特許第5851494号(P5851494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851494
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用の駆動機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20160114BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   A61M5/24
   A61M5/315 550E
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-513690(P2013-513690)
(86)(22)【出願日】2011年6月9日
(65)【公表番号】特表2013-528088(P2013-528088A)
(43)【公表日】2013年7月8日
(86)【国際出願番号】EP2011059569
(87)【国際公開番号】WO2011154484
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年5月26日
(31)【優先権主張番号】10165642.9
(32)【優先日】2010年6月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン・ラープ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジェームズ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】マーク・フィリップ・ホーロック
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・デーヴィッド・バトラー
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−187628(JP,A)
【文献】 特開平06−296691(JP,A)
【文献】 特開平07−250895(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0111587(US,A1)
【文献】 特表2002−501790(JP,A)
【文献】 特開平08−000730(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1923085(EP,A1)
【文献】 米国特許第5823998(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の操作状態と再設定状態の間を切り替えることができる薬物送達デバイス用の駆動機構であって:
−近位端及び遠位端を有するハウジング(17、13)、
−ハウジング(17、13)に対して第一の方向(44)、及び第二の方向(47)に回転するように適合される回転部材(21)、
−通常の操作状態において回転部材(21)と連結されて、第二の方向(47)への回転部材(21)の回転運動に従動する、駆動部材(20)、
−通常の操作状態において、駆動部材(20)がハウジング(17、13)に対して第二の方向(47)に回転するとき、ハウジング(17、13)に対して遠位方向に変位する、ピストンロッド(12)、
−通常の操作状態において駆動部材(20)と連結されて、ハウジング(17、13)に対する第一の方向への駆動部材(20)の回転運動を阻止する、停止部材(26)、及び
−操作状態を切り替えるための分離部材(70)であって、通常の操作状態が再設定状態に切り替えられるように分離部材(70)がハウジング(17、13)に対して遠位方向に移動したとき、停止部材(26)及び駆動部材(20)を、ハウジング(17、13)及び回転部材(21)に対して遠位方向に動かすように適合され、それにより停止部材(26)及び駆動部材(20)をデカップルし、そして駆動部材(20)及び回転部材(21)をデカップルする、分離部材(70)、を含んでなる、上記駆動機構。
【請求項2】
分離部材(70)がハウジング(17、13)に対して遠位方向に移動したとき、分離部材(70)は、停止部材(26)を駆動部材(20)に対して遠位方向に動かすように適合される、請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
カートリッジホルダと解除可能に連結するのに適した請求項1又は2に記載の駆動機構であって、カートリッジホルダが駆動機構から取り外されたとき、再設定状態に切り替えられる、上記駆動機構。
【請求項4】
カートリッジホルダが駆動機構に取り付けられたとき付勢され、そしてカートリッジホルダが取り外されたとき緩和することが可能にされ、それによりハウジング(17、13)に対して遠位方向に分離部材(70)を動かす、弾力部材(79)を含んでなる、請求項3に記載の駆動機構。
【請求項5】
再設定状態において、ピストンロッド(12)は、軸方向の開始位置に向かってハウジング(17、13)に対して近位方向に変位可能であり、通常操作状態において、ピストンロッド(12)は、ハウジング(17、13)に対して遠位方向に可動である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項6】
分離部材(70)と連結され、再設定モードに切り替えるために可動である、ボタン(71)を更に含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項7】
分離部材(70)が、ハウジング(17、13)の内側に位置し、そしてボタン(71)が、少なくとも部分的にハウジング(17、13)の外側に位置する、請求項6に記載の駆動機構。
【請求項8】
駆動部材(20)は、ボタン(71)がハウジング(17、13)に対して遠位方向に移動したとき、回転部材(21)から回転的に連結を解除される、請求項6又は7に記載の駆動機構。
【請求項9】
分離部材(70)は、駆動部材(20)に遠位端を有する溝(72)と係合する第一の突出部(74)を含み、通常操作モードにおいて、第一の突出部(74)は溝(72)の遠位端から離れて位置し、再設定状態に切り替わるとき、第一の突出部(74)は溝(72)の遠位端に向かって動く、請求項1〜8のいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項10】
駆動機構(20)は、第一の突出部(74)が溝(72)の遠位端に到達したとき、かつ分離部材(70)がハウジング(17、13)に対して更に遠位方向に動いたとき、ハウジング(17、13)に対して遠位方向に移動する、請求項9に記載の駆動機構。
【請求項11】
溝(72)が駆動機構(20)の周囲で円周状に形成される、請求項9又は10に記載の駆動機構。
【請求項12】
分離部材(70)が停止部材(26)と連結される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項13】
通常状態において、停止部材(26)及び駆動部材(20)が第二の方向にのみ回転運動を伝達することが可能なクラッチで連結される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物送達デバイス用の駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスにおいて、薬物を含むカートリッジ内のピストンは、カートリッジに対して遠位方向に動くピストンロッドにより、カートリッジに対して遠位方向に変位し得る。
【0003】
固定用量のペン形注射器は、ガラスで作られてもよい事前充填されたカートリッジから多くの設定用量サイズを注射するために使用できるデバイスである。これは、同一サイズの繰り返し用量が定期的に必要となる慢性の日常治療法に、理想的に適しているかもしれない。デバイスは使い捨てであっても又は再使用可能であってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、例えば、再使用可能な薬物送達デバイスにおける使用のために、再設定できる駆動機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、通常の操作状態及び再設定状態の間で切り替えられる薬物送達デバイス用の駆動機構が提供される。駆動機構は;
−近位端及び遠位端を有するハウジング、
−ハウジングに対して第一の方向、及び第二の方向に回転するように適合される回転部材、
−通常の操作状態において回転部材と連結されて、第二の方向への回転部材の回転運動に従動する、駆動部材、
−通常の操作状態において、駆動部材がハウジングに対して第二の方向に回転するとき、ハウジングに対して遠位方向に変位する、ピストンロッド、
−通常の操作状態において駆動部材と連結されて、ハウジングに対する第一の方向への駆動部材の回転運動を阻止する、停止部材、及び
−通常の操作状態が再設定状態に切り替えられたとき、停止部材及び駆動部材をハウジングに対して遠位方向に動かすように適合され、それにより停止部材及び駆動部材をデカップルし、そして駆動部材及び回転部材をデカップルする、操作状態を切り替えるための分離部材
を含む。
【0006】
通常の操作状態において、第一の方向における回転部材の回転中、停止部材と駆動部材の機械的相互作用、例えば、インターロッキング、係合及び/又は隣接は、第一の方向に、ハウジングに対して、及び特に、用量の設定中、停止部材に対して駆動部材の回転運動を阻止し得る。それ故、用量の設定中の駆動部材の回転は回避できる。駆動部材は、第二の方向におけるその回転運動をハウジングに対するピストンロッドの遠位運動に転換するために、ピストンロッドに連結し得る。
【0007】
再設定状態において、停止部材、駆動部材、及び第一の方向に駆動部材及びピストンを回転させる回転部材は、連結を解除され、それにより、ピストンロッドを初期開始位置に近位的に動かし、そして新しいカートリッジを挿入することを可能にする。
【0008】
上記の駆動機構を含む薬物送達デバイスは、使用者により容易に再設定できる。その上、デバイスは再使用可能であり、その結果、廃棄物を減らすことができる。
【0009】
一つの実施態様において、分離部材がハウジングに対して遠位方向に動き、それにより停止部材を駆動部材から連結を解除するとき、分離部材は、駆動部材に対して遠位方向に停止部材を動かすように適合される。
【0010】
一つの実施態様において、分離部材がハウジングに対して遠位方向に動くとき、分離部材は、停止部材及び駆動部材を回転部材に対して遠位方向に動かすように適合される。換言すれば、分離部材は、停止部材及び駆動部材を動かすための手段であり、それにより、停止、駆動及び回転部材を連結から解除する。
【0011】
駆動機構の一つの実施態様は、カートリッジホルダと解除可能に連結するのに好適であり、ここで、駆動機構は、カートリッジホルダが駆動機構から取り外されたとき、再設定状態に切り替えらえる。
【0012】
使用者がデバイスから薬剤の最終用量を投与したとき、使用者は、その後、カートリッジホルダを除去でき、そして、例えば、ガラス瓶として形成されてもよいカートリッジを、薬物を含む新しいものに代替できる。この変化の間、駆動機構は再設定されなければならない。
【0013】
駆動機構は分離し、デバイスの再設定を可能とするために係合する。カートリッジホルダの除去は、機構の係合解除のための引き金である。カートリッジホルダを取り付けることは、係合すべき駆動機構をトリガーする。
【0014】
駆動機構の一つの実施態様は、カートリッジホルダが駆動機構に取り付けられるとき付勢され、そしてカートリッジホルダが取り外されるとき、緩和することが可能となる弾力部材を含み、それにより、ハウジングに対して遠位方向に分離部材を動かす。カートリッジホルダを取り付けることが、弾力部材を付勢し、それにより、駆動部材を通常の操作モードに切り替えるために、停止部材及び駆動部材並びに駆動部材及び回転部材を連結する。
【0015】
再設定状態において、ピストンロッドは、新しいカートリッジを挿入できる軸方向の開始位置に向かって、ハウジングに対して近位方向に変位可能である。通常の操作状態において、ピストンロッドは、ハウジングに対して遠位方向に可動であり、それにより薬物を投与する。一つの実施態様において、ピストンロッドは、それが押されるとき、自由に回転でき、それにより、ハウジング内へ回転する。
【0016】
駆動機構は、分離部材及び連結するボタンを含んでもよく、ボタンは、再設定モードに切り替えるために可動である。カートリッジホルダを取り付けることによる操作状態と取り外すことによる操作状態の間を切り替える一つの実施態様は、緩和する弾力部材を支持するためのボタンを含み得る。これは、カートリッジホルダが取り外されるとき、緩和部材により衝撃を受ける力が停止部材、駆動部材及び回転部材の連結を解除するために十分でない場合、有用であるかもしれない。ボタンは、駆動機構の係合の解除を制御するために使用できるかもしれない。別の実施態様において、ボタンは、既に設定された用量をキャンセルすることを可能にするカートリッジホルダを取り外すことなく、最設定モードに駆動機構を切り替えることを可能にする。
【0017】
ボタンは、キャンセル機能の部分として使用でき得る。使用者は、設定用量が必要でないとき、ボタンを引き、そしてデバイスを装着する場合、デバイスは、キャンセルすることができ、それは、設定用量が送達すべきでないことを意味する。キャンセル機能なしでは、使用者は薬物を捨て、又は装填条件にデバイスを運ぶ必要がある。
【0018】
一つの実施態様において、駆動部材は、ボタンがハウジングに対して遠位方向に動き、それが設定された用量をキャンセルすることができるとき、回転部材から回転的に連結を解除する。
【0019】
一つの実施態様において、分離部材は、ハウジング内に位置し、そして、使用者がボタンにアクセスできるために、ボタンは、少なくとも部分的にハウジングの外側に位置する。
【0020】
一つの実施態様において、分離部材は、駆動部材において溝(trench)と係合する第一の突出部(protrusion)を含み、溝は遠位端を有する。通常操作モードにおいて、第一の突出部は、溝の遠位端から離れて位置する。第一の突出部は、再設定状態に切り替えるとき、溝の遠位端に向かって動く。この動きは、駆動部材を回転部材からの連結を解除させる。駆動部材は、第一の突出部が溝の遠位端に到達し、そして分離部材が、更に、ハウジングに対して遠位方向に動くとき、ハウジングに対して遠位方向に動く。一つの実施態様の溝は、分離部材が駆動部材の回転運動を停止しないように、駆動部材の円周方向の周囲に形成される。
【0021】
一つの実施態様において、分離部材は、停止部材と連結し、それは停止部材を駆動部材からの連結を解除することを可能とする。通常状態において、停止部材及び駆動部材は、第二の位置においてのみ回転運動を伝達することを可能にするクラッチにより連結され得る。再設定モードにおいて、部材は連結を解除される。
【0022】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは、少なくとも一つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一つの実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、ホルモン又はオリゴヌクレオチド、若しくは上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症及び/又は関節リウマチの処置及び/又は予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置及び/又は予防のための、少なくとも一つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも一つのヒトインスリン又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0023】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0024】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0025】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0026】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0027】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0028】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロパイン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0029】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体、又は硫酸化された、例えば、上記多糖類のポリ硫酸化形体及び/又は薬学的に許容可能なその塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0030】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩、及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩の別の例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A., 1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0031】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0032】
更なる機能、改良、有用性は、図と関連した典型的な実施態様の次に示す記載から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】薬物送達デバイスの典型的な実施態様の概略の部分的側断面図を示す。
図2】用量の設定中、そのエレメントの概略的に指示する動きを有する第一の実施態様に基づく駆動機構の部分の透視断面図を概略的に示す。
図3図2の部分の詳細側面図を概略的に示す。
図4】通常操作モードにおける駆動機構の一つの実施態様の停止部材、駆動部材、回転部材及び分離部材を示す。
図5】再設定モードにおける図4の駆動機構の停止部材、駆動部材、回転部材及び分離部材を示す。
図6】通常操作モードにおける駆動機構の別の実施態様の停止部材、駆動部材、回転部材及び分離部材を示す。
図7】再設定モードにおける図6の駆動機構の停止部材、駆動部材、回転部材及び分離部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、カートリッジユニット2及び駆動ユニット3を含む薬物送達デバイス1を示す。カートリッジユニット2は、カートリッジ4を含む。薬物5は、カートリッジ4内に保持される。薬剤5は、好ましくは、液体薬剤である。カートリッジ4は、好ましくは、薬物5の複数の用量を含む。薬物5は、例えば、インスリン、ヘパリン、又は成長ホルモンを含んでもよい。カートリッジ4は、その遠位端で出口6を有する。薬物5は、出口6を通してカートリッジから投与できる。デバイス1は、ペン形デバイス、特に、ペン形注射器であってもよい。デバイス1は、使い捨て又は再使用可能デバイスであってもよい。デバイス1は、薬剤の固定用量を、又は変動可能な、好ましくは、使用者が設定可能な用量を投与するようの構成されたデバイスであり得る。デバイス1は、針を基礎とした、又は針無しのデバイスであってもよい。デバイス1は、注射デバイスであってもよい。
【0035】
薬物送達デバイス1又はその構成部材の、用語「遠位端」は、デバイス1の投与端に最も近接したデバイス又は構成部材の端部を参照し得る。薬物送達デバイス1又はその構成部材の用語「近位端」は、デバイスの投与端から最も遠く離れたデバイス又は構成部材のその端部を参照し得る。図1において、デバイス1の遠位端は、参照番号7に帰属し、及びデバイスの近位端は参照番号8に帰属する。
【0036】
出口6は、カートリッジでの保存中、外部の影響に対して薬物5を保護する膜9で覆ってもよい。薬物送達のために、膜9は、開放され、例えば、穿孔され得る。例えば、膜9は、ニードルユニット(明確に図示されていないが)で穿孔され得る。ニードルユニットは、(解放可能に)カートリッジユニット2の遠位端に取り付けられ得る。ニードルユニットは、カートリッジ4の内側から、出口6を通じてカートリッジの外側への流体連通のために提供される。
【0037】
ピストン10は、カートリッジ4内に保持される。ピストン10は、カートリッジに対して可動である。ピストン10は、カートリッジ内で薬物5をシールし得る。ピストン10は、都合よく、カートリッジの内側を近位的にシールする。遠位方向におけるカートリッジ4に対するピストン10の動きは、薬物5をデバイスの操作中、カートリッジから出口6を経由して投与させる。
【0038】
カートリッジユニット2は、更にその上、カートリッジ保持部材11を含む。カートリッジ4は、カートリッジ保持部材11内に保持される。カートリッジ保持部材11は、カートリッジ4を機械的に安定化し得る。更に、又はあるいは、カートリッジ保持部材11は、カートリッジユニット2を駆動ユニット3に取り付けるために、固定部材(明確に図示されていないが)を備えている。
【0039】
カートリッジユニット2及び駆動ユニット3は互いに固定され、好ましくは、解放可能に固定される。駆動ユニット3に解放可能に固定されるカートリッジユニット2は、例えば、一度、駆動ユニット3に取り付けられたカートリッジ内にあった薬剤の全ての用量が既に投与された場合、新しいカートリッジ4を提供することを可能とするために、駆動ユニット3から取り外されてもよい。カートリッジ保持部材11は、例えば、ネジ山を経由して駆動ユニット3に解放可能に固定され得る。
【0040】
あるいは、カートリッジ保持部材11は無くてもよい。この場合、強固なカートリッジ4を適用し、そして、カートリッジを、直接、駆動ユニット3に取り付けることは特に都合の良いことである。
【0041】
駆動ユニット3は、力を、好ましくは、使用者がかけた力を、特に好ましくは、手動でかけた力を、遠位方向にカートリッジ4に対してピストン10を変位させるために、ピストン10に伝達するように構成されている。薬剤の用量は、この方法でカートリッジから投与してもよい。送達用量のサイズは、ピストン10が遠位方向にカートリッジ4に対して変位する距離により決定し得る。
【0042】
駆動ユニット3は、駆動機構を含む。駆動機構は、ピストンロッド12を含む。ピストンロッド12は、力をピストン10に伝達するよう構成され、それにより、カートリッジ4に対して遠位方向にピストンを変位させる。ピストンロッド12の遠位端面は、ピストン10の近位端面に隣接するよう配置され得る。ベアリング部材(明確に図示されていないが)は、ピストン10を前進させるように、好ましくは、ピストン10の近位端面に隣接するように配置され得る。ベアリング部材は、ピストン10とピストンロッド12の間で配置され得る。ベアリング部材は、ピストンロッド12に対して、又は分離部材に対して固定され得る。ピストンロッド12が、デバイスの操作中、例えば、用量の送達中、回転するよう構成される場合、ベアリング部材を提供することは、特に都合のよいことである。ベアリング部材は、ハウジングに対して(回転する)ピストンロッド12と一緒に、変位し得る。ピストンロッドは、ベアリング部材に対して、回転可能であり得る。この方法に回転するピストンロッドがピストンに穴をあけ、それにより、ピストンの損傷は低減する。従って、ピストンロッドが回転し、そしてハウジングに対して変位する間、ベアリング部材は、好ましくは、変位されるだけで、即ち、回転はしない。ピストンロッド12は、ベアリング部材により隣接し得る。
【0043】
駆動ユニット3は、駆動機構の部分であり得るハウジング13を含む。ピストンロッド12は、ハウジングに保持され得る。カートリッジユニット2の近位端側14は、ハウジング13の遠位端側15で、例えば、ねじ付き連結を通して駆動ユニット3に固定し得る。ハウジング13、カートリッジ4及び/又はカートリッジ保持部材11は、管状形状を有し得る。
【0044】
用語「ハウジング」は、好ましくは、特定構成部材の近位運動を阻止するために、一方向の軸方向の連結を有し得るいかなる外部ハウジング(「主ハウジング」、「本体」、「殻」)、又は内部ハウジング(「インサート」、「内部本体」)も意味するものとする。ハウジングは、薬物送達デバイス又はいかなるその機構も、安全で、正確で、そして快適な取扱いを可能にするように設計できる。通常は、薬物送達デバイスのいかなる内部構成部材(例えば、駆動機構、カートリッジ、ピストン、ピストンロッド)も、好ましくは、液体、ちり、ごみなどの汚染物質に対する曝露を制限するために、収納し、固定し、保護し、誘導し、及び/又は、係合するよう設計される。一般的には、ハウジングは、管状又は非管状形状の一体又は多部分の構成部材であってもよい。
【0045】
用語「ピストンロッド」は、ハウジングを通して/内で、操作するように適合された構成部材を意味するものとし、それは、薬物送達デバイスを通して/内側で、好ましくは、駆動部材からピストンへ、例えば、注射可能製品を排出する/投与する目的のために、軸方向の動きを伝達するよう設計できる。前記ピストンロッドは可撓性であっても、又はなくてもよい。それは、単一ロッド、リードスクリュ、ラックアンドピニオンシステム、ウオームギアシステムなどであってもよい。「ピストンロッド」は、更に、円形、又は非円形の断面積を有する構成部材を意味するものとする。それは当業者に公知のいかなる好適な素材からでも作ることができ、そして、一体又は多部分の構造であってもよい。
【0046】
駆動ユニット3は、用量部分16を含む。用量部分16は、ハウジング13に対して可動である。用量部分16は、送達すべき薬物5の用量を設定するために、ハウジング13に対して近位方向に、そして、設定用量の送達のため、ハウジングに対して遠位方向に可動であり得る。用量部分16は、好ましくは、ハウジング13に連結される。用量部分16は、ハウジングに対して、回転運動を固定し得る。用量部分16は、ハウジング13に対して、近位端位置と遠位端位置の間で動き(変位し)得る(明確に図示されていないが)。用量部分が用量の設定中ハウジングに対して変位する距離は、用量のサイズを決定し得る。近位端位置及び遠位端位置は、ハウジングに対して、用量部分の近位又は遠位走行を制限し得る個々の停止機構で決定し得る。デバイス1は、変更可能な用量デバイス、即ち、異なった薬剤の、好ましくは、使用者が設定可能なサイズの用量を送達するよう構成されたデバイスであってもよい。あるいは、デバイスは固定用量デバイスであってもよい。
【0047】
デバイス1は、手動の、特に、非電気的駆動のデバイスであってもよい。用量部分16をハウジング13に対して遠位方向に動かす(使用者が適用した)力は、駆動機構によりピストンロッド12に伝達し得る。この目的のために、図1では明確に図示されていない駆動機構の他のエレメントが提供し得る。駆動機構は、好ましくは、用量部分が用量設定のためハウジングに対して近位方向に動くとき、ハウジング13に対してピストンロッド12を動かせないよう構成される。
【0048】
上記の薬物送達デバイス1において提供されるのに適した駆動機構の実施態様は、以下に詳細に記載される。
【0049】
上記の薬物送達デバイス1に実装するために適した駆動機構の実施態様は、以下の図面と関連して記載される。
【0050】
駆動機構は、ハウジング部分17を含む。ハウジング部分17は、近位端18及び遠位端19を有する。ハウジング部分17は、図1の(外部)ハウジング13、その部分、又はインサートが、好ましくは、ハウジング13に対する回転方向及び軸方向の動きに対して固定するハウジング13内のインサートであってもよい。ハウジング部分17は、例えば、インサートスリーブであってもよい。インサートスリーブは、例えば、ハウジング13に対して、スナップ嵌合され、又は糊付けされ得る。ハウジング部分17は、管状形体を有し得る。ハウジング部分17は、外部固定エレメント64、例えば、スナップ嵌合エレメントを、ハウジング部分17をハウジング13に固定するために含み得る。
【0051】
ピストンロッド12は、ハウジング13に、好ましくは、ハウジング部分17内に保持される。ピストンロッド12は、用量の送達中、ハウジング部分17に対して遠位方向に駆動される。
【0052】
駆動機構は、更にその上、駆動部材20を含む。駆動部材20は、ハウジング部分17内に保持される。駆動部材20は、力を伝達し、好ましくは、トルクをピストンロッド12へ伝達するように構成される。伝達された力は、ピストンロッド12を、用量の送達のために、ハウジング部分17に対して遠位方向に変位させ得る。
【0053】
駆動部材20は、ハウジング部分17に対して回転可能である。駆動部材20は、ピストンロッド12に係合し得る。駆動部材の回転運動、例えば、第二方向における回転運動は、ハウジング部分17に対してピストンロッド12の遠位運動へ転換され得る。これは、以下により詳細に説明する。
【0054】
駆動機構は、更にその上、回転部材21を含む。回転部材21は、第一の方向に、特に、薬剤の用量を設定するために、そして、第二の方向に、特に、設定用量を送達するために、ハウジング部分17に対して回転可能である。第二の方向は、第一の方向に対して反対方向である。第一の方向は、例えば、デバイスの近位端から見て、反時計方向であり、そして第二の方向は、時計方向であり得る。
【0055】
駆動部材、回転部材及び/又はピストンロッドは、好ましくは、(共通の)回転軸の周りを回転可能になるように構成される。回転軸は、駆動部材、回転部材及び/又はピストンロッドを通して伸び得る。回転軸は、ピストンロッドの主縦軸であり得る。回転軸は、ハウジング部分17の近位端と遠位端の間を動作(run)し得る。
【0056】
回転部材21は、一方向のクラッチ機構、特に、摩擦クラッチ機構により、駆動部材20と連結する。このクラッチ機構は、回転部材がハウジング部分17に対して第一の方向に回転するとき、駆動部材20に対する回転部材21の回転運動を可能にする。クラッチ機構は、回転部材がハウジング部分17に対して第二の位置に回転するとき、駆動部材20に対する回転部材21の回転運動を阻止する。駆動部材20は、その結果、ハウジング部分17に対する第二の方向に回転部材21の回転運動に従動し得る。
【0057】
駆動部材20は、回転部材と隣接し、及び/又は、係合するように配置され、そして特に、回転部材21と係合する。駆動部材20は、歯部22を含む。歯部22は、駆動部材の一端、例えば、その近位端で提供され得る。回転部材は、歯部23を含む。歯部22、23は互いに面する。歯部23は、端部が駆動部材20に、例えば、回転部材の遠位端において面する回転部材の一端で提供され得る。歯部22は、複数の歯24を含む。歯部23は、複数の歯25を含む。歯24及び/又は25は伸びてもよく、そして好ましくは、回転軸に沿って配向してもよい。歯部22及び23は、互いに嵌合するように構成され得る。回転部材及び駆動部材は、係合状態にある歯部22、23により、互いに係合し得る。
【0058】
歯24及び/又は歯25の個々の歯は、特に、回転軸から分かる通り、方位(角度)方向に沿ったランプ形(ramp-shaped)であってもよい。個々の歯のランプは、その歯の急端面、即ち、回転軸に平行に動作し、又はこの軸上に突出するときのランプより、この軸上に突出するとき回転軸との小さい角度を含む歯の面により制限される(角度方向に)。急端面は、次の歯のランプにより続いていく。
【0059】
歯24は、駆動部材20上で、特に、回転部材21に面する駆動部材20の端部において円周状に配置され得る。歯25は、回転部材21上で、特に、駆動部材20に面する回転部材21の端部において円周状に配置され得る。
【0060】
二つの歯の急端面が隣接し、そして回転部材が、更に、第二の方向に回転するとき、急側面は隣接状態になり、そして駆動部材20は、回転部材21の回転に従動する。回転部材が第一の方向に回転するとき、歯のランプ−特に回転軸に対して斜めに動作するランプ−が、互いに沿って摺動し、結果として、回転部材21は、駆動部材20に対して回転し得る。
【0061】
駆動機構は、更にその上、停止部材26を含む。駆動部材は、停止部材26と回転部材21の間に配置され得る。停止部材26は、用量の設定中、即ち、回転部材が第一方向に回転するとき、ハウジング部分17に対して第一の方向に、駆動部材20の回転運動を阻止するように構成される。それ故、回転部材21は、ハウジング部分17に対して第一の方向に回転し得て、一方、駆動部材20及び停止部材26は回転しない。
【0062】
停止部材26は、別の一方向のクラッチ機構、特に、摩擦クラッチ機構により、駆動部材20に連結する。このクラッチ機構は、回転部材21がハウジング部分17に対して第一の方向に回転するとき、停止部材26に対して駆動部材20の回転運動を阻止する。クラッチ機構は、回転部材21がハウジング部分17に対して第二の方向に回転するとき、停止部材26に対して駆動部材20の回転運動を可能にする。
【0063】
それ故、回転部材21は、用量の設定中、第一の方向に駆動部材20及び停止部材26に対して回転してもよく、駆動部材20の回転が停止部材26とのその相互作用により阻止されるので、回転部材21並びに駆動部材20は、用量の送達中、第二の方向に停止部材26に対して回転し得る。
【0064】
停止部材26は、用量の設定中、及び好ましくは、用量の送達中、駆動部材20に隣接し、及び/又は、係合するように配置され得る。停止部材26は歯部27を有する。歯部27は、駆動部材、例えば、その近位端に面する停止部材の一端で提供される。歯は、急な側面及び穏やかなランプを有するランプ形状であってもよい。歯は、停止部材に沿って、特に、停止部材の周囲に方位的に配置され得る。
【0065】
駆動部材20は、歯部28を有する。歯部28は、停止部材、例えば、駆動部材の遠位端に面する駆動部材の一端で提供され得る。歯部28の歯は、伸びてもよく、そして好ましくは、回転軸に沿って配向してもよい。駆動部材20の歯24及び歯28は、反対側に配置されている。歯24は、回転部材21の歯25に対応するように構成され得る。歯28は、停止部材26の歯27に対応するように構成され得る。歯部27及び28は、互いに面してもよい。歯部27及び28は互いに嵌合してもよい。歯部27及び28、特に、歯の急側面は、第一方向におけるハウジング部分17に対して、及び、特に、停止部材26に対して、駆動部材20の回転を阻止するために協動し、例えば、隣接する。
【0066】
停止部材26は、好ましくは、ハウジング部分17に対して、回転運動を固定し、特に好ましくは、回転運動を恒久的に固定する。停止部材26は、ハウジングに対して固定されてもよく、又はハウジング内に一体化されてもよい。停止部材26は、ハウジング部分17に対する変位を固定し得て、又はハウジング17に対する変位は可能となり得る。
【0067】
本実施態様において図示する通り、停止部材26は、ハウジングに対して変位可能であるが、ハウジング部分17に対しては回転不能である。その目的のために、一つ又は複数の、好ましくは、反対側に配置されたガイド機能、例えば、誘導ラグ29は、停止部材26に提供される。個々のガイド機能29は、ハウジングに、例えば、ハウジング部分17に提供され得る対応するガイドスロット30に係合する。これは、図2〜3において理解できる。ガイド機能29は、ハウジング部分17に対する停止部材の回転運動を阻止するためにガイドスロット30と協動し、ハウジングに対する停止部材26の軸方向の動きが可能となる。停止部材26の軸方向の動きは、操作中、駆動機構の構成部材間の遊隙を相殺し得る。
【0068】
駆動部材20、停止部材26及び回転部材21を含むグループから、一つ又はそれ以上の部材、好ましくは二つの部材又は三つの部材が、ハウジング部分17に対して、好ましくは、ピストンロッド12に対して軸方向に変位可能であり得る。その中に、駆動部材及び引用した部材の別の一つがハウジングに対して軸方向に変位可能であり得る。残りの部材は、薬物送達のため駆動機構の操作中、軸方向の変位を確実にし、又は軸方向に変位可能であり得る。その結果、駆動部材及び停止部材は軸方向に変位可能である場合、回転部材は、軸方向に変位を確実にし、又は軸方向に変位可能であり得るなどである。ハウジングに対してクラッチ機構の構成部材の相対的(軸方向)運動により発生する構成部材間の遊隙は、この方法により相殺できる。個々の構成部材がハウジングに対して軸方向に変位し得る距離は、駆動部材の個々の歯部22又は28の歯の(最大)深さに対応し得る。あるいは、距離は、個々の歯部の歯の(最大)深さより大きいかもしれない。
【0069】
更にその上、駆動機構は、弾力部材31、好ましくは、スプリング部材を含む。弾力部材31は、駆動機構の薬物送達操作中に付勢され得る。弾力部材は、停止部材26及び/又は回転部材21との係合において、駆動部材20を維持する傾向にある力を提供し得る。力は、回転軸に沿ってかけられ得る。図2及び3で示す状況において、この力は、近位方向にかけられ得る。弾力部材31は、らせん状(コイル状)スプリングであってもよい。弾力部材31は、圧縮スプリングであってもよい。
【0070】
弾力部材31は、駆動部材20及び停止部材26を、薬剤の用量の設定及び送達中、互いに(恒久的に)機械的接触下で、例えば、隣接下で維持し得る。あるいは、又は、更に、弾力部材31は、駆動部材20及び回転部材26を、薬剤の用量の設定及び送達中、互いに(恒久的に)機械的接触下で、好ましくは、隣接下で維持し得る。
【0071】
弾力部材31は、停止部材26内に一体化されてもよく、又は分離した構成部材であってもよい。弾力部材31は、停止部材26の遠位端側に配置され得る。
【0072】
駆動機構は、更に、支持部材32を含む。支持部材32は、ハウジング部分17に対する軸方向及び回転方向の動きを都合よく固定し、又はハウジング部分17内に組み込まれる。支持部材32は、停止部材26から離れた駆動部材20の側面に配置される。支持部材32は、突出部、例えば、リング状の突出部であってもよい。回転部材21は、支持部材32における開口部を通して伸びてもよい。支持部材32は、弾力部材31によりかけられる力に対する反力を提供し得る。薬剤の設定及び送達中、回転部材の駆動部材との、及び駆動部材の停止部材との恒久的隣接は、この方法で容易になる。
【0073】
回転部材21は、(半径方向に)外側に突出する部材33、例えば、フランジ部分を有する。突出部材33は、都合よく、隣接支持部材32、特に、支持部材32の遠位端側に提供される。
【0074】
駆動機構は、更にその上、用量部材34を含む。用量部材34は、用量部分16であってもよく、又は図1の用量部分16の部分であってもよい。用量部材34は、用量の設定及び用量の送達のために近位方向に、ハウジングに対して可動である。例えば、用量部材34は、用量の設定中、ハウジング部分17に対して近位方向に、そして用量送達中、ハウジング部分17に対して遠位方向に動き得る。用量部材34は、ハウジング部分17、又は、あるいは、ハウジング13の別部分(明確に図示されていない)に係合し得る。用量部材34は、好ましくは、ハウジング部分17に対する回転運動を確実にする。用量部材34は、ガイド機能35、例えば、ハウジング部分17又はハウジング13において提供される別のガイド機能、例えば、ガイドスロット又は誘導ラグとそれぞれ係合する誘導ラグ又はガイドスロットを含み得る。用量部材34は、ハウジング部分17に対して、好ましくは、軸方向のみに沿って、及び/又は、回転軸の周囲を回転方向に変位し得る。
【0075】
用量部材34は、回転部材21に対して、近位方向に及び遠位方向に動き得る。用量部材34は、連結可能に配置され、そして好ましくは、用量部分の運き、例えば、薬剤の用量設定のために、ハウジング部分17に対する近位方向での運きが、第一方向の回転部材の回転運動に転換され、そして、用量部分の運き、例えば、用量の送達のために、ハウジング部分17に対して遠位方向での用量部分の運きが、第一の方向に反対側の第二の方向における回転部材21の回転運動に転換されるように、回転部材21に(恒久的に)連結される。
【0076】
回転部材21は、(外部)ねじ山36を備え得る。ねじ山36は、用量部材34の一つ又は複数の係合部材42と係合し得る。個々の係合部材は、用量部分の内側に配置され得る。個々の係合部材は、例えば、ねじ山又はねじ山の部分であってもよい。それ故、用量部材34及び回転部材21は、ねじ付き連結され、特に、ねじ付き係合され得る。回転部材21は、用量部分21の内側に配置され得る。
【0077】
回転部材21、駆動部材20、停止部材26及び/又は用量部材34は、それぞれスリーブであってもよく、又はスリーブを含んでもよい。ピストンロッド12は、駆動するように配置され、特に、一つ、それ以上、又は全てのこれらスリーブを通して駆動するように配置され得る。ピストンロッド12は、一つ、それ以上、又は全てのこれらスリーブを通して動作し得る。
【0078】
駆動部材20及びピストンロッド12は、ハウジングに対する駆動部材20の回転運動がハウジングに対するピストンロッドの回転運動に転換されるように構成される。駆動部材20は、ピストンロッド12に係合し得る。ピストンロッド12は、変位軸に沿って、駆動部材20に対して変位可能である。今、変位軸は回転軸に沿って延接する。駆動部材20は、例えば、ピストンロッド12にスプライン結合されてもよい。
【0079】
ピストンロッド12は、ハウジング13にねじ付き連結され、そして係合部材37を、好ましくは、外側に二つの反対方向に配置された係合トラックを含み得る。(個々の)係合トラック37は、ねじ山を遮断してもよい。ピストンロッドがハウジングに対して、特に、駆動部材に対して変位可能である(個々の)係合トラック37は、好ましくは、軸に沿って伸びる。
【0080】
駆動部材20のハウジングに対する回転運動は、その結果、ハウジングに対するピストンロッド12の回転運動に転換されてもよく、そして、ピストンロッド12の回転運動は、ピストンロッドとハウジング(部分)のねじ付き係合のために、遠位方向におけるハウジングに対するピストンロッドの動きに転換される。
【0081】
用量部分16は、使用者により握られるように構成され得る用量ノブを含んでもよい。用量ノブ41は、近位端において用量部材34に配置され、及び連結され得る。用量ノブ及び用量部分は、一体であってもよい。
【0082】
次の通り、図1のカートリッジ4から薬物を送達するための本発明の駆動機構の操作が記載される。
【0083】
用量を設定するために、使用者は、ハウジング部分17に対して近位方向に(矢印43)用量部材34を動かし得る。それを行うために、使用者は、用量ノブを握り、そしてそれを近位方向に引いてもよい。用量部材34は、また、回転部材21に対して近位的に動く。回転部材の近位運動は、回転部材21の突出部材33に隣接する支持部材32により阻止される。結果として、ハウジング部分17に対する用量部材34の近位運動は、ハウジング部分17に対する第一の方向(矢印44)において、特に、用量部材34と回転部材21のねじ付き係合のために、回転部材21の回転運動に転換される。それ故、回転部材21は、ハウジングに対して第一の方向に回転し、それは、回転部材21の近位端から分かる通り、反時計方向である。回転部材21は、また、駆動部材20及び停止部材26に対して回転する。駆動部材20は、第一の方向に、停止部材26との相互作用により、例えば、歯部27及び28のインターロッキングにより回転が阻止される。ピストンロッド12が駆動部材20に連結し、そして駆動部材の第一方向における回転が、ピストンロッドを近位方向に走行させることになるので、ピストンロッド12は、停止部材26と駆動部材20の相互作用により、近位方向における駆動を阻止される。用量の設定中、ピストンロッド12の動きを阻止することにより、用量の精度は向上できる。
【0084】
回転部材21が第一の方向に回転するとき、回転部材21の歯部23の歯のランプは、歯部22の歯のランプに沿って摺動する。従って、回転部材の歯は、歯が駆動部材20の歯部22の次の歯の一つに係合するまで、回転軸の周囲に索引を付けてもよい。回転部材21の歯は、駆動部材20の歯のランプに沿って摺動する。この動きの間、駆動部材20、及び、特に、停止部材26は、ピストンロッド12及びハウジングに対して、好ましくは、歯部23の歯が歯部22のその歯と係合を解除する前に、歯部22の歯の深さと同等に決定される距離により回転軸に沿って変位する。その後、回転部材21の歯は、歯部22の次の歯と係合し、弾力部材31により提供される力は、駆動部材20、及び、特に、停止部材26を、軸の開始位置内へ回転軸に沿って後退させる。
【0085】
駆動部材の次の歯と係合する回転部材の歯は、使用者に聴覚的及び/又は触覚的フィードバックをもたらし得る。
【0086】
駆動機構は、固定用量デバイスに、又は使用者が設定可能な用量デバイスに好適である。送達すべき薬剤の固定用量のサイズ又は使用者により設定可能な用量が使用者により変動させ得る増分は、好ましくは、駆動部材、回転部材及び停止部材における個々の歯部の歯の分布により決定される。回転部材は、使用者が設定可能な用量デバイス用の駆動部材の一つの歯(用量増分)より多く回転し、そして固定用量用の一つの歯(のみ)で回転し得る。用量の設定中、回転部材21が回転する駆動部材20の歯の数は、実際に送達される用量のサイズを決定する。
【0087】
用量が設定された後、用量部分16及びそれと一緒に、用量部材34は、使用者によりハウジング部分17に対して遠位方向に動かす(押す)。それ故、用量部材34は、ハウジング部分17に対して遠位方向に動く。回転部材21は、その結果、ハウジングに対して第一の方向とは逆方向である第二の方向に回転する。駆動部材20は、第二の方向で回転部材の回転運動に従動する。第二の方向における駆動部材20の回転運動は、第二の方向におけるピストンロッド12の回転運動に転換され、その動きが、順に、遠位方向におけるピストンロッド12の動きに転換される。結果的に、図1のピストン10は、カートリッジ4に対して遠位方向に変位し得て、そして薬剤5の用量は、以前に設定した用量に対応するその量をカートリッジから投与する。
【0088】
用量の送達中、歯部22及び23は、インターロックし、そして駆動部材20の歯部28のランプは、停止部材26の歯部27の歯のランプに沿って摺動する。この動きは、上記の通り、回転部材及び回転方向が逆の駆動部材の相対的回転運動に類似している。停止部材26は、それにより、停止部材26の歯部27の歯の深さに対応する距離で、駆動部材20に対して遠位方向に変位する。弾力部材28は、歯部28の次の歯28が歯部27の個々の歯により係合するとき、停止部材26を軸方向の開始位置へ逆方向に力をかける。
【0089】
停止部材の次の歯に係合する駆動部材の歯は、聴覚的及び/又は触覚的フィードバックを使用者にもたらし得る。
【0090】
通常の作状態において、上記の設定及び送達操作を可能とする停止部材、駆動部材及び回転部材は連結される。再設定状態において、停止部材、駆動部材及び回転部材は、連結を解除される。駆動部材は、ハウジング17に対して軸方向に可動な分離部材70を用いてこれらのモードの間で切り替えられる。
【0091】
駆動機構を再設定するために、ピストンロッド12は、遠位方向でハウジング内に後退させなければならない。これは、駆動機構が係合するときは不可能である。ピストンロッド12は、ハウジングに対してねじ付き係合を通して回転する必要がある。駆動部材20は、ピストンロッド12にスプライン結合され、また回転するであろう。停止部材26は、駆動部材20の回転を停止させ、一方歯部27、28は係合する。
【0092】
ピストン12は、駆動機構が係合を解除されるとき、近位方向に戻ることができる。駆動機構20は、この動きを停止する他の構成部材がないとき、回転が自由になる。他の構成部材が含まれる場合、ナンバースリーブ(図示されていない)は、駆動部材20に、直接、スプライン結合され得る。ナンバースリーブは、ハウジングに固定されるナンバースリーブねじ山に延接され得る。ナンバースリーブは、常に、ピストンロッド12が存在する用量位置を登録する。用量部分及び回転部材26は、回転部材26が固定用量デバイス用の一つの歯のみにより、及び変更可能な用量デバイス用の一つより多くの歯により回転し得るように互いに適合し得る。そのような用量カウンタが導入でき、そして番号がピストンロッド位置を登録し、そして残された用量数を指示する。
【0093】
図4は、通常操作モードにおける停止部材26、駆動部材20、回転部材21及び分離部材70の詳細図を示す。
【0094】
駆動機構のこの実施態様は、ボタン71と連結する分離部材70を含む。分離部材70は、ハウジング17の内側に位置し、ボタン71はハウジング17において穴又は溝80を通して伸びていく。分離部材70は、ボタン71の軸方向の動きにより軸方向に可動である。
【0095】
分離部材70は、駆動部材20における溝72と係合する第一の突出部74を含む。第一の突出部74は、溝72において軸方向に可動である。第二の突出部75は停止部材26においてキャビティ73に係合する。停止部材26に対する第二の突出部75の走行は、駆動部材20に対する第一の突出部74の走行より少ない。好ましくは、キャビティ73は、第二の突出部75の軸方向の動きを不可能とし、又は僅かばかりの動きのみ可能とする。溝72及びキャビティ73は、円周状に形成され、それはボタン71に対して停止部材26及び駆動部材20の回転運動を可能にする。
【0096】
通常の操作状態において、第一の突出部74は、溝72の遠位端から離れて位置する。駆動機構は、ハウジング17に対して遠位端において、ボタン71を動かすことにより、再設定状態に切り替えられ、それにより、分離部材70を遠位的に移動させる。第一の突出部74は、再設定状態に切り替えるとき、溝72の遠位端に向かって動き、それにより停止部材26を駆動部材20から遠位的に離れて動かす。既にこの状態において、用量は、キャンセルされ得る。何故ならば、停止及び駆動部材26、20の歯部27、28が係合を解除されるからである。
【0097】
図5は、再設定モードにおける停止部材26、駆動部材20、回転部材21及び分離部材70の詳細図を示す。
【0098】
第一の突出部74が溝72の遠位端に到達し、そして分離部材70は、更に、ハウジング17に対して遠位方向に動くとき、駆動部材20は、ハウジング17に対して遠位方向に動き、それにより、駆動部材20を回転部材21からデカップルする。
【0099】
一つの実施態様において、駆動機構の係合と係合の解除を制御するための(図示されていない)ボタン71は、回転ができないが、軸方向に摺動できる回転部材26に取り付けられる。ボタン71は、ハウジング17におけるスロット内に延接する。ボタン71の第一の位置において、スプリングロックは、遠位方向に駆動機構を一緒に圧縮する。停止部材26は、回転部材21に対して押し付ける駆動部材20に対して押し付ける。
【0100】
駆動機構は、ボタン71が遠位方向に動くとき、再設定状態に切り替えられる。ボタン71は、第二の位置における正の位置内にボタン71を係合するラチェットを有してもよい。ボタン71が遠位的に移動したとき、停止及び駆動部材26、21の歯部27、28は、係合を解除する。スプリングロックは、駆動部材20を回転部材から離れることを強いる。この状態において、用量ボタンは引き出し、及び押し込むことができ、そして、歯部27、28が係合を解除するとき、機構は駆動部材を駆動させないであろう。これはキャンセル位置として使用できるであろう。
【0101】
ボタン71が、更に、遠位方向で第三の位置に移動したとき、回転部材は、ハウジングにおける停止部材に対して動く。全ての歯部27、28;22、23は分離される。駆動機構は係合を解除される。デバイス内にあるスプリングは、それらは必要に応じて機構を分離するために正しい力を与え、そして、また、デバイスの使用と寿命の全範囲を通して正しい機能を保持する。分離距離は、ハウジング17内の機能により制御し得る。ボタン71は、三つの位置の一つにそれを位置付けることにより機構分離を制御する。
【0102】
駆動機構を有する実施態様の通常操作モードにおける停止部材26、駆動部材20、回転部材21及び分離部材70の詳細図を示す図6に戻って、カートリッジホルダを取り付け、及び取り外すことにより操作状態間を切り替えられる。
【0103】
分離部材70は、駆動部材において円周状の溝72と係合する第一の突出部74を含む。第一の突出部74は、溝72において軸方向に可動である。第二の突出部75は、停止部材26において円周状のキャビティと係合する。
【0104】
第一の弾力部材78、例えば、スプリングは、停止部材26と第一の弾力部材78の遠位運動を停止するハウジング突出部77の間で提供される。第一の弾力部材は、図3で示す弾力部材31であってもよい。スプリング力は、駆動部材20に向かって停止部材26を押し、それにより、停止部材26、駆動部材20及び回転部材21を連結する。
【0105】
第二の弾力部材79、例えば、スプリングが、ハウジング突出部77とハウジング突出部77より遠位的に位置する分離部材70の第三の突出部76の間で提供される。第二の弾力部材79が緩和されるとき、分離部材70は、ハウジング17に対して遠位的に動き、それにより、停止、駆動、及び回転部材26、20、21を回転しながら係合を解除する。
【0106】
通常操作モードにおいて、分離部材70は、カートリッジホルダの部分81(図6及び7に全体が示されていないが)により、又はカートリッジホルダの取り付けにより遠位的に押されるデバイスの別のエレメントにより、第一の位置へ押される。第一の突出部74は、溝72の遠位端から離れて位置する。第二の弾力部材79は、取り付けられたカートリッジホルダにより圧縮される。
【0107】
カートリッジホルダが取り付けられるとき、第一の弾力部材78は、遠位方向に力を加える。これは、回転できないが、軸方向に摺動できる回転部材26を解放する。駆動機構は、遠位方向に共に圧着される。停止部材26は、回転部材21に対して力を加える駆動部材20に対して力を加える。
【0108】
図7はカートリッジホルダを取り外した後の駆動機構を示す。カートリッジホルダを取り外すことは、第二の弾力部材79の緩和を発生させ、それにより、ハウジング17に対して分離部材70を遠位的に動かせる。第一の弾力部材78は、第二の弾力部材79が緩和されるとき圧縮される。第一の突出部74は、再設定状態に切り替えるとき、溝72の遠位端に向かって動き、それにより、停止部材26を駆動部材20から離れて遠位的に動かせる。分離部材70が、更に、ハウジング17に対して遠位方向に動くとき、駆動部材20は、ハウジング17に対して遠位方向に動き、それにより、駆動部材20及び回転部材21をデカップルする。分離部材70の遠位運動は、ハウジング17の更なる突出部82により停止してもよい。
【0109】
カートリッジホルダが除去されるとき、第一の弾力部材78は、近位方向に停止部材26から離れて力を加えられ、そして第二の弾力部材79が伸びていく。第二の弾力部材79は、停止部材26を近位方向に引く。一つの実施態様において、ハウジングは、回転部材26の遠位運動を停止する突出部を含む(図6及び7では図示されていない)。分離部材70は、摺動クリップ保持機能として役立つ。これは、同時に、第二の弾力部材79が駆動部材20に回転部材21から力を加えるとき、歯部27、28;22、23を分離する。一つの実施態様において、ハウジングは、駆動部材20(図6及び7で図示されていない)の遠位運動を停止する突出部を含む。歯部27、28;22、23が分離されるとき、駆動機構は、係合を解除する。デバイスに存在する弾力部材78、79は、それらは必要に応じて、機構を分離するために正しい力を与え、そして必要に応じて、デバイスの使用及び寿命の全範囲を通して正しい機能を維持するように、サイズを決める。分離距離は、ハウジング17における機能により、及び/又は、駆動部材70の突出部74、75、76の配置及び互いの距離により制御される。分離距離は、投与中及びデバイス寿命の再設定中、正しい機能を可能とするものである。
【0110】
図4及び5と関連して記載された上記のボタンは、更に導入され、そして用量設定のキャンセル操作のために使用できる。
【0111】
実施態様の機能は、組み合わせることができることを記載している。
【0112】
参照番号:
1:薬物送達デバイス;
2:カートリッジユニット;
3:駆動ユニット;
4:カートリッジ;
5:薬物;
6:出口;
7:デバイスの遠位端;
8:デバイスの近位端;
9:膜;
10:ピストン;
11:カートリッジ保持部材;
12:ピストンロッド;
13:ハウジング;
14:カートリッジユニットの近位端;
15:ハウジングの遠位端;
16:用量部分;
17:ハウジング部分;
18:ハウジング部分の近位端;
19:ハウジング部分の遠位端;
20:駆動部材;
21:回転部材;
22:歯部;
23:歯部;
24:歯;
25:歯;
26:停止部材;
27:歯部;
28:歯部;
29:ガイド機能;
30:ガイドスロット;
31:弾力部材;
32:支持部材;
33:突出部材;
34:用量部材;
35:ガイド機能;
36:ねじ山;
37:係合トラック;
41:用量ノブ;
42:係合部材;
43、44、45、47:矢印;
70:分離部材;
71:ボタン:
72:溝;
73:キャビティ;
74:第一の突出部;
75:第二の突出部;
76:第三の突出部;
77:ハウジング突出部;
78:第一の弾力部材;
79:第二の弾力部材;
80:溝;
81:カートリッジホルダの部分;
82:更なる突出部;
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7