特許第5851544号(P5851544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5851544非透過型ヘッドマウントディスプレイ及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851544
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】非透過型ヘッドマウントディスプレイ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20160114BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20160114BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20160114BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   G09G5/00 550C
   G09G5/36 520M
   G09G5/00 530M
   G09G5/00 510A
   G09G5/00 530T
   G09G5/00 510Q
   H04N5/64 511A
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-68685(P2014-68685)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-191124(P2015-191124A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2014年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】筒井 多圭志
(72)【発明者】
【氏名】今仲 滋宜
(72)【発明者】
【氏名】山際 正人
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−026870(JP,U)
【文献】 特開平05−304646(JP,A)
【文献】 特開2012−249067(JP,A)
【文献】 特開2012−114755(JP,A)
【文献】 特表平10−504917(JP,A)
【文献】 特開2004−109995(JP,A)
【文献】 特開2011−203446(JP,A)
【文献】 特開2010−145436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 − 27/02
H04N 5/64
G09G 5/00 − 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部映像を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した外部映像を取得する外部映像取得部と、
映像コンテンツを取得する映像コンテンツ取得部と、
前記外部映像取得部が取得した前記外部映像及び前記映像コンテンツ取得部が取得した前記映像コンテンツの少なくともいずれかを表示する表示部と、
物体の接近を検出する接近検出部と、
前記表示部に前記映像コンテンツが表示されている間に物体の接近が検出された場合、前記撮像部が撮像した外部映像と前記映像コンテンツとの両方を視認可能とするべく前記外部映像と前記映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を前記表示部に表示させる表示制御部と
を備える非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記外部映像の重畳比率を段階的に高くした前記外部映像と前記映像コンテンツとの重畳画像を前記表示部に順次表示させる、請求項1に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記表示部に前記重畳画像を表示させている間に予め定められた条件が満たされた場合、前記外部映像を前記表示部に表示させる、請求項1又は2に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示部に前記重畳画像を表示させている間に、前記物体との距離が予め定められた距離よりも短くなった場合、前記外部映像を前記表示部に表示させる、請求項3に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記表示部に前記重畳画像を表示させている間に、前記映像コンテンツの表示に対して停止又は一時停止がなされた場合に、前記外部映像を前記表示部に表示させる、請求項3に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記物体の接近の度合が大きいほど前記外部映像の重畳比率を高くして前記外部映像と前記映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を前記表示部に表示させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記撮像部は、前記非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着する装着者の前方を撮像する前方撮像部と、前記装着者の後方を撮像する後方撮像部とを有し、
前記表示制御部は、前記前方撮像部により撮像された外部映像に基づいて物体の接近が検出された場合、前記前方撮像部による撮像された外部映像と前記映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を前記表示部に表示させ、前記後方撮像部により撮像された外部映像に基づいて物体の接近が検出された場合、前記後方撮像部による撮像された外部映像と前記映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を前記表示部に表示させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
音声出力部と、
前記表示部が前記映像コンテンツを表示している間、前記映像コンテンツに含まれる音声を予め定められた音量で前記音声出力部に出力させる音声出力制御部と
をさらに備え、
前記音声出力制御部は、前記表示制御部が前記重畳画像を前記表示部に表示させる場合、前記映像コンテンツに含まれる音声の出力音量を、前記予め定められた音量よりも小さくする、請求項1から7のいずれか一項に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
前記音声出力制御部は、前記物体の接近の度合が大きいほど、前記音声の出力音量を小さくする、請求項8に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項10】
前記音声出力制御部は、前記表示部及び前記音声出力部が音楽番組を出力している間に前記物体の接近が検出された場合において、前記表示制御部が前記重畳画像を前記表示部に表示させている間、前記映像コンテンツに含まれる音声の出力音量を低下させない、請求項8又は9に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記表示部及び前記音声出力部がゲームを出力している間に前記物体の接近が検出された場合、他のカテゴリの映像コンテンツが出力されている場合に比べて、前記映像コンテンツの重畳比率を高くした前記重畳画像を前記表示部に表示させる、請求項8から10のいずれか一項に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項12】
集音部
をさらに備え、
前記音声出力制御部は、前記表示部が前記外部映像を表示している間、前記集音部が集音した音声を予め定められた音量で前記音声出力部に出力させ、
前記音声出力制御部は、前記表示制御部が前記重畳画像を前記表示部に表示させる場合、前記集音部が集音した音声を前記予め定められた音量よりも大きい音量で前記音声出力部に出力させる、請求項8から11のいずれか一項に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項13】
前記音声出力制御部は、前記物体の接近の度合が大きいほど、前記集音部が集音した音声の出力音量を大きくする、請求項12に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項14】
撮像装置と無線通信する無線通信部
をさらに備え、
前記映像コンテンツ取得部は、前記無線通信部が受信した前記撮像装置により撮像された映像を前記映像コンテンツとして取得する、請求項1から13のいずれか一項に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項15】
ホームセキュリティシステムが備える撮像装置と無線通信する無線通信部
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記表示部に前記映像コンテンツを表示させている間に前記物体の接近が検出された場合、前記ホームセキュリティシステムが備える前記撮像装置によって撮像された外部映像と前記映像コンテンツとの重畳画像を前記表示部に表示させる、請求項1から13のいずれか一項に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項16】
前記非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着する装着者の頭部を保護する頭部保護部
をさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の非透過型ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項17】
非透過型ヘッドマウントディスプレイが備えるコンピュータ
撮像部により撮像された外部映像を取得する手順、
映像コンテンツを取得する手順、
前記外部映像及び前記映像コンテンツの少なくともいずれかを表示部に表示させる手順、
物体の接近を検出する手順、及び
前記表示部に前記映像コンテンツが表示されている間に物体の接近が検出された場合、前記撮像部により撮像された外部映像と前記映像コンテンツとの両方を視認可能とするべく前記外部映像と前記映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を前記表示部に表示させる手順
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非透過型ヘッドマウントディスプレイ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装着者の眼前にディスプレイが配置され、視界を覆ってディスプレイ画面のみを装着者に視認させる非透過型ヘッドマウントディスプレイが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2011−047866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非透過型ヘッドマウントディスプレイは没入感が高いため、非透過型ヘッドマウントディスプレイで映像コンテンツを閲覧している場合等に、非透過型ヘッドマウントディスプレイの装着者は周囲の状況を把握しにくい場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、外部映像を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した外部映像を取得する外部映像取得部と、映像コンテンツを取得する映像コンテンツ取得部と、前記外部映像取得部が取得した前記外部映像及び前記映像コンテンツ取得部が取得した前記映像コンテンツの少なくともいずれかを表示する表示部と、物体の接近を検出する接近検出部と、前記表示部に前記映像コンテンツが表示されている間に物体の接近が検出された場合、前記撮像部が撮像した外部映像と前記映像コンテンツとの両方を視認可能とするべく前記外部映像と前記映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える非透過型ヘッドマウントディスプレイが提供される。
【0005】
上記非透過型ヘッドマウントディスプレイにおいて、前記表示制御部は、前記外部映像の重畳比率を段階的に高くした前記外部映像と前記映像コンテンツとの重畳画像を前記表示部に順次表示させてよい。上記非透過型ヘッドマウントディスプレイにおいて、前記表示制御部は、前記表示部に前記重畳画像を表示させている間に予め定められた条件が満たされた場合、前記外部映像を前記表示部に表示させてよい。上記非透過型ヘッドマウントディスプレイにおいて、前記表示制御部は、前記表示部に前記重畳画像を表示させている間に、前記物体との距離が予め定められた距離よりも短くなった場合、前記外部映像を前記表示部に表示させてよい。上記非透過型ヘッドマウントディスプレイにおいて、前記表示制御部は、前記表示部に前記重畳画像を表示させている間に、前記映像コンテンツの表示に対して停止又は一時停止がなされた場合に、前記外部映像を前記表示部に表示させてよい。
【0006】
上記非透過型ヘッドマウントディスプレイにおいて、前記表示制御部は、前記物体の接近の度合が大きいほど前記外部映像の重畳比率を高くして前記外部映像と前記映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を前記表示部に表示させてよい。上記非透過型ヘッドマウントディスプレイは、音声出力部と、前記表示部が前記映像コンテンツを表示している間、前記映像コンテンツに含まれる音声を予め定められた音量で前記音声出力部に出力させる音声出力制御部とをさらに備えてよく、前記音声出力制御部は、前記表示制御部が前記重畳画像を前記表示部に表示させる場合、前記映像コンテンツに含まれる音声の出力音量を、前記予め定められた音量よりも小さくしてよい。上記非透過型ヘッドマウントディスプレイにおいて、音声出力制御部は、前記物体の接近の度合が大きいほど、前記音声の出力音量を小さくしてよい。上記非透過型ヘッドマウントディスプレイは、集音部をさらに備えてよく、前記音声出力制御部は、前記表示部が前記外部映像を表示している間、前記集音部が集音した音声を予め定められた音量で前記音声出力部に出力させてよく、前記音声出力制御部は、前記表示制御部が前記重畳画像を前記表示部に表示させる場合、前記集音部が集音した音声を前記予め定められた音量よりも大きい音量で前記音声出力部に出力させてよい。上記非透過型ヘッドマウントディスプレイにおいて、前記音声出力制御部は、前記物体の接近の度合が大きいほど、前記集音部が集音した音声の出力音量を大きくしてよい。
【0007】
上記非透過型ヘッドマウントディスプレイは、撮像装置と無線通信する無線通信部をさらに備えてよく、前記映像コンテンツ取得部は、前記無線通信部が受信した前記撮像装置により撮像された映像を前記映像コンテンツとして取得してよい。上記非透過型ヘッドマウントディスプレイは、前記非透過型ヘッドマウントディスプレイを装着する装着者の頭部を保護する頭部保護部をさらに備えてよい。
【0008】
本発明の第2の態様においては、コンピュータを上記非透過型ヘッドマウントディスプレイとして機能させるためのプログラムが提供される。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ヘッドマウントディスプレイの外観の一例を概略的に示す。
図2】ヘッドマウントディスプレイの機能構成の一例を概略的に示す。
図3】重畳画像の一例を概略的に示す。
図4】ヘッドマウントディスプレイによる処理の流れの一例を示す。
図5】ヘッドマウントディスプレイの外観の変形例を概略的に示す。
図6】ヘッドマウントディスプレイの通信環境の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ100の外観の一例を概略的に示す。本実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ100は、非透過型及び没入型等と呼称される、装着者の視界を覆うタイプのヘッドマウントディスプレイである。
【0013】
ヘッドマウントディスプレイ100は、本体102、ヘッドバンド104、及びヘッドパッド106を備える。ヘッドバンド104及びヘッドパッド106は、ヘッドマウントディスプレイ100を装着する装着者の頭部に対して、ヘッドマウントディスプレイ100を固定する。
【0014】
本体102は、前方カメラ110、後方カメラ116、ディスプレイ120、右側マイク132、左側マイク134、イヤホン端子136、及び内蔵アンテナ140を有する。前方カメラ110は、右眼用カメラ112及び左眼用カメラ114を有する。ディスプレイ120は、右眼用ディスプレイ122及び左眼用ディスプレイ124を有する。
【0015】
右眼用カメラ112及び左眼用カメラ114は、ヘッドマウントディスプレイ100を装着する装着者の前方の外部映像を撮像する。右眼用カメラ112は、例えば、装着者がヘッドマウントディスプレイ100を装着した場合に装着者の右眼の視野を撮像できる位置に配置される。左眼用カメラ114は、例えば、装着者がヘッドマウントディスプレイ100を装着した場合に装着者の左眼の視野を撮像できる位置に配置される。
【0016】
後方カメラ116は、装着者の後方の外部映像を撮像する。後方カメラ116は、装着者の後方の外部映像を撮像できれば、ヘッドマウントディスプレイ100のどの位置に配置されてもよい。右眼用カメラ112、左眼用カメラ114、及び後方カメラ116は、撮像部の一例である。
【0017】
右眼用ディスプレイ122は、右眼用カメラ112によって撮像された外部映像を表示する。左眼用ディスプレイ124は、左眼用カメラ114によって撮像された外部映像を表示する。右眼用ディスプレイ122及び左眼用ディスプレイ124のそれぞれは、表示部の一例である。右眼用ディスプレイ122及び左眼用ディスプレイ124は、後方カメラ116によって撮像された外部映像を表示してもよい。
【0018】
右側マイク132は、本体102の右側に配置される。右側マイク132は、例えば、装着者がヘッドマウントディスプレイ100を装着した場合に、装着者の右耳の近傍に位置する場所に配置される。左側マイク134は、本体102の左側に配置される。左側マイク134は、例えば、装着者がヘッドマウントディスプレイ100を装着した場合に、装着者の左耳の近傍に位置する場所に配置される。右側マイク132及び左側マイク134のそれぞれは、集音部の一例である。
【0019】
イヤホン端子136には、イヤホン及びヘッドホン等の音声出力機器が接続される。ヘッドマウントディスプレイ100は、右側マイク132及び左側マイク134によって集音した音声を、イヤホン端子136に接続された音声出力機器に音声出力させてよい。
【0020】
ディスプレイ120に表示された外部映像と音声出力機器により出力された音声とによって、ヘッドマウントディスプレイ100の装着者は、ヘッドマウントディスプレイ100を装着していないときと同様に周囲の情報を取得できる。これにより、例えば、装着者は、ヘッドマウントディスプレイ100を装着したまま日常生活を送ることができる。
【0021】
ヘッドマウントディスプレイ100は、ディスプレイ120に外部映像を表示している間、外部映像の内容に関連する付加情報を併せてディスプレイ120に表示させてよい。例えば、ヘッドマウントディスプレイ100は、外部映像に含まれる人物の近傍に、当該人物の名前等の付加情報を表示させてよい。このように、ディスプレイ120に外部映像及び付加情報を表示する表示モードをオーグメンテッドモードと呼ぶ場合がある。なお、ヘッドマウントディスプレイ100は、外部映像に含まれる人物の名前等の付加情報を、イヤホン端子136に接続された音声出力機器に音声出力させてもよい。
【0022】
内蔵アンテナ140は、他の機器との無線通信を実現する。ヘッドマウントディスプレイ100は、内蔵アンテナ140を介して、他の機器から映像コンテンツを受信してよい。映像コンテンツとは、画像及び音声を含むコンテンツである。映像コンテンツは、画像及び音声を含むコンテンツであればどのようなコンテンツであってもよいが、例えば、映画、テレビ番組、及びゲーム等である。
【0023】
ヘッドマウントディスプレイ100は、受信した映像コンテンツを、内蔵メモリ142に格納してよい。ヘッドマウントディスプレイ100は、メモリーカード等の外付けの記憶装置から読み出した映像コンテンツを内蔵メモリ142に格納してもよい。また、ヘッドマウントディスプレイ100は、有線ケーブルを介して他の機器から受信した映像コンテンツを内蔵メモリ142に格納してもよい。
【0024】
右眼用ディスプレイ122及び左眼用ディスプレイ124は、内蔵メモリ142に格納された映像コンテンツを表示してよい。また、ヘッドマウントディスプレイ100は、内蔵メモリ142に格納された映像コンテンツに含まれる音声を、イヤホン端子136に接続された音声出力機器に音声出力させてよい。このように、ディスプレイ120に映像コンテンツを表示する表示モードをVRモードと呼ぶ場合がある。
【0025】
本実施形態において、ヘッドマウントディスプレイ100は、右眼用ディスプレイ122及び左眼用ディスプレイ124に映像コンテンツを表示している間に人物等の物体の接近を検出した場合に、外部映像と映像コンテンツとの両方を視認可能とするべく表示を制御する。例えば、ヘッドマウントディスプレイ100は、映像コンテンツを半透明化させて、外部映像上に表示する。すなわち、ヘッドマウントディスプレイ100は、外部映像と映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を生成して、右眼用ディスプレイ122及び左眼用ディスプレイ124に表示させてよい。
【0026】
これにより、映像コンテンツを視聴中であって、人物の接近に気づいていない装着者に、人物が接近していることを気づかせることができる。なお、このように、映像コンテンツ表示中に物体の接近を検出した場合に映像コンテンツを半透明化して外部映像上に表示することをジャックアウトと呼ぶ場合があり、このような表示モードをエマージェンシーモードと呼ぶ場合がある。
【0027】
図2は、ヘッドマウントディスプレイ100の機能構成の一例を概略的に示す。ヘッドマウントディスプレイ100は、前方撮像部152、後方撮像部154、外部映像取得部156、付加情報取得部158、表示制御部160、表示部162、集音部164、外部音声取得部166、音声出力制御部168、音声出力部170、映像コンテンツ取得部172、映像コンテンツ格納部174、無線通信部176、接近検出部178、及び距離取得部180を備える。ヘッドマウントディスプレイ100がこれらすべての構成を備えることは必須であるとは限らない。
【0028】
前方撮像部152は、ヘッドマウントディスプレイ100の前方の外部映像を撮像する。前方撮像部152は、右眼用と左眼用の2つのカメラを有してよい。前方撮像部152は、右眼用カメラ112及び左眼用カメラ114であってよい。また、前方撮像部152は、ヘッドマウントディスプレイ100の前方を撮像できる位置に配置された一のカメラであってもよい。
【0029】
後方撮像部154は、ヘッドマウントディスプレイ100の後方の外部映像を撮像する。後方撮像部154は、後方カメラ116であってよい。
【0030】
外部映像取得部156は、前方撮像部152によって撮像された外部映像を取得する。また、外部映像取得部156は、後方撮像部154によって撮像された外部映像を取得する。
【0031】
付加情報取得部158は、外部映像取得部156が取得した外部映像に基づいて、外部映像に付加する付加情報を取得する。付加情報は、例えば、外部映像に含まれるオブジェクトの属性情報であり、オブジェクトの名前等である。付加情報取得部158は、例えば、人物の特徴量と人物の属性情報とを対応付けた対応付けデータを用いて、外部映像に対して人物認識処理を実行することにより外部映像に含まれる人物を特定して、当該人物の名前等を付加情報として取得する。
【0032】
表示制御部160は、外部映像取得部156が取得した外部映像を表示部162に表示させる。表示制御部160は、表示部162に、付加情報取得部158が取得した付加情報を、外部映像取得部156が取得した外部映像にスーパーインポーズさせてよい。
【0033】
表示部162は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び有機ELディスプレイ等のディスプレイである。表示部162は、右眼用ディスプレイ122及び左眼用ディスプレイ124であってよい。
【0034】
集音部164は、ヘッドマウントディスプレイ100の周囲の外部音声を集音する。集音部164は、右側マイク132及び左側マイク134であってよい。外部音声取得部166は、集音部164が集音した外部音声を取得する。
【0035】
音声出力制御部168は、外部音声取得部166が取得した外部音声を音声出力部170に出力させる。音声出力部170は、例えば、イヤホン端子136である。音声出力制御部168は、イヤホン端子136を介して、イヤホン端子136に接続された音声出力機器に外部音声を音声出力させてよい。
【0036】
映像コンテンツ取得部172は、映像コンテンツを取得する。映像コンテンツ取得部172は、映像コンテンツ格納部174に格納された映像コンテンツを取得してよい。映像コンテンツ格納部174は、無線通信部176による無線通信を介して受信した映像コンテンツを格納してよい。また、映像コンテンツ格納部174は、メモリーカード等の外付けの記憶装置からヘッドマウントディスプレイ100が読み出した映像コンテンツを格納してよい。また、映像コンテンツ格納部174は、有線ケーブルを介してヘッドマウントディスプレイ100が受信した映像コンテンツを格納してもよい。映像コンテンツ格納部174は、内蔵メモリ142であってよい。
【0037】
無線通信部176は、他の機器との無線通信を実行する。無線通信部176は、内蔵アンテナ140を介して、他の機器との無線通信を実行してよい。無線通信の通信規格としては、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、ZigBee(登録商標)、及び赤外線通信等が例示できる。
【0038】
無線通信部176は、例えば、映像コンテンツを提供するBDレコーダー、BDプレーヤー、DVDディスクレコーダー、DVDディスクプレイヤー、HDDレコーダー、テレビ、及びゲーム機等と無線通信する。映像コンテンツ格納部174は、BDレコーダー等から無線通信部176を介して映像コンテンツを取得してよい。映像コンテンツ格納部174はBDレコーダー等から、映像信号として映像コンテンツを取得してよく、また、動画ファイルとして映像コンテンツを取得してもよい。
【0039】
ヘッドマウントディスプレイ100は、無線通信部176を介して他の機器と制御信号を送受信してもよい。例えば、ヘッドマウントディスプレイ100は、無線通信部176を介して、BDレコーダー等に対して、映像コンテンツの再生、一時停止及び停止等の制御信号を送信する。
【0040】
また、無線通信部176は、携帯電話等の無線通信端末と無線通信してもよい。無線通信部176は、無線通信端末から、映像コンテンツの表示に対する制御信号を受信してよい。
【0041】
例えば、無線通信部176が、無線通信端末から映像コンテンツを再生する制御信号を受信した場合、表示制御部160は、当該制御信号に従って、映像コンテンツ格納部174に格納された映像コンテンツを表示部162に再生表示させてよい。また、無線通信部176が、無線通信端末から映像コンテンツを一時停止する制御信号を受信した場合、表示制御部160は、表示部162に表示させている映像コンテンツを一時停止させてよい。なお、ヘッドマウントディスプレイ100は、操作部を備えることによって、映像コンテンツの表示に対する制御指示を、装着者から直接受け付けてもよい。
【0042】
接近検出部178は、外部映像取得部156によって前方撮像部152又は後方撮像部154から取得された外部映像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ100に対する物体の接近を検出してよい。接近検出部178は、例えば、外部映像に含まれる物体の画像領域を時系列の外部映像から抽出した特徴点のオプティカルフローに基づいて認識する技術及び背景差分法等を用いて、物体の接近を検出する。
【0043】
接近検出部178は、物体の一例として、人物の接近を検出してよい。例えば、接近検出部178は、人間の特徴を表す特徴量と、外部映像とを比較することにより、外部映像中に人物が含まれているか否かを判定する。人間の特徴を表す特徴量は予め登録されていてよい。そして、接近検出部178は外部映像中に人物が含まれていると判定した場合に、その人物が接近しているか否かを判定する。例えば、接近検出部178は、外部映像中における人物の大きさが、時系列に沿って大きくなっている場合に、当該人物が近づいていることを検出する。
【0044】
接近検出部178は、外部音声取得部166が取得した外部音声に基づいて、物体の接近を検出してもよい。例えば、接近検出部178は、外部音声の音量の変化を監視して、音量が大きくなっていくことを検出した場合に、物体が接近していることを検出してもよい。
【0045】
距離取得部180は、ヘッドマウントディスプレイ100に対して接近している物体とヘッドマウントディスプレイ100との間の距離を取得する。距離取得部180は、例えば、測距センサを有することにより、当該測距センサによって測距した物体とヘッドマウントディスプレイ100との間の距離を取得する。距離取得部180は、前方撮像部152及び後方撮像部154におけるレンズの焦点距離等の情報に基づいて、物体とヘッドマウントディスプレイ100との間の距離を算出してもよい。
【0046】
表示制御部160は、映像コンテンツを表示部162に表示させている間に、接近検出部178が物体の接近を検出した場合、映像コンテンツと外部映像との両方を視認可能とするべく、外部映像と映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を表示部162に表示させる。これにより、装着者に、映像コンテンツを閲覧させたまま、物体の接近を通知することができる。
【0047】
なお、表示制御部160は、前方撮像部152により撮像された外部映像に基づいて物体の接近が検出された場合、前方撮像部152により撮像された外部映像と映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を表示部162に表示させてよい。また、表示制御部160は、後方撮像部154により撮像された外部映像に基づいて物体の接近が検出された場合、後方撮像部154により撮像された外部映像と映像コンテンツとを重畳させた重畳画像を表示部162に表示させてよい。
【0048】
表示制御部160は、外部映像の重畳比率を段階的に高くした、外部映像と映像コンテンツとの重畳画像を表示部162に順次表示させてよい。例えば、表示制御部160は、数秒の間に、外部映像の重畳比率を数段階高くした重畳画像を本体102に順次表示させる。これにより、外部映像から重畳画像へと突然切り替わってしまう感覚を装着者に抱かせてしまうことを防止できる。
【0049】
表示制御部160は、表示部162に重畳画像を表示させている間に予め定められた条件が満たされた場合、表示部162に、重畳画像の表示を停止させ、外部映像を表示させてよい。例えば、表示制御部160は、接近検出部178により物体の離脱が検出された場合、表示部162に重畳画像の表示を停止させ、外部映像を表示させる。また、例えば、表示制御部160は、表示部162に重畳画像を表示させている場合に、距離取得部180により取得された物体との距離が予め定められた距離よりも短い場合、重畳画像の表示を停止させて、外部映像を表示させる。これにより、例えば、映像コンテンツを閲覧中の装着者に対して家族等の人物が接近してきた場合に、まずは重畳画像を表示することによって、装着者に対して家族の接近に気付かせることができ、さらに家族が装着者に近づいて直接のコミュニケーションをとる可能性が高い場合に、外部映像のみを表示させることで、映像コンテンツによって直接のコミュニケーションが妨害されてしまうことを防止できる。
【0050】
また、表示制御部160は、表示部162に重畳画像を表示させている間に、映像コンテンツの表示に対して停止又は一時停止がなされた場合に、表示部162に重畳画像の表示を停止させて、外部映像を表示させてよい。例えば、無線通信部176を介してBDレコーダー等から受信している映像コンテンツと外部映像との重畳画像を表示部162に表示させている間に、当該BDレコーダーに対して表示を一時停止する指示がなされた場合、表示制御部160は、表示部162に、重畳画像の表示を停止させて、外部映像を表示させてよい。これにより、例えば、映像コンテンツを閲覧中の装着者に対して家族等の人物が接近してきた場合に、まずは重畳画像を表示することによって、装着者に対して家族の接近に気付かせることができ、装着者が映像コンテンツの表示を停止又は一時停止した場合に、外部映像のみを表示させることで、映像コンテンツによって直接のコミュニケーションが妨害されてしまうことを防止できる。
【0051】
音声出力制御部168は、表示部162が映像コンテンツを表示している間、映像コンテンツに含まれる音声を予め定められた音量で音声出力部170に音声出力させてよく、表示制御部160が重畳画像を表示部162に表示している間、映像コンテンツに含まれる音声の出力音量を、予め定められた音量より小さくしてよい。これにより、接近検出部178が物体の接近を検出したのに応じて、表示制御部160が映像コンテンツ表示から、重畳画像の表示へと切り替えた場合に、音声出力部170が出力する音量を小さくでき、装着者が周囲の状況を音で確認することを支援できる。予め定められた音量は、装着者によって設定可能であってよい。
【0052】
なお、音声出力制御部168は、物体の接近の度合が大きいほど、映像コンテンツに含まれる音声の出力音量を小さくしてよい。例えば、音声出力制御部168は、距離取得部180により取得されたヘッドマウントディスプレイ100から物体までの距離が短いほど、音声の出力音量を小さくする。これにより、例えば、映像コンテンツを閲覧中の装着者に対して家族等の人物が接近してきた場合に、家族が接近するほど映像コンテンツの出力音量を下げることができ、家族の呼びかけに気づきやすくさせることができる。
【0053】
また、音声出力制御部168は、表示部162が外部映像を出力している間、集音部164が集音した音声を予め定められた音量で音声出力部170に音声出力させてよく、表示制御部160が重畳画像を表示部162に表示させている間、集音部164が集音した音声を予め定められた音量よりも大きい音量で音声出力部170に音声出力させてよい。これにより、例えば、映像コンテンツを閲覧中の装着者に対して家族等の人物が接近してきて、装着者に呼びかけた場合に、家族の呼びかけに気づきやすくさせることができる。
【0054】
なお、音声出力制御部168は、物体の接近の度合が大きいほど、集音部164が集音した音声の出力音量を大きくしてよい。例えば、音声出力制御部168は、距離取得部180により取得されたヘッドマウントディスプレイ100から物体までの距離が短いほど、集音部164が集音した音声の出力音量を大きくする。これにより、例えば、映像コンテンツを閲覧中の装着者に対して家族等の人物が接近してきた場合に、家族が接近するほど集音部164が集音した音声の出力音量を上げることができ、家族の呼びかけに気づきやすくさせることができる。
【0055】
図3は、重畳画像230の一例を概略的に示す。図3は、表示制御部160が、映像コンテンツ210と外部映像220とを重畳させた場合を例示している。図3に示すように、表示制御部160が、外部映像220上に、半透明化した映像コンテンツ210を表示することによって、装着者に外部映像220及び映像コンテンツ210を視認させることができる。
【0056】
表示制御部160及び音声出力制御部168は、映像コンテンツのカテゴリに応じた出力制御を実行してもよい。映像コンテンツのカテゴリは、例えば、ゲーム、映画、及び音楽番組等を含む。映像コンテンツのカテゴリは、映像コンテンツ取得部172によって取得されてよい。例えば、映像コンテンツ取得部172は、無線通信部176を介して映像コンテンツをヘッドマウントディスプレイ100に送信したBDレコーダー等から、映像コンテンツのカテゴリを受信する。また、映像コンテンツ取得部172は、映像コンテンツにカテゴリを示すデータが含まれている場合には、当該データを参照することによって、映像コンテンツのカテゴリを取得してよい。
【0057】
例えば、表示部162及び音声出力部170が音楽番組を出力している間に物体の接近が検出された場合において、表示制御部160が重畳画像を表示部162に表示されている間、音声出力制御部168は、映像コンテンツに含まれる音声の出力音量を低下させない。これにより、装着者が聴いている音楽を阻害することなく、物体の接近を装着者に通知できる。
【0058】
また、表示部162及び音声出力部170がゲームを出力している間に物体の接近が検出された場合、表示制御部160は、他のカテゴリが出力されている場合に比べて、映像コンテンツの重畳比率を高くした重畳画像を表示部162に表示させてよい。また、このように出力している映像コンテンツのカテゴリがゲームの場合、表示制御部160は、物体の接近が検出されても、表示部162に重畳画像を表示させることなく、映像コンテンツの表示を継続させ、音声出力制御部168が、物体の接近を音声出力によって装着者に通知してもよい。これにより、ゲームを行っている装着者を、視覚的に邪魔することなく、物体の接近を装着者に通知できる。
【0059】
映像コンテンツの出力中、外部映像の出力中、又は重畳画像の出力中に、ヘッドマウントディスプレイ100の装着が解除されたことが検出された場合、表示制御部160及び音声出力制御部168は、出力を停止してよい。これにより、装着者がヘッドマウントディスプレイ100を装着していないにもかかわらず、映像コンテンツの出力が継続してしまうことを防止できる。ヘッドマウントディスプレイ100は、例えば、装着者によって装着された場合に、装着者と接する部分に配置された接触センサからの出力を監視することによって、装着が解除されたか否かを判定してよい。接触センサは、例えば、ヘッドパッド106に設置される。なお、ヘッドマウントディスプレイ100の装着が解除されたときの、表示制御部160及び音声出力制御部168の制御内容は、設定によって変更可能であってよい。
【0060】
図4は、ヘッドマウントディスプレイ100による処理の流れの一例を概略的に示す。図4に示す処理は、ヘッドマウントディスプレイ100が備える制御部が主体となって実行されてよい。ここでは、ヘッドマウントディスプレイ100が、オーグメンテッドモード中に映像コンテンツの出力指示を受け付けた場合の処理の流れについて説明する。
【0061】
ステップ702(ステップをSと省略して表記する場合がある。)では、表示制御部160及び音声出力制御部168が映像コンテンツを表示部162及び音声出力部170に出力させる。
【0062】
S704では、映像コンテンツの出力停止指示を受け付けたか否かを判定する。出力停止指示を受け付けていない場合、S706に進み、出力停止指示を受け付けていた場合、S718に進む。
【0063】
S706では、接近検出部178によって、物体の接近が検出されたか否かを判定する。物体の接近が検出されたと判定された場合、S708に進み、物体の接近が検出されていないと判定された場合、S702に戻る。
【0064】
S708では、表示制御部160が、出力している映像コンテンツと、外部映像取得部156が取得した外部映像と重畳させた重畳画像を、表示部162に表示させる。このとき、音声出力制御部168は、映像コンテンツを出力していた時に比べて出力音量を小さくしてよい。
【0065】
S710では、重畳画像の出力停止指示を受け付けたか否かを判定する。出力停止指示を受け付けていない場合、S712に進み、受け付けていた場合、S714に進む。
【0066】
S712では、距離取得部180が取得した距離が予め定められた閾値よりも短いか否かを判定する。距離取得部180が取得した距離が閾値よりも短いと判定した場合、S714に進み、短いと判定しなかった場合、S708に戻る。
【0067】
S714では、表示制御部160が表示部162に重畳画像の出力を停止させる。そして、S716で、表示制御部160が表示部162に外部映像を出力させる。このとき、音声出力制御部168は、外部音声取得部166が取得した外部音声を音声出力部170に音声出力させる。
【0068】
S704で、出力停止指示を受領したと判定した場合、S718に進む。S718では、表示制御部160及び音声出力制御部168が表示部162及び音声出力部170に映像コンテンツの出力を停止させる。そして、S716で、表示制御部160が表示部162に外部映像を出力させる。このとき、音声出力制御部168は、外部音声取得部166が取得した外部音声を音声出力部170に音声出力させる。
【0069】
ヘッドマウントディスプレイ100が上述した処理を実行することにより、映像コンテンツを出力中に物体の接近が検出された場合には、重畳画像が出力されることによって、装着者は、物体の接近に気付くことができる。そして、さらに物体が接近した場合には、外部映像が出力される。これにより、装着者に対して、接近してきた物体への対応をさせやすくできる。
【0070】
図5は、ヘッドマウントディスプレイ100の外観の変形例を概略的に示す。図5に示すヘッドマウントディスプレイ100は、頭部保護部190を備えること以外は、図1に示すヘッドマウントディスプレイ100と同一であってよい。頭部保護部190は、高強度の外側面と、緩衝材を有する内側面とを備えてよい。ヘッドマウントディスプレイ100が頭部保護部190を備えることによって、装着者は、ヘッドマウントディスプレイ100を装着したままバイクなどを運転できる。また、装着者は、ヘッドマウントディスプレイ100を装着したままバイクの後部座席に搭乗できる。
【0071】
例えば、ヘッドマウントディスプレイ100を装着した装着者がバイクを運転する場合、ヘッドマウントディスプレイ100はオーグメンテッドモードに設定されてよく、外部映像に付加情報を表示させることによって、装着者の運転を支援してよい。ヘッドマウントディスプレイ100は、装着者が運転中は、ジャックアウトをさせないようにしてよい。すなわち、装着者が運転中に物体の接近が検出されても、表示制御部160は、重畳画像を表示部162に表示させることなく、外部映像の表示を継続させてよい。装着者が運転をしているか否かは、装着者によって設定されてよい。また、ヘッドマウントディスプレイ100が加速度センサ等を備えることによって、バイクが走行中であるか否かを判定してもよい。
【0072】
ヘッドマウントディスプレイ100を装着した装着者がバイクの後部座席に座っている場合、映像コンテンツ取得部172は、無線通信部176を介して、バイクの運転者が装着しているヘッドマウントディスプレイ100の前方撮像部152により撮像された外部映像を、映像コンテンツとして受信してよい。映像コンテンツ取得部172は、無線通信部176を介して、バイクに搭載されたカメラによって撮像された外部映像を、映像コンテンツとして受信してもよい。これにより、後部座席に座っている装着者は、運転者の視界及びバイクからの視界を、映像コンテンツとして閲覧できる。
【0073】
図6は、ヘッドマウントディスプレイ100の通信環境の一例を概略的に示す。図6に示すように、ヘッドマウントディスプレイ100は、ホームセキュリティシステム300と無線通信してよい。ホームセキュリティシステム300は、各種センサを備えて、家庭内等の安全管理を行うシステムであってよい。なお、ホームセキュリティシステム300は、家庭内に限らず、オフィス等に設置されてもよい。
【0074】
外部映像取得部156は、ホームセキュリティシステム300が備える撮像装置302によって撮像された外部映像を、無線通信部176を介して取得してよい。接近検出部178は、撮像装置302によって撮像された外部映像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ100に対する物体の接近を検出してよい。例えば、撮像装置302の画角にヘッドマウントディスプレイ100が含まれるように予め設定しておくことによって、接近検出部178は、撮像装置302による外部映像に基づいてヘッドマウントディスプレイ100に対する人物の接近を検出できる。
【0075】
表示制御部160は、表示部162に映像コンテンツを表示させている間に物体の接近が検出された場合、撮像装置302による外部映像と映像コンテンツとの重畳画像を表示部162に表示させてよい。これにより、装着者は、客観的な視点から、人物等の物体が接近していることを確認することができる。
【0076】
以上の説明において、ヘッドマウントディスプレイ100が備える外部映像取得部156、付加情報取得部158、表示制御部160、外部音声取得部166、音声出力制御部168、映像コンテンツ取得部172、映像コンテンツ格納部174、無線通信部176、接近検出部178、及び距離取得部180は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。例えば、ヘッドマウントディスプレイ100上でプログラムが実行されることにより、コンピュータが、ヘッドマウントディスプレイ100の一部として機能してもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
【0077】
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ100の一部として機能させるプログラムは、ヘッドマウントディスプレイ100の各部の動作を規定したモジュールを備える。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、ヘッドマウントディスプレイ100の各部としてそれぞれ機能させる。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有のヘッドマウントディスプレイ100を構築することができる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0079】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0080】
100 ヘッドマウントディスプレイ、102 本体、104 ヘッドバンド、106 ヘッドパッド、110 前方カメラ、112 右眼用カメラ、114 左眼用カメラ、116 後方カメラ、120 ディスプレイ、122 右眼用ディスプレイ、124 左眼用ディスプレイ、132 右側マイク、134 左側マイク、136 イヤホン端子、140 内蔵アンテナ、142 内蔵メモリ、152 前方撮像部、154 後方撮像部、156 外部映像取得部、158 付加情報取得部、160 表示制御部、162 表示部、164 集音部、166 外部音声取得部、168 音声出力制御部、170 音声出力部、172 映像コンテンツ取得部、174 映像コンテンツ格納部、176 無線通信部、178 接近検出部、180 距離取得部、190 頭部保護部、210 映像コンテンツ、220 外部映像、230 重畳画像、300 ホームセキュリティシステム、302 撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6