(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記先行技術によっても、プラズマ点火装置の構成については、なお改善の余地があった。例えば、特許文献1のプラズマ点火装置は、各気筒において、電源側の出力インピーダンスとプラズマ点火プラグを含む負荷側の入力インピーダンスとが常に整合が図られた状態となっているため、点火したいプラズマ点火プラグに交流電力を供給したときに、点火したくない他のプラズマ点火プラグにも交流電力が供給されてプラズマが発生するおそれがあった。これにより、プラグの電極の消耗が増大する問題や、内燃機関の制御に不具合が生じるなどの問題があった。また、特許文献2、3のプラズマ発生回路では、交流電源の発振周波数で出力側と入力側のインピーダンスの整合を取っているため、気筒毎に共振周波数がずれるように予め設定する必要があり、装置の構成が複雑になるほか、制御が容易ではない問題があった。また、特許文献4の回路構成では、1つの交流電源によって2気筒までしか分配できないため、3気筒以上の内燃機関に適用する場合、交流電源を複数にする必要があり、プラズマ点火装置のコストの増大やプラズマ点火プラグへの電力の供給効率が低下する問題があった。
【0006】
プラズマ点火装置は、各気筒のプラズマ点火プラグにそれぞれ対応する交流電源を設けた場合、装置のコストの増大や各交流電源の稼働率が低下する問題があった。一方、交流電源とプラズマ点火プラグとの間の伝送路を分岐させて、1つの交流電源から複数のプラズマ点火プラグに交流電力を供給する場合には、点火したいプラズマ点火プラグに交流電力を供給したときに、点火したくない他のプラズマ点火プラグに交流電力が供給される問題があった。この問題を解決する一つの方法としては、交流電源から分岐された各伝送路にスイッチを設け、点火したいプラズマ点火プラグに対応するスイッチをオンにして、他のスイッチをオフにすることが考えられる。しかし、伝送路にスイッチを設けると、スイッチを介して交流電源からプラズマ点火プラグに交流電力が伝送されるため、高電力によってスイッチに不具合が生じる問題や、スイッチのコストが増大する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、
中心電極から交流プラズマを発生させるプラズマ点火プラグと、前記中心電極から交流プラズマを発生させるための交流電力を生成する交流電源部と、前記交流電源部と前記プラズマ点火プラグとの間の交流電力の伝送路に配置され、前記交流電源部の出力インピーダンスと、前記プラズマ点火プラグを含む負荷側の入力インピーダンスとの整合をおこなうための整合部と、前記交流電源部から前記プラズマ点火プラグに交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうためのスイッチと、を備えるプラズマ点火装置が提供される。このプラズマ点火装置は、前記整合部に、コンデンサおよびコイルの少なくとも一方と前記スイッチとを介して前記伝送路とグランドとをつなぐ回路を備え、前記スイッチは、オンとオフとで前記出力インピーダンスと前記入力インピーダンスとの整合の程度を変化させることによって、前記プラズマ点火プラグに交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことを特徴としている。
この構成によれば、スイッチが、交流電源部とプラズマ点火プラグとの間の伝送路上に配置されていなくても、スイッチのオンとオフによって交流電源部からプラズマ点火プラグに交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。また、スイッチが、交流電源部とプラズマ点火プラグとの間の伝送路上に配置されていないため、交流電源からプラズマ点火プラグに交流電力が伝送されるときにスイッチに生じる負荷を抑制することができる。スイッチに生じる負荷を抑制することによって、スイッチのコストを抑制することができる。
【0009】
(2)上記形態のプラズマ点火装置において、
前記プラズマ点火プラグは、接地電極を備え、前記中心電極と前記接地電極との間の電極間に交流プラズマを発生させることを特徴としていてもよい。
この構成によれば、中心電極と接地電極との間の電極間に交流プラズマを発生させるプラズマ点火プラグを含んで構成されてるプラズマ点火装置において、スイッチに生じる負荷を抑制することができる。
【0010】
(3)本発明の一形態によれば、
中心電極と接地電極との間の電極間に火花放電および交流プラズマを発生させるプラズマ点火プラグと、前記電極間に火花放電を発生させるための直流電力を生成する直流電源部と、前記火花放電後に前記電極間に交流プラズマを発生させるための交流電力を生成する交流電源部と、前記直流電源部から直流側伝送路を介して供給される直流電力と、前記交流電源部から交流側伝送路を介して供給される交流電力とを、同じ伝送路を介して前記プラズマ点火プラグに伝送する結合部であって、供給された直流電力が前記交流電源部に伝送されることを抑制するためのコンデンサを含んで構成される結合部と、前記交流側伝送路の前記交流電源部と前記結合部との間に配置され、前記交流電源部の出力インピーダンスと、前記結合部および前記プラズマ点火プラグを含む負荷側の入力インピーダンスとの整合をおこなうための整合部と、前記交流電源部から前記プラズマ点火プラグに交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうためのスイッチと、を備えるプラズマ点火装置が提供される。このプラズマ点火装置は、前記整合部または前記結合部に、コンデンサおよびコイルの少なくとも一方と前記スイッチとを介して前記交流側伝送路とグランドとをつなぐ回路を備え、前記スイッチは、オンとオフとで前記出力インピーダンスと前記入力インピーダンスとの整合の程度を変化させることによって、前記プラズマ点火プラグに交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことを特徴としている。
この構成によれば、スイッチが、交流電源部とプラズマ点火プラグとの間の伝送路上に配置されていなくても、スイッチのオンとオフによって交流電源部からプラズマ点火プラグに交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。また、スイッチが、交流電源部とプラズマ点火プラグとの間の伝送路上に配置されていないため、交流電源からプラズマ点火プラグに交流電力が伝送されるときにスイッチに生じる負荷を抑制することができる。スイッチに生じる負荷を抑制することによって、スイッチのコストを抑制することができる。
【0011】
(4)上記形態のプラズマ点火装置において、
前記回路は、前記整合部が備えていることを特徴としていてもよい。
この構成によれば、コンデンサおよびコイルの少なくとも一方とスイッチとを介して交流側伝送路とグランドとをつなぐ回路が整合部に形成されたプラズマ点火装置において、スイッチに生じる負荷を抑制することができる。
【0012】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、プラズマ点火プラグの点火をおこなうための点火システム、プラズマ点火装置を含んで構成される内燃機関、プラズマ点火プラグの点火方法、これらの装置または方法を実現するための集積回路、コンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態におけるプラズマ点火装置1の概略構成を説明するための説明図である。プラズマ点火装置1は、高周波プラズマ点火プラグ(以後、単に「点火プラグ」とも呼ぶ)10の中心電極と接地電極との間の電極間(以後、単に「電極間」とも呼ぶ)に交流プラズマおよび火花放電を発生させる。プラズマ点火装置1は、内燃機関を備える車両(例えば、自動車)等に搭載され、点火プラグ10の電極間に発生させた交流プラズマによって燃料(混合気)の点火をおこなう。ここでは、プラズマ点火装置1は、2気筒の内燃機関を備える車両に搭載され、2つの点火プラグ10(10a、10b)を含んで構成されているものとして説明する。なお、プラズマ点火装置1に含まれる点火プラグ10の数は、2つに限定されず、1つであってもよもいし、3つ以上であってもよい。2つの点火プラグ10a、10bは、それぞれ先端部が図示しない内燃機関の燃焼室に露出した状態で内燃機関に固定されている。点火プラグ10の構成については後述する。
【0015】
プラズマ点火装置1は、点火プラグ10と、直流電源部20と、交流電源部30と、結合部40と、整合部50と、スイッチ60と、点火制御部70とを備えている。本実施形態のプラズマ点火装置1は、点火プラグ10a、10bごとに、直流電源部20と、結合部40と、整合部50、スイッチ60をそれぞれ備えている。ここでは、直流電源部20aと、結合部40aと、整合部50aと、スイッチ60aが点火プラグ10aに対応しており、直流電源部20bと、結合部40bと、整合部50b、スイッチ60bが点火プラグ10bに対応している。以下の説明において、「点火プラグ10」には、「点火プラグ10a」と「点火プラグ10b」の両方が含まれる。「直流電源部20」や「結合部40」等についても同様である。プラズマ点火装置1は、交流電源部30の数(ここでは1つ)が点火プラグ10a、10bの数(ここでは2つ)よりも少なくなるように構成されている。これにより、プラズマ点火装置1のコストを抑制することができる。
【0016】
直流電源部20は、点火プラグ10の中心電極と接地電極との間の電極間に火花放電を発生させるための直流電力を生成する。直流電源部20によって生成された直流電力は、直流側伝送路81と混合伝送路83を介して点火プラグ10に伝送される。直流電源部20は、一次コイル21と、二次コイル22と、コア23と、放電用スイッチ24と、バッテリ25とを備えている。直流電源部20は、放電用スイッチ24によってバッテリ25から一次コイル21への電流の供給をした後、所定時間経過後に停止させることで、二次コイル22に直流電力を発生させる。直流電源部20は、二次コイル22に発生した直流電力を点火プラグ10に供給する。本実施形態では、直流電源部20によって生成される直流電力は、数万ボルト程度とすることが好ましい。
【0017】
交流電源部30は、火花放電を発生させた点火プラグ10の電極間に交流プラズマを発生させるための交流電力を生成する。交流電源部30によって生成された交流電力は、交流側伝送路82において分岐され、各混合伝送路83a、83bを介して各点火プラグ10a、10bに伝送される。本実施形態では、交流電源部30によって生成される交流電力の周波数f1は、比較的高周波数である50kHz≦f1≦100MHzを満たすことが好ましい。このようにすることによって、交流プラズマを容易に発生させることができる。
【0018】
結合部40は、直流電源部20から直流側伝送路81を介して供給される直流電力と、交流電源部30から交流側伝送路82を介して供給される交流電力とを、混合伝送路83を介して点火プラグ10に伝送するための回路である。結合部40は、直流電源部20からの直流電力と交流電源部30からの交流電力とが同時に供給された場合には、これら2つの電力を重畳させて点火プラグ10に伝送する。結合部40は、直流電源部20から延びる直流側伝送路81と、交流電源部30から延びる交流側伝送路82と、点火プラグ10から延びる混合伝送路83と、の交点Pcを含んでいる。また、結合部40は、交流側伝送路82の交点Pcと整合部50との間に配置されたキャパシタ(コンデンサ)41を含んでいる。コンデンサ41は、直流電源部20から供給された直流電力が交流電源部30に伝送されることを抑制する。なお、結合部40は、直流側伝送路81の交点Pcと直流電源部20との間にインダクタ(コイル)を備えていてもよい。このようにすることによって、交流電源部30から供給された交流電力が直流電源部20に伝送されることを抑制することができる。
【0019】
整合部50は、交流側伝送路82の交流電源部30と結合部40との間に配置されるL型の整合回路であり、インダクタ(コイル)51とキャパシタ(コンデンサ)52とを含んで構成されている。コイル51は、一方の端部が交流電源部30に接続され、他方の端部が結合部40に接続されている。コンデンサ52は、一方の端部がグランドに接続され、他方の端部がスイッチ60を介してコイル51と結合部40との間の交流側伝送路82に接続されている。すなわち、整合部50は、コンデンサ52とスイッチ60とを介して交流側伝送路82とグランドとをつなぐ回路55を含んでいる。なお、整合部50は、コイルまたはコンデンサと、スイッチ60とを介して交流側伝送路82とグランドとをつなぐ回路を含んでいれば、回路構成は、上記に限定されず、後述するようなπ型やT型の整合回路を含む任意の回路構成とすることができる。
【0020】
この整合部50は、電源側となる交流電源部30の出力インピーダンスと、負荷側となる点火プラグ10、結合部40、および、整合部50による入力インピーダンスとの整合が図られるようにコンデンサの容量やコイルのインダクタンスが適切な値に調整されている。すなわち、整合部50は、交流電源部30の出力インピーダンスと、結合部40および点火プラグ10を含む負荷側の入力インピーダンスとの整合をおこなう。整合部50によるインピーダンス整合によって、電源側の出力インピーダンスと負荷側の入力インピーダンスとは、ほぼ等しくなっている。これにより、交流電源部30から点火プラグ10に伝送される交流電力のエネルギー損失を抑制することができる。電源側の出力インピーダンスと負荷側の入力インピーダンスとの間に差があると、例えば、インピーダンスの不連続点において、交流電力の反射損失(リターンロス)が発生する。この場合、点火プラグ10に伝送される交流電力は、少なくとも交流電源部30から供給された交流電力から反射損失を差し引いた電力となり、伝送されるエネルギーの損失が生じる。
【0021】
スイッチ60は、整合部50の回路55の一部に配置され、オンとオフの切り換えによって、整合部50を含む負荷側の入力インピーダンスを変化させる。これにより、スイッチ60は、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなう。すなわち、プラズマ点火装置1は、スイッチ60がオンの時に交流電源部30から点火プラグ10に交流電力が伝送され、オフの時に交流電源部30から点火プラグ10に交流電力がほぼ伝送されないように構成されている。スイッチ60のオンとオフによって点火プラグ10に供給される交流電力量を変化させることができる理由については、後述する。本実施形態のスイッチ60は、トライアック、フォトカプラ、フォトトライアックなどの半導体スイッチによって構成されている。なお、スイッチ60は、アナログスイッチによって構成されていてもよい。また、スイッチ60は、トランジスタやFET、サイリスタなどの交流に対応しない素子を逆方向−並列に接続する構成であってもよい。
【0022】
点火制御部70は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを含んで構成され、プラズマ点火装置1の各構成部の動作を制御する。点火制御部70は、図示しない運転制御部から出力される制御信号を含む各種入力信号に基づいて、内燃機関の運転状態に応じた点火制御を実行する。点火制御部70は、各直流電源部20a、20bを制御して、2つの点火プラグ10a、10bのうち、点火をおこなう点火プラグに直流電力を供給して電極間に火花放電を発生させる。また、点火制御部70は、2つのスイッチ60a、60bを制御して、2つの点火プラグ10a、10bのうち、点火をおこなう点火プラグに交流電力を供給して電極間に交流プラズマを発生させる。点火制御部70は、点火をおこなう点火プラグに対して、まず、直流電力を供給して電極間に火花放電を発生させる。火花放電を発生させた後、交流電力を供給して電極間に交流プラズマを発生させる。
【0023】
図2は、スイッチ60の切り換えによって交流電源部30から点火プラグ10に伝送される交流電力の伝送効率の変化を説明するための説明図である。
図2の横軸は、交流電源部30から点火プラグ10に伝送される交流電力の周波数fを示している。
図2の縦軸は、交流電源部30から点火プラグ10に交流電力を伝送したときに点火プラグ10に流れる交流電流Aの絶対値を示している。
図2の実線は、スイッチ60をオンにしたときの交流電源部30から点火プラグ10までの間の交流電力の伝送特性を示している。
図2の破線は、スイッチ60をオフにしたときの交流電源部30から点火プラグ10までの間の交流電力の伝送特性を示している。
【0024】
プラズマ点火装置1は、スイッチ60がオンのときに負荷側の入力インピーダンスと電源側の出力インピーダンスとの整合が図られ、スイッチ60がオフのときに負荷側の入力インピーダンスと電源側の出力インピーダンスとの整合がくずれるように構成されている。出力インピーダンスと入力インピーダンスとの整合が取れている交流側伝送路82では、伝送される交流電力の電圧の波形と電流の波形との位相のずれが抑制される。一方、スイッチをオフとなっている交流側伝送路82では、コンデンサ52が機能しなくなり、また、スイッチ60が有する僅かな抵抗分も機能しなくなるため、出力インピーダンスと入力インピーダンスとの整合インピーダンスの整合がくずれる。インピーダンスの整合がくずれると、伝送される交流電力の電圧の波形と電流の波形との位相がずれ、点火プラグ10に交流プラズマを維持するための交流電力が供給されなくなる。このように、プラズマ点火装置1は、スイッチ60をオンからオフに切り替えると交流電源部30から点火プラグ10に交流電力を伝送するときの伝送効率が低下するように構成されている。これにより、スイッチ60がオフの時に交流電源部30から点火プラグ10に伝送される交流電力の電力量を抑制することができる。
【0025】
一方、交流電源部30から供給される交流電力の周波数f1は、スイッチ60がオンの時に交流電力の伝送効率が最も高くなるよう設定されている。これにより、プラズマ点火装置1は、スイッチ60がオンの時に交流電源部30から点火プラグ10に伝送される交流電力のエネルギー損失を抑制することができる。
【0026】
本実施形態のプラズマ点火装置1は、交流電源部30において、2つの点火プラグ10a、10bのうち、点火をおこなう少なくとも一方の点火プラグを含む負荷側の入力インピーダンスを交流電源部30の出力インピーダンスとの整合が取れるようにし、点火したくない点火プラグを含む負荷側の入力インピーダンスを交流電源部30の出力インピーダンスとの整合が取れないようにする。これによって、プラズマ点火装置1は、交流側伝送路82上にスイッチを備えていなくても、点火をおこなう点火プラグに交流電源部30から交流電力を供給し、点火をおこなわない点火プラグには交流電力をほぼ供給しないようにすることができる。
【0027】
図3は、第1実施形態における点火プラグ10の概略構成を例示した説明図である。
図3において、点火プラグ10の中心軸である軸線CA1の右側には、点火プラグ10の側面構成を例示し、軸線CA1の左側には、点火プラグ10の断面構成を例示している。以下の説明では、接地電極140が配置されている側(
図3下方側)を点火プラグ10の「先端側」と呼び、端子金具119が配置されている側(
図3上方側)を点火プラグ10の「後端側」と呼ぶ。
【0028】
点火プラグ10は、中心電極110と、絶縁碍子120と、主体金具130と、接地電極140とを備えている。中心電極110は絶縁碍子120によって保持され、絶縁碍子120は主体金具130によって保持されている。接地電極140は主体金具130の先端側に取り付けられている。点火プラグ10は、中心電極110、絶縁碍子120および主体金具130の軸心が、軸線CA1と一致するように構成されている。
【0029】
中心電極110は、略棒形状の電極であり、ニッケルまたはニッケルを主成分とするニッケル合金(例えば、インコネル(登録商標))によって形成されている。中心電極110は絶縁碍子120の内側に収容され、外側面が点火プラグ10の外部と電気的に絶縁されている。中心電極110の先端側は、絶縁碍子120の先端側から突出している。中心電極110の後端側は、シール体116を介して端子金具119に電気的に接続されている。端子金具119は後端部が絶縁碍子120の後端側から突出している。
【0030】
絶縁碍子120は、略円筒形状の絶縁体であり、軸線CA1に沿った貫通孔である軸孔128を備えている。絶縁碍子120は、軸孔128の内側に中心電極110を収容している。絶縁碍子120は、アルミナを始めとする絶縁性セラミックス材料を焼成することによって形成されている。
【0031】
主体金具130は、略円筒形状の金具であり、内側に絶縁碍子120が配置されている。主体金具130は、ニッケルめっきや亜鉛めっきがなされた低炭素鋼や、無めっきのニッケル合金などによって形成されている。主体金具130は、中心電極110から電気的に絶縁された状態で絶縁碍子120の外側面にカシメ固定されている。主体金具130は、先端面131と取付ネジ部132とを備えている。主体金具130の先端面131は、主体金具130の先端側を構成する環状の面である。先端面131には、接地電極140が接合されている。先端面131の環の中央から、絶縁碍子120および中心電極110が突出している。主体金具130の取付ネジ部132は、外側面にネジ山が形成された部位であり、このネジ山を内燃機関200のネジ孔210に螺合させることによって、点火プラグ10を内燃機関200に取り付けることができる。
【0032】
接地電極140は、屈曲した略棒状形状の電極であり、ニッケルまたはニッケルを主成分とするニッケル合金よって形成されている。接地電極140の一方の端部である基端部141は主体金具130の先端面131に接合されており、他方の端部である先端部142は中心電極110の先端側の端部と対向するように構成されている。接地電極140の先端部142と中心電極110の先端側の端部との間には、火花放電のための間隙(放電ギャップ)が形成される。なお、接地電極140の先端部142における中心電極110と対向する位置(放電ギャップを形成する位置)には、耐火花消耗性や耐酸化消耗性を向上させるために、電極チップ(貴金属チップ)が接合されていてもよい。
【0033】
点火プラグ10は、同軸ケーブル150を介して、直流電源部20(
図1)や交流電源部30(
図1)と電気的に接続されている。同軸ケーブル150は、内部導体151と、外部導体152とを備えている。内部導体151と外部導体152は、金属(例えば、銅、金、銀、または、これらを含む合金)などの導電性部材によって形成されている。内部導体151は、点火プラグ10の端子金具119に接続され、直流電源部20(
図1)や交流電源部30(
図1)によって生成された直流電力や交流電力を点火プラグ10の中心電極110に伝送する。内部導体151は、混合伝送路83(
図1)に対応する。外部導体152は、筒状の外形を備え、内側の内部導体151との距離が一定になるように構成されている。外部導体152は、点火プラグ10の主体金具130に接続され、点火プラグ10の接地電極140とグランドとを接続する。
【0034】
点火プラグ10は、同軸ケーブル150の内部導体151から直流電力が供給されると、中心電極110と接地電極140との間の電極間に火花放電を発生させる。また、点火プラグ10は、火花放電を発生させた後、同軸ケーブル150の内部導体151から交流電力が供給されると、中心電極110と接地電極140との間の電極間に交流プラズマを発生させる。
【0035】
以上説明した第1実施形態のプラズマ点火装置1によれば、スイッチ60のオンとオフによって、点火プラグ10を含む負荷側の入力インピーダンスと交流電源部30の出力インピーダンスとの整合の程度を変化させることで、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。また、第1実施形態のプラズマ点火装置1によれば、高電力が伝送される交流側伝送路82ではなく、比較的電圧が高くなりにくい回路55にスイッチ60が配置されているため、スイッチ60に生じる負荷を抑制することができる。
【0036】
図4は、比較例におけるプラズマ点火装置1Aの概略構成を説明するための説明図である。比較例のプラズマ点火装置1Aは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、スイッチ60Aが交流側伝送路82A上に配置されている点が異なる。このプラズマ点火装置1Aでは、スイッチ60Aを介して交流電源部30から点火プラグ10に交流電力が伝送されるため、スイッチ60Aに生じる負荷が第1実施形態のスイッチ60(
図1)よりも大きくなる。そのため、第1実施形態のスイッチ60と比較して、スイッチ60Aに不具合が生じやすい。一方、第1実施形態のプラズマ点火装置1によれば、交流側伝送路82ではなく、比較的電圧が高くなりにくい回路55(
図1)にスイッチ60が配置されているため、スイッチ60に生じる負荷を抑制することができる。これにより、例えば、使用するスイッチの定格電圧を低くすることができるため、スイッチ60のコストを抑制することができる。また、スイッチの保障電力に対する安全マージンが大きくなるため、スイッチ60に、瞬間的に大きな電流が流れたとしても、スイッチの故障の発生を抑制することができる。
【0037】
第1実施形態のプラズマ点火装置1によれば、1つの交流電源部30から複数の点火プラグ10に交流電力を供給することができるため、交流電源部30の数を減らしてプラズマ点火装置1のコストを抑制することができる。また、第1実施形態のプラズマ点火装置1によれば、スイッチ60として、半導体スイッチを使用しているため、内燃機関の制御不良等の不具合の発生を抑制することができる。トランジスタやトライアック等の半導体スイッチは、機械式のスイッチよりもスイッチの反応速度が速いため、エンジンのような高速動作が要求される装置において、スイッチのオンオフの動作の遅れによるエンジンの制御不良などの不具合の発生を抑制することができる。
【0038】
B.第2実施形態:
図5は、第2実施形態におけるプラズマ点火装置1Bの概略構成を説明するための説明図である。第2実施形態のプラズマ点火装置1Bは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、整合部50Bがπ型の整合回路である点が異なる。このプラズマ点火装置1Bの整合部50Bは、コイル51Bとコンデンサ52B、53Bとを含んで構成されている。コイル51Bは、一方の端部が交流電源部30に接続され、他方の端部が結合部40に接続されている。コンデンサ52Bは、一方の端部がグランドに接続され、他方の端部が交流電源部30とコイル51Bとの間の交流側伝送路82Bに接続されている。コンデンサ53Bは、一方の端部がグランドに接続され、他方の端部がスイッチ60Bを介してコイル51Bと結合部40との間の交流側伝送路82Bに接続されている。すなわち、整合部50Bは、コンデンサ53Bとスイッチ60Bとを介して交流側伝送路82Bとグランドとをつなぐ回路55Bを含んでいる。
【0039】
このような構成であっても、スイッチ60Bがオンのときに点火プラグ10を含む負荷側の入力インピーダンスと電源側である交流電源部30の出力インピーダンスとの整合が図られ、スイッチ60Bがオフのときに負荷側の入力インピーダンスと電源側の出力インピーダンスとの整合がくずれる。そのため、スイッチ60Bのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0040】
C.第3実施形態:
図6は、第3実施形態におけるプラズマ点火装置1Cの概略構成を説明するための説明図である。第3実施形態のプラズマ点火装置1Cは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、整合部50Cの回路55Cにおいて、スイッチ60Cとコンデンサ52Cの並びが回路55(
図1)と反対である点が異なる。このような構成であっても、スイッチ60Cがオンのときに負荷側の入力インピーダンスと電源側の出力インピーダンスとの整合が図られ、スイッチ60Cがオフのときに負荷側の入力インピーダンスと電源側の出力インピーダンスとの整合がくずれる。そのため、スイッチ60Cのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0041】
D.第4実施形態:
図7は、第4実施形態におけるプラズマ点火装置1Dの概略構成を説明するための説明図である。第4実施形態のプラズマ点火装置1Dは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、整合部50Dがπ型の整合回路である点が異なる。第4実施形態のプラズマ点火装置1Dは、第2実施形態のプラズマ点火装置1Bと比較すると、整合部50Dの回路55Dにおいて、スイッチ60Dとコンデンサ53Dの並びが回路55B(
図5)と反対である点が異なる。このような構成であっても、スイッチ60Dのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0042】
E.第5実施形態:
図8は、第5実施形態におけるプラズマ点火装置1Eの概略構成を説明するための説明図である。第5実施形態のプラズマ点火装置1Eは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、整合部50EがT型の整合回路である点が異なる。このプラズマ点火装置1Eの整合部50Eは、コイル51E、54Eとコンデンサ53Eとを含んで構成されている。コイル51Eとコイル54Eは、それぞれの一方の端部が互いに接続されている。コイル51Eの他方の端部は、交流電源部30に接続され、コイル54Eの他方の端部は、結合部40に接続されている。コンデンサ53Eは、一方の端部がコイル51Eとコイル54Eとの間の交流側伝送路82Eに接続され、他方の端部がスイッチ60Eを介してグランドに接続されている。すなわち、整合部50Eは、コンデンサ53Eとスイッチ60Eとを介して交流側伝送路82Eとグランドとをつなぐ回路55Eを含んでいる。このような構成であっても、スイッチ60Eのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0043】
F.第6実施形態:
図9は、第6実施形態におけるプラズマ点火装置1Fの概略構成を説明するための説明図である。第6実施形態のプラズマ点火装置1Fは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、整合部50Fがπ型の整合回路である点が異なる。このプラズマ点火装置1Fの整合部50Fは、コンデンサ52Fとコイル51F、54Fとを含んで構成されている。コンデンサ52Fは、一方の端部が交流電源部30に接続され、他方の端部が結合部40に接続されている。コイル51Fは、一方の端部がグランドに接続され、他方の端部が交流電源部30とコンデンサ52Fとの間の交流側伝送路82Fに接続されている。コイル54Fは、一方の端部がコンデンサ52Fと結合部40との間の交流側伝送路82Fに接続され、他方の端部がスイッチ60Fを介してグランドに接続されている。すなわち、整合部50Fは、コイル54Fとスイッチ60Fとを介して交流側伝送路82Fとグランドとをつなぐ回路55Fを含んでいる。このような構成であっても、スイッチ60Fのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0044】
G.第7実施形態:
図10は、第7実施形態におけるプラズマ点火装置1Gの概略構成を説明するための説明図である。第7実施形態のプラズマ点火装置1Gは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、整合部50GがT型の整合回路である点が異なる。このプラズマ点火装置1Gの整合部50Gは、コンデンサ52G、53Gとコイル51Gとを含んで構成されている。コンデンサ52Gとコンデンサ53Gは、それぞれの一方の端部が互いに接続されている。コンデンサ52Gの他方の端部は、交流電源部30に接続され、コンデンサ53Gの他方の端部は、結合部40に接続されている。コイル51Gは、一方の端部がコンデンサ52Gとコンデンサ53Gとの間の交流側伝送路82Gに接続され、他方の端部がスイッチ60Gを介してグランドに接続されている。すなわち、整合部50Gは、コイル51Gとスイッチ60Gとを介して交流側伝送路82Gとグランドとをつなぐ回路55Gを含んでいる。このような構成であっても、スイッチ60Gのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0045】
H.第8実施形態:
図11は、第8実施形態におけるプラズマ点火装置1Hの概略構成を説明するための説明図である。第8実施形態のプラズマ点火装置1Hは、第3実施形態のプラズマ点火装置1Cと比較すると、整合部50Hにおいて、コイル51C(
図6)の位置にコンデンサ52Hが配置され、コンデンサ52Cの位置にコイル51Hが配置されている点が異なる。このような構成であっても、スイッチ60Hのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0046】
I.第9実施形態:
図12は、第9実施形態におけるプラズマ点火装置1Iの概略構成を説明するための説明図である。第9実施形態のプラズマ点火装置1Iは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、スイッチ60Iが整合部50Iではなく結合部40Iに配置さている点が異なる。このプラズマ点火装置1Iの結合部40Iは、コンデンサ41I、42Iとスイッチ60Iとを含んで構成されている。コンデンサ41Iは、交流側伝送路82Iの交点Pcと整合部50Iとの間に配置されている。スイッチ60Iは、一方の端部がグランドに接続され、他方の端部がコンデンサ42Iを介して直流電源部20とコンデンサ41Iとの間の交流側伝送路82Iに接続されている。すなわち、結合部40Iは、コンデンサ42Iとスイッチ60Iとを介して交流側伝送路82Iとグランドとをつなぐ回路43Iを含んでいる。
【0047】
このような構成であっても、スイッチ60Iがオンのときに点火プラグ10を含む負荷側の入力インピーダンスと電源側である交流電源部30の出力インピーダンスとの整合が図られ、スイッチ60Iがオフのときに負荷側の入力インピーダンスと電源側の出力インピーダンスとの整合がくずれる。そのため、スイッチ60Iのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0048】
J.第10実施形態:
図13は、第10実施形態におけるプラズマ点火装置1Jの概略構成を説明するための説明図である。第10実施形態のプラズマ点火装置1Jは、3気筒の内燃機関を備える車両に搭載され、3つの点火プラグ10(10a、10b、10c)を含んで構成されているものとして説明する。上述した第1〜9実施形態のプラズマ点火装置は、それぞれ任意に組み合わせることが可能である。第10実施形態のプラズマ点火装置1Jは、第4、6、7実施形態のプラズマ点火装置を組み合わせた構成を備えている。具体的には、プラズマ点火装置1Jの整合部50Jaは、第4実施形態の整合部50D(
図7)と同様の構成を備えている。整合部50Jbは、第6実施形態の整合部50F(
図9)と同様の構成を備えている。整合部50Jcは、第7実施形態の整合部50G(
図10)と同様の構成を備えている。このような構成であっても、スイッチ60Jのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0049】
K.第11実施形態:
図14は、第11実施形態におけるプラズマ点火装置1Kの概略構成を説明するための説明図である。第11実施形態のプラズマ点火装置1Kは、第1実施形態のプラズマ点火装置1と比較すると、直流電源部20と結合部40と直流側伝送路81と混合伝送路83とを備えていない点が異なる。このプラズマ点火装置1Kの交流側伝送路82Kは、一方の端部が交流電源部30に接続され、他方の端部が点火プラグ10に接続されている。整合部50Kは、コイル51Kと、コンデンサ52K、53Kとを含んで構成されている。コイル51Kは、一方の端部が交流電源部30に接続され、他方の端部がコンデンサ53Kに接続されている。コンデンサ52Kは、一方の端部がグランドに接続され、他方の端部がスイッチ60Kを介してコイル51Kとコンデンサ53Kとの間の交流側伝送路82Kに接続されている。コンデンサ53Kは、一方の端部がコイル51Kに接続され、他方の端部が点火プラグ10に接続されている。整合部50Kは、コンデンサ52Kとスイッチ60Kとを介して交流側伝送路82Kとグランドとをつなぐ回路55Kを含んでいる。
【0050】
このような構成であっても、点火制御部70は、2つのスイッチ60Ka、60Kbを制御して、2つの点火プラグ10a、10bのうち、点火をおこなう点火プラグに交流電力を供給して電極間に交流プラズマを発生させることができる。また、このような構成であっても、スイッチ60Kがオンのときに点火プラグ10を含む負荷側の入力インピーダンスと電源側である交流電源部30の出力インピーダンスとの整合が図られ、スイッチ60Kがオフのときに負荷側の入力インピーダンスと電源側の出力インピーダンスとの整合がくずれる。そのため、スイッチ60Kのオンとオフによって、交流電源部30から点火プラグ10に交流プラズマを維持しうる交流電力を供給するか否かの切り換えをおこなうことができる。
【0051】
L.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0052】
L−1.変形例1:
上記実施形態では、整合部50の回路55は、コンデンサとコイルのいずれか一方と、スイッチ60とを備えているものとして説明したが、回路55は、コンデンサとコイルの両方と、スイッチ60とを備えていてもよい。すなわち、回路55は、コンデンサとコイルの少なくとも一方と、スイッチ60とを備えた構成であればよい。このとき、コンデンサ、コイル、および、スイッチ60の並び順は、任意とすることができる。また、第9実施形態の回路43Iもコンデンサとコイルの両方と、スイッチ60Iとを備えていてもよい。
【0053】
L−2.変形例2:
プラズマ点火装置1に含まれる各整合部50a、50bは、それぞれ、上述したL型や、T型、π型などの整合部が複数かつ任意に組み合わされた構成を備えていてもよい。また、プラズマ点火装置1に含まれる各整合部50a、50bは、それぞれ、複数のスイッチを備えていてもよい。
【0054】
L−3.変形例3:
上記実施形態では、結合部40におけるコンデンサ41は、整合部50とは別の回路として構成されていたが、コンデンサ41は、整合部50に含まれていてもよい。
【0055】
L−4.変形例4:
上記実施形態で示した回路構成や点火プラグ10の構成は例示であり、これ以外の構成を備えていてもよい。例えば、プラズマ点火装置1は、複数の交流電源部30を備えていてもよいし、機械式のスイッチを備えていてもよい。直流電源部20は、フルトランジスタ点火方式であってもよいし、CDI点火方式であってもよい。直流電源部20と交流電源部30は、同一のバッテリから電力が供給されていてもよい。同軸ケーブル150は、外部導体152を備えていなくてもよい。なお、本実施形態および変形例でいう「交流」とは、正弦波形的な電流を持つものを意味し、電流値が+と−をまたぐものに限定されない。例えば、+と−をまたがずに正弦波形を取るものも交流に含まれる。また、本実施形態および変形例でいう「交流プラズマ」には「高周波プラズマ」が含まれる。
【0056】
上記実施形態では、点火プラグ10は、中心電極110と接地電極140との間の電極間に火花放電や交流プラズマを発生されるものとして説明したが、点火プラグ10は、接地電極140を備えていなくてもよい。この場合、点火プラグ10は、中心電極110の先端から枝分かれ放電の交流プラズマを発生させる。すなわち、プラズマ点火装置1に含まれる点火プラグ10は、中心電極110と接地電極140の間の電極間に交流プラズマを発生させる構成であってもよいし、中心電極110の先端から枝分かれ放電の交流プラズマを発生させる構成であってもよい。なお、枝分かれ放電の交流プラズマを発生させる前に、直流電源部20からの直流電力の供給によって電極間に火花放電を発生させ、火花放電後に枝分かれ放電の交流プラズマを発生させてもよい。点火プラグ10は、コイルやシール部材を備えていてもよい。