特許第5852014号(P5852014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5852014-硬化性エポキシ樹脂組成物 図000021
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852014
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】硬化性エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/24 20060101AFI20160114BHJP
   C08G 59/26 20060101ALI20160114BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20160114BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20160114BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20160114BHJP
【FI】
   C08G59/24
   C08G59/26
   H01L23/30 F
   H01L33/00 424
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-551830(P2012-551830)
(86)(22)【出願日】2011年12月21日
(86)【国際出願番号】JP2011079691
(87)【国際公開番号】WO2012093591
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2011-2457(P2011-2457)
(32)【優先日】2011年1月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100101362
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 幸久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 弘世
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−277591(JP,A)
【文献】 特開2002−003582(JP,A)
【文献】 特開2004−131553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08G 59
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
【化1】
[式中、R1及びR2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す]
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、脂環式ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)と、硬化促進剤(E)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物であって、脂環式エポキシ化合物(A)が、
(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する化合物、及び
(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物
からなる群から選ばれる、硬化性エポキシ樹脂組成物
【請求項2】
脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
【化2】
[式中、R1及びR2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す]
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、脂環式ポリエステル樹脂(C)と、硬化触媒(F)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
以下の方法で算出される光度保持率が90%以上である、請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
{光度保持率(%)}={100時間後の全光束(lm)}/{0時間の全光束(lm)}×100
前記「100時間後の全光束」とは、85℃の恒温槽内で100時間、光半導体装置に60mAの電流を流した後の光半導体装置の全光束(lm)を指し、「0時間の全光束」とは、電流を流す直前の光半導体装置の全光束(lm)を指し、
前記光半導体装置とは、前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、120℃のオーブンで5時間加熱して得られた光半導体装置を指す。
【請求項4】
前記脂環式エポキシ化合物(A)の脂環エポキシ基がシクロヘキセンオキシド基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記脂環式エポキシ化合物(A)が下記式(I−1)
【化3】
で表される化合物である、請求項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
脂環式ポリエステル樹脂(C)が、主鎖に脂環を有する脂環式ポリエステルである請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、ゴム粒子を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物硬化物。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物からなる光半導体封止用樹脂組成物。
【請求項10】
請求項に記載の光半導体封止用樹脂組成物で光半導体素子を封止した光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性エポキシ樹脂組成物、該硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、該硬化性エポキシ樹脂組成物からなる光半導体封止用樹脂組成物、ならびに該光半導体封止用樹脂組成物を使用して光半導体素子を封止した光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光半導体装置の高出力化が進んでおり、光半導体装置に用いられる樹脂には高い耐熱性及び耐光性が求められている。例えば、青色・白色光半導体用の封止材(封止樹脂)においては、光半導体素子から発せられる光及び熱による封止樹脂の黄変が問題となっている。黄変した封止樹脂は、光半導体素子から発せられた光を吸収するため、光半導体装置から出力される光の光度が経時で低下してしまう。
【0003】
これまで、耐熱性が高い封止樹脂として、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートとビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む組成物が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、上記組成物を高出力の青色・白色光半導体用の封止樹脂として用いると、光半導体素子から発せられる光及び熱によって着色が進行し、本来出力されるべき光が吸収されてしまい、その結果、光半導体装置から出力される光の光度が経時で低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−344867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い耐熱性及び耐光性を有し、黄変しにくい封止樹脂として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの付加物、1,2,8,9−ジエポキシリモネンなどの脂環骨格を有する液状の脂環式エポキシ樹脂が知られている。しかし、これらの脂環式エポキシ樹脂の硬化物は各種応力に弱く、冷熱サイクル(加熱と冷却を繰り返すこと)のような熱衝撃が加えられた場合に、クラック(ひび割れ)が生じる等の問題を有していた。
【0006】
このため、光半導体装置(特に、高出力、高輝度の光半導体素子を備えた光半導体装置)から出力される光の経時での光度低下を抑制できる、高い耐熱性、耐光性、及び耐クラック性を兼ね備えた透明な封止樹脂が求められているのが現状である。
【0007】
従って、本発明の目的は、高い透明性、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性を兼ね備えた硬化物を与える硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化してなる、高い透明性、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性を兼ね備えた硬化物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、経時での光度低下が抑制された光半導体装置が得られる、上記硬化性エポキシ樹脂組成物からなる光半導体封止用樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記光半導体封止用樹脂組成物を用いて光半導体素子を封止することにより得られる、高い耐熱性、耐光性、透明性、及び耐クラック性を兼ね備えた硬化物により封止され、経時での光度低下が抑制された光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、脂環式エポキシ化合物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物、及び脂環式ポリエステル樹脂を必須成分として含み、さらに硬化剤及び硬化促進剤、若しくは硬化触媒を含む硬化性エポキシ樹脂組成物が、優れた耐熱性、耐光性、透明性、耐クラック性を兼ね備えた硬化物を与え、該硬化物にて光半導体素子を封止した光半導体装置は、経時で光度が低下しにくいことを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
【化1】
[式中、R1及びR2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す]
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、脂環式ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)と、硬化促進剤(E)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
【化2】
[式中、R1及びR2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す]
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、脂環式ポリエステル樹脂(C)と、硬化触媒(F)とを含むことを特徴とする硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0011】
さらに、前記脂環式エポキシ化合物(A)の脂環エポキシ基がシクロヘキセンオキシド基である前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0012】
さらに、前記脂環式エポキシ化合物(A)が下記式(I−1)
【化3】
で表される化合物である前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0013】
さらに、脂環式ポリエステル樹脂(C)が、主鎖に脂環を有する脂環式ポリエステルである前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0014】
さらに、ゴム粒子を含む前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記の硬化性エポキシ樹脂組成物からなる光半導体封止用樹脂組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記の光半導体封止用樹脂組成物で光半導体素子を封止した光半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は上記構成を有するため、該樹脂組成物を硬化させることにより、高い透明性、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性を兼ね備えた硬化物を得ることができる。また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて光半導体素子を封止した光半導体装置は、経時で光度が低下しにくく、優れた品質及び耐久性を発揮できる。特に、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、高出力、高輝度の光半導体素子を備えた光半導体装置の封止用樹脂として用いた場合であっても、経時での光度低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物で素子(光半導体素子)を封止した光半導体装置の一実施形態を示す概略図である。左側の図(a)は斜視図であり、右側の図(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<硬化性エポキシ樹脂組成物>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)と、下記式(1)
【化4】
[式(1)中、R1及びR2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す]
で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、脂環式ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)と、硬化促進剤(E)とを含む。また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)と、上記式(1)で表されるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、脂環式ポリエステル樹脂(C)と、硬化触媒(F)とを含む。
【0021】
<脂環式エポキシ化合物(A)>
本発明で用いられる脂環式エポキシ化合物(A)には、(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する化合物、及び(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物が含まれる。
【0022】
(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。上記脂環エポキシ基としては、シクロヘキセンオキシド基が好ましい。
【0023】
(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する化合物としては、特に、透明性、耐熱性の点で下記式(I)で表される脂環式エポキシ樹脂(脂環式エポキシ化合物)が望ましい。
【化5】
式(I)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
【0024】
式(I)中のXが単結合である脂環式エポキシ樹脂としては、下記式で表される化合物が挙げられる。このような脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、セロキサイド8000((株)ダイセル製)などの市販品を用いることもできる。
【化6】
【0025】
上記2価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、シクロペンチリデン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、シクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)などが挙げられる。
【0026】
上記連結基Xとしては、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−,−O−CO−O−,−COO−,−O−,−CONH−;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基などが挙げられる。2価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
【0027】
上記式(I)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、下記式(I−1)〜(I−8)で表される化合物などが挙げられる。例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081((株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。なお、下記式(I−1)〜(I−8)中、l、mは、1〜30の整数を表す。Rは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、s−ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が挙げられる。これらのなかでも、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が好ましい。
【0028】
【化7】
【0029】
(ii)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
【0030】
【化8】
式(II)中、R'はp価のアルコールからp個の−OHを除した基であり、p、nは自然数を表す。p価のアルコール[R'−(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコールなど(炭素数1〜15のアルコール等)が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(丸括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、EHPE 3150((株)ダイセル製)などが挙げられる。
【0031】
これらの脂環式エポキシ化合物(A)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。脂環式エポキシ化合物(A)としては、上記式(I−1)で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、セロキサイド2021Pが特に好ましい。
【0032】
脂環式エポキシ化合物(A)の使用量(含有量)は、特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A)とモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)との総量(100重量%)に対して、50〜90重量%が好ましく、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。脂環式エポキシ化合物(A)の使用量が50重量%未満では、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の溶解性が十分でなく、室温に置くと析出しやすくなる場合がある。一方、脂環式エポキシ化合物(A)の使用量が90重量%を超えると、光半導体装置を作成したときにクラックが入りやすくなる場合がある。成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の総量(100重量%)における、脂環式エポキシ化合物(A)とモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の含有量の総和(総量)は、特に限定されないが、70〜90重量%が好ましい。
【0033】
<モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)>
本発明で用いられるモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、下記の一般式(1)で表すことができる。
【0034】
【化9】
上記式(1)中、R1及びR2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。
【0035】
炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。中でも、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましい。上記式(1)中のR1及びR2は、水素原子であることが特に好ましい。
【0036】
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の代表的な例としては、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。なお、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、上記脂環式エポキシ化合物(A)に溶解する範囲で任意に混合でき、脂環式エポキシ化合物(A)とモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の割合は特に限定されないが、脂環式エポキシ化合物(A):モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)が50:50〜90:10(重量比)であることが好ましい。この範囲外では、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)の溶解性が得られにくくなる。
【0038】
モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)は、アルコールや酸無水物など、エポキシ基と反応する化合物を加えてあらかじめ変性して用いても良い。
【0039】
エポキシ樹脂(エポキシ基を有する化合物)の総量(100重量%)に対する、脂環式エポキシ化合物(A)とモノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)との総量は、特に限定されないが、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性向上の観点で、70重量%以上が好ましく、80重量%以上が特に好ましい。
【0040】
<脂環式ポリエステル樹脂(C)>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における脂環式ポリエステル樹脂(C)は、硬化物の耐熱性、耐光性を向上させ、光半導体装置の光度低下を抑制する役割を担う。上記脂環式ポリエステル樹脂(C)は、脂環構造(脂肪族環構造)を有するポリエステル樹脂である。特に、硬化物の耐熱性、耐光性、耐クラック性向上の観点で、上記脂環式ポリエステル樹脂(C)は、主鎖に脂環(脂環構造)を有する脂環式ポリエステルであることが好ましい。
【0041】
脂環式ポリエステル樹脂(C)における脂環構造としては、特に限定されないが、例えば、単環炭化水素構造や橋かけ環炭化水素構造(例えば、二環系炭化水素等)などが挙げられ、特に、脂環が全て炭素−炭素単結合により構成された、飽和単環炭化水素構造や飽和橋かけ環炭化水素構造が好ましい。また、上記脂環式ポリエステル樹脂(C)における脂環構造は、ジカルボン酸由来の構成単位とジオール由来の構成単位のいずれか一方にのみに導入されていてもよいし、両方共に導入されていてもよく、特に限定されない。
【0042】
脂環式ポリエステル樹脂(C)は、脂環構造を有するモノマー成分由来の構成単位を有している。上記脂環構造を有するモノマーとしては、公知乃至慣用の脂環構造を有するジオールやジカルボン酸が挙げられ、特に限定されないが、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ハイミック酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸などの脂環構造を有するジカルボン酸(酸無水物等の誘導体も含む)等;1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロペンタンジメタノール、1,3−シクロペンタンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン等の5員環ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の6員環ジオール、水素添加ビスフェノールAなどの脂環構造を有するジオール(これらの誘導体も含む)等が挙げられる。
【0043】
脂環式ポリエステル樹脂(C)は、脂環構造を有しないモノマー成分に由来する構成単位を有していてもよい。上記脂環構造を有しないモノマー成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸(酸無水物等の誘導体も含む);アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸(酸無水物等の誘導体も含む);エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、キシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などのジオール(これらの誘導体も含む)等が挙げられる。なお、上記の脂環構造を有しないジカルボン酸やジオールに適宜な置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等)が結合したものも、脂環構造を有しないモノマー成分に含まれる。
【0044】
脂環式ポリエステル樹脂(C)を構成する全モノマー単位(全モノマー成分)(100モル%)に対する脂環を有するモノマー単位の割合は、特に限定されないが、10モル%以上(例えば、10〜80モル%)が好ましく、より好ましくは25〜70モル%、さらに好ましくは40〜60モル%である。脂環を有するモノマー単位の割合が10モル%未満であると、硬化物の耐熱性、耐光性、耐クラック性が低下する場合がある。
【0045】
脂環式ポリエステル樹脂(C)としては、特に、下記式(2)〜(4)で表される構成単位を少なくとも一種以上含む脂環式ポリエステルが好ましい。
【0046】
【化10】
(式中、R3は直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭素数2〜15のアルキレン基を表す。また、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4〜R7から選ばれる二つが結合して環を形成していてもよい。)
【0047】
【化11】
(式中、R3は直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭素数2〜15のアルキレン基を表す。また、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4〜R7から選ばれる二つが結合した環を形成していてもよい。)
【0048】
【化12】
(式中、R3は直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭素数2〜15のアルキレン基を表す。また、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4〜R7から選ばれる二つが結合した環を形成していてもよい。)
【0049】
上記式(2)〜(4)で表される構成単位の好ましい具体例としては、例えば、下記式(5)で表される4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及びエチレングリコール由来の構成単位が挙げられる。当該構成単位を有する脂環式ポリエステル樹脂(C)は、例えば、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とエチレングリコールとを重縮合することにより得られる。
【化13】
【0050】
また、上記式(2)〜(4)で表される構成単位の他の好ましい具体例としては、例えば、下記式(6)で表される1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びネオペンチルグリコール由来の構成単位が挙げられる。当該構成単位を有する脂環式ポリエステル樹脂(C)は、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とネオペンチルグリコールとを重縮合することにより得られる。
【化14】
【0051】
脂環式ポリエステル樹脂(C)が上記式(2)〜(4)で表される構成単位を有する場合、該構成単位の含有量の合計量(合計含有量)は、特に限定されないが、脂環式ポリエステル樹脂(C)の全構成単位(100モル%)に対し、20モル%以上(例えば、20〜100モル%)が好ましく、より好ましくは50〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。上記式(2)〜(4)で表される構成単位の含有量が20モル%未満であると、硬化物の耐熱性、耐光性、耐クラック性が低下する場合がある。
【0052】
脂環式ポリエステル樹脂(C)の数平均分子量は、特に限定されないが、300〜100000が好ましく、より好ましくは300〜30000である。脂環式ポリエステル樹脂(C)の数平均分子量が300未満であると、硬化物の強靭性が十分でなく、耐クラック性が低下する場合がある。一方、脂環式ポリエステル樹脂(C)の数平均分子量が100000を超えると、硬化剤(D)との相溶性が低下し、硬化物の透明性が低下する場合がある。なお、脂環式ポリエステル樹脂(C)の数平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレン換算の値として測定することができる。
【0053】
なお、脂環式ポリエステル樹脂(C)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
脂環式ポリエステル樹脂(C)は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。より詳しくは、例えば、脂環式ポリエステル樹脂(C)を、上述のジカルボン酸とジオールとを常法により重縮合させることにより得てもよいし、上述のジカルボン酸の誘導体(酸無水物、エステル、酸ハロゲン化物等)とジオールとを常法により重縮合させることにより得てもよい。
【0055】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において、脂環式ポリエステル樹脂(C)の配合量(含有量)は、特に限定されないが、脂環式ポリエステル樹脂(C)と硬化剤(D)の合計量(100重量%)に対して、1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。脂環式ポリエステル樹脂(C)の配合量が1重量%未満であると、硬化物の耐クラック性が低下する場合がある。一方、脂環式ポリエステル樹脂(C)の配合量が60重量%を超えると、硬化物の透明性や耐熱性が低下する場合がある。
【0056】
一方、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が硬化触媒(F)を必須成分とする場合、脂環式ポリエステル樹脂(D)の配合量(含有量)は、特に限定されないが、脂環式ポリエステル樹脂(D)と硬化触媒(F)の合計量(100重量%)に対して、50〜99重量%が好ましく、より好ましくは65〜99重量%である。脂環式ポリエステル樹脂(D)の配合量が50重量%未満であると、硬化物の耐クラック性が低下する場合がある。一方、脂環式ポリエステル樹脂(D)の配合量が99重量%を超えると、硬化物の透明性や耐熱性が低下する場合がある。
【0057】
<硬化剤(D)>
硬化剤(D)は、エポキシ基を有する化合物を硬化させる働きを有する。本発明における硬化剤(D)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知乃至慣用の硬化剤を使用することができる。本発明における硬化剤(D)としては、中でも、25℃で液状の酸無水物が好ましく、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸などを挙げることができる。また、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの常温(約25℃)で固体状の酸無水物は、常温(約25℃)で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることで、本発明における硬化剤(D)として使用することができる。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化剤(D)としては、耐熱性、耐光性、耐クラック性の観点で、特に、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物(環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む)が好ましい。なお、硬化剤(D)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
また、本発明においては、硬化剤(D)として、リカシッド MH−700(新日本理化(株)製)、HN−5500(日立化成工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0059】
硬化剤(D)の使用量(含有量)としては、特に限定されないが、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、50〜200重量部が好ましく、より好ましくは100〜145重量部である。より具体的には、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中に含有する全てのエポキシ基を有する化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量となる割合で使用することが好ましい。硬化剤(D)の使用量が50重量部を下回ると、硬化が不十分となり、硬化物の強靱性が低下する傾向がある。一方、硬化剤(D)の使用量が200重量部を上回ると、硬化物が着色して色相が悪化する場合がある。
【0060】
<硬化促進剤(E)>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤(E)を含む。硬化促進剤(E)は、エポキシ基を有する化合物が硬化剤により硬化する際に、硬化速度を促進する機能を有する化合物である。硬化促進剤(E)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用することができ、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びその塩(例えば、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、4級アンモニウム塩、ヨードニウム塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレートなどのホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛などの有機金属塩;金属キレートなどが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0061】
また、本発明においては、硬化促進剤(E)として、U−CAT SA 506、U−CAT SA 102、U−CAT 5003、U−CAT 18X、12XD(開発品)(いずれもサンアプロ(株)製)、TPP−K、TPP−MK(いずれも北興化学工業(株)製)、PX−4ET(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0062】
硬化促進剤(E)の使用量(含有量)としては、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.25〜2.5重量部である。硬化促進剤(E)の使用量が0.05重量部を下回ると、硬化促進効果が不十分となる場合がある。一方、硬化促進剤(E)の使用量が5重量部を上回ると、硬化物が着色して色相が悪化する場合がある。
【0063】
<硬化触媒(F)>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においては、上述の硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)の代わりに、硬化触媒(F)を用いてもよい。硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)を用いた場合と同様に、硬化触媒(F)を用いることにより、エポキシ基を有する化合物の硬化反応を進行させ、硬化物を得ることができる。上記硬化触媒(F)としては、特に限定されないが、紫外線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、重合を開始させるカチオン触媒(カチオン重合開始剤)を用いることができる。なお、硬化触媒(F)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
紫外線照射によりカチオン種を発生するカチオン触媒としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩などを挙げることができ、UVACURE1590(ダイセル・サイテック(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(米国サートマー製)、イルガキュア264(チバ・ジャパン(株)製)、CIT−1682(日本曹達(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。
【0065】
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン触媒としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体などを挙げることができ、PP−33、CP−66、CP−77((株)ADEKA製)、FC−509(スリーエム製)、UVE1014(G.E.製)、サンエイド SI−60L、サンエイド SI−80L、サンエイド SI−100L、サンエイド SI−110L(三新化学工業(株)製)、CG−24−61(チバ・ジャパン製)等の市販品を好ましく使用することができる。さらに、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物であってもよい。
【0066】
硬化触媒(F)の使用量(含有量)としては、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、0.01〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜12重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。硬化触媒(F)をこの範囲内で使用することにより、耐熱性、耐光性、透明性に優れた硬化物を得ることができる。
【0067】
<ゴム粒子>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、さらに、ゴム粒子を含んでいてもよい。上記ゴム粒子としては、例えば、粒子状NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、反応性末端カルボキシル基NBR(CTBN)、メタルフリーNBR、粒子状SBR(スチレン−ブタジエンゴム)などのゴム粒子が挙げられる。上記ゴム粒子としては、ゴム弾性を有するコア部分と、該コア部分を被覆する少なくとも1層のシェル層とからなる多層構造(コアシェル構造)を有するゴム粒子が好ましい。上記ゴム粒子は、特に、(メタ)アクリル酸エステルを必須モノマー成分とするポリマー(重合体)で構成されており、表面に脂環式エポキシ樹脂(A)などのエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基(ヒドロキシル基及びカルボキシル基のいずれか一方又は両方)を有するゴム粒子が好ましい。上記ゴム粒子の表面にヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基が存在しない場合、冷熱サイクル等の熱衝撃により硬化物が白濁して透明性が低下するため好ましくない。
【0068】
上記ゴム粒子におけるゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分とすることが好ましい。上記ゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、その他、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン;エチレン、プロピレン、イソブテンなどのオレフィンなどをモノマー成分として含んでいてもよい。
【0069】
中でも、上記ゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、芳香族ビニル、ニトリル、及び共役ジエンからなる群より選択された1種又は2種以上を組み合わせて含むことが好ましい。即ち、上記コア部分を構成するポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル、(メタ)アクリル酸エステル/共役ジエン等の二元共重合体;(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/共役ジエン等の三元共重合体などが挙げられる。なお、上記コア部分を構成するポリマーには、ポリジメチルシロキサンやポリフェニルメチルシロキサンなどのシリコーンやポリウレタン等が含まれていてもよい。
【0070】
上記コア部分を構成するポリマーは、その他のモノマー成分として、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ブチレングリコールジアクリレートなどの1モノマー(1分子)中に2以上の反応性官能基を有する反応性架橋モノマーを含有していてもよい。
【0071】
上記ゴム粒子のコア部分は、中でも、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニルの二元共重合体(特に、アクリル酸ブチル/スチレン)より構成されたコア部分であることが、ゴム粒子の屈折率を容易に調整できる点で好ましい。
【0072】
上記ゴム粒子のコア部分は、通常用いられる方法で製造することができ、例えば、上記モノマーを乳化重合法により重合する方法などにより製造することができる。乳化重合法においては、上記モノマーの全量を一括して仕込んで重合してもよく、上記モノマーの一部を重合した後、残りを連続的に又は断続的に添加して重合してもよく、さらに、シード粒子を使用する重合方法を使用してもよい。
【0073】
上記ゴム粒子のシェル層を構成するポリマーは、上記コア部分を構成するポリマーとは異種のポリマーであることが好ましい。また、上述のように、上記シェル層は、脂環式エポキシ化合物(A)などのエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有することが好ましい。これにより、特に、脂環式エポキシ化合物(A)との界面で接着性を向上させることができ、該シェル層を有するゴム粒子を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物に対して、優れた耐クラック性を発揮させることができる。また、硬化物のガラス転移温度の低下を防止することもできる。
【0074】
上記シェル層を構成するポリマーは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分として含むことが好ましい。例えば、上記コア部分における(メタ)アクリル酸エステルとしてアクリル酸ブチルを用いた場合、シェル層を構成するポリマーのモノマー成分として、アクリル酸ブチル以外の(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなど)を使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル以外に含んでいてもよいモノマー成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリルなどが挙げられる。上記ゴム粒子においては、シェル層を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、上記モノマーを単独で、又は2種以上を組み合わせて含むことが好ましく、特に、少なくとも芳香族ビニルを含むことが、上記ゴム粒子の屈折率を容易に調整できる点で好ましい。
【0075】
さらに、上記シェル層を構成するポリマーは、モノマー成分として、脂環式エポキシ化合物(A)などのエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてのヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を形成するために、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリル酸などのα,β−不飽和酸、マレイン酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物などのモノマーを含有することが好ましい。
【0076】
上記ゴム粒子におけるシェル層を構成するポリマーは、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、上記モノマーから選択された1種又は2種以上を組み合わせて含むことが好ましい。即ち、上記シェル層は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/α,β−不飽和酸等の三元共重合体などから構成されたシェル層であることが好ましい。
【0077】
また、上記シェル層を構成するポリマーは、その他のモノマー成分として、コア部分と同様に、上記モノマーの他にジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ブチレングリコールジアクリレートなどの1モノマー(1分子)中に2以上の反応性官能基を有する反応性架橋モノマーを含有していてもよい。
【0078】
上記ゴム粒子(コアシェル構造を有するゴム粒子)は、上記コア部分をシェル層により被覆することで得られる。上記コア部分をシェル層で被覆する方法としては、例えば、上記方法により得られたゴム弾性を有するコア部分の表面に、シェル層を構成する共重合体を塗布することにより被覆する方法、上記方法により得られたゴム弾性を有するコア部分を幹成分とし、シェル層を構成する各成分を枝成分としてグラフト重合する方法などを挙げることができる。
【0079】
上記ゴム粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、10〜500nmが好ましく、より好ましくは20〜400nmである。また、上記ゴム粒子の最大粒子径は、特に限定されないが、50〜1000nmが好ましく、より好ましくは100〜800nmである。平均粒子径が500nmを上回ると、又は、最大粒子径が1000nmを上回ると、硬化物におけるゴム粒子の分散性が低下し、耐クラック性が低下する場合がある。一方、平均粒子径が10nmを下回ると、又は、最大粒子径が50nmを下回ると、硬化物の耐クラック性向上の効果が得られにくくなる場合がある。
【0080】
上記ゴム粒子の屈折率は、特に限定されないが、1.40〜1.60が好ましく、より好ましくは1.42〜1.58である。また、ゴム粒子の屈折率と、該ゴム粒子を含む硬化性エポキシ樹脂組成物(本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物)を硬化して得られる硬化物の屈折率との差は、±0.03以内(−0.03〜0.03)であることが好ましい。上記屈折率の差が±0.03を上回ると、硬化物の透明性が低下し、時には白濁して、光半導体装置の光度が低下する傾向があり、光半導体装置の機能を消失させてしまう場合がある。
【0081】
ゴム粒子の屈折率は、例えば、ゴム粒子1gを型に注型して210℃、4MPaで圧縮成形し、厚さ1mmの平板を得、得られた平板から、縦20mm×横6mmの試験片を切り出し、中間液としてモノブロモナフタレンを使用してプリズムと該試験片とを密着させた状態で、多波長アッベ屈折計(商品名「DR−M2」、(株)アタゴ製)を使用し、20℃、ナトリウムD線での屈折率を測定することにより求めることができる。
【0082】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物の屈折率は、例えば、下記の光半導体装置の項に記載の加熱硬化方法により得られた硬化物から、縦20mm×横6mm×厚さ1mmの試験片を切り出し、中間液としてモノブロモナフタレンを使用してプリズムと該試験片とを密着させた状態で、多波長アッベ屈折計(商品名「DR−M2」、(株)アタゴ製)を使用し、20℃、ナトリウムD線での屈折率を測定することにより求めることができる。
【0083】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における上記ゴム粒子の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ基を有する化合物の全量(100重量部)に対して、0.5〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。ゴム粒子の含有量が0.5重量部を下回ると、硬化物の耐クラック性が低下する傾向がある。一方、ゴム粒子の含有量が30重量部を上回ると、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。
【0084】
<添加剤>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で各種添加剤を使用することができる。添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの水酸基を有する化合物を使用すると、反応を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、シリコーン系やフッ素系消泡剤、レベリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、界面活性剤、シリカ、アルミナなどの無機充填剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体、離型剤などの慣用の添加剤を使用することができる。
【0085】
<硬化性エポキシ樹脂組成物の調製方法>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上述の脂環式エポキシ化合物(A)と、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)と、脂環式ポリエステル樹脂(C)と、硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)、又は、硬化触媒(F)とを含んでいればよく、調製方法は特に限定されない。例えば、脂環式エポキシ化合物(A)、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物(B)等のエポキシ基を有する化合物を必須成分として含むα剤と、硬化剤(D)及び硬化促進剤(E)、又は、硬化触媒(F)を必須成分として含むβ剤とを別々に調製し、当該α剤とβ剤とを所定の割合で攪拌・混合し、必要に応じて真空下で脱泡することにより調製することができる。なお、この場合、脂環式ポリエステル樹脂(C)は、あらかじめα剤及び/又はβ剤の構成成分として混合しておいてもよいし、α剤とβ剤を混合する際にα剤、β剤以外の成分として配合してもよい。
【0086】
上記α剤を調製する際の攪拌・混合時の温度は、特に限定されないが、30〜150℃が好ましく、より好ましくは35〜130℃である。また、上記β剤(2以上の成分より構成される場合)を調製する際の攪拌・混合時の温度は、特に限定されないが、30〜100℃が好ましく、より好ましくは35〜80℃である。攪拌・混合には公知の装置、例えば、自転公転型ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダ−、ディソルバーなどを使用できる。
【0087】
特に、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が硬化剤(D)を必須成分として含む場合には、均一な組成物を得る観点で、脂環式ポリエステル樹脂(C)と硬化剤(D)とをあらかじめ混合してこれらの混合物(脂環式ポリエステル樹脂(C)と硬化剤(D)の混合物)を得た後、該混合物に硬化促進剤(E)やその他の添加剤を配合してβ剤を調製し、引き続き該β剤とα剤を混合することにより調製することが好ましい。脂環式ポリエステル樹脂(C)と硬化剤(D)を混合する際の温度は、特に限定されないが、60〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。混合時間は、特に限定されないが、30〜100分間が好ましく、より好ましくは45〜80分間である。混合は、特に限定されないが、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。また、混合には、上述の公知の装置を使用できる。
【0088】
脂環式ポリエステル樹脂(C)と硬化剤(D)を混合した後には、特に限定されないが、さらに適宜な化学処理(例えば、水素添加や脂環式ポリエステルの末端変性など)等を施してもよい。なお、上記脂環式ポリエステル樹脂(C)と硬化剤(D)の混合物においては、硬化剤(D)の一部が脂環式ポリエステル樹脂(C)(例えば、脂環式ポリエステルの水酸基など)と反応していてもよい。
【0089】
上述の脂環式ポリエステル樹脂(C)と硬化剤(D)の混合物として、例えば、「HN−7200」(日立化成工業(株)製)、「HN−5700」(日立化成工業(株)製)などの市販品を用いることもできる。
【0090】
<硬化物>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、透明性、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性などの諸物性に優れた硬化物を得ることができる。硬化の際の加熱温度(硬化温度)としては、特に限定されないが、45〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは100〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)としては、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は、硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は、樹脂成分の分解が起きる場合があるので、いずれも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。
【0091】
<光半導体封止用樹脂組成物>
本発明の光半導体封止用樹脂組成物は、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物からなる。本発明の光半導体封止用樹脂組成物を用いることにより、透明性、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性などの諸物性に優れた硬化物により光半導体素子が封止された、光度が経時で低下しにくい光半導体装置が得られる。上記光半導体装置は、高出力、高輝度の光半導体素子を備える場合であっても、光度が経時で低下しにくい。
【0092】
<光半導体装置>
本発明の光半導体装置は、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物(光半導体封止用樹脂組成物)で光半導体素子を封止することにより得られる。光半導体素子の封止は、上述の方法で調製された硬化性エポキシ樹脂組成物を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化して行う。これにより、硬化性エポキシ樹脂組成物によって光半導体素子が封止されてなる光半導体装置が得られる。硬化温度と硬化時間は、上記と同様にすることができる。
【0093】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記の光半導体(光半導体素子)の封止用途に限定されず、例えば、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光学部材、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリなどとしても利用することができる。
【実施例】
【0094】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0095】
製造例1
(ゴム粒子の製造)
還流冷却器付きの1L重合容器に、イオン交換水500g、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.68gを仕込み、窒素気流下に撹拌しながら、80℃に昇温した。ここに、コア部分を形成するために必要とする量の約5重量%分に該当するアクリル酸ブチル9.5g、スチレン2.57g、及びジビニルベンゼン0.39gからなる単量体混合物を一括添加し、20分間撹拌して乳化させた後、ペルオキソ二硫酸カリウム9.5mgを添加し、1時間撹拌して最初のシード重合を行った。続いて、ペルオキソ二硫酸カリウム180.5mgを添加し、5分間撹拌した。ここに、コア部分を形成するために必要とする量の残り(約95重量%分)のアクリル酸ブチル180.5g、スチレン48.89g、ジビニルベンゼン7.33gにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.95gを溶解させてなる単量体混合物を2時間かけて連続的に添加し、2度目のシード重合を行い、その後、1時間熟成してコア部分を得た。
次いで、ペルオキソ二硫酸カリウム60mgを添加して5分間撹拌し、ここに、メタクリル酸メチル60g、アクリル酸1.5g、及びアリルメタクリレート0.3gにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.3gを溶解させてなる単量体混合物を30分かけて連続的に添加し、シード重合を行った。その後、1時間熟成し、コア部分を被覆するシェル層を形成した。
次いで、室温(25℃)まで冷却し、目開き120μmのプラスチック製網で濾過することにより、コアシェル構造を有するゴム粒子を含むラテックスを得た。得られたラテックスをマイナス30℃で凍結し、吸引濾過器で脱水洗浄した後、60℃で一昼夜送風乾燥してゴム粒子を得た。得られたゴム粒子の平均粒子径は254nm、最大粒子径は486nmであった。
【0096】
なお、ゴム粒子の平均粒子径、最大粒子径は、動的光散乱法を測定原理とした「NanotracTM」形式のナノトラック粒度分布測定装置(商品名「UPA−EX150」、日機装(株)製)を使用して試料を測定し、得られた粒度分布曲線において、累積カーブが50%となる時点の粒子径である累積平均径を平均粒子径、粒度分布測定結果の頻度(%)が0.00%を超えた時点の最大の粒子径を最大粒子径とした。なお、上記試料としては、下記製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ化合物1重量部をテトラヒドロフラン20重量部に分散させたものを用いた。
【0097】
製造例2
(ゴム粒子分散エポキシ化合物の製造)
製造例1で得られたゴム粒子10重量部を、窒素気流下、60℃に加温した状態でディゾルバー(1000rpm、60分間)を使用して、商品名「セロキサイド2021P」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製)70重量部に分散させ、真空脱泡して、ゴム粒子分散エポキシ化合物(25℃での粘度:624mPa・s)を得た。
なお、製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ化合物(10重量部のゴム粒子を70重量部のセロキサイド2021Pに分散させたもの)の粘度(25℃における粘度)は、デジタル粘度計(商品名「DVU−EII型」、(株)トキメック製)を使用して測定した。
【0098】
製造例3
(エポキシ樹脂の製造:実施例1〜6、比較例2、3)
モノアリジグリシジルイソシアヌレート(商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株)製)、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)、製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「YD−128」、新日鐵化学(株)製)を、表1に示す配合処方(配合割合)(単位:重量部)に従って混合し、80℃で1時間攪拌することでモノアリルジグリシジルイソシアヌレートを溶解させ、エポキシ樹脂(混合物)(上述のα剤にあたる)を得た。なお、表1における「−」は、当該成分の配合を行わなかったことを示し、表2においても同様である。
【0099】
製造例4
(硬化剤を少なくとも含む硬化剤組成物(以下、「K剤」と称する)の製造:実施例1〜6、比較例1〜3)
硬化剤(酸無水物)(商品名「リカシッド MH−700」、新日本理化(株)製)、硬化剤(酸無水物)と脂環式ポリエステル樹脂の混合物(商品名「HN−7200」、商品名「HN−5700」、ともに日立化成工業(株)製)、硬化促進剤(商品名「U−CAT 18X」、サンアプロ(株)製)、添加剤(商品名「エチレングリコール」、和光純薬工業(株)製)を、表1に示す配合処方(単位:重量部)に従って、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡してK剤(上述のβ剤にあたる)を得た。
【0100】
実施例1〜6、比較例1〜3
(硬化性エポキシ樹脂組成物の製造)
表1に示す配合割合(単位:重量部)となるように、製造例3で得られたエポキシ樹脂、製造例4で得られたK剤を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。なお、比較例1の場合は、エポキシ樹脂として商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)を使用した。
【0101】
(光半導体装置の製造)
上記で得た硬化性エポキシ樹脂組成物を、図1に示す光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、120℃のオーブン(樹脂硬化オーブン)で5時間加熱し、硬化した樹脂(硬化物)で光半導体素子を封止した光半導体装置を得た。なお、図1において、100はリフレクター(光反射用樹脂組成物)、101は金属配線、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は透明封止樹脂(硬化物)を示す。
【0102】
製造例5
(エポキシ樹脂の製造:実施例7〜12、比較例5、6)
モノアリジグリシジルイソシアヌレート(商品名「MA−DGIC」、四国化成工業(株)製)、脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)、製造例2で得られたゴム粒子分散エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「YD−128」、新日鐵化学(株)製)を、表2に示す配合処方(配合割合)(単位:重量部)に従って混合し、80℃で1時間攪拌することでモノアリルジグリシジルイソシアヌレートを溶解させ、エポキシ樹脂(混合物)(上述のα剤にあたる)を得た。
【0103】
製造例6
(脂環式ポリエステル樹脂の製造:実施例7〜12)
攪拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた反応容器に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(東京化成工業(株)製)172重量部、ネオペンチルグリコール(東京化成工業(株)製)208重量部、テトラブチルチタネート(和光純薬工業(株)製)0.1重量部を仕込んで、160℃になるまで加熱し、さらに160℃から250℃まで4時間かけて昇温した。次いで、1時間かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下まで減圧してから250℃で1時間反応させ、脂環式ポリエステル樹脂を得た。
【0104】
実施例7〜12、比較例4〜6
(硬化性エポキシ樹脂組成物の製造)
表2に示す配合割合(単位:重量部)となるように、製造例5で得られたエポキシ樹脂、製造例6で得られた脂環式ポリエステル樹脂、硬化触媒(商品名「サンエイド SI−100L」、三新化学工業(株)製)を、自公転式攪拌装置(商品名「あわとり練太郎AR−250」、(株)シンキー製)を使用して均一に混合し、脱泡して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。なお、比較例4の場合は、エポキシ樹脂として商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)を使用した。
【0105】
(光半導体装置の製造)
上記で得た硬化性エポキシ樹脂組成物を、図1に示す光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、120℃のオーブン(樹脂硬化オーブン)で5時間加熱し、硬化した樹脂(硬化物)で光半導体素子を封止した光半導体装置を得た。
【0106】
<評価>
実施例及び比較例で得られた光半導体装置について、以下の方法で評価試験を行った。
【0107】
[通電試験]
実施例及び比較例で得られた光半導体装置の全光束を全光束測定機を用いて測定した。さらに、85℃の恒温槽内で100時間、光半導体装置に60mAの電流を流した後の全光束を測定した。次式から、光度保持率を算出した。結果を表1、表2に示す。
{光度保持率(%)}
={100時間後の全光束(lm)}/{0時間の全光束(lm)}×100
【0108】
[熱衝撃試験]
実施例及び比較例で得た光半導体装置(各硬化性エポキシ樹脂組成物につき2個用いた)に、−40℃の雰囲気下に30分曝露し、続いて、100℃の雰囲気下に30分曝露することを1サイクルとした熱衝撃を、熱衝撃試験機を用いて200サイクル分与えた。その後、光半導体装置の封止樹脂(硬化性エポキシ樹脂の硬化物)に生じたクラックの長さを、デジタルマイクロスコープ(VHX−900、(株)キーエンス製)を使用して観察し、光半導体装置2個のうち長さが90μm以上のクラックを有する光半導体装置の個数を計測した。結果を表1、表2に示す。
【0109】
[総合判定]
通電試験において光度保持率が90%以上であり、なおかつ、熱衝撃試験において長さ90μm以上のクラックが生じた光半導体装置の個数が0個となったものを、総合判定○(良好)とした。これ以外のものを総合判定×(不良)とした。結果を表1、表2に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
なお、実施例及び比較例で使用した成分は、以下の通りである。
[エポキシ樹脂]
CEL2021P(セロキサイド2021P):3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(株)ダイセル製
MA−DGIC:モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、四国化成工業(株)製
YD−128:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、新日鐵化学(株)製
[K剤]
MH−700(リカシッド MH−700):4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30、新日本理化(株)製
HN−7200:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸と脂環式ポリエステルの混合物、日立化成工業(株)製
HN−5700(旧名称「DHZ−01」):4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30と脂環式ポリエステルの混合物、日立化成工業(株)製
U−CAT 18X:硬化促進剤、サンアプロ(株)製
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製
[硬化触媒]
サンエイド SI−100L:アリールスルホニウム塩、三新化学工業(株)製
【0113】
試験機器
・樹脂硬化オーブン
エスペック(株)製 GPHH−201
・恒温槽
エスペック(株)製 小型高温チャンバー ST−120B1
・全光束測定機
米国オプトロニックラボラトリーズ社製 マルチ分光放射測定システム OL771
・熱衝撃試験機
エスペック(株)製 小型冷熱衝撃装置 TSE−11−A
【符号の説明】
【0114】
100:リフレクター(光反射用樹脂組成物)
101:金属配線
102:LED素子
103:ボンディングワイヤ
104:透明封止樹脂
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、光半導体封止用途に好ましく使用することができる。また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光学部材、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリなどにも利用することができる。
図1