(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851710
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】データ解析装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20160114BHJP
G06F 19/00 20110101ALI20160114BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06F19/00 600
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-96411(P2011-96411)
(22)【出願日】2011年4月22日
(65)【公開番号】特開2012-128827(P2012-128827A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2010-260161(P2010-260161)
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】宗平 博史
(72)【発明者】
【氏名】山口 由香
【審査官】
大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−178893(JP,A)
【文献】
特開2006−004097(JP,A)
【文献】
特開2007−183857(JP,A)
【文献】
特開2000−057159(JP,A)
【文献】
特開2001−355457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
G06F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理設備において収集されたデータを1日単位で格納する記憶手段と、
解析対象の日と比較対象の月とを指定するための入力手段と、
前記入力手段によって指定された解析対象の日と比較対象の月の各日に収集された前記データを前記記憶手段から取得するデータ取得手段と、
解析対象の日に収集された前記データと比較対象の月の各日に収集されたデータとの相関係数を演算する演算手段と、
前記比較対象の月のカレンダーを表示すると共に、前記演算手段によって演算された相関係数の値に応じて形態が変化するオブジェクトを前記カレンダー内の対応する日付に重畳表示する表示手段と、
を備えることを特徴とするデータ解析装置。
【請求項2】
前記表示手段は、解析対象の日付を含む月のカレンダーを比較対象の月のカレンダーと共に表示することを特徴とする請求項1に記載のデータ解析装置。
【請求項3】
水処理設備において収集された複数項目のデータを1日単位で格納する記憶手段と、
解析対象の日と比較対象の各日とを指定するための入力手段と、
前記入力手段によって指定された解析対象の日と比較対象の各日に収集された前記データを前記記憶手段から取得するデータ取得手段と、
解析対象の日に収集された前記データと比較対象の各日に収集されたデータとの前記複数項目のそれぞれの相関係数を演算する演算手段と、
前記演算手段によって演算された相関係数の値に応じて大きさおよび形状が変化するオブジェクトを垂直方向に重畳して立体表示する表示手段と、
を備えることを特徴とするデータ解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場などの水処理設備において収集されたデータを解析するためのデータ解析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浄水場などの水処理設備では、水質データや各種監視センサの出力値などの各種データが時系列的に収集され、収集されたデータに基づいて水処理設備を制御することが行われている。例えば特許文献1には、水処理設備に設けられたセンサによって検出されたデータを収集するデータ収集装置と、データ収集装置によって収集されたデータを蓄積し、蓄積されたデータを用いて水処理設備の監視や運転制御を行う監視制御装置と、を備えるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−251505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各種データを時系列的に収集した場合、データ量が膨大になるために、収集したデータに基づいて水処理設備の監視や運転制御を行うことが困難になる。例えば、水処理設備の運転制御では、本日収集されたデータと過去に収集されたデータとを比較し、本日収集されたデータと類似するデータが収集された日に行った運転制御内容に基づいてその後の運転制御内容を決定することがある。ところが、データ量が膨大である場合、類似するデータが収集された日を見つけ出すことが困難になる。このため、データ解析に要する労力を軽減可能な技術の提供が期待されていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、データ解析に要する労力を軽減可能なデータ解析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るデータ解析装置は、水処理設備において収集されたデータを
1日単位で格納する記憶手段と、解析対象の
日と比較対象の
月とを指定するための入力手段と、前記入力手段によって指定された解析対象の
日と比較対象の
月の各日に収集された前記データを前記記憶手段から取得するデータ取得手段と、解析対象の
日に収集された前記データと比較対象の
月の各日に収集されたデータとの相関係数を演算する演算手段と、
前記比較対象の月のカレンダーを表示すると共に、前記演算手段によって演算された相関係数の値に応じて形態が変化するオブジェクトを
前記カレンダー内の対応する日付に重畳表示する表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るデータ解析装置によれば、データ解析に要する労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態であるデータ解析装置が適用される浄水場運転制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態であるデータ表示処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、表示装置に表示される解析対象の日付を含むカレンダーの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、表示装置に表示される比較対象の月のカレンダーの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の他の実施形態であるオブジェクトの表示例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すオブジェクトのうちの1つの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるデータ解析装置について説明する。
【0010】
〔浄水場運転制御システムの構成〕
始めに、
図1を参照して、本発明の一実施形態であるデータ解析装置が適用される浄水場運転制御システムの構成について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態であるデータ解析装置が適用される浄水場運転制御システムの構成を示すブロック図である。本発明の一実施形態であるデータ解析装置が適用される浄水場運転制御システム1は、浄水場2の運転動作を制御する制御装置3と、水質データや各種監視センサの出力値などの浄水場2の運転動作を制御するための各種データを収集するデータ収集装置4と、管理サーバ装置10と、端末装置20とを備える。
【0012】
管理サーバ装置10は、ワークステーションなどの汎用の情報処理装置によって構成され、インターネットやLAN(Local Area Network)などの電気通信回線を介して制御装置3及びデータ収集装置4に接続されている。管理サーバ装置10は、収集データデータベース(DB)11を備える。管理サーバ装置10は、データ収集装置4によって収集された各種データを収集データDB11内に格納する。管理サーバ装置10は、端末装置20からの指示に従って、制御装置30を介して浄水場2の運転動作を制御する。
【0013】
端末装置20は、パーソナルコンピュータなどの汎用の情報処理装置によって構成され、電気通信回線を介して管理サーバ装置10に接続されている。端末装置20は、入力装置21と表示装置22とを備える。入力装置21は、キーボード,マウスポインタ,テンキーなどの入力装置によって構成され、オペレータの操作入力情報を端末装置20に入力する。表示装置22は、液晶ディスプレイなどの表示装置によって構成され、端末装置20からの制御信号に従って各種情報を表示出力する。オペレータは、端末装置20を利用して収集データDB11内に格納されているデータを解析することによって浄水場2の運転動作内容を決定し、端末装置20を介して決定した運転動作内容を管理サーバ装置10に指示する。
【0014】
〔データ表示処理〕
このような構成を有する浄水場運転制御システム1では、端末装置20が以下に示すデータ表示処理を実行することによって、収集データDB11内に格納されているデータの解析に要するオペレータの労力を軽減する。以下、
図2に示すフローチャートを参照して、このデータ表示処理を実行する際の端末装置20の動作について説明する。なお、以下に示す端末装置20の動作は、端末装置20内のCPUがコンピュータプログラムを実行することによって実行される。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態であるデータ表示処理の流れを示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートは、オペレータが入力装置21を操作することによって、収集データDB11内に格納されている各種データの解析開始を指示したタイミングで開始となり、データ表示処理はステップS1の処理に進む。
【0016】
ステップS1の処理では、端末装置20が、表示装置22に
図3に示すようなカレンダーを表示すると共に、カレンダー内の任意の日付を解析対象の日付として選択することを促すメッセージを表示装置22に出力する。オペレータは、表示されたメッセージに従って入力装置21を操作することによって解析対象の日付を選択する。端末装置20は、解析対象の日付が選択されると、選択された日付が他の日付と識別可能なように選択された日付の表示形態を変更する。
図3に示す例では、2010年10月5日が反転表示されており、2010年10月5日が解析対象の日付として選択されたことがわかる。これにより、ステップS1の処理は完了し、データ表示処理はステップS2の処理に進む。
【0017】
ステップS2の処理では、端末装置20が、ステップS1の処理によって選択された解析対象の日付の比較対象となる月を選択することを促すメッセージを表示装置22に出力する。オペレータは、表示されたメッセージに従って入力装置21を操作することによって比較対象となる月を選択する。なお、比較対象の期間は、月に限定されることはなく、適宜変更することができる。これにより、ステップS2の処理は完了し、データ表示処理はステップS3の処理に進む。
【0018】
ステップS3の処理では、端末装置20が、管理サーバ装置10を介して、解析対象の日付においてデータ収集装置4によって収集されたデータと比較対象となる月の各日においてデータ収集装置4によって収集されたデータとを収集データDB11から読み出す。そして、端末装置20は、以下に示す数式(1)を用いて、解析対象の日付において収集されたデータx={xi(i=1〜n)}と比較対象となる月の各日において収集されたデータy{yi(i=1〜n)}との相関係数Rを演算する。なお、数式(1)中、上部に線が引かれているパラメータx,yはそれぞれ、データx,yの相加平均を示す。これにより、ステップS3の処理は完了し、データ表示処理はステップS4の処理に進める。
【0020】
ステップS4の処理では、端末装置20が、比較対象となる月のカレンダーを表示装置22に出力すると共に、カレンダー内の各日にステップS3の処理によって演算された相関係数Rに応じて大きさが変化するオブジェクトOを重畳表示させる。
図4は、表示装置22に表示されるカレンダーの一例を示す図である。
図4に示す例では、カレンダー内の各日に円形のオブジェクトOが重畳表示されており、オブジェクトOの大きさはステップS3の処理によって演算された相関係数Rが大きいほど大きくなるように調整されている。
【0021】
具体的には、相関係数Rは−1〜+1の間で変化するので、端末装置20は、相関係数Rの値が1に近いほどオブジェクトOの大きさを大きくし、0に近くなるほどオブジェクトOの大きさを小さくする。このような表示によれば、オペレータは、オブジェクトOの大きさに基づいて、解析対象の日付に収集されたデータと類似するデータが収集された日付を容易に認識することができるので、収集データDB11内に格納されているデータの解析に要するオペレータの労力を軽減することができる。
図4に示す例では、オブジェクトO1の大きさが最も大きいので、オブジェクトO1が重畳表示されている2009年10月5日に収集されたデータが解析対象の日付に収集されたデータと類似していることがわかる。
【0022】
なお、本実施形態では、オブジェクトOを重畳表示することによってデータ間の類似度を表現したが、例えば各日付の表示色を変更する等してデータ間の類似度を表現してもよい。また、端末装置20は、解析対象の日付を含むカレンダー(
図3)と比較対象の月のカレンダー(
図4)とを並べて表示することが望ましい。このような構成によれば、オペレータは一目で解析対象の日付と比較対象の月の各日との関係性を理解することができる。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連のデータ表示処理は終了する。
【0023】
オブジェクトOの表示形態やデータの比較対象の日付の期間については、上記実施形態に限定されない。
図5は、本発明の他の実施形態であるオブジェクトの表示例を示す模式図であり、
図6は、
図5に示すオブジェクトのうちの1つの上面図である。本実施形態のオブジェクトは、
図6に示すように、複数項目からなるデータについて、解析対象の日付に収集されたデータと、比較対象となる日付に収集されたデータとの各項目の相関係数を演算してレーダーチャートとして表示し、
図5に示すように、比較対象となる日付毎のレーダーチャートを層状に重畳して立体表示したものである。本実施形態では、比較対象の日付の期間を解析対象の日付の直近の30日間とし、収集されるデータは、温度、圧力、濁度、pH、流量、水位、残塩濃度、アルカリ度、照度、湿度の10項目で構成される。
図6に示すように、解析対象の日付に収集されたデータと比較対象となるある日付に収集されたデータとの各データ項目についての相関係数をレーダーチャートにして水平面上に表示させる。この1日分のレーダーチャートに所定の厚みを持たせたものをオブジェクト(O1〜O30)として、
図5に示すように、比較対象の日付毎の30日分のレーダーチャートに対応するオブジェクト(O1〜O30)を垂直方向に重畳させてオブジェクト集合体Oとして立体表示させる。
【0024】
このような表示形態によれば、相関係数が大きいほど各オブジェクト(O1〜O30)およびオブジェクト集合体Oの体積が大きくなる。また、データの複数項目についての相関係数が大きいほど、各オブジェクト(O1〜O30)およびオブジェクト集合体Oは円柱に近い形状になる。このことから、オブジェクト集合体Oの体積が大きく円柱に近い形状になるほど、解析対象のデータが安定しているとみなせる。すなわち、管理対象の施設の状態が安定しているとみなすことができる。このオブジェクト集合体Oを3Dプリンターに出力してもよい。出力したオブジェクト集合体Oは、体積が大きく容積や重量が大きいほど、また円柱に近い形状になるほど転がりやすくなるので、視覚のみならず触覚によっても解析対象のデータや管理対象の施設の安定性を確認することができる。さらに、解析対象のデータのある項目の所定期間における変化はオブジェクト集合体Oの垂直方向の形状の変化として表れる。これにより、例えば、解析対象のデータの周期性を確認することもできる。
【0025】
さらに、各オブジェクト(O1〜O30)のデータ収集日の属性により表示色を変更してもよい。例えば、曜日別あるいは平日/休日の別に各オブジェクト(O1〜O30)の表示色を変更すると、同一曜日あるいは休日連続日数が一致する期間などにおけるデータのパターンが視覚的に把握しやすくなる。また、平均気温、最低気温、最高気温などの気象値により各オブジェクト(O1〜O30)の表示色を変更すると、天候によるデータのパターンを視覚的に把握しやすくなる。水需要は人間の社会生活パターンや天候との関連が深いので、このような表示形態は、水処理施設のデータ管理にとくに有効である。
【0026】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 浄水場運転制御システム
2 浄水場
3 制御装置
4 データ収集装置
10 管理サーバ装置
11 収集データデータベース(DB)
20 端末装置
21 入力装置
22 表示装置