(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような二重構造の保護カバーを採用した場合、被測定ガスの所定のガス濃度が変化したときのセンサー出力の応答性が十分高くないことがあった。また、保護カバーが二重構造であっても、水が保護カバー内に進入してセンサー素子に付着してセンサー素子が冷却されてしまうこともあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、二重構造の保護カバーを持つガス濃度検出センサーにおいて、センサー出力の応答性を十分高くすると共にセンサー素子への水の付着を十分防止することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、二重構造の保護カバーを有するガス濃度検出センサーにおいて、内側カバーのうち内側ガス孔が設けられた部分の外径φ1と外側カバーのうち外側ガス孔が設けられた部分の内径φ2との比φ1/φ2がセンサー出力の応答性やセンサー素子への被水量に大きな影響を与えることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明のガス濃度検出センサーは、
先端が露出した状態でハウジングに保持され、被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサー素子と、
前記ハウジングに固定され、前記センサー素子の先端を保護する保護カバーと、
前記保護カバーの構成要素の一つであって、前記センサー素子の先端を覆うと共に前記被測定ガスの流れを許容する内側ガス孔を有する内側カバーと、
前記保護カバーの構成要素の一つであって、前記内側カバーを覆うと共に前記被測定ガスの流れを許容するが前記内側ガス孔とは対向していない外側ガス孔を有する外側カバーと、
を備え、
前記内側カバーのうち前記内側ガス孔が設けられた部分の外径φ1と前記外側カバーのうち前記外側ガス孔が設けられた部分の内径φ2との比φ1/φ2が0.6〜0.9のものである。
【0008】
こうした二重構造の保護カバーを有するガス濃度検出センサーでは、比φ1/φ2が大きくなるにつれて、被測定ガスの所定のガス濃度を変化させたあとセンサー出力がそれに追従して変化するまでの時間(応答時間)が短くなるが、ある数値範囲を超えると逆に応答時間が急激に長くなる。具体的には、比φ1/φ2が0.6〜0.9の場合に応答時間はほぼ極小値(ピーク的な値)をとるが、比φ1/φ2が0.6よりも小さいほど応答時間は長くなり、比φ1/φ2が0.9を超えると応答時間は急激に長くなる。また、比φ1/φ2が大きくなるほど、センサー素子への水の付着が十分防止される。この比φ1/φ2は、0.67〜0.87であることが好ましい。この範囲であれば、センサー出力の応答性が一層高くなり、センサー素子への水の付着が一層防止されるからである。
【0009】
本発明のガス濃度検出センサーにおいて、前記外側カバーの内径φ2が前記ハウジングの外径と略同じとすることが好ましい。外側カバーの内径φ2が大きいほど、比φ1/φ2が0.6〜0.9としたときの応答時間の極小値が小さくなるが、内径φ2はハウジングの外径以下とするのが一般的なため、内径φ2をその範囲で最も大きくすること、すなわち内径φ2をハウジングの外径と略同じとすることが好ましい。なお、ハウジングの外径と略同じとは、ハウジングの外径と一致する場合のほか、ハウジングの外径に対して外側カバーの厚み分だけ増減している場合などを含む。
【0010】
本発明のガス濃度検出センサーにおいて、前記内側カバーは、前記内側ガス孔が形成された第1胴部と、該第1胴部に段差を介して連接され、前記第1胴部よりも径の小さな第2胴部と、該第2胴部に連接され該第2胴部よりも径の小さな先端部と、を備え、前記外側カバーは、前記外側ガス孔が形成された胴部と、該胴部に段差を介して連接されると共に前記内側カバーの第2胴部と周方向にわたって接合され、前記胴部よりも径の小さな先端部と、を備えていてもよい。このような外側カバー及び内側カバーを備えたガス濃度検出センサーであっても、本発明の効果を有効に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
図1は配管200へのガス濃度検出センサー100の取り付け状態の概略説明図、
図2はガス濃度検出センサー100の構成を表す縦断面図である。
【0013】
図1に示すように、ガス濃度検出センサー100は車両のエンジンからの排気経路である配管200内に取り付けられており、エンジンから排出された被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO
2等のガス成分のうち少なくともいずれか1つの濃度を検出するようになっている。
【0014】
ガス濃度検出センサー100は、
図2に示すように、被測定ガス中のガス成分の濃度を検出する機能を有するセンサー素子110と、このセンサー素子110を保護する保護カバー120とを備えている。
【0015】
センサー素子110は、細長な長尺の板状体形状の素子であり、ジルコニア(ZrO
2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる。このセンサー素子110は、先端が露出した状態でハウジング102に保持されている。また、センサー素子110は、センサー素子110を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒーターを内部に備えている。このようなセンサー素子110の構造やガス成分の濃度を検出する原理は公知であり、例えば特開2008−164411号公報に記載されている。
【0016】
保護カバー120は、センサー素子110の周囲を取り囲むように配置されている。この保護カバー120は、センサー素子110の先端を覆う内側カバー130と、内側カバー130を覆う外側カバー140とを有している。
【0017】
内側カバー130は、金属(例えばステンレス鋼)製の部材であり、円筒状の大径部132と、大径部132よりも径の小さい胴部134とを有している。大径部132は、金属製のハウジング102に内周面が当接しており、これにより内側カバー130がハウジング102に固定されている。胴部134は、大径部132に段差を介して連接された外径φ1の有底筒状体であり、センサー素子110の側面を覆うように位置している。また、胴部134には、被測定ガスを内側カバー130の外から内へあるいは内から外へ流通させるための内側ガス孔134aがそれぞれ等間隔に6箇所形成されている。この内側ガス孔134aは、円形の穴である。なお、φ1は、胴部134のうち内側ガス孔134aが設けられている部分の外径である。また、内側カバー130に囲まれた空間は、センサー素子110の先端を覆うセンサー素子室124となっている。
【0018】
外側カバー140は、金属(例えばステンレス鋼)製の部材であり、円筒状の大径部142と、大径部142よりもわずかに径の小さい胴部144とを有している。大径部142は、ハウジング102及び内側カバー130の大径部132に内周面が当接しており、これにより外側カバー140がハウジング102に固定されている。胴部144は、大径部142に連接された内径φ2(>φ1)の有底筒状体であり、内側カバー130の胴部134の外周面を覆うように位置している。また、胴部144には、被測定ガスを外側カバー140の外から内へあるいは内から外へ流通させるための外側ガス孔144aが等間隔に6箇所形成されている。この外側ガス孔144aは、内側ガス孔134aよりも径が大きい円形の穴であり、内側ガス孔134aに対して上方向にずれた位置に形成されている。なお、φ2は、胴部144のうち外側ガス孔144aが設けられている部分の内径である。また、胴部144の底部には、被測定ガスを外側カバー140の外から内へあるいは内から外へ流通させるための底穴144bが形成されている。この底穴144bは、円形で外側ガス孔144aよりも径の大きな穴であり、外側カバー140の中心軸上に形成されている。本実施形態では、比φ1/φ2が0.6〜0.9の範囲、好ましくは0.67〜0.87の範囲になるように設計されている。また、ハウジング102のうち外側カバー140を嵌め込んだ部分の直径は、外側カバー140の内径φ2と実質的にほぼ同じ大きさである(φ2より僅かに大きい)。
【0019】
ガス流通室126は、内側カバー130の胴部134と外側カバーの胴部144により囲まれた空間である。
【0020】
次に、こうして構成されたガス濃度検出センサー100が所定のガス濃度を検出する際の被測定ガスの流れについて説明する。配管200内を流れる被測定ガスは、複数の外側ガス孔144aのいずれかを通ってガス流通室126内に流入し、そこから複数の内側ガス孔134aのいずれかを通ってセンサー素子室124に流入する。このとき、被測定ガスが水を含んでいたとしても、外側ガス孔144aと内側ガス孔134aとは対向していないため、水の多くは例えば胴部134の外壁を伝って外側カバー140の底穴144bから外部へ排出される。このため、センサー素子110の先端には水がかかりにくい。センサー素子室124に流入した被測定ガスは、複数の内側ガス孔134aのいずれかを通ってガス流通室126内に流出し、そこから複数の外側ガス孔144aのいずれかを通って外部へ流出する。
【0021】
ところで、被測定ガスの所定のガス濃度が変化したときのセンサー出力の応答性は、内側カバー130の外径φ1と外側カバー140の内径φ2との比φ1/φ2によって大きく変動することが、本発明者らの研究で明らかになった。本実施形態では、この比φ1/φ2を上述した範囲になるように設計しているため、センサー出力の応答性が十分高くなる。本発明者らは、外側カバー140の内径φ2を一定とし内側カバー130の外径φ1を変化させた場合のセンサー出力の応答性を、次のように予測した。すなわち、内側カバー130の外径φ1が小さいほどセンサー素子室124の容積が小さくなるため、被測定ガスの濃度が変化したときに、センサー素子室124内の変化前の被測定ガスが変化後の被測定ガスにすべて置換されるのに要する時間が短くなり、応答性が高くなると予測した。しかし、実際に実験を行ったところ、予測に反して、内側カバー130の外径φ1が大きいほど、応答性が高くなった。その理由は明らかではないが、内側カバー130の外径φ1が大きいほど、センサー素子室124の容積が大きくなるものの、内側カバー130と外側カバー140との隙間が狭くなるため、ガス流通室126を通過する被測定ガスの速度が十分速くなり、その結果、センサー素子室124のガス置換が迅速化されたと推察される。一方、内側カバー130の外径φ1が大きくなりすぎる(つまり比φ1/φ2が値1に近づきすぎる)と、応答性が急激に低くなった。これは、内側カバー130と外側カバー140との隙間が狭くなりすぎて、通過するガスと壁面との摩擦によって被測定ガスの速度が低下したものと推察される。また、保護カバー120が二重構造であっても、水がセンサー素子110に付着してセンサー素子110が冷却されてしまうおそれがあるが、本実施形態では、比φ1/φ2を上述した範囲になるように設計しているため、水がセンサー素子に掛かるのを十分防止することができる。
【0022】
以上詳述した本実施形態によれば、二重構造の保護カバー120を持つガス濃度検出センサー100において、比φ1/φ2を0.6〜0.9の範囲、好ましくは0.67〜0.87の範囲になるように設計しているため、センサー出力の応答性を十分高くすると共にセンサー素子110への水の付着を十分防止することができる。
【0023】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実現し得ることはいうまでもない。
【0024】
例えば、上述した実施形態では、外側カバー140の外側ガス孔144aを内側カバー130の内側ガス孔134aに対して上方に設けたが、
図3に示すように、外側カバー140の外側ガス孔144aを内側カバー130の内側ガス孔134aに対して下方に設けてもよい。この場合も比φ1/φ2を上述した範囲になるように設計すれば、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0025】
上述した実施形態では、外側カバー140の胴部144のうち外側ガス孔144aが設けられた部分の内径φ2をハウジング102のうち外側カバー140を嵌め込んだ部分の直径とほぼ同じ大きさにしたが、
図4に示すように、内径φ2を、ハウジング102のうち外側カバー140を嵌め込んだ部分の直径よりも小さくしてもよい。この場合も比φ1/φ2を上述した範囲になるように設計すれば、上述した実施形態と同様の効果が得られる。但し、比φ1/φ2が同じ値の場合、
図4の構成よりも
図2の構成の方がセンサー出力の応答性が高くなるため、内径φ2をハウジング102の外径と略同じとすることが好ましい。
【0026】
上述した実施形態の二重構造の保護カバー120の代わりに、
図5に示す保護カバー220を採用してもよい。すなわち、保護カバー220は、内側カバー230と外側カバー240とを備えている。内側カバー230は、第1胴部232と、第2胴部234と、先端部236とを備えている。このうち、第1胴部232は、内側ガス孔232aが形成された外径φ1の筒状体である。第2胴部234は、第1胴部232よりも径の小さな筒状体であり、第1胴部232に段差を介して連接されている。先端部236は、三角錐台を逆さにした形状であり、第2胴部234に連接されている。この先端部236の下端面には、底穴236aが形成されている。一方、外側カバー240は、胴部242と、先端部244とを備えている。このうち、胴部242は、外側ガス孔242aが形成された内径φ2の筒状体である。なお、外側ガス孔242aと内側ガス孔232aとは上下方向にずれるように設けられており、対向していない。先端部244は、外側ガス孔244aが形成された有底筒状体であり、胴部242に段差を介して連接されている。この先端部244の上方部分は、第2胴部234の下方部分と接合されている。その結果、内側カバー230と外側カバー240とで囲まれた空間は、上室226aと下室226bとに分離されている。被測定ガスは、通常、外側ガス孔242aから上室226a、内側ガス孔232aを通ってセンサー素子室224に流入し、そこから底穴236a、下室226b、外側ガス孔244aを通って外部へ流出する。こうした保護カバー220においても、比φ1/φ2が上述した範囲となるように設計することにより、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0027】
上述した実施形態では、内側ガス孔134aや外側ガス孔144aの個数は特に6個に限定するものではなく、例えば3〜10個の範囲で設定してもよいし、ガス濃度検出センサー100の向きを決めることができるのであれば、2個であっても構わない。
【実施例】
【0028】
[実験例1〜10,11〜16]
図2に示すガス濃度検出センサー100を複数作製した。具体的には、ハウジング102として、内側カバー130が嵌め込まれる部分の外径が12.9mm、外側カバー140が嵌め込まれる部分の外径が14.3mmのものを用いた。また、内側カバー130として、板厚が0.3mm、胴部134の長さが12.4mm、内側ガス孔134aの径が1.5mmのものを用いた。更に、外側カバー140として、板厚が0.4mm、胴部144の長さが15mm、胴部144の内径φ2が13.8mm、外側ガス孔144aの径が2mmのものを用いた。そして、内側カバー130の胴部134の外径φ1を表1の実験例1〜10に示すように種々変更したものを作製した。ここで作製したガス濃度検出センサー100は、酸素濃度を検出するものとした。
【0029】
各ガス濃度検出センサー100につき、以下のセンサー出力の応答性とセンサー先端への被水量を調べた。その結果を表1及び
図7,8に示す。センサー出力の応答性とセンサー素子への被水量の試験方法は以下の通り。
【0030】
・センサー出力の応答性
まず、
図1のようにガス濃度検出センサーを配管200に取り付けた。この状態で、エンジンの排ガスの代わりに、被測定ガスとしてバーナー燃焼によりNO濃度70ppm、ラムダ1.05に制御した基準ガスを流してセンサー出力が安定するのを待った。その後、ガス導入口を通じて酸素を基準ガス中に導入し、NO濃度70ppm、ラムダ1.35の混合ガスを流してセンサー出力が安定するのを待った。すると、センサー素子110が酸素濃淡電池として機能して起電力が発生し、センサー出力が立ち上がった。ここで、基準ガス中に酸素を導入した時点から、センサー出力がその立ち上がりの最大値の10%になるまでに要する時間t10とセンサー出力がその立ち上がりの最大値の90%になるまでに要する時間t90とを求め、その差Δt(=t90−t10)を応答時間(単位:sec)とした。この応答時間が短いほどガス濃度検出センサーの応答性が高い。
【0031】
・センサー先端への被水量
被水量は、
図6に示す被水量測定装置400を用いて求めた。すなわち、被水量測定装置400として、直径28mmの2本のパイプ410,420を角度が150°となるように繋ぎ合わせ、繋ぎ目から300mmの位置に切替バルブ440を介して送風機430を接続し、繋ぎ目から送風機430とは反対側に向かって400mmの位置にガス濃度検出センサー100を配置したものを用意した。そして、繋ぎ目部分に100mlの水を蓄えた状態で、送風機430を所定の駆動条件で運転し、送風機430からパイプへ送風した。この送風によって繋ぎ目部分の水をセンサー100に向かって飛散させて、蓄えられていた水を全てパイプ420の外へ放出した。この間、センサー素子110の温度が目標値100℃になるように、内蔵されたヒーターのパワーを制御した。パワー制御値は、センサー素子110の先端に水が掛かると、温度が低下するため大きくなる。したがって、このパワー制御値が大きいほど、センサー素子110への被水量が多いといえる。なお、送風機430の所定の駆動条件とは、センサー素子110のヒーターが100℃で安定した後、切替バルブ440をバイパス440aに接続した状態で、風速約75m/sの大気の流れを作り、切替バルブ440をパイプ410に切替え、3秒間パイプ410に送風することをいう。
【0032】
【表1】
【0033】
図7は比φ1/φ2と応答時間との関係を示すグラフ、
図8は比φ1/φ2とヒーターのパワー制御値(被水量)との関係を示すグラフである。表1及び
図7から明らかなように、応答時間は比φ1/φ2によって大きく変動した。具体的には、比φ1/φ2が0.6〜0.9の場合に応答時間はほぼ極小値(ピーク的な値)をとるが、比φ1/φ2が0.6未満だと比φ1/φ2が小さいほど応答時間は長くなり、比φ1/φ2が0.9を超えると応答時間は急激に長くなった。応答時間は、比φ1/φ2が0.67〜0.87の場合に一層短くなった。一方、表1及び
図8から明らかなように、被水量は、比φ1/φ2が1に近づくにつれて少なくなる傾向が見られた。したがって、応答時間及び被水量を考慮すると、比φ1/φ2は0.6〜0.9の範囲が好適であり、0.67〜0.87の範囲が最適であることがわかる。なお、特許文献1(特開2000−304719)の
図11には、二重構造の保護カバーが記載されているが、その外側カバーは外径約14.2mm(厚みは約0.4mmのため、内径は約13.4mm)、内側カバーは外径約6.6mmであるため、比φ1/φ2は約0.49である。
【0034】
また、
図4に示すガス濃度検出センサーとして、外側カバー140の胴部144の内径φ2を9.4mmに固定し、内側カバー130の胴部134の外径φ1を種々変更したものを作製し、それらについても、センサー出力の応答性とセンサー先端への被水量を調べた(実験例11−16)。その結果を表2に示す。応答時間は、実験例1〜10と同様、比φ1/φ2によって大きく変動し、同じような傾向がみられ極小値を見出した。また、比φ1/φ2が同じ値の場合には、外側カバー140の内径φ2が大きい方が応答時間は短くなったことから、内径φ2の大きい方がセンサー出力の応答性が高くなるといえる。なお、被水量は、実験例1〜10と同様、比φ1/φ2が1に近づくにつれて少なくなる傾向が見られた。
【0035】
【表2】
【0036】
[実験例17〜23]
図5に示すガス濃度検出センサーを複数作製した。ハウジング102として、内側カバー230が嵌め込まれる部分の外径が12.9mm、外側カバー240が嵌め込まれる部分の外径が14.3mmのものを用いた。また、内側カバー230として、板厚が0.3mm、第1胴部232の長さが5.2mm、第2胴部234の長さが3.8mm、第2胴部234の外径が8.2mm、先端部236の長さが4.9mm、先端部236の下端面の径が2.4mm、長方形状の内側ガス孔232aの縦×横が1.5×0.3mm、底穴236aの径が1mmのものを用いた。更に、外側カバー240として、板厚が0.4mm、胴部242の長さが7.7mm、胴部242の内径φ2が13.8mm、先端部244の長さが9.6mm、先端部244の内径が11.2mm、外側ガス孔242a,244aの径が1mmのものを用いた。そして、内側カバー230の外径φ1を表3の実験例17〜23に示すように種々変更したものを作製した。得られた実験例17〜23のガス濃度検出センサーにつき、センサー出力の応答性を測定した。その結果を表3及び
図9に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
表3及び
図9から明らかなように、応答時間は実験例1〜10と同様、比φ1/φ2によって大きく変動した。具体的には、比φ1/φ2が0.6〜0.9の場合に応答時間はほぼ極小値をとるが、比φ1/φ2が0.6未満だと比φ1/φ2が小さいほど応答時間は長くなり、比φ1/φ2が0.9を超えると応答時間は急激に長くなった。応答時間は、比φ1/φ2が0.67〜0.87の場合に一層短くなった。なお、被水量は、実験例1〜10と同様、比φ1/φ2が1に近づくにつれて少なくなる傾向が見られた。