特許第5852004号(P5852004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5852004高分子バイオレットアントラキノン着色剤組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852004
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】高分子バイオレットアントラキノン着色剤組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 69/10 20060101AFI20160114BHJP
   C09B 1/22 20060101ALI20160114BHJP
   C09B 1/32 20060101ALI20160114BHJP
   C09B 1/54 20060101ALI20160114BHJP
   C08G 65/333 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   C09B69/10 B
   C09B1/22
   C09B1/32
   C09B1/54
   C08G65/333
【請求項の数】3
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2012-541114(P2012-541114)
(86)(22)【出願日】2010年11月18日
(65)【公表番号】特表2013-512308(P2013-512308A)
(43)【公表日】2013年4月11日
(86)【国際出願番号】US2010057150
(87)【国際公開番号】WO2011066161
(87)【国際公開日】20110603
【審査請求日】2012年10月3日
(31)【優先権主張番号】12/624,646
(32)【優先日】2009年11月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599060788
【氏名又は名称】ミリケン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】ホン、シャオヨン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マハフェイ、ロバート・エル.
【審査官】 井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−230256(JP,A)
【文献】 特開昭54−120637(JP,A)
【文献】 特開2005−213247(JP,A)
【文献】 J. Chem. Eng. Data,1984年,Vol.29,pp.482-483
【文献】 Textile Chemist and Colorist,1986年,Vol.18, No.5,pp.24-25
【文献】 Zhurnal Organicheskoi Khimii,1978年,Vol.14, No.2,pp.390-394
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(IV−A)、(II)、(III)または(IV)により表わされる化合物を含有する高分子バイオレットアントラキノン着色剤。
【化1】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
1,R2,R3,R4,およびR5は、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から独立して選択され、ここで、Qは連結基であって、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N,アルキル、およびアルコキシからなる群から選択され、Eはポリマー鎖であって以下に示されるような一般式(VI)の構造に一致する末端基である;
【化2】
ここで、zは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される2以上のモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択される末端基であり、ここで、R1,R2,R3,R4,R5の少なくとも1つはQ−Eである;
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;
4は、ポリオキシアルキレンで置換されたアリール基であり、ここで、ポリオキシアルキレン成分はC2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
Xは、連結基であり、酸素および硫黄からなる群から選択され;および
22は、3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される。
【請求項2】
請求項に記載の着色剤であって、Qは酸素であり、Eはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドモノマーからなるポリオキシアルキレン成分であり、zは1である着色剤。
【請求項3】
請求項1に記載の着色剤であって、前記ポリオキシアルキレン部分はC2〜20アルキレンオキシ基である着色剤。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、高分子バイオレットアントラキノン着色剤の組成物、前記組成物の製造方法、および着色消費者製品のためのこうして製造された組成物の使用に関する。着色剤は、一般的に水溶性で、非ステインでpH安定である。
【発明の背景】
【0002】
アントラキノン染料は、優れた光堅牢性、均一なレベリング、染浴安定性、および色合いの鮮やかさに起因して、綿、ポリエステル、アクリル、ウール、セルロースアセテート、ナイロンなどの布地の染色に広く用いられてきた。アントラキノンは、油、薬物、化粧品、紙、ゴム、印刷用インク、プラスチック、コーティング、皮革、ワックス、および洗剤に着色を与えるための着色剤としての使用もまた、知られている。これらのタイプのアントラキノン染料は、酸性染料、分散染料、バット染料、金属被覆性染料(metallizable dyes)、直接染料、ソルベント染料、塩基性染料、反応染料などに分類することができる。
【0003】
多くのバイオレットアントラキノン染料が知られている。市販のバイオレットアントラキノン染料の例は、Acid Violet 39,Acid Violet 41,Acid Violet 42,Acid Violet 43,Acid Violet 48,Acid Violet 51,Acid Violet 34,Acid Violet 47,Acid Violet 109,Acid Violet 126,Basic Violet 24,Basic Violet 25,Disperse Violet 1,Disperse Violet 4,Disperse Violet 26,Disperse Violet 27,Disperse Violet 28,Disperse Violet 57,Solvent Violet 11, Solvent Violet 13, Solvent Violet 14, Solvent Violet 26, Solvent Violet 28,Solvent Violet 31,Solvent Violet 36,Solvent Violet 37,Solvent Violet 38,Solvent Violet 48,Solvent Violet 59,Solvent Violet 60,Vat Violet 13,Vat Violet 15,Vat Violet 16を含む。しかしながら、これらのバイオレットアントラキノン染料は、本来は高分子でなく、洗剤処方および他の消費者洗浄製品のような他の処方に取り込まれた際には、安定性、ゲル化、および沈殿の課題を示す傾向がある。さらに、酸性バイオレット染料のような水溶性バイオレットアントラキノン染料は、織物基材(布地など)、皮膚、および他の表面に染み(staining)を引き起こすことが知られている。このように、水性マーカーならびに絵の具、および洗濯洗剤ならびに柔軟剤のような洗浄処方のような染みのない(non-staining)着色剤が望まれる用途へにおける使用には、それらは適切ではない。
【0004】
さらに、これらのアントラキノン染料は、しばしば取り扱いが困難な粉体状で一般的に提供される。これらの染料は、水または有機液体に溶解することによって液体状にすることができるが、そのような液体染料の溶解性は低く、得られた液体染料溶液が有する色の濃さは、非常に低い傾向がある。色の濃さ、すなわち明度は、AATCC Test Method 182−2000の改良版を用いて決定され、これにおいては、明度は、UV−可視分光法によって、適切な溶媒中で、1センチメートルセル長の着色剤を通って、1リットル当たり1グラムの吸光度が決定され計算される。
【0005】
バイオレットアントラキノン着色剤を製造するための他の試みは、Kaiserらに付与された米国特許第3,192,117号を含み、これは毛髪染料として有用はバイオレットアントラキノン組成物のいくつかの例を与える。これらの着色剤は、染色のクリームまたはペースト中に取り込まれた際に、優れた染色性を示す。上述した酸性染料と同様に、これらの組成物は、それらが適用される基材に染みを引き起こす。この場合においては、人毛を染色するための染色(staining)アントラキノン着色剤を用いることが望まれる。このように、Kaiserらによって開示された着色剤は、本来、高分子ではなく、それらは非ステイニングではない。しかも、Kaiserらによって開示された着色剤は、好ましくは、窒素含有一級基を2つ、アントラキノンラジカルに含む。
Lodgeらに付与された米国特許第1,881,752号および米国特許第2,014,810号、Peterに付与された米国特許第2,117,569号、およびPeterらに付与された米国特許第2,580,190号には、アントラキノンバイオレット染料を含むいくつかのアントラキノン染料が記載されている。Kollikerらに付与された米国特許第3,689,510号には、少なくともβ位に−O−COOR基を有する水溶性アントラキノン染料の類が記載されている。これらの染料は、合成ポリエステル繊維の染色のために用いることができ、光および昇華に対して優れた堅牢性を示す。Andrewsに付与された米国特許第3,715,373号には、アシル置換された1,4−ジアミノ−2−ハロアントラキノンから、不活性溶媒中で1,4−ジアミノ−2−アルコキシまたはフェノキシアントラキノン染料を製造するプロセスが記載されている。David O. Ukponmwan and et al.は、J.Chem.Eng.Data 1984,Vol.29,pp.482−483 and 1987,Vol.32,pp 282−284において、合成繊維の着色のために用いられる1−アミノ−4−(アリールアミノ)アントラキノン2−エーテルおよび1,4−ビス(アリールアミノ)−2−(アリールオキシ)アントラキノン染料のシリーズを合成した。しかしながら、これらの文献は、低分子のアントラキノン染料の製造を教示している。したがって、そのような染料の高分子型の教示または正しい示唆は全く知られていない、あるいは、これらの着色剤が消費者製品の着色に使用できることは、一切教示されておらず、正しい示唆もない。
【0006】
英国特許第859,283号は、繊維、皮革、および紙の染色に有用な水溶性アントラキノン染料を示している。水溶性は、スルホン酸、硫酸、またはカルボン酸基によってアントラキノン染料分子に導入される。これらは低分子であり、トリアジン単位およびイオン基を含有してそれらを水溶性にする。また、これらの染料は、本来、一般的に青色である。
【0007】
1,4−二置換された脂肪族アミノアントラキノンのような他のアントラキノン着色剤は、Rekersらに付与された米国特許第4,846,846号に開示され、これにおいては、アントラキノンは、水中で、キニザリン、ロイコキニザリン、およびアミンの混合物から調製され、次いで種々の精製プロセスが行なわれる。好ましいアミンは、アミン部分の末端に−OH,−NH2,または−SHのような末端反応性基を有するsec−アルキル一級アミンである。これらのアントラキノン着色剤は、ポリウレタン樹脂、特に発泡体の着色に用いられる。
Farmerに付与された米国特許第4,137,243号は、ロイコキニザリンおよび高分子ジアミンからの末端アミノ基を有する高分子アントラキノン着色剤を開示する。これらのロイコキニザリンは、ヒドロ亜硫酸ナトリウムでのキニザリンの還元によって、その場所で(in−situ)製造することができる。上述の特許の方法にしたがって製造された高分子アミノアントラキノン着色剤は、高いレベルの不純物を含む傾向があり、より純度の高いアントラキノン着色剤を得るためにさらなる精製が必要とされるようなものである。低い融解または液体水溶性アントラキノン着色剤の精製は、通常、時間のかかる抽出、およびしばしば有機溶媒を必要とする洗浄処置を含み、一般的に環境面で扱いやすくない。しかも、これらの溶媒は、多くの消費者製品における使用に典型的には適切ではなく、完全な除去が必要とされる。有機溶媒は、しばしば高額であり、アントラキノン着色剤の製造中に付加的な廃棄物を生み出す。さらに、これらのアントラキノン着色剤中の不純物のいくつかは、ろ過するのがしばしば困難であり、一般的に、くすんだ色、色合いの変化、および染みを引き起こす。
【0008】
Adamに付与された米国特許4,224,228号および米国特許第4,244,691号は、アントラキノンが接合した系に1またはこれを超える−SO3H基を有し、酸を含まない形態の水溶性アントラキノン染料を開示する。これらのアントラキノン染料は、天然および合成ポリアミド繊維のような織物材料の染色または印刷に用いられ、湿式処理への優れた染料取り込み(uptake)および堅牢性を示す。任意に、これらのアントラキノン染料は、アクリロイル、ビニルスルホニル、クロロアセチル、フルオロトリアジニルラジカル、およびブロモアクリロイル基のような繊維反応基を有する。
Weaverらに付与された米国特許第6,022,944号は、有色アントラキノン、または1またはこれを超えるスルホアミド結合およびポリ(オキシアルキレン)を有する縮合したアントラキノン化合物を開示する。これらの着色剤は、改善された水分散性、および他の有機化合物との親和性を示す。しかしながら、これらの着色剤を製造するプロセスは、接合した環に1またはこれを超える−SO2Clを加えることを含み、これは、困難であり取り扱いが難しい試薬を含む。
【0009】
Xiaに付与された米国特許第6,593,483は、高分子青色アントラキノン着色剤を開示し、これにおいては、ポリ(オキシアルキレン)鎖が芳香族アミノ基を介して、1−位または/および4−位でアントラキノン主鎖に結合する。Connorらに付与された米国特許第6,635,350号は、高分子赤色アントラキノン着色剤を開示し、これにおいては、少なくとも1つのポリ(オキシアルキレン)鎖が1−位に結合するとともに、少なくとも1つのポリ(オキシアルキレン)鎖が、アントラキノン主鎖の5−位または8−位のいずれかに結合する。
【0010】
このように、優れた光およびpH安定性を示し、他の材料と相溶性であり、種々の消費者製品の着色における使用に適切な高分子アントラキノン着色剤に対する必要性が存在する。着色剤は、染みがなく(non-staining)、明るい色合いで水溶性であることも望まれる。
【0011】
したがって、本発明の一つの目的は、高分子バイオレットアントラキノン着色剤、好ましくは、明るい色合い、高いpH安定性、優れた堅牢性、および他の材料との親和性を示す1,4−ジアミノ−2−ポリアルキレンオキシバイオレットアントラキノン着色剤を提供することである。本発明の他の目的は、かかるアントラキノン着色剤を製造する方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、液体ならびに固体の洗濯洗剤および液体柔軟剤のような消費者製品の着色のために、本発明の着色剤を使用することである。
【発明の概要】
【0012】
ここに提供されるのは、構造(I)で表わされる化合物を含有する高分子バイオレットアントラキノン着色剤組成物である。
【化1】
【0013】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
Xは、連結基であり、酸素および硫黄からなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
4は、水素;アルキル、ポリオキシアルキレン、またはスルホネート部分、またはそれらの組み合わせで任意に置換されたアリール基;ポリオキシアルキレン、ヒドロキシル、アルコキシル、カルボン酸またはエステル、スルホネート、または硫酸基で任意に置換されたアルキル基;および1またはこれを超えるアルキルまたはポリオキシアルキレン基で任意に置換されたシクロヘキシル基からなる群から選択され;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0014】
また、ここで提供されるのは、構造(IV)により表わされる化合物を含有する高分子バイオレットアントラキノン着色剤である。
【化2】
【0015】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
4は、水素;アルキル、ポリオキシアルキレン、またはスルホネート部分、またはそれらの組み合わせで任意に置換されたアリール基;ポリオキシアルキレン、ヒドロキシル、アルコキシル、カルボン酸またはエステル、スルホネート、または硫酸基で任意に置換されたアルキル基;および1またはこれを超えるアルキルまたはポリオキシアルキレン基で任意に置換されたシクロヘキシル基からなる群から選択され;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0016】
さらに、ここで提供されるのは高分子バイオレットアントラキノン着色剤であり、着色剤は構造(IV−B)により表わされる化合物を含有する。
【化3】
【0017】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
1,R2,R3,R4,およびR5は、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から独立して選択され、ここで、Qは連結基であって、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N,アルキル、およびアルコキシからなる群から選択され、Eはポリマー鎖であって以下に示されるような一般式(VI)の構造に一致する末端基である;
【化4】
【0018】
ここで、zは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択される末端基であり、ここで、R1,R2,R3,R4,R5の少なくとも1つはQ−Eである;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0019】
さらにここで提供されるのは、高分子バイオレットアントラキノン着色剤の製造方法であって、(a)ブロムアミン酸を、銅含有触媒化合物の存在下、ポリオキシアルキレン置換された一級芳香族または脂肪族アミンと反応させて、1−アミノ−4−アリールアミノ−2−アントラキノンスルホン酸を形成する工程、および(b)工程“a”のアントラキノンを、アルコール、高分子アルコール、チオール、または高分子チオールと、および塩基と反応させて、1−アミノ−2−ポリアルキレンオキシ−4−アリールアミノアントラキノン、メチルエーテルを形成する工程の逐次工程を具備する方法である。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本明細書に記載される全ての米国ならびに外国特許および米国特許出願は、その全体の内容を本明細書の一部として援用する。
【0021】
用語「ポリオキシアルキレン」および「ポリ(オキシアルキレン)」は、ここで交換可能に用いられる際、以下の繰り返し単位:−CH2CH2O−,−CH2CH2CH2O−,−CH2CH2CH2CH2O−,−CH2CH(CH3)O−,−CH2CH2CH(CH3)O−、およびそれらの任意の組み合わせを含む分子構造を一般的にさす。さらに、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、およびそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択することができる。
【0022】
用語「アルキル」は、ここで用いられる際、1〜30の炭素原子を有する任意の直鎖または分岐したアルキル部分を包含することが意図される。
【0023】
用語「アントラキノン」は、ここで用いられる際、以下の一般化学構造を一般的にさし、連続して番号付ける。
【化5】
【0024】
用語「バイオレット」は、ここで用いられる際、約550ナノメーターから約610ナノメーターの波長範囲内の可視スペクトルに最大吸収を示す化合物を指すことが一般的に意図される。
【0025】
本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、一般構造(I)で表わすことができる。
【化6】
【0026】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
Xは、連結基であり、酸素および硫黄からなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
4は、水素;アルキル、ポリオキシアルキレン、またはスルホネート部分、またはそれらの組み合わせで任意に置換されたアリール基;ポリオキシアルキレン、ヒドロキシル、アルコキシル、カルボン酸またはエステル、スルホネート、または硫酸基で任意に置換されたアルキル基;および1またはこれを超えるアルキルまたはポリオキシアルキレン基で任意に置換されたシクロヘキシル基からなる群から選択され;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0027】
本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤の他の実施形態は、下記に示される一般構造で表わされる。
【化7】
【0028】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;A3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;および、
4は、アルキル、ポリオキシアルキレン、またはスルホネート部分、またはそれらの組み合わせからで任意に置換されたアリール基である。
【化8】
【0029】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;A3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;および、
1〜B5は、水素、メチル、およびスルホネート部分、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【化9】
【0030】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
Xは、連結基であり、酸素および硫黄からなる群から選択され;および、
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;および、A3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分である。
【化10】
【0031】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
4は、水素;アルキル、ポリオキシアルキレン、またはスルホネート部分、またはそれらの組み合わせで任意に置換されたアリール基;ポリオキシアルキレン、ヒドロキシル、アルコキシル、カルボン酸またはエステル、スルホネート、または硫酸基で任意に置換されたアルキル基;および1またはこれを超えるアルキルまたはポリオキシアルキレン基で任意に置換されたシクロヘキシル基からなる群から選択され;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【化11】
【0032】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
1,R2,R3,R4,およびR5は、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から独立して選択され、ここで、Qは連結基であって、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N,アルキル、およびアルコキシからなる群から選択され、Eは、ポリマー鎖であって下記に示されるような一般式(VI)の構造に一致する末端基である;
【化12】
【0033】
ここでzは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択される末端基であり、ここで、R1,R2,R3,R4,R5の少なくとも1つはQ−Eである;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ成分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0034】
好ましくは、Qは酸素であり、Eはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドモノマーから選択されるポリオキシアルキレン部分であり、zは1である。
【化13】
【0035】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
1,R2,R3,R4,およびR5は、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から独立して選択され、ここでQは、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N,アルキル、およびアルコキシからなる群から選択される連結基であり、Eは、ポリマー鎖であり以下に示すような一般式(VI)の構造に一致する末端基である;
【化14】
【0036】
ここでzは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択され、ここで、R1,R2,R3,R4,R5の少なくとも1つはQ−Eである;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0037】
好ましくは、Qは酸素であり、Eはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドモノマーから選択されるポリオキシアルキレン部分であり、zは1である。
【化15】
【0038】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、C1〜C20アルキル、フェニルまたは置換フェニル、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールまたはY−A3でさらに置換されたアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分であり、ここで、アリール基はフェニレンおよび置換フェニレン部分から選択される;
Yは、連結基であって、酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される
3は、ヒドロキシル基またはアルキル基またはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
1〜D5は、同一または異なり、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から選択され、ここでQは、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N,アルキル、およびアルコキシからなる群から選択される連結基であり、Eは、ポリマー鎖であり以下に示すような一般式(VI)の構造に一致する末端基である;
【化16】
【0039】
ここでzは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択され、ここで、D1,D2,D3,D4,D5の少なくとも1つはQ−Eである;および
ここで、A5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0040】
好ましくは、Qは酸素であり、Eはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドモノマーから選択されるポリオキシアルキレン部分であり、zは1である。
【0041】
本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、ここに説明する手順にしたがって一般に合成される。しかしながら、反応の速度は、例えば、温度、特定の原材料、および用いられる攪拌速度によって影響を受けるかもしれない。反応の進行は、可視光分析法、薄層クロマトグラフィー(TLC)、および/または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってモニターすることができる。
【0042】
本発明の着色剤の合成は、以下の方法により説明されるようにいくつかの経路によって達成することができる。以下の4つの方法は全て、求核試薬によるアントラキノン部分の2位における脱離基の置換を共通して有する。所望される色を生み出すために、アントラキノン部分の4位において置換されたアミノ基を有する必要がある。これは、方法1におけるように適切なアリールアミンと、または方法2におけるようにポリオキシアルキレン置換されたアリールアミンと、または方法3および4におけるように予備処方された4−アミノ基とともにアントラキノンを用いて、ブロムアミン酸を反応させることによって達成することができる。
【0043】
ここで述べられるように、高分子アルコールは、本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤を製造するために用いることができる。高分子アルコール化合物は、1またはこれを超える水酸基を有する任意のポリマーを含み、これは、適切なアントラキノン化合物と反応して本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤を製造するために用いることができる。高分子アルコールは、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールモノエステル、ポリプロピレングリコールおよびそのモノエステルおよびモノエーテル、星状または多腕のポリ(エチレンオキサイド)、エチレングリコールとプロピレングリコール、ポリグリシドール、ポリグリシジルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアクリレートとのコポリマー、およびポリメチルアクリレートホモポリマー、または、水酸基、ヒドロキシル終端されたポリブタジエン、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシル終端されたポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル終端されたポリアミンに似たエトキシ化ポリエチレンイミン、ポリエチレンモノアルコール、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびポリテトラヒドロフランとの共重合体を含むがそれらに限定されない。好ましくは、高分子アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリシジルエーテルを繰り返し単位として有するポリマーである。
高分子アルコールの市販されている例は、トマドール(Tomadol)(登録商標)45〜13,トマドール(Tomadol)(登録商標)25〜7,トマドール(Tomadol)(登録商標)1−9,トマドール(Tomadol)登録商標23〜5,トマドール(Tomadol)(登録商標)91〜6、およびトマドール(Tomadol)(登録商標)45〜7を含むエアープロダクツ(Air Products)からのアルコールエトキシレート;カルボワックス(Carbowax)(登録商標)PEG200,カルボワックス(Carbowax)(登録商標)PEG300、およびカルボワックス(Carbowax)(登録商標)PEG400を含むダウ(Dow)からのポリエチレングリコール;ポリオール(Polyol)3165,ポリオール(Polyol)4800,ポリオール(Polyol)R2490、およびポリオール(Polyol)R6405を含むパーストープ(Perstorp)からのアルコキシ化ポリオールを含む。
【0044】
高分子フェノールは、フェノールまたは置換フェノール部分を末端基として有する任意のポリマーに一般的に及ぶ。そのようなポリマーの一般的な構造は、O−Ph−R’であり、ここでR’はポリマー鎖であり、Phはベンゼン環または置換ベンゼン環である。メルカプタン終端されたポリマーは、末端基として−SHを有する任意のポリマーに一般的に及ぶ。
【0045】
<方法1>
本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤を製造する1つの方法は、二段階反応を含む。第1段階は、金属銅、酸化第二銅(Cu(II)、または酸化第一銅(Cu(I))のイオンによる触媒作用によってブロムアミドを、ポリオキシアルキレン置換された一級芳香族または脂肪族アミンと反応させることからなり、これはウルマン縮合反応としても知られ、“March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure” by Michael B. Smith and Jerry March, 5th Edition, 2001の501〜502にさらに記載されている。この文献は本明細書の一部として援用される。得られるアントラキノン中間体は、1−アミノ−4−アリールアミノ−2−アントラキノンスルホン酸である。
第2段階は、1−アミノ−4−アリールアミノ−2−アントラキノンスルホン酸を、アルコール、高分子アルコール、チオール、または高分子チオールと、および塩基と反応させることからなり、これはスルホン酸基の置換を引き起こして、2−アルコキシ誘導体、バイオレット発色団をもたらす。この反応は、以下に示される:
【化17】
【0046】
この方法で用いられるポリオキシアルキレン置換された一級芳香族アミンは、一般化学構造(VII)で表わすことができる:
【化18】
【0047】
ここで、R1,R2,R3,R4,R5は、同一または異なり、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボキシアミド、スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホン酸エステルからなる群から選択される。
【0048】
この方法の第1段階は、ポリオキシアルキレン置換された一級芳香族または脂肪族アミンとのブロムアミン酸の反応であり、典型的に上述したような銅触媒を用いる。この触媒の例は、CuCl,CuCl2,Cu粉、またはCuSO4を含む。溶媒、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、またはグリセロール)、ジメチルスルホアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、任意に使用することができる。穏やかな塩基、例えば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどを用いてもよい。典型的な反応温度は、60℃から150℃の間である。
【0049】
この方法の第2段階は、1−アミノ−4−アリールアミノ−2−アントラキノンスルホン酸と、OHまたはSH終端ポリマーとを、塩基とともに任意の溶媒と一緒に反応容器内で50℃から250℃に加熱することからなる。好ましくは、反応温度は50℃から150℃の間である。より好ましくは、反応温度は70℃から120℃である。強塩基は、この反応に典型的に必要とされる。水酸化アルカリ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムを用いることができる。アルカリアルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムブトキシド、またはカリウムイソプロポキシドもまた、用いることができる。他の有用な塩基は、水酸化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ度(TMAH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH)、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムトリメチルシラノレートを含むがそれに限定されない。この反応のための溶媒は、水、アルコール、エーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルミアミド(DMF)などを含む。溶媒の使用は任意である。溶媒は、反応物/生成物の溶解を助ける、または反応混合物の粘度を低減することができる。
【0050】
<方法2>
高分子バイオレットアントラキノン着色剤を製造するもう1つの方法は、ポリオキシアルキレン置換された一級芳香族または脂肪族アミンをブロムアミン酸と反応させ、次いで、得られたアントラキノン中間体を、アルコールまたはグリコール化合物および塩基で処理することを含む。この反応は、以下に示される:
【化19】
【0051】
ポリオキシアルキレン鎖を有するポリオキシアルキレン置換された一級芳香族アミンは、米国特許6,593,482号に記載されているように、以下のように示される:
【化20】
【0052】
ここで、R1,R2,R3,R4,R5は、同一または異なり、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から選択され、ここでQは、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N、アルキル、およびアルコキシからなる群から選択される連結基であり、Eはポリマー鎖であり以下に示すような一般構造式(IX)の構造に一致する末端基である:
【化21】
【0053】
ここでzは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択され、ここで、R1,R2,R3,R4,R5の少なくとも1つはQ−Eである。
【0054】
好ましくは、Qは酸素であり、Eはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの組み合わせであり、zは1である。
【0055】
アントラキノンにおけるスルホン酸部分を置換するために第2段階で用いられるアルコール反応物質は、例えば、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリオール、ポリオールのモノエーテルなどである。フェノールまたは置換フェノールもまた、用いることができる。用いられる塩基および反応条件は、方法1において述べたものと同様である。
<方法3>
2位にスルホン酸部分を有するアントラキノン酸青色化合物、例えばAcid Blue 145のような1−アミノ−4−アリールアミノ−2−アントラキノンスルホン酸またはモノナトリウム塩を、下記反応に示すように高分子アルコールおよび塩基化合物で直接処理することができる:
【化22】
【0056】
反応条件は、方法1の段階2において説明したものである。
【0057】
本発明の高分子バイオレット着色剤の製造のために用いることができる適切な酸性青色染料の例は、カラーインデックスアシッドブルー(Acid Blue)23,アシッドブルー(Acid Blue)25,アシッドブルー(Acid Blue)41,アシッドブルー(Acid Blue)53,アシッドブルー(Acid Blue)62,アシッドブルー(Acid Blue)68,アシッドブルー(Acid Blue)69,アシッドブルー(Acid Blue)111,アシッドブルー(Acid Blue)124,アシッドブルー(Acid Blue)127,アシッドブルー(Acid Blue)129,アシッドブルー(Acid Blue)138,アシッドブルー(Acid Blue)150,アシッドブルー(Acid Blue)230,アシッドブルー(Acid Blue)277,およびアシッドブルー(Acid Blue)344を含む。また、アントラキノン主鎖のβ位に−SO3H部分が存在する場合には、本発明の高分子バイオレット着色剤を製造するために反応性青色染料を用いてもよい。以下は、そのような適切な反応性青色染料の例である:Reactive Blue 2, Reactive Blue 4,Reactive Blue 5,Reactive Blue 19,Reactive Blue 27,Reactive Blue 29,Reactive Blue 36,Reactive Blue 49,Reactive Blue 50,Reactive Blue 69,Reactive Blue 74,Reactive Blue 94,およびReactive Blue 166。
【0058】
<方法4>
本発明の高分子アントラキノンを製造するために、1−アミノ−4−アリールアミノ−2−ハロアントラキノンを用いることもできる。この場合においては、アントラキノンの2位は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素のようなハロゲンによって置換される。好ましくは、ハロゲンは塩素または臭素である。化合物、1−アミノ−4−アリールアミノ−2−ハロアントラキノンは、非水媒体中、約80℃から約200℃の温度範囲で、高分子アルカリ金属アルコキシドまたはフェノキシドと反応させて、式IVで示される生成物を得る。そのようなハロゲン置換されたアントラキノン着色剤の例は、酸性青色染料、ディスパースブルー染料、およびソルベントブルー染料を含む。そのような染料の具体例は、Acid Blue 78,Acid Blue 81,Acid Blue 96,Disperse Blue 56,Disperse Blue 81,およびSolvent Blue 12を含む。
【0059】
さらに、一般構造(X)を有するバイオレット高分子アントラキノン着色剤は、ここに説明する方法の1またはこれ以上にしたがって製造することができる:
【化23】
【0060】
ここで、Aは、NH2,OHまたは水素からなる群から選択され、Xは、O,S,CH2,OPh、またはOPhO基からなる群から選択され、Eは一般式に一致する:
【化24】
【0061】
ここで、zは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2-20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはその混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;および
ここで、R’は、水素、C1〜20アルキル,C1〜20アルキルエステル,ハロ,ヒドロキシル,チオ,シアノ,スルホニル,スルホ,スルファト,アリール,ニトロ,カルボキシル,C1〜20アルコキシ,アミノ,C1〜20アルキルアミノ,アクリルアミノ,C1〜20アルキルチオ,C1〜20アルキルスルホニル,C1〜20アルキルフェニル,ホスホニル,C1〜20アルキルホスホニル,C1〜20アルコキシカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択される末端基である。
【0062】
ここに述べられた方法の1またはそれ以上にしたがって製造されるバイオレット高分子アントラキノン着色剤の例は、以下に示され、一般構造(XI),(XII)、または(XIII)を有する:
【化25】
【化26】
【化27】
【0063】
ここで、平均n=3〜30;および
ここで、R’は、水素、C1〜20アルキル,C1〜20アルキルエステル,ハロ,ヒドロキシル,チオ,シアノ,スルホニル,スルホ,スルファト,アリール,ニトロ,カルボキシル,C1〜20アルコキシ,アミノ,C1〜20アルキルアミノ,アクリルアミノ,C1〜20アルキルチオ,C1〜20アルキルスルホニル,C1〜20アルキルフェニル,ホスホニル,C1〜20アルキルホスホニル,C1〜20アルコキシカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択される末端基である。
【0064】
一般に、本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、それらが加えられる対象の処方と優れた相溶性を有する。さらに、高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、意図される系と混和できるように適合させることができる。本発明の高分子アントラキノン着色剤は、優れた呈色、低い抽出、熱安定性、および対象の熱可塑性および/または熱硬化性物品内での耐光性を有する。バイオレット高分子着色剤は、処理が容易なポリ(オキシアルキレン)基を含み、これは、対象のプラスチックとよく混合し、対象の最終物品内に優れた着色を与える。
【0065】
ここに説明される本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、水を含有することが好ましい。より具体的には、着色剤は、所望される最終製品の応用のために十分な着色を与える濃度で水に溶解できることが好ましい。さらに、本発明の高分子バイオレット着色剤組成物は、全ての種類の基材、例えば、ヒトの皮膚、繊維基材、コートされた表面(例えば塗面)セラミック表面などにおいて、水で退色しやすい(すなわち、水で基質から洗える)ことが好ましい。また、本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、周囲条件において一般的に液体または半固体である。「半固体」は、着色剤が高い粘性の液体であることを一般的に意味し、すなわち、より適切に言えばペースト状とすることができ、仮に有しているとすれば、その融点は典型的に約60℃より低い。
【0066】
これらの方法にしたがって製造された高分子バイオレットアントラキノン着色剤には、いくつかの利点がある。まず、これらの着色剤は、一般的に他の着色剤よりも水に溶解性である。それらは、一般的にpH安定性で染みがなく(non-staining)であり、これは、粉石鹸および他の洗浄剤のような多くの消費者製品におけるその使用を許す。さらに、これらの着色剤は、他の材料と広い範囲の親和性を有する。これは、こうした他の材料中への着色剤の取り込みを容易にする。このように、高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、従来技術を超える有用な進歩を示す。
【0067】
さらに、本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、種々の消費者製品における使用のために望ましい多くの有利な特性を一般的に有する。着色剤は、一般的に優れた耐アルカリ性を有する。それらは、安定性の問題を有することなく、pHが約8から13の間のような典型的に高いpH処方の中で、典型的に用いることができる。そのようなpH範囲は、粉石鹸、強力液体洗剤、硬表面クリーナーなどにおいてしばしばみられる。さらに、これらの着色剤は、アントラキノン発色団の蛍光性に起因して、望ましい色の明度を示すことができる。そのようなものとして、これらのアントラキノン着色剤は、種々のパーソナルケア、ホームケア、および織物ケアの製品に着色するために用いることができる。例えば、着色剤は、棒状の着色石鹸、柔軟剤、車用洗剤、ガラスクリーナー、トイレ用洗剤、シャンプーなどに用いることができる。特定の洗濯せっけん処方(粒状および液体の両方)の例は、本発明のアントラキノンと併用するのに適切であり、同一出願人によるBruhnkeに付与された米国特許第5,770,552に記載されている。本発明のアントラキノンともに用いるのに適切な特定の柔軟剤処方の例は、Bruhnkeに付与された米国特許第5,770,557に開示されている。
【0068】
高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、例えば、強力工業用洗浄剤および洗剤および肥料のような工業用の処方においても用いることができる。さらに、本発明の着色剤は、熱可塑性材料(例えばポリオレフィンおよびポリエステル)および熱硬化性材料(例えばポリウレタンフォームなど)の着色における使用に申し分ないことが期待される。本発明のアントラキノンでの使用のために適切な特定の熱可塑性処方の例は、Baumgartnerらに付与された米国特許第4,640,690号;第4,732,570号;および第4,812,141号に開示されている。
【0069】
本発明のアントラキノンとの使用のために適切な特栄の熱可塑性処方の例は、同一出願人のCrossらに付与された米国特許第4,284,729号およびRekersらに付与された米国特許第4,846,846号に開示されている。一般的に、ポリウレタンフォームは、ポリオールとイソシアネートとの反応生成物の触媒重合によって製造することができる。重合工程において存在する発泡剤は、必要な泡形成能を典型的に与える。そのような反応は、ポリウレタン工業の至るところで知られており、何年にもわたって行なわれてきた。
【0070】
様々な色合いが、本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤を1またはこれを超えるさらなる水溶性着色剤と混合することによって得られることもまた、本発明の範囲内であると期待される。着色剤の混合は、実質的に同等の溶解特性を有する着色剤を混合する際、容易に達成することができる。着色剤のいくつかの典型的な種類は、リアクティント(Reactint(登録商標))およびリクティント(Liquitint(登録商標)着色剤(サウスカロライナ、スパータンバーグのミリケンケミカル(Milliken Chemical)から入手可能)を含む。これらの着色剤は、室温において一般的に水に溶解性または分散性であり、本発明のアントラキノン着色剤と適切に混合して、改善された色合いを達成することができる。

以下の例は、説明の目的のために与えられ、本発明の範囲を限定するようにみなされることは意図されない。
【0071】
全ての明度および吸収度値は、ベックマン(Beckman) DU650分光光度計を用いて測定した。一般的に、明度が高くなると着色剤は濃くなる。全ての値およびパーセンテージは、特に示されない限り、100パーセントソリッドに基づいて与えられる。
【0072】
例1
9.17グラムのAcid Blue、129, 2.4グラムの50%水酸化ナトリウム溶液、および30.0グラムのポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(分子量=550)を含有する混合物を調製した。混合物は、100℃で3時間加熱した。TLC分析を用いて、全てのAcid Blue 129が反応したことを確認した。その後、10mLの水を加え、塩酸で反応混合物をpH7に中和した。得られた生成物は、メタノール中で584nmの吸収極大を有する液体高分子バイオレットアントラキノン着色剤であった。得られた生成物の構造を以下に示す:
【化28】
【0073】
例2
50%水酸化ナトリウム溶液を3.0グラムのナトリウムtert−ブトキシド粉末に変更した以外は例1を繰り返した。例1に示したものと同様の名称、構造、および吸収値を有する液体高分子バイオレットアントラキノン着色剤が得られた。
【0074】
例3
8.3グラムのAcid Blue25、2.4グラムの50%水酸化ナトリウム水溶液、および30.0グラムのポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(分子量=550)を含有する混合物を調製した。混合物は、100℃で3時間加熱した。TLC分析を用いて、全てのAcid Blue 25が反応したことを確認した。その後、20mLの水を加え、塩酸で反応混合物をpH7に中和した。得られた生成物は、メタノール中で588nmの吸収極大を有する液体高分子バイオレットアントラキノン着色剤であった。得られた生成物の構造を以下に示す:
【化29】
【0075】
例4
524グラムのトマドール(Tomadol(登録商標)25−7(エアープロダクツ(Air Products)製)、36グラムのナトリウムtert−ブトキシド(ビーエーエスエフ(BASF)製)、および116グラムのAcid Blue 129の混合物を、反応フラスコ中で3時間攪拌しつつ、100℃に加熱した。TLC分析を用いて、全てのAcid Blue 129が反応したことを確認した。660グラムの反応混合物を採取した。反応混合物は、メタノール中で584nmの最大吸収を有する液体高分子バイオレットアントラキノン着色剤を含んでいた。
【化30】
【0076】
高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、次いで、0.3%の重量仕込みで、ワックスベースのろうそく処方に取り込んだ。着色されたろうそくは、優れた均一なバイオレットの色合いを示した。
【0077】
(参考例)
0.8グラムのNaOHペレット、7.5グラムのグリセロール15EO、および1.0グラムのAcid Blue 25の混合物を、攪拌機、温度プローブ、および凝縮器を備えた三口フラスコ内に仕込んだ。反応混合物は、110℃で2時間加熱した。TCL分析で、全てのAcid Blue25 が消費されたことを確認した。反応混合物は、メタノール中で572nmに最大吸収を有する液体バイオレット高分子アントラキノン着色剤を含んでいた。
【化31】
【0078】
例6
13.7グラムのアニリンPEG 10EO、8.1グラムのブロムアミン酸ナトリウム塩、5.0グラムの重炭酸ナトリウム、0.1グラムの塩化第一銅を、攪拌機、温度プローブ、および凝縮器を備えた反応フラスコ内で50グラムの水に入れた。反応混合物は、加熱して還流し、一晩攪拌した。反応混合物は青色に変わった。メタノール溶液をろ過することによって、蒸発させて塩を除去した後、メタノール中で624nmに吸収極大を有する粗生成物が得られた。
【0079】
上で得られた4.0グラムの生成物を、30グラムのメタノールおよび10グラムの50%苛性溶液と混合した。混合物は、78℃で3時間加熱し、液体高分子バイオレットアントラキノン着色剤が得られた。着色剤は、メタノール中で587nmの最大吸収を示した。この反応およびこうして得られた構造を以下に示す:
【化32】
【0080】
例7
4.0グラムのPEG200、4.2グラムのAcid Blue 25、および20グラムの50%苛性を、凝縮器、温度コントローラー、温度計、および攪拌機を備えた三口反応フラスコ内に入れた。混合物は、100℃で2時間加熱した。TLC分析を用いて、青色着色剤がもはや存在しないことを確認した。反応混合物は、その後、10%硫酸溶液で中和した。反応混合物は、水中で569nmに最大吸収を示す液体高分子バイオレットアントラキノン着色剤を含有していた。液体高分子バイオレットアントラキノン着色剤は、以下の構造を有していた:
【化33】
【0081】
試験1:例1のpH安定性
この試験は、例1の高分子バイオレットアントラキノン着色剤のpH安定性を説明するために与えられる。
【0082】
例1からの高分子バイオレット着色剤100ppmを、種々のpHバッファー溶液に加えた。着色されたバッファー溶液は、50℃のオーブン内に10日間収容し、分光計グレタッグマクベス(GretagMacbeth)(登録商標)カラーアイ(Color−Eye)7000A分光高度計を用いて、最終着色溶液の色合いを初期溶液と比較した。試験結果を表1にまとめる。
【表1】
【0083】
試験結果は、本発明の高分子バイオレットアントラキノン着色剤が優れたpH安定性を呈することを示す。
【0084】
試験2:例6のpH安定性
この試験は、例6の高分子バイオレットアントラキノン着色剤のpH安定性を説明するために与えられる。
【0085】
着色剤を2週間後および4週間後に評価した以外は、例6の高分子アントラキノンバイオレット着色剤の試験のために試験1で用いたものと同様の手順を追った。試験結果を表2にまとめる。
【表2】
【0086】
試験3:例1のステイン試験
この試験は、例1の高分子バイオレットアントラキノン着色剤の非ステイニング特性を説明するために与えられる。
【0087】
例1の高分子バイオレットアントラキノン着色剤30ppmを、標準液体洗濯洗剤に加えた。例1の高分子バイオレットアントラキノン着色剤127ppmを、柔軟剤処方に加えた。それぞれの着色剤含有処方は、異なる繊維タイプからなるいくつかの異なる織物の上への染みについて評価した。ステイン評価は、AATCC Grey Scale No.2“Grey Scale For Staining”のための評価システムにしたがって、目視観察により行なった。 “5”の評価は、染みが全く観測されないことを示す。 “1”の評価は、高い程度の染みが存在することを示す。
【0088】
試験結果を表3にまとめる。
【表3】
【0089】
本発明へのこれらのおよび他の修正および変更は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに当業者が行なうことができる。さらに、当業者は、上述の説明が例示のためのみであり、添付された請求項に示される発明の範囲を制限することが意図されないことを理解するであろう。
以下に、本願出願の当初の請求の範囲に記載された発明の一部を付記する。
[1]
構造(I)により表わされる化合物を含有する高分子バイオレットアントラキノン着色剤。
【化34】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
Xは、連結基であり、酸素および硫黄からなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
4は、水素;アルキル、ポリオキシアルキレン、またはスルホネート部分、またはそれらの組み合わせで任意に置換されたアリール基;ポリオキシアルキレン、ヒドロキシル、アルコキシル、カルボン酸またはエステル、スルホネート、または硫酸基で任意に置換されたアルキル基;および1またはこれを超えるアルキルまたはポリオキシアルキレン基で任意に置換されたシクロヘキシル基からなる群から選択され;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
[2]
[1]に記載の着色剤であって、構造(II)により表わされる化合物を含有する着色剤。
【化35】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;A3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;および、
4は、アルキル、ポリオキシアルキレン、またはスルホネート部分、またはそれらの組み合わせからで任意に置換されたアリール基である。
[3]
[2]に記載の着色剤であって、構造(II−A)により表わされる化合物を含有する着色剤。
【化36】
ここで、
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;A3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;および、
1〜B5は、水素、メチル、およびスルホネート部分、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
[4]
[3]に記載の着色剤であって、構造(III)により表わされる化合物を含有する着色剤。
【化37】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
Xは、連結基であり、酸素および硫黄からなる群から選択され;および、
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;および、A3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分である。
[5]
構造(IV)により表わされる化合物を含有する高分子バイオレットアントラキノン着色剤。
【化38】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
4は、水素;アルキル、ポリオキシアルキレン、またはスルホネート部分、またはそれらの組み合わせで任意に置換されたアリール基;ポリオキシアルキレン、ヒドロキシル、アルコキシル、カルボン酸またはエステル、スルホネート、または硫酸基で任意に置換されたアルキル基;および1またはこれを超えるアルキルまたはポリオキシアルキレン基で任意に置換されたシクロヘキシル基からなる群から選択され;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ部分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
[6]
[5]に記載の着色剤であって、構造(IV−A)により表わされる化合物を含有する着色剤。
【化39】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;3を超える繰り返し単位を有し、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン部分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン部分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン部分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン部分であり;
1,R2,R3,R4,およびR5は、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から独立して選択され、ここで、Qは連結基であって、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N,アルキル、およびアルコキシからなる群から選択され、Eは、ポリマー鎖であって下記に示されるような一般式(VI)の構造に一致する末端基である;
【化40】
ここで、zは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択される末端基であり、ここで、R1,R2,R3,R4,R5の少なくとも1つはQ−Eである;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ成分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
[7]
[6]に記載の着色剤であって、Qは酸素であり、Eはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドモノマーからなるポリオキシアルキレン成分であり、zは1である着色剤。
[8]
構造(IV−B)により表わされる化合物を含有する高分子バイオレットアントラキノン着色剤。
【化41】
ここで
1は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、ポリオキシアルキレン、およびアリールからなる群から選択され;
2は、ポリマー鎖を有しないアルキルまたはアリール;ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリールで終端されたポリオキシアルキレン成分またはアリールが連結したポリオキシアルキレン成分;およびY−A3でさらに置換されたアリール基からなる群から選択され、ここでアリール基はフェニレンまたは置換フェニレン成分からなる群から選択され、Yは連結基であって酸素、窒素、スルホニル、スルホンアミド、およびカルボキシルからなる群から選択される;
3は、ヒドロキシルまたはアルキルまたはアリール基で終端されたポリオキシアルキレン成分であり;
1,R2,R3,R4,およびR5は、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から独立して選択され、ここで、Qは連結基であって、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N,アルキル、およびアルコキシからなる群から選択され、Eはポリマー鎖であって以下に示されるような一般式(VI)の構造に一致する末端基である;
【化42】
ここで、zは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択される末端基であり、ここで、R1,R2,R3,R4,R5の少なくとも1つはQ−Eである;および
5〜A8は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ成分およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
[9]
[8]に記載の着色剤であって、Qは酸素であり、Eはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドモノマーからなるポリオキシアルキレン成分であり、zは1である着色剤。
[10]
[1]の高分子バイオレットアントラキノン着色剤の製造方法であって、
(a)ブロムアミン酸を、ポリオキシアルキレン置換された一級芳香族または脂肪族アミンと反応させて、アントラキノン中間体を形成する工程、および
(b)工程“a”のアントラキノンを、アルコール、高分子アルコール、チオール、または高分子チオールと、および塩基と反応させて、高分子バイオレットアントラキノン着色剤を形成する工程
の逐次工程を具備する方法。
[11]
[10]に記載の方法であって、前記ポリオキシアルキレン置換された一級芳香族アミンは、一般構造(VII)で表わされる方法。
【化43】
ここで、R1,R2,R3,R4,R5は、同一または異なり、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボキシアミド、スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホン酸エステルからなる群から選択される。
[12]
[10]に記載の方法であって、前記ポリオキシアルキレン置換された一級芳香族アミンは、一般構造(VIII)で表わされる方法。
【化44】
1,R2,R3,R4,R5は、同一または異なり、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、およびQ−Eからなる群から選択され、ここで、Qは連結基であって、N,O,S,SO2,SO3,CO2,SO2N,アルキル、およびアルコキシからなる群から選択され、Eは、ポリマー鎖であって以下に示されるような一般構造式(IX)の構造に一致する末端基である;
【化45】
ここでzは1または2であり;
ここで、ポリオキシアルキレン成分は、C2〜20アルキレンオキシ基、グリシドール基、グリシジル基、またはそれらの混合物から選択される1またはこれを超えるモノマーからなる群から選択され;
ここで、R'は、水素、C1〜20アルキル、C1〜20アルキルエステル、ハロ、ヒドロキシル、チオ、シアノ、スルホニル、スルホ、スルファト、アリール、ニトロ、カルボキシル、C1〜20アルコキシ、アミノ、C1〜20アルキルアミノ、アクリルアミノ、C1〜20アルキルチオ、C1〜20アルキルスルホニル、C1〜20アルキルフェニル、ホスホニル、C1〜20アルキルホスホニル、C1〜20アルキルカルボニル、およびフェニルチオからなる群から選択される末端基であり、ここで、R1,R2,R3,R4,R5の少なくとも1つはQ−Eである。
[13]
[12]に記載の方法であって、Qは酸素であり、Eはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの組み合わせであり、zは1である方法。
[14]
[10]に記載の方法であって、工程“a”は、銅含有触媒の存在下で行なわれる方法。
[15]
[14]に記載の方法であって、前記銅含有触媒は、CuCl,CuCl2,銅粉,およびCuSO4からなる群から選択される方法。
[16]
[10]に記載の方法であって、工程“a”の反応は溶媒をさらに含む方法。
[17]
[16]に記載の方法であって、前記溶媒は、アルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される方法。
[18]
[10]に記載の方法であって、工程“a”の反応はさらに塩基を含む方法。
[19]
[10]に記載の方法であって、工程“a”は60℃から150℃の間の温度で行なわれる方法。
[20]
[10]に記載の方法であって、工程“b”の反応はさらに溶媒を含む方法。
[21]
[20]に記載の方法であって、前記溶媒は、水、アルコール、エーテル、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびジメチルホルムアミド(DMF)からなる群から選択される方法。
[22]
[10]に記載の方法であって、工程“b”の前記塩基は、アルカリ性水酸化物、アルカリアルコキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(BTMAH)、リチウムジイソプロピルアミド、およびナトリウムトリメチルシラノレートからなる群から選択される方法。
[23]
[10]に記載の方法であって、工程“b”は50℃から250℃の間の温度で行なわれる方法。
[24]
[1]の高分子バイオレットアントラキノン着色剤の製造方法であって、
(a)“2”位にスルホン酸成分を有するアントラキノン酸青色化合物を与える工程、
(b)工程“a”のアントラキノン酸青色化合物を、高分子アルコールおよび塩基と反応させて高分子バイオレットアントラキノン着色剤を形成する工程
の逐次工程を具備する方法。
[25]
[1]の高分子バイオレットアントラキノン着色剤の製造方法であって、
(a)“2”位にハロゲンを有する1−アミノ−4−アリールアミノ−2−ハロアントラキノンを与える工程、および
(b)工程“a”のハロアントラキノン化合物を、高分子アルカリ金属アルコキシドまたはフェノキシドと反応させて、高分子バイオレットアントラキノン着色剤を形成する工程
の逐次工程を具備する方法。
[26]
[25]に記載の方法であって、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群から選択される方法。
[27]
高分子バイオレットアントラキノン着色剤の製造方法であって、
(a)ブロムアミン酸を、銅含有触媒化合物の存在下、ポリオキシアルキレン置換された一級芳香族または脂肪族アミンと反応させて、1−アミノ−4−アリールアミノ−2−アントラキノンスルホン酸を形成する工程、および
(b)工程“a”のアントラキノンを、アルコール、高分子アルコール、チオール、または高分子チオールと、および塩基と反応させて、1−アミノ−2−ポリアルキレンオキシ−4−アリールアミノアントラキノン、メチルエーテルを形成する工程
の逐次工程を具備する方法。
[28]
[27]に記載の方法であって、前記ポリオキシアルキレン置換された前記一級芳香族アミンは、一般構造(VII)で表わされる方法。
【化46】
ここで、R1,R2,R3,R4,R5は、同一または異なり、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボキシアミド、スルホン酸、スルホンアミドおよびスルホン酸エステルからなる群から選択される。