(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851566
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】扇風機
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20160114BHJP
F04D 25/10 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
F04D25/08 301A
F04D25/10 302K
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-162465(P2014-162465)
(22)【出願日】2014年8月8日
(62)【分割の表示】特願2013-189178(P2013-189178)の分割
【原出願日】2012年4月3日
(65)【公開番号】特開2014-209001(P2014-209001A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2014年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 勇治
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 貴勇
(72)【発明者】
【氏名】山中 功二
【審査官】
佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−191289(JP,U)
【文献】
実開昭60−012696(JP,U)
【文献】
特開2011−226348(JP,A)
【文献】
特開平03−172598(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3042536(JP,U)
【文献】
特開2011−233410(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0291617(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0022631(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0069694(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3160763(JP,U)
【文献】
実開昭63−132898(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/08
F04D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根と、
前記羽根の周囲を覆うガード部と、
前記羽根よりも後方に配置され、該羽根を回転させるための電動モータと、
該電動モータに電力を供給するための充電式のバッテリパックを装着するためのバッテリ装着部と、
前記ガード部及び前記バッテリ装着部を支持する左右一対の脚部と、を有し、
前記左右一対の脚部は、前記羽根よりも後方において脚部台を介して相互に結合されており、該脚部台は、前記バッテリ装着部に結合されており、
前記ガード部が前傾姿勢と後傾姿勢との間を傾動可能に支持されて送風向きを斜め下向き又は斜め上向きに変更可能な構成とした扇風機。
【請求項2】
請求項1記載の扇風機であって、前記バッテリパックは、前記バッテリ装着部に対してスライドさせることにより装着される構成とした扇風機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の扇風機であって、前記左右一対の脚部には、それぞれ前側の脚部ガードと、後ろ側の脚部ガードとを有する構成とした扇風機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載した扇風機であって、前記ガード部は前記脚部に対して前後に傾動可能に支持された扇風機。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した扇風機であって、AC電源供給用のアダプタ接続部を備えた扇風機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載した扇風機であって、電動工具用のバッテリパックを前記バッテリ装着部に装着可能な構成とした扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バッテリ式の扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式のバッテリ(直流電源)を電源とする扇風機は、一般家庭の交流100V電源を必要としないことから、例えば建築工事現場等の様々な場所に持ち運んで使用できる。また、バッテリを取り外して別途用意した充電器で充電すれば繰り返し使用することができる。例えば、建築工事現場等において、電気ドリルやねじ締め機等の電動工具のバッテリとして用いられる充電式のバッテリパックを電源として利用できれば、この種のバッテリパックを扇風機と電動工具とで効率よく使い回すことができる。
下記の特許文献には、充電式のバッテリパックを電源とする扇風機に関する技術が開示されている。開示された技術によれば、比較的重量の大きなバッテリパックを支脚の下端部に装着して置き台として機能させる構成であるので、扇風機を安定して設置しておくことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-172598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の扇風機では、いわゆる首振り機能を備えないため、一旦設置すればその送風方向が固定されてしまう。このため、送風方向を変更する場合には作業を中断して当該扇風機の設置向きを変更する必要があり、この点で使い勝手を改善する必要があった。
本発明は、係る従来の問題に鑑みてなされたもので、電動工具の充電式バッテリパックを電源として利用できる扇風機(充電式ファン)であって
、従来よりもより広範囲に向けて送風できるようにしてその使い勝手を一層高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、下記の発明によって解決される。
請求項1記載の発明は、
羽根と、前記羽根の周囲を覆うガード部と、前記羽根よりも後方に配置され、該羽根を回転させるための電動モータと、該電動モータに電力を供給するための充電式のバッテリパックを装着するためのバッテリ装着部と、前記ガード部及び前記バッテリ装着部を支持する左右一対の脚部と、を有し、前記左右一対の脚部は、前記羽根よりも後方において脚部台を介して相互に結合されており、該脚部台は、前記バッテリ装着部に結合されており、前記ガード部が前傾姿勢と後傾姿勢との間を傾動可能に支持されて送風向きを斜め下向き又は斜め上向きに変更可能な構成とした扇風機である。
請求項1記載の発明によれば、
ガード部を前傾姿勢又は後傾姿勢に回動させればその送風向きを変更することができるので、当該扇風機の使い勝手を高めることができる。
また、
請求項1記載の発明によれば
、バッテリパックを電源として利用することができるので、建築作業現場等において、交流電源等を用意しなくとも当該扇風機を利用することができる。扇風機は、暑い作業環境において涼風を発生させるため、あるいは周辺の粉塵等を吹き飛ばす等して、主として作業環境を良好に保つために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態に係る扇風機の全体正面図である。
【
図2】
図1の(II)矢視図であって、扇風機の右側面図である。
【
図3】
図1の(III)矢視図であって、扇風機の左側面図である。
【
図4】
図3の(IV)矢視図であって、扇風機の全体背面図である。
【
図5】
図1の(V)矢視図であって、扇風機の平面図である。
【
図6】
図1の(VI)矢視図であって、扇風機の底面図である。
【
図7】
図4中(VII)-(VII)線断面矢視図であって、首振り機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を
図1〜
図7に基づいて説明する。図示するように本実施形態の扇風機1は、本体部10と台座部20を備えている。本体部10は、電動モータ11(直流モータ)と、この電動モータ11で回転する3枚羽根形式の羽根(ファン)12と、羽根12の周囲を覆うガード部13と、ガード部13を介して当該本体部10を台座部20に支持する支持枠部14を備えている。台座部20は、この本体部10を設置面F上に設置(自立)させる機能を有するもので、台座本体21と左右一対の脚部22,22を備えている。
本体部10のガード部13は、それぞれ円形椀形の前ガード13aと後ろガード13bが結合面J2で相互に突き合わされた前後二分割構造を有している。前ガード13aと後ろガード13bは、それぞれ鋼線を同心円上に配置した複数の円形枠と放射方向に配置した複数の放射枠が結合された網目構造を有している。
ガード部13の背面中央(後ろガード13bの中央)に電動モータ11が配置されている。この電動モータ11の上部には持ち運び用のハンドル部15が設けられている。この電動モータ11は、後述するバッテリパック23を電源として起動する。
ガード部13の左右側部が、相互に同軸の傾動支軸部14a,14aを介して支持枠部14に支持されている。ガード部13は、左右の傾動支軸部14a,14aを中心にして前後に一定の角度範囲内で傾動可能に支持されている。左右の傾動支軸部14a,14aには、リーフスプリングによるポジティブストップ機構が組み込まれている。このポジティブストップ機構によりガード部13ひいては本体部10の前傾姿勢又は後傾姿勢を任意の傾斜角度で位置保持できるようになっている。
図4に示すように背面視で、この前後傾動軸線J1上であって左右の傾動支軸部14a,14a間の中央に電動モータ11が配置されている。
支持枠部14は、ガード部13の下側ほぼ半周の範囲に沿った半円弧形状を有する枠体で、その左右上端部に傾動支軸部14a,14aが設けられている。
図4に示すようにこの支持枠部14の中央(下端部)に設けた本体支軸部14bを介して当該本体部10が台座本体21の上面に支持されている。この本体支軸部14bの軸線(後述する首振り軸線J0)は、ガード部13の結合面J2上に位置している。このため、本体部10をよりコンパクトに(より狭いスペース内で)首振り(回動)させることができる。
本体支軸部14bは、台座本体21に内装された首振り機構30に結合されている。この首振り機構30によって本体部10は、左右に一定角度の範囲で回動可能(首振り可能)に支持されている。この首振り機構30については後述する。
【0008】
台座部20の台座本体21は矩形箱体をなし、内部に主として上記した首振り機構30と電源回路部と操作部を内装している。この台座本体21の下面側にバッテリパック23が装着されている。バッテリパック23は、台座本体21の正面側下面に設けたバッテリパック装着用の凹部21a内に装着されている。バッテリパック23は、このバッテリ装着凹部21a内からほぼはみ出さない状態に装着される。このバッテリパック23は、例えば電動ねじ締め機やグラインダ等のバッテリ式電動工具の電源として用いられるスライド装着式のリチウムイオンバッテリで、これら電動工具から取り外したバッテリパックをそのまま用いることができる。
このバッテリパック23は、バッテリ装着凹部21aに対して前後にスライドさせることにより取り付け、取り外しされる。
図1に示すようにこのバッテリパック23の正面には取り外しボタン23aが設けられている。この取り外しボタン23aを指先で
図1において下側に押し下げることにより、当該バッテリパック23を
図1において手前側(正面側)にスライドさせてバッテリ装着凹部21aから取り外すことができる。取り外したバッテリパック23は、別途用意した充電器で充電することにより、当該扇風機1の電源としてあるいは別の電動工具の電源として繰り返し利用することができる。このバッテリパック23の電力が図示省略した電源回路を経て電動モータ11あるいは後述する首振りモータ31等に供給される。
バッテリパック23はバッテリ装着凹部21a内に取り付けた状態において、その重心が首振り軸線J0に一致するようその装着部位が設定されている。このため、比較的重い重量物であるバッテリパック23を装着した状態において、当該扇風機1を安定した状態で設置しておくことができる。
【0009】
台座本体21は、左右一対の脚部22,22によって設置面Fから浮き上がった位置に支持される。この脚部22,22によって台座本体21が設置面Fとの間に、使用者が手先を差し入れてバッテリパック23の取り付け、取り外しを楽に行うための操作スペースSが設けられている。
左右の脚部22,22は、バッテリパック23の装着方向を含む鉛直面に対して直交する方向であって台座本体21の左右側部から側方へ張り出す状態に設けられている。
左右の脚部22,22は、それぞれ1本の鋼管を折り曲げて矩形枠組み状に形成したもので、左右対称に設けられている。以下、左側の脚部22について説明する。図では右側の脚部22についても同位の符号が付されている。左側の脚部22は、台座本体21の左側部から側方へ延びる上側方部22a、上側方部22aの左端部から前方へ延びる上前後部22b、上前後部22bの前部から下方へ延びる縦部22c、縦部22cの下部から後方へ延びる下前後部22d、下前後部22dの後部から右方に延びる下側方部22eを有している。下側方部22eは、台座本体21の後部に設けた脚部台21bに結合されている。左右の脚部22,22は、この脚部台21bで相互に結合されている。
左右脚部22,22の各部22a,22b,22c,22d,22eは滑らかに湾曲する角部を経て相互に連続的に結合されている。縦部22cと下前後部22dとの角部、下前後部22dと下側方部22eとの間の角部には、それぞれ樹脂製の脚部ガード25,26が取り付けられている。図示するように、この脚部ガード25,26が左右の脚部21,21においてそれぞれ設置面Fに接地されている。この樹脂製の脚部ガード25,26を介して左右脚部22,22が設置面Fに接地されることにより当該設置面Fの傷付きが防止される。
【0010】
次に、前記したように台座本体21内には、首振り機構30が内装されている。この首振り機構30は、本体部10を左右に一定の角度範囲で回動(首振り)させる機能を有するもので、本実施形態ではこの首振りが電動(自動)でなされるようになっている。
図4及び
図7に示すように本実施形態の首振り機構30は、首振りモータ31を駆動源とする電動式となっている。首振りモータ31の出力軸31aには偏心円板32が取り付けられている。この偏心円板32の上面周縁部には1本の偏心ピン33が上方へ突き出す状態に取り付けられている。一方、台座本体21の上面から内部に突き出された本体部10の本体支軸部14bには、作動アーム34が取り付けられている。この作動アーム34は本体支軸部14bから径方向に張り出す状態に固定されている。この作動アーム34には、その長手方向に長い長溝孔形状の係合孔34aが設けられている。この係合孔34a内に、上記偏心ピン33が下方から進入されている。
このため、首振りモータ31が起動すると、偏心円板32の回転に伴い偏心ピン33が首振りモータ31の出力軸線回りに公転する。偏心ピン33の公転運動は、当該偏心ピン33が係合孔34a内に沿って移動することにより当該係合孔34aの長手方向成分が吸収され、それ以外の変位成分が作動アーム34に揺動運動として伝達される。偏心ピン32の公転運動により、作動アーム34が首振り軸線J0回りに一定の角度範囲で往復動(回動)し、これにより本体部10が左右に回動(首振り)する。
【0011】
図1に示すように台座本体21の正面上部には、使用者が操作する操作パネル24が設けられている。この操作パネル24の中央には、電源ボタン24aが配置されている。この電源ボタン24aを押し操作すると本体部10の電動モータ11が起動してファン12が回転する。ファン12が回転すると正面側から送風が発生する。このオン状態で電源ボタン24aを押し操作すると、電動モータ11が停止してファン12の回転が停止する。
電源ボタン24aの向かって右側には、風量切り換えボタン24bが配置されている。この風量切り換えボタン24bを押し操作する回数によって風量の強弱が三段階に切り換えられる。切り換えられた風量は、この風量ボタン24bの上側に配置された三つの風量表示ランプ24c〜24cの点灯数によって知ることができる。風量表示ランプ24cが、1つ点灯時は「弱」、2つ点灯時は「中」、3つ点灯時は「強」に設定されている。
電源ボタン24aの上側には、首振りボタン24dが配置されている。この首振りボタン24dを押し操作すると、首振りモータ31が起動して本体部10が一定の角度範囲で左右に首振り動作する。本体部10が左右に首振り動作することにより、送風範囲が左右に拡大する。この首振り状態において、首振りボタン24dをもう一度押し操作すると、首振りモータ31が停止して本体部10の首振り動作が停止される。
電源ボタン24aの向かって左側には、動作停止用のタイマーボタン24eが配置されている。このタイマーボタン24eを押し操作する回数によって、動作停止までの時間を任意に選択して切り換えることができる。このオフタイマーの設定状態は、上側に横並び状態で配置された3つのタイマーランプ24f〜24fによって報知される。タイマーランプ24fが、1つ点灯時は「1時間」、2つ点灯時は「2時間」、3つ点灯時は「4時間」に設定されている。オフタイマーが設定されていない連続運転状態では、タイマーランプ24f〜24fが三つとも消灯した状態となる。タイマーボタン24eにより設定されたタイマー設定状態は、電源ボタン24aの押し操作により本体部10を停止させることによってもキャンセルされる。
【0012】
次に、
図2に示すように台座本体21の右側部には、交流100Vを直流15Vに変換するためのAC電源アダプタ(図示省略)を接続するアダプタ接続部27が設けられている。扇風機1は、バッテリパック23から供給される直流電源(14.4Vまたは18V)と、アダプタ接続部27に接続したAC電源アダプタによりDC15Vに変換される交流電源(AC100V)の双方に対応している(充交両用)。アダプタ接続部27にDC電源アダプタを接続すると、バッテリパック23からの電源供給が自動的に遮断されて、アダプタ接続部27経由で電源が供給される。逆に、アダプタ接続部27からAC電源アダプタを外すとバッテリパック23からの電源供給に自動的に切り換わる。
【0013】
以上のように構成した本実施形態の扇風機1によれば、本体部10が台座部20に対して左右に首振り可能に設けられていることから、使用者がハンドル15を把持する等して当該扇風機1を浮かせてその設置向きをわざわざ変更する手間を掛けることなく、本体部10の送風向きを変更することができ、この点で当該扇風機1の使い勝手を高めることができる。
しかも、本実施形態の首振り機構30は首振りモータ31を駆動源とする電動式(自動式)であるので、首振りボタン24aをオン操作しておけば、その後使用者は何ら操作することなく本体部10を自動的に左右に一定の角度範囲で往復動させることができ、これにより首振り機構を有しない従来の風向き固定式の扇風機に比してより広範囲な送風を実現することができる。
また、本実施形態の場合、本体部10は前後傾動支軸部14a(前後傾動支軸J1)を中心にして前後に傾動可能であるので、その送風向きを上下に変更することもでき、これにより一層広範囲に送風することができる。本体部10の前傾姿勢又は後傾姿勢は、傾動支軸部14aに組み込んだポジティブストップ機構により、任意の傾斜角度で位置保持できるようになっている。
さらに、首振り軸線J0が、ガード部13の結合面J2上に位置していることから、当該本体部10を最もコンパクトに回動させることができ、これにより狭いスペース内であっても当該扇風機1を首振り状態で利用することができる。
また、比較的重量物であるバッテリパック23の重心が首振り軸線J0に一致しているので、転倒方向のモーメント若しくは振動等を発生させることなく安定した設置状態で本体部10の首振り動作を行うことができる。
また、左右の脚部22,22が台座本体21の左右側部から側方へ張り出す状態であってバッテリパック23の装着方向を含む鉛直面に直交する方向に張り出す状態に配置されていることから、バッテリパック23の取り付け、取り外しの邪魔になることなく、また、操作パネル24の良好な操作性が確保されている。
また、ガード部13の背面側であって電動モータ11の上部にハンドル15が設けられていることから、ガード部13の上部に設けた場合に比して当該扇風機1を高さ方向にコンパクト化することができる。また、本体部10が前後傾動軸線J1を中心にして前後に傾動可能であるので、当該前後傾動軸線J1よりも後方かつ上方に設けられたハンドル15を把持して当該扇風機1を持ち上げると、相対的に本体部10が台座部20に対して前傾して当該扇風機1の重心がハンドル15を把持した部位を通る鉛直線上に変位することから、使用者は当該扇風機1を重量バランスのよい安定した姿勢で楽に持ち運ぶことができる。
【0014】
さらに、本実施形態の扇風機1によれば、電源としてのバッテリパック23を台座本体21の正面側下面に設けたバッテリ装着凹部21aに装着する構成であり、かつその取り付け、取り外しのためのスライド方向が設置面Fにほぼ沿った方向となっている。しかも、台座本体21と設置面Fとの間に使用者が手先を差し入れるための操作スペースSが設けられている。このため、ハンドル部15を把持する等して当該扇風機1をわざわざ持ち上げなくとも(設置状態のまま)、バッテリパック23をバッテリ装着凹部21aから楽に取り外し、逆にバッテリ装着凹部21aに楽に装着することができ、この点でも当該扇風機1の操作性及び使い勝手を高めることができる。
さらに、バッテリパック23の装着部(端子部、スライドレール部)を上向きにして当該バッテリパック23を手の平に載せた状態で台座本体21のバッテリ装着凹部21aに対してスライドさせることにより装着することができるので、当該バッテリパック23の装着時の取り扱い性がよく、迅速かつ楽に装着することができる。
また、扇風機1は、バッテリパック23により供給される、DC14.4V(またはDC18V)と、アダプタ接続部27に接続したAC電源アダプタを経てDC15Vに変換される交流100Vとを切り換えて用いることができるので、当該扇風機1を室内で用いる場合や屋外で用いる場合等の様々な場所でその使い勝手を一層高めることができる。
【0015】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、本体部10の首振り機構30が、首振りモータ31を駆動源とする電動式(自動首振り式)である場合を例示したが、単に本体支軸部を介して左右に回動可能とした手動首振り式に変更してもよい。係る手動首振り式であっても、当該扇風機を設置した状態のままで本体部の送風方向を変更することができ、従来の固定式よりも使い勝手を高めることができる。
また、本体部10の前後傾動機能は省略してもよい。前後傾動機能を省略する場合には、支持枠部14を省略してガード部13の下部に首振り用の本体支軸部を直接設ける構成としてもよい。
さらに、支持枠部14を介して本体部10を下方から支持する構成を例示したが、門型の支持枠部に本体部を吊り下げるようにして支持する構成としてもよい。
また、バッテリパック23の装着位置は、例示したように台座本体21の正面下部とする構成の他、その上面あるいは側部であってもよく、さらには本体部10の背面側に装着する構成としてもよい。バッテリパックは、例示したようにスライド装着式の他、差し込み式等のその他の取り付け形態のものを用いる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0016】
F…設置面
1…扇風機
10…本体部
11…電動モータ
12…羽根(ファン)
13…ガード部、13a…前ガード、13b…後ろガード
14…支持枠部、14a…傾動支軸部、14b…本体支軸部
15…ハンドル
20…台座部
21…台座本体、21a…バッテリ装着凹部
22…脚部
22a…上側方部、22b…上前後部、22c…縦部、22d…下前後部
22e…下側方部
23…バッテリパック、23a…取り外しボタン
24…操作パネル
24a…電源ボタン、24b…風量切り換えボタン、24c…風量表示ランプ
24d…首振りボタン、24e…タイマーボタン、24f…タイマーランプ
25,26…脚部ガード
27…アダプタ接続部
30…首振り機構
31…首振りモータ
32…偏心円板
33…偏心ピン
34…作動アーム、34a…係合孔
J0…首振り軸線
J1…前後傾動軸線
J2…結合面
S…操作スペース