(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5852204
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】浴室用のクッションの製造方法
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
A47K3/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-203842(P2014-203842)
(22)【出願日】2014年10月2日
【審査請求日】2014年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】514250861
【氏名又は名称】王恵利
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王恵利
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−344935(JP,A)
【文献】
特開平10−248736(JP,A)
【文献】
特開2006−316578(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3102877(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
E04F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室用のクッションの製造方法において、
前記クッションは、マットであり、床面に置かれる下向きの底面及び使用者に踏まれる上向きの上面を有し、前記底面は突出する複数の凸部を有し、前記上面は細砂を含有しパターン或いは模様が構成される滑り止め層を有し、
前記製造方法においては、先ずモジュールで発泡材料により発泡成型される本体を準備し、前記本体は前記マットの2倍の厚さを有し、且つ本体の上、下両面には前記複数の凸部をそれぞれ有し、成型後に前記マットの底面になり、
前記本体の上、下両面の中間から水平方向に沿って半分に切断して2つにし、前記マットの半製品を各々形成させ、
各前記半製品が切断される時に形成される切断面には前記滑り止め層を形成して、成型後の前記マットの上面になり、前述クッションの完成品が製造され、
前記上面は前記滑り止め層が形成された後に、加熱されてロールプレスにより凹凸の表面が成形され、前記滑り止め層は全て前記上面の突起状を呈する箇所の表面に位置する
ことを特徴とする浴室用のクッションの製造方法。
【請求項2】
浴室用のクッションの製造方法において、
前記クッションは、マットであり、床面に置かれる下向きの底面及び使用者に踏まれる上向きの上面を有し、前記底面は突出する複数の凸部を有し、前記上面は細砂を含有しパターン或いは模様が構成される滑り止め層を有し、
前記製造方法においては、先ずモジュールで発泡材料により発泡成型される本体を準備し、前記本体は前記マットの2倍の厚さを有し、且つ本体の上、下両面には前記複数の凸部をそれぞれ有し、成型後に前記マットの底面になり、
前記本体の上、下両面の中間から水平方向に沿って半分に切断して2つにし、前記マットの半製品を各々形成させ、
各前記半製品が切断される時に形成される切断面には前記滑り止め層を形成して、成型後の前記マットの上面になり、前述クッションの完成品が製造され
前記上面は前記滑り止め層が形成される前に、先ず加熱され、その後、ロールプレスにより凹凸の表面が成形され、前記上面の突起状を呈する箇所の表面には前記滑り止め層が形成されることを特徴とする、浴室用のクッションの製造方法。
【請求項3】
前記滑り止め層は、接着材及び前記細砂が混合される塗料が前記上面に塗布されることで形成されることを特徴とする、請求項1または2記載の浴室用のクッションの製造方法。
【請求項4】
前記滑り止め層は、先ず前記上面に接着材が塗布されて、接着材層が形成され、その後前記接着材層に前記細砂が付着され、前記接着材層に細砂層が形成されることを特徴とする、請求項1または2記載の浴室用のクッションの製造方法。
【請求項5】
前記細砂は珪砂或いはガラス砂であることを特徴とする、請求項1または2記載の浴室用のクッションの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用のクッションの製造方法及び製造されるクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示される従来の浴室用のクッションは、上面91及び底面92を有するマット9であり、使用時にマット9の底面92が浴室の床面上に置かれ、上面91は上向きになり、使用者は浴室に入りマット9の上面91を踏むか、或いはマット9の上面91に座って体を洗う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述した従来のクッションのマット9はモジュール(図示せず)で発泡材料により発泡成型され、マット9が成型された後に平坦な形状になり、成型されたマット9は一定の厚さ(実際の製作時には約30mm)を有する。しかしながら、使用時には前述の厚さを薄くしても機能に影響しないが、マット9がモジュール成型される際に薄く設定すると、成型後に変形してしまい、平坦にならない。マット9を平坦にするためには多くの発泡材料を使用して従来のクッションを製造せねばならず、材料コストが抑制できないという問題に繋がっている。
【0004】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明に至った。
【0005】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、上記課題解決のため、本発明は、材料コストを有効に抑制する効果を有する浴室用のクッションの製造方法及び製造されるクッションを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る浴室用のクッションの製造方法では、前記クッションはマットであり、下向きになり床面に置かれる底面及び上向きになり使用者に踏まれる上面を有し、前記底面は突出する複数の凸部を有し、前記上面は細砂を含有しパターン或いは模様が構成される滑り止め層を有する。前述の目的を達成させるために、本発明に係る方法では、先ずモジュールで発泡材料を発泡成型される本体を準備し、前記本体は前記マットの2倍の厚さを有し、且つ本体の上下両面には前記複数の凸部をそれぞれ有すると共に成型後には前記マットの底面となり、前記本体の上下両面の中間から水平方向に沿って半分に切断されて2つになり、前記マットの半製品が各々形成され、各前記半製品が切断されることで形成される切断面により前記滑り止め層が成型され、成型後の前記マットの上面となる。このように前述のクッションの完成品が製造されることを特徴とする。
【0007】
この好ましい実施形態において、前記上面は前記滑り止め層が成型された後、加熱されてロールプレスにより凹凸の表面が成形され、前記滑り止め層は全て前記上面の突起状を呈する箇所の表面に位置する。
【0008】
この好ましい実施形態において、前記上面は前記滑り止め層の成型前に、先に加熱された後にロールプレスにより凹凸の表面が成形され、前記上面の突起状を呈する箇所の表面に前記滑り止め層が成型される。
【0009】
この好ましい実施形態において、前記滑り止め層は接着材及び前記細砂が混合される塗料が前記上面に塗布されることで形成される。
【0010】
この好ましい実施形態において、前記滑り止め層は、先ず前記上面に接着材が塗布された後に接着材層が形成され、その後前記接着材層に前記細砂が付着され、前記接着材層に細砂層が形成される。
【0011】
なお、本発明に係る製造されるクッションは、前記底面及び前記上面からなるマットを有し、は複数の前記凸部を有し、前記上面は前記の滑り止め層を含むことを特徴とする。
【0012】
この好ましい実施形態において、前記上面には加熱された後にロールプレスにより凹凸の表面が成形され、前記滑り止め層は全て前記上面の突起状を呈する箇所の表面に位置する。
【0013】
この好ましい実施形態において、前記滑り止め層は接着材及び前記細砂の材料により構成される。
【0014】
この好ましい実施形態において、前記滑り止め層は、先ず前記上面に接着材が塗布された後に接着材層が形成され、その後前記接着材層に前記細砂が付着され、前記接着材層に細砂層が形成される。
【0015】
この好ましい実施形態において、前記細砂は珪砂或いはガラス砂である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、材料コストを有効的に抑制する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係るマットを上面とする立体外観図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係るマットを底面とする立体外観図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る凸部の局部拡大図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態の本体を2個のマットに切断して得られる半製品を示す図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態の滑り止め層として粘着層による面にサンド層を形成する図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態の滑り止め層において粘着材及びサンドを混合させる図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態に係るマットを上面とする立体外観図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態において、上面に対向する突起の表面を呈させ、滑り止め層構成を形成する図である。
【
図9】本発明の第二の実施形態において、上面にロールで凸凹状の表面を押出する図である。
【
図10】従来の浴室用のクッションを示す立体外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明における好適な実施の形態について、
図1〜
図9を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0019】
(第一の実施形態)
本実施形態に係る浴室用のクッションの製造方法及び製造されるクッションは、
図1及び
図2に示すとおりである。即ち、本実施形態のクッションは底面11及び上面12からなるマット1を有し、底面11は下向きになり床面に静置され、上面12は上向きになり使用者に踏まれる。なお、底面11は複数の凸部13を有し、本実施形態の凸部13は
図3に示すように、突出すると共に端部は吸盤状に陥没し且つ上面12には複数の滑り止め層14を有する。滑り止め層14は細砂を含有すると共にパターン或いは模様(文字を含む)を構成し、滑り止め効果を提供する。この実施形態では、複数の滑り止め層は接着材及び細砂の材料により構成され、本実施形態に係る前記の細砂は珪砂であり、或いは異なる実施形態の場合はガラス砂である。このほか、滑り止め層14は細砂を含有しパターン或いは模様を構成させて装飾効果を獲得する以外、異なる顔料の細砂を滑り止め層のパターン或いは模様に組み合わせて利用し、更なる装飾効果をもたらす。
【0020】
本実施形態に係る浴室用のクッションの製造方法は、先ずモジュール(図示せず)で発泡材料により発泡成型される本体2を準備し、前記本体2は
図4に示すように、前記マット1の2倍の厚さがあり、且つ本体2の上下両面21及び22には前述の複数の凸部13をそれぞれ有すると共に成型後の前記マット1の底面11になる。
図4に示すように、本体2の上下両面21及び22の中間から水平方向に沿って半分に切断(
図4中の切断線Cに示す)されて2つになり、マット1の半製品3が各々形成され、各前記半製品3が切断されることで形成される切断面31により滑り止め層14が成型されると共に成型後のマット1の上面12になる。このように前述のクッションの完成品が製造される。
【0021】
図5に示す複数の滑り止め層14は、先ず上面12に接着材が塗布された後に接着材層141が形成され、その後前記接着材層141に細砂が付着されることで接着材層141上に細砂層142が形成される。異なる実施形態では、複数の滑り止め層14は前述の接着材及び細砂が混合されて塗料になり、前記上面12に塗布されることで形成される(
図6参照)。
【0022】
上述の説明から理解できるように、本体2の発泡成型時には、成型後の本体2が平坦になり変形しないようにするため、本体2の厚さを一定の厚さを有するように設定することで(従来の技術では前記の30mm)、本体2の成型後には平坦に保たれ、本体2の冷却定型後には本実施形態に係る方法を用いて本体2を半分に切断させて半製品3とし、各半製品3は本体2の成型時に凸部13を有し、半製品3の切断面31には滑り止め層14が形成されてクッションの製造が完成する。この際、製造されるマット1の厚さは本体2の半分に過ぎず、ここから分かるように、従来のクッションを1つ製造するのに使用される発泡材料の量で本発明に係るクッションは2つ製造でき、クッションの個数が同じであっても材料は半分になり、発泡材料の使用量を節約でき、材料コストを有効に抑制する効果を達成させる。
【0023】
(第二の実施形態)
当然ながら、本発明にはより多くの他の実施形態が存在するが、それらの間には仔細な変化があるのみである。
図7及び
図8には本発明の第二の実施形態を図示する。本実施形態と第一の実施形態との主な差異は、本実施形態のマット1の上面12Aは加熱されてロールプレスにより凹凸の表面が成形され、複数の滑り止め層14は全て前記上面12Aの突起状を呈する箇所の表面に位置する点である。製造方法の部分においては、第一の実施形態のように上面12が成型され、且つ上面12には複数の滑り止め層14が成型された後、
図9に示すように、ロール4により加熱されてロールプレスにより上面12Aの凹凸の表面が成形される。これにより、第一の実施形態と同様の効果を達成させる。
【0024】
(第三の実施形態)
本実施形態のマット1は第二の実施形態と同様であり、差異は製造方法の部分に存在するのみである。この実施形態において、マット1は第一の実施形態のように前記の上面12に成型された後、複数の滑り止め層14は先に成型されずに、前記滑り止め層14の成型前に先ず加熱された後にロールプレスにより凹凸の表面を有する上面12Aが成形され、その後に上面12Aの突起状を呈する箇所の表面には複数の滑り止め層14が成型される。これにより、第一の実施形態と同様の効果を達成させる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0026】
(従来部分)
9マット
91上面
92底面
(本発明部分)
1マット
11底面
12上面
12A上面
13凸部
14滑り止め層
2本体
21面
22面
3半製品
31切断面
4ロール
C切断線
【要約】 (修正有)
【課題】成形後に変形せず、材料コストを抑制できる浴室用のクッションの製造方法及び製造されるクッションを提供する。
【解決手段】クッションは底面及び上面を有するマットである。底面は複数の凸部13を有し、上面は複数の滑り止め層を有する。製造方法は、先にモジュールで発泡材料により発泡成型される本体2を準備し、本体はマットの2倍の厚さがあり、且つ本体の上、下両面には前述の凸部ををそれぞれ有すると共に成型後のマットの底面となり、本体の上、下両面の中間から水平方向に沿って半分に切断されて2つとなり、マットの半製品が各々形成され、各半製品が切断されることで形成される切断面により前述の滑り止め層が成型されて成型後のマットの上面となり、クッションの完成品が製造される。
【選択図】
図4