特許第5851451号(P5851451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851451
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】壁用目地カバー装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
   E04B1/68 100A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-128129(P2013-128129)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-4165(P2015-4165A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−093064(JP,A)
【文献】 特開2001−342687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して設けられた左右の建物の目地部側の外壁面に両端部が枢支された中央部に中央枢支部を有する少なくとも2個以上の伸縮リンク機構と、この少なくとも2個以上の伸縮リンク機構の中央枢支部に中央部が枢支された、前記目地部の半分を覆う中央カバープレートと、この中央カバープレートの両端部と前記目地部側の外壁面に両端部が枢支された少なくとも1個以上の中央枢支部を有する少なくとも2対以上の両側伸縮リンク機構と、この少なくとも2対以上の両側伸縮リンク機構の中央枢支部に後端部が枢支され、先端部が前記中央カバープレートあるいは隣りとスライド移動可能に重なる少なくとも1対以上のスライドカバープレートと、前記少なくとも2対以上の両側伸縮リンク機構の目地部側の外壁面側に後端部が枢支され、先端部が前記少なくとも1対以上のスライドカバープレートにスライド移動可能に重なる1対の固定カバープレートとからなることを特徴とする壁用目地カバー装置。
【請求項2】
少なくとも2個以上の伸縮リンク機構は1個の四角枠形状あるいはパンタグラフ形状の2個の四角枠形状に形成されたものが使用され、少なくとも2対以上の両側伸縮リンク機構は1個の四角枠形状で、対向するバー部材の中央部あるいは所定間隔で中央枢支部を有する中央枢支バーが枢支されたものであることを特徴とする請求項1記載の壁用目地カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の外壁面間を覆う壁用目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁用目地カバー装置は、目地部を覆う複数枚のスライド移動可能に重なり合うカバープレートをパンタグラフ形状の伸縮リンク機構で支持している。
このため、伸縮リンク機構が伸縮しても、隙間が生じないようにカバープレートの幅寸法を設定しなければならず、その設定の自由度が低いとともに、パンタグラフ形状の伸縮リンクが長くなり、十分な強度が得られないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−20394号公報
【特許文献2】特開2006−322132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、中央カバープレートの両側部に位置するカバープレートの幅寸法を比較的に楽に設定することができるとともに、十分な強度が得られる伸縮リンク機構を用いることができ、安全で、十分な強度が得られる壁用目地カバー装置を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の目地部側の外壁面に両端部が枢支された中央部に中央枢支部を有する少なくとも2個以上の伸縮リンク機構と、この少なくとも2個以上の伸縮リンク機構の中央枢支部に中央部が枢支された、前記目地部の半分を覆う中央カバープレートと、この中央カバープレートの両端部と前記目地部側の外壁面に両端部が枢支された少なくとも1個以上の中央枢支部を有する少なくとも2対以上の両側伸縮リンク機構と、この少なくとも2対以上の両側伸縮リンク機構の中央枢支部に後端部が枢支され、先端部が前記中央カバープレートあるいは隣りとスライド移動可能に重なる少なくとも1対以上のスライドカバープレートと、前記少なくとも2対以上の両側伸縮リンク機構の目地部側の外壁面側に後端部が枢支され、先端部が前記少なくとも1対以上のスライドカバープレートにスライド移動可能に重なる1対の固定カバープレートとで壁用目地カバー装置を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、伸縮リンク機構の伸縮量の大きさよりも、小さな大きさの伸縮量の両側伸縮リンク機構を用いることができる。
したがって、両側伸縮リンク機構でスライド移動させる少なくとも1対以上のスライドカバープレートの移動量を小さく設定することができ、全体で目地部が広くなったり、狭くなったりする大きな揺れ動きを吸収することができる。
(2)前記(1)によって、中央カバープレートは伸縮リンク機構で、目地部の中央部に位置するように支持し、両側伸縮リンク機構で1対の固定カバープレートおよび1対のスライドカバープレートを支持するので、従来のように1個の伸縮リンク機構で全てを支持するものに比べ、伸縮リンク機構に加わる荷重が大きくなったり、四角枠のリンクを多く用いて長くなり、強度が弱くなる伸縮リンク機構を用いなくてもよい。
(3)前記(1)によって、両側伸縮リンク機構の伸縮量は左右の建物の目地部側外壁面と中央カバープレートとの間の寸法でよいので、容易に両側伸縮リンク機構を設定することができるとともに、1対のスライドカバープレートおよび1対の固定カバープレートの幅寸法を、隙間が生じないように容易に設定することができる。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
図2】本発明を実施するための第1の形態の背面図。
図3図1の3−3線に沿う断面図。
図4】本発明を実施するための第1の形態の中央カバープレートの取付け状態の説明図。
図5】本発明を実施するための第1の形態の両側伸縮リンク機構を取付けた状態の説明図。
図6】本発明を実施するための第1の形態の地震で目地部が広くなった状態の説明図。
図7】本発明を実施するための第1の形態の地震で目地部が狭くなった状態の説明図。
図8】本発明を実施するための第1の形態の地震で左右の建物が異なる前後方向に揺れ動いた状態の説明図。
図9】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
図10】本発明を実施するための第2の形態の背面図。
図11図9の11−11線に沿う断面図。
図12】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
図13】本発明を実施するための第3の形態の背面図。
図14図12の14−14線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1ないし図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の建物3、3の目地部側の外壁面3a、3a間を覆う本発明の壁用目地カバー装置で、この壁用目地カバー装置1は前記左右の建物3、3の目地部側の外壁面3a、3aにヒンジ部材4、4を介して両端部が枢支ピン5、5で枢支された四角枠形状で、中央部に中央枢支部6を有する少なくとも2個以上の伸縮リンク機構7、7と、この少なくとも2個以上の伸縮リンク機構7、7の中央枢支部6、6に中央部の枢支ピン8、8が枢支された、前記目地部2のほぼ半分を覆う中央カバープレート9と、この中央カバープレート9の両端部と前記目地部側の外壁面3a、3aに両端部が枢支された中央部に中央枢支部10を有する少なくとも2対以上、本発明の実施の形態では3対の両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11と、この両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11の中央枢支部10、10、10、10、10、10に、必要に応じて枢支ピン12、12、12で枢支された支柱13、13と、この支柱13、13あるいは中央枢支部10、10、10に後端部が固定され、先端部が前記中央カバープレート9にスライド移動可能に重なる1対のスライドカバープレート14、14と、前記両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11の目地部側の外壁面3a、3a側に後端部が枢支され、先端部が前記スライドカバープレート14、14にスライド移動可能に重なる1対の固定カバープレート15、15と、この1対の固定カバープレート15、15の後端部と前記外壁面3a、3aとの間をシールするシール剤16、16とで構成されている。
【0011】
前記伸縮リンク機構7、7は四角枠形状のリンク17と、このリンク17の両端部の枢支部18、18に枢支ピン5、5で枢支されたヒンジ部材4、4と、前記リンク17の対向するアーム17a、17aの中央部に、両端部が枢支ピン19、19で枢支された中央アーム20と、この中央アーム20の中心部に形成された中央枢支部6とで構成されている。
【0012】
前記両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11は前記伸縮リンク機構7のリンク17よりも小さな四角枠状のリンク21と、このリンク21の両端部の枢支部22、22に枢支ピン23、23で枢支されたヒンジ部材24、24と、前記リンク21の対向するアーム21a、21aの中央部に両端部が枢支ピン25、25で枢支された中央アーム26と、この中央アーム26の中心部に形成された中央枢支部10とで構成されている。
【0013】
上記構成の壁用目地カバー装置1は、2個以上の伸縮リンク機構7、7を目地部側の外壁面3a、3aに取付ける。
【0014】
この時、あらかじめ2個以上の伸縮リンク機構7、7の中央枢支部6、6に中央カバープレート9が取付けられていてもよく、あるいは2個以上の伸縮リンク機構7、7を取付けた後に取付けてもよい。
【0015】
しかる後に、中央カバープレート9の端部と目地部側の外壁面3a、3aとの間に3対の両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11を取付けるとともに、その中央枢支部10、10、10、10、10、10に支柱13、13を枢支ピン12、12、12、12、12、12で枢支する。
【0016】
次に、該支柱13、13に先端部が前記中央カバープレート9に重なってスライド移動できるようにスライドカバープレート14、14の後端部を固定する。
【0017】
しかる後、後端部が前記両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11の外壁側の枢支部22、22、22、22、22、22に枢支され、先端部が前記スライドカバープレート14、14と重なってスライド移動できるように固定カバープレート15、15を取付け、該固定カバープレート15、15の後端部と外壁面3a、3aとの間をシール剤16でシールすることにより、取付けが完了する。
【0018】
このように構成された壁用目地カバー装置1は、通常時には左右の建物3、3の外壁面3a、3a間の目地部2は、中央カバープレート9、1対のスライドカバープレート14、14および1対の固定カバープレート15、15で覆われている。
【0019】
地震で目地部2が広くなると、図6に示すように中央カバープレート9は2個の伸縮リンク機構7、7によって中央部が目地部2の中央部に位置するように支持されるとともに、3対の両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11は伸長するため、1対のスライドカバープレート14、14の先端部は中央カバープレート9の両端部方向へスライド移動し、1対の固定カバープレート15、15の先端部も1対のスライドカバープレート14、14の後端部方向へスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0020】
地震で目地部2が狭くなると、図7に示すように中央カバープレート9は2個の伸縮リンク機構7、7によって中央部が目地部2の中央部に位置するように支持されるとともに、3対の両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11は収縮するため、1対のスライドカバープレート14、14の先端部は中央カバープレート9との重なりが大きくなるようにスライド移動し、1対の固定カバープレート15、15の先端部も1対のスライドカバープレート14、14との重なりが大きくなるようにスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0021】
地震で左右の建物3、3が異なる前後方向に揺れ動くと、図8に示すように2個の伸縮リンク機構7、7の両端部のヒンジ部材4、4、4、4および3対の両側伸縮リンク機構11、11、11、11、11、11の両端部のヒンジ部材24、24、24、24、24、24、24、24、24、24、24、24の回動によって、その揺れ動きを吸収する。
なお、地震の揺れ動きが停止すると、元の状態へ自動的に戻る。
【0022】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9ないし図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0023】
図9ないし図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、2個の四角枠がつながるパンタグラフ形状の伸縮リンク機構7A、7Aを用いた点で、このような伸縮リンク機構7A、7Aを用いて構成した壁用目地カバー装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0024】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、中央枢支部10、10が2個形成される3対の両側伸縮リンク機構11A、11A、11A、11A、11A、11Aを用いるとともに、重なり合ってスライド移動する2枚のスライドカバープレート14、14、14A、14Aを用いた点で、このような3対の両側伸縮リンク機構11A、11A、11A、11A、11A、11Aや2枚のスライドカバープレート14、14、14A、14Aを用いて構成した壁用目地カバー装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の目地部側外壁面間を覆う壁用目地カバー装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0026】
1、1A、1B:壁用目地カバー装置、
2:目地部、 3:建物、
4:ヒンジ部材、 5:枢支ピン、
6:中央枢支部、 7:伸縮リンク機構、
8:枢支ピン、 9:中央カバープレート、
10:中央枢支部、
11、11A:側伸縮リンク機構、
12:枢支ピン、 13:支柱、
14、14A:スライドカバープレート、
15:固定カバープレート、 16:シール剤、
17:リンク、 18:枢支部、
19:枢支ピン、 20:中央アーム、
21:リンク、 22:枢支部、
23:枢支ピン、 24:ヒンジ部材、
25:枢支ピン、 26:中央アーム。
図1
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図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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