特許第5851985号(P5851985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5851985使い捨てプランジャー区分を有する眼内レンズ送達システム、およびこれに対する使用の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5851985
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】使い捨てプランジャー区分を有する眼内レンズ送達システム、およびこれに対する使用の方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
   A61F2/16
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-513130(P2012-513130)
(86)(22)【出願日】2010年5月19日
(65)【公表番号】特表2012-527959(P2012-527959A)
(43)【公表日】2012年11月12日
(86)【国際出願番号】US2010035384
(87)【国際公開番号】WO2010138352
(87)【国際公開日】20101202
【審査請求日】2013年3月21日
(31)【優先権主張番号】61/182,270
(32)【優先日】2009年5月29日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ムチャラ, スシャント
(72)【発明者】
【氏名】ダウナー, デイビッド エー.
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−513955(JP,A)
【文献】 特表2008−544816(JP,A)
【文献】 特表平09−508053(JP,A)
【文献】 特表2006−522674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズ送達システム(10)のためのキットであって、該眼内レンズ送達システム(10)は、筐体(14)と再利用可能区分(22)とを含み、
該キットは
使い捨てプランジャー先端区分(20)であって、該使い捨て区分は、
近位端(28)および遠位端(30)を有する細長い本体部(26)と、
該細長い本体部(26)の近位端(28)の突起、空洞、または両方である締結メカニズム(34)と、
該細長い本体部(26)の遠位端(30)の押圧表面(40)と
から成り、ここで、
i. 該細長い本体部(26)、および締結突起または空洞は、一体的な構成要素であり
ii. 該締結メカニズム(34)は、該使い捨て区分(20)を該眼内レンズ送達システム(10)の該再利用可能区分(22)に解放可能であるが固く取り付けるように構成され、
iii. 該単一の重合体材料は、少なくとも3500MPaの曲げ弾性率を有する、
使い捨て区分と、
該使い捨て区分(20)を該再利用可能区分(22)に取り付けるために使用される使い捨てツール(90)であって、該使い捨てツール(90)は、該近位端(28)を受け取るように構成された成形された空洞(92)を含み、該近位端(28)を受け取ると、該使い捨てツール(90)は、該使い捨て区分(20)を該再利用可能区分(22)に取り付けるために、該使い捨て区分(20)を捻じることが可能である、使い捨てツール(90)と
を含み、
該筐体(14)に取り付け可能または取り外し可能である使い捨てカートリッジ(70)
をさらに含む、キット。
【請求項2】
前記締結メカニズム(34)は、前記再利用可能区分(22)から延びる突起をロック可能に受け取る空洞である、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記押圧表面(62)は、前記細長い本体部(26)の前記遠位端(30)に位置付けされた柔らかい押圧先端部(60)によって提供される、請求項1または2のいずれか一項に記載のキット。
【請求項4】
前記柔らかい押圧先端部(60)は、少なくとも200%の破断点伸度を有する材料から形成される、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
前記単一の重合体材料は、熱可塑性材料であり、少なくとも30000MPaの曲げ弾性率を有する、請求項1、2、3、または4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
眼内送達システム(10)のためのキットであって、
該システムは、
長さを有する細長い筐体(14)と、
再利用可能基部(22)と
から成り、
該キットは、
使い捨てプランジャー先端区分(20)であって、ここで、
i. 該プランジャーの再利用可能区分(22)は、該筐体(14)内に配置され、該筐体(14)の長さに沿って移動可能であり、
ii. 該再利用可能区分(22)は、該再利用可能区分の遠位端に締結メカニズム(46)を含み、
iii. 該再利用可能区分(22)の締結メカニズム(46)は突起または空洞であり、
iv. 該使い捨て区分(20)は、細長い本体部(26)と、該細長い本体部(26)の近位端(28)の締結メカニズム(34)と、該細長い本体部(26)の遠位端の押圧表面(62)とを含み、
v. 該使い捨て区分(20)の締結メカニズム(34)は突起または空洞であり、
vi. 該再利用可能区分(22)の締結メカニズム(46)の突起または空洞は、該使い捨て区分(20)を該再利用可能区分(22)に解放可能であるが固く締結するために、該使い捨て区分(20)の締結メカニズム(34)の使い捨て区分(20)の突起または空洞と嵌合し、
vii. 該使い捨て区分(20)の該細長い本体部(26)および締結突起または空洞は、一体的な構成要素であり
viii. 該単一の重合体材料は、少なくとも3500MPaの曲げ弾性率を有する、
使い捨てプランジャー先端区分と
該筐体(14)に締結されるカートリッジ(70)であって、該カートリッジ(70)は、眼の切込みに挿入される先端部(80)を該カートリッジの遠位端(76)に含む、カートリッジと、
該使い捨て区分(20)を該再利用可能区分(22)に取り付けるために使用される使い捨てツール(90)であって、該使い捨てツール(90)は、該近位端(28)を受け取るように構成された成形された空洞(92)を含み、該近位端(28)を受け取ると、該使い捨てツール(90)は、該使い捨て区分(20)を該再利用可能区分(22)に取り付けるために、該使い捨て区分(20)を捻じることが可能である、使い捨てツール(90)と
を含む、キット。
【請求項7】
前記カートリッジ(70)は、該カートリッジ(70)の遠位端に開口を含み、該開口は、4ミリメートルより小さい最大内径を有する、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記締結メカニズム(34)は、前記再利用可能区分(22)から延びる突起をロック可能に受け取る空洞である、請求項6または7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
前記押圧表面(62)は、前記細長い本体部の遠位端に位置付けされた柔らかい押圧先端部(60)によって提供される、請求項6、7、または8のいずれか一項に記載のキット。
【請求項10】
前記柔らかい押圧先端部(60)は、少なくとも200%の破断点伸度を有する材料から形成されている、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記単一の重合体材料は、熱可塑性材料であり、少なくとも30000MPaの曲げ弾性率を有する、請求項6、7、8、9、または10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
前記筐体(14)に取り付け可能および取り外し可能である使い捨てカートリッジ(70)をさらに含む、請求項6、7、8、9、10または11に記載のキット。
【請求項13】
前記プランジャーは、眼内レンズを哺乳動物の眼の中に移動させるために進められるように構成され、
該使い捨て区分は、該哺乳動物の眼の中への該眼内レンズの位置づけの後、前記再利用可能区分から解放されるように構成され、
該使い捨て区分は、廃棄されるように構成される、
請求項1または6に記載のキット。
【請求項14】
前記使い捨て区分は、元の区分であり、前記キットは、前記再利用可能区分に取り付けられるように構成された第二の使い捨て区分をさらに含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記第二の使い捨て区分は、前記元の使い捨て区分と異なるカートリッジに対応するように寸法付けされ、および/または成形される、請求項14に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は2009年5月29日に出願された米国仮特許出願第61/182,270号に対して米国特許法119条に基づいて優先権を主張し、この出願の全内容が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、多区分プランジャーを有する眼内レンズ送達システムに関する。さらに詳細には、本発明は、再利用可能プランジャーの基部に対して取り付けおよび取り外しがなされ得る使い捨てプランジャー先端区分を含むプランジャーを含む眼内レンズ送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
人間の眼は、角膜と呼ばれる透き通った外側部分を通して光を透過および屈折し、レンズを介して眼の後部で網膜でさらに画像の焦点を合わせることにより視覚を提供するように機能する。焦点を合された画像の質は、眼の寸法、形状、および長さと、角膜およびレンズの形状および透明度を含む多くのファクターとに依存する。
【0004】
外傷、年齢、病気、または他の弊害が個人の自然の結晶レンズの透明度を下げると、視覚は、網膜に透過され得る光の減少のために劣化する。眼のレンズにおけるこの欠陥は、しばしば白内障と呼ばれる。この病状の治療は、自然の結晶レンズの外科手術除去、および眼内レンズ(IOL)の移植である。
【0005】
以前のIOLはポリメタクリル酸メチル(PMMA)のような硬質プラスチックから生成されたが、シリコン、柔らかいアクリル、およびヒドロゲルから生成される柔らかい、折り畳み可能なIOLの人気が徐々に高まっており、これはこれらの柔らかいレンズを折り畳んで(または丸めて)小さな切込みを通してレンズを挿入することが可能であるためである。レンズを丸める(または折り畳む)いくつかの方法が使用される。1つの人気のある方法は、レンズを折り畳み、比較的小さな直径の管腔を提供する注入カートリッジを使用することであり、レンズは通常プランジャーによって、この管腔を通って眼に押し込まれ得る。1つの一般的に使用されている注入カートリッジの設計が特許文献1(Bartell)に描写されている、分割された、長手方向にヒンジ付けされたカートリッジを含む。他の設計が特許文献2および特許文献3(Feingold)と、特許文献4および特許文献5(Eagleら)とに描写されており、これらの全内容は全ての目的のために本明細書に参照により援用される。なお他のカートリッジが特許文献6(Rheinishら)、特許文献7(Reichら)、および特許文献8(Van Noyら)に記述されており、これらの全内容は全ての目的のために本明細書に参照により援用される。
【0006】
カートリッジは、典型的に、IOLで先行装填され、次に哺乳動物(例えば、人間)の眼にIOLを送達するために、送達システムの一部として使用される。送達システムは、典型的に筐体内にプランジャーを含むハンドピースを含む。送達カートリッジは、ハンドピースに取り付けられ(例えば、ハンドピースの筐体に)、次にカートリッジの先端部が哺乳動物の眼に挿入され得る。プランジャーは、次に、カートリッジの管腔に沿って眼の中にIOLを進め得る。IOLの送達後、カートリッジは、典型的にハンドピースが異なるカートリッジと共に再利用され得るようにハンドピースから除去される。このシステムは概して望ましいが、いくつかの欠点を有する。
【0007】
1つの例示的な欠点として、ハンドピースのプランジャー、もしくはハンドピース全体が、典型的にIOLの送達後に殺菌されなければならない(例えば、高圧滅菌により)。このような殺菌は、プランジャーの先端部がIOLの挿入中にしばしば眼に入り、プランジャーの先端部が眼からの除去の後に生物体を維持し得るために、一般的に必要とされる。殺菌プロセスは、有意な時間を必要とし得、所与の時間内に成し遂げられ得るIOL送達の数を制限し得る。
【0008】
別の例示的な欠点として、ハンドピースのプランジャーは、典型的に特定のカートリッジの管腔の寸法に対処するように寸法付けされている。異なる寸法の管腔を有する新規のカートリッジを使用することが望まれるようになる場合、そのカートリッジに対処するために完全に新規のプランジャーまたは完全に新規のハンドピースが使用されなければならない。
【0009】
なお別の例示的な欠点として、IOL送達システムにおける昨今の傾向が柔らかい先端部を有するプランジャーの使用を非常に望ましいものにしているが、これらの種類の送達システムに関連する再利用可能なプランジャーは、しばしば金属またはある他の高圧滅菌可能な材料から形成され、このような材料に柔らかい先端部を提供することは困難であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,681,102号明細書
【特許文献2】米国特許第5,494,484号明細書
【特許文献3】米国特許第5,499,987号明細書
【特許文献4】米国特許第5,616,148号明細書
【特許文献5】米国特許第5,620,450号明細書
【特許文献6】米国特許第5,275,604号明細書
【特許文献7】米国特許第5,653,715号明細書
【特許文献8】米国特許第5,947,876号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
プランジャーが前に言及した欠点、および/または従来のIOL送達システムに関連するさらなる欠点の1つ以上を克服する、眼内レンズ送達システムのためのプランジャーを提供することが非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明は、IOL送達における使用のための向上されたプランジャー、およびそのようなプランジャーを有するIOL送達システムに向けられる。送達システムは、典型的に、長さを有する細長い筐体と、使い捨て先端区分および再利用可能基部を有するプランジャーとを含む。プランジャーの再利用可能区分は、典型的に筐体内に配置され、筐体の長さに沿って移動可能である。再利用可能区分は、典型的に再利用可能区分の遠位端に締結メカニズムを含む。再利用可能区分の締結メカニズムは、含まれている場合、典型的に突起または空洞である。使い捨て区分は、典型的に、細長い本体部と、細長い本体部の近位端の締結メカニズムと、細長い本体部の遠位端の押圧表面とを含む。使い捨て区分の締結メカニズム、および再利用可能区分の締結メカニズムは、典型的に突起または空洞である。再利用可能区分の締結メカニズムの突起または空洞は、使い捨て区分を再利用可能区分に解放可能であるがしっかり固く締結するために、使い捨て区分の締結メカニズムの使い捨て区分の突起または空洞と嵌合する。細長い本体部と、使い捨て区分の締結突起または空洞とは、単一の重合体材料で一体的にモールド成形される。単一の重合体材料は、好ましくは少なくとも3500MPaの曲げ弾性率を有する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、システムは以下の特性、すなわち、4ミリメートルより小さい最大内部直径を有するカートリッジの遠位端の開口、および/または細長い本体部の遠位端で細長い本体部にオーバーモールド成形された柔らかい押圧先端部、のいずれか、または両方を含み得る。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
眼内レンズ送達システムのための使い捨てプランジャー先端区分であって、該使い捨て区分は、
近位端および遠位端を有する細長い本体部と、
該細長い本体部の近位端の突起、空洞、または両方である締結メカニズムと、
該細長い本体部の遠位端の押圧表面とを含み、
i. 該細長い本体部、および締結突起または空洞は、単一の重合体材料で一体的にモールド成形されている、
ii. 該締結メカニズムは、該使い捨て区分を該眼内レンズ送達システムの再利用可能プランジャー区分に解放可能であるがしっかり固く取り付けるように構成され、
iii. 該単一の重合体材料は、少なくとも3500MPaの曲げ弾性率を有する、使い捨て区分。
(項目2)
前記締結メカニズムは、前記再利用可能区分から延びる突起をロック可能に受け取る空洞である、項目1に記載の使い捨て区分。
(項目3)
前記押圧表面は、前記細長い本体部の遠位端で該細長い本体部にオーバーモールド成形された柔らかい押圧先端部によって提供される、項目1または2のいずれか一項に記載の使い捨て区分。
(項目4)
前記柔らかい押圧先端部は、少なくとも200%の破断点伸度を有する材料から形成される、項目3に記載の使い捨て区分。
(項目5)
前記単一の重合体材料は、熱可塑性材料であり、少なくとも30000MPaの曲げ弾性率を有する、項目1、2、3、または4のいずれか一項に記載の使い捨て区分。
(項目6)
前記使い捨て区分は、該使い捨て区分を前記ハンドピースに対して取り付けおよび取り外しが可能な前記再利用可能区分および/またはカートリッジに対して取り付けおよび取り外しをするために使用される使い捨てツールと共にキットを形成する、項目1〜5のいずれか一項に記載の使い捨て区分。
(項目7)
眼内送達システムであって、該システムは、
長さを有する細長い筐体と、
使い捨て先端区分および再利用可能基部を有するプランジャーとを含み、
i. 該プランジャーの再利用可能区分は、該筐体内に配置され、該筐体の長さに沿って移動可能であり、
ii. 該再利用可能区分は、該再利用可能区分の遠位端に締結メカニズムを含み、
iii. 該再利用可能区分の締結メカニズムは突起または空洞であり、
iv. 該使い捨て区分は、細長い本体部と、該細長い本体部の近位端の締結メカニズムと、該細長い本体部の遠位端の押圧表面とを含み、
v. 該使い捨て区分の締結メカニズムは突起または空洞であり、
vi. 該再利用可能区分の締結メカニズムの突起または空洞は、該使い捨て区分を該再利用可能区分に解放可能であるがしっかり固く締結するために、該使い捨て区分の締結メカニズムの使い捨て区分の突起または空洞と嵌合し、
vii. 該使い捨て区分の該細長い本体部および締結突起または空洞は、単一の重合体材料で一体的にモールド成形され、
viii. 該単一の重合体材料は、少なくとも3500MPaの曲げ弾性率を有する、
システム。
(項目8)
前記筐体に締結されるカートリッジをさらに含み、該カートリッジは、該カートリッジの遠位端に開口を含み、該開口は、4ミリメートルより小さい最大内径を有する、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記締結メカニズムは、前記再利用可能区分から延びる突起をロック可能に受け取る空洞である、項目7または8のいずれか一項に記載のシステム。
(項目10)
前記押圧表面は、前記細長い本体部の遠位端で該細長い本体部にオーバーモールド成形された柔らかい押圧先端部によって提供される、項目7、8、または9のいずれか一項に記載のシステム。
(項目11)
前記柔らかい押圧先端部は、少なくとも200%の破断点伸度を有する材料から形成されている、項目10に記載のシステム。
(項目12)
前記単一の重合体材料は、熱可塑性材料であり、少なくとも30000MPaの曲げ弾性率を有する、項目7、8、9、10、または11のいずれか一項に記載のシステム。
(項目13)
前記使い捨て区分は、該使い捨て区分を前記ハンドピースに対して取り付けおよび取り外しが可能な再利用可能区分および/またはカートリッジに対して取り付けおよび取り外しをするために使用される使い捨てツールと共にキットを形成する、項目7、8、9、10、11、または12のいずれか一項に記載のシステム。
(項目14)
項目1〜13のいずれか一項の使い捨て区分またはシステムを使用する方法であって、該方法は、
眼内レンズを哺乳動物の任意の眼に移動させるために、前記プランジャーを進めることと、
該哺乳動物の眼の中への該眼内レンズの位置づけの後、前記再利用可能区分から該使い捨て区分を解放することと、
該使い捨て区分を廃棄することとを含む、方法。
(項目15)
前記使い捨て区分は、元の区分であり、第二の使い捨て区分を前記再利用可能区分に取り付けることをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
第二の使い捨て区分は、前記元の使い捨て区分と異なるカートリッジに対応するように寸法付けされ、および/または成形される、項目15に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の局面に従った例示的なIOL送達システムの例示的なハンドピースおよびプランジャーの斜視図である。
図2図2は、図1のIOL送達システムの例示的な使い捨てプランジャー区分の例示的な近位端の拡大斜視図である。
図3図3は、本発明の局面に従ったIOL送達システムの例示的な先行装填されたIOLカートリッジの斜視図である。
図4図4は、本発明の局面に従った使い捨てプランジャー区分を操作するための例示的なツールの斜視図である。
図5図5は、図1および2の使い捨てプランジャー区分を操作するために使用されている図4の例示的なツールの描写である。
図6図6は、図1のハンドピースの斜視図であり、本発明の局面に従ってプランジャーに例示的な柔らかい先端部が提供されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、眼内レンズ(IOL)送達システムのプランジャーのための使い捨て区分の提供に基づく。有利には、プランジャーの使い捨て区分は、IOLの挿入中に哺乳動物の眼に入り得、次にこのような挿入の後に殺菌を必要とするのではなく、廃棄され得る。プランジャーの使い捨て区分は、複数のカートリッジと共に単一のハンドピースを使用するIOL送達システムにおける使用に対して特に望ましい。カートリッジはまた、IOLの送達の後に、眼に接触する可能性があるIOL送達システムの全部分が廃棄され得るように使い捨てであり得る。このような実施形態において、複数の使い捨て区分は、必要とされる、または望ましい場合には、複数の異なるカートリッジに対応するように成形または寸法付けされ得る。
【0016】
図1−2は、本発明に従った例示的なIOL送達システムの例示的なハンドピース10を描写する。ハンドピース10は、筐体14と、筐体14内に配置されるプランジャー16とを含む。プランジャー16は、使い捨てプランジャー先端区分20と再利用可能プランジャー基部22とを含む。
【0017】
使い捨て区分20は、遠位端30に対向する近位端28を有する細長い本体部26を有する。締結メカニズム34が、細長い本体部26の近位端28に位置し、押圧表面40が、細長い本体部26の遠位端30に位置する。
【0018】
再利用可能区分22は、締結メカニズム46を有する細長い本体部44を有し、締結メカニズム46は、細長い本体部44の遠位端48に位置する。示される実施形態において、再利用可能区分22の締結メカニズム46は、空洞である使い捨て区分20の締結メカニズム34と嵌合するか、または締結メカニズム34によって受け取られる突起である。しかし、このシステムは、突起である使い捨て区分の締結メカニズムが、空洞34である再利用可能区分の締結メカニズムと嵌合するか、または締結メカニズムによって受け取られるように逆にされ得ることが企図される。なお別の代替として、締結メカニズムのそれぞれが突起と空洞を含み、各締結メカニズムの突起が他方の締結メカニズムの空洞と嵌合するか、または空洞に受け取られ得る。
【0019】
描写されている実施形態において、締結メカニズム34および46は、協力的にツイストロックコネクタを形成している。システムが使い捨て区分20を再利用可能区分22に解放可能であるがしっかり固く取り付ける様々な異なる締結システムが使用され得ることが理解される。
【0020】
ハンドピース10の筐体14および再利用可能区分22は、様々な材料から形成され得、各コンポーネントの材料は同じであり得るか、また異なり得る。筐体14および再利用可能区分22の材料は、耐久性があり、かつ、硬質であるべきである。このような材料は、金属、セラミック、および強化プラスチックを含むがこれらに制限されない。筐体14および再利用可能区分22の1つまたは複数の材料は、洗浄が容易であるか、高圧滅菌可能(100°Cより高い融解温度を有する)であるか、両方の性質を兼ね揃えることが概して好ましい。好ましい実施形態において、筐体14および再利用可能区分22は同じ材料で形成され、材料は、金属、最も好ましくはステンレス鋼またはチタンで形成される。
【0021】
細長い本体部26および締結メカニズム34を含む使い捨て区分20は、1つ以上のモールド成形された重合体材料で形成されるが、好ましくは単一の一体的にモールド成形された重合体材料で形成される。押圧表面はまた、モールド成形された重合体材料で形成され得るが、しかし、押圧表面は、代替に、本明細書においてさらに記述される柔らかい先端材料によって提供され得る。使い捨て区分の1つまたは複数のモールド成形された重合体材料は、中詰めされている場合があり、または中詰めされていない場合があり、可塑剤、強靭化剤などの様々な添加剤を含み得る。モールド成形された重合体材料は、好ましくはその望ましい形状に射出成形または圧縮成形される。好ましい実施形態において、モールド成形可能材料は、硬質プラスチック材料であり、これは熱硬化性材料であり得るが、好ましくは熱可塑性材料である。硬質プラスチック材料は、好ましくは、1つ以上の望ましい機械的性質を示す。特に、好ましくは、硬質プラスチック材料は、少なくとも3500メガパスカル(MPa)、さらに典型的には少なくとも10000MPa、さらになお典型的には少なくとも30000MPaの曲げ弾性率を有し、少なくとも50000MPaでさえ可能である。これらの材料の曲げ弾性率は、ASTM D790に従って特定され得る。また、硬質プラスチック材料が生体適合材料で形成されることが好ましい。
【0022】
使い捨て区分のための例示的な好ましい硬質プラスチック材料は、ポリスチレン、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリールアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレン、テレフタレート、ポリプロピレン、ポリスルホン、液晶ポリマ、これらの組み合わせ、または同様のものを含むがこれらに制限されない。
【0023】
有利には、本発明に従った複数の使い捨て区分は、急速に、かつ安価にモールド成形され得る(例えば、射出成型され得る)。これに応じて、各IOL挿入手順に対して新規の使い捨て区分を使用することがコストおよび他の効率の見地からさらに妥当になる。
【0024】
さらなる利点として、これらの使い捨て区分により容易に柔らかい先端部を提供され得る。特に、比較的柔らかい材料は、使い捨て区分の遠位端にオーバーモールド成形され得るか、またはそうでなければ位置づけされ得る。好ましくは、柔らかい先端材料は、接着されるか、そうでなければ使い捨て区分の他の部分の材料に取り外し不可能に取り付けられる。このような接着は、材料間の自然な接着(オーバーモールド成形中に生じる自然の接着)であるか、または接着剤が材料間に位置付けされ得る。図6は、このような柔らかい先端部60を描写しており、柔らかい先端部60はまた、IOLを押すための押圧表面62を提供する。柔らかい先端材料は、典型的に少なくとも100%、さらに典型的に少なくとも200%の破断点伸度を示し、少なくとも400%の破断点伸度でさえ可能である。柔らかい先端材料の破断点伸度は、典型的に1500%を超えず、より典型的には780%を超えない。このような破断点伸度は、ASTM D−638に従って測定され得る。柔らかい先端材料はまた、典型的に100%の伸度で約100psiから約300psi、および/または300%の伸度で約210psiから約540psiの弾性係数を有する。このような柔らかい先端部および柔らかい先端材料は、先端部が管腔に対処するように変形し得るため、狭い管腔を通してIOLを押すことに対して特に望ましい。
【0025】
柔らかい先端部は、シリコン、エラストマ、これらの組み合わせ、または同様なもののような様々な材料で形成され得る。好ましい実施形態において、柔らかい先端材料は、エラストマ材料であり、エラストマ材料は熱硬化性または熱可塑性であり得る。柔らかい先端材料はまた、生体適合性を有するべきである。例示的な可能性のある材料は、スチレンブロック共重合体、ポリオレフィン(TPO)エラストマ合金、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性共重合体、および熱可塑性ポリアミドを含むがこれらに制限されない。
【0026】
図3を参照すると、本発明に従った例示的なカートリッジ70がここに描写されている。カートリッジ70は、その長さ(L)に沿って延びる管腔72を有し、管腔72はIOL73を先行装填する。カートリッジ70および管腔72は、カートリッジ70の近位端74からカートリッジ70の遠位端76に延びる。カートリッジ70は、その遠位端76で先端部80を含み、管腔72は、先端部80に沿って延びる。先端部80は、本明細書において、眼内へのIOLの挿入中にその眼内に挿入されるカートリッジ70の任意の部分を含むように規定される。好ましくは、長さ(L)に対して直角に測定された先端部80内の管腔72の最大直径は、7ミリメートル(mm)を超えず、さらに典型的には5ミリメートルを超えず、4ミリメートルを超えないことが可能でさえある。
【0027】
カートリッジ70は、複数の異なる材料で形成され得る。好ましい実施形態において、カートリッジ70は、重合体材料、さらに好ましくはポリプロピレン材料で形成される。カートリッジ70はまた、使い捨て可能であり得る。本発明と共に使用され得るカートリッジの例は、米国特許第6,398,789号、第6,143,001号、第6,083,231号、および第5,947,976号に記述されており、これらは全ての目的のために本明細書に参照により援用される。
【0028】
本発明のプランジャーは、眼内へのIOLの送達を補助するために使用される。プランジャーの使い捨て区分は、プランジャーの再利用可能区分に解放可能であるがしっかり固く取り付けられる。次に、プランジャーは、眼内にIOLを移動させるために、筐体、カートリッジ、または両方の長さに沿って進められる。その後、プランジャーの使い捨て区分は、再利用可能区分から除去され、次に、好ましくは正しく廃棄される。
【0029】
図1−5で描写されている特定の実施形態において、使い捨て区分20および再利用可能区分22の締結メカニズム34および46は、嵌合されるか、さらに詳細にはツイストロックされる。カートリッジ70は、次にIOL73をプランジャー16に整列するために筐体14に取り付けられる。カートリッジ70の先端部80は、次に、眼の切込みに挿入される。プランジャー16は、筐体14の長さおよびカートリッジ70の長さに沿って進められ、眼内に先端部80からIOL73が解放されるまで管腔72に沿ってIOL73を押す。カートリッジ先端部80は、次に、切込みから除去され、続いて筐体14からカートリッジ70が除去され、再利用可能区分22から使い捨て区分20が除去される。使い捨て区分20は、次に、正しく廃棄される。
【0030】
使い捨て区分の再利用可能区分に対する取り付けおよび取り外しを補助するために、例えば、ハンドピース、使い捨て区分、およびカートリッジの任意の組み合わせのキットの一部として、ツールが提供され得る。好ましくは、このようなツールは、使い捨て区分と同じまたは同様な材料から形成され、ツール自体が使い捨て可能である。このような実施形態において、ツールは、使い捨て区分の再利用可能区分に対する取り付けおよび取り外しを補助するために使用され得、次に使い捨て区分と同じ様式で正しく廃棄され得る。
【0031】
図4および5を参照すると、例示的なツール90が描写されている。わかるように、ツール90は、使い捨て区分20の六角形状部94(例えば、近位端として示される)に対応する、成形された空洞92(例えば六角形状空洞)を含む。六角形状部は、空洞92に受け取られ、ツール90は、次に、使い捨て区分20を再利用可能区分22に対して取り付け、取り外しをするために、使い捨て区分20を捻じり得る。
【0032】
プランジャー16は、プランジャー16の手動の押しを介して、またはツイスト可能なねじ状メカニズムを介してIOL送達中に進められ得る。プランジャーは、MONARCH(登録商標)システムのような製品においてこれらの技法を使用して進められており、このシステムはAlcon Laboratories,Inc.,Fort Worth,Texasにより市販されている。
【0033】
本発明のシステムの使用を通して、第一のIOLの送達に対して、上述されるように、第一の使い捨てプランジャー区分と、特定の実施形態において、第一のツールおよび/または第一のカートリッジがハンドピースと共に使用され得る。次に、第一の使い捨てプランジャー区分、第一のツール、および/または第一のカートリッジは、第二の使い捨てプランジャー、第二のツール、および/または第二の使い捨てカートリッジに置き換えられ得、第二の使い捨てプランジャー、第二のツール、および/または第二の使い捨てカートリッジは、第二のIOLを送達するために、第一の区分、ツール、および/またはカートリッジと共に使用された同じハンドピースと使用され得る。
【0034】
有利には、プランジャーの使い捨て区分は、IOLの移植の後、殺菌される必要がない。さらに、柔らかい先端部は、柔らかい先端部か望ましいこれらの実施形態において(例えば、カートリッジ開口の直径が小さい状況において)使い捨て区分により効率的に取り付けられ得る。異なる寸法の管腔を有するカートリッジを使用してIOLを送達するために、複数の異なる寸法の使い捨て区分が単一のハンドピースと使用され得ることも企図される。有利には、区分は、異なる寸法の管腔に対応するために、特に寸法付けされ得る。
【0035】
本開示におけるすべての引用された参照文献の全内容は、参照により本明細書において特に援用される。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメータが範囲、好ましい範囲、または好ましい上部の値および好ましい下部の値のリストのうちのいずれかとして提供される場合、範囲が別個に開示されているかどうかにかかわらず、任意の範囲上限値もしくは好ましい値と、任意の範囲下限値もしくは好ましい値との任意のペアから形成されるすべての範囲を特に開示しているとして理解される。数値の範囲が本明細書において記載されている場合、そうでないと記述されない限り、範囲はその端点と、全ての整数および小数とを含むことが意図される。範囲を規定する場合、発明の範囲が記載された特定の値に制限されることが意図されない。
【0036】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮と、本明細書において開示される本発明の実践とから当業者に明白になる。本明細書および実施例は、例示としてのみ考慮され、発明の本来の範囲および精神は以下の特許請求およびその均等物によって示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6