特許第5851726号(P5851726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851726
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】水中油型乳化メイクアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20160114BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20160114BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20160114BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20160114BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20160114BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61Q1/00
   A61K8/81
   A61K8/73
   A61K8/29
   A61K8/25
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-116299(P2011-116299)
(22)【出願日】2011年5月24日
(65)【公開番号】特開2012-241006(P2012-241006A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】建部 桃子
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/030044(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/108634(WO,A1)
【文献】 特開2006−008796(JP,A)
【文献】 A New Polymer with a MAXimum Resistance to Electrolytes,SOFW Journal,2010年,Vol. 136, No. 12,p55-58,URL,http://www.seppic.com/file/galleryelement/pj/10/3d/46/ee/4867%20sepimax%20publication7068934365893602364.pdf;jsessionid=jsDmKtimtgsxxl8bL7NYRg__%5D
【文献】 Thickening agent with a high salt tolerance, Speciality Chemicals Magazine,2011年 3月,Vol. 31, No. 3,p.27,URL,http://edition.pagesuite-professional.co.uk/Launch.aspx?EID=803aeabb-a587-4535-ae76-27a407d28569
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00〜 8/99
A61Q 1/00〜 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
DWPI(Thomson Innovation)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステル、並びにN,N−ジメチルアクリルアミドを構成単位として含むクロスポリマーと、(B)多糖系増粘剤と、(C)粉体とを含有し、成分(A)の含有量が、メイクアップ化粧料の総量を基準として0.1〜5質量%、成分(B)の含有量が、メイクアップ化粧料の総量を基準として0.05〜5質量%、成分(A)と(B)との含有質量比(A:B)が、1:3〜3:1であることを特徴とする水中油型乳化メイクアップ化粧料。
【請求項2】
(B)多糖系増粘剤が、キサンタンガム、スクレロチウムガム、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、カラギーナン、ヒアルロン酸、チューベロース多糖体、シロキクラゲ多糖体、ローカストビーンガム及び酸化セルロースからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1記載の水中油型乳化メイクアップ化粧料。
【請求項3】
更に(C)粉体が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄及び雲母チタンからなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の水中油型乳化メイクアップ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化メイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化組成物、特に皮膚外用剤用の乳化組成物の乳化安定性を向上させるために、増粘剤、ゲル化剤が広く用いられている。そのなかでも、キサンタンガムは、天然の水溶性増粘剤及び乳化安定剤として、化粧品、食品用に広く利用されている。
【0003】
キサンタンガムは、キサントモナス属菌(Xanthomonas campestris)を用いて、炭水化物を発酵させて、その菌体外に蓄積した多糖類を精製したものであり、D−グルコース、D−マンノース及びD−グルクロン酸のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩からなる。また、その分子量は約200万とされているが、1300万〜5000万との報告もある。一般の他の天然水溶性増粘剤の分子量と比較すると10〜100倍も大きく、この極端に大きな分子量により、優れた増粘効果及び乳化安定化効果を発揮する。
【0004】
しかしながら、キサンタンガム等の多糖類を増粘剤として用いた場合、薬剤成分や各種塩類を同時配合した系での安定性は優れるものの、べたつき感がするなど化粧料としての使用性の面においては不具合があった。
【0005】
一方、疎水性架橋型ポリアクリル共重合体は、薬剤成分や各種塩類を同時配合した系での乳化安定性に優れるものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第08/087326号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、疎水性架橋型ポリアクリル共重合体は、弾性を有するため、これを高濃度配合した化粧料は使用感や生産時のハンドリング性に問題があることが判明した。
従って本発明の課題は、キサンタンガム等の多糖類を含有するにも関わらず、ずるつきやべたつきが生じず使用感に優れ、生産時のハンドリング性に優れた水中油型乳化メイクアップ化粧料を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、疎水性架橋型ポリアクリル共重合体と多糖系増粘剤とをある一定の比率で使用し、これに粉体を配合することで、安定性が高く、高使用感でかつ生産時のハンドリング性に優れた水中油型乳化メイクアップ化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステル、並びにN,N−ジメチルアクリルアミドを構成単位として含むクロスポリマーと、(B)多糖系増粘剤と、(C)粉体とを含有し、成分(A)と(B)との含有質量比(A:B)が、1:3〜3:1であることを特徴とする水中油型乳化メイクアップ化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水中油型乳化メイクアップ化粧料は、保存安定性、感触に特に優れており、とまりの良さ、べたつきのなさ、清涼感、化粧持ち、艶、保湿性、安全性、生産時のハンドリング性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いられる水溶性増粘剤は、(A)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステル、並びにN,N−ジメチルアクリルアミドを構成単位として含むクロスポリマーである。ここで(メタ)アクリル酸のエステルとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、C6-20アルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ラウリル(メタ)アクリレートがより好ましい。また、アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレートとしては、C6-20アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレートが挙げられ、ラウリルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ミリスチルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、パルミチルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート等が好ましく、ラウリルテトラオキシエチレン(メタ)アクリレートがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸のエステルは、2種以上が含まれていてもよい。また、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩としてはアンモニウム塩が好ましい。
【0012】
より好ましいクロスポリマーの例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩と、C6-20アルキル(メタ)アクリレート及び/又はC6-20アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレートと、N,N−ジメチルアクリルアミドとの共重合体が挙げられる。
具体的なクロスポリマーとしては、(2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウム/N,N−ジメチルアクリルアミド/ラウリルテトラオキシエチレン(メタ)アクリレート)クロスポリマー、(2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウム/N,N−ジメチルアクリルアミド/ラウリル(メタ)アクリレート/ラウリルテトラオキシエチレン(メタ)アクリレート)クロスポリマー等が挙げられる。市販品の例としては、SEPPIC社製のSepiMAX ZENを挙げることができる。
【0013】
これらの水溶性増粘剤は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩と、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルと、N,N−ジメチルアクリルアミドを共重合させることにより得ることができる。
【0014】
本発明の水中油型乳化メイクアップ化粧料における(A)水溶性増粘剤の含有量は、メイクアップ化粧料の総量を基準として0.1〜5質量%が好ましく、0.15〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。(A)水溶性増粘剤をこの範囲とすることにより、乳化安定性も良好であり、かつべたつきも生じない。
【0015】
本発明に用いられる(B)多糖系増粘剤としては、キサンタンガム、スクレロチウムガム、アラビアガム、アルカリゲネス産生多糖体、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、カラギーナン、ヒアルロン酸、チューベロース多糖体、シロキクラゲ多糖体、ローカストビーンガム、酸化セルロース等を好適に用いることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの多糖系増粘剤のうち、感触、ハンドリング性の点から、キサンタンガム、スクレロチウムガム、ヒドロキシエチルセルロース、シロキクラゲ配糖体が好ましく、キサンタンガムがさらに好ましい。
【0016】
(B)多糖系増粘剤の含有量は、乳化安定性、べたつき感抑制の点から、メイクアップ化粧料の総量を基準として0.05〜5質量%が好ましく、さらに0.1〜3質量%が好ましい。
【0017】
本発明の水中油型乳化メイクアップ化粧料においては、成分(B)のずるつきやべたつきを抑え、且つ成分(A)のハンドリング性を良好にするには、成分(A)と(B)の含有質量比(A:B)を、1:3〜3:1の範囲とすることが重要である。1:3より成分(A)が少ない場合、成分(B)のずるつきやべたつきを隠せず、また3:1より成分(A)が多い場合は、特に成分(A)が高濃度であるときに、ハンドリング性に劣り、生産時に高せん断が必要である。
【0018】
本発明の水中油型乳化メイクアップ化粧料において、(C)粉体としては、化粧品一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず用いることができる。具体的には、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類;オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類;ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース等の有機粉体類;シリカ、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー等の樹脂粉末類;有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類;微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0019】
これらの粉体のうち、カバー力や、艶等のメイクアップ効果の点から、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄及び雲母チタンから選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましい。
【0020】
本発明の水中油型乳化化粧料における(C)粉体の含有量は、水中油型乳化メイクアップ化粧料の総量を基準として0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましい。(C)粉体の含有量がこの範囲であると、発色が良好で、メイクアップ化粧料としては十分な化粧効果を得ることができ、化粧持続性も良好であるとともに、また、十分に粉体を分散することができ、乳化安定性も良好である。本発明のメイクアップ化粧料は、粉体分散性に優れるため粉体を高配合することが可能であり、ベースメイクアップ化粧料として使用する場合には、カバー力を考慮し、(B)粉体をメイクアップ化粧料の総量を基準として、10〜30質量%含有することができる。
【0021】
本発明にかかる水中油型乳化メイクアップ化粧料においては、上記した必須構成成分の他にこれらの所望する形態や剤型に応じて通常公知の基剤成分等を、その配合により本発明の所期の効果を損なわない範囲で広く配合して用いることができる。例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリル酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、ラノリン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ビースワックス、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の油性原料;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ラウロイルジエタノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリエーテル変性シリコーン等の界面活性剤;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ビタミンEアセテート、ビタミンH、センブリ抽出物、グリチルレチン酸、パントテニルエチルエーテル等の薬効成分;パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、〔4−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル−3−メチルブチル〕−3,4,5,−トリメトキシケイ皮酸エステル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤;アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等の防腐剤;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等のpH調整剤;保湿剤、皮膜剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、皮膚栄養剤、香料、色剤、水等を適宜本発明の水中油型乳化メイクアップ化粧料中に配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することができる。
【0022】
本発明の水中油型乳化メイクアップ化粧料の形態としては、ファンデーション、メイクアップベース、化粧下地等のベースメイクアップ化粧料等のベースメイクアップ化粧料、アイシャドウ、ハイライト、チーク、マスカラ等のポイントメイクアップ化粧料、BBクリーム等のスキンケア化粧料にベースメイクの機能を付与したもの等が挙げられる。
【実施例】
【0023】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%である。
【0024】
下記表1記載の水中油型乳化化粧料を調製し、べたつき、ずるつき(よれ)、及びハンドリング性を下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
【0025】
(1)使用特性(べたつき、ずるつき)の評価基準
女性パネル20名に、実施例、比較例の各試料を塗布してもらい、「べたつかない」、「ずるつかない」、「2時間以上くずれない」と回答した人数に従って使用特性を評価した。評価基準は下記の通りである。
【0026】
○:15人以上
△:7〜14人
×:6人以下
【0027】
(2)ハンドリング性の評価基準
プライミックス社製ホモミキサーを用いて、水相での水溶性増粘剤の分散、さらに顔料分散を評価した。
○:低攪拌(3000rpm程度)で分散に優れる。
△:やや分散が劣るが、攪拌速度(4000〜5000rpm)を上げると分散可能。
×:高攪拌(5000rpm以上)が必要で、時間を要する。
【0028】
【表1】
【0029】
表1に示す結果から明らかなように、本発明に使用している(A)水溶性増粘剤と(B)多糖系増粘剤を、(B)多糖系増粘剤が多い範囲で使用する場合、べたつき、ずるつきといった多糖系増粘剤本来の感触が出てくることで感触面に問題があり、さらに本発明の(A)水溶性増粘剤を多量配合した場合、水溶性増粘剤の分散や顔料分散が悪く、高せん断、時間を必要とし、本発明の効果を得ることができなかった(比較例1〜3)。これに対し、(A)水溶性増粘剤と(B)多糖系増粘剤を一定の比で配合した水中油型乳化化粧料は、べたつき、ずるつきがなく、かつハンドリング性も良好であった。
【0030】
以下に、さらに本発明の処方例を示す。
【0032】
実施例4
(ファンデーション)
(質量%)
1. ステアリン酸 0.5
2. モノステアリン酸グリセリル 1.5
3. ベヘニルアルコール 0.5
4. α−オレフィンオリゴマー 14.0
5. ジメチコン*5 1.0
6. SepiMAX ZEN*3 1.0
7. キサンタンガム 0.5
8. ベントナイト*6 0.1
9. ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.3
10.グリセリン 10.0
11.クロルフェネシン 0.2
12.ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
13.アスコルビン酸グルコシド 0.1
14.グレチノール 0.1
15.シルクエキス 0.1
16.フェノキシエタノール 0.4
17.デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2
18.精製水 残 量
19.酸化チタン 6.0
20.酸化鉄 0.8
21.タルク 1.0
22.合成金運母 1.0
*5;商品名:2−1184 Fluid、東レ・ダウコーニング社製
*6;商品名:クニピアG4、クニミネ工業社製
【0033】
実施例5
(メイクアップベース/サンスクリーン)
(質量%)
1. モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.3
2. ポリオキシエチレン(60)硬化ひまし油 0.8
3. メトキシケイヒ酸オクチル 6.0
4. ブチルメトキシベンゾイルメタン 1.5
5. ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
6. フェニルトリメチコン*7 2.0
7. ジメチコン*8 1.0
8. イソノナン酸イソノニル 1.0
9. エタノール 8.0
10.ロドデンドロール 2.0
11.ブチレングリコール 3.0
12.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー*9 0.1
13.SepiMAX ZEN*3 1.0
14.ヒドロキシエチルセルロース 0.4
15.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体*10 0.3
16.水酸化カリウム 0.2
17.精製水 残 量
18.酸化チタン 2.0
19.雲母チタン 1.0
20.ガラス末 0.5
*7 ;商品名:SH556、東レ・ダウコーニング社製
*8 ;商品名:KF−96A−6CS、信越化学工業社製
*9 ;商品名:KSG−16、信越化学工業社製
*10;商品名:PEMULEN TR−1、Lubrizol Advanced Materials,Inc.社製
【0034】
実施例6
(メイクアップベース/サンスクリーン)
(質量%)
1. メトキシケイヒ酸オクチル 7.5
2. ミリスチン酸イソセチル 5.0
3. シクロメチコン*11 4.0
4. エタノール 10.0
5. SepiMAX ZEN*3 0.4
6. (アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー *12
2.0
7. 1%シロキクラゲ多糖体水溶液*13 15.0
8. (ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー水分散液*14 1.0
9. グリセリン 2.0
10.エデト酸二ナトリウム 0.02
11.精製水 残 量
12.酸化チタン 2.0
13.シリカ 1.0
*11;商品名:SH245 Fluid、東レ・ダウコーニング社製
*12;商品名:SIMULGEL EG、SEPPIC社製
*13;商品名:ソフケアTP−SB、花王社製
*14;商品名:PF−2001 Powder in Fluid Emulsion、東レ・ダウコーニング社製