(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1において、前記片部の全面に、金とは異種の金属の異種金属メッキ層が設けられ、前記金メッキ層は、前記異種金属メッキ層の表面に設けられているコンタクト。
請求項1または2において、前記片部としての第1片部と、前記第1片部に平行に延びる第2片部と、を備え、両片部の延びる方向に関して、前記第1片部の接点部の位置が、前記第2片部の一部の位置と重なっているコンタクト。
請求項1から4の何れか1項において、前記片部は、前記打ち抜き面とは交差する板面を含み、前記板面に、前記打ち抜き面の金メッキ層としての第1の金メッキ層に連なる第2金メッキ層が設けられているコンタクト。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、その
図1に示されているように、フォーク状コンタクトの一対の片部において、長手方向の中央部から基端部までの領域に、絶縁性インクによる樹脂層を形成している。したがって、一対の片部の長手方向の中央部から先端部までの領域の全体に、金メッキが施されている。このように片部の略半分の領域に、高価な金メッキが施されているため、コンタクトの製造コストが高くなる。
【0006】
製造コストを安くするためには、金メッキを施す領域をできるだけ少なくすることが好ましい。しかしながら、仮に、コンタクトの接点部のみに金メッキを施す場合には、下記の問題がある。
例えば、FPC(Flexible Prited Circuit )等の接続部材の、金メッキが施された導電部が、コンタクトの片部と平行に摺動しながら、片部の斜面部を経由して接点部に接続される場合に、接続部材の導電部によって、片部の斜面部のニッケルメッキが削り取られてニッケル屑となって接点部へ運ばれ、そのニッケル屑が、導電部(金メッキ)と接点部(金メッキ)との間に介在するおそれがある。このため、接点部の接触抵抗が増大するおそれがある。特に、ニッケルは酸化被膜を形成し易いので、接触抵抗が増大し易い。
【0007】
そこで、本発明の目的は、製造コストが安く且つ接触抵抗の増大を抑制することのできるコンタクトおよび電気コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、接続部材(60;70;80)の導電部(61,62)が所定の摺動方向(X1;X11)に摺動して接続される接点部(12;32;52)を有するコンタクト(1;21;41)であって、片部(3,4;23;43,44)を備え、上記片部は、打ち抜き面(1d;21d;41d)と、前記打ち抜き面に設けられ前記摺動方向とは交差する方向に突出する山形部(10,11;30;52,53)と、前記打ち抜き面に設けられた金メッキ層(15;35;57)と、を含み、前記山形部は、前記接点部(12;32;54)を構成する頂部と、前記頂部の両側の一対の斜面部(13,14;33,34;55,56;551,561)と、を有し、前記打ち抜き面に設けられた金メッキ層は、前記摺動方向の反対方向(X2;X21)側の斜面部(13;33;55,551)の少なくとも一部と頂部の少なくとも一部とにのみ配置されているコンタクト(1;21;41)を提供する。
【0009】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、前記片部の全面に、金とは異種の金属の異種金属メッキ層(16;36;58)が設けられ、前記金メッキ層は、前記異種金属メッキ層の表面に設けられていてもよい。
【0010】
請求項3のように、前記片部としての第1片部(3,23;43)と、前記第1片部に平行に延びる第2片部(4,24;44)と、を備え、両片部の延びる方向に関して、前記第1片部(3,23;43)の接点部(12,32;54)の位置が、前記第2片部(4,24;44)の一部の位置と重なっていてもよい。
請求項4のように、前記第1片部(3;43)の接点部(12;54)を有する山形部(10;52)は、前記第2片部(4;44)側に向けて突出していてもよい。
【0011】
請求項5のように、前記片部は、前記打ち抜き面(1d;21d;41d)とは交差する板面(1a,1b;21a,21b;41a,41b)を含み、前記板面に、前記打ち抜き面の金メッキ層としての第1の金メッキ層(151)に連なる第2金メッキ層(152)が設けられていてもよい。
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか1項に記載のコンタクト(1;21;41)と、前記コンタクトを保持した絶縁性のハウジング(102;202;302)とを備える電気コネクタ(100;200;300)を提供する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、片部の打ち抜き面に設けられた金メッキ層が、摺動方向の反対方向側の斜面部の少なくとも一部と頂部の少なくとも一部とにのみ配置されているので、金の量を低減して、製造コストを安くすることができる。しかも、接続部材の導電部が、コンタクトの片部の接点部に到達するまでに、例えばニッケル等の異種金属を削り取ることを抑制することができる。その結果、導電部と接点部との間にニッケル屑等の異種金属が介在することを抑制することができ、接触抵抗の増大を抑制することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、金メッキ層を設けない領域の下地メッキ層が、所要の機能を果たすことができる。例えば、下地メッキ層として、例えば半田濡れを抑制することのできるニッケルメッキ層を設けることにより、半田上がりを効果的に防止することが可能となる。
請求項3の発明のように、前記片部として、一対の片部が設けられ、両片部の延びる方向に関して、少なくとも一方の片部の接点部の位置が、他方の片部の一部の位置と重なっている場合には、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて、マスキングを施すことにより、必要最小限の領域(例えば上記一方の片部の打ち抜き面においては、接点部を構成する頂部の少なくとも一部と摺動方向の反対方向側の斜面部の少なくとも一部とにのみ)に、金メッキを施すことが可能となる。
【0014】
その場合、前記一方の片部の接点部を構成する頂部は、他方の片部側に向けて突出していてもよいし(請求項4)、また、他方の片部とは反対側に向けて突出していてもよい。 請求項5の発明によれば、打ち抜き面とは交差する、片部の板面に、打ち抜き面の第1の金メッキ層に連なる第2金メッキ層が設けられているので、前記板面における第2金メッキ層の存在を目視等で確認することで、視認しづらい第1金メッキ層の有無を認識することができる。したがって、簡便な検査が可能となる。第2メッキ層は、その存在を視認できれば少量で十分であるので、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0015】
請求項6の発明によれば、安価で且つ接触抵抗の増大を抑制することのできる電気コネクタを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態のコンタクトを備えた電気コネクタの断面図であり、
図2はコンタクトの概略斜視図である。
図1に示すように、電気コネクタ100は、接続部材を挿入するための挿入凹部101を形成した絶縁性合成樹脂からなるハウジング102と、ハウジング102により保持された金属製のコンタクト1とを備えている。コンタクト1は、半田付け等により基板Kに固定される。
【0018】
図2を参照して、コンタクト1は、板材をプレスにより打ち抜く工程を経て形成された、いわゆる打ち抜きコンタクトである。コンタクト1は、所定の摺動方向X1に沿って挿入される例えばFPC等の板状の接続部材60に接続されるフォーク状のコンタクトである。コンタクト1は、一対の板面1a,1bと、これら板面1a,1bに交差し、両板面1a,1b間を全周において接続する打ち抜き面1cとを備えている。
【0019】
図1および
図2に示すように、コンタクト1は、略矩形をなす主体部2と、主体部2の一端から摺動方向X1の反対方向X2に略平行に延びる第1片部3および第2片部4と、主体部2の他端から、摺動方向X1とは直交する方向に延びるリード部5とを備えている。
主体部2は、圧入突起2aを有しており、ハウジング102の固定孔103に圧入され、固定されている。第1片部3は、ハウジング102の第1板部104に形成されて挿入凹部101に臨む第1収容溝105に収容され、保持されている。第2片部4は、ハウジング102の第2板部106に形成されて挿入凹部101に臨む第2収容溝107に収容され、保持されている。
【0020】
第1片部3は、主体部2に連結された基端部6と、自由端である先端部7とを備えており、第2片部4は、主体部2に連結された基端部8と、自由端である先端部9とを備えている。
第1片部3および第2片部4は、それぞれの先端部7,9において、互いに内向きに摺動方向X1とは交差する方向Y1に突出し、
図1に示すように挿入凹部101に進出した山形部10および山形部11をそれぞれ設けている。
【0021】
第1片部3の山形部10および第2片部4の山形部11は、対称な構造をなしている。
図3および
図4に示すように、第1片部3および第2片部4の山形部10,11は、打ち抜き面1cのうち、第1片部3および第2片部4の打ち抜き面1dに、それぞれ形成されている。山形部10は、接点部12を構成する頂部と、頂部(接点部12)の両側に配置された一対の斜面部13,14と備えている。斜面部13は、接点部12に対して摺動方向X1の反対方向X2側に配置され、斜面部14は、接点部12に対して摺動方向X1側に配置されている。
【0022】
第1片部3および第2片部4の打ち抜き面1dには、金メッキ層15(
図3および
図4において、ハッチングを施された部分に相当)が被覆されている。第1片部3および第2片部4の打ち抜き面1dに設けられた金メッキ層15は、接点部12の少なくとも一部(本実施形態では全部)と、摺動方向X1の反対方向X2側の斜面部13の少なくとも一部とにのみ配置されている。反対方向X2側の斜面部13に設けられる金メッキ層15と、接点部12に設けられる金メッキ層15とは、連続的に設けられている。
【0023】
図2に示すように、接続部材60の両面に設けられた導電部61,62が、対応する片部3,4の接点部12に接続される。導電部61,62には、金メッキが施されている。ただし、接続部材60の一方の面のみに、導電部61または62が設けられていてもよい。
図5に示すように、コンタクト1の全体にニッケルメッキ層16が設けられ、金メッキ層15が設けられる領域においてのニッケルメッキ層16は、下地メッキ層として機能している。金メッキ層15が設けられない領域では、ニッケルメッキ層16が露出している。
【0024】
本実施形態によれば、各片部3,4の打ち抜き面1dに設けられた金メッキ層15が、摺動方向X1の反対方向X2側の斜面部13の少なくとも一部と、頂部(接点部12)の少なくとも一部〔本実施形態では頂部(接点部12)の全部〕とにのみ配置されているので、金の量を低減して、製造コストを安くすることができる。
また、摺動方向X1の反対方向X2側の斜面部13に金メッキ層15が設けられているので、接続部材60の両面の導電部61,62が、コンタクト1の各片部3,4の接点部12に到達するまでに、異種金属(本実施形態ではニッケルメッキ層16のニッケル)を削り取ることを抑制することができる。その結果、接続後において、各導電部61,62と対応する接点部12との間にニッケル屑等の異種金属が介在することを抑制することができ、接触抵抗の増大を抑制することができる。
【0025】
また、金メッキ層15を設けない領域では、半田濡れを抑制することのできるニッケルメッキ層16が露出しているので、例えば、リード部5における半田上がりを効果的に防止することができる。
また、第1片部3および第2片部4が設けられ、摺動方向X1(両片部3,4の延びる方向)に関して、各片部3,4の接点部12の位置が、他方の片部4,3の一部の位置と重なっているが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて、所要部をマスキングすることにより、必要最小限の領域(片部3,4の打ち抜き面1dにおいて、接点部12の少なくとも一部と反対方向X2側の斜面部13の少なくとも一部とにのみ)に、金メッキを施すことが可能となる。
【0026】
本実施形態のように、両片部3,4の接点部12が、互いに他方の片部4,3側に向けて突出している(内向きに突出している)場合や、図示していないが、何れか一方の片部の接点部を構成する頂部が、他方の片部側に向けて突出している場合には、マスキングが困難になる傾向にあるが、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて、位置精度良くマスキングを施すことが可能となる。
【0027】
次いで、
図6は本発明の別の実施形態のコンタクトを備えた電気コネクタの概略断面図であり、
図7は
図6のコンタクトの概略斜視図である。電気コネクタ200は、両側方に開放する一対の収容溝201を有する絶縁性合成樹脂からなるハウジング202と、ハウジング202に保持されたコンタクト21とを備えている。コンタクト21は、半田付け等により基板Kに固定される。
【0028】
図7を参照して、コンタクト21は、板材をプレスにより打ち抜く工程を経て形成された、いわゆる打ち抜きコンタクトである。コンタクト21は、所定の摺動方向X1に沿って挿入される板状のコンタクトからなる接続部材70が接続される、フォーク状のコンタクトである。接続部材70は全体が導電部として構成されている。接続部材70の表面の一部であって、コンタクト21と接続される部分に、金メッキが施されていてもよい。
【0029】
コンタクト21は、一対の板面21a,21bと、これら一対の板面21a,21bに交差し、両板面1a,1b間を全周において接続する打ち抜き面21cとを備えている。
図6および
図7に示すように、コンタクト21は、略矩形をなす主体部22と、主体部22の一端から摺動方向X1の反対方向X2に略平行に延びる第1片部23および第2片部24と、主体部22の他端から、摺動方向X1とは直交する方向に延びるリード部25とを備えている。
【0030】
第1片部23は、主体部22に連結された基端部26と、自由端である先端部27とを備えており、弾性片部として機能する。第1片部23は、ハウジング202の収容溝201に収容されている。第2片部24は、主体部22に連結された基端部28と、先端部29とを備えており、
図6に示すように、ハウジング202の固定孔203に圧入固定される固定片部として機能する。
【0031】
図6および
図7を参照して、弾性片部である第1片部23は、その先端部27において、摺動方向X1とは交差する方向Y1であって外向き(第2片部24の反対側)に突出する山形部30を設けている。第1片部23に対して平行に摺動することで、接続部材70が第1片部23に接続される。
図7に示すように、第1片部23の山形部30は、打ち抜き面21cのうち第1片部23の打ち抜き面21dに形成されている。山形部30は、接点部32を構成する頂部と、頂部(接点部32)の両側に配置された一対の斜面部33,34と備えている。斜面部33は、接点部32に対して反対方向X2側に配置され、斜面部34は、接点部32に対して摺動方向X1側に配置されている。
【0032】
第1片部23の打ち抜き面21dには、金メッキ層35(
図7において、ハッチングが施された部分に相当)が被覆されている。第1片部23の打ち抜き面21dに設けられた金メッキ層35は、接点部32の少なくとも一部(本実施形態では全部)と、摺動方向X1の反対方向X2側の斜面部33の少なくとも一部とにのみ配置されている。反対方向X2側の斜面部33に設けられる金メッキ層35と、接点部32に設けられる金メッキ層35とは、連続的に設けられている。
【0033】
図8に示すように、コンタクト21の全体に異種金属メッキ層としてのニッケルメッキ層36が設けられ、金メッキ層35が設けられる領域においてのニッケルメッキ層36は、下地メッキ層として機能している。金メッキ層35が設けられない領域では、ニッケルメッキ層36が露出している。
本実施形態によれば、第1片部23の打ち抜き面21dに設けられた金メッキ層35が、摺動方向X1の反対方向X2側の斜面部33の少なくとも一部と頂部(接点部32)の少なくとも一部とにのみ配置されているので、金の量を低減して製造コストを安くすることができる。
【0034】
また、摺動方向X1の反対方向X2側の斜面部33に金メッキ層35が設けられているので、接続部材70が、コンタクト21の第1片部23の接点部32に到達するまでに、異種金属(本実施形態ではニッケルメッキ層36のニッケル)を削り取ることを抑制することができる。その結果、接続後において、接続部材70と対応する接点部32との間にニッケル屑等の異種金属が介在することを抑制することができ、接触抵抗の増大を抑制することができる。
【0035】
また、金メッキ層35を設けない領域では、半田濡れを抑制することのできるニッケルメッキ層36が露出しているので、例えば、リード部25における半田上がりを効果的に防止することができる。
また、第1片部23および第2片部24が設けられ、摺動方向X1(両片部23,24の延びる方向)に関して、第1片部23の接点部32の位置が、第2片部24の一部の位置と重なっているが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部をマスキングすることにより、必要最小限の領域〔第1片部23の打ち抜き面21dにおいて、接点部32の少なくとも一部(本実施形態では全部)と、反対方向X2側の斜面部33の少なくとも一部とにのみ〕に、金メッキを施すことが可能となる。
【0036】
次いで、
図9は、本発明のさらに別の実施形態のコンタクトを含む電気コネクタとしてのソケットコネクタ300と、基板Kの取付面K1に取り付けられた相手方のベースコネクタ400との分解斜視図である。
図10はソケットコネクタ300の断面図であり、
図11はソケットコネクタ300のコンタクト41の圧着前の概略斜視図である。
図9に示すように、ソケットコネクタ300は、ベースコネクタ400の挿入凹部401に挿入可能である。ソケットコネクタ300は、例えば携帯電話のバッテリと基板とを接続するために用いられる。
【0037】
ベースコネクタ400の挿入凹部401は、基板Kの取付面K1と直交する方向であって取付面K1から離れる方向(ソケットコネクタ300の抜脱方向に相当)に開放し、また、取付面K1と平行な方向のうち前方Z1に開放している。ベースコネクタ400は、前記挿入凹部401を形成する絶縁性合成樹脂からなるハウジング402と、ハウジング402によって保持され、一部が挿入凹部401に露出した板状のコンタクトからなる接続部材80とを備えている。接続部材80の全体が導電部として構成されている。
【0038】
ソケットコネクタ300は、複数の収容孔301を横並びに有するハウジング302を備えている。
図10に示すように、各収容孔301に、電線303の端部に圧着されたコンタクト41が収容され、保持されている。
図10および
図11を参照して、ソケットコネクタ300のコンタクト41に対して、相手方のベースコネクタ400の板状の接続部材80(相手方のコンタクトに相当)が所定の摺動方向X1に沿って摺動しながら接続される。
【0039】
コンタクト41は、電線303の端部を圧着するためのバレルが設けられた主体部42と、互いに平行に延びる第1片部43および第2片部44とを備えている。主体部42には、電線303の絶縁被覆部304を圧着するためのインシュレーションバレル45と、電線303の芯線305を圧着するためのワイヤーバレル46とが設けられている。
主体部42からコンタクト41の長手方向L1に延びる支持片部47が設けられ、その支持片部47から折り曲げられた連結片部48が、第1片部43の基端部43aに連結されている。これにより、第1片部43が、支持片部47および連結片部48を介して主体部42によって支持されている。
【0040】
同じく、主体部42からコンタクト41の長手方向L1に延びる支持片部49が設けられ、その支持片部49から折り曲げられた連結片部50が、第2片部44の基端部44aに連結されている。これにより、第2片部44が、支持片部49および連結片部50を介して主体部42によって支持されている。
図10に示すように、ソケットコネクタ300のハウジング302には、接続部材80が挿入される挿入凹部306が形成されており、第1片部43および第2片部44は、挿入凹部306内に進出している。コンタクト41の主体部42から延設された弾性突起からなるランス59が、ハウジング302の係合孔307に係止することにより、収容孔301からのコンタクト41の抜け止めが達成されている。
【0041】
また、
図11に示すように、第1片部43の先端部43bおよび第2片部44の先端部44bは、湾曲状の連結片部51を介して一体に連結されている。一対の支持片部47,49と、一対の連結片部48,50と、第1片部43および第2片部44と、連結片部51とは、主体部42と単一の材料で一体に形成されており、一対の板面41a,41bと、打ち抜き面41cとを備えている。具体的には、板材をU字状に打ち抜き形成した後、途中部を折り曲げ加工することにより形成されている。
【0042】
第1片部43および第2片部44は、それぞれの基端部43a,44aにおいて、互いに内向きに摺動方向X1とは交差する方向Y1に突出する山形部52および山形部53をそれぞれ設けている。
第1片部43の山形部52および第2片部44の山形部53は、対称な構造をなしているので、第1片43の山形部52に則して説明する。
図12に示すように、第1片部43の山形部52は、打ち抜き面41cのうち第1片部43の打ち抜き面41dに形成されている。山形部52は、接点部54を構成する頂部と、摺動方向X1に関して頂部(接点部54)の両側に配置された一方の斜面部55と他方の斜面部56(
図12では図示せず。
図13を参照)とを備えている。一方の斜面部55は、接点部54に対して摺動方向X1の反対方向X2側に配置され、他方の斜面部56は、接点部54に対して摺動方向X1側に配置されている。
【0043】
本実施形態のコンタクト41には、相手方の接続部材80が、
図12に示すように摺動方向X1に沿って挿入される場合だけでなく、摺動方向X1とは直交する摺動方向X11(長手方向L1に相当)に沿って挿入される場合や、摺動方向X1および摺動方向X11に対して斜めに交差する摺動方向X12に沿って挿入される場合にも対応できるように、摺動方向X11に関して接点部54の両側に配置された一対の斜面部551,561が設けられている。
【0044】
第1片部43の打ち抜き面41dの一部のみに、金メッキ層57(
図12においてハッチングが施された部分)が被覆されている。第1片部43の打ち抜き面41dに設けられた金メッキ層57は、頂部としての接点部54の少なくとも一部(本実施形態では全部)と、摺動方向X1,X11の反対方向X2;X21側の斜面部55;551の少なくとも一部とにのみ配置されている。反対方向X2;X21側の斜面部55;551に設けられる金メッキ層57と、接点部54に設けられる金メッキ層57とは、連続的に設けられている。
【0045】
図13に示すように、コンタクト41の全体にニッケルメッキ層58が設けられ、金メッキ層57が設けられる領域においてのニッケルメッキ層58は、下地メッキ層として機能している。金メッキ層57が設けられない領域では、ニッケルメッキ層58が露出している。
本実施形態によれば、第1片部43の打ち抜き面41dに設けられた金メッキ層57が、摺動方向X1;X11の反対方向X2;X21側の斜面部55;551の少なくとも一部と、頂部(接点部54)の少なくとも一部(本実施形態では全部)とにのみ配置されているので、金の量を低減して製造コストを安くすることができる。
【0046】
また、摺動方向X1;X11の反対方向X2;X21側の斜面部55;551に金メッキ層57が設けられているので、接続部材80が、コンタクト41の各片部43,44の接点部54に到達するまでに、異種金属(本実施形態ではニッケルメッキ層58のニッケル)を削り取ることを抑制することができる。その結果、接続後において、接続部材80と対応する接点部54との間にニッケル屑等の異種金属が介在することを抑制することができ、接触抵抗の増大を抑制することができる。
【0047】
また、金メッキ層57を設けない領域では、ニッケルメッキ層58が露出しているので、耐蝕性を向上することができる。
また、第1片部43および第2片部44が設けられ、両片部43,44の延びる方向に関して、両片部43,44の接点部54の位置が、互いに他の片部44,43の一部の位置と重なっているが、金メッキを施す前に、例えば特許文献1のインクジェットを用いたマスキング方法を用いて所要部をマスキングすることにより、必要最小限の領域〔各片部43,44の打ち抜き面41dにおいて、接点部54の少なくとも一部(本実施形態では全部)と、摺動方向X1,X11の反対方向X2;X21側の斜面部55;551の少なくとも一部とにのみ〕に、金メッキを施すことが可能となる。
【0048】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば
図1の実施形態の変更例として、
図14に示すように、第1片部3の打ち抜き面1dとは交差する、第1片部3の交差面としての一対の板面1a,1bの少なくとも一方(
図14の例では、板面1a)に、打ち抜き面1dの金メッキ層としての第1の金メッキ層151に連なる第2金メッキ層152が設けられていれば好ましい。
【0049】
この場合、下記の利点がある。すなわち、交差面としての板面1aまたは1bにおける第2金メッキ層152の存在を目視等で確認することで、視認しづらい打ち抜き面1dの第1金メッキ層151の有無を認識することができる。したがって、簡便な検査が可能となる。第2メッキ層152は、その存在を視認できれば少量で十分であるので、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0050】
また、図示していないが、
図7の実施形態において、交差面としての一対の板面21a,21bの少なくとも一方に、第2金メッキ層を設けるようにしてもよく、
図11の実施形態において、交差面としての一対の板面41a,41bの少なくとも一方に、第2メッキ層を設けるようにしてもよい。
また、例えば
図1の実施形態の変更例として、
図15(a)に示すように、接点部12を構成する頂部に被覆される金メッキ層15が、接点部12の一部(例えば打ち抜き方向である板厚方向Z1の中央部17)に形成されていてもよい。通例、
図15(b)に示すように、コンタクト1の接点部12において板厚方向の両側縁には、面取り部18が形成れており、その面取り部18は相手方の接続部材60と接触しない。そこで、接点部12においては、その面取り部18を除く中央部17(相手方の接続部材60と実際に接触する部分)のみに限定して、金メッキを施すことにより、さらなるコストダウンを達成する趣旨である。
【0051】
図示していないが、
図7の実施形態において、接点部32の一部(例えば打ち抜き方向である板厚方向の中央部)に金メッキ層35を設けるようにしてもよく、
図11の実施形態において、接点部54の一部に金メッキ層57を設けるようにしてもよい。その他、本発明は、請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。