【実施例】
【0029】
試薬類
以下に続く実施例において:
−DHCは、ヒドラゾビスイソブチロニトリル、即ち、アセトンシアンヒドリンをヒドラジン水和物と反応させ、濾過し、その後水洗し、そして冷却器(T<10℃)中に貯蔵することによって工業的に得られるヒドラゾ化合物を示す。その水分含量は12.7%であり、その純度は、分析により99%を超える。
−使用されるリンモリブデン酸は、Aldrich社により販売されている製品であり、それは式H
3[P(Mo
3O
10)
4].xH
2Oに相当し、供給されたまま使用される(無水の形でのモル質量1825.25g/モル)。使用される製品は、50%のモリブデン含量を有する。
−モリブデン酸アンモニウムは、Aldrich社から得られ、式H
24Mo
7N
6O
24.4H
2Oに相当し、1235.86g/モルのモル質量を有する。
−モリブデン酸ナトリウム二水和物は、Aldrich社から得られ、式Na
2,MoO
4.2H
2Oに相当し、241.95g/モルのモル質量を有する。
−DOSSは、ビス(2−エチルヘキシル)スルホサクシネートを示す。
−AZDN(またはAIBN)は、アゾビスイソブチロニトリルを示す。
【0030】
試料採取および残留過酸化物含量をアッセイするための方法
以下に続く実施例において、残留過酸化物含量は、以下のようにして測定される。約3−5mLの懸濁液状の反応混合物が取られ、固体のAZDNおよびDHCを除去するために濾過される。約1グラムの濾過された溶液が量り取られ、250mLのフラスコに入れられ、50mLの蒸留水、15mLの30重量%の硫酸および15mLの30%KI溶液が加えられる。そのフラスコは、栓をされ、その後15分間暗所にそのまま置かれる。その混合物はその後規定度0.1Nのチオ硫酸塩溶液により黄色が消えるまで滴定される。過酸化水素含量がこのようにして計算される:
【0031】
【数1】
【0032】
残留モリブデンをアッセイするための方法
これはICP(誘導結合プラズマ)技術により行われる。
【0033】
[
実施例1]:還元剤のリンモリブデン酸との組合せ
錨型機械式撹拌機(撹拌速度500rpm)を備えた1リットルのガラス反応器が使用される。この反応器はコンデンサーが備えられている。過酸化水素溶液が反応器の上端を通る可撓管による蠕動ポンプによって導入される。その反応器はジャケット付タイプのものであり、そのジャケット中の冷水の循環によるクライオスタットを使用して冷却される。
【0034】
そのクライオスタットバスは、13℃に設定され、反応器を循環する。116.8gのDHC(0.610モル)、300mLの水、42.5gの5モル/LのHCl(0.18モル)を含有しているHCl水溶液、10gの臭化ナトリウム(0.097モル)および2.4gのリンモリブデン酸がその反応器中に配置される。0.1gのDOSSが加えられて撹拌が開始される。反応器の温度が安定化する(14℃)時点で過酸化水素溶液を導入するためのポンプのスイッチをオンにする。62.2gの34.5%H
2O
2溶液、即ち、0.630モルが一定速度で4時間にわたって導入される。媒体の温度は、H
2O
2の添加中16−17℃で安定化する。
【0035】
試料は、導入された過酸化水素の消費をチェックするために、1時間の添加で引き抜かれ、0.18%の残留過酸化物を与える(H
2O
2がもし消費されなかった場合は、約1.4%の残留H
2O
2溶液が得られるはずである。)。
【0036】
H
2O
2の添加終了時から、その反応混合物はさらに30分間撹拌したままにされる。その時、その媒体は臭素の形成に特有の橙黄色を発現することが認められる。並行して、媒体の温度は再度低下し、反応の終了を示唆する。過酸化物当量アッセイが続いて行われ、遊離の臭素および残留過酸化物当量に相当する0.18%を示す。
【0037】
反応混合物は、次に有孔率4のガラス濾過器を通して濾過され、402gを表す得られた母液は、還元剤の存在下での安定性試験を実施するために、ガラスフラスコ中の50mL部分に分割される。このフラスコは撹拌され、その後、触媒系の分解に対応する堆積物の形成を観察するために、室温(15−20℃)で数日間静止したまま置かれる。その結果は表1に順序だててまとめられている。
【0038】
【表1】
【0039】
得られたAZDNを300gの水により2回洗浄し、9.2%の水を含有している102.5gのAZDN、即ち95%の収率が得られる。
【0040】
10日間貯蔵された実施例1aの溶液は、遠心分離(800rpm)にかけられ、それによって懸濁状態の堆積物または固体のないことを確認する。
【0041】
この実施例は、従って、本発明による還元剤によって処理された母液に沈殿がないことを実証する。
【0042】
[
実施例2]:還元剤のヘプタモリブデン酸アンモニウムとの組合せ
実施例1が、リンモリブデン酸の代わりに同じ量のモリブデン酸アンモニウムおよび還元剤としてNaHSO
3を用いて繰り返される。本発明によって得られる溶液は10日後に何らの堆積物も有さないことが認められる。
【0043】
[
例3](比較用):還元剤を全く使用しない方法
実施例1および2に記載されているのと同じ反応が実施されるが、還元剤はなにも使用しない。これらの試験は、それぞれ、例3aおよび例3bと呼ばれる。
【0044】
両方の場合において、濾過母液は透明であるが、4日後または10日後、それぞれフラスコの底に黄色い結晶の堆積物をもたらすことが観察される。
【0045】
この堆積物の存在は、遠心分離によって確認され、濾過母液の安定性の欠如を実証する。そのトルエンへの不溶解性およびその色によって、この堆積物はAZDNではあり得ず、どちらかといえば、モリブデン化合物の結晶に相当するようである。
【0046】
[
実施例4]:母液のリサイクルの段階を含む方法
実施例1に記載されている反応器が使用される。クライオスタットバスは18℃に設定され、反応器を循環する。116.8gのDHC(0.610モル)、335mLの水、6.5gのHCl(0.18モル)、10gの臭化ナトリウム(0.097モル)および2.4gのリンモリブデン酸を含んでいる溶液がその反応器に加えられる。0.1gのDOSSが添加され、撹拌が開始される。10分から15分後、過酸化水素溶液を導入するためのポンプのスイッチがオンにされる。34.5%のH
2O
2を含有している62.2グラム(0.63モル)のH
2O
2溶液が、蠕動ポンプによって4時間にわたって導入される。
【0047】
H
2O
2の添加中、温度は、約22℃の値で安定化する。導入された過酸化水素の消費をチェックするために、試料が試験中に何度も採取される。H
2O
2の添加終了時から、その反応混合物は2時間撹拌したままにされる。希薄な(10%)ヒドラジン水和物溶液が、次に過酸化物アッセイによって示された過剰分を中和するために加えられる。
【0048】
その反応混合物は、次に有孔率4のガラス濾過器を通して濾過され、母液は別々に集められる。得られた粗製のAZDNは、200gの水により4回洗浄される。
【0049】
臭素、触媒および酸の初期濃度を保存するために、350gの集められた母液が、新たな試験において、116.8gのDHC(0.61モル)と共に、そして3.3gの36%HCl(0.033モル)、2gのNaBr(0.019モル)および0.48gのリンモリブデン酸を追加して再使用される。3回のリサイクル操作が、このようにして、順々に同じ温度、H
2O
2の量および添加速度の条件ならびに同じ反応時間を保ちながら、続けて実施される。
【0050】
その結果は下の表2に順序だててまとめられている。
【0051】
【表2】
【0052】
この試験は、系の反応性は、1回から2回のリサイクル後に安定化することを実証する。得られるAZDNの収率および純度は、さらに優れている。
【0053】
[
実施例5]:母液中に含有されているモリブデンの吸着の段階を含む方法
実施例4dにおいて得られた強い青色の母液が、活性炭の存在下でのモリブデン吸着の試験に供される。
【0054】
1.0gまたは0.5gの粉末の活性炭(Norit(登録商標)SX2 BET表面積900m
2/g、110μmのd90、市販品)が、実施例4dにおいて得られた100mLの母液に加えられ、全体が室温で撹拌される。媒体の脱色が、モリブデンブルー錯体の吸収帯に相当する425nmの波長における吸収を10mm平方のキュベットを備えたHach(登録商標)DR4000マシンを用いて測定することによって時間と共に認められる。
【0055】
活性炭は、母液中に存在するモリブデン種の事実上定量的な吸着を可能にすることが観察される。
【0056】
[
実施例6]:モリブデンの吸着およびリサイクルの段階を含む方法
実施例4aの試験と同一の試験が再現される。該母液は、AZDN洗浄水と組み合わされ、10gのNorit(登録商標)SX2炭粉末により60分間室温で撹拌して処理される。その活性炭は濾過によって分離され、その後40mLの2%水酸化ナトリウム溶液による室温での撹拌により再処理される。その炭は、その後さらなる60mLの水によりすすがれ、約100mLの回収されたモリブデン触媒を含有している溶液が得られる。これらの100mLは、実施例4aに従う反応において2.4gのリンモリブデン酸触媒の代わりに再び採用され、加えられる水は、採用されるモリブデン触媒溶液によって供給される水を計算に入れて235mLに調節される。H
2O
2の添加の2時間後、アッセイされた残留する過酸化物の含量は、1.4%であり、それは4時間で0.3%であり、それは最後(6時間)には0.2%である。部分的な母液のリサイクルが、リンモリブデン酸触媒の追加と共に行われた試験4bの反応性に匹敵する反応性が、このようにして観察される。その収率は95%である。
【0057】
[
実施例7a]:モリブデンの吸着の段階を含む方法
実施例1に記載されている反応器が使用される。クライオスタットバスは8℃に設定され、反応器を循環する。DHC(116.8g、即ち0.610モル)、335mLの水、6.5gのHCl(0.18モル)、20gの臭化ナトリウム(0.097モル)および3.7gのモリブデン酸ナトリウム二水和物を含んでいる溶液がその反応器に導入される。0.1gのDOSSが添加され、撹拌が開始される。10分から15分後、過酸化水素溶液を導入するためのポンプのスイッチがオンにされる。34.5%のH
2O
2を含有している62.2グラム(0.63モル)のH
2O
2溶液が、蠕動ポンプによって4時間にわたって導入される。H
2O
2添加中の残留過酸化物濃度のモニタリングは、これらの条件下で過酸化水素は、それが添加されるとき、徐々に消費されることを示す。添加終了時から、その反応混合物は、さらに15分間撹拌され、その後、残留過酸化物の含量を中和するために1gのNaHSO
3が加えられる。反応中に13mLの溶液が分析のために採取された。
【0058】
AZDNの濾別後、8.3g/Lのモリブデン(モリブデン酸ナトリウム二水和物として表される)を含有する母液が集められ、34gの母液をさらに含有している得られた粗製のAZDN(25%湿度)は、約800mLの水により洗浄される。295gの濾過母液が、次の実施例7b中にリサイクルするために貯蔵される。濾過母液の残り(104g)は、アッセイによれば0.32g/Lのモリブデン酸塩二水和物を含有する、洗浄から生じるAZDN水と混合される。1.2g/Lのモリブデン酸ナトリウム二水和物を含有している962gの溶液が得られる。この溶液は、10グラムのNorit(登録商標)SX2炭粉末と共に室温で撹拌することにより1時間処理される。この溶液は濾過される。その濾過された水溶液は、これは生成した廃液を表す、0.08g/L(即ち、80ppm)のモリブデン酸ナトリウム二水和物とアッセイされる。
【0059】
この試験は、活性炭に基づく処理が、放出されるモリブデンの含量をまさに大幅に減少することを可能にすることを示す。
【0060】
その活性炭は、回収され、10mLの4%水酸化ナトリウム中に再懸濁され、次いで濾過されて10mLの水により洗浄される。この操作が1回繰り返される。廃液中の80%を超えるモリブデンがこのようにして回収される。
【0061】
水酸化ナトリウム溶液による処理および活性炭の水による洗浄から生じた濾液は、組み合わされ、この溶液(40g)は、次の実施例7bにおいて再使用される。
【0062】
[
実施例7b]:吸着されたモリブデンをリサイクルする段階を含む方法
実施例1のクライオスタットバスが、8℃に設定され、反応器を循環する。116.8gのDHC(0.610モル)、295gの実施例7aにおいて得られた濾過母液、40gの実施例7aの終わりに得られたモリブデン酸塩溶液および0.2gのモリブデン酸ナトリウム二水和物が、実施例7aにおいて得られた分析のために採取された試料からおよび炭による処理後の廃液における損失から生ずる損失に対して補填するために、該反応器に導入される。6.8gの36%HCl(0.063モル)、6.4gのNaBr(0.067モル)および10mLの水の添加が、実施例7aの試験のものに匹敵するHClおよびNaBr濃度を取り戻すために実施される。0.1gのDOSSが添加され、撹拌が開始される。10分から15分後、過酸化水素溶液を導入するためのポンプのスイッチがオンにされる。62.2グラム(0.63モル)の34.5%のH
2O
2溶液が、蠕動ポンプによって4時間にわたって導入される。H
2O
2の添加中の残留過酸化物濃度のモニタリングは、実施例7aにおけるように、これらの条件下で過酸化水素は、それが添加されるとき、徐々に消費されることを示す。そのAZDNの濾過および洗浄後、97%の収率が得られる。
【0063】
[
実施例8a]:母液を濃縮する段階を含む方法
実施例1のクライオスタットバスが、15℃に設定され、反応器を循環する。DHC(116.8g、即ち0.610モル)、335mLの水、6.5gのHCl(0.18モル)、10gの臭化ナトリウム(0.097モル)および2.4gのヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物を含んでいる溶液がその反応器に導入される。0.1gのDOSSが添加され、撹拌が開始される。10分から15分後、過酸化水素溶液を導入するためのポンプのスイッチがオンにされる。62.2グラム(0.63モル)の34.5%H
2O
2溶液が、蠕動ポンプによって4時間にわたって導入される。添加終了時から、その反応混合物はさらに15分間撹拌され、反応終了時に残留過酸化物の含量(0.2%)を中和するために2gのNaHSO
3が次に加えられる。得られたAZDNは、濾別され、次いで洗浄され、95%の収率が得られる。
【0064】
反応後の反応媒体の濾過から生じ、従って、反応後における理論母液の合計量の83%を表す360gの母液が、55℃から60℃で250ミリバールの真空度の下で濃縮にかけられる。295gの濃縮された溶液、即ち20%濃度の溶液が回収され、これは反応によって形成された水ならびに過酸化水素溶液および湿ったDHCにより提供される水に実質的に相当する。触媒系を含有しているこの濃縮された溶液は、モリブデン酸塩触媒、臭化物または酸の添加なしで、試験のDHCおよびH
2O
2の初期量の83%を再び採用してこのようにして得られたままで(実施例8bにおいて)再使用され得る。
【0065】
濃縮前および後の母液中に含有されているDCOの分析は、この方法によって、濃縮された溶液中に含有されるDCOの度合いが大幅に低下され得ることを示し、
濃縮前の母液については、DCO=8.9g/Lであり、
20%濃縮後の母液については、DCO=6.7g/Lであり、
触媒系(臭化物、モリブデン)をもはや何ら含有していない蒸留液は、より容易に放出または焼却によって処理され得る。
【0066】
[
実施例8b]:濃縮された母液をリサイクルする段階を含む方法
実施例1のクライオスタットバスが、15℃に設定され、反応器を循環する。DHC(96g、即ち、0.50モル)および295gの実施例8aにおいて得られた濃縮された母液が、反応器中に配置される。0.1gのDOSSが添加され、撹拌が開始される。10分から15分後、過酸化水素溶液を導入するためのポンプのスイッチがオンにされる。51.5グラム(0.52モル)の34.5%H
2O
2溶液が、蠕動ポンプによって4時間にわたって導入される。その添加中の残留過酸化物濃度のモニタリングは、実施例8aにおけるように、これらの条件下で過酸化水素は、それが添加されるとき、徐々に消費されることを示す。触媒系は、その反応性を保存することがこのようにして観察される。AZDNの濾過および洗浄後、95%の収率が得られる。
【0067】
[
実施例9]:濃縮された母液の安定性の調査
実施例1のクライオスタットバスが、7℃に設定され、反応器を循環する。60gのAZDN(0.304モル)、DHC(89.2g、即ち0.469モル)、335mLの水、6.5gのHCl(0.18モル)、20gの臭化ナトリウム(0.097モル)および3gのリンモリブデン酸を含んでいる溶液が反応器中に配置される。0.1gのDOSSが添加され、撹拌が開始される。10分から15分後、過酸化水素溶液を導入するためのポンプのスイッチがオンにされる。47.6グラム(0.48モル)の34.5%H
2O
2溶液が、蠕動ポンプによって4時間にわたって導入される。H
2O
2添加中の過酸化物のモニタリングは、それが徐々に消費されることを示す。添加の終了時から、その反応混合物はさらに15分間撹拌され、次いで2mLの10%HHZ溶液が、残留過酸化物の含量(0.1%)を中和するために反応終了時に加えられる。得られたAZDNは、濾別され、次いで洗浄され、95%の収率が得られる。
【0068】
回収された母液は、250ミリバールの下、52−58℃の温度で、40gの溶液が除去される(40%までの濃縮)まで濃縮される。クロマトグラフ分析が、母液中に含有される主な副生成物の1つであるアセトンについて実施される。
【0069】
0.1%のアセトンが、濃縮前の母液中でアッセイされる。40%までの濃縮後さらなるアセトンの痕跡は検知されない(0.05%未満)。
【0070】
このようにして濃縮された母液は、沈殿物または堆積物の出現がなく、4日間を超えて安定なままであり、反応に直接再使用され得る。
【0071】
[
実施例10]:AZDNのリサイクルの段階を含む方法
[
実施例10−1]
126gのAZDN(0.78モル)、12gのHCl(0.33モル)を含有している631gの水、19gのNaBr(0.18モル)、4.52gのリンモリブデン酸(50%のMo含量、即ち0.023モルのモリブデン)および0.1gのDOSSが、懸濁液をブレンドするための撹拌系を備えた1.5リットルの反応器中に配置される。その撹拌機およびジャケット付冷却システムのスイッチをオンにした後、温度は約18℃で安定化される。
【0072】
78.05gの35%H
2O
2(即ち0.80モルのH
2O
2)が次に4時間にわたって連続的に加えられる。その反応中、その媒体は18℃から20℃の温度で維持される。その反応は、H
2O
2の導入終了の約20から30分後に停止される。その反応の終了は、臭素の形成によって可視的であり、Pt酸化還元プローブを用いてモニタリングされる(H
2O
2導入の開始時に電位は約500mVであり、反応終了時に電位は約800mVである。)。
【0073】
残留過酸化物のアッセイが実施され、0.1%のH
2O
2当量当たり4mLの10%HHZ溶液が、溶液中に加えられる。
【0074】
全ての反応器懸濁液が次に濾過される。245gのAZDN(乾燥状態)、即ち95%の収率が得られる。その濾過母液は、次の試験における部分的リサイクルのために貯蔵される。
【0075】
[
実施例10−2から10−11]
126g(0.78モル)の得られたAZDN、128gのDHC(0.78モル)、0.1gのDOSSおよび507.5gの前の試験中に反応媒体の濾過から生じた母液が、実施例10−1の反応器中に配置される。2.84gのHCl、6gのNaBrおよび1.45gのリンモリブデン酸を含有している148gの水が、次に、実施例10−1のものと同じ組成の反応媒体を維持するために加えられる(試薬類による水の供給および反応による水の形成による希釈を計算に入れた母液のリサイクルされない部分による損失に対する補償)。
【0076】
その反応は、次に、18℃から20℃に維持されている反応媒体に、78.05gの35%H
2O
2を4時間にわたって連続的に加えることによって実施例10−1におけるように実施される。
【0077】
この方法は、このように、試験nにおいて得られたAZDNの一部および母液の一部を試験n+1中にリサイクルすることによって実施される。
【0078】
粒径の測定は、Masterziser(登録商標)Sマシンを用いて実施される。この測定は、分散剤としての水および一滴のIgepal(登録商標)界面活性剤(エトキシ化ノニルフェノール)を用いる湿潤結晶に対して、測定セル中10分の循環後に行われる。結果は、下の表3に順序だててまとめられている。
【0079】
【表3】
【0080】
平均粒径(D50)は増加して5回のリサイクル後に140−150μmの値で安定化することが見られる。
【0081】
生成したAZDNの純度は、5回目のリサイクル(実施例10−6)の際に制御され、本方法が非常に純粋な生成物を得ることを可能にすることを確認している。
【0082】
【表4】
【0083】
[
例11]
(比較用):塩素による酸化によってAZDNを合成する方法
[例11−1]
128g(0.78モル)のDHC、126gのAZDN、378gの水、425gの13%HClを含有している水溶液および0.1gのDOSSが、反応器の底に塩素の入口を備えた実施例10の反応器に継続して加えられる。撹拌機および冷却装置(ジャケット)がスイッチをオンにされ、温度が安定化される。57gの塩素ガスが、次に、合計4時間にわたってその反応媒体中に連続して導入される。反応中、その反応媒体は、必要に応じて冷却ジャケットの温度を調節することによって18℃から20℃の温度で維持される。その反応は、塩素導入終了の約20から30分後に停止される。その反応の終了は、Pt酸化還元プローブを用いてモニタリングされ得る。消費されない過剰の塩素は酸化還元電位の増大をもたらし、これは200mVから試験終了時に800mVまで上昇する。
【0084】
反応器懸濁液は、次にAZDNと反応液を別々に集めるために完全に濾過される。その濾過された反応液は、次の試験におけるリサイクルのために回収される。
【0085】
[例11−2]
126g(0.78モル)の例11−1において得られたAZDN、128gのDHC(0.78モル)、375gの水、0.1gのDOSSおよび425gの反応媒体の濾過から生じた母液が、実施例10の反応器中に配置される。
【0086】
反応が、次に、57gの塩素ガスを4時間にわたって反応器中に導入し、媒体を18℃から20℃で維持することによって例11−1におけるように実施される。
【0087】
この方法は、このように、試験nにおいて得られたAZDNの一部および母液の一部を試験n+1中にリサイクルすることによって、例11−2に記載されているように実施される。粒径は、5から8回のリサイクル後に100−110μmの平均のD50値で安定化し、それは、従って、酸化剤としてH
2O
2を採用する方法よりも小さいことが観察される。