(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851646
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】膜濃縮工程を含む沈殿シリカの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/193 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
C01B33/193
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-500935(P2015-500935)
(86)(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公表番号】特表2015-510867(P2015-510867A)
(43)【公表日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】EP2013055978
(87)【国際公開番号】WO2013139934
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2014年11月13日
(31)【優先権主張番号】1252587
(32)【優先日】2012年3月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ヌヴー, シルヴェーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ピノー, アンヌ−ロール
【審査官】
森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表平09−510686(JP,A)
【文献】
特表2004−522682(JP,A)
【文献】
特表2008−525545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 − 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿シリカの懸濁液(S1)を得るためのシリケートと酸性化剤の反応後、ケーキを得るための分離工程、沈殿シリカの懸濁液(S2)を得るための前記ケーキの分解工程、沈殿シリカの懸濁液の乾燥工程が続く、沈殿シリカの製造方法であって、膜濃縮工程が前記分解工程と前記乾燥工程の間に実施される、方法。
【請求項2】
前記膜濃縮工程が、接線濾過により実施される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜濃縮工程が、動的接線濾過により実施される請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記膜濃縮工程が、回転動的接線濾過により実施される請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記膜濃縮工程の結果得られた生成物が、24重量%を超える固体含量を有する沈殿シリカの懸濁液である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記膜濃縮工程の結果得られた生成物が、少なくとも26重量%の固体含量を有する沈殿シリカの懸濁液である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記膜濃縮工程の結果得られた生成物が、25重量%〜30重量%の固体含量を有する沈殿シリカの懸濁液である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記膜濃縮工程が、40〜90℃の温度で実施される請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
解砕工程が、前記分離工程と前記分解工程の間に実施される請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記分離工程が、濾過工程からなり、適切な場合は、洗浄工程が続く請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記濾過工程が、真空フィルターまたはフィルタープレスを用いて実施される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥工程が、噴霧により実施される請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記乾燥工程が、ノズル噴霧器を用いて実施される請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記乾燥工程から得られた生成物に粉砕工程を施す請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥工程から得られた生成物に凝集化工程を施す請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
粉砕工程から得られた生成物に凝集化工程を施す請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿シリカを製造する改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
触媒担体として、活性物質用の吸収剤(特に、ビタミン(特にビタミンE)、塩化コリンなどの、たとえば食品中に使用される、液体用の担体)として、粘性化剤、テクスチャライジング剤もしくは凝固防止剤として、電池セパレーター要素として、または練り歯磨きもしくは紙用の添加剤として沈殿シリカを用いることは公知である。
【0003】
沈澱シリカを、シリコーンマトリックス(たとえば、電気ケーブルを被覆するための)中でまたは、たとえば靴底、床仕上げ材、ガスバリア、難燃性材料ならびにまた空中ケーブルローラー、家庭電化製品用のシール、液体もしくはガスパイプ用のシール、ブレーキシステム・シール、被覆材料、ケーブルおよび伝動ベルトなどの、エンジニアリング構成部品用の、天然もしくは合成ポリマーを、特にエラストマー、とりわけジエンエラストマーをベースとする組成物中で強化充填材として用いることもまた可能である。
【0004】
沈殿シリカは、エラストマー、特に、タイヤにおいて、白色強化充填材として長い間用いられてきた。
【0005】
沈殿シリカは、概して、シリケート、特にアルカリ金属シリケートと酸性化剤との沈殿反応に続いて、濾過ケーキを得るための濾過による分離工程、通常は、このケーキの洗浄工程、濾過ケーキの分解の任意選択的な工程、および前記ケーキの、たとえば、噴霧化による乾燥工程により、製造される。
【0006】
最新技術のプロセスにおいて、概して、噴霧化工程を施した、分解操作後のケーキは大量の水を含んでいる。噴霧化工程の実施によって、長い時間を必要とし、大量のエネルギーを消費する、この大量の水を、特に、放出させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、本発明の目的の1つは、特に、乾燥に関して、エネルギーコストを制限することを可能とする沈殿シリカの製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の目的の1つは、特に、経済的かつ簡単に実施される、公知の沈殿シリカの製造方法の代替を提供することである。
【0009】
本発明の目的の1つは、好ましくは、特に、最新技術の方法に対して、乾燥におけるエネルギー消費を、概して、少なくとも約10%、特に、少なくとも約15%、たとえば少なくとも約20%削減することを可能とする方法を提供することである。
【0010】
本発明の目的の1つは、好ましくは、特に、最新技術の方法に対して、特に、乾燥工程での沈殿シリカの製造方法の生産高を、概して、少なくとも約15%、特に、少なくとも約20%、たとえば、少なくとも約25%増大可能とさせる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このように、沈殿シリカの懸濁液(S1)を得るためのシリケートと酸性化剤の反応後、ケーキを得るための分離工程、沈殿シリカの懸濁液(S2)を得るための前記ケーキの分解工程、この懸濁液の乾燥工程が続く、沈殿シリカの製造方法であって、膜濃縮工程が前記分解工程と前記乾燥工程の間に実施される、方法に関する。
【0012】
特に、本発明による方法は、次の工程を含む。
− 少なくとも1つのシリカを、少なくとも1つの酸性化剤と反応(沈殿反応)させて、沈殿シリカの懸濁液(S1)を得る、
− 固体/液体分離工程、特に、濾過工程を、実施して、「濾過」ケーキとも呼ばれる固体生成物を得る、
− 沈殿シリカの懸濁液(S2)を得るために、前記濾過ケーキに分解操作を施す、
− 膜濃縮工程を続いて前記懸濁液(S2)に実施する
− このようにして得られた生成物を、好ましくは、噴霧化により乾燥する。
【0013】
本発明の方法の特定の工程は、前記方法の他の工程と組み合わせた、膜濃縮工程からなり、これは、分解後に得られた懸濁液(S3)から大量の水を機械的に除去することを可能とさせる。
【0014】
かかる操作を、方法の他の工程と組み合わると、乾燥工程の前に、生成物の固体含量を増大させることができる。続いて乾燥を施す生成物の含む水を少なくするため、後の乾燥工程におけるエネルギーの節約となる。
【0015】
本発明による方法の実施によって、有利には、得られる沈殿シリカの特性、特に、その分散性を、特にエラストマーにおいて低下させることなく、特に、乾燥工程における生産性を、少なくとも約15%、好ましくは、少なくとも約20%、たとえば、少なくとも約25%、最新技術の方法に対して、増大させることができる。
【0016】
用いる濃縮工程には、膜技術が含まれる。特に、上述の懸濁液(S2)を、膜に循環させ、このようにして得られた濃縮物を回収することからなる。
【0017】
こうした膜技術は、当業者に周知されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の方法の一実施形態によれば、膜濃縮工程は、接線濾過により実施される。この接線濾過技術も、当業者に周知されている。
【0019】
このように、接線濾過は、流体、すなわち、上述の懸濁液(S2)を、フィルター表面に対して接線方向に通過させることからなる。それがフィルターを通過させる流体の圧力である。この場合は、粒子が、接線循環流れ中に残り、濾過媒体が、そう迅速ではないが遮断される。
【0020】
本発明の方法の一実施形態によれば、膜濃縮工程は、標準または動的接線濾過により実施される。
【0021】
標準接線濾過の場合には、用いる膜は固定し、流体、すなわち、この場合は、懸濁液(S2)が循環する。動的接線濾過の場合には、膜は動く。これら2つの接線濾過技術は、当業者に周知されている。
【0022】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、膜濃縮工程は、動的接線濾過、特に、振動(たとえば、VSEP(Vibratory Shear Enhanced Processing)システム)または回転タイプで実施される。
【0023】
本発明の方法の一実施形態によれば、膜濃縮工程は、回転動的接線濾過により実施される。
【0024】
本発明による方法では、たとえば、回転ディスクによる動的接線濾過の技術を用いて行われる。この方法では、回転セラミックディスクが、乱流運動および濾過媒体と懸濁液間の速度差を生成する。これらの乱流運動が、濾過を阻害する恐れのある膜表面での固体凝集物の形成を防ぐ。この技術は、蒸発によらず、機械的に水を除去することからなるため、最終的に、エネルギーコストを削減することができる。
【0025】
本発明の方法の一実施形態によれば、膜濃縮工程の結果得られた生成物は、固体含量が24重量%を超える、好ましくは、少なくとも26重量%の沈殿シリカの懸濁液(S3)である。
【0026】
本発明の方法の一実施形態によれば、膜濃縮工程の結果得られた生成物は、固体含量が25重量%〜30重量%の沈殿シリカの懸濁液(S3)である。
【0027】
本発明の方法の一実施形態によれば、膜濃縮工程は、高温条件、特に、40〜90℃の温度で実施される。
【0028】
本発明による方法は、沈殿シリカの合成方法、すなわち、特定の種類の沈殿シリカに限定することなく、まず、少なくとも1つの酸性化剤を、少なくとも1つのシリケートと反応させる沈殿工程を実施する方法に関する。
【0029】
本発明による方法は、特に、たとえば、欧州特許第0 520 862号明細書、欧州特許第0 670 813号明細書、欧州特許第0 670 814号明細書、欧州特許第0 917 519号明細書、国際公開第95/09127号パンフレット、国際公開第95/09128号パンフレット、国際公開第98/54090号パンフレット、国際公開第03/016215号パンフレット、国際公開第2009/112458号パンフレットまたは国際公開第2012/010712号パンフレットに記載された方法に従って得られる沈殿シリカを製造することができる。
【0030】
シリケートと酸性化剤の反応による沈殿反応は、いずれかの調製方法に従って、本発明による方法において実施することができ、特に、酸性化剤のシリケートの原料への添加、または、酸性化剤とシリケートの水原料への全または部分添加、またはシリケートまたは酸性化剤のその他同時添加により行うことができる。
【0031】
酸性化剤とシリケートの選択は、それ自体は周知されている。概して、酸性化剤としては、強無機酸、たとえば、硫酸、硝酸または塩酸、あるいは、有機酸、たとえば、酢酸、ギ酸またはカルボン酸が用いられる。
【0032】
沈殿工程の結果、沈殿シリカの懸濁液(またはスラリー)S1が得られ、任意選択的に、様々な添加剤を加えることができ、それは後に分離される。
【0033】
本発明の特定の実施形態によれば、上述した分離工程は、固体/液体分離工程からなる。好ましくは、それは濾過工程からなり、結果として、濾過ケーキが得られ、適切であれば、前記ケーキの洗浄工程が続く。
【0034】
濾過は、任意選択の好適な方法によって、たとえばフィルタープレス、ベルトフィルターまたは回転真空フィルターを用いて実施される。
【0035】
得られたケーキは、後に、分解工程が施される。分解操作は、流体化または液化操作であり、濾過ケーキが液体とされ、沈殿シリカは再び懸濁液とされる。概して、この操作によって、後に乾燥すべき懸濁液の粘度を低くすることが特に可能となる。この操作は、このように、たとえば、アルミン酸ナトリウム等のアルミニウム化合物および/または酸を加え、機械的作用(たとえば、連続攪拌タンクに通過させたり、コロイドタイプのミルに通したりすることにより)と好ましくは組み合わせて、濾過ケーキに化学作用を施すことによって実施することができる。分解後に得られる懸濁液(特に、水性懸濁液)S2は、通常比較的低い粘度を示す。
【0036】
一実施形態によれば、本発明の方法は、分離工程と分解工程の間に解砕工程を含むことができる。
【0037】
この任意選択の工程は、分離工程から得られたケーキの破砕からなり、前記ケーキの粒子サイズを減じることを可能とさせる。たとえば、この工程は、Gericke Nibbler で実施することができ、ケーキを、20mm未満の直径、好ましくは2〜14mmのサイズの篩に通すものである。この解砕工程はまた、Wyssmontデバイス、たとえば、「Rotocage Lumpbreaker」、「Double Rotocage Lumpbreaker」または「Triskelion Lumpbreaker」により実施することができる。
【0038】
分解工程で得られた沈殿シリカS2の懸濁液には、上述した膜濃度工程を施す。
【0039】
膜濃度工程から得られた沈殿シリカS3の懸濁液を続いて乾燥する。
【0040】
この乾燥操作は、それ自体公知の任意選択的な手段によって実施することができる。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、乾燥は噴霧により実施される。
【0042】
この目的のために、任意の種類の好適な噴霧器、特に回転、ノズル、液体圧力または二流体噴霧器を用いてもよい。
【0043】
好ましくは、本発明の方法において、分離工程は、真空フィルター(特に、回転真空フィルター)により実施され、乾燥工程は、ノズル噴霧器を用いて実施される。
【0044】
乾燥操作を、ノズル噴霧器により実施するとき、得ることのできる沈殿シリカは、好ましくは、少なくとも80μmの平均サイズの実質的に球状ビーズ(マイクロビーズ)の形態で存在するのが有利である。
【0045】
この乾燥操作の結果、回収する生成物に粉砕工程を任意選択的に行うことができる。得られた沈殿シリカは、好ましくは、5〜70μmの平均サイズの粉末の形態で一般的に存在している。
【0046】
乾燥操作を、回転噴霧器により実施するときは、得ることのできる沈殿シリカは、たとえば、5〜70μmの平均サイズの粉末の形態で存在することができる。
【0047】
上に示されたように乾燥(たとえば、回転噴霧器によって)または粉砕した生成物に、たとえば、直接圧縮、湿式造粒(すなわち、水、シリカ懸濁液などの、バインダーを使った)、押出しまたは、好ましくは、乾式圧縮からなる凝集化工程を任意で施すことができる。後者の技法が用いられる場合、圧縮を実施する前に、その中に含まれる空気を除去するため、そしてより一様な圧縮を確保するために粉状生成物を脱気する(予備圧縮または脱ガスとも言われる操作)ことが推奨される。
【0048】
この凝集化工程の結果得ることのできる沈殿シリカは、概して、顆粒の形態で、特に、サイズは、少なくとも1mm、たとえば、1〜10mm、特に、最大寸法の軸に沿って存在する。
【0049】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、その範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0050】
実施例1
用いる沈殿シリカの懸濁液(S2)は、シリカZ1165MPのスラリーであり、濾過工程の後、濾過工程で得られたケーキの分解工程から得られ、以下の特性を示す。
温度:50℃
pH:6.0〜6.5
湿度:77%
【0051】
懸濁液(S2)の一部(S’2)を噴霧化により直接乾燥する。
【0052】
懸濁液S2の他の部分には、DCF 152/0.14 濾過ユニット(Kmpt)での膜濃縮工程を施し、0.14m
2 の濾過表面積で、細孔径が200nmの Al
2O
3 膜(Kerafol)を用いる。
【0053】
膜貫通圧は、0.8バールに設定し、0.4バールの逆洗を4秒ごとに行う。
【0054】
透過水量は、25l/h/m
2である。得られた濃縮スラリーS3の固体含量は26%である。
【0055】
固体含量が26%のスラリーS3を、続いて、懸濁液S2の一部S’2の場合と同様に、噴霧化する。
【0056】
スラリーS’2の直接乾燥に対して、エネルギー消費の15%削減およびそれに関連した18%の生産性の向上が観察される。
【0057】
膜濃縮前後のスラリーの粒子サイズを以下の表に示す。
【0058】
【0059】
これらのデータから、シリカスラリーS2が受ける機械的作用(スラリーS3を得るために)によって、微粒子のその含量が変化しないということを観察することができる。
【0060】
実施例2
用いる沈殿シリカの懸濁液(S2)は、シリカZ1165MPのスラリーであり、濾過工程の後、濾過工程で得られたケーキの分解工程から得られ、以下の特性を示す。
温度:50℃
pH:6.0〜6.5
湿度:77%
【0061】
懸濁液S2の一部(S’2)を噴霧化により直接乾燥する。
【0062】
懸濁液S2の他の部分には、SSDF CRD−01濾過ユニット(Novoflow)での膜濃縮工程を施す。このユニットは、細孔径200nm、すなわち、濾過表面積が0.1m
2のAl
2O
3膜でできたKerafolで構成された直径152mmの3枚のディスクの束を含む。
【0063】
1バールの膜貫通圧をかける。18l/h/m
2の透過流量で、固体含量27.5%のスラリーS3が得られる。
【0064】
固体含量が27.5%のスラリーS3を、続いて、懸濁液S2の一部S’2の場合と同様に、噴霧化する。
【0065】
スラリーS’2の直接乾燥に対して、エネルギー消費の22%削減およびそれに関連した27%の生産性の向上が観察される。
【0066】
膜濃縮前後のスラリーの粒子サイズを以下の表に示す。
【0067】
【0068】
これらのデータから、シリカスラリーS2が受ける機械的作用(スラリーS3を得るために)によって、微粒子のその含量が実質的に変化しないということを観察することができる。
【0069】
実施例3
用いる沈殿シリカの懸濁液(S2)は、シリカZ1165MPのスラリーであり、濾過工程の後、濾過工程で得られたケーキの分解工程から得られ、以下の特性を示す。
温度:50℃
pH:6.0〜6.5
湿度:84%
【0070】
懸濁液(S2)の一部(S’2)を噴霧化により直接乾燥する。
【0071】
懸濁液S2の他の部分に、カットオフ閾値が300kDのCarbosep M9膜を備えたCarbosep接線濾過ユニットで膜濃縮工程を施す。再循環流量を800l/hに設定し、平均膜貫通圧は2バールである。
【0072】
得られた濃縮スラリーS3の固体含量は26%であり、平均透過流量は100 l/h/m
2である。
【0073】
固体含量が26%のスラリーS3を、続いて、懸濁液S2の一部S’2の場合と同様に、噴霧化する。
【0074】
スラリーS’2の直接乾燥に対して、エネルギー消費の46%削減およびそれに関連した84%の生産性の向上が観察される。
【0075】
膜濃縮工程を含む本発明による方法によって、エネルギーの削減を達成し、乾燥における生産性を増大させることができる。