後から迅速に当該告知放送信号を無線送信することが可能となる。
【0014】
また、請求項
2に記載の告知放送用受信機によれば、制御手段は、受信手段が告知放送信号を受信した場合に、当該告知放送信号に緊急放送が含まれている場合にのみ、当該告知放送信号を無線送信手段にて他の告知放送用受信機に無線送信させるので、伝送線路に異常がある場合でも、告知放送信号に基づく緊急放送を他の告知放送用受信機を介して継続して行うことができる。
【0015】
また、請求項
3に記載の告知放送用受信機によれば、制御手段は、無線受信手段が他の告知放送用受信機から伝送線路に異常がある旨を示す信号を無線受信した場合に、当該伝送線路に異常がある旨を示す信号が自己の属するグループに関する信号である場合にのみ、受信手段にて受信された告知放送信号を、無線送信手段にて他の告知放送用受信機に無線送信させるので、伝送線路に異常がある場合でも、告知放送信号に基づく自己の属するグループの告知放送を他の告知放送用受信機を介して継続して行うことができる。
【0016】
また、請求項
4に記載の告知放送用受信機によれば、制御手段は、無線受信手段が他の告知放送用受信機から告知放送信号を無線受信した場合に、当該告知放送信号が自己の属するグループに関する信号である場合にのみ、告知放送信号に基づいて告知放送を行うので、伝送線路に異常がある場合であってもユーザ等のニーズに応じた告知放送を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る告知放送用受信機の各実施の形態を詳細に説明する。最初に、この告知放送用受信機を備えて構成された告知放送システムの全体構成を説明し、次に、告知放送用受信機の構成を説明し、告知放送用受信機が実行する告知放送処理について説明し、最後に本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、各実施の形態に係る告知放送用受信機の設置対象や適用対象は任意であるが、以下では、住戸の屋内に設置された告知放送用受信機に適用した場合を例として説明を行う。
【0019】
〔実施の形態1〕
まず実施の形態1について説明する。この形態は、他の告知放送用受信機に接続された伝送線路に異常がある場合において、緊急放送を含む告知放送信号を受信した場合に、当該告知放送信号を無線送信する形態である。
【0020】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る告知放送システムの構成を説明する。
図1は告知放送システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、告知放送システム1は、センター側に配置されたセンター装置2、各住戸に配置された告知放送用受信機3、及びセンター装置2から送信された信号を告知放送用受信機3に送信する伝送系統9を備えて構成されている。このうち、センター装置2は告知放送信号を送信するものであり、公知のセンター装置2と同様に構成することができる。また、伝送系統9は、ヘッドエンド90、このヘッドエンド90から各住戸の告知放送用受信機3に至る伝送線路91、さらに、この伝送線路91に配置された、アンプ92、分配増幅器93、分配器94、及び保安器95を備えて構成されている。ヘッドエンド90は、センター装置2から送信された信号を受信し、この信号をレベル増幅した上で伝送線路91に送出する増幅送信手段である。伝送線路91は、告知放送信号を送信する送信線路であり、例えば、CATV信号を伝送するCATV伝送線路(同軸ケーブル)を備えて構成される。アンプ92は、伝送線路91を流れる信号を増幅する増幅手段である。分配増幅器93は、信号を増幅した上で、各住戸に向けて分配する分配増幅手段である。分配器94は、分配増幅器93にて増幅された信号を各住戸に向けて分配する分配手段である。保安器95は、各住戸に設けられ、伝送線路91に乗って告知放送用受信機3に至る直流成分を制御する。なお、特記する構成を除き、センター装置2、告知放送用受信機3、及び伝送系統9は、公知の装置又はシステムと同様に構成することができる。
【0021】
(構成−告知放送用受信機)
次に、告知放送用受信機3の電気的構成について説明する。
図1に示したように、告知放送用受信機3は、通信部30、操作部32、音声切換え部33、音量調整部34、アンプ35、スピーカ36、表示部37、制御部38、音声情報格納部39、及び記憶部40を備えている。
【0022】
通信部30は、センター装置2から伝送線路91を介して受信した告知放送信号、及び後述するアンテナ51を介して受信した告知放送信号を復調する受信手段であり、告知放送信号に含まれる音声情報を音声切換え部33に出力すると共に、告知放送信号に含まれる制御情報(例えば告知放送が緊急放送又は一般放送の何れかを特定する情報等)を制御部38に出力する。また、通信部30は、後述するアンテナ51を介してラジオ放送信号を受信し、当該ラジオ放送信号に含まれる音声情報を音声切換え部33に出力する。
この通信部30は、検出部31を備えている。検出部31は、伝送線路91の異常の有無を検出する検出手段である。この検出部31の具体的な検出内容については、例えばセンター装置2から伝送線路91を介して常時送られる告知放送の搬送波の有無を検出することにより、伝送線路91の異常の有無を検出する。ここで、「伝送線路の異常」とは、伝送線路91を介して告知放送信号を受信できないことを意味するものであり、例えば自己又は他の告知放送用受信機3と接続されている伝送線路91が断線していること、あるいは自己又は他の告知放送用受信機3と伝送線路91が接続されていないこと等が該当する。
【0023】
操作部32は、告知放送用受信機3に関する所定操作を行う操作手段である。音声切換え部33は、通信部30から出力された音声情報を音量調整部34又は音声情報格納部39に出力し、あるいは、音声情報格納部39から出力された音声情報を音量調整部34に出力する音声切換え手段である。音量調整部34は、音声切換え部33から出力された音声情報の音量を調整してアンプ35に出力する。この音声情報は、アンプ35にて増幅された後、スピーカ36から出力される。このスピーカ36は、音声を出力する出力手段である。表示部37は、告知放送用受信機3に関する情報を表示する表示手段である。
【0024】
制御部38は、告知放送用受信機3の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU(例えばマイコン)、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種の制御データを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。この制御部38によって実行される処理の詳細については後述する。
【0025】
音声情報格納部39は、通信部30が受信した告知放送信号に含まれる音声情報を格納する音声情報格納手段である。この音声情報格納手段に格納される音声情報には、例えば当該音声情報を含む告知放送信号を通信部30が受信した日時を特定する受信日時情報や、音声情報格納手段に格納された後に当該音声情報が再生されたか否かを特定する再生情報が、例えばヘッダ情報として付加される。記憶部40は、告知放送用受信機3の各種制御に必要な情報を記録する記憶手段である。これら音声情報格納部39及び記憶部40の具体的構成は任意であるが、情報を書換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
【0026】
続いて、告知放送用受信機3の基本構成について説明する。
図2は設置壁Wに固定された告知放送用受信機3を示す斜視図である。
図3は、告知放送用受信機3を示す図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。これら
図2及び
図3(a)、(b)に示すように、告知放送用受信機3は、筐体41の内部に図示しない各種の電子部品等を収容して構成されている。この筐体41は、正面カバー41aと背面カバー41bとを組み合わされて構成されている。正面カバー41aと背面カバー41bの接続方法は任意であるが、例えば、正面カバー41aと背面カバー41bは嵌合やネジ留めにて接続することができる。
【0027】
図3(a)に示すように、この筐体41の正面には、操作部32及び表示部37が設けられている。操作部32としては、具体的には、音声情報格納部39に格納された音声情報の出力に関する操作入力を受け付ける告知再生スイッチ32aと、ラジオ放送信号に含まれる音声情報の出力に関する操作入力を受け付けるラジオ再生スイッチ32bと、放送音量を調節するボリュームスイッチ34aが設けられている。また、表示部37としては、具体的には、告知放送用受信機3の電源ON時に点灯する電源表示灯37aと、緊急放送時に点灯又は点滅する緊急放送表示灯37bと、一般放送時に点灯又は点滅する一般放送表示灯37cと、自己又は他の告知放送用受信機3と接続されている伝送線路91に異常がある場合に点灯又は点滅する伝送線路表示灯37dと、制御部38の制御に基づき点灯又は点滅する図示しない告知再生表示灯及びラジオ再生表示灯が設けられている。これら各種表示灯は、例えばLED(Light Emitting Diode)を用いて構成される。
また、筐体41の正面には、筐体41の内部に設けたスピーカ36から出力された音を、当該筐体41の外部に放出するための音響孔42が設けられている。
【0028】
また、
図3(a)、(b)に示すように、筐体41の左側面には、アンテナ51が設けられている。アンテナ51は、他の告知放送用受信機3から無線送信された告知放送信号やFMラジオ等の電波を受信する無線受信手段であり、またセンター装置2から受信した告知放送信号を無線送信する無線送信手段でもある。従って、告知放送がセンター装置2から受信できない状況であっても、アンテナ51にて告知放送信号やFMラジオ等を受信することができる。
【0029】
(処理)
次に、このように構成された実施の形態1に係る告知放送用受信機3が実行する告知放送処理について説明する。
図4は、実施の形態1に係る告知放送用受信機3が実行する告知放送処理のフローチャートである。なお、以下の説明では、「ステップ」を「S」と略記する。この音声処理の実行タイミングは任意で、例えば告知放送処理は告知放送用受信機3の電源が投入された場合に実行される(実施の形態2の告知放送処理についても同様)。
【0030】
図4に示すように、まず、制御部38は伝送線路91に異常があるか否かを判定する(SA1)。この伝送線路91に異常があるか否かの具体的な判定内容については、例えば制御部38は、検出部31がセンター装置2から伝送線路91を介して常時送られる告知放送の搬送波を検出できるか否かを判定する。より具体的には、制御部38は、検出部31が搬送波を検出できる場合に伝送線路91に異常がないと判定し、検出部31が搬送波を検出できない場合に伝送線路91に異常があると判定する。
【0031】
ここで、伝送線路91に異常がない場合(SA1、No)、制御部38は通信部30が何らかの信号を受信しているか否かを監視する(SA2)。ここで、通信部30が何らかの信号を受信できなかった場合(SA2、No)、制御部38はSA1に移行する。
【0032】
一方、通信部30が何らかの信号を受信した場合(SA2、Yes)、制御部38は通信部30が後述する伝送線路91に異常がある旨を示す信号をアンテナ51を介して受信したか否かを判定する(SA3)。ここで、通信部30が後述する伝送線路91に異常がある旨を示す信号をアンテナ51を介して受信した場合(SA3、Yes)、制御部38は、当該信号を記憶部40に記憶し(SA4)、伝送線路表示灯37dを点滅させる(SA5)。これにより、他の告知放送用受信機3に接続された伝送線路91に異常があることをユーザに知らせることができるので、例えば告知放送用受信機3の電源をOFFにすること等により、告知放送信号の無線送信を阻害しないように、ユーザに注意喚起することができる。また、制御部38は通信部30にて確認信号をアンテナ51を介して送信させる(SA6)。これにより、後述する伝送線路91に異常がある旨を示す信号が受信できたことを、当該信号を送信した告知放送用受信機3に知らせることができる。
【0033】
次に、通信部30が後述する伝送線路91に異常がある旨を示す信号をアンテナ51を介して受信しなかった場合(SA3、No)、又はSA6にて通信部30が確認信号をアンテナ51を介して送信した場合、制御部38は通信部30が告知放送信号を伝送線路91を介して受信したか否かを判定する(SA7)。ここで、通信部30が告知放送信号を伝送線路91を介して受信しなかった場合(SA7、No)、制御部38はSA1に移行する。
【0034】
一方、通信部30が告知放送信号を伝送線路91を介して受信した場合(SA7、Yes)、制御部38は当該告知放送信号に基づく告知放送をスピーカ36にて音声出力させる(SA8)。
【0035】
また、SA8の処理後、制御部38はSA7にて受信した告知放送信号に含まれる放送コマンドを解析することによって、当該告知放送信号に緊急放送が含まれているか否かを判定する(SA9)。ここで、告知放送信号に緊急放送が含まれていない場合(SA9、No)、制御部38はSA1に移行する。
【0036】
一方、告知放送信号に緊急放送が含まれている場合(SA9、Yes)、制御部38は、SA4にて後述する伝送線路91に異常がある旨を示す信号が記憶部40に記憶されているか否かを判定する(SA10)。ここで、後述する伝送線路91に異常がある旨を示す信号が記憶部40に記憶されていない場合(SA10、No)、制御部38はSA1に移行する。
【0037】
一方、後述する伝送線路91に異常がある旨を示す信号が記憶部40に記憶されている場合(SA10、Yes)、制御部38は、SA7にて受信した告知放送信号をアンテナ51を介して通信部30にて送信させる(SA11)。これにより、通信部30が伝送線路91に異常がある旨を示す信号を受信したことをトリガとして告知放送信号をアンテナ51を介して送信することができ、当該伝送線路91の異常があった後から迅速に当該告知放送信号を無線送信することが可能となる。また、告知放送信号に緊急放送が含まれている場合にのみ、通信部30が当該告知放送信号をアンテナ51を介して他の告知放送用受信機3に送信するので、伝送線路91に異常がある場合でも、この告知放送信号に基づく緊急放送を他の告知放送用受信機3を介して継続して行うことができる。
【0038】
また、SA1の処理において、伝送線路91に異常がある場合(SA1、Yes)、制御部38は伝送線路表示灯37dを点灯させる(SA12)。これにより、伝送線路91に異常があることをユーザに提示することができ、当該伝送線路91に対して何らかの措置を講じるように注意喚起することができる。さらに、制御部38は伝送線路91に異常がある旨を示す信号をアンテナ51を介して通信部30にて送信させる(SA13)。これにより、伝送線路91に異常がある旨を示す信号を受信した他の告知放送用受信機3に対して、当該他の告知放送用受信機3の通信部30が伝送線路91を介して告知放送信号を受信した場合に、当該告知放送信号を無線送信するように指示することができる。
【0039】
また、SA13の処理後、制御部38は、通信部30が確認信号をアンテナ51を介して受信したか否かを監視する(SA14)。ここで、通信部30が確認信号を受信できない場合(SA14、No)、制御部38は、所定時間(例えば1分間)経過するまで制御部38はSA14の処理を繰り返す(SA14、SA15、No)。また、所定時間が経過後しても通信部30が確認信号を受信できない場合(SA15、Yes)、制御部38はSA13に移行する。これらの処理により、他の告知放送用受信機3から告知放送信号が無線受信できない場合には、伝送線路91に異常がある旨を示す信号を繰り返し送信するので、他の告知放送用受信機3から告知放送信号を無線受信する確実性を向上させることができる。
【0040】
一方、通信部30が確認信号を受信した場合(SA14、Yes)、制御部38は通信部30が告知放送信号をアンテナ51を介して受信したか否かを監視する(SA16)。その結果、通信部30が告知放送信号をアンテナ51を介して受信した場合(SA16、Yes)、制御部38は当該告知放送信号に基づく緊急放送をスピーカ36にて音声出力させる(SA17)。これにより、伝送線路91に異常がある場合でも、他の告知放送用受信機3から告知放送信号を安定して無線受信することができる。そして、SA17の緊急放送終了後、制御部38はSA1に移行する。
【0041】
(効果)
このように実施の形態1によれば、通信部30は伝送線路91を介して受信された告知放送信号を、他の告知放送用受信機3にアンテナ51を介して送信し、他の告知放送用受信機3から無線送信された告知放送信号をアンテナ51を介して受信するので、告知放送用受信機3間で告知放送信号の無線通信を行うことができ、伝送線路91に異常がある場合であっても告知放送信号を安定して受信することができる。これにより、伝送線路91に異常がある場合でも、告知放送信号を受信できるようにするために、センター装置2に無線用アンテナ設備を設けたり、あるいは所定エリア毎に中継設備を設ける等の大規模な設備の増設を行う必要がない。
【0042】
また、制御部38は、通信部30が他の告知放送用受信機3から伝送線路91に異常がある旨を示す信号をアンテナ51を介して受信した場合に、伝送線路91を介して受信された告知放送信号を、他の告知放送用受信機3にアンテナ51を介して送信させるので、伝送線路91に異常がある旨の信号を受信したことをトリガとして当該告知放送信号の無線送信を開始することができ、当該伝送線路91の異常があった後から迅速に当該告知放送信号を無線送信することが可能となる。
【0043】
また、制御部38は、通信部30が伝送線路91を介して告知放送信号を受信した場合に、当該告知放送信号に緊急放送が含まれている場合にのみ、当該通信部30にて当該告知放送信号をアンテナ51を介して他の告知放送用受信機3に送信させるので、伝送線路91に異常がある場合でも、告知放送信号に基づく緊急放送を他の告知放送用受信機3を介して継続して行うことができる。
【0044】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、自己が属するグループと同じグループに属する他の告知放送用受信機3に接続された伝送線路91に異常がある場合において、自己が属するグループに関する告知放送信号を受信した場合に、当該告知放送信号を無線送信する形態である。なお、実施の形態2の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0045】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る告知放送システム1の基本構成を説明する。
図5は実施の形態2に係る告知放送システム1の構成を示すブロック図である。この
図5に示すように、告知放送システム1は、センター側に配置されたセンター装置2、各住戸に配置された告知放送用受信機3、及び、センター装置2から送信された信号を告知放送用受信機3に送信する伝送系統9を備えて構成されている。ここで、告知放送用受信機3は、基本的には実施の形態1と同様に構成されているが、実施の形態1とは異なる記憶部40を備えて構成されている。
【0046】
(構成−告知放送用受信機)
この告知放送用受信機3の記憶部40について説明する。記憶部40は、実施の形態1と同様に、告知放送用受信機3の各種制御に必要な情報を記録する記憶手段であり、特に自己が属するグループに関する信号であるか否かを一意に識別するためのグループアドレスを特定するためのグループアドレス情報を格納するグループアドレス情報格納手段である。
【0047】
(処理)
次に、このように構成された実施の形態2に係る告知放送用受信機3が実行する告知放送処理について説明する。
図6は、実施の形態2に係る告知放送用受信機3が実行する告知放送処理のフローチャートである。ただし、この告知放送処理におけるSB1−SB3、SB5−SB8、SB10−SB13、SB15−SB17は、
図4に示した実施の形態1の処理のSA1−SA8、SA10−SA12、SA14−SA16と同じであるため、その説明を省略する。
【0048】
図6に示すように、SB3の処理において、通信部30が伝送線路91に異常がある旨を示す信号をアンテナ51を介して受信した場合(SB3、Yes)、制御部38は、当該伝送線路91に異常がある旨を示す信号が自己の属するグループに関する信号であるか否かを、当該伝送線路91に異常がある旨を示す信号に後述するSB14の処理にて付加されたグループアドレス情報と記憶部40に格納されているグループアドレス情報とに基づいて判定する(SB4)。ここで、伝送線路91に異常がある旨を示す信号が自己の属するグループに関する信号でない場合(SB4、No)、制御部38はSB8に移行する。
【0049】
一方、伝送線路91に異常がある旨を示す信号が自己の属するグループに関する信号である場合(SB4、Yes)、制御部38はSB5に移行する。これにより、SB6の処理にて、自己が属するグループと同じグループに属する他の告知放送用受信機3に接続された伝送線路91に異常があることをユーザに知らせることができるので、例えば告知放送用受信機3の電源をOFFにすること等により、告知放送信号の無線送信を阻害しないように、ユーザに注意喚起することができる。
【0050】
また、SB8の処理において、通信部30が告知放送信号を伝送線路91を介して受信した場合(SB8、Yes)、制御部38は、当該告知放送信号が自己の属するグループに関する信号であるか否かを、センター装置2にて当該告知放送信号にあらかじめ付加されたグループアドレス情報と記憶部40に格納されているグループアドレス情報とに基づいて判定する(SB9)。ここで、告知放送信号が自己の属するグループに関する信号でない場合(SB9、No)、制御部38はSB1に移行する。
【0051】
一方、告知放送信号が自己の属するグループに関する信号である場合(SB9、Yes)、制御部38はSB10に移行する。これにより、SB10の処理にて、通信部30が自己のグループに関する告知放送信号を受信した場合にのみ、当該告知放送信号に基づく告知放送を行うことができる。また、SB12の処理にて、自己の属するグループと同じグループに属する他の告知放送用受信機3から異常がある旨を示す信号を受信したことをトリガとして自己のグループに関する告知放送信号の無線送信を開始することができるので、当該伝送線路91の異常があった後から迅速に当該告知放送信号を無線送信することが可能となる。また、伝送線路91に異常がある旨を示す信号が自己の属するグループに関する信号である場合にのみ、通信部30が自己の属するグループに関する告知放送信号をアンテナ51を介して他の告知放送用受信機3に無線送信するので、伝送線路91に異常がある場合でも、この告知放送信号に基づく自己の属するグループの告知放送を他の告知放送用受信機3を介して継続して行うことができる。
【0052】
また、SB14の処理において、制御部38は、伝送線路91に異常がある旨を示す信号に記憶部40に記憶された自己のグループ情報を付加したものをアンテナ51を介して通信部30にて送信させる(SB14)。
【0053】
また、SB17の処理において、通信部30が告知放送信号をアンテナ51を介して受信した場合(SB17、Yes)、制御部38は当該告知放送信号が自己の属するグループに関する信号であるか否かを、センター装置2にて当該告知放送信号にあらかじめ付加されたグループアドレス情報と記憶部40に格納されているグループアドレス情報とに基づいて判定する(SB18)。ここで、告知放送信号が自己の属するグループに関する信号でない場合(SB18、No)、制御部38はSB17に移行する。
【0054】
一方、告知放送信号が自己の属するグループに関する信号である場合(SB18、Yes)、制御部38はSB19に移行する。これにより、SB19の処理にて、通信部30が自己の属するグループに関する告知放送信号をアンテナ51を介して受信した場合に、当該告知放送信号が自己の属するグループに関する信号である場合にのみ、当該告知放送信号に基づく告知放送を行うので、伝送線路91に異常がある場合であってもユーザ等のニーズに応じた告知放送を行うことができる。
【0055】
(効果)
このように実施の形態2によれば、制御部38は、通信部30が他の告知放送用受信機3から伝送線路91に異常がある旨を示す信号をアンテナ51を介して受信した場合に、当該伝送線路91に異常がある旨を示す信号が自己の属するグループに関する信号である場合にのみ、当該通信部30にて伝送線路91を介して受信された告知放送信号をアンテナ51を介して他の告知放送用受信機3に送信させるので、伝送線路91に異常がある場合でも、告知放送信号に基づく自己の属するグループの告知放送を他の告知放送用受信機3を介して継続して行うことができる。
【0056】
また、制御部38は、通信部30が他の告知放送用受信機3から告知放送信号をアンテナ51を介して受信した場合に、当該告知放送信号が自己の属するグループに関する信号である場合にのみ、当該告知放送信号に基づく告知放送を行うので、伝送線路91に異常がある場合であってもユーザ等のニーズに応じた告知放送を行うことができる。
【0057】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0058】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0059】
(分散や統合について)
上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。
【0060】
(告知放送処理について)
上述した各実施の形態では、伝送線路91に異常がない告知放送用受信機3が伝送線路91に異常がある告知放送用受信機3に告知放送信号を無線送信すると説明したが、上述した各実施の形態の処理に限定されない。例えば、伝送線路91に異常がある告知放送用受信機3が、伝送線路91に異常がない告知放送用受信機3から告知放送信号を無線受信し、さらに伝送線路91に異常がある他の告知放送用受信機3に当該無線受信した告知放送信号を無線送信してもよい。これにより、一層広い地域において、告知放送用受信機3同士による告知放送信号の無線通信が可能となる。
【0061】
また、上述した各実施の形態では、他の告知放送用受信機3と接続されている伝送線路91に異常がある場合には伝送線路表示灯37dを点滅させ、自己の告知放送用受信機3と接続されている伝送線路91に異常がある場合には伝送線路表示灯37dを点灯させると説明したが、これら点灯と点滅とは逆であってもよい。
また、自己又は他の告知放送用受信機3と接続されている伝送線路91に異常がある場合に伝送線路表示灯37dを点灯又は点滅させると説明したが、例えば、当該伝送線路91に異常がある場合に、緊急放送表示灯37b、一般放送表示灯37c、図示しない告知再生表示灯、又は図示しないラジオ再生表示灯を点灯又は点滅させたり、あるいはスピーカ36にて音声を出力させてもよい。
具体的には、実施の形態1においては、緊急放送表示灯37b、一般放送表示灯37c、図示しない告知再生表示灯、又は図示しないラジオ再生表示灯を用いる場合に、SA5の処理において(他の告知放送用受信機3と接続されている伝送線路91に異常がある場合)、制御部38は、緊急放送表示灯37b及び一般放送表示灯37cを同時に点滅させる。また、SA12の処理において(自己の告知放送用受信機3と接続されている伝送線路91に異常がある場合)、制御部38は、図示しない告知再生表示灯及びラジオ再生表示灯を同時に点滅させる。
あるいは、スピーカ36を用いる場合に、SA5の処理において、制御部38は、スピーカ36にて「ウーウー 他の受信機の伝送線路に異常があります」といった音声メッセージを繰返し出力させる。また、SA12の処理において、制御部38は、スピーカ36にて「ウーウー 自己の受信機の伝送線路に異常があります」といった音声メッセージを繰返し出力させる。
【0062】
また、上述した各実施の形態では、異常があった伝送線路91が復旧した場合の処理については任意であり、例えば、実施の形態1においては、SA13−SA17の処理中に異常があった伝送線路91が復旧した場合、制御部38はSA1に移行してもよい。
この場合において、復旧した伝送線路91に接続された告知放送用受信機3は、伝送線路91が復旧したことを示す復旧信号をアンテナ51を介して通信部30にて送信し、異常がなかった告知放送用受信機3は、当該復旧信号を受信することにより、告知放送信号の無線送信を中止してもよい。
具体的には、実施の形態1においては、SA1の処理において、伝送線路91に異常がなかった場合であって(SA1、No)、さらに記憶部40に記憶された処理履歴の中で直近のSA1の処理にて伝送線路91に異常があった場合に、制御部38は復旧信号をアンテナ51を介して通信部30にて送信させる。また、SA3の処理において、制御部38は通信部30が伝送線路91に異常がある旨を示す信号又は復旧信号をアンテナ51を介して受信したか否かを判定し、通信部30が復旧信号をアンテナ51を介して受信した場合(SA3、Yes)、当該復旧信号を記憶部40に記憶し、伝送線路表示灯37dを消灯させる。さらに、SA10の処理において、制御部38は、伝送線路91に異常がある旨を示す信号が記憶部40に記憶されていないと判定する。以上のような処理により、伝送線路91に異常があった告知放送用受信機3から復旧信号を受信したことをトリガとして、告知放送信号の無線送信を中止でき、告知放送用受信機3の消費電力を低減することができる。
ただし、SA10の処理において、複数の告知放送用受信機3から受信した異常がある旨を示す信号と、当該複数の告知放送用受信機3から受信した復旧信号と、当該異常がある旨を示す信号及び当該復旧信号に付加されたアドレスであって(アドレスの具体的な付加については、例えば、告知放送用受信機3が、異常がある旨を示す信号又は復旧信号を無線送信する際に、これら信号に記憶部40に記憶されたアドレスを付加する等)、各告知放送用受信機3を一意に識別するアドレスとが相互に関連付けて記憶部40に記憶される場合に、複数の告知放送用受信機3の一部のアドレスと異常がある旨の信号とが関連付けて記憶されているものの、当該アドレスと復旧信号とが関連付けて記憶されていない場合には、制御部38は、伝送線路91に異常がある旨を示す信号が記憶部40に記憶されていると判定し、告知放送信号の無線送信を継続させてもよい。