(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的な貯湯式温水器では、水道から貯湯タンクに水を供給して貯留し、貯留した水を貯湯タンク内において加熱して温水とする方式が採用されている。かかる貯湯式温水器では、水道から供給された温度の低い水(常温水)と温水が、上部には温水層、下部には常温水層を形成して同一の貯湯タンク内に貯留される。そして、このような貯湯タンクでは、タンク上部の出湯口から温水が外部に供給されると、温水の減少分だけ、タンク下部の給水口から常温水が貯湯タンク内に供給されるような構造となっている。
【0003】
かかる貯湯タンクは、その給水口が直接水道に接続されており、しかも、その内部が常に温水と常温水によって満たされた状態となるように給水されているので、貯湯タンクには常に水道水の水圧程度の内圧が加わった状態となっている。
このため、貯湯タンクは、水道水の水圧程度の内圧が加わっても過大な変形を生じない強度を確保するために、一般的には、円筒形状に形成されている。
【0004】
しかしながら、貯湯タンクを円筒形状とした場合、貯湯タンクの横断面(軸方向と直交する断面)が円形であるため、貯湯タンクを設置するには、ある程度の広い床面積を有する空間が必要である。このため、貯湯タンクを設置する場所が限定されるという問題がある。
【0005】
かかる問題を解決する技術として、特許文献1、2に開示されているような貯湯タンクが開発されている。
特許文献1、2の貯湯タンクは、膨出させた膨出部とその膨出部の外側に向けて延在させたフランジ部とを一体に有する一対のセグメントを、互いのフランジ部同士を衝合させた状態で衝合部をシーム溶接して形成されたものであり、断面形状が楕円形に形成されている。そして、特許文献1、2には、貯湯タンクをかかる形状とすれば、その厚さを薄くできるので、円筒形の貯湯タンクに比べて、貯湯タンクを設置する床面積を小さくでき、しかも、狭い隙間にも設置することが可能となる旨が記載されている。
【0006】
しかるに、上述したように、貯湯タンクには常に水道水の水圧程度の内圧が加わっているので、内圧によって貯湯タンクを膨らませるように力が加わる。すると、一対のフランジ部の衝合部には、両者を離間させるような力(引張力)が加わるので、一対のフランジ部の衝合部を損傷させる可能性がある。
そして、上記引張力の影響によって、一対のフランジ部の基部間(貯湯タンク内部側の端部間)に隙間が形成されると、この隙間に水道水が浸入する可能性がある。かかる水道水の浸入が発生すると、水道水中の塩素などが作用して、一対のフランジ部においてシーム溶接された部分の腐食を引き起こす場合がある。
したがって、特許文献1、2の貯湯タンクでは、狭い隙間にも設置することが可能となるものの、衝合部の耐久性が低いので、長期間使用することが困難であるという問題を有している。
【0007】
かかる特許文献1、2の貯湯タンクが有する問題を解決する方法が、特許文献3に開示されている。
特許文献3の貯湯タンクは、特許文献1、2の貯湯タンクと同様に、膨出部とフランジ部とを一体に有する一対のセグメントを互いのフランジ部同士を衝合させた状態で衝合部をシーム溶接して形成されたタンクである。特許文献3の貯湯タンクでは、特許文献1、2の貯湯タンクと異なり、一対のセグメントのフランジ部はその基端間(つまり、タンク内側の部分)が溶接されて両者が固定されている。
この特許文献3の貯湯タンクを構成する一対のセグメントは、平面視で円形であってその中心部に内方に向かって凹んだ凹部を有しており、この凹部には開口が設けられている。そして、貯湯タンクとなった状態では、一対のセグメントの開口間をつなぐように配置された円筒部材によって、一対のセグメントの凹部間が連結されている。
上記のごとき構造と有する特許文献3の貯湯タンクは、フランジ部におけるタンク内側の部分が溶接されているので、内圧が加わっても、引張力による一対のフランジ部の基部間に隙間が形成されることを防ぐことができる。また、引張力を発生させる原因となる貯湯タンクの変形を円筒部材によって抑えることができる。したがって、特許文献3の貯湯タンクは、狭い隙間にも設置することを可能としつつ、耐久性を高くでき長期間使用することもできるのである。
【0008】
しかるに、上記の特許文献3の貯湯タンクでも、円筒部材と一対のセグメントの凹部とは溶接によって固定されているので、この溶接部分では応力集中による亀裂が生じやすくなるという問題がある。このため、さらに耐久性が高く長期間の使用に耐えうる貯湯タンクが求められている。
【0009】
また、貯湯式温水器の貯湯タンクに限られず、さまざまな液体や薬剤を収容しておくタンクとして、できる限り設置スペースが小さくかつ耐久性が高いものが求められている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明のタンクは、貯湯式温水器における貯湯タンクや、化粧品や薬品、アルコールなどのように揮発したり劣化しやすいものなど収容して一時的に貯留または長期間貯蔵しておく容器として使用し得るタンク、また、非常用の飲料水などを貯蔵しておくことができる貯水槽などとして使用できるタンクであって、設置スペースを小さくしつつ耐久性を高くすることができるようにしたことに特徴を有する。なお、貯水槽として使用する場合において、本発明のタンクを横置きにすれば床下等の狭いスペースでも設置できるので、貯水槽を設置するための特別なスペースを設けなくてもよくなるという利点が得られる。
以下では、代表として、本発明のタンクを貯湯式温水器における貯湯タンクに適用することを前提として説明する。
【0016】
(貯湯式温水器における貯湯タンク)
まず、貯湯式温水器の貯湯タンクに使用する場合における、本実施形態のタンク1の基本構造と使用方法を簡単に説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のタンク1は、内部に中空な空間2hを有する収容部2と、この中空な空間2h(以下、収容空間2hという)と外部との間を連通する連通部5a,5bとを有するものである。
【0018】
図1(A)に示すように、収容部2は、正面視で、収容空間2hが楕円形に形成された容器である。
図1(B)、(C)に示すように、この収容部2は、一対の側壁3,3を備えており、この一対の側壁3,3が互いに離間するように膨らんでおり、両者の間に収容空間2hが形成されている。なお、一対の側壁3,3は、一対の側壁3,3が互いに離間する方向と直交する断面(
図1(C)においてD−Dで示す断面、以下、収容空間2hの平面視断面という)において収容空間2hの断面形状が楕円形となるように形成されており、しかも、収容空間2hの縦断面(
図1(B))および収容空間2hの横断面(
図1(C))がいずれも略楕円形上になるように形成されている。
【0019】
図1(A)に示すように、収容部2において、その長軸方向の一端(
図1(A)では上端)には、連通部5aが設けられている。また、収容部2において、その長軸方向の他端(
図1(A)では下端)には、連通部5bが設けられている。この連通部5aおよび連通部5bは、いずれも収容空間2hと外部との間を連通するものである。つまり、連通部5aおよび連通部5bを通して、外部から収容空間2hへの水道水や外部加熱装置で温められた温水の供給や、収容空間2hから外部への温水の排出を行うことができるのである。
【0020】
なお、収容空間2h内にヒータなどの加熱手段を設けておけば、外部加熱装置で温められた温水をタンクに供給しなくてもよい。例えば、収容部2の長軸方向の一端側(
図1(A)では下端側)にヒータなどの加熱手段が設けておけば、収容空間2h内に供給された水をヒータなどによって温めることができる。
【0021】
以上のごとき構造であるので、本実施形態のタンク1を、長軸方向が鉛直になるように配設し、連通部5bに水道管からの給水配管を接続し、連通部5aにタンク1と給湯すべき場所(例えば、台所や浴室など)とをつなぐ給湯配管の一端を接続する。すると、水道管から供給された水を加熱手段によって加熱すれば、上部には温水層、下部には常温水層を形成して、同一のタンク1内に温水と常温水とを貯留することができる。
そして、連通部5bは給水配管を介して水道管に直接接続されているので、タンク1は水道管の給水圧が加わっている。すると、給湯配管に接続されている蛇口などを開けば、水道管の給水圧によって、タンク1内の温水を連通部5aと給湯配管を通して給湯すべき場所に供給することができる。
【0022】
また、収容部2は、その収容空間2hが縦断面(
図1(B))および横断面(
図1(B))が略楕円形状になるように一対の側壁3,3が形成されているので、収容部2の厚さtを薄くしておけば、タンク1の設置スペースを小さくできる。すると、狭い空間でも本実施形態のタンク1を配設することができるので、タンク1の設置場所の自由度を高くできる。
【0023】
なお、本実施形態のタンク1において、連通部5aおよび連通部5bは、収容空間2hと外部との間を連通することができれば、その構造はとくに限定されない。例えば、収容部2の一の側壁3に貫通孔を形成し、その貫通孔にパイプなど筒状の部材を取り付けることによって連通部5aや連通部5bを形成することができる。かかる構造とした場合、収容部2の一の側壁3に形成された貫通孔とパイプの中空孔が、特許請求の範囲にいう連通通路に相当する。
【0024】
また、
図1では、連通部5aおよび連通部5bは、それぞれ2個所設けているが、1個所でもよいし、3個所以上でもよい。
そして、上記例では、貯湯式温水器の貯湯タンクに使用する場合のタンクであるので、連通部5aを上部、連通部5bを下部、にそれぞれ設けたが、各連通部5a,5bを設ける位置や両者の相対的な位置はとくに限定されない。例えば、飲料水などの液体を貯蔵しておくタンクとして使用する場合であって、タンク1を横置きの状態で使用する場合であれば、連通部5aおよび連通部5bは側壁3が最も膨らんだ部分に配置してもよい。すると、内部の液体を排出しやすくなるので好ましい。とくに、タンク1を横置きにした状態で、連通部5aを上側の側壁3において最も膨らんだ部分に連通部5aを配置し、連通部5bを下側の側壁3において最も膨らんだ部分に配置すれば、連通部5bから液体を排出しやすくなるし、タンク1内の液体を残さず排出できる(
図8参照)。
【0025】
さらに、上記例では、収容空間2hの平面視断面の形状が楕円形となる場合を説明したが、収容部2の収容空間2hは、必ずしも上記のごとき形状でなくてもよく、平面視断面は円形でもよい(
図8参照)。しかし、平面視断面を楕円形とすれば、平面視断面の短軸の長さと同じ直径を有する円形断面の収容空間を有するタンクに比べて、タンクの容積を大きくすることができる。
例えば、収容空間2hの平面視断面の直径が約900mmの円となるようにして、一対の側壁3,3間の最大距離を300mm程度とした場合には、タンク容量は約100リットルである。一方、収容空間2hの平面視断面の長軸が約1100mm、短軸が約900mmの楕円となるようにして、一対の側壁3,3間の最大距離を300mm程度とすれば、タンク容量を約140リットルとすることができる。つまり、平面視断面を楕円形とすれば、円形の場合に比べて大幅にタンク容量を増加させることができる。
【0026】
(連結手段20の説明)
上述したような基本構造を有するタンク1では、収容空間2hの内圧が高くなると、一対の側壁3,3を外方に押す力によって一対の側壁3,3がさらに離間するように(側壁3が膨らむように)変形して、収容部2の形状が変形してしまう可能性がある。
そこで、本実施形態のタンク1は、
図1に示すように、一対の側壁3,3同士が離間するように変形することを防止するために、連結手段20を設けている。
【0027】
(連結手段20の説明)
図2に示すように、一対の側壁3,3には、平面視で、その中央部に連通孔3hがそれぞれ形成されている。具体的には、一対の側壁3,3において、収容部2の収容空間2hの平面視断面と直交しかつ平面視断面の中心を通る中心線と交差する点を中心とする位置に、円形の連通孔3hがそれぞれ形成されている。
図2に示すように、各側壁3では、連通孔3hの内端縁が外方に屈曲されており、連通孔3hを囲むように連結壁3wが形成されている。そして、連結壁3wの周囲には、この連結壁3wを囲むようにU字状の断面を有する係合部材3dが取り付けられている。つまり、係合溝3gを備えた係合部材3dが、連結壁3wの周囲に設けられているのである。 なお、この係合部材3dは、その内方の上端が連結壁3wの上端と固定されている。
また、連結壁3wと係合部材3dが、特許請求の範囲にいう係合部に相当する。以下では、連結壁3wと係合部材3dの内側の内壁とを合わせて、係合部の内壁wという。
【0028】
図2に示すように、連結手段20は挿入部材21を備えている。この挿入部材21は、その直径が連通孔3hの外径よりも小さい軸状の部材である。そして、挿入部材21は、その軸方向の長さが一対の側壁3,3間の距離よりも長くなっており、その両端には雄ネジが形成されている。
【0029】
この挿入部材21の両端には、一対の連結部材22,22が取り付けられている。この連結部材22は、大径の固定部23と小径の挿入部24とを有する段付円筒状に形成された部材である。この連結部材22には、その中心軸と同軸かつ内径が挿入部材21の外径よりもわずかに大きい貫通孔22hが形成されている。この貫通孔22hの内面には、内径が挿入部材21の外径よりも小さいOリング22oが設けられている。このOリング22oは、その中心が挿入部材21の中心軸上に位置するように配設されている。
【0030】
また、連結部材22は、上述したように、大径の固定部23と小径の挿入部24とを有している。固定部23は、外径が、連通孔3hの外径よりも大きくしかも中心から係合部材3dの係合溝3gの外側の内面までの距離よりも短くなるように形成されている。また、小径の挿入部24は、固定部23と同軸であって、外径が連通孔3hの内径よりもわずかに短くなるように形成されている。
そして、固定部23における挿入部24側の端面には、この端面から凹んだ溝23gが形成されている。この溝23gは、挿入部材21の中心軸周りに沿って形成された環状の溝である。溝23gの直径は、連通孔3h内径と同程度であり、その溝幅は、係合部の内壁wの厚さよりも広くなるように形成されている。この溝23gの内面(挿入部材21の中心軸側の内面)には、外径が連通孔3hの内径よりも大きいOリング23oが設けられている。このOリング23oは、その中心が挿入部材21の中心軸上に位置するように配設されている。
【0031】
以上のごとき構造であるので、以下のように連結手段20を収容部2に取り付ければ、収容部2の収容空間2hが外部よりも高い圧力となった場合でも、一対の側壁3,3が膨んで変形することを防ぐことができる。
【0032】
まず、一対の側壁3,3の連通孔3hに挿入部材21を挿入する。このとき、挿入部材21の両端部が、一対の側壁3,3からいずれも突出した状態となるように配置する。
【0033】
ついで、連結部材22の貫通孔22hに挿入部材21の端部を挿通させて、挿入部材21の両端にそれぞれ連結部材22を取り付ける。そして、連結部材22を挿入部材21に沿って移動させ、各側壁3の係合部の内壁wが連結部材22の固定部23に設けられている溝23gに入るまで押し込む。具体的には、係合部の内壁wの先端が、溝23gにおいてOリング23oが設けられている位置よりも深い位置に配置されるまで押し込む(
図2参照)。
【0034】
すると、挿入部材21と一対の側壁3,3との間が、一対の連結部材22,22によって連結されることになる。
しかも、挿入部材21の外面と連結部材22の貫通孔22hの外面との間および係合部の内壁wの内面と溝23gの内側の面との間は、それぞれOリング22oおよびOリング23oによってシールされる。このため、収容部2の収容空間2hと外部との間を、液密(好ましくは気密)に遮断することができる。
【0035】
最後に、挿入部材21の両端に設けられている雄ネジに対して、一対のナット25,25を螺合して、それぞれ締め付ければ、一対の連結部材22,22は一対のナット25,25間の距離よりも離間することができなくなる。言い換えれば、一対の側壁3,3は、一対のナット25,25間の距離までしが互いに離間する方向に移動できなくなるので、一対の側壁3,3が膨んで変形することを防ぐことができる。
【0036】
以上のごとく、上記のような連結手段20を設ければ、収容部2内の圧力が高くなっても、一対の側壁3,3が膨んで変形することを防ぐことができるから、収容部2の厚さを薄くしておけば、狭い空間でもタンク1を配設することができる。そして、収容部2内に水道水の圧力が加わっても、タンク1が変形しないので、タンク1が周辺にある構造物などと干渉することを防ぐことができる。
しかも、挿入部材21を一対の側壁3,3の連通孔3hに挿通し、一対の連結部材22,22を挿入部材21と一対の側壁3,3に取り付けるだけで、一対の側壁3,3同士を連結できるので、タンク1の製造が容易になる。
【0037】
また、挿入部材21の両端に設けられている雄ネジに対する一対のナット25,25の締め付け量を調整すれば、一対の側壁3,3に加える力を調整することもできる。つまり、一対のナット25,25間の距離を、連結手段20を取り付けていない状態における連通孔3hが設けられている位置における一対の側壁3,3間の距離(無負荷距離)と同じにしておけば、一対の側壁3,3に対して、連結手段20から力が加わらない状態とすることができる。逆に、一対のナット25,25間の距離が無負荷距離よりも短くなるように一対のナット25,25を締め付ければ、一対の側壁3,3に、両者が接近する方向の付勢力を加えることができる。なお、一対の側壁3,3に両者が接近する方向の付勢力を加えておけば、収容部2に対して一対の側壁3,3を外方に押す圧力が加わっても、あらかじめ加えている付勢力と押圧力とを相殺させることができる。すると、収容部2に加わる内圧に対する耐久性を高くすることができる。
上記の挿入部材21と、一対の連結部材22,22、一対のナット25,25が、特許請求の範囲にいう付勢力発生手段に相当する。
【0038】
さらに、上記ごとき構造とすれば、一対のナット25,25を挿入部材21の両端から取り外せば、一対の連結部材22,22および挿入部材21を収容部2から取り外すことができる。すると、一対の側壁3,3の連通孔3hが開放された状態になるので、この連通孔3hから収容部2の収容空間2h内に検査装置や洗浄装置を入れることが可能となる。すると、収容部2の一対の側壁3,3の状態をその内部からでも確認できるし、収容空間2hの洗浄も容易になるので、タンク1のメンテナンス性が各段に向上する。
【0039】
上記例では、連結部材22を挿入部材21に沿って移動させたときに、各側壁3の係合部の内壁wを連結部材22の固定部23に設けられている溝23gに入るまで押し込むと表現した。このときの動きは、上述した連結部材22の固定部23において、溝23gと固定部23の外面との間の部分が、係合溝3gに挿入されている状態と言い換えることができる。すると、連結部材22の固定部23において、溝23gと固定部23の外面との間の部分が、特許請求の範囲にいう、係合突起に相当するものとなる。
【0040】
(連結手段20の他の実施形態)
連結手段20は上記のごとき構造に限られず、一対の側壁3,3間の距離が離れないように連結しておくことができる構造であればよい。
例えば、上記例では、連結部材22の両方がいずれも挿入部材21に対して着脱可能な場合を説明したが、挿入部材21は、その頭部Hが連結部材22における側壁3と連結する構造と実質同等の構造を有するものとしてもよい。この場合には、挿入部材21を連通孔3hに挿入して、一方の端部のみに連結部材22を連結すれば、作業時間を短縮することができる(
図5(A))。
また、
図5(B)に示すように、挿入部材21として一般的なボルトを使用することも可能である。この場合には、一方の連結部材22の貫通孔22hからボルトを挿通し、このボルトの先端を他方の連結部材22の貫通孔22hから突出させる。すると、突出したボルトの先端にナット25を螺合させれば、一対の側壁3,3間の距離が離れないようにすることができる。
【0041】
また、
図6(A)に示すように、連結手段20を、
図6(A)の挿入部材21と同等の頭部を有する一対の軸状部材21a,21bによって構成してもよい。この場合、一対の軸状部材21a,21b同士がネジ構造によって連結分離できるようにしておけば、各軸状部材21a,21bを連通孔3hに挿入して収容空間2h内で両者を連結すれば、一対の側壁3,3間を連結することができる。例えば、軸状部材21aの先端にその先端面から凹んだ雌ネジ穴を形成しておき、軸状部材21bの先端部に前記雌ネジ穴と螺合する雄ネジを形成しておけば、収容空間2h内において両者を簡単に連結することができる。
また、
図6(B)のような一対の軸状部材21a,21bを使用する場合には、両者を結合部材21eによって連結してもよい。例えば、
図6(B)に示すように、軸状部材21c,21dと結合部材21eによってターンバックルのような構造となるようにすれば、一対の側壁3,3間に発生させる付勢力を調整しやすくなるので、好適である。かかる構造とした場合には、上記の一対の軸状部材21c,21dと結合部材21eが、特許請求の範囲にいう付勢力発生手段に相当するものとなる。
【0042】
また、連結手段20は、一対の側壁3,3間の距離が離れないように連結しておくことができる構造であればよいので、以下のような構造も採用することができる。
図7に示すように、挿入部材21の両端部側面に、この側面の周方向に沿った溝21hをそれぞれ形成しておく。なお、各溝21hは、挿入部材21の軸方向において、挿入部材21を一対の側壁3,3の連通孔3hに挿入した状態ときに、両方の溝21hがいずれも一対の側壁3,3外に配置することができる位置に形成する。
この挿入部材21を一対の側壁3,3の連通孔3hに挿入した状態において、各溝21hに環状のプレート21pを取り付ける。この環状のプレート21pは、その内径が溝21hの底の位置における挿入部材21の内径D3とほぼ同じ長さであり、その外径が挿入部材21の外径D1よりも長くなるように(つまり幅が溝21hの深さよりも長くなるように)形成されている。
すると、収容空間2h内の圧力が高くなって一対の側壁3,3が膨らもうとしても、環状のプレート21pにおいて、挿入部材21の外周面から突出している部分が一対の側壁3,3と干渉する。つまり、環状のプレート21pによって一対の側壁3,3同士が離間する方向への移動が制限されるので、一対の側壁3,3が膨んで変形することを防ぐことができる。
なお、
図7に示すように、上記のごとき構造の連結手段20によって一対の側壁3,3の変形を防止する場合には、一対の側壁3,3外面に、連通孔3hを囲むように環状の保護プレート3pを設けておくことが好ましい。かかる保護プレート3pを設けておけば、一対の側壁3,3が膨んでプレート21pと一対の側壁3,3とが干渉したときでも、一対の側壁3,3の損傷を防ぐことができる。
しかも、
図7に示すように、保護プレート3pの内面に、挿入部材21の外形よりも内径が小さいOリングを設けておけば、収容空間2h内部と外部との間を液密(好ましくは気密)に保ちやすくなる。なお、
図7の構造とした場合において、収容空間2h内部と外部との間を液密に保つ構造(シール構造)は、収容空間2h内からの液体等の漏れを防ぐことができるのであれば、
図7に示す構造に限定されない。
上述した、環状の保護プレート3pが、特許請求の範囲にいう移動規制部材に相当する。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
(凹み部3s)
図3および
図4に示すように、一対の側壁3,3の中央部に、互いに接近するように凹んだ一対の凹み部3s,3sを形成して、この一対の凹み部3s,3s間に連結手段20が取り付けられるようにしてもよい。具体的には、一対の側壁3,3の中央部に、収容部2の収容空間2hの平面視断面と直交しかつ平面視断面の中心を通る中心線CLと直交する平坦面である凹み部3sを形成し、この凹み部3sに連通孔3hを形成する。
かかる構成とする場合には、側壁3を、その外周縁と凹み部3sの外周縁との間がなめらかな曲面で連結されるように形成する。より詳しく言えば、中心線を含む平面と側壁3との交線が、側壁3の外周縁と凹み部3sの外周縁との間をつなぐ円弧状の曲線となるように形成する(
図3(B)、(C)参照)。
すると、凹み部3sを設けることにより側壁3内面の曲率半径が小さくなっても、内圧を分散させる効果を発揮させることができるので、凹み部3sを設けたことに起因する応力集中などが発生することを防ぐことができる。
【0050】
また、一対の側壁3,3間の距離が最も長い部分(
図3(B)のL1の部分)に比べて、凹み部3sは内方に引っ込んでいるので、両者の距離の差の分だけ、連結手段20が収容部2の外面から突出する量を分を少なくできる。すると、連結手段20を設けても、タンク1を設置するスペースが大きくなることを防ぐことができる。とくに、連結手段20が収容部2の外面から突出しないように構成すれば、タンク1を設置するスペースを、連結手段20を有しないタンク1と同等にすることができる。
【0051】
(収容部2の形成)
本実施形態の貯湯タンク1において、収容部2を形成する方法はとくに限定されないが、一対の板状部材を接合して形成すると製造が容易である。
例えば、板材をプレス等によって成形して、収容部における側壁の膨らみを形成する曲面状部と、曲面状部の周縁に形成されたフランジ状の接合部とを有する板状部材を形成する。そして、板状部材を、フランジ状の接合部同士が重なり合うように重ねて、接合部同士を溶接などによって接合すれば、本実施形態の貯湯タンク1における収容部2を形成することができる。
とくに、一対の側壁3,3に連通孔3hを設ける場合であって、板状部材に、一対の側壁3,3の連通孔3hとなる孔を形成してから接合部同士を接合する場合には、内側から接合部同士を接合することができる。すると、形成された収容部2となった場合において収容空間2h側に位置する部分が溶接された状態となる(
図1(C)参照)。この場合、収容部2に内圧が加わっても、接合部同士の間に隙間が形成されないので、水道水などを収容部に収容した場合における溶接部の腐食が発生しにくくなるから、貯湯タンク1の耐久性を高くすることができる。
【0052】
(収容部2の形成)
本実施形態の貯湯タンク1において、収容部2を形成する方法はとくに限定されないが、一対の板状部材を接合して形成すると製造が容易である。
例えば、板材をプレス等によって成形して、収容部における側壁の膨らみを形成する曲面状部と、曲面状部の周縁に形成されたフランジ状の接合部とを有する板状部材を形成する。そして、板状部材を、フランジ状の接合部同士が重なり合うように重ねて、接合部同士を溶接などによって接合すれば、本実施形態の貯湯タンク1における収容部2を形成することができる。
とくに、板状部材に、一対の側壁3,3の連通孔3hとなる孔を形成してから接合部同士を接合する場合には、内側から接合部同士を接合することができる。すると、形成された収容部2となった場合において収容空間2h側に位置する部分が溶接された状態となる(
図1(C)参照)。この場合、収容部2に内圧が加わっても、接合部同士の間に隙間が形成されないので、水道水などを収容部に収容した場合における溶接部の腐食が発生しにくくなるから、貯湯タンク1の耐久性を高くすることができる。