【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電力受電装置は、上記課題を解決するために、電力送電装置と非接触で電力の授受を行う電力受電装置であって
、受電部と、前記受電部と電気的負荷と
に電気的に接続
され、前記電気的負荷に供給
する直流電圧を変更可能な直流電圧変更手段と、前記
電力送電装置の送電部
と前記受電部
との間において電力の授受が行われる際に
、前記送電部の電流と前記受電部の電流との電流位相差
が180度に近づくよう
に、前記直流電圧変更手段
から前記電気的負荷に供給される前記直流電圧を制御する制御手段と、を備える。
【0009】
本発明の電力受電装置によれば、当該電力受電装置は、電力送電装置と、例えば磁界共鳴方式、電磁誘導方式等により、非接触で電力の授受を行う電力受電装置である。電力受電装置は、受電部、直流電圧変更手段及び制御手段を備えて構成されている。
【0010】
受電部は、電力送電装置の送電部と空間を隔てて対向して配置される。ここで、受電部及び送電部各々は、所定のインダクタンスとなるように構成されている。また、受電部及び送電部間の距離(即ち、ギャップ)や、受電部及び送電部間の水平方向の相対位置に応じて、受電部及び送電部間の結合係数が変化する。
【0011】
直流電圧変更手段は、受電部と、例えばバッテリ等の電気的負荷と
に電気的に接続されている。該直流電圧変更手段は
、電気的負荷に供給される直流電圧を変更可能に構成されている。
「直流電圧」とは、受電部を介して受電された交流電力から、整流器等により変換された直流電力に係る直流電圧を意味する。「電気的負荷に供給される直流電圧」とは、
電力受電装置における直流電力のうち、電気的負荷に供給される直流電力に係る直流電圧を意味する。直流電圧変更手段は、整流器等により変換された直流電力に係る直流電圧を、例えば昇圧又は降圧等することにより、電気的負荷に供給される直流電圧を変更する。
【0012】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる制御手段は、送電部及び受電部間において電力の授受が行われる際に、電力受電装置と電力送電装置とで構成する系全体に係る共振周波数である総合共振周波数に対応する、送電部の電流と受電部の電流との電流位相差が、180度に近づくよう
に、直流電圧変更手段
から電気的負荷に供給される直流電圧を制御する。「総合共振周波数」とは、無効電力が比較的少なくなる共振周波数であり、送電部から受電部に伝送される電力がピークとなる共振周波数である。
【0013】
ここで、本願発明者の研究によれば、以下の事項が判明している。即ち、非接触で電力伝送が行われる場合、送電部と受電部との間には所定のギャップが存在する。このため、送電部と受電部との間の結合係数が比較的低く、比較的大きな漏洩電磁界が生じる。この漏洩電磁界を低減するために、送電部における電流と受電部における電流との電流位相差を逆相(即ち、180度)に近づける方法が提案されている。
【0014】
しかしながら、電流位相差が逆相に近くなるように、最適な駆動周波数(本発明に係る“総合共振周波数”に相当)を予め設定したとしても、例えばバッテリ等の充電状態に応じて負荷が変動する電気的負荷が存在する場合、最適な駆動周波数と電流位相差との関係は、充電状態に応じて変化してしまう。すると、漏洩電磁界が低減されない可能性がある。
【0015】
そこで本発明では、制御手段により、送電部及び受電部間において電力の授受が行われる際に、総合共振周波数に対応する電流位相差が、180度に近づくよう
に、直流電圧変更手段
から電気的負荷に供給される直流電圧が制御される。このように構成すれば、電気的負荷が、例えばバッテリ等の充電状態に応じて負荷が変化するものであっても、漏洩電磁界を適切に低減することができる。
【0016】
本発明の電力受電装置の一態様では、
当該電力受電装置は、
更に前記受電部に電気的に直列に接続されたコンデンサを
備え、前記直流電圧変更手段は、前記直流電圧を変更することにより、前記電気的負荷に係るインピーダンスと前記直流電圧変更手段に係るインピーダンスとの合成インピーダンスを変更可能であり、前記制御手段は、前記合成インピーダンスが
前記送電部及び前記受電部間に係る励磁リアクタンスよりも小さくなる方向に
、前記直流電圧変更手段を制御す
る。
【0017】
この態様によれば、受電部と共振する共振コンデンサとしてのコンデンサは、受電部に電気的に直列に接続されている。この場合、電気的負荷に係るインピーダンスと直流電圧変更手段に係るインピーダンスとの合成インピーダンスを、送電部及び受電部間に係る励磁リアクタンスよりも小さくなる方向に、合成インピーダンスを変化させると、総合共振周波数に対応する電流位相差が、180度に近づくことが、本願発明者の研究により判明している。
【0018】
そこで、制御手段は、合成インピーダンスが、励磁リアクタンスよりも小さくなる方向に、該合成インピーダンスを変更するように直流電圧変更手段を制御することにより、電流位相差を180度に近づける。この結果、比較的容易にして、漏洩電磁界を適切に低減することができる。
【0019】
或いは、本発明の電力受電装置の他の態様では、
当該電力受電装置は、
更に前記受電部に電気的に並列に接続されたコンデンサを
備え、前記直流電圧変更手段は、前記直流電圧を変更することにより、前記電気的負荷に係るインピーダンスと前記直流電圧変更手段に係るインピーダンスとの合成インピーダンスを変更可能であり、前記制御手段は、前記合成インピーダンスが
前記送電部及び前記受電部間に係る励磁リアクタンスよりも大きくなる方向に
、前記直流電圧変更手段を制御す
る。
【0020】
この態様によれば、受電部と共振する共振コンデンサとしてのコンデンサは、受電部に電気的に並列に接続されている。この場合、電気的負荷に係るインピーダンスと直流電圧変更手段に係るインピーダンスとの合成インピーダンスが、送電部及び受電部間に係る励磁リアクタンスよりも大きくなる方向に、合成インピーダンスを変化させると、総合共振周波数に対応する電流位相差が、180度に近づくことが、本願発明者の研究により判明している。
【0021】
そこで、制御手段は、合成インピーダンスが、励磁リアクタンスよりも大きくなる方向に、該合成インピーダンスを変更するように直流電圧変更手段を制御することにより、電流位相差を180度に近づける。この結果、比較的容易にして、漏洩電磁界を適切に低減することができる。
【0022】
本発明の電力受電装置の他の態様では、前記制御手段は、前記電力送電装置における交流電力の共振周波数である送電側共振周波数を取得する取得手段を含み、前記制御手段は、前記
取得手段により取得された
前記送電側共振周波数に基づいて前記励磁リアクタンスを求める。
【0023】
この態様によれば、比較的容易にして励磁リアクタンスを求めることができ、実用上非常に有利である。尚、ここでいう交流電力の共振周波数とは、交流電力の電圧の位相と電流の位相とが一致し、力率が最大となる周波数のことである。
【0024】
本発明の電力受電装置の他の態様では、前記制御手段は、前記電気的負荷に係るインピーダンスを検出するインピーダンス検出手段を含み
、前記制御手段は、前記検出された前記電気的負荷に係るインピーダンスに基づいて、前記合成インピーダンス
が予め定められた所定範囲内に収まるよう
に前記直流電圧変更手段を制御する。
【0025】
この態様によれば、比較的容易にして、電流位相差を180度に近づけることができ、実用上非常に有利である。
【0026】
本発明の電力受電方法は、上記課題を解決するために、電力送電装置
の送電部と非接触で電力の授受を行
う受電部と、前記受電部と電気的負荷と
に電気的に接続
され、前記電気的負荷に供給
する直流電圧を変更可能な直流電圧変更手段と、を備える電力受電装置における電力受電方法であって、前記送電部
と前記受電部
との間において電力の授受が行われる際に
、前記送電部の電流と前記受電部の電流との電流位相差
が180度に近づくよう
に、前記直流電圧変更手段
から前記電気的負荷に供給される前記直流電圧を制御する制御工程を備える。
【0027】
本発明の電力受電方法は、上述した本発明の電力受電装置と同様に、電気的負荷が、例えばバッテリ等の充電状態に応じて負荷が変化するものであっても、漏洩電磁界を適切に低減することができる。
【0028】
尚、本発明の電力受電方法においても、上述した、本発明の電力受電装置に係る各種態様と同様の各種態様を採ることができる。
【0029】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。