(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電機子と直流励磁鉄心とを有するステータと、上記直流励磁鉄心により励磁される界磁を有するロータとを含み、上記ステータの内周面側に上記ロータが配置されているインナーロータ式の同期電動機において、
上記界磁は、強磁性体からなる偶数個の界磁磁極を有し、上記各界磁磁極が上記ロータの円周方向に所定の間隔をもって配置された状態で非磁性体の支持部材を介して強磁性体の回転軸に取り付けられ、上記界磁磁極の各々は、外径側の1つのラジアル面と、上記回転軸の軸方向に沿った両側面側の2つのアキシャル面とを有し、
上記各界磁磁極のラジアル面には、隣接する極性が交互に逆となるように永久磁石が設けられており、
上記電機子は、環状鉄心を備え、上記環状鉄心には、上記界磁磁極の上記ラジアル面と上記各アキシャル面とにそれぞれエアギャップを介して対向するラジアル側ティース部とアキシャル側ティース部の3つのティース部を含む電機子ティースが円周方向に所定の間隔をもって設けられており、
上記直流励磁鉄心は、上記界磁磁極の上記各アキシャル面の一方と対向する第1励磁鉄心と上記各アキシャル面の他方と対向する第2励磁鉄心とを有し、
上記界磁磁極のうちの奇数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル面に磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル面には磁束を通すフラックスゲート部が形成され、
上記偶数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル面に磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル面には磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、
上記直流励磁鉄心は、上記回転軸を周回するリング状の直流励磁コイルを有し、上記回転軸と上記直流励磁鉄心との間および上記直流励磁鉄心と上記界磁磁極のフラックスゲート部との間にそれぞれ存在する空隙を励磁エアギャップとして、通電により発生する磁束が、上記回転軸のN極側→第1励磁エアギャップ→N極側の上記直流励磁鉄心→第2励磁エアギャップ→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のフラックスゲート部を有する界磁磁極→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のアキシャル面と上記環状鉄心との間のエアギャップ→上記電機子の環状鉄心→上記環状鉄心と上記偶数番目または奇数番目の界磁磁極のアキシャル面との間のエアギャップ→上記偶数番目または奇数番目のフラックスゲート部を有する界磁磁極→第3励磁エアギャップ→上記S極側の直流励磁鉄心→第4励磁エアギャップ→上記回転軸のS極側へと流れる直流磁気回路が形成されて上記偶数番目の界磁磁極と上記奇数番目の界磁磁極が互いに異極となるようにし、
上記電機子に多相交流電流を流して空間的・時間的に同一極性となる回転磁界を発生させ、上記アキシャル面のエアギャップにおいて上記界磁による直流磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得るとともに、上記ラジアル面のエアギャップにおいて上記永久磁石の磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得ることを特徴とする同期電動機。
電機子と直流励磁鉄心とを有するステータと、上記直流励磁鉄心により励磁される界磁を有するロータとを含み、上記ステータの内周面側に上記ロータが配置されているインナーロータ式の同期電動機において、
上記界磁は、強磁性体からなる偶数個の界磁磁極を有し、上記各界磁磁極が上記ロータの円周方向に所定の間隔をもって配置された状態で非磁性体の支持部材を介して強磁性体の回転軸に取り付けられ、上記界磁磁極の各々は、外径側の1つのラジアル面と、上記回転軸の軸方向に沿った両側面側の2つのアキシャル面とを有し、
上記各界磁磁極の少なくとも1つのアキシャル面には、隣接する極性が交互に逆となるように永久磁石が設けられており、
上記電機子は、環状鉄心を備え、上記環状鉄心には、上記界磁磁極の上記ラジアル面と上記各アキシャル面とにそれぞれエアギャップを介して対向するラジアル側ティース部とアキシャル側ティース部の3つのティース部を含む電機子ティースが円周方向に所定の間隔をもって設けられており、
上記直流励磁鉄心は、上記界磁磁極の上記各アキシャル面の一方と対向する第1励磁鉄心と上記各アキシャル面の他方と対向する第2励磁鉄心とを有し、
上記界磁磁極のうちの奇数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル面に磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル面には磁束を通すフラックスゲート部が形成され、
上記偶数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル面に磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル面には磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、
上記直流励磁鉄心は、上記回転軸を周回するリング状の直流励磁コイルを有し、上記回転軸と上記直流励磁鉄心との間および上記直流励磁鉄心と上記界磁磁極のフラックスゲート部との間にそれぞれ存在する空隙を励磁エアギャップとして、通電により発生する磁束が、上記回転軸のN極側→第1励磁エアギャップ→N極側の上記直流励磁鉄心→第2励磁エアギャップ→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のフラックスゲート部を有する界磁磁極→上記界磁磁極のラジアル面と上記環状鉄心との間のエアギャップ→上記電機子の環状鉄心→上記環状鉄心と上記界磁磁極のラジアル面との間のエアギャップ→上記偶数番目または奇数番目のフラックスゲート部を有する界磁磁極→第3励磁エアギャップ→上記S極側の励磁鉄心→第4励磁エアギャップ→上記回転軸のS極側へと流れる直流磁気回路が形成されて上記偶数番目の界磁磁極と上記奇数番目の界磁磁極が互いに異極となるようにし、
上記電機子に多相交流電流を流して空間的・時間的に同一極性となる回転磁界を発生させ、上記ラジアル面のエアギャップにおいて上記界磁による直流磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得るとともに、上記アキシャル面のエアギャップにおいて上記永久磁石の磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得ることを特徴とする同期電動機。
電機子と直流励磁鉄心とを有するステータと、上記直流励磁鉄心により励磁される界磁を有するロータとを含み、上記ステータの外周面側に上記ロータが配置されているアウターロータ式の同期電動機において、
上記ロータは、強磁性体の固定軸に軸受部材を介して回転可能に支持された非磁性体からなるケーシングと、上記ケーシングの内周面側に取り付けられる界磁とを含み、
上記界磁は、上記ロータの円周方向に所定の間隔をもって配置された強磁性体からなる偶数個の界磁磁極を備え、上記界磁磁極の各々は、上記ケーシングの円周側の内周面に配置される1つのラジアル磁極部と上記ケーシングの上記固定軸の軸方向に沿った両側の内周面に配置される2つのアキシャル磁極部とを有し、
上記各界磁磁極のラジアル磁極部には、隣接する極性が交互に逆となるように永久磁石が設けられており、
上記電機子は、内周側が非磁性体の支持部材を介して上記固定軸に固定される強磁性体からなる環状鉄心を備え、上記環状鉄心には、上記各界磁磁極の上記ラジアル磁極部と上記各アキシャル磁極部とにそれぞれエアギャップを介して対向するラジアル側ティース部とアキシャル側ティース部の3つのティース部を含む電機子ティースが円周方向に所定の間隔をもって設けられており、
上記直流励磁鉄心は、上記界磁磁極の上記各アキシャル磁極部の一方と対向する第1励磁鉄心と上記各アキシャル磁極部の他方と対向する第2励磁鉄心とを有し、
上記界磁磁極のうちの奇数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル磁極部に磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル磁極部には磁束を通すフラックスゲート部が形成され、
上記偶数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル磁極部に磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル磁極部には磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、
上記直流励磁鉄心は、上記固定軸を周回するリング状の直流励磁コイルを有し、上記直流励磁鉄心と上記界磁磁極のフラックスゲート部との間に存在する空隙を励磁エアギャップとして、通電により発生する磁束が、上記固定軸のN極側→N極側の直流励磁鉄心→第5励磁エアギャップ→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のフラックスゲート部を有する界磁磁極→上記界磁磁極の上記アキシャル磁極部と上記環状鉄心との間のエアギャップ→上記電機子の環状鉄心→上記環状鉄心と上記界磁磁極のアキシャル磁極部との間のエアギャップ→上記偶数番目または奇数番目のフラックスゲート部を有する界磁磁極→第6励磁エアギャップ→上記S極側の直流励磁鉄心→上記固定軸のS極側へと流れる直流磁気回路が形成されて上記偶数番目の界磁磁極と上記奇数番目の界磁磁極が互いに異極となるようにし、
上記電機子に多相交流電流を流して空間的・時間的に同一極性となる回転磁界を発生させ、上記アキシャル磁極部のエアギャップにおいて上記界磁による直流磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得るとともに、上記ラジアル磁極部のエアギャップにおいて上記永久磁石の磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得ることを特徴とする同期電動機。
電機子と直流励磁鉄心とを有するステータと、上記直流励磁鉄心により励磁される界磁を有するロータとを含み、上記ステータの外周面側に上記ロータが配置されているアウターロータ式の同期電動機において、
上記ロータは、強磁性体の固定軸に軸受部材を介して回転可能に支持された非磁性体からなるケーシングと、上記ケーシングの内周面側に取り付けられる界磁とを含み、
上記界磁は、上記ロータの円周方向に所定の間隔をもって配置された強磁性体からなる偶数個の界磁磁極を備え、上記界磁磁極の各々は、上記ケーシングの円周側の内周面に配置される1つのラジアル磁極部と上記ケーシングの上記固定軸の軸方向に沿った両側の内周面に配置される2つのアキシャル磁極部とを有し、
上記各界磁磁極の少なくとも1つのアキシャル磁極部には、隣接する磁極が交互に逆となるように永久磁石が設けられており、
上記電機子は、内周側が非磁性体の支持部材を介して上記固定軸に固定される強磁性体からなる環状鉄心を備え、上記環状鉄心には、上記各界磁磁極の上記ラジアル磁極部と上記各アキシャル磁極部とにそれぞれエアギャップを介して対向するラジアル側ティース部とアキシャル側ティース部の3つのティース部を含む電機子ティースが円周方向に所定の間隔をもって設けられており、
上記直流励磁鉄心は、上記界磁磁極の上記各アキシャル磁極部の一方と対向する第1励磁鉄心と上記各アキシャル磁極部の他方と対向する第2励磁鉄心とを有し、
上記界磁磁極のうちの奇数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル磁極部に磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル磁極部には磁束を通すフラックスゲート部が形成され、
上記偶数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル磁極部に磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル磁極部には磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、
上記直流励磁鉄心は、上記固定軸を周回するリング状の直流励磁コイルを有し、上記直流励磁鉄心と上記界磁磁極のフラックスゲート部との間に存在する空隙を励磁エアギャップとして、通電により発生する磁束が、上記固定軸のN極側→N極側の直流励磁鉄心→第5励磁エアギャップ→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のフラックスゲート部を有する界磁磁極→上記界磁磁極の上記ラジアル磁極部と上記環状鉄心との間のエアギャップ→上記電機子の環状鉄心→上記環状鉄心と上記界磁磁極のラジアル磁極部との間のエアギャップ→上記偶数番目または奇数番目のフラックスゲート部を有する界磁磁極→第6励磁エアギャップ→上記S極側の直流励磁鉄心→上記固定軸のS極側へと流れる直流磁気回路が形成されて上記偶数番目の界磁磁極と上記奇数番目の界磁磁極が互いに異極となるようにし、
上記電機子に多相交流電流を流して空間的・時間的に同一極性となる回転磁界を発生させ、上記ラジアル磁極部のエアギャップにおいて上記界磁による直流磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得るとともに、上記アキシャル磁極部のエアギャップにおいて上記永久磁石の磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得ることを特徴とする同期電動機。
上記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の同期電動機において、上記永久磁石は、表面磁石方式,埋込磁石方式もしくはコンセクエントポール方式のいずれか1つの方式の磁石よりなる。
【背景技術】
【0002】
電動機の一例として直流励磁界磁型同期電動機がある。この種の電動機は、ロータの回転制御用として励磁用コイルと励磁鉄心を備えている。通常、この励磁コイルには、スリップリングを介して給電される。しかしながら、スリップリングは、ブラシとともに摩耗するため信頼性が低いという欠点がある。
【0003】
そこで、スリップリングを使用しない直流励磁界磁型同期電動機が提案されている。その一例として、非特許文献1の電動機がある。
図18に示すように、この電動機1Aは、2つの界磁をクローポール型の組み合わせとして回転軸21に固定されたロータ2Aと、ロータ2Aのラジアル方向の側面に対向するように配置された環状のステータ3Aとを備えている。
【0004】
ロータ2Aは、界磁鉄心22のアキシャル側の側面(
図18では左側面)の一部が切り欠かれており、その切り欠き部23に、一端が図示しない支持部材にて片持ちで支持された励磁鉄心4Aの自由端側をロータ2Aの内側に差し込んだ構造となっている。
【0005】
これによれば、励磁鉄心4Aの励磁コイル41に直流電流を流す
ことにより、クローポールの偶数極の界磁のうち、例えば偶数番目の極がN極、奇数番目の極がS極となるようにそれぞれ励磁され、ステータ3A側の電機子の回転磁界との間にトルクが発生する。
【0006】
また別の例として、非特許文献2の電動機がある。
図19に示すように、この電動機1Bは、円盤状のロータ2Bと、ロータ2Bのラジアル方向の外周面に沿って環状のステータ3Bが配置されたインナーロータ型である。
【0007】
図19(a)に示すように、ロータ2Bの界磁鉄心51の中央部に円周方向の溝を切り、左右それぞれに偶数個の歯を形成するとともに、歯と歯の間には円周方向の巾が歯とほぼ等しいスロットを設け、左右で歯とスロットが互い違いに向き合うように配置して、左側のスロットにはN極の永久磁石を表面に張り付け、右側のスロットにはS極の永久磁石を表面に張り付ける。
【0008】
ステータ3Bの電機子鉄心32の中央部には円周方向に溝34を切り、そこにリング状の励磁コイル41を埋め込み直流電流を流すと界磁の永久磁石52,53を張り付けていない歯には左側の界磁においてはN極、右側の界磁の歯にはS極の極性の磁界が発生し、界磁全体では偶数極の磁界が形成され、電機子の回転磁界との間にトルクが発生する。
【0009】
しかしながら、上述した2種類の電動機には次のような問題があった。すなわち、両者ともエアギャップ面がラジアル方向にのみ設けられているため、トルク密度や出力密度が低いという欠点がある。
【0010】
また、後者については、界磁の磁束の流れは、永久磁石及び直流励磁電磁石の双方共、左側(右側)の正極(負極)の磁石→界磁鉄心(バックヨーク)→右側(左側)の負極(正極)の磁石→エアギャップ→右側(左側)の電機子鉄心→左側(右側)の電機子鉄心→エアギャップ→左側(右側)の正極(負極)の磁石というジグザグ状の磁路を形成するため、電機子鉄心内部を回転軸方向に、〔極数×回転速度〕に比例する周波数の交流磁束が流れることになり、そのため大きな渦電流が発生し、効率が低下するという欠点がある。
【0011】
モータのトルクは、界磁による直流磁界と電機子による交流磁界とが対向して形成されたエアギャップを介して相互に作用して発生する引力−斥力(マクスウェル応力)の運動方向成分の総和に比例する。すなわち、モータのトルク∝〔電機子の交流磁束の大きさ〕×〔界磁の直流磁束の大きさ〕
で表される。
【0012】
モータのサイズ、電気装荷、磁気装荷、及びエアギャップ長などをほぼ一定と仮定すると、次の二つの式が成立する。すなわち、〔電機子の交流磁束の大きさ〕∝〔電機子と界磁とが対向するエアギャップ面積〕であり、〔界磁の直流磁束の大きさ〕∝〔電機子と界磁とが対向するエアギャップ面積〕である。したがって、モータのトルク密度や出力密度を大きくするためには、電機子と界磁とが対向するエアギャップの面積を大きくすることが望ましい。
【0013】
しかしながら、両者はラジアル方向またはアキシャル方向のみのエアギャップをもって対向配置されているため、より高出力化を図るためには、上述したようにステータとロータのエアギャップ面積をさらに増やす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明の課題は、同期電動機において、大トルク密度・出力密度を得るため、電機子と界磁とが対向する有効なエアギャップの面積を大きくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するため、第1の発明は
、電機子と直流励磁鉄心とを有するステータと、上記直流励磁鉄心により励磁される界磁を有するロータとを含み、上記ステータの内周面側に上記ロータが配置されているインナーロータ式の同期電動機において、
上記界磁は、強磁性体からなる偶数個の界磁磁極を有し、上記各界磁磁極が上記ロータの円周方向に所定の間隔をもって配置された状態で非磁性体の支持部材を介して強磁性体の回転軸に取り付けられ、上記界磁磁極の各々は、外径側の1つのラジアル面と、上記回転軸の軸方向に沿った両側面側の2つのアキシャル面とを有し、上記各界磁磁極のラジアル面には、隣接する極性が交互に逆となるように永久磁石が設けられており、
上記電機子は、環状鉄心を備え、上記環状鉄心には、上記界磁磁極の上記ラジアル面と上記各アキシャル面とにそれぞれエアギャップを介して対向するラジアル側ティース部とアキシャル側ティース部の3つのティース部を含む電機子ティースが円周方向に所定の間隔をもって設けられており、
上記直流励磁鉄心は、上記界磁磁極の上記各アキシャル面の一方と対向する第1励磁鉄心と上記各アキシャル面の他方と対向する第2励磁鉄心とを有し、
上記界磁磁極のうちの奇数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル面に磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル面には磁束を通すフラックスゲート部が形成され、
上記偶数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル面に磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル面には磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、
上記直流励磁鉄心は、上記回転軸を周回するリング状の直流励磁コイルを有し、
上記回転軸と上記直流励磁鉄心との間および上記直流励磁鉄心と上記界磁磁極のフラックスゲート部との間にそれぞれ存在する空隙を励磁エアギャップとして、通電により発生する磁束が、上記回転軸のN極側→第1励磁エアギャップ→N極側の上記直流励磁鉄心→第2励磁エアギャップ→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のフラックスゲート部を有する界磁磁極→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のアキシャル面と上記環状鉄心との間のエアギャップ→上記電機子の環状鉄心→上記環状鉄心と上記偶数番目または奇数番目の界磁磁極のアキシャル面との間のエアギャップ→上記偶数番目または奇数番目のフラックスゲート部を有する界磁磁極→第3励磁エアギャップ→上記S極側の直流励磁鉄心→第4励磁エアギャップ→上記回転軸のS極側へと流れる直流磁気回路が形成されて上記偶数番目の界磁磁極と上記奇数番目の界磁磁極が互いに異極となるようにし、
上記電機子に多相交流電流を流して空間的・時間的に同一極性となる回転磁界を発生させ、上記アキシャル面のエアギャップにおいて上記界磁による直流磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得るとともに、上記ラジアル面のエアギャップにおいて上記永久磁石の磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得ることを特徴としている。
【0017】
また、第2の発明は
、電機子と直流励磁鉄心とを有するステータと、上記直流励磁鉄心により励磁される界磁を有するロータとを含み、上記ステータの内周面側に上記ロータが配置されているインナーロータ式の同期電動機において、
上記界磁は、強磁性体からなる偶数個の界磁磁極を有し、上記各界磁磁極が上記ロータの円周方向に所定の間隔をもって配置された状態で非磁性体の支持部材を介して強磁性体の回転軸に取り付けられ、上記界磁磁極の各々は、外径側の1つのラジアル面と、上記回転軸の軸方向に沿った両側面側の2つのアキシャル面とを有し、上記各界磁磁極の少なくとも1つのアキシャル面には、隣接する極性が交互に逆となるように永久磁石が設けられており、
上記電機子は、環状鉄心を備え、上記環状鉄心には、上記界磁磁極の上記ラジアル面と上記各アキシャル面とにそれぞれエアギャップを介して対向するラジアル側ティース部とアキシャル側ティース部の3つのティース部を含む電機子ティースが円周方向に所定の間隔をもって設けられており、
上記直流励磁鉄心は、上記界磁磁極の上記各アキシャル面の一方と対向する第1励磁鉄心と上記各アキシャル面の他方と対向する第2励磁鉄心とを有し、
上記界磁磁極のうちの奇数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル面に磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル面には磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記偶数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル面に磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル面には磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、
上記直流励磁鉄心は、上記回転軸を周回するリング状の直流励磁コイルを有し、
上記回転軸と上記直流励磁鉄心との間および上記直流励磁鉄心と上記界磁磁極のフラックスゲート部との間にそれぞれ存在する空隙を励磁エアギャップとして、通電により発生する磁束が、上記回転軸のN極側→第1励磁エアギャップ→N極側の上記直流励磁鉄心→第2励磁エアギャップ→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のフラックスゲート部を有する界磁磁極→上記界磁磁極のラジアル面と上記環状鉄心との間のエアギャップ→上記電機子の環状鉄心→上記環状鉄心と上記界磁磁極のラジアル面との間のエアギャップ→上記偶数番目または奇数番目のフラックスゲート部を有する界磁磁極→第3励磁エアギャップ→上記S極側の励磁鉄心→第4励磁エアギャップ→上記回転軸のS極側へと流れる直流磁気回路が形成されて上記偶数番目の界磁磁極と上記奇数番目の界磁磁極が互いに異極となるようにし、上記電機子に多相交流電流を流して空間的・時間的に同一極性となる回転磁界を発生させ、上記ラジアル面のエアギャップにおいて上記界磁による直流磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得るとともに、上記アキシャル面のエアギャップにおいて上記永久磁石の磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得ることを特徴としている。
【0018】
第3の発明は、電機子と直流励磁鉄心とを有するステータと、上記直流励磁鉄心により励磁される界磁を有するロータとを含み、上記ステータの外周面側に上記ロータが配置されているアウターロータ式の同期電動機において、
上記ロータは、強磁性体の固定軸に軸受部材を介して回転可能に支持された非磁性体からなるケーシングと、上記ケーシングの内周面側に取り付けられる界磁とを含み、
上記界磁は、上記ロータの円周方向に所定の間隔をもって配置された強磁性体からなる偶数個の界磁磁極を備え、上記界磁磁極の各々は、上記ケーシングの円周側の内周面に配置される1つのラジアル磁極部と上記ケーシングの上記固定軸の軸方向に沿った両側の内周面に配置される2つのアキシャル磁極部とを有し、上記各界磁磁極のラジアル磁極部には、隣接する極性が交互に逆となるように永久磁石が設けられており、
上記電機子は、内周側が非磁性体の支持部材を介して上記固定軸に固定される強磁性体からなる環状鉄心を備え、上記環状鉄心には、上記各界磁磁極の上記ラジアル磁極部と上記各アキシャル磁極部とにそれぞれエアギャップを介して対向するラジアル側ティース部とアキシャル側ティース部の3つのティース部を含む電機子ティースが円周方向に所定の間隔をもって設けられており、
上記直流励磁鉄心は、上記界磁磁極の上記各アキシャル磁極部の一方と対向する第1励磁鉄心と上記各アキシャル磁極部の他方と対向する第2励磁鉄心とを有し、
上記界磁磁極のうちの奇数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル磁極部に磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル磁極部には磁束を通すフラックスゲート部が形成され、
上記偶数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル磁極部に磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル磁極部には磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、
上記直流励磁鉄心は、上記固定軸を周回するリング状の直流励磁コイルを有し、
上記直流励磁鉄心と上記界磁磁極のフラックスゲート部との間に存在する空隙を励磁エアギャップとして、通電により発生する磁束が、上記固定軸のN極側→N極側の直流励磁鉄心→第5励磁エアギャップ→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のフラックスゲート部を有する界磁磁極→上記界磁磁極の上記アキシャル磁極部と上記環状鉄心との間のエアギャップ→上記電機子の環状鉄心→上記環状鉄心と上記界磁磁極のアキシャル磁極部との間のエアギャップ→上記偶数番目または奇数番目のフラックスゲート部を有する界磁磁極→第6励磁エアギャップ→上記S極側の直流励磁鉄心→上記固定軸のS極側へと流れる直流磁気回路が形成されて上記偶数番目の界磁磁極と上記奇数番目の界磁磁極が互いに異極となるようにし、上記電機子に多相交流電流を流して空間的・時間的に同一極性となる回転磁界を発生させ、上記アキシャル磁極部のエアギャップにおいて上記界磁による直流磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得るとともに、上記ラジアル磁極部のエアギャップにおいて上記永久磁石の磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得ることを特徴としている。
【0019】
さらに第4の発
明は、電機子と直流励磁鉄心とを有するステータと、上記直流励磁鉄心により励磁される界磁を有するロータとを含み、上記ステータの外周面側に上記ロータが配置されているアウターロータ式の同期電動機において、
上記ロータは、強磁性体の固定軸に軸受部材を介して回転可能に支持された非磁性体からなるケーシングと、上記ケーシングの内周面側に取り付けられる界磁とを含み、
上記界磁は、上記ロータの円周方向に所定の間隔をもって配置された強磁性体からなる偶数個の界磁磁極を備え、上記界磁磁極の各々は、上記ケーシングの円周側の内周面に配置される1つのラジアル磁極部と上記ケーシングの上記固定軸の軸方向に沿った両側の内周面に配置される2つのアキシャル磁極部とを有し、上記各界磁磁極の少なくとも1つのアキシャル磁極部には、隣接する磁極が交互に逆となるように永久磁石が設けられており、
上記電機子は、内周側が非磁性体の支持部材を介して上記固定軸に固定される強磁性体からなる環状鉄心を備え、上記環状鉄心には、上記各界磁磁極の上記ラジアル磁極部と上記各アキシャル磁極部とにそれぞれエアギャップを介して対向するラジアル側ティース部とアキシャル側ティース部の3つのティース部を含む電機子ティースが円周方向に所定の間隔をもって設けられており、
上記直流励磁鉄心は、上記界磁磁極の上記各アキシャル磁極部の一方と対向する第1励磁鉄心と上記各アキシャル磁極部の他方と対向する第2励磁鉄心とを有し、
上記界磁磁極のうちの奇数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル磁極部に磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル磁極部には磁束を通すフラックスゲート部が形成され、
上記偶数番目の界磁磁極には、上記第1励磁鉄心と対向する側の一方のアキシャル磁極部に磁束を通すフラックスゲート部が形成され、上記第2励磁鉄心と対向する側の他方のアキシャル磁極部には磁束を遮断するフラックスバリア部が形成され、
上記直流励磁鉄心は、上記固定軸を周回するリング状の直流励磁コイルを有し、
上記直流励磁鉄心と上記界磁磁極のフラックスゲート部との間に存在する空隙を励磁エアギャップとして、通電により発生する磁束が、上記固定軸のN極側→N極側の直流励磁鉄心→第5励磁エアギャップ→上記奇数番目または偶数番目の界磁磁極のフラックスゲート部を有する界磁磁極→上記界磁磁極の上記ラジアル磁極部と上記環状鉄心との間のエアギャップ→上記電機子の環状鉄心→上記環状鉄心と上記界磁磁極のラジアル磁極部との間のエアギャップ→上記偶数番目または奇数番目のフラックスゲート部を有する界磁磁極→第6励磁エアギャップ→上記S極側の直流励磁鉄心→上記固定軸のS極側へと流れる直流磁気回路が形成されて上記偶数番目の界磁磁極と上記奇数番目の界磁磁極が互いに異極となるようにし、上記電機子に多相交流電流を流して空間的・時間的に同一極性となる回転磁界を発生させ、上記ラジアル磁極部のエアギャップにおいて上記界磁による直流磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得るとともに、上記アキシャル磁極部のエアギャップにおいて上記永久磁石の磁束と上記電機子による交流磁束とを相互に作用させて回転出力を得ることを特徴としている。
【0020】
より好ましい態様として、上記永久磁石は、表面磁石方式,埋込磁石方式もしくはコンセクエントポール方式のいずれか1つの方式の磁石よりなることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ステータ側とロータ側との間に、1つのラジアルエアギャップ面と2つのアキシャルエアギャップを設け、この3つのエアギャップにおける磁界の極性を、同一回転角の位置において、電機子にあっては時間的および空間的に同極性となるようにし、界磁にあっては空間的に同極性となるようにしたことにより、トルク密度・出力密度をより増大させた同期電動機を得ることができる。
【0022】
さらに、界磁磁極のラジアル面とアキシャル面のいずれか一方に直流励磁磁石による界磁を形成し、いずれか他方に永久磁石による界磁を形成し、この2種類の界磁を組み合わせたハイブリッド励磁型の界磁を形成し、双方の磁束が互いに独立して並列に流れるようにすることによって、始動、加速、ならびに低速時においては直流励磁電流を増やしてトルクを増大させることができる。また、高速時においては、直流励磁電流を減らすことによって高速化をはかることができるので、界磁が全て永久磁石からなる同期電動機のように弱め界磁のために無駄な電流を流す必要がないので、効率を向上できるという利点もある。
【0023】
また、永久磁石と直流励磁磁石の磁束の流れが並列であるため、直流励磁磁束は、アキシャルエアギャップ側に永久磁石がある場合はラジアル側を、ラジアルエアギャップ側に永久磁石がある場合はアキシャル側を通り、透磁率が空気並みの磁気抵抗の大きい永久磁石が存在する磁路は通らないので、少ない直流電力で直流励磁磁束を発生させることが出来る。
【0024】
界磁が全て永久磁石によって形成される永久磁石型同期電動機の場合、高速時には界磁の磁束を減らすため電機子巻線に弱め界磁のための電流を流す必要があるが、この技術によれば、励磁電流を減らすことによってその目的が達成できるので電力の無駄がなく、高速時において、効率を向上させることができるという効果もある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、
図1〜15を参照して、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
図1A,Bに示すように、この第1実施形態に係る同期電動機100A(以下、単に電動機100Aということがある)は、強磁性体からなる回転軸21と、回転軸21に同軸的に取り付けられた界磁を有する環状のロータ200Aと、ロータ200Aの界磁を励磁する励磁コイル430および励磁鉄心400Aを有し、ロータ200Aの外周面に沿って配置され、電機子の機能を有するステータ300Aとを備えたインナーロータ式の直流励磁界磁型同期電動機であり、全体が円筒形状のケーシング500Aの中に収納されている。
【0028】
ここで、
図1A,図2A,図3Aの各図に示す電動機100Aを本発明の第1実施形態の第1態様(以下、第1−1実施
形態という)に係る電動機
とし、
図1B,図2B,図3Bの各図に示す電動機100Aを本発明の第1実施形態の第2態様(以下、第1−2実施
形態という)に係る電動機
とする。
【0029】
この第1実施形態において、ケーシング500Aは、回転軸21の軸線方向に沿って2分割されており、カップ型のケーシング本体510と、ケーシング本体510の開口部を塞ぐように取り付けられる蓋部材520とを備えている。ケーシング500Aは、例えばアルミニウムなどの非磁性体からなる。
【0030】
ケーシング本体510と蓋部材520との取付面にはフランジ部511,521が形成されており、フランジ部511,521同士を互いに突き当てた状態でネジ止めすることにより、ケーシング500Aが形成される。なお、溶接で一体化してもよい。
【0031】
ケーシング本体510および蓋部材520の軸線方向の中央には、挿通孔512,522を有し、各挿通孔512,522に隣接して軸受部41,41が同軸的に配置されている。この実施形態において、軸受部41,41は、ボールベアリングからなり、外輪側がケーシング500に支持され、内輪側が回転軸21を軸支している。
【0032】
図2A,Bを併せて参照して、ロータ200Aは、中心に回転軸21が同軸的に接合された支持部材210と、支持部材210の外周面に沿って取り付けられる複数の界磁磁極220とを備えている。
【0033】
支持部材210は、非磁性体からなる円管状を呈し、その外周面には、偶数個の界磁磁極220が固定されている。支持部材210に界磁磁極220を固定する方法の一例としては、ダイカストや樹脂成形などが用いられて良い。
【0034】
図3A,Bを併せて参照して、界磁磁極220は、1つのラジアルティース面221と、2つのアキシャルティース面222,223とを有し、中心から半径方向の外側に向かうにつれて円周方向の幅が漸次大きくなる扇形柱状に形成されている。
【0035】
図1A〜
図4を参照して、第1−1実施形態のロータ200Aのラジアルティース面221には、永久磁石240Aが設けられている。永久磁石240Aは、代表的にはネオジム磁石が用いられるが、これ以外の永久磁石が用いられても良い。
【0036】
永久磁石240Aは、それぞれラジアルティース面221の形状に合わせて円弧状(かまぼこ状)に形成されており、ラジアルティース面221の表面に沿ってSPM(Surface Permanent Magnet)状に配置されている。各永久磁石240Aは、隣接する永久磁石240Aの極性が交互に異極となるように配置されている。
【0037】
この第1−1実施形態において、永久磁石240Aは、ラジアルティース面221よりも一回り小さい円弧状に形成されており、永久磁石240Aの外周にはラジアルティース面221の一部が露出しているが、ラジアルティース面221の全面を覆うように永久磁石240
Aを配置しても良い。
【0038】
これによれば、第1−
1実施形態のロータ200Aの界磁磁極220のうち、ラジアル面221では永久磁石240Aからなる界磁が形成され、2つのアキシャル面222,223では直流励磁鉄心により励磁される直流電磁石からなる界磁が形成されることで、ハイブリッド型の界磁が形成される。
【0039】
また別の態様として、
図1B〜
図4を参照して、第1−2実施形態のロータ200Aの各界磁磁極220のアキシャルティース面222,223には、永久磁石240Bが設けられている。永久磁石240Bは、代表的にはネオジム磁石が用いられるが、これ以外の永久磁石が用いられても良い。
【0040】
永久磁石240Bは、それぞれ各アキシャルティース面222,223の形状に合わせて扇状に形成されており、各アキシャルティース面222,223の中心にSPM(Surface Permanent Magnet)状に配置されている。各永久磁石240Bは、隣接する永久磁石240Bの極性が交互に異極となるように配置されている。
【0041】
この第1−2実施形態において、永久磁石240Bは各アキシャルティース面222,223よりも一回り小さい扇状に形成されており、永久磁石240Bの外周には各アキシャルティース面222,223の一部が露出しているが、後述するフラックスバリア部231およびフラックスゲート部232を残して、各アキシャルティース面222,223の全面を永久磁石240Bで覆い隠してもよい。
【0042】
これによれば、第1−2実施形態のロータ200Bの界磁磁極220のうち、ラジアル面221は、直流励磁鉄心により励磁される直流電磁石からなる界磁が形成され、2つのアキシャル面222,223は永久磁石240Bからなる界磁が形成された、いわゆるハイブリッド型の界磁が形成される。
【0043】
第1実施形態において、界磁磁極220の一方のアキシャルティース面222には、励磁鉄心400からの磁束(フラックス)が界磁磁極220内に入らないようにするためのフラックスバリア部231が設けられていてもよい。
【0044】
この実施形態において、フラックスバリア部231は、一方のアキシャルティース面222の外周面から内側に向けて凹まされた凹部からなり、この凹部によって形成される大きな空隙Gbが大きな磁気抵抗として機能することにより、界磁磁極220内に入ることを防ぐようになっている。
【0045】
界磁磁極220の他方のアキシャルティース面223には、フラックスゲート部232が設けられている。フラックスゲート部232は、励磁鉄心400Aとの空隙Ggを小さくして磁気抵抗を小さくし、磁束の通りやすい構造とする。
【0046】
この実施形態において、フラックスバリア部231の空隙間隔は3mm以上、フラックスゲート部232の空隙間隔は0.3〜1mm程度であってよい。
【0047】
フラックスバリア部231およびフラックスゲート部232は、各界磁磁極220の内径側(回転軸21の軸中心側)に配置されている。
【0048】
この実施形態において、界磁磁極220は、8極(220a〜220h)分が設けられており、各界磁磁極220の間には、各界磁磁極220の間にフラックスが流れないようするため、フラックスバリアとして空隙Grが設けられている。この空隙Grの間隔も3mm以上であってよい。
【0049】
図2A(a),
図2B(a)に示すように、ステータ200Aの左側面において、各界磁磁極220のうち、偶数番目の界磁磁極220(220b,220d,220f,220h)には、上述したフラックスバリア部231が配置されており、奇数番目の界磁磁極220(220a,220c,220e,220g)にはフラックスゲート部232が配置されている。
【0050】
これに対して、
図2A(b),
図2B(b)に示すように、ステータ200Aの右側面において、各界磁磁極220のうち、奇数番目の界磁磁極220(220a,220c,220e,220g)は、上述したフラックスバリア部231が配置されており、偶数番目の界磁磁極220(220b,220d,220f,220h)には、フラックスゲート部232が配置されている。
【0051】
次に、
図4を併せて参照して、ステータ300Aは、ヨークとしての環状鉄心310を備え、環状鉄心310には、界磁磁極220のラジアルティース面221に対しラジアルエアギャップG1(
図1では上下方向の面)をもって対向するラジアルティース部311と、ロータ2のアキシャルティース面222,223に対し2つのアキシャルエアギャップG2,G3(
図1では左右方向の面)をもって対向する2つのアキシャルティース部312,313とを有し、それらがロータ200Aを挟むようにコ字型(門型)に配置されている。なお、このヨークはラジアルティース部311と2つのアキシャルティース部312,313の3つのティースの機能を持っている。
【0052】
ラジアルティース部311は、環状鉄心311の内周面からロータ200AのラジアルエアギャップG1に向けて突設されており、その先端はロータ200Aの外径に沿って円弧状に切り欠かれている。この例において、ラジアルティース部311は、9スロット分が設けられている。各ラジアルティース部311の周囲には電機子巻線Cが巻回されるスロット部320が形成されている。
【0053】
各アキシャルティース部312,313は、基端側(ラジアルティース310側)から先端側(回転軸21側)に向けて、円周方向の幅が漸次小さくなる扇状に形成されており、各アキシャルティース部312,313の間には、各アキシャルティース部32の間で磁束が流れないようにするためのフラックスバリアとして空隙Gsが設けられている。
【0054】
各アキシャルティース部320の先端側は、それぞれ半円状に切り欠かれており、その内径側に後述する励磁鉄心400Aが収納される開口部321が設けられている。
【0055】
この実施形態において、ステータ鉄心300Aは、電磁鋼鈑をプレス加工により軸方向に、アキシャル部、ラジアル部そしてアキシャル部と積層加工した環状の積層体からなるが、これ以外に焼結磁心や圧粉磁心などが用いられてもよい。
【0056】
ラジアルティース部311と2つのアキシャルティース部312,31
3とは一体成形されているため、ステータ300Aの内部にロータ200Aを保持するためには、ステータ300Aは円周方向に少なくとも2以上に分割されていなくてはならない。そこで、この実施形態において、ステータ300Aは120°間隔で半径方向に沿って分割面301によって3分割されている。
【0057】
各スロット部320内には電機子巻線Cが配線されるが、この第1実施形態において、電機子巻線Cは、ラジアルティース部311の周縁に沿わせて集中巻巻線として巻線される。
【0058】
図5に三相交流電源(Vu,Vv,Vw)と電機子巻線Cの接続状態を示す。なお、
図5において、U相,V相,W相中のアッパーラインが付されている巻線は、アッパーラインが付されていない巻線とは逆巻きであることを示しているが、本明細書では、逆巻きの巻線には便宜上アンダーラインを付している。
【0059】
この三相集中巻電機子巻線のU相(U1,
U2,U3)、V相(V1,
V2,V3)、W相(W1,
W2,W3)に対して、インバータで構成される三相交流電源より三相交流(Vu,Vv,Vw)を通電することにより、最外径面側のラジアルティース部311と、両側面のアキシャルティース部312,313とに、空間的・時間的に同極の回転磁界が発生し、ロータ200A側の界磁との間でマックスウェルの応力が働き、所定方向に回転トルクが発生する。
【0060】
ロータ200Aがステータ300Aの内側に配置されることで、ロータ200Aのラジアルティース面221とステータ300Aのラジアルティース部311とがラジアルエアギャップG1をもって対向し、ロータ200Aの2つのアキシャルティース面222,223と、ステータ300Aのアキシャルティース部312,313とが2つのアキシャルエアギャップG2,G3をもって対向配置され、3つの磁気的に有効なエアギャップ面G1〜G3が形成される。
【0061】
再び
図1を参照して、励磁鉄心400Aは、ロータ200Aの一方のアキシャルティース面222(
図1では左側面)に対向するように配置された第1励磁鉄心410と、ロータ200Aの他方のアキシャルティース面223(
図1では右側面)に対向するように配置された第2励磁鉄心420とを備えている。
【0062】
第1励磁鉄心410および第2励磁鉄心420は、回転軸21を中心に同軸的な環状鉄心であって、その一部はフラックスバリア部231およびフラックスゲート部232と対向するように配置されている。
【0063】
第1励磁鉄心410および第2励磁鉄心420の各内周面には、リング状の励磁コイル430が回転軸21を周回するように設けられている。各励磁コイル430は、磁化方向が同一になるように接続されて1つの励磁コイル430として機能する有芯コイルになっている。
【0064】
図6に示すように、励磁コイル430に直流電流を流すことで、有芯コイルによって回転軸21は磁石となる。そこで、
図1Aのように第1励磁鉄心410側がN極で、第2励磁鉄心420側がS極とし、ラジアルティース面221に永久磁石240Aを配置した場合、励磁磁束(フラックス)は回転軸21のN極側→回転軸21と励磁鉄心410との間の空隙Gs(第1励磁エアギャップ)→第1励磁鉄心410→励磁鉄心410とフラックスゲート部232との間の空隙Gg(第2励磁エアギャップ)→偶数番目のフラックスゲート部232を有する界磁磁極(220b,220d,220f,220h)→アキシャルエアギャップG2,G3→電機子300Aの環状鉄心311→アキシャルエアギャップG2,G3→奇数番目のフラックスゲート232を有する界磁磁極(220a,220c,220e,220g→励磁鉄心420とフラックスゲート部232との間の空隙Gg(第3励磁エアギャップ)→奇数番目のフラックスゲート部232→第2励磁鉄心420→回転軸21と励磁鉄心420との間の空隙Gs(第4励磁エアギャップ)→回転軸21のS極側へと流れる直流励磁磁気回路が形成される。
【0065】
なお、電機子鉄心と界磁磁極220との間のアキシャルエアギャップG2,G3、回転軸21と励磁鉄心410,420との間の空隙Gs、ならびに、フラックスゲート部232と励磁鉄心410,420との間の空隙Ggについては、磁気抵抗を小さくするため、それらの間の長さを相対的に短くし、界磁磁極220相互間の空隙Gr、ならびに、フラックスゲート部232を除く界磁磁極220と励磁鉄心410,420との間の空隙Gbは、フラックスバリア部231を含め、磁気抵抗を大きくするため、それらの長さを相対的に長くする。
【0066】
これに対し、
図1Bのように第1励磁鉄心410側がN極で、第2励磁鉄心420側がS極とし、アキシャルティース面222,223に永久磁石240Bを配置した場合、励磁磁束(フラックス)は回転軸21のN極側→回転軸21と励磁鉄心410との間の空隙Gs(第1励磁エアギャップ)→第1励磁鉄心410→励磁鉄心410とフラックスゲート部232との間の空隙Gg(第2励磁エアギャップ)→偶数番目のフラックスゲート部232を有する界磁磁極(220b,220d,220f,220h)→ラジアル側のエアギャップG1→電機子300Aの環状鉄心311→ラジアル側のエアギャップG1→奇数番目のフラックスゲート232を有する界磁磁極(220a,220c,220e,220g→励磁鉄心420とフラックスゲート部232との間の空隙Gg(第3励磁エアギャップ)→奇数番目のフラックスゲート部232→第2励磁鉄心420→回転軸21と励磁鉄心420との間の空隙Gs(第4励磁エアギャップ)→回転軸21のS極側へと流れる直流励磁磁気回路が形成される。
【0067】
なお、電機子鉄心と界磁磁極220との間のラジアル側のエアギャップG1、回転軸21と励磁鉄心410,420との間の空隙Gs(第1および第4励磁エアギャップ)、ならびに、フラックスゲート部232と励磁鉄心410,420との間の空隙Gg(第2および第3励磁エアギャップ)については、磁気抵抗を小さくするため、それらの間の長さを相対的に短くし、界磁磁極220相互間の空隙Gr、ならびに、フラックスゲート部232を除く界磁磁極220と励磁鉄心410,420との間の空隙Gbは、フラックスバリア部231を含め、磁気抵抗を大きくするため、それらの長さを相対的に長くする。
【0068】
これによれば、偶数番目の各界磁磁極220(220b,220d,220f,220h)を流れる磁束の向きと、奇数番目の界磁磁極220(220a,220c,220e,220g)の中を流れる磁束の向きとが逆となり、その結果、例えば、偶数番目の界磁磁極220(220b,220d,220f,220h)がN極となり、奇数番目の界磁磁極220(220a,220c,220e,220g)がS極となるように励磁される。
【0069】
図16に示すように、N極界磁磁極からS極界磁磁極に流れる磁束は、環状鉄心310のラジアルティース部311と2つのアキシャルティース部312,313の3つの流れに分流する。ここで、回転軸21、励磁鉄心400A、界磁磁極220、電機子鉄心310の透磁率は、空気の透磁率に比べて3ケタ以上大きいので、これらの部分における磁気抵抗は小さいため無視し、磁気抵抗の大きい空気層(すなわち、エアギャップ部G1〜G3)や励磁鉄心とフラックスゲート部231の空隙のみについて考えた場合、直流励磁磁束は、アンペアの周回積分の法則から下式1−1によって算出される。
【0071】
また、ラジアルギャップ面に永久磁石がある実施例1−2の場合、永久磁石の透磁率は空気と同等であり、かつその厚さ(t)は通常エアギャップの10倍以上あるので、2/(〔g+t〕/μSr)≒0となり、実際には式1−2のような近似式によって算出される。
【0073】
さらに、アキシャルギャップ面に永久磁石がある実施例1−2の場合は、永久磁石の透磁率は空気と同等であり、かつ永久磁石の厚さ(t)≫gであるので、4/(g/μSa)≒0となり、実際には式1−3のような近似式によって算出される。
【0075】
ここで、上記式1−1〜1−3の各パラメータは以下の通りである。
Φ:磁束量
I:直流電流
Sa:アキシャルエアギャップG2,G3の面積(一方のアキシャルエアギャップにおける界磁磁極と電機子鉄心の対向面積の総和の1/2)
Sr:ラジアルエアギャップの面積(ラジアルエアギャップにおける界磁磁極と電機子鉄心の対向面積の総和の1/2)
S1:励磁鉄心とフラックスゲート部の対向面積
S2:励磁鉄心と回転軸との対向面積
N:直流励磁コイル1個の巻数
g:エアギャップの長さ
c:励磁空隙の長さ
μ:空気の透磁率、永久磁石の透磁率
【0076】
次に、
図7を参照して、この第1実施形態のステータ300Aの変形例を説明するが、上述した実施形態と同一または同一と見なされる箇所には同じ参照符号を付した。この変形例のステータ300A’は、ラジアルティース部310と、2つのアキシャルティース部312,313とがそれぞれ独立して形成されており、それらがロータ200Aを挟むようにコ字型(門型)に配置されている。
【0077】
ラジアルティース部311は、ロータ200Aの外周面に対して同心円状に9箇配置されている。ラジアルティース部311は、環状鉄心の周囲に電機子巻線Cが巻回されている。基本的な構造は上述したステータ300Aのラジアルティース部311と同様である。
【0078】
各アキシャルティース部312,313は、中心から半径方向の外側に向かって円周方向の幅が漸次大きくなる扇状に形成されており、それらが円周方向に複数、この例では9個が環状に配置されている。アキシャルティース部320には、電機子巻線Cが巻回されている。
【0079】
ラジアルティース部311と、2つのアキシャルティース部312,313に対して
図8に示すような三相交流結線を施し、そこに三相交流を通電することにより、最外径面側のラジアルティース部311と、両側面のアキシャルティース部312,313とに、空間的・時間的に同一極性の回転磁界が発生し、ロータ200A側の界磁との間でマックスウェルの応力が働き、所定方向に回転トルクおよび出力が発生する。
【0080】
この第1実施形態に係る2つの実施態様(第1−1実施形態と第1−2実施形態)によれば、直流励磁磁石による界磁と永久磁石による界磁とを組み合わせたハイブリッド型の界磁を形成したことにより、始動から加速の段階では直流励磁磁石による大きなトルクを利用して立ち上がり、高速回転時には、直流励磁電流を減らし、永久磁石の磁束のみで運転することにより、電力消費を効率的に行え、無駄な電力の消費を抑えることができる。
【0081】
次に、
図9〜
図15を参照して、第2実施形態のアウターロータ式の直流励磁界磁型同期電動機について説明する。
【0082】
図9A,Bに示すように、この第2実施形態の同期電動機100B(以下、単に電動機100Bということがある)は、強磁性体からなる固定軸25と、固定軸25に固定されたステータ300Bと、固定軸25に軸受部材41,41を介して回転可能に支持されたケーシング500Bの内面に界磁を有するロータ200Bと、界磁を励磁する励磁コイル430が巻回された励磁鉄心400Bとを有し、ステータ300Bの外周面側にロータ200Bが配置されたアウターロータ式の直流励磁界磁型同期電動機である。
【0083】
ここで、
図9A,図10A,図11Aの各図に示す電動機100B
を本発明の第2実施形態の第1態様(以下、第2−1実施
形態という)に係る電動機
とし、
図9B,図10B,図11Bの各図に示す電動機100B
を本発明の第2実施形態の第2態様(以下、第2−2実施
形態という)に係る電動機
とする。
【0084】
この第2実施形態において、ケーシング500Bは、ステータ300Bが固定される固定軸25の軸線方向に沿って2分割されており、一方の第1ケーシング510(ケーシング本体)は、円筒カップ状に形成されており、その中央部分には、固定軸25が挿通される挿通孔512が設けられている。ケーシング500Bは、例えばアルミニウムなどの非磁性体が用いられる。
【0085】
他方の第2ケーシング520(蓋部材)は、第1ケーシング510の開口部511を塞ぐ蓋部材として形成され、その中央部分には、固定軸25が挿通される挿通孔522が設けられている。
【0086】
第1ケーシング510と第2ケーシング520の開口部側にはともに、フランジ部511,521が形成されており、フランジ部412,422同士を互いに突き合わせた状態で、図示しない例えばネジによってネジ止めすることにより、ケーシング510,520同士が強固に連結される。第
1ケーシング510と第
2ケーシング520は溶接接合されてもよい。
【0087】
ケーシング500Bは、上記挿通孔512,522の部分にラジアル軸受け41,41を有し、ラジアル軸受け41,41を介して固定軸25がケーシング500Bに支持されている。
【0088】
図10A,Bおよび
図11A,Bを併せて参照して、ロータ200Bは、ステータ300Bのラジアル面に対してラジアルエアギャップG1をもって対向配置されるラジアルティース部251と、ステータ300Bの2つアキシャル面に対してラジアルエアギャップG2,G3をもって対向配置される2つのアキシャルティース部252,253とを有する界磁磁極250を備えている。
【0089】
界磁磁極250は、例えば電磁鋼板などの強磁性体を軸線方向に沿って積層したものからなるが、これ以外に焼結磁心や圧粉磁心などが用いられてもよい。各界磁磁極250の間には、界磁磁極250間で磁束が流れないようにするためのフラックスバリアとしての空隙Grが形成されている。
【0090】
この第2実施形態において、界磁磁極250は、ラジアルティース部251の両端からアキシャルティース部252,253が直角に一体的に延設された断面コ字状に形成されている。アキシャルティース部252,253は、基端側(ラジアル界磁磁極251側)から自由端側(固定軸25側)に向かうにつれて円周方向の幅が漸次小さくなる扇状に形成されている。
【0091】
図9A〜
図11Aを参照して、第2−1実施形態のロータ200Bのラジアルティース部251には、永久磁石260Aが設けられている。永久磁石260Aは、代表的にはネオジム磁石が用いられるが、これ以外の永久磁石が用いられても良い。
【0092】
永久磁石260Aは、それぞれラジアルティース部251の形状に合わせて円弧状(かまぼこ状)に形成されており、ラジアルティース部251の表面に沿ってSPM(Surface Permanent Magnet)状に配置されている。各永久磁石260Bは、隣接する永久磁石260Aの極性が交互に異極となるように配置されている。
【0093】
この第2−1実施形態において、永久磁石260Aは、ラジアルティース部251よりも一回り小さい円弧状に形成されており、永久磁石260Aの外周にはラジアルティース部251の一部が露出しているが、ラジアルティース部251の全面を覆うように永久磁石240Bを配置しても良い。
【0094】
この第2−1実施形態において、永久磁石260Aは、ラジアルティース部251の一部を凹ませた凹部内に埋設されており、ラジアルティース部251の内周面と永久磁石260Aの表面とが同一平面となるように配置されている。また、永久磁石260Aの左右両端(アキシャルティース部252,253側)には、永久磁石260Aの磁束がアキシャルティース部252,253に流れないようにするためのフラックスバリア254が設けられている。
【0095】
これによれば、第2−1実施形態のロータ200Aでは、界磁磁極250のうち、ラジアル部251では永久磁石260Aからなる界磁が形成され、2つのアキシャルティース部252,253には、直流励磁鉄心により励磁される直流電磁石からなる界磁が形成されることで、ハイブリッド励磁型の界磁が形成される。
【0096】
また別の態様として、
図9B〜
図11Bを参照して、第2−2実施形態のロータ200Bの各界磁磁極220のアキシャルティース部252,253には、永久磁石260Bが設けられている。永久磁石260Bは、代表的にはネオジム磁石が用いられるが、これ以外の永久磁石が用いられても良い。
【0097】
永久磁石260Bは、それぞれ各アキシャルティース部252,253の形状に合わせて扇状に形成されており、各アキシャルティース部252,253の中心にSPM(Surface Permanent Magnet)状に配置されている。各永久磁石260Aは、隣接する永久磁石260Aの極性が交互に異極となるように配置されている。
【0098】
この第2−2実施形態において、永久磁石260Bは各アキシャルティース部252,253よりも一回り小さい扇状に形成されており、永久磁石260Bの外周には各アキシャルティース部252,253の一部が露出しているが、後述するフラックスバリア部261およびフラックスゲート部262を残して、各アキシャルティース部252,253の全面を永久磁石260Bで覆い隠してもよい。
【0099】
この第2−
2実施形態において、永久磁石260Bは、アキシャルティース部252の一部を凹ませた凹部内に埋設されており、アキシャルティース部252の内周面と永久磁石260Bの表面とが同一平面となるように配置されている。また、永久磁石260Bの上端(ラジアルティース部251側)には、永久磁石260Bの磁束がラジアルティース部251に流れないようにするためのフラックスバリア254が設けられている。
【0100】
これによれば、第2−2実施形態のロータ200Bの界磁磁極250のうち、ラジアル面251では、直流励磁鉄心により励磁される直流電磁石からなる界磁が形成され、2つのアキシャルティース部252,253は永久磁石260Bからなる界磁が形成されることで、ハイブリッド励磁型の界磁が形成される。
【0101】
2つのアキシャルティース部252,253のうち、一方のアキシャルティース部252部(
図10では左側)には、励磁鉄心410,420から界磁磁極220に磁束を導き入れやすくするため、励磁鉄心410,420と界磁鉄心220との間の空隙を小さく取り、磁気抵抗を小さくする機能を持たせたフラックスゲート部261が設けられている。フラックスゲート部261は、アキシャルティース部252のティース面から突出した凸部からなる。なお、アキシャルティース252は単なる平坦面であってもよい。
【0102】
これに対し、他方のアキシャルティース部253(
図10では右側)には、励磁鉄心400Bの磁束を界磁磁極250内に導き入れにくくするため、励磁鉄心410,420と界磁磁極220との間の空隙を大きく取り、磁気抵抗を大きくする機能を持たせたフラックスバリア部262が設けられている。なお、アキシャルティース部253は、単なる平坦面であってもよい。
【0103】
フラックスバリア部262は、フラックスゲート部261とは逆に、アキシャルティース部253から励磁鉄心500Bとは離反する方向(内側)に凹んだ凹部からなり、フラックスバリア部262と励磁鉄心500Bとの空隙距離を長くすることにより、フラックスバリア部262にフラックスが入ることが防止される。この第2実施形態においても、フラックスゲート部261とフラックスバリア部262は、各アキシャルティース部252,253の内径側(固定軸25の軸中心側)に配置されている。
【0104】
図11A(a),
図11B(a)に示すように、この第2実施形態において、ロータ200Bの左側面において、各アキシャルティース部252のうち、奇数番目のアキシャルティース部252(252a,252c,252e,252g)には、上述したフラックスゲート部261が配置されており、偶数番目のアキシャルティース部252(252b,252d,252f,252h)には、フラックスバリア部262が配置されている。
【0105】
これに対し、
図11A(b),
図11B(b)に示すように、ロータ200Bの右側面において、アキシャルティース部253のうち、偶数番目のアキシャルティース部253(253b,253d,253f,253h)には、上述したフラックスゲート部261が配置されており、奇数番目のアキシャルティース部253(253a,253c,253e,253g)には、フラックスバリア部262が配置されている。
【0106】
フラックスゲート部23
2(261)とフラックスバリア部23
1(262)との考えられる組み合わせは次の表1に示す3通りである。
【0108】
図12および
図13を参照して、ステータ300Bは、電機子としての環状鉄心330を有し、この環状鉄心330は、アルミニウム材や合成樹脂材等の非磁性体からなる支持部材340を介して固定軸25に固定される。
【0109】
環状鉄心330は、円盤状に打ち抜かれた例えば電磁鋼板を、軸線方向(
図9では左右方向)に複数枚積層することにより構成され、積層状態における半径方向に沿った断面は四角形状であり、巻線を巻きやすくするため円周方向に複数に分割されていてもよい。環状鉄心330は、電磁鋼鈑積層鉄心のほかに、圧粉磁心もしくは焼結磁心であってもよい。
【0110】
この第2実施形態において、環状鉄心330には、電機子巻線Cを巻回するためのスロット(溝)331が、環状鉄心330の中心線を旋回するように環状に形成されている。すなわち、スロット331は、同一の半径線上において環状鉄心21の外径面、両側面および内径面にかけて一連に形成されている。
【0111】
スロット331は、その複数個が環状鉄心330の円周方向に沿って所定の間隔で配置されており、その各々に電機子巻線Cがトロイダル巻線として巻線される。この第2実施形態に係る電動機100Bは三相8極であり、スロット331は、15°間隔で24箇所に設けられており、隣接するスロット331,331の間の鉄心部分が、電機子ティース332として作用する。
【0112】
図13の結線図に、
図12における三相8極のトロイダル巻線と、三相交流電源(Vu,Vv,Vw)との接続状態を示す。なお、
図12,
図13において、U相,V相,W相中のアッパーラインが付されている巻線は、アッパーラインが付されていない巻線とは逆巻きであることを示しているが、本明細書では、逆巻きの巻線には便宜上アンダーラインを付している。
【0113】
このトロイダル巻線のU相(U1+U2+U3+U4,
U1+
U2+
U3+
U4)、V相(V1+V2+V3+V4,
V1+
V2+
V3+
V4)、W相(W1+W2+W3+W4,
W1+
W2+
W3+
W4)に対して、インバータで構成される三相交流電源より三相交流(Vu,Vv,Vw)を通電することにより、環状鉄心330には、最外径面側のラジアル部と、両側面のアキシャル部とに、空間的・時間的に同一極性の回転磁界が発生し、ロータ200B側の界磁との間でマックスウェルの応力が働き、所定方向に回転トルクが発生する。
【0114】
再び
図9を参照して、励磁鉄心400Bは、ロータ200Bのアキシャルティース面252(
図9では左側面)に対向するように配置された第1励磁鉄心410と、ステータ300Bのアキシャルティース面253(
図1では右側面)に対向するように配置された第2励磁鉄心420とを備えている。
【0115】
第1励磁鉄心410および第2励磁鉄心420は、回転軸21を中心に同軸的な環状鉄心であって、固定軸25の外周面に圧入固定されている。第1励磁鉄心410および第2励磁鉄心42には、固定軸23を中心に励磁コイル430が巻回されている。各励磁コイル430は、互いに結線されて1つの励磁コイル430として機能し、固定軸25を励磁する有芯コイルである。
【0116】
励磁コイル430に直流電流を流すことで、有芯コイルである固定軸25は磁石となる。そこで、
図9Aのように、第1励磁コイル410側がN極で、第2励磁コイル420側がS極とし、ラジアルティース部251に永久磁石260Aを配置した場合、磁束が、固定軸25のN極側→第1励磁鉄心410→第1励磁鉄心410とフラックスゲート部261との間の空隙Gg(第5励磁エアギャップ)→フラックスゲート部261を有する偶数番目の界磁磁極(252b,252d,252f,252h)→アキシャルエアギャップG2,G3→電機子300Bの環状鉄心311→アキシャルエアギャップG2,G3→フラックスゲート部261を有する奇数番目の界磁磁極(253a,253c,253e,253g)→フラックスゲート部261と第2励磁鉄心420との間の空隙Gg(第6励磁エアギャップ)→第2励磁鉄心420→固定軸25のS極側へと流れる直流磁気回路が形成され、偶数番目の界磁磁極と奇数番目の界磁磁極が互いに異極となる。
【0117】
これに対し、
図9Bのように、第1励磁コイル410側がN極で、第2励磁コイル420側がS極とし、アキシャルティース部252,253に永久磁石260Bを配置した場合、磁束が、固定軸25のN極側→第1励磁鉄心410→第1励磁鉄心410とフラックスゲート部261との間の空隙Gg(第5励磁エアギャップ)→フラックスゲート部261を有する偶数番目の界磁磁極(252b,252d,252f,252h)→ラジアルエアギャップG1→電機子300Bの環状鉄心311→ラジアルエアギャップG1→フラックスゲート部261を有する奇数番目の界磁磁極(253a,253c,253e,253g)→フラックスゲート部261と第2励磁鉄心420との空隙Gg(第6励磁エアギャップ)→第2励磁鉄心420→固定軸25のS極側へと流れる直流磁気回路が形成され、偶数番目の界磁磁極と奇数番目の界磁磁極が互いに異極となる。
【0118】
その結果、偶数番目の界磁磁極と奇数番目の界磁磁極との磁界の向きが逆となり、奇数番目の界磁磁極252,253(252a,252c,252e,252g(253a,253c,253e,253g))がS極となり、偶数番目の各界磁磁極252,253(252b,252d,252f,252h(253b,253d,253f,253h))がN極となるように励磁される。
【0119】
図17に示すように、N極界磁磁極からS極界磁磁極に流れる磁束は、電機子鉄心330のラジアル部と2つのアキシャル部の3つの流れに分流する。そこで、固定軸25、励磁鉄心400B、界磁磁極220、電機子鉄心310の透磁率は、空気の透磁率に比べて3ケタ以上大きいので、これらの部分における磁気抵抗は小さいため無視し、磁気抵抗の大きい空気層(すなわち、エアギャップ部G1〜G3)や励磁鉄心とフラックスゲート部231の空隙のみについて考えた場合、アンペアの周回積分の法則から、直流励磁磁束は、下式2−1によって算出される。
【0121】
また、ラジアルギャップ部に永久磁石がある実施例2−2の場合は、永久磁石の透磁率は空気と同等であり、かつ永久磁石の厚さ(t)≫gであるので、2/(〔g+t〕/μSr)≒0となり、実際には下式2−2によって算出される。
【0123】
さらに、アキシャルギャップ部に永久磁石がある実施例2−2の場合は、永久磁石の透磁率は空気と同等であり、かつ永久磁石の厚さ(t)≫gであるので、4/(〔g+t〕/μSa)≒0となり、実際には下式2−3によって算出される。
【0125】
ここで、上記各数式2−1〜2−3の各パラメータは以下の通りである。
Φ:磁束量
I:直流電流
Sa:アキシャルエアギャップG2,G3の面積(界磁磁極のアキシャルギャップ面222,223と電機子鉄心のアキシャルギャップ面312,313との対向面積の総和の1/2)
Sr:ラジアルエアギャップの面積(界磁磁極のラジアルギャップ面221と電機子鉄心のラジアルギャップ面311との対向面積の総和の1/2)
S1:励磁鉄心とフラックスゲート部の対向面積
N:直流励磁コイル1個の巻数
g:エアギャップの長さ
c:励磁空隙の長さ
μ:空気の透磁率
【0126】
次に、
図14,15を参照して、第2実施形態に係る永久磁石型同期電動機100Bのステータの変形例について説明する。
【0127】
この変形例において、
図14に示す構成のステータ300B’を備える。このステータ300B’において、上記第2実施形態でのステータ300Bと同一もしくは同一と見なされてよい要素には同じ参照を付している。
【0128】
ステータ300B’は、環状に形成された断面四角形の鉄心330を有し、この環状鉄心330は、上記第1実施形態と同じく、非磁性体からなる支持部材340を介して固定軸25に固定される。
【0129】
なお、環状鉄心330は、固定軸25に直接固定されてもよい。また、支持部材340は磁性体材料が用いられてもよい。さらに、環状鉄心330には、電磁鋼鈑積層鉄心、圧粉磁心もしくは焼結磁心などが用いられてよい。
【0130】
このステータ300B’は、三相9スロットで、三相8極の回転磁界を作ることができ、環状鉄心330には40°間隔で9個の電機子ティース332(332a〜332i)が設けられる。
【0131】
この実施形態において、電機子ティース332(332a〜32i)はロータ200B側の界磁との間で、ラジアルギャップ面と2つのアキシャルギャップ面の3面のギャップ面において有効な回転トルクが得られるようにするため、電機子ティース331をサドル形状とし、各電機子ティース332a〜332iに集中巻電機子巻線Cを施すようにしている。
【0132】
環状鉄心330には、電機子巻線Cが施されるスロット331が円周方向に沿って所定の間隔をもって配置されている(この例で、そのスロット数は9個)。
【0133】
隣接するスロット331間が電機子ティース332となるが、この変形例において、電機子ティース332は、環状鉄心330の外径面および両側面の3面(ラジアル側の1面とアキシャル側の2面)を含み、円周方向の幅が半径方向外側に向けて漸次大きくなるサドル状(立体台形の扇状)に形成されている。すなわち、この電機子ティース332は、1つのラジアルティース部と2つのアキシャルティース部とを備える。
【0134】
スロット331内に電機子巻線Cが配線されるが、この変形例において、電機子巻線Cは、
図14(c)に示すように、電機子ティース220の外径面(ラジアルティース部)および両側面(アキシャルティース部)の各周縁に沿わせて三次元集中巻きとして巻線される。
【0135】
図15の結線図に、
図14における三相集中巻電機子巻線と、三相交流電源(Vu,Vv,Vw)との接続状態を示す。なお、
図14,
図15において、U相,V相,W相中のアッパーラインが付されている巻線は、アッパーラインが付されていない巻線とは逆巻きであることを示しているが、本明細書では、逆巻きの巻線には便宜上アンダーラインを付している。
【0136】
この三相集中巻電機子巻線のU相(U1,
U2,U3)、V相(V1,
V2,V3)、W相(W1,
W2,W3)に対して、インバータで構成される三相交流電源より三相交流(Vu,Vv,Vw)を通電することにより、環状鉄心21には、最外径面側のラジアルティース部と、両側面のアキシャルティース部とに、空間的・時間的に同極の回転磁界が発生し、ロータ3B側の界磁との間でマックスウェルの応力が働き、所定方向に回転トルクが発生する。
【0137】
上記第1および第2実施形態において、永久磁石240A,240B(260A,260B)は、表面磁石方式(SPM方式)の磁石よりなるが、永久磁石240A,240B(260A,260B)は、表面磁石方式(SPM方式)、埋込磁石方式(IPM方式:Interior Permanent Magnet方式)もしくはコンセクエントポール方式のいずれか1つの方式の磁石よりなればよい。
【0138】
また、上記第1および第2実施形態において、永久磁石240B(260B)は、アキシャル磁極面222,223およびアキシャル磁極部252,253の両面に取り付けられた場合を例にとって説明したが、永久磁石240B(260B)は、少なくとも1つのアキシャル磁極面222,223(アキシャル磁極部252,253)に設けられていればよい。
【0139】
さらには、第1−1実施形態および第1−2実施形態(第2−1実施形態および第2−2実施形態)を組み合わせてもよい。すなわち、ラジアル磁極面221(ラジアル磁極部251)と、いずれか一方のアキシャル磁極面222,223(252,253)とに永久磁石240A,240B(260A,260B)をそれぞれ取り付けて、1つのアキシャル磁極面に励磁電流による界磁を形成し、残る1つのアキシャル磁極面とラジアル磁極面で永久磁石による界磁を形成して、それらを組み合わせてもよい。
【0140】
表面磁石方式(SPM方式)の磁石よりなるが、永久磁石240A,240B(260A,260B)は、表面磁石方式(SPM方式)、埋込磁石方式(IPM方式:Interior Permanent Magnet方式)もしくはコンセクエントポール方式のいずれか1つの磁石よりなればよい。
【0141】
以上説明したように、本発明によれば、ステータ側とロータ側との間に、1つのラジアルエアギャップ面と2つのアキシャルエアギャップを設け、同一回転角の位置において、この3つのエアギャップにおける磁界の極性を、電機子にあっては時間的および空間的に同極性となるようにし、界磁にあっては空間的に同極性となるようにしたことにより、トルク密度・出力密度をより増大させた同期電動機を得ることができる。
【0142】
さらに、ラジアルギャップとアキシャルギャップのいずれか一方に直流励磁磁石による界磁を形成し、いずれか他方に永久磁石による界磁を形成し、2種類の界磁を組み合わせたハイブリッド励磁型の界磁を形成するとともに、永久磁石による磁束の流れと直流励磁による磁束の流れが互いに独立して並列に流れるようにし、直流励磁磁気回路の中に磁気抵抗の大きい永久磁石が存在しないため、効率よく直流励磁磁束が発生し、始動から加速の段階において大きなトルクを出すことができるとともに、高速運転時には、直流励磁電流を減らすことによって、弱め界磁のための無駄な電力を消費せず高効率の高速化が可能となる。
直流励磁コイルを具備する固定された励磁鉄心により励磁されてなる直流励磁磁石と永久磁石からなる複合界磁が、ラジアルエアギャップと二つのアキシャルエアギャップのいずれかに配置され、その2種類の磁石によってつくられる界磁磁束が2種類のエアギャップにおいて、それぞれの磁気回路が独立かつ並列に形成され、それらを電磁気的に一体の電機子が発生する回転磁界によって同一方向にトルクを発生させることによって、始動、加速及び低速時には大トルクを発生させ、高速時には高効率を狙った、トルク密度と出力密度の高いハイブリッド励磁型の同期電動機。