特許第5851512号(P5851512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851512
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】薬剤情報管理装置及び薬剤情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/24 20120101AFI20160114BHJP
【FI】
   G06Q50/24 130
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-534603(P2013-534603)
(86)(22)【出願日】2012年9月20日
(86)【国際出願番号】JP2012005989
(87)【国際公開番号】WO2013042370
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2014年8月15日
(31)【優先権主張番号】特願2011-207729(P2011-207729)
(32)【優先日】2011年9月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(72)【発明者】
【氏名】淺間 弘一郎
(72)【発明者】
【氏名】塔野岡 寛子
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−252305(JP,A)
【文献】 特開2001−126002(JP,A)
【文献】 特表2007−518479(JP,A)
【文献】 特表2007−520792(JP,A)
【文献】 特表2007−525256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器で使用する薬剤の対象者に対する複数の投与程度情報における実際の前記薬剤の投与回数情報である投与程度情報関連投与回数情報を生成及び記憶し、
前記薬剤の薬剤情報の使用を前記投与程度情報との関連で制限する制限情報である薬剤制限情報を記憶する薬剤制限情報記憶部を有し、
前記薬剤を前記投与程度情報で実際に使用した場合に発生した不具合情報を、当該薬剤情報及び当該投与程度情報と関連付けて記憶し、
前記不具合情報の回数情報と、前記投与程度情報関連投与回数情報に基づいて、投与回数及び程度関連不具合回数程度情報を生成及び記憶し、
少なくとも、前記投与回数及び程度関連不具合回数程度情報、薬剤制限情報を、前記投与程度情報関連投与回数情報と関連性ある情報として示すことを内容とする薬剤分析情報を生成し、
この薬剤分析情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっていることを特徴とする薬剤情報管理装置。
【請求項2】
前記薬剤情報の基準となる投与程度情報である基準投与程度情報を記憶する基準投与程度情報記憶部を有し、
前記基準投与程度情報が前記投与程度情報関連投与回数情報と関連性ある情報として前記薬剤分析情報に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤情報管理装置。
【請求項3】
前記薬剤分析情報に基づいて、前記薬剤制限情報の変更を提案する薬剤制限変更提案情報を生成し、この薬剤制限変更提案情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薬剤情報管理装置。
【請求項4】
前記薬剤分析情報に基づいて、基準投与程度情報の変更を提案する基準投与程度変更提案情報を生成し、この基準投与程度変更提案情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の薬剤情報管理装置。
【請求項5】
前記薬剤分析情報に基づいて、前記薬剤制限情報を変更する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の薬剤情報管理装置。
【請求項6】
前記薬剤分析情報に基づいて、基準投与程度情報を変更する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の薬剤情報管理装置。
【請求項7】
医療機器で使用する薬剤の対象者に対する複数の投与程度情報における実際の前記薬剤の投与回数情報である投与程度情報関連投与回数情報を生成及び記憶し、
前記薬剤の薬剤情報の使用を前記投与程度情報との関連で制限する制限情報である薬剤制限情報を記憶する薬剤制限情報記憶部を有し、
前記薬剤情報を前記投与程度情報で実際に使用した場合に発生した不具合情報を、当該薬剤情報及び当該投与程度情報と関連付けて記憶し、
前記不具合情報の回数情報と、前記投与程度情報関連投与回数情報に基づいて、投与回数及び程度関連不具合回数程度情報を生成及び記憶し、
少なくとも、前記投与回数及び程度関連不具合回数程度情報、薬剤制限情報を、前記投与程度情報関連投与回数情報と関連性ある情報として示すことを内容とする薬剤分析情報を生成し、
この薬剤分析情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっていることを特徴とする薬剤情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、輸液ポンプ等の医療機器に使用する薬剤の使用情報等の薬剤情報を管理する薬剤情報管理装置及び薬剤情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院等で使用される輸液ポンプ等の医療機器で用いられる薬剤には、その使用方法によっては何らかの問題等が生じるおそれがあるため、例えば、薬剤の投与量等に制限等を加える場合があった。
また、このように制限が加えられている薬剤を使用するときは、予め薬剤情報に制限(リミット)定めておき、投与されている薬剤の投与量等を基準に設定範囲内外を判断し、設定範囲外の場合は、警報等を発する構成としていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2004/072828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように一律的に定めた薬剤の使用制限(リミット)は、ある時期において、最適と判断したものであり、その後の医療等の進歩等ともない、必ずしも正しいとは限らなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、医療機器等で使用する薬剤の使用制限等の情報のCQI(Continuous Quality Improvement)(継続的な質改善)を可能にする薬剤情報管理装置及び薬剤情報管理方法を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、医療機器で使用する薬剤の対象者に対する複数の投与程度情報における実際の前記薬剤の投与回数情報である投与程度情報関連投与回数情報を生成及び記憶し、前記薬剤の薬剤情報の使用を前記投与程度情報との関連で制限する制限情報である薬剤制限情報を記憶する薬剤制限情報記憶部を有し、前記薬剤を前記投与程度情報で実際に使用した場合に発生した不具合情報を、当該薬剤情報及び当該投与程度情報と関連付けて記憶し、前記不具合情報の回数情報と、前記投与程度情報関連投与回数情報に基づいて、投与回数及び程度関連不具合回数程度情報を生成及び記憶し、少なくとも、前記投与回数及び程度関連不具合回数程度情報、薬剤制限情報を、前記投与程度情報関連投与回数情報と関連性ある情報として示すことを内容とする薬剤分析情報を生成し、この薬剤分析情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっていることを特徴とする薬剤情報管理装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、投与回数及び程度関連不具合回数程度情報、薬剤制限情報を、投与程度情報関連投与回数情報と関連性ある情報として示すことを内容とする薬剤分析情報を生成し、この薬剤分析情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっている。
この投与回数及び程度関連不具合回数程度情報は、不具合情報(例えば、アラート有無等)の回数情報と、投与程度情報関連投与回数情報(例えば、薬剤の投与速度別の送液回数データ)に基づいて生成されるので、例えば、当該薬剤の投与速度別の送液回数に対するアラートの発生頻度等の情報となっている。
また、薬剤制限情報は、薬剤の薬剤情報の使用を投与程度情報(例えば、当該薬剤の投与速度)との関連で制限する制限情報(例えば、ソフトリミット(使用によりアラートが出力)、ハードリミット(使用によりアラート出力と動作中止))の範囲を定める情報となっている。
【0008】
一方、投与程度情報関連投与回数情報は、薬剤情報の各投与程度情報(例えば、投与速度データ等)おける実際の薬剤情報の投与回数情報(例えば、薬剤の送液回数)である。
したがって、表示部に示された薬剤分析情報を視認した医師等は、例えば、投与速度データ毎のアラートの発生頻度を迅速に把握できると共に、同時に、当該投与速度に基づく薬剤制限情報(ソフトリミット、ハードリミット)の現在の範囲も把握することができる。
そして、例えば、投与速度データ毎のアラートの発生頻度と、薬剤制限情報である例えば、ソフトリミットやハードリミット等の範囲を表示部の画面で同時に比較することで、速やかに当該薬剤制限情報の適否等を判断することができる。
これにより、前記構成の薬剤情報管理装置を用いることで、医療機器等で使用する薬剤の使用制限等の情報のCQI(Continuous Quality Improvement)(継続的な質改善)を実行することができる。
【0009】
好ましくは、前記薬剤情報の基準となる投与程度情報である基準投与程度情報を記憶する基準投与程度情報記憶部を有し、前記基準投与程度情報が前記投与程度情報関連投与回数情報と関連性ある情報として前記薬剤分析情報に含まれていることを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、薬剤情報の基準となる投与程度情報である基準投与程度情報を記憶する基準投与程度情報記憶部を有し、基準投与程度情報が投与程度情報関連投与回数情報と関連性ある情報として薬剤分析情報に含まれている。
このため、表示部で、薬剤分析情報を視認した医師等は、基準投与程度情報と投与程度情報関連投与回数情報とを画面で同時に比較することができるので、速やかに当該基準投与程度情報の適否等を判断することができる。
【0011】
好ましくは、前記薬剤分析情報に基づいて、前記薬剤制限情報の変更を提案する薬剤制限変更提案情報を生成し、この薬剤制限変更提案情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっていることを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、薬剤分析情報に基づいて、薬剤制限情報の変更を提案する薬剤制限変更提案情報を生成し、この薬剤制限変更提案情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっている。
このため、表示部で薬剤制限変更提案情報を視認した医師等は、速やかに当該薬剤制限情報の変更方法等を知ることができる。したがって、その薬剤制限情報をより好ましい情報に更新することができ、医療機器等で使用する薬剤の使用制限等の情報のCQI(Continuous Quality Improvement)(継続的な質改善)を実行することができる。
【0013】
好ましくは、前記薬剤分析情報に基づいて、基準投与程度情報の変更を提案する基準投与程度変更提案情報を生成し、この基準投与程度変更提案情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっていることを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、薬剤分析情報に基づいて、基準投与程度情報の変更を提案する基準投与程度変更提案情報を生成し、この基準投与程度変更提案情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっている。
このため、表示部で基準投与程度変更提案情報を視認した医師等は、速やかに当該基準投与程度情報の変更方法等を知ることができる。
したがって、その基準投与程度情報をより好ましい情報に更新することができ、医療機器等で使用する薬剤の基準投与程度情報等の情報のCQI(Continuous Quality Improvement)(継続的な質改善)を実行することができる。
【0015】
好ましくは、前記薬剤分析情報に基づいて、前記薬剤制限情報を変更する構成となっていることを特徴とする。
【0016】
前記構成によれば、薬剤分析情報に基づいて、前記薬剤制限情報を変更する構成となっている。このため、薬剤制限情報をより好ましい情報に更新することができ、医療機器等で使用する薬剤の使用制限等の情報のCQI(Continuous Quality Improvement)(継続的な質改善)を実行することができる。
【0017】
好ましくは、前記薬剤分析情報に基づいて、基準投与程度情報を変更する構成となっていることを特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、薬剤分析情報に基づいて、基準投与程度情報を変更する構成となっている。このため、基準投与程度情報をより好ましい情報に更新することができ、医療機器等で使用する薬剤の基準投与程度情報等の情報のCQI(Continuous Quality Improvement)(継続的な質改善)を実行することができる。
【0019】
上記目的は、本発明にあっては、医療機器で使用する薬剤の対象者に対する複数の投与程度情報における実際の前記薬剤の投与回数情報である投与程度情報関連投与回数情報を生成及び記憶し、前記薬剤の薬剤情報の使用を前記投与程度情報との関連で制限する制限情報である薬剤制限情報を記憶する薬剤制限情報記憶部を有し、前記薬剤情報を前記投与程度情報で実際に使用した場合に発生した不具合情報を、当該薬剤情報及び当該投与程度情報と関連付けて記憶し、前記不具合情報の回数情報と、前記投与程度情報関連投与回数情報に基づいて、投与回数及び程度関連不具合回数程度情報を生成及び記憶し、少なくとも、前記投与回数及び程度関連不具合回数程度情報、薬剤制限情報を、前記投与程度情報関連投与回数情報と関連性ある情報として示すことを内容とする薬剤分析情報を生成し、この薬剤分析情報を対象者側端末の表示部に表示する構成となっていることを特徴とする薬剤情報管理方法により達成される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、医療機器等で使用する薬剤の使用制限等の情報のCQI(Continuous Quality Improvement)(継続的な質改善)を可能にする薬剤情報管理装置及び薬剤情報管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の薬剤情報管理装置である例えば、管理サーバを備える第1の実施の形態に係るポンプCQIシステムを示す概略図である。
図2図1の輸液ポンプの主な構成を示す概略ブロック図である。
図3図1の管理サーバの主な構成を示す概略図である。
図4図3の各種記憶部の内容を示す概略ブロック図である。
図5】本実施の形態にかかるCQIシステムの主な動作等を示す概略フローチャートである。
図6】本実施の形態にかかるCQIシステムの主な動作等を示す他の概略フローチャートである。
図7図4のポンプデータ記憶部に記憶されたポンプデータを示す概略説明図である。
図8図4の各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部内の各薬剤ソフト・ハードリミット等データを示す概略説明図である。
図9】薬剤ライブラリ別分析データである例えば、薬剤ライブラリ分析グラフを示すグラフである。
図10】本発明の第2の実施の形態にかかる管理サーバの主な構成を示す概略ブロック図である。
図11】本実施の形態にかかるCQIシステムの管理サーバの主な動作等を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の薬剤情報管理装置である例えば、管理サーバ10を備える第1の実施の形態に係るポンプCQI(Continuous Quality Improvement)(継続的な質改善)システム1を示す概略図である。
ポンプCQIシステム1は、図1に示すように、病院内のICU(集中治療室)、OPE(手術室)、CCU(冠状動脈疾患集中治療病棟),Clinic(外来)、General Ward(一般病棟)等に配置される輸液ポンプ2a乃至2e等を有している。
この輸液ポンプ2a等は、薬剤等を患者に正確に投与するため点滴等の器具と共に使用する医療機器である。
なお、本実施の形態では、輸液ポンプ2a等を用いて説明しているが、本発明の医療機
器としては、輸液ポンプ2a等の他、シリンジポンプ等であっても構わない。
【0024】
これら輸液ポンプ2a等は、図1に示すように、管理サーバ10と通信可能に接続されていると共に、医師等の医局等に配置される医局端末3a乃至3c等とも通信可能に接続されている。
なお、医局端末3a等には、それぞれ表示部である例えば、端末側ディスプレイ4a乃至4cが形成されている。
なお、本実施の形態では、説明の便宜のため、図1に示すように、輸液ポンプ2等が直接、管理サーバ10に接続される例を示したが、本発明は、それに限らず、各輸液ポンプ2a等が、輸液ポンプ2a等を管理する「ポンプ−通信用ソフト(ゲートウェイ端末)」を介して、管理サーバと接続される構成としてもよい。この場合は、本実施の形態の管理サーバ10の機能を「ポンプ−通信用ソフト(ゲートウェイ端末)」と「管理サーバ」で分担することになる。
【0025】
本実施の形態のポンプCQIシステム1は、輸液ポンプ2a等に関する継続的な医療の質改善を進めるためのシステムであって、輸液ポンプ2a等から収集した稼働履歴(ポンプヒストリ)から薬剤等の使用状況等を分析し、輸液ポンプ2a等の使用方法や薬剤ライブラリ(薬剤の投与制限等のデータ等)の内容の改善を図るシステムである。
【0026】
図1に示す、輸液ポンプ2a等、管理サーバ10及び医局端末4a等は、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、バスを介して接続されている。
【0027】
図2は、図1の輸液ポンプ2a等の主な構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、輸液ポンプ2a等は、ポンプ制御部120を有し、点滴等の薬剤、例えば、薬液を患者に所定の投与速度(投与程度情報の一例)で投与する動作を実行するポンプ本体部121や、輸液ポンプ2a等の薬液の投与中に閉塞等が発生した場合、その事実を検知するセンサー等を備える閉塞検知装置122を有している。
また、輸液ポンプ2a等は、輸液ポンプ2a等の閉塞等が閉塞検知装置122で検知した場合に、その異常を報知するアラート(警報)装置123(不具合情報の一例)と、時計等であるポンプ側計時装置124、そして、輸液ポンプ2a等が管理サーバ10等と通信するためのポンプ側通信装置125を有している。
これらポンプ本体部121等は、図1に示すようにポンプ制御部120と接続され、制御されている。
なお、ポンプ制御部120には、図1に示すように「ポンプ履歴データ記憶部」も接続されているが、この構成については、後述する。
【0028】
図3は、図1の管理サーバ10の主な構成を示す概略図である。
図3に示すように、管理サーバ10は、管理サーバ制御部11を有し、各種データを表示する表示部である例えば、管理サーバ側ディスプレイ12、各種データを入力する管理サーバ側入力装置13、管理サーバ10が輸液ポンプ2a等や医局端末3a等と通信するための管理サーバ側通信装置14及び時計等である管理サーバ側計時装置15等を有している。
これら管理サーバ側ディスプレイ12等は、管理サーバ制御部11と接続され、制御されている。また、図3に示すように、管理サーバ制御部11は、各種記憶部40や各種処理部(プログラム)も制御する構成となっている。これら各種記憶部40や各種処理部(プログラム)の内容については後述する。なお、図4は、図3の各種記憶部40の内容を示す概略ブロック図であるが、これについても後述する。
【0029】
図5乃至図6は、本実施の形態にかかるCQIシステム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。以下、本実施の形態を図5及び図6のフローチャートに沿って説明すると共に、図1乃至図4の構成についても説明する。
【0030】
先ず、図5のステップ(以下「ST」という)1では、図1の輸液ポンプ2a等の電源スイッチが「ON」状態となり、例えば、麻酔薬である、「ディプリバン(アストラゼネカ(株)の登録商標)」が輸液ポンプ2a等に装着され、当該患者に対する薬剤「ディプリバン」の投与速度が設定される。
次いで、ST2へ進む。ST2では、輸液ポンプ2a等に閉塞が生じているか否かが判断される。
具体的には、図2に示す輸液ポンプ2a等の閉塞検知装置122が動作して、輸液ポンプ2a等に閉塞状態が生じているか否かを判断する。
【0031】
ST2で輸液ポンプ2a等に閉塞が生じている場合は、ST3へ進む。ST3では、アラート(警報)が出力され、当該輸液ポンプ2a等の動作が中止される。
具体的には、図2のアラート(警報)装置124が動作し、アラートが出力されると共に、ポンプ本体部121が動作してポンプ動作を中止する。
【0032】
次いで、ST4へ進む。ST4では、図2の輸液ポンプ2a等の「ポンプ履歴データ記憶部126」に、アラートが出力された「年月日」、輸液ポンプ2a等の「ポンプ名」、輸液ポンプ2a等における薬剤の「設定投与速度」及び「アラートの有無」等の履歴データが記憶される。また、「年月日」に関しては、ポンプ側計時装置124を参照する。
【0033】
次いで、ST5へ進む。ST5では、ポンプ動作は終了したか否かが判断され、終了した場合は、ST6へ進む。
ST6では、輸液ポンプ2a等は、図2のポンプ側通信装置125を用いて、ポンプ履歴データ26内のポンプ履歴データ記憶部126に記憶された「ポンプ履歴データ」を図1の管理サーバ10へ送信する。
【0034】
次いで、ST7に進む。ST7では、ST6で送信されたデータを受信した管理サーバ10は、同データを図4のポンプデータ記憶部41に記憶する。
図7は、図4のポンプデータ記憶部41に記憶された「ポンプデータ41a」を示す概略説明図である。
図7に示すように、ポンプデータ41aでは、薬剤情報である例えば、「薬剤名」、「年月日」「ポンプ名」「設定投与速度」及び「アラート有無」の各データが関連付けられて記憶されている。
「投与速度」は投与程度情報の一例であり、例えば、「ml/h」等の単位で示される。また、「アラート」は不具合情報の一例である。
【0035】
次いで、ST8へ進む。ST8では、管理サーバ10が、データ集計時期が到来したか否かを判断する。具体的には、図3の「データ集計時期判断処理部(プログラム)16」が動作し、図3の管理サーバ側計時装置15を参照して、判断する。
ST8で、時期が到来したと判断された場合は、ST9へ進む。ST9では、図3の薬剤別データ抽出処理部(プログラム)17が動作して、ポンプデータ記憶部41内の所定期間内における同一薬剤名(例えば、「ディプリバン」)の「設定投与速度データ」「アラートデータの有無」を抽出する。
また、薬剤別データ抽出処理部(プログラム)17は、図4の「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部42」から、当該薬剤「ディプリバン」の「ソフト・ハードリミットデータ」及び「基準投与速度」を抽出し、図4の「薬剤別データ記憶部43」に記憶させる。
【0036】
図8は、図4の「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部42」内の「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ42a」を示す概略説明図である。
図8に示すように、「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ42a」には、「ソフトリミット」「ハードリミット」及び「基準投与速度」のデータが「薬剤名」毎に相互に関連付けて登録されている。
ここで「ソフトリミット」とは、輸液ポンプ2a等で、薬剤名「ディプリバン」等を使用する際の投与速度の制限情報であり、当該薬剤をソフトリミットの範囲内の投与速度に設定できないようになっており、閉塞等の実際の発生の有無にかかわらず、「アラート(警報)」が出力される。
一方、「ハードリミット」は、輸液ポンプ2a等で、薬剤「ディプリバン」等を使用する際の投与速度の制限情報であり、当該薬剤をハードリミットの範囲内の投与速度に設定すると、閉塞等の実際の発生の有無にかかわらず、「アラート(警報)」が出力されると共に、輸液ポンプ2a等の動作が強制的に停止する構成となっている。
このように、薬剤毎に異なった投与速度に関する「ソフトリミット」や「ハードリミット」の範囲を予め設定することで、薬剤速度による輸液ポンプ2a等の閉塞等の発生を未然に防ぐ構成となっている。
【0037】
また、基準投与速度は、当該薬剤の投与の基準となる投与速度であって、本実施の形態の薬剤「ディプリバン」の場合は、図8に示すように「33ml/h」となっている。
【0038】
本実施の形態では、図8に示すように、薬剤名「ディプリバン」の「ソフトリミット」は「18ml/h以下、48ml/h以上」で、「ハードリミット」は「2ml/h以下、60ml/h以上」となっている。
このように、「ソフトリミット」及び「ハードリミット」は、薬剤制限情報の一例であり、「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部42」は、薬剤制限情報記憶部の一例である。
また、図8の「基準投与速度」は、基準投与程度情報の一例である。
【0039】
次いで、ST10へ進む。ST10では、図3の「投与速度別送液回数データ生成処理部(プログラム)18」が動作し、同一投与速度の送液回数データを演算し、投与速度別送液回数データを生成し、投与速度別送液回数データ記憶部44に記憶される。
すなわち、同じ投与速度で何回の薬剤の送液が行われたかのデータが生成される。
したがって、「送液回数」は、投与回数情報の一例であり、「投与速度別送液回数データ」は、「投与程度情報関連投与回数情報」の一例となっている。
【0040】
次いで、ST11へ進む。ST11では、図3の「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ生成処理部(プログラム)19」が動作し、投与速度別送液回数データ記憶部44の投与速度別送液回数データと、薬剤別データ記憶部43の「アラート有無」の「アラート」回数から、「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」を生成し、図4の「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ記憶部35」に記憶される。
すなわち、投与速度毎の送液回数データと、投与速度毎のアラート回数データから、各投与速度の「アラート発生頻度」のデータを生成することになる。
このように、「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」は、「投与回数及び程度関連不具合回数程度情報」の一例となっている。
【0041】
次いで、ST12へ進む。ST12では、図3の「薬剤ライブラリ別分析データ生成処理部(プログラム)20」が動作して、図4の「投与速度別送液回数データ記憶部44」の「投与速度別送液回数データ」(すなわち、同じ投与速度で何回の薬剤の送液が行われたかのデータ)、「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ記憶部45」の「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」(すなわち、各投与速度の「アラート発生頻度」のデータ)、「薬剤別データ記憶部43」の「ソフトリミットデータ(例えば、18ml/h以下、48ml/h以上)」「ハードリミットデータ(2ml/h以下、60ml/h以上)」及び「基準投与速度データ(33ml/h)」に基づき、そして、投与速度データを基準として、薬剤分析情報である例えば、「薬剤ライブラリ別分析データ」を生成し、図4の薬剤ライブラリ別分析データ記憶部46に記憶される。
【0042】
図9は、薬剤ライブラリ別分析データである例えば、「薬剤ライブラリ分析グラフ」を示すグラフである。同グラフは例えば、薬剤「ディプリバン」の薬剤ライブラリ分析グラフとなっている。
同グラフには、X軸方向に「投与速度データ」が配置され、それぞれの投与速度毎の送液回数(「投与速度別送液回数データ」)がY軸方向の棒グラフで示されている。
また、折れ線グラフで、各投与速度の「アラート発生頻度」のデータ(「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」)が示されている。
さらに、斜線で「ソフトリミット」及び「ハードリミット」の範囲が表示されている。
【0043】
次いで、ST13へ進む。ST13では、図3の基準投与速度変更等コメントデータ生成処理部(プログラム)21が動作して、図4の薬剤ライブラリ別分析データ記憶部46の「薬剤ライブラリ別分析データ」の「基準投与速度データ」と「投与速度別送液回数データ」とを比較して、「基準投与速度データ」を変更すべきか否かを判断し、その結果を「基準等用速度変更等コメントデータ(基準投与程度変更提案情報の一例)として、図4の「基準投与速度変更等コメントデータ記憶部47」に記憶する。
【0044】
例えば、現在の「基準投与速度データ」が,図9に示すように、「33ml/h」である場合に、「投与速度別送液回数データ」を参照すると、図9に示すように、「25ml/h」の投与速度が、最も投与回数が多い場合、ST13では、「基準投与速度データ」を「33ml/h」から「25ml/h」に変更する旨のコメントデータを「基準等用速度変更等コメントデータ」として「基準投与速度変更等コメントデータ記憶部47」に記憶する。
【0045】
次いで、ST14へ進む。ST14では、図3の「第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ生成処理部(プログラム)22」が動作し、図4の「薬剤ライブラリ別分析データ記憶部46」の「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」、「ソフトリミット」及び「ハードリミット」を比較して、ハードリミットデータを変更すべきか否かを判断し、その結果を「第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ(薬剤制限変更提案情報の一例)」として、「第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ記憶部48」に記憶する。
【0046】
例えば、ソフトリミットにおける「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」が、他の投与速度に比べ、一定水準以上に高い場合は、「当該投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」に対応する投与速度である例えば、図9の「54ml/h」を「ハードリミットデータ」に含まれるように「ハードリミットデータ」を変更する旨のコメントデータとなる。
具体的には、投与速度「54ml/h」以上を「ハードリミット」に含ませるように「ハードリミット」の範囲が図9の左側に拡がるように変更する旨のコメントデータを生成し、「第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ記憶部48」に記憶される。
このデータが「第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ」の一例である。
【0047】
次いで、ST15へ進む。ST15では、図3の「第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ生成処理部(プログラム)23」が動作し、図4の「薬剤ライブラリ別分析データ記憶部46」の「投与速度別送液回数データ」、「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」、「ソフトリミット」及び「ハードリミット」データに基づいて、「ソフトリミット」データを変更すべきか否かを判断し、その結果を「第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ(薬剤制限変更提案情報の一例)」として、「第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ記憶部49」に記憶する。
【0048】
例えば、「投与速度別送液回数データ」の送液回数(頻度)が他よりも多く、かつ、「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」が低い「投与速度」、例えば、図9の「13ml/h」の場合で、「13ml/h」が図9に示すように、「ソフトリミット」に含まれている場合は、「13ml/h」をソフトリミットではなく「通常範囲内のエリア」に含まれるように、「ソフトリミット」を変更する旨のコメントデータを生成する。具体的には、図9のソフトリミットの範囲が図9の左方向へ縮まるように変更する旨のコメントデータである。
このデータが「第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ」の一例である。
【0049】
次いで、ST16へ進む。ST16では、管理サーバ10は、図1の医局端末3a等へ以下のデータを送信する。
1)図4の薬剤ライブラリ別分析データ記憶部45内の「薬剤ライブラリ別分析データ(例えば、図9のデータ)」。
2)基準投与速度変更等コメントデータ記憶部47の「基準投与速度変更等コメントデータ(例えば、「基準投与速度データ」を「33ml/h」から「25ml/h」に変更する旨のコメントデータ)。
3)第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ記憶部48内の「第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ(例えば、投与速度「54ml/h」以上を「ハードリミット」に含ませるように「ハードリミット」の範囲が図9の左側に拡がるように変更する旨のコメントデータ)。
4)第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ記憶部49内の「第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ(例えば、「13ml/h」をソフトリミットではなく「通常範囲内のエリア」に含まれるように、「ソフトリミット」を変更する旨のコメントデータ)。
そして、これらのデータを受信した医局端末3a等は、それらの端末側ディスプレイ4a等に、これらのデータを表示する。
【0050】
したがって、医局の医師等は、端末側ディスプレイ4a等に表示される、図9に示す「薬剤ライブラリ別分析データ」を視認することで、投与速度毎のアラートの発生頻度を迅速に把握できると共に、同時に、当該投与速度に基づく「ソフトリミット」及び「ハードリミット」の範囲が適切か否かを直ちに把握することができる。
また、端末側ディスプレイ4a等には「薬剤ライブラリ別分析データ」と共に、「基準投与速度変更等コメントデータ」も表示される。
したがって、医師等は、この「基準投与速度変更等コメントデータ」に基づき、速やかに「基準投与速度データ」の変更の必要性と、変更の方法を具体的に知ることができるので、その変更を適切に行うことができる。
【0051】
また、端末側ディスプレイ4a等には「薬剤ライブラリ別分析データ」と共に、「第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ」や「第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ」も表示される。
したがって、医師等は、「ソフトリミット」及び「ハードリミット」の範囲の変更の必要性と、変更の方法を具体的に知ることができるので、その変更を適切に行うことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、管理サーバ10を用いることで、輸液ポンプ2a等で使用する薬剤の「ソフトリミット」及び「ハードリミット」等使用制限等の情報のCQIが可能となる。
【0052】
(第2の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態にかかる管理サーバ100の主な構成を示す概略ブロック図である。
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態の構成と多くが共通するため、同一構成等は同一符号等を付して、その説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
図11は、本実施の形態にかかるCQIシステムの管理サーバ100等の主な動作等を示す概略フローチャートである。
先ず、本実施の形態では、上述の第1の実施の形態と同様に、ST1乃至ST12の工程を実行し、「薬剤ライブラリ別分析データ」を生成し、記憶する。
【0053】
次いで、ST21へ進む。ST21では、図10の「基準投与速度変更等データ生成処理部(プログラム)101」が動作し、図4の「薬剤ライブラリ別分析データ」を参照し、最も送液回数の多い投与速度と、その前後30%の範囲の投与速度の送液回数の合計回数が、全体の送液回数の50%を超える場合で、当該最も送液回数が多い投与速度が、「薬剤ライブラリ別分析データ記憶部46」の「基準投与速度データ」と相違するときは、「薬剤ライブラリ別分析データ」及び「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部42」等の「基準投与速度データ」を当該最も送液回数が多い投与速度データ」に変更する。
また、この変更データを図1の各輸液ポンプ2a等へ送信する。
【0054】
これにより、薬剤ライブラリデータの「基準投与速度データ」は、自動的に常に適切なデータとして更新されるため、輸液ポンプ2a等で使用する薬剤情報のCQIを実行できる。
【0055】
次いで、ST22へ進む。ST22では、図10の「第1ハードリミット設定変更データ生成処理部(プログラム)102」が動作し、「薬剤ライブラリ別分析データ」の「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」と「ソフトリミットデータ」を参照し、ソフトリミット内の全体の投与速度について、アラート発生頻度が一定値を超える「投与速度」がある場合は、当該投与速度までを「ハードリミット」に含めるように「薬剤ライブラリ別分析データ」及び「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部42」等の「ハードリミットデータ」を変更する。
また、この変更データを図1の各輸液ポンプ2a等へ送信する。
【0056】
次いで、ST23へ進む。ST23では、図10の「第2ハードリミット設定変更データ生成処理部(プログラム)103」が動作し、「薬剤ライブラリ別分析データ」の「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」と「ソフトリミットデータ」を参照し、ソフトリミット内の全ての投与速度でアラート発生頻度が5%を下回るときは、一定範囲でハードリミットの範囲をソフトリミットの範囲に変更(すなわち、ソフトリミットの範囲の拡大)すべく、「薬剤ライブラリ別分析データ」及び「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部42」等の「ハードリミットデータ」及び「ソフトリミットデータ」を変更する。
また、この変更データを図1の各輸液ポンプ2a等へ送信する。
【0057】
次いで、ST24へ進む。ST24では、図10の「第1ソフトリミット設定変更等データ生成処理部(プログラム)104」が動作し、「薬剤ライブラリ別分析データ」の「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」と「ソフトリミットデータ」を参照し、「薬剤ライブラリ別分析データ」の「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」と「ソフトリミットデータ」を参照し、ソフトリミットの上下限から一定範囲内の投与速度で、アラート発生頻度が一定値を上回る場合は、当該アラート発生頻度が一定値を上回る投与速度が「ハードリミット」に含まれるように、「薬剤ライブラリ別分析データ」及び「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部42」等の「ハードリミットデータ」及び「ソフトリミットデータ」を変更する。
また、この変更データを図1の各輸液ポンプ2a等へ送信する。
【0058】
次いで、ST25へ進む。ST25では、図10の「第2ソフトリミット設定変更等データ生成処理部(プログラム)105」が動作し、「薬剤ライブラリ別分析データ」の「投与速度別送液回数データ」、「投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ」及び「ソフトリミットデータ」を参照し、ソフトリミットの範囲の境界から一定範囲の投与速度における送液回数が全体の送液回数の5%以上で、アラート頻度が5%以下の場合は、これらの範囲を通常範囲とするように、「薬剤ライブラリ別分析データ」及び「各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部42」等の「ハードリミットデータ」及び「ソフトリミットデータ」を変更する。
また、この変更データを図1の各輸液ポンプ2a等へ送信する。
【0059】
このように、ST22乃至ST25では、実際のアラーム等のデータに基づき、「ハードリミットデータ」及び「ソフトリミットデータ」の範囲を自動的に適切な範囲に変更されるので、輸液ポンプ2a等で使用する「ハードリミットデータ」及び「ソフトリミットデータ」等の薬剤情報のCQIを効果的に実行することができる。
【0060】
次いで、ST26へ進む。ST26では、管理サーバ10は、図1の医局端末3a等へ図4の薬剤ライブラリ別分析データ記憶部45内の「薬剤ライブラリ別分析データ(例えば、図9のデータ)」を送信する。
そして、これらのデータを受信した医局端末3a等は、それらの端末側ディスプレイ4a等に、これらのデータを表示する。
【0061】
したがって、医局の医師等は、端末側ディスプレイ4a等に表示される、図9に示す「薬剤ライブラリ別分析データ」を視認することで、投与速度毎のアラートの発生頻度を迅速に把握できる。
また、本実施の形態では、「ソフトリミット」及び「ハードリミット」の範囲等は常に自動的に適切に修正変更されている。
したがって、医師等は、「ソフトリミット」及び「ハードリミット」の範囲等を自ら修正等する必要がなく、極めて使い易いシステムとなっている。
【0062】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0063】
1・・・ポンプCQIシステム、2a乃至2e・・・輸液ポンプ、3a乃至3c・・・医局端末、4a乃至4c・・・端末側ディスプレイ、10・・・管理サーバ、11・・・管理サーバ制御部、12・・・管理サーバ側ディスプレイ、13・・・管理サーバ側入力装置、14・・・管理サーバ側通信装置、15・・・管理サーバ側計時装置、16・・・データ集計時期判断処理部(プログラム)、17・・・薬剤別データ抽出処理部(プログラム)、18・・・投与速度別送液回数データ生成処理部(プログラム)、19・・・投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ生成処理部(プログラム)、20・・・薬剤ライブラリ別分析データ生成処理部(プログラム)、21・・・基準投与速度変更等コメントデータ生成処理部(プログラム)、22・・・第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ生成処理部(プログラム)、23・・・第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ生成処理部(プログラム)、40・・・各種記憶部、41・・・ポンプデータ記憶部、41a・・・ポンプデータ、42・・・各薬剤ソフト・ハードリミット等データ記憶部、42a・・・各薬剤ソフト・ハードリミット等データ、43・・・薬剤別データ記憶部、44・・・投与速度別送液回数データ記憶部、45・・・投与速度別送液回数比較アラート発生頻度データ記憶部、46・・・薬剤ライブラリ別分析データ記憶部、47・・・基準投与速度変更等コメントデータ記憶部、48・・・第1ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ記憶部、49・・・第2ハード・ソフトリミット変更等コメントデータ記憶部、101・・・基準投与速度変更等データ生成処理部(プログラム)、102・・・第1ハードリミット設定変更データ生成処理部(プログラム)、103・・・第2ハードリミット設定変更データ生成処理部(プログラム)、104・・・第1ソフトリミット設定変更等データ生成処理部(プログラム)、105・・・第2ソフトリミット設定変更等データ生成処理部(プログラム)、120・・・ポンプ制御部、121・・・ポンプ本体部、122・・・閉塞検知装置、123・・・アラート(警報)装置、124・・・ポンプ側計時装置、125・・・ポンプ側通信装置、126・・・ポンプ履歴データ記憶部
図1
図2
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図10
図11