特許第5852015号(P5852015)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852015
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】メモリカード装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20160114BHJP
   G06F 3/08 20060101ALI20160114BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   G06F13/00 354A
   G06F13/00 353C
   G06F3/08 C
   G06K19/077 244
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-551873(P2012-551873)
(86)(22)【出願日】2012年1月5日
(86)【国際出願番号】JP2012050104
(87)【国際公開番号】WO2012093696
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年12月11日
(31)【優先権主張番号】61/430,127
(32)【優先日】2011年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500260296
【氏名又は名称】フリービット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大泉 洋
【審査官】 寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/003980(WO,A1)
【文献】 特開2009−159587(JP,A)
【文献】 特開2005−100103(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/071821(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06F 3/08
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル機器に着脱可能に差し込まれて、この差し込まれたデジタル機器の追加式外部メモリとして使用され、このデジタル機器のネットワーク通信機能に寄らず独自に無線通信可能なメモリカード装置であって、
前記デジタル機器に差し込み可能な筐体を有し、
この筐体には、上記デジタル機器と通信可能および上記デジタル機器からこのメモリカード装置に対して給電可能に接続される通信・給電インタフェースと、この通信・給電インタフェースに通信バスを介して接続された演算装置と、この演算装置に接続された無線通信モジュールおよび記憶装置と、が実装されており、
前記記憶装置には、このメモリカード装置が装着されたデジタル機器がアクセスできないシステム利用領域と、前記デジタル機器がアクセスできるユーザ利用領域とが設けられており、
前記システム領域には、
ローカル通信プロトコルスタックを有し、ローカル通信プロトコルスタックが前記無線通信モジュールを介してこのメモリカード装置を無線通信ネットワークに接続し通信を行うオペレーションシステム(OS)と、
前記オペレーションシステムと協働して動作し、前記ユーザ利用領域に格納されたデータを操作するアプリケーションプログラムと、
このアプリケーションプログラムを、インターネット上の中継サーバを通した仮想ネットワークに接続するために、前記メモリカード装置にインストールされる通信モジュールと
がインストールされており、
前記通信モジュールは、
前記アプリケーションプログラムと前記オペレーションシステムのローカル通信プロトコルスタック群との間に介在し、前記アプリケーションプログラム用の仮想ネットワーク上のアドレスを保持し、かつ前記アプリケーションからの仮想ネットワーク宛のパケットをトンネリング処理して前記ローカル通信プロトコルスタックを通じて前記中継サーバに渡すものであり、
前記ローカル通信プロトコルスタック群とは独立した、前記アプリケーションプログラムが仮想ネットワークを通じた通信をするのに必要なプロトコルスタックを備えており、
さらに、この通信モジュールがインターネット上の中継サーバのグローバルアドレスを記憶しており、この中継サーバのグローバルアドレスに基づき、この通信モジュールと中継サーバとの間にトンネリング接続を確立するものであり、
前記アプリケーションプログラムは、インターネット上の中継サーバを通した仮想ネットワークに接続し、前記ユーザ利用領域に格納された/されるデータを仮想ネットワークを通して送受信するサーバプログラムである
ことを特徴とするメモリカード装置。
【請求項2】
請求項1記載のメモリカード装置において、
前記通信モジュールは、
前記サーバプログラムからの要求パケットを捕捉し、発信元アドレスとして前記サーバプログラム用の仮想ネットワークアドレスを付したものをカプセリングし、前記トンネリング接続を介して前記サーバへ送出すると共に、
前記ローカル通信プロトコルスタックを通して当該通信モジュール宛パケットをディカプセリングすると共に、このディカプセリングしたパケットを前記サーバプログラムに渡すものである
ことを特徴とするメモリカード装置。
【請求項3】
請求項1記載のメモリカード装置において、
前記通信モジュールは、インターネット上に設けられたトンネル仲介サーバに接続してこの仲介サーバから前記サーバのグローバルアドレスを受け取るものである
ことを特徴とするメモリカード装置。
【請求項4】
請求項1記載のメモリカード装置において、
この通信モジュールは、前記インターネット上のサーバから前記サーバプログラム用の仮想ネットワーク上のIPアドレスを受け取り保持するものである
ことを特徴とするメモリカード装置。
【請求項5】
請求項1記載のメモリカード装置において、
前記通信モジュールは、前記インターネット上のサーバから前記サーバプログラム用の仮想ネットワーク接続用のMACアドレスとIPアドレスを受け取り保持するものである
ことを特徴とするメモリカード装置。
【請求項6】
請求項1記載のメモリカード装置において、
前記通信モジュールは、前記サーバプログラムによって呼び出し可能なライブラリプログラムとして提供されていることを特徴とするメモリカード装置。
【請求項7】
請求項1記載のメモリカード装置において、
前記通信モジュールは、
初期化部を有し、この初期化部は、
サーバとレイヤ2接続する場合には、前記レイヤ2、3、4プロトコルスタックのすべてを生成し、
前記サーバとレイヤ3接続する場合には、レイヤ3および4プロトコルスタックを生成し、レイヤ2プロコルスタックは生成しない
ように構成されていることを特徴とするメモリカード装置。
【請求項8】
請求項1記載のメモリカード装置において、
前記サーバプログラムは、
通信インタフェースとして、前記通信モジュールを呼び出して組み込むための命令を備え、前記コンピュータとは独立したIPアドレスをこのサーバプログラムが持つように構成され、
前記IPアドレスは、前記通信モジュールにより上記サーバから受け取られ、このサーバプログラムに設定するものである
ことを特徴とするメモリカード装置。
【請求項9】
請求項1記載のメモリカード装置において、
前記サーバプログラムは、能動的にWiFiモジュールの消費電力を管理し、低消費電力動作を可能とする消費電力管理部を有するものである
ことを特徴とするメモリカード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メモリカード装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、無LAN通信機能を搭載したメモリカード装置がある(例えば特許文献1)。このメモリカード装置によれば、デジタルスチルカメラ等のネットワーク接続非対応機器に取り付けた場合、パソコンを介さずに無線でネットワークと通信を行い、例えば、インターネット上にあるクラウドサービスへ自動的にファイルをアップロードすることができるというものである。
【特許文献1】国際公開WO/2007/035275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、現在の無線LAN対応メモリカード装置は、予め設定したサーバにファイルをアップロードするのみであり、ネットワーク上で当該ファイルを利用したい者は、そのサーバに転送されたファイルを利用するしかなく、メモリカード装置内に格納されたファイルに直接アクセスすることができないということがあった。
【0004】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、接続機器等の環境に依存せずに、メモリカード装置のみで双方向通信が行える通信モジュールを備えたメモリカード装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するべく、本願発明によれば、デジタル機器に着脱可能に装着され、このデジタル機器の追加式外部メモリとして使用されるメモリカード装置であって、
筐体を有し、
この筐体には、上記デジタル機器と通信可能および上記デジタル機器からこのメモリカード装置に対して給電可能に接続される通信・給電インタフェースと、この通信・給電インタフェースに通信バスを介して接続された演算装置と、この演算装置に接続された無線通信モジュールおよび記憶装置と、が実装されており、前記記憶装置には、このメモリカード装置が装着されたデジタル機器がアクセスできないシステム利用領域と、前記デジタル機器がアクセスできるユーザ利用領域とが設けられており、
前記システム領域には、ローカル通信プロトコルスタックを有し、ローカル通信プロトコルスタックが前記無線通信モジュールを介してこのメモリカード装置を無線通信ネットワークに接続し通信を行うオペレーションシステム(OS)と、前記オペレーションシステムと協働して動作し、前記ユーザ利用領域に格納されたデータを操作するアプリケーションプログラムと、このアプリケーションプログラムを、インターネット上の中継サーバを通した仮想ネットワークに接続するために、前記メモリカード装置にインストールされる通信モジュールとがインストールされており、
前記通信モジュールは、前記アプリケーションプログラムと前記オペレーションシステムのローカル通信プロトコルスタック群との間に介在し、前記アプリケーションプログラム用の仮想ネットワーク上のアドレスを保持し、かつ前記アプリケーションからの仮想ネットワーク宛のパケットをトンネリング処理して前記ローカル通信プロトコルスタックを通じて前記中継サーバに渡すものであり、前記ローカル通信プロトコルスタック群とは独立した、前記アプリケーションプログラムが仮想ネットワークを通じた通信をするのに必要なプロトコルスタックを備えており、さらに、この通信モジュールがインターネット上のサーバのグローバルアドレスを記憶しており、このサーバのグローバルアドレスに基づき、この通信モジュールとサーバとの間にトンネリング接続を確立するものであり、
前記アプリケーションプログラムは、インターネット上のサーバを通した仮想ネットワークに接続し、前記ユーザ利用領域に格納された/されるデータを仮想ネットワークを通して送受信するサーバプログラムである
ことを特徴とするメモリカード装置が提供される。
【0006】
1の実施形態によれば、前記通信モジュールは、前記サーバプログラムからの要求パケットを捕捉し、発信元アドレスとして前記サーバプログラム用の仮想ネットワークアドレスを付したものをカプセリングし、前記トンネリング接続を介して前記サーバへ送出すると共に、前記ローカル通信プロトコルスタックを通して当該通信モジュール宛パケットをディカプセリングすると共に、このディカプセリングしたパケットを前記サーバプログラムに渡すものであることが好ましい。
【0007】
別の1の実施形態によれば、前記通信モジュールは、インターネット上に設けられたトンネル仲介サーバに接続してこの仲介サーバから前記サーバのグローバルアドレスを受け取るものであることが好ましい。
【0008】
更なる別の1の実施形態によれば、この通信モジュールは、前記インターネット上のサーバから前記サーバプログラム用の仮想ネットワーク上のIPアドレスを受け取り保持するものであることが好ましい。また、前記通信モジュールは、前記インターネット上のサーバから前記サーバプログラム用の仮想ネットワーク接続用のMACアドレスとIPアドレスを受け取り保持するものであっても良い。さらに、前記通信モジュールは、前記サーバプログラムによって呼び出し可能なライブラリプログラムとして提供されていることが望ましい。
【0009】
更なる別の1の実施形態によれば、上記通信モジュールは、初期化部を有し、この初期化部は、サーバとレイヤ2接続する場合には、前記レイヤ2、3、4プロトコルスタックのすべてを生成し、前記サーバとレイヤ3接続する場合には、レイヤ3および4プロトコルスタックを生成し、レイヤ2プロトコルスタックは生成しないように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記サーバプログラムは、通信インタフェースとして、前記通信モジュールを呼び出して組み込むための命令を備え、前記コンピュータとは独立したIPアドレスをこのサーバプログラムが持つように構成され、前記IPアドレスは、前記通信モジュールにより上記サーバから受け取られ、このサーバプログラムに設定するものであることが望ましい。さらに、このサーバプログラムは、能動的にWiFiモジュールの消費電力を管理し、低消費電力動作を可能とする消費電力管理部を有するものであることが望ましい。
【0011】
なお、この発明の更なる他の特徴と顕著な効果は次の発明を実施するための最良の形態の項に記載された実施形態及び図面を参照することによって当業者にとって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態を示す全体構成図。
図2図2は、一実施形態のメモリカード装置の物理的構成を示す図。
図3図3は、一実施形態のメモリカード装置内のメモリモジュールの概略構成図。
図4図4は、一実施形態のメモリカード装置内の論理的処理系統を示す概略図。
図5図5は、一実施形態に係るメモリカード装置とインターネット上のInterServerとの論理的通信処理系統を示す概略図。
図6図6は、他の実施形態に係る通信処理系統を示す概略構成図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、この実施形態に係るメモリカード装置10が利用されるネットワーク構成の例を示したものである。
【0015】
図中11a、11bは、IPv4又はIPv6で通信を行うローカルネットワーク(LAN)である。このうちローカルネットワーク11aを構成するルータは無線ルータ12a(WiFiルータ)であり、このローカルネットワーク11a、11bには、13a〜13dに示すように、無線通信機能を有する/有しない家庭用PCその他の機器(たとえばモバイルPC)が組み込まれるようになっている。このローカルネットワーク11a、11b上の機器は、前記無線ルータ12a又は有線ルータ12b、および図示しない通信キャリア/ISPを介してインターネット網14に接続される。このインターネット網14では、IPv4を用いて通信が行なわれるようになっている。また、このインターネット網14には、前記メモリカード装置10へのアクセスの際に複数のネットワーク11a、11bに亘るハブ/ルータの役割を果たすInterServer23が接続されている。
【0016】
前記実施形態のメモリカード装置10は、筐体を有し、この筐体内に、前記無線ルータ12aとの通信を行うためのWiFi通信モジュール15、ファイルサーバプログラムとしてのアプリケーションプログラム16、このアプリケーションプログラム16のためのオペレーティングシステム(OS)17、前記InterSever15との間のトンネリング接続を確立するための中継通信モジュール18がインストールされてなるSDカードであり、(通信機能を持たない)デジタル機器19(たとえばデジタルカメラやPC)に装着された場合、それらのデジタル機器19とは独立した前記ローカルネットワーク11a上の一機器として機能するように構成されている。
【0017】
このメモリカード装置10の物理的構成は、図2に示すように、デジタル装置19との接続インタフェースである通信・給電インタフェース20と、前記WiFiルータ11aと接続するためのWiFi通信モジュール15と、ワークメモリや各種中央演算装置や各種コントローラが1チップに実装されてなるMPU21(演算装置)と、例えば8G〜32G程度の容量のメモリモジュール22を備える。これらの構成要素は互いに通信バスで接続されてなる。また、前記メモリモジュール22は、図3に示すように、デジタル機器5から認識することのできないシステム専用の不可視領域31(システム利用領域)とデジタル機器19が認識でき利用できる可視領域32(ユーザ利用領域)とに論理的に分けられて構成されている。
【0018】
前記不可視領域31には、図1に示すOS(オペレーションシステム)17を格納するOS格納領域33と、この発明の通信モジュールとしての中継通信モジュール18及びアプリケーションプログラム16(サーバプログラム)を格納するためのアプリケーション格納領域34とが設けられている。
【0019】
また、前記可視領域32には、前記デジタル機器19によって処理されるファイル、例えば写真34やビデオファイル35が格納されるようになっている。
【0020】
一方、図1に示すように、前記インターネット網14には、前記メモリカード装置10との通信を制御するInterServer23(この発明の「中継サーバ」)が接続されている。このInterServer23は、後で詳しく説明するように、前記メモリカード装置10にインストールされたアプリケーションプログラム16と、インターネット網14上若しくはローカルネットワーク11a、11b上の全てのPC13a、13c、その他の機器13b、13d間の接続を仲介する機能を有するものである。
【0021】
ここで、少なくともこのメモリカード装置10(中継通信モジュール18)とInterServer23は、同じメーカー若しくは統一された規格の下に提供若しくは製造されることが意図されており、予め連動するように設計されたものである。そして、中継通信モジュール18には、後で説明するように、InterServer23から前記アプリケーションプログラム16用のIPv4での仮想プライベートアドレス/グローバルアドレスが付与され、ISPやキャリアを問わず前記InterServer23にトンネリング接続によるTCP/IPセッションが確立されて通信ができるようになっている。
【0022】
この発明の特徴は、仮想ネットワーク(または実ネットワーク)を、デジタル機器19を介することなく、前記メモリカード装置10と結びつけることである。このために、具体的には、前記メモリカード装置10にインストールされたアプリケーションプログラム16(このアプリケーションプログラム16が複数ある場合には中継通信モジュール18は各プログラム16毎に設けられている)自体が仮想ネットワーク(または実ネットワーク)上のIPv4若しくはIPv6アドレス、MACアドレスを保持することができるようになっている。以下、これを可能にする構成及び動作の一実施例について説明する。
【0023】
図4は、前記メモリカード装置2にインストールされたOS17、中継通信モジュール18、アプリケーション16、WiFiモジュール15を示す機能ブロック図である。なお、この説明においては、本発明の特徴に関する構成のみ図示し説明することとし、その他、当然備えられているべき他の構成については、その図示及び説明を省略する。
【0024】
図4中、OS17の部分は、カーネルに含まれるローカル通信プロトコルスタック群を示したもので、ネットワークカードを制御する物理的ネットワークアダプタ(レイヤ1、2)41と、ルートテーブル42と、IPレイヤ(レイヤ3)43と、TCPレイヤ(レイヤ4)44とが階層的に構成されている状態を示されている。
【0025】
一方、前記中継通信モジュール18は、レイヤ2(Ethernet(登録商標) Link)45、ルートテーブル46、レイヤ3(IPレイヤ(IPv4/v6))47、レイヤ4(TCP/UDPレイヤ)48の各プロトコルスタックを、RFCに準拠する形で前記OS17とは独立して備えることで、特定ネットワーク環境に依存しないアプリケーションプログラム16の作成を可能にするものである。そして、この中継通信モジュール18は、さらに、トンネリング・アプリケーション49を有する。このトンネリング・アプリケーション49の機能は、後で詳しく説明するが、イーサネット(登録商標)リンク層45から受け取ったパケットをTCP−Over−TCP問題による輻輳、通信帯域低下を防止する処理を行って、トンネリング接続により前記InterServer23に送信するものである。なお、図中にはSSL50が示されているが、このSSL50を備えない構成であってもかまわない。
【0026】
これら中継通信モジュール18を構成するソフトウエア群はライブラリとして提供され、前記アプリケーションプログラム16により適宜読み出されて、このアプリケーションプログラム16の通信インタフェースとして利用されるようになっている。このようにライブラリ化することで、各アプリケーションプログラム16の改変を最小限にすることが可能になる。
【0027】
次に図4及び図5を参照してこの通信モジュール18の動作について説明する。
【0028】
このメモリカード装置10をデジタル機器19に差し込んだ状態でデジタル機器19を起動し、上記メモリカード装置10に電力が供給されると、このメモリカード装置10はOS17を起動するようにシステム構成されている。OS17は、MPU21(図2)内部のメモリに展開され、RAMDISK上で起動する。この起動プロセスによってRAMDISKが構築されると、RAMDISK上にOS17が必要とする前記ライブラリが展開され、上記アプリケーション16の起動シーケンスに入る。
【0029】
一方、前記WiFiモジュール15も起動され、このメモリカード装置10が無線ネットワーク領域内にある場合には、自動的に前記無線ルータ12aと接続され、ローカルネットワーク11aのIPアドレスを取得する。
【0030】
前記アプリケーションプログラム16が立ち上がると、このアプリケーションプログラム16の命令により、前記中継通信モジュール18が前記MPU21のメモリに読み込まれる。すると、この中継通信モジュール18は、図5のステップS1に示すように、まず、前記アプリケーション16は、前記WiFiモジュール102およびルータを介してインターネット上にあるトンネルブローカ51に接続する。このトンネルブローカ51は、図示しないアドレスデータベースからトンネル接続を確立する先のInterServer23(アプリケーション16は上記ブローカ51若しくはInterServer23のウェブ上のアドレスを保持している)を選択し、前記中継通信モジュール18にこのInterServer23のIPv4アドレスを通知する。このことで、この中継通信モジュール18はInterServer23を識別可能になり、ユーザ認証を行った後(ステップS2)、InterServer23から受け取った前記アプリケーション用MACアドレスやIPアドレスを用いてトンネリングセッションを確立し通信を行うことができる(ステップS3)。
【0031】
すなわち、前記アプリケーション16が立ち上げられ、前記中継通信モジュール18がInterServer23に接続すると、接続確立のための認証が行われ、これに基づいてInterServer23からこの通信モジュール18に対して、前記アプリケーションプログラム16用の仮想プライベートネットワーク用のMACアドレスおよびIPアドレスの割り当てが行われる(このMACアドレス及びIP アドレスは前記トンネルブローカ51から割り当てられても良いし、このメモリカード装置10の工場出荷時にメモリカード装置10内に設定・記憶されていても良い)。このMACアドレス及びIPアドレスは、前記中継通信モジュール18によってMPU21のメモリにデータとして保持される。
【0032】
なお、一の実施形態によれば、InterServer23側のプログラムは、前記アプリケーションプログラム16から見た場合、仮想ネットワーク上の1つのハブ(HUB)のように見える。すなわち、InterServer23は、グループ毎にハブを割り当てるように構成されており、本発明では、この割り当てをグループ化と呼んでいる。なお、InterServer23が複数ある場合において、同じ仮想プライベートネットワークに属するべきアプリケーションプログラム16若しくは他のクライアント端末13a〜13dが別々のInterServer23に接続されることも考えられるが、この場合には、複数のInterServer23若しくは複数のサーバプログラム(ハブサーバ)をまとめて管理するハブ・ボーンサーバ52により、接続がルーティングされるようになっていることが好ましい。以下、このような接続をHUB接続(若しくは「レイヤー2接続」)と称する。
【0033】
上記のレイヤ2接続に対して、この中継通信モジュール18は、前記InterServer23とPPP接続(若しくは「レイヤー3接続」)することもできるように構成されている。上記レイヤ2接続とレイヤ3接続の切り替えは、図4に53で示す初期化部によって実行される。この初期化部53は、前記アプリケーションプログラム16から渡されたレイヤ2接続かレイヤ3接続かを示す引数に基づき、初期化プロセスを実行する。この初期化プロセスでは、たとえば、この引数に応じて所定のトンネルブローカ51およびInterServer23が選択され、接続確立が行われる。また、上記初期化部53は、上記引数に応じて、レイヤ2接続の場合には、前記レイヤ2、3、4プロトコルスタックのすべてを生成し、レイヤ3接続の場合には、レイヤ3および4プロトコルスタックを生成してレイヤ2プロコルスタックは生成しないように動作する。
【0034】
すなわち、この発明によれば、前記メモリカード装置10を、直接、インターネット上のサーバ(InterServer23)を通した仮想ネットワークに接続することができる。このメモリカード装置10は、中継通信モジュール18を有し、この中継通信モジュールは、前記アプリケーションプログラム16とこのコンピュータにインストールされたOS17のローカル通信プロトコルスタック群(41〜44)との間に介在し、前記アプリケーションプログラム16用の仮想ネットワーク上のアドレスを保持し、かつ前記アプリケーションプログラム16からの仮想ネットワーク宛のパケットをトンネリング処理して前記ローカル通信プロトコルスタック(41〜44)を通じて前記InterServer23に渡すものである。そして、この中継通信モジュール18は、前記ローカル通信プロトコルスタック群(41〜44)とは独立した、前記アプリケーションプログラム9が仮想ネットワークを通じた通信をするのに必要なレイヤ2、3、4プロトコルスタック(45〜48)を備えている。
【0035】
このような構成によれば、OS17のローカル通信プロトコルスタック(41〜44)とは独立したレイヤ2、3、4のプロトコルスタックを保持しているから、デジタル機器5やOS17等による特定ネットワーク環境に依存せずに通信できる。すなわち、特定のプロトコルスタックが存在しないOS上であっても、そのプロトコルを使用したアプリケーションソフトを実現することができる。例えば、IPv6プロトコルが存在しないOS環境下であっても、アプリケーションソフト単位でIPv6を使ったアプリケーションを作成することができるものである。
【0036】
さらに言い換えると、前記アプリケーション16自体が本実施形態の中継通信モジュール18と一体となって、独立した独自のIPアドレスを持つあたかも1つのデバイスとして実現できることになる。
【0037】
このアプリケーション16は、この実施形態では、ファイル操作を行うためのファイルサーバプログラムであり、外部に対して、上記可視領域32に格納された写真34や音楽、動画35などのファイルを提供するためのHttpやFtpインタフェースを提供する。
【0038】
このような構成によれば、例えば、図1において、別のローカルネットワーク11bに接続されたPC13cのユーザが、上記アプリケーション16(中継通信モジュール18)に割り当てられた仮想IPアドレスを利用し、前記InterServer23を介して、プッシュ的に前記アプリケーション16(ファイルサーバプログラム)に接続することが可能になり、このアプリケーションの提供するインタフェースを介して上記メモリカード装置10に格納されたファイル34、35の操作を行うことができる。
【0039】
なお、上記のような構成によれば、同じローカルネットワーク1aのPC13aから前記メモリカード装置10にアクセスする場合でも、前記インターネット上のInterServer23を介する必要がある。すなわち、上記メモリカード装置10へのルーティングはすべて前記InterServer23によってなされる必要がある。
【0040】
なお、図1に示すように、このメモリカード装置10は、電源管理部60を有している。この電源管理部60は、アプリケーション16の動作に応じて能動的にWiFiモジュール15の消費電力を管理し、低消費電力動作を可能とするものである。
【0041】
なお、この発明は、上記一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0042】
例えば、上記一実施形態では、前記アプリケーションプログラム16は、ブラウザ、インターネット電話プログラムおよびプロキシプログラムであったが、これに限定されるものではなく、双方向通信を必要とするあらゆるアプリケーションプログラムに適用可能である。
【0043】
また、上記一実施形態では、前記トンネルブローカ51がInterServer23を選択するようになっていたが、各通信中継モジュールにあらかじめセットされていても良い。
【0044】
また、この実施形態の通信モジュールは、100%ユーザモードで動作する(普通ドライバのようなプログラムはカーネルモードで動く)ため、TCP/IPアプリケーションを作成することのできるOSなら非常に移植が簡単であり、上記一実施形態で挙げたOS以外であっても、例えば、家電メーカが自社で採用している独自のOSや、レジスター等の業務機器に採用されているOS等にも適用可能である。
【0045】
さらに、上記一実施例では、図4に示すように、前記InterServerがユーザからのトンネリング接続を終端する例であったが、ユーザの端末(PC等)からのトンネリング接続若しくはIPv6接続が利用できない場合には、図6に示すように、ユーザのPCを前記InterSever15により構成される仮想ネットワークに接続するためのリバースプロキシサーバ62をユーザのローカルエリアネットワーク内若しくはインターネット上に設けるようにしても良い。
【0046】
また、このメモリカード装置は、小型であることを利用して、様々なデジタル機器に装着可能である。たとえば、自動車のバッテリに装着され、このバッテリの残量などを監視するために用いることも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6