(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851188
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】力検出用カテーテルのための較正システム
(51)【国際特許分類】
G01L 25/00 20060101AFI20160114BHJP
A61B 5/0492 20060101ALI20160114BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20160114BHJP
A61B 5/0408 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
G01L25/00 B
A61B5/04 300J
【請求項の数】26
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-221665(P2011-221665)
(22)【出願日】2011年10月6日
(65)【公開番号】特開2012-83348(P2012-83348A)
(43)【公開日】2012年4月26日
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】12/899,909
(32)【優先日】2010年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ドロン・ルドウィン
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー・ボニャック
(72)【発明者】
【氏名】ドローア・シュロモ・レヴィ
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭47−1113(JP,Y1)
【文献】
特許第4987304(JP,B2)
【文献】
特許第3479064(JP,B2)
【文献】
特許第5295707(JP,B2)
【文献】
特許第5701934(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L25
A61B5
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に載置されている転動体と、
前記表面に連結される力検出用デバイスであって、前記転動体を静止した状態に保持するように、前記転動体に押し付ける力検出用プローブによって、前記表面に垂直な方向に加えられた力を示す第1の測定値を得るように構成されている、力検出用デバイスと、
前記検出用デバイスからの前記第1の測定値を収集し、前記力検出用プローブからの前記力を示す第2の測定値を収集し、かつ、前記第1の測定値及び第2の測定値に基づき、前記力検出用プローブを較正するように構成されている、較正プロセッサーと、を備える装置。
【請求項2】
前記表面が平面的である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記転動体がシリコーンゴム・ボールを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記力検出用デバイスが荷重計を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサーが、前記力検出用デバイスから前記力を示す第1の信号を収集することによって、前記第1の測定値を得るように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記力検出用プローブが、可撓性挿入チューブと、遠位先端部と、前記可撓性挿入チューブの遠位端を前記遠位先端部に接続する接合部と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記転動体に前記力検出用プローブを押し付けることによって、前記遠位先端部に歪みが生じる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサーが、前記力検出用プローブから前記歪みを示す1つ又は2つ以上の信号を読み取ることによって、前記第2の測定値を得るように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記歪みが、前記遠位端の対称軸に平行な前記遠位先端部の軸方向変位を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記歪みが、前記遠位端の対称軸からの前記遠位先端部の角度たわみを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記力検出用プローブを較正することが、前記力を前記第1の測定値及び第2の測定値の関数として評価するための1つ又は2つ以上の較正係数を算出することを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサーが、前記力検出用プローブに連結されたメモリに前記較正係数を記憶するように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記メモリが、電子的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(E2PROM)を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
力検出用デバイスに連結された表面に転動体を配置することと、
前記表面で前記転動体が静止した状態に保持されるように、力検出用プローブを前記転動体に押し付け、同時に、前記力検出用デバイスへの力を、前記転動体を通して前記表面に垂直な方向に加えることと、
前記力検出用プローブを押し付けながら、前記力検出用デバイス及び前記力検出用プローブを用いて、それぞれ、前記力の第1の測定値及び第2の測定値を得ることと、
前記第1の測定値及び第2の測定値に基づき、前記力検出用プローブを較正することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記表面が平面的である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記転動体がシリコーンゴム・ボールを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記力検出用デバイスが荷重計を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の測定値を得ることが、前記加えられた力を示す第1の信号を、前記力検出用デバイスから収集することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記力検出用プローブが、可撓性挿入チューブと、遠位先端部と、前記可撓性挿入チューブの遠位端を前記遠位先端部に接続する接合部と、を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記転動体に前記力検出用プローブを押し付けることによって、前記遠位先端部に歪みが生じる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の測定値を得ることが、前記力検出用プローブから前記歪みを示す1つ又は2つ以上の信号を読み取ることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記歪みが、前記遠位端の対称軸に平行な前記遠位先端部の軸方向変位を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記歪みが、前記遠位端の対称軸からの前記遠位先端部の角度たわみを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記力検出用プローブを較正することが、前記力を前記第1の測定値及び第2の測定値の関数として評価するための1つ又は2つ以上の較正係数を算出することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記力検出用プローブに結合されたメモリに前記較正係数を記憶することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記メモリが、電子的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(E2PROM)を含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して侵襲的プローブに関し、具体的には、侵襲的プローブ中の較正用力センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲の医療処置には、患者の体内にセンサー、チューブ、カテーテル、調剤デバイス及びインプラントのような物体を配置することが含まれる。位置検出システムは、このような物体を追跡するために開発されている。磁気的位置検出は、当該技術分野において既知の方法の1つである。磁気的位置検知においては、典型的に、磁場発生器が患者の体外の既知の位置に配置される。プローブの遠位端内にある磁場センサーがこの磁場に反応して電気信号を発生させ、この信号が処理されることにより、プローブ遠位端の位置座標が決定される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、PCT国際特許公開第WO 1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に記述されており、それらの開示内容はすべてここに援用するものである。
【0003】
プローブを体内に配置するとき、プローブの遠位先端部を体組織に直接接触させることが望ましい場合がある。この接触は、例えば、遠位先端部と体組織との間の接触圧力を測定することによって、確かめることができる。米国特許出願公開第2007/0100332号及び同第2009/0093806号(それらの開示内容は、ここに援用するものである)は、カテーテルに埋め込まれた力センサーを使用してカテーテルの遠位先端部と体腔内組織との間の接触圧力を測定する方法を記述している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、
表面に載置されている転動体と、
その表面に連結される力検出用デバイスであって、転動体を静止した状態に保持するように、転動体に押し付ける力検出用プローブによって、表面に垂直な方向に加えられた力を示す第1の測定値を得るように構成されている、力検出用デバイスと、
検出用デバイスからの第1の測定値を収集し、力検出用プローブからの力を示す第2の測定値を収集し、かつ、第1の測定値及び第2の測定値に基づき、力検出用プローブを較正するように構成されている、較正プロセッサーと、を備える装置を提供する。
【0005】
典型的には、その表面は平面的である。
【0006】
開示される実施形態において、転動体はシリコーンゴム・ボールであってもよい。
【0007】
典型的には、力検出用デバイスは荷重計を備える。
【0008】
プロセッサーは、力検出用デバイスから力を示す第1の信号を収集することによって、第1の測定値を得るように構成されてもよい。
【0009】
代替的実施形態において、プローブは、可撓性挿入チューブと、遠位先端部と、可撓性挿入チューブの遠位端を遠位先端部に接続する接合部と、を備える。典型的には、転動体に力検出用プローブを押し付けることによって、遠位先端部に歪みが生じる。プロセッサーは、プローブから歪みを示す1つ又は2つ以上の信号を読み取ることによって、第2の測定値を得るように構成されていてもよい。
【0010】
歪みは、遠位端の対称軸に平行な遠位先端部の軸方向変位から構成されてもよい。代替的に又は追加的に、歪みは、遠位端の対称軸からの遠位先端部の角度たわみから構成されてもよい。
【0011】
典型的には、プローブを較正することは、力を第1の測定値及び第2の測定値の関数として評価するための1つ又は2つ以上の較正係数を算出することを含む。プロセッサーは、プローブに連結されたメモリに較正係数を記憶するように構成されてもよい。そのメモリは、電子的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(E
2PROM)を含むことができる。
【0012】
本発明の実施形態によると、
力検出用デバイスに連結された表面に転動体を配置することと、
その表面で転動体が静止した状態に保持されるように、力検出用プローブを転動体に押し付け、同時に、力検出用デバイスへの力を、転動体を通して上記表面に垂直な方向に加えることと、
力検出用プローブを押し付けながら、力検出用デバイス及びプローブを用いて、それぞれ、力の第1の測定値及び第2の測定値を得ることと、
第1の測定値及び第2の測定値に基づき、力検出用プローブを較正することと、を含む、方法が更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は、添付の図面を参照しながら、ほんの一例として、本明細書に説明される。
【
図1】本発明の1つの実施形態による、力検出用カテーテルのための較正システムの概略説明図。
【
図2】本発明の1つの実施形態による、力検出用カテーテルを較正する方法を概略的に説明するフローチャート。
【
図3】本発明の1つの実施形態による、心臓内組織と接触する力検出用カテーテルの遠位先端部を示す図式的詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
カテーテルなどの一部の侵襲的プローブは、カテーテルと体内組織との間の力を測定するための力センサーを備えている。例えば、力センサーは、プローブの遠位先端部に存在し、その先端部は、心臓内組織上の遠位先端部によって加えられた力に応答して歪む。遠位先端部の歪みで、接触力が表示される。しかし、多くの実際的事例において、実際の接触力と歪みの測定値との間の関係は、カテーテルによって異なる。
【0015】
精確な力測定値を確保するために、本発明の実施形態は、力センサーに取り付けられたプローブ(例えば、カテーテル)を較正する方法及びシステムを提供する。幾つかの実施形態において、較正装置は、シリコーンゴム・ボールのような、可撓性弾性の転動体であって、検出装置に連結された平面的水平面上に載置されている転動体を備えている。
【0016】
較正手順の間、力検出用カテーテルの遠位先端部は、任意の角度でボールに押し付けられ、そのことによって、ボールは回転することができる。遠位先端部によってボールに加えられた力は、(ボールを回転させる)回転力と下向きの(即ち、垂直の)力との両方を引き起こすので、ボールは回転する。もしボールが回転しなければ(又は、ボールが、カテーテルとボールとの間の噛み合い角度を変えた後、回転するのを停止する場合)、遠位先端部によってボールに加えられた力は全て、検出用デバイスによって測定され得る下向きの力として導かれる。
【0017】
遠位先端部をボールに押し付けることもまた、遠位先端部とボールとの間の力に応答して、遠位先端部を歪めることがある。遠位先端部が歪む場合、カテーテル中の力センサーは、遠位先端部の歪み測定値を示す。幾つかの実施形態において、遠位先端部によってボールに加えられる力が、下向きの力として方向を変える場合(即ち、ボールが動かない場合)、較正プロセッサーは、力センサーからの歪み測定値と、検出用デバイスからの力測定値とを受信する。この場合、較正プロセッサーは、カテーテルによって、歪みの関数として加えられた力を評価するための較正係数を算出することができる。本発明の実施形態は、組織との複数の接触角度にわたって、力センサーの精確な較正を行うための、単純で安価な方法を提供する。
【0018】
幾つかの実施形態において、較正係数は、カテーテルに連結される不揮発性メモリに記憶される。カテーテルが、後で医療システム中で用いられる場合、カテーテルの遠位先端部によって体組織上に加えられた実際の力は、較正手順の間に算出された較正係数を用いて、歪み測定値から高精度で得られ得る。
【0019】
システムの説明
図1は、本発明の1つの実施形態による、力検出用カテーテルのための較正システム20の説明図である。システム20は、較正ユニット24に連結された較正装置22を備えている。以下に記述される実施形態において、システム20は、プローブ26を較正するために用いられる。本実施例において、プローブ26は、心臓又は他の体器官の治療目的及び/又は診断目的のために用いられるカテーテルを備えている。
【0020】
プローブ26は、医療処置の間、患者の体腔の中に挿入するための遠位端28を有する。遠位端28は、接合部32を経由して遠位先端部30に連結された可撓性挿入チューブ29を有する。挿入チューブ29の遠位端は、可撓性絶縁材料34によって覆われている。接合部32の領域もまた、可撓性絶縁材料によって覆われている。この可撓性絶縁材料は、材料34と同一であってもよく、又は接合部のスムーズな曲げ及び圧搾を可能にするように特別に適合されていてもよい。材料34は、カテーテルの内部構造を見せるために、
図1に切り取られて示される。遠位先端部30は、可撓性挿入チューブ29と比較して、典型的には、相対的に硬質である。
【0021】
遠位先端部30は、弾性部材36によって、可撓性挿入チューブ29に連結されている。
図1において、弾性部材は、コイルバネの形態を有しているが、この目的のためには代替的に他のタイプの弾性構成要素を使用することができる。弾性部材36は、遠位先端部へ加えられる力に応答して、先端部30と可撓性挿入チューブ29の遠位端との間の限定範囲の相対的移動を可能にする。
【0022】
遠位先端部30は、磁気位置センサー38を収容している。センサー38は、1つ又は2つ以上の微小コイルを有することができ、典型的には、様々な軸に沿って配向した複数のコイルを有する。(センサー38は、典型的には、外部発生器によって生じた磁場を測定することによって、医療処置の間、先端部30の位置を追跡するために用いられる。)可撓性挿入チューブ29の遠位端は、弾性部材36の近辺に微小な磁場発生器40を備えている。典型的には、磁場発生器40はコイルを備えており、そのコイルは、較正ユニット24からカテーテルを通して送られる電流によって駆動される。典型的には、磁場発生器は、その磁場が、医療処置の間作動する外部発生器の磁場から、時間及び/又は周波数が区別できるように駆動される。別法として、位置センサー38は、別のタイプの磁気センサー、つまり位置変換器として働く電極か、又はインピーダンスベースの若しくは超音波の位置センサーなどの他のタイプの位置変換器を備えていてもよい。
図1は、単一の位置センサーを有するプローブを示すが、本発明の実施形態では、複数の位置センサーを有するプローブを使用してもよい。
【0023】
磁場発生器40によって生成された磁場により、センサー38内のコイルは、磁場発生器の駆動周波数にて電気信号を発生させる。これらの信号の振幅は、可撓性挿入チューブ29の遠位端に対する遠位先端部30の位置及び方向によって変化する。較正ユニット24中の較正プロセッサー42は、軸方向変位、即ち、カテーテルの軸43に沿った又は軸43に平行な側面への動きと、カテーテル軸から遠位先端部の角度たわみの大きさとを決定するために、これらの信号を処理する。軸43は、可撓性挿入チューブ29の遠位端の対称軸である。遠位先端部30の変位及びたわみは、本明細書では、まとめて遠位先端部の歪みと称される。(コイルによって発生する磁場が軸対称であるので、磁場発生器40中の単一コイルを用いて、たわみの大きさのみを検出することができ、たわみの方向は検出することができない。任意的に、磁場発生器40は、2個以上のコイルを備えることができ、その場合、たわみの方向をも決定することができる。)変位とたわみとの大きさは、ベクトル加法によって組み合わされて、可撓性挿入チューブ29の遠位端に対する遠位先端部30の移動の全大きさを提供することができる。
【0024】
可撓性挿入チューブ29の遠位端に対する遠位先端部30の移動によって、弾性部材36の歪みが測定される。このように、磁場発生器40とセンサー38との組み合わせは、力検出用システムとして機能する。変位とたわみとが組み合わされて検出されることによって、本明細書に記述される較正の後、力検出用システムは、力が遠位先端部30に真正面から又は1つの角度で加えられるか否かに関係なく、力の正確な測定を提供する。この種のプローブ及び位置センサーの更なる詳細は、前述の米国特許出願公開第2009/0093806号及び同第2009/0138007号に記述されている。
【0025】
プローブ42は、電子的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(E
2PROM)のような不揮発性メモリ44であって、較正の間算出された較正係数を記憶するように構成されるものを更に備える。上記に解説されるように、カテーテルが、医療システム中、後で使用される場合、カテーテルの遠位先端部によって体組織へ加えられる実際の力は、メモリ44中に記憶された較正係数を用いて、変位とたわみとの測定値から高精度で得ることができる。
【0026】
較正装置20は、シリコーンゴム・ボール46と表面48とを有する。表面48は、一例として、平面的かつ水平であるものと考えられる。
図1の実施形態において、ボール46は、遠位先端部30がボールに押し付けられるとき、表面48で自由に回転することができる。幾つかの実施形態において、ボール46を押し付ける遠位先端部30は、遠位先端部がボールを押し付ける場所に、圧痕47を、及び/又は、ボールが平坦な表面48を押し付ける場所に、変形49(即ち、平坦化)を創り出す場合がある。
【0027】
ボール46及び表面48に加えて、較正装置22は、平坦な表面に連結された荷重計50を備える。荷重計は、遠位先端部によって表面48へ加えられた下向きの力52を測定し、次いで、下向きの力を示す電気信号を発生する。加えて、遠位先端部30がボール46に押し付けられるとき、回転力54が存在することがある。これによって、ボールは表面48で回転する。
図1に示されるシステムは、荷重計50を用いて下向きの力を測定するが、システム20は、他の適切な任意のタイプのセンサーを用いても、下向きの力を測定することができる。従って、そのようなセンサーは、本発明の趣旨及び範囲の中にあるものと見なされる。
【0028】
荷重計50及びプローブ26の両方とも、好適なインタフェース(例えば、ケーブル及びコネクタ)を介して、較正ユニット24に接続されている。較正ユニット24は、較正プロセッサー42、メモリ56、ディスプレイ58、及び入力デバイス60(例えば、キーボード)を含む。プロセッサー42は典型的に、位置センサー38及び荷重計50からの信号を受け取るため、並びに較正ユニット24の他の較正要素を制御するための、好適なフロントエンド及びインタフェース回路を備えた、一般用のコンピュータを含む。プロセッサー42は、本明細書で説明する機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされてもよい。そのソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサー42にダウンロードしてもよく、あるいは、光学的、磁気的又は電子的記憶メディアなどの非一時的な有形のメディア上で提供されてもよい。別法として、プロセッサー42の機能の一部又はすべてが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0029】
単軸荷重計を用いたカテーテルの較正
図2は、本発明の1つの実施形態による、力検出用カテーテルを較正する方法を概略的に説明するフローチャートである。最初のステップ70において、オペレータ(図示なし)は、遠位先端部30をボール46に押し付ける。遠位先端部30をボール46に押し付けることによって、カテーテル26は、接合部32で曲げられ、それによって、遠位先端部は歪む。遠位先端部30の位置センサー38は、遠位先端部の歪み、即ち、遠位先端部の変位及びたわみを示す信号を出力する。同時に、荷重計50は、遠位先端部30によってボール46へ加えられた下向きの力を示す測定値を出力する。歪みと下向きの力の測定値との両者は、較正ユニット24へ送信される。較正手順の前、オペレータは、典型的には、ボールの重量を計上するために、(キーボード60を介して)荷重計50をゼロにすることに注目されたい。
【0030】
遠位先端部30をボール46に押し付けることは更に、ボールを僅かに変形させることがある(例えば、圧痕47及び/又は変形49)。遠位先端部30がボール46を押し付けることによって生じる、いずれかの十分大きな回転力54が、ボールを回転させることができる。第1の比較ステップ72において、ボール46が移動している、即ち、回転しているならば、そのとき、再配置するステップ74において、オペレータは、プローブ26とボールとの間の噛み合い角度を変え、次いで、方法は、ステップ70に戻る。ステップ72に戻って、もしボール46が静止している、即ち、回転していないならば、そのとき、遠位先端部30は、ボールに向かって下向きの力52のみを(即ち、表面48に垂直な方向に)加えている。それによって、ボールは静止した状態に保持される。ボール46が静止している場合、荷重計50によって測定される下向きの力は、遠位先端部とボールとの間の力に等しい。
【0031】
遠位先端部30がボール46を押し付ける間、較正ユニット24は、第1の収集ステップ76において、歪み測定値を示すセンサー38からの第1の信号を収集する。較正ユニット24はまた、第2の収集ステップ78において、下向きの力の測定値を示す荷重計50からの第2の信号を収集する。
【0032】
較正ステップ80において、プロセッサー42は、収集された歪みと下向きの力との測定値を用いて、較正係数を算出する。位置センサー38からの歪み測定値を、荷重計50からの力測定値に対してマッピングすることによって、較正係数は、位置センサーによる測定値に基づく遠位先端部30への力を決定し、それによって、プローブ26を較正する。換言すれば、任意の較正係数、例えば、歪み及び変位の測定値を示す順序付けられた一対の数字を含むものは、先端部30の歪み測定値を実際の力読取り値に変える。
【0033】
第2の比較ステップ82において、もし追加の較正が望まれる場合、そのとき、方法は、上記のステップ74に戻る。さもなければ、記憶するステップ84において、プロセッサー42は、較正マトリックスをプローブ上のメモリ44に記憶し、次いで、その方法は終了する。
【0034】
較正マトリックスを記憶するため、プロセッサー42は、計算された係数に基づいて、メモリ44に分析計算を記憶することができる。別の方法としては、プロセッサー42は、測定間を補間した照合表をメモリ44に記憶することができる。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態による、心臓92内の心臓内組織90に接触している遠位先端部30を示す、図式の詳細図である。本例において、先端部30は電極94を備えている。心臓内の電気マッピングなど、幾つかの電気生理学的診断及び治療手技において、電極94と組織90との間の力を適切な水準に維持することが重要である。医療専門家(図示なし)が遠位先端部30を心臓内組織90に対して押し付けると、カテーテルが接合部32で屈曲する。遠位先端と組織との間に良好な電極接触を確保するためには、十分な力が必要である。電気的接触が悪いと、不正確な読取り値が生じることがある。一方、過剰な力をかけると組織が変形し、マップを歪ませることがある。
【0036】
遠位先端部30が組織90を押し付ける場合、センサー38は、可撓性挿入チューブ29の遠位端に対する、先端部30の歪みを示す測定値を生じさせる。医療用画像診断システム(例えば、マッピングシステム−図示なし)は、プローブのメモリ44に記憶されている較正係数を用いて、これらの測定値を精確な力読取り値に変える。このようにして、本発明の実施形態を用いた侵襲性プローブの較正により、医療専門家はプローブが組織に対してかける力を正確に制御することができる。
【0037】
以上に記載した実施形態は、一例として引用したものであり、本発明はこれまでの具体的に図示及び記載したものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ本発明の範囲は、以上に記述されたさまざまな特徴の結合及び副結合の両方とともに、当業者が前述の記述を読了後に思いつくであろう、先行技術に開示されていない、それらの変更及び修正をも包含する。
【0038】
〔実施の態様〕
(1) 表面に載置されている転動体と、
前記表面に連結される力検出用デバイスであって、前記転動体を静止した状態に保持するように、前記転動体に押し付ける力検出用プローブによって、前記表面に垂直な方向に加えられた力を示す第1の測定値を得るように構成されている、力検出用デバイスと、
前記検出用デバイスからの前記第1の測定値を収集し、前記力検出用プローブからの前記力を示す第2の測定値を収集し、かつ、前記第1の測定値及び第2の測定値に基づき、前記力検出用プローブを較正するように構成されている、較正プロセッサーと、を備える装置。
(2) 前記表面が平面的である、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記転動体がシリコーンゴム・ボールを含む、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記力検出用デバイスが荷重計を備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記プロセッサーが、前記力検出用デバイスから前記力を示す第1の信号を収集することによって、前記第1の測定値を得るように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(6) 前記プローブが、可撓性挿入チューブと、遠位先端部と、前記可撓性挿入チューブの遠位端を前記遠位先端部に接続する接合部と、を備える、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記転動体に前記力検出用プローブを押し付けることによって、前記遠位先端部に歪みが生じる、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記プロセッサーが、前記プローブから前記歪みを示す1つ又は2つ以上の信号を読み取ることによって、前記第2の測定値を得るように構成されている、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記歪みが、前記遠位端の対称軸に平行な前記遠位先端部の軸方向変位を含む、実施態様7に記載の装置。
(10) 前記歪みが、前記遠位端の対称軸からの前記遠位先端部の角度たわみを含む、実施態様7に記載の装置。
【0039】
(11) 前記プローブを較正することが、前記力を前記第1の測定値及び第2の測定値の関数として評価するための1つ又は2つ以上の較正係数を算出することを含む、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記プロセッサーが、前記プローブに連結されたメモリに前記較正係数を記憶するように構成されている、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記メモリが、電子的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(E
2PROM)を含む、実施態様12に記載の装置。
(14) 力検出用デバイスに連結された表面に転動体を配置することと、
前記表面で前記転動体が静止した状態に保持されるように、力検出用プローブを前記転動体に押し付け、同時に、前記力検出用デバイスへの力を、前記転動体を通して前記表面に垂直な方向に加えることと、
前記力検出用プローブを押し付けながら、前記力検出用デバイス及び前記プローブを用いて、それぞれ、前記力の第1の測定値及び第2の測定値を得ることと、
前記第1の測定値及び第2の測定値に基づき、前記力検出用プローブを較正することと、を含む、方法。
(15) 前記表面が平面的である、実施態様14に記載の方法。
(16) 前記転動体がシリコーンゴム・ボールを含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記力検出用デバイスが荷重計を備える、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記第1の測定値を得ることが、前記加えられた力を示す第1の信号を、前記力検出用デバイスから収集することを含む、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記プローブが、可撓性挿入チューブと、遠位先端部と、前記可撓性挿入チューブの遠位端を前記遠位先端部に接続する接合部と、を備える、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記転動体に前記力検出用プローブを押し付けることによって、前記遠位先端部に歪みが生じる、実施態様19に記載の方法。
【0040】
(21) 前記第2の測定値を得ることが、前記プローブから前記歪みを示す1つ又は2つ以上の信号を読み取ることを含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記歪みが、前記遠位端の対称軸に平行な前記遠位先端部の軸方向変位を含む、実施態様20に記載の方法。
(23) 前記歪みが、前記遠位端の対称軸からの前記遠位先端部の角度たわみを含む、実施態様20に記載の方法。
(24) 前記プローブを較正することが、前記力を前記第1の測定値及び第2の測定値の関数として評価するための1つ又は2つ以上の較正係数を算出することを含む、実施態様14に記載の方法。
(25) 前記プローブに結合されたメモリに前記較正係数を記憶することを含む、実施態様24に記載の方法。
(26) 前記メモリが、電子的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(E
2PROM)を含む、実施態様25に記載の方法。