(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給原料源が、石炭火力発電所、固形廃棄物焼却炉、ボーキサイト精製施設、下水処理プラントからのスラッジ、アルカリ性灰と混合された酸性灰、アルカリ性灰と混合された酸性土、アルカリ性灰と混合された廃土、またはセメントキルンからの廃棄物流の1以上である、請求項1に記載のプロセス。
前記生成するカーボネートが炭酸カルシウムを含み、前記生成するカーボネートが二酸化硫黄と反応して亜硫酸カルシウムを形成するように、二酸化硫黄を含む煙道ガスを導入することを更に含む、請求項4に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(詳細な説明)
以下の段落において、本発明の実施形態を添付の図面を参照しながら例示により詳細に説明する。かかる図面は、縮尺の通り記載されておらず、記載のコンポーネント(又は成分)は、必ずしも互いに比例して記載されていない。この説明を通して、記載の実施形態および例は、典型例としてみなされるべきであり、本発明を限定するものではない。本明細書中で使用するように、「本発明」とは、本明細書中に記載の発明の実施形態および任意の等価物(均等物)のいずれか1つを指す。さらに、本明細書を通して、本発明の様々な特徴は、全ての特許請求された実施形態または方法がこの参照された特徴を含むべきであることを意味するものではない。温度、圧力、密度および他のパラメータについての言及は、本発明の実施形態の可能性を示して例示するものとみなされるべきであり、実施形態は、このような広範なパラメータで実施され得る。図は、装置の全ての部分を示すものではなく、また、様々な流れ(又はストリーム)の圧力、温度および流速(又はフローレート)を示すものではないことに留意すべきである。さらに、本明細書中に記載され、図面で示される方法およびシステムの実施形態は例示の実施形態であり、化学的および熱力学のプロセスをよく知る者が様々な状況で最適な様々な変更(又はアレンジメント)を見出し得ることを理解すべきである。このようなバリエーションおよび最適化は、本開示によって教示される基本原理を変更するものではなく、本開示および本明細書中に記載の特許請求の範囲の一部であると考えられる。
【0044】
本発明の種々の実施形態によって生成される気体、液体および固体の生成物の例は、包括的であることは意図されない。本発明の実施形態の幾つかの少量の生成物(一時的に形成されて溶解されるものを含む)は、以下にて大いに詳細に説明されないが、本発明の範囲内に含まれることが理解される。熱が発生する点(又は冷却が生じる点)(又はポイント)は、全てではないが、以下にて説明する。しかし、本発明の実施形態において生成される全ての価値のある熱および/または冷却は、熱回収の可能性および潜在的な用途を有することが理解され、従って、当該プロセス(又は方法)に必要な全エネルギーの入力(又は注入もしくはインプット)は低下する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明において説明されるプロセスによって生成されるあらゆる廃熱、または受け入れる(ホスト)の側で利用可能な廃熱は、アンモニア吸収チラー(Ammonia Absorption Chiller)を駆動するために使用され得、これによって、溶媒を濃縮し、かつ/または水から溶媒を分離するために使用される冷却の一部が提供される。
【0045】
図1は、本発明の実施形態の2つの主要なサブシステムである炭素捕捉アセンブリ100と、溶媒再生アセンブリ200とを示す。炭素捕捉アセンブリ100は、反応容器101と、混合容器102とを含み、好ましくは溶媒濃縮器103を含む。溶媒再生アセンブリ200は、
図2に関連して、本明細書中にて詳細に説明する。この図示されるシステムは、あらゆる発電所(又は発電装置もしくはパワープラント)(あるいは煙道ガス源)とともに、あらゆる種類の排ガスとともに使用することができ、石炭火力発電所からの煙道ガスからの二酸化炭素の捕捉および分離(又は隔離)に特によく適している。例えばLFGサイトにおいて、エンジン(又は機関)からの煙道ガス(又は燃焼排ガス)は、900
oFに近い煙道ガスを生成する。ほとんどのこのようなエンジン駆動システムは、熱回収の付属装置を有していないが、この低級の熱含量の煙道ガスは、本発明のシステムおよび方法の実施形態において、有意なエネルギー源である。
【0046】
炭素の捕捉および分離の化学的なプロセス(又は処理)は、メトキシド5中に懸濁したアルカリ2と、CO
2および水ならびに幾分かの一時的に形成される炭酸14とを接触させることを包含し、そうすることで、沈殿するカーボネート6、水−メタノールの溶液10および熱の形成を生じる反応が存在する。はじめに、CO
2が負荷された煙道ガス1および水4がメトキシド5に導入される。これら両方の流れ(又はストリーム)は、別々に同時に反応容器101に入る。この分離は、両方の流れの流速を完全に制御することができ、水の流れ4を調節して、煙道ガス中に含まれるあらゆる少量の水蒸気に応答させることができる。反応容器101は、混合容器102から、第1のインプット113(これは、好ましくはインプットバルブである)を通して、アルカリ2と、実質的に非水性の溶媒12とから構成されるメトキシドの懸濁液5を受ける。反応容器101は、第2のインプット111を通して煙道ガス1を受け、第3のインプット112を通して水を受ける。これらは両方とも好ましくは、インプットバルブである。CO
2+水(および少量の一時的な炭酸14)と、メトキシド5中に含まれるアルカリ2との間の反応は、迅速に生じ(ときには1秒未満であり)、気体のCO
2をカーボネートならびに水および熱の副生成物へと有効に変換する。
【0047】
好ましい実施形態において、カーボネート6は、溶液から沈殿し、オーガ104またはカーボネートの沈殿物を機械的に除去するのに適した任意の他のデバイスもしくはシステムを用いて、機械的に反応容器101から除去される。いくつかの実施形態において、反応容器101中に残存する最大で約10%の容量の水−メタノールの溶液10は、懸濁したカーボネートを含み、これは、反応容器の底部に沈降しないが、メタノール再生プロセスの間に溶液から沈降する。酸と塩基との反応から生成する水は、溶媒とともに溶液を形成する。この水−溶媒の溶液10は、フィルタ114を通して除去される。これによって、より大きな固体が反応容器から出るのを抑制し、これらは、この容器の底部に沈降する。ここで、これらは機械的に除去される。この方法は、さらに、反応容器101から水−溶媒の溶液10を除去して溶媒から水を分離することを包含する。水−溶媒の溶液10中でカーボネートを輸送するこれらの実施形態において、カーボネートは水とともに分離し、当該プロセスの幾つかの場所で回収され得る。水とメタノールとの溶液10は、暖かい温度(これは反応の最適温度を反映する)で反応容器101の頂部付近で引き抜かれ、これによって、反応に必要な時間を最小にする。
【0048】
予備のステップ(又は工程)として、混合容器102において、アルカリ2を溶媒12と混合して、懸濁液5を形成する。このアルカリは、処理されるべき供給原料内に本質的に含まれていてもよく、これは、そのアルカリ度を増加させるために供給原料に添加されてもよい。当該分野で公知の任意の数のアルカリを選択して煙道ガス中のCO
2を中和することができ、それらのそれぞれそのカーボネートを生成する。アルカリは、強塩基でも、弱塩基でもよく、一般の塩基(パウダー形態の水酸化ナトリウム(NaOH)または水酸化カリウム(KOH)など)、あるいはヒドリド(マグネシウムヒドリド、カリウムヒドリドまたはナトリウムヒドリド(MgH、KH、NaH)など)、あるいは無水アンモニア、あるいは石炭火力発電所またはバイオマス発電所およびボイラの別の副生成物であるフライアッシュ(およびボトムアッシュ)中に見出される酸化カルシウム(CaO)、あるいは任意の他の適切なアルカリ、天然または合成であり、CO
2と反応するものが挙げられ得る。
【0049】
本発明の実施形態の他の利点は、これを使用して炭素の捕捉および分離を大きな産業規模で実施できることである。本明細書中に記載のシステムおよび方法を全ての大きさの施設において用いることによって、複数のアルカリを使用することができ、それぞれそれらのカーボネートが得られる。ここで例示のリストを提供するが、各アルカリの化学記号の後にCO
2と反応する場合に生じるカーボネートおよび各カーボネートの化学記号を示す。
アンモニア(無水):NH
3→アンモニウムカーボネート:(NH
4)
2CO
3
リチウムヒドリド:LiH→リチウムカーボネート:Li
2CO
3
リチウムヒドロキシド:LiOH→リチウムカーボネート:Li
2CO
3
マグネシウムヒドリド:MgH
2→マグネシウムカーボネート:MgCO
3
マグネシウムヒドロキシド:Mg(OH)
2→マグネシウムカーボネート:MgCO
3
カリウムヒドリド:KH→カリウムカーボネート:K
2CO
3
カリウムヒドロキシド:KOH→ポタシウムカーボネート:K
2CO
3
ナトリウムヒドリド:NaH→ナトリウムカーボネート:Na
2CO
3
ナトリウムヒドロキシド:NaOH→ナトリウムカーボネート:Na
2CO
3
【0050】
一実施形態ではカリウムヒドリド(KH)を使用する。可能であれば、他のアルカリと組み合わせて使用する。CO
2の捕捉の割合(又は速度)を向上させるために、MgH
2および灰をKHと組み合わせて使用することができる。カリウム、ナトリウム、マグネシウムのヒドリド(それぞれ、KH、NaHおよびMgH)は、そのヒドロキシドの対応物(KOH、NaOH、Mg[OH]
2)よりも高価ではなく、かかるヒドロキシドよりもヒドリド1単位につき大量のカーボネートが得られ、このヒドリドは、より経済的なものとなる。このようなアルカリの組み合わせは、多数の混合容器および多数の反応容器を必要とする。また、特定のヒドリドを使用した場合に副生成物として、いくらかの水素が形成されてもよい。例えば、約930Lの水素がNaHから生じ、約560Lの水素がKHから生じ、これはメタノール中に溶解した2ボンドのヒドリドからそれぞれ生じる。このようなH
2の流れ(又はストリーム)は排出されずに、本発明の実施形態では、幾つかの可能な場所の1つにおいて、燃料として使用される。例えば、H
2の流れは、発電所の燃焼チャンバに直接的に配送され得るか、あるいは、これは、向上した電力出力のために使用されるN
2の流れにさらなる熱を提供する補助ヒータ中で燃焼され得る。アルカリの選択および得られるカーボネートは、これらのカーボネートの市場に依存し、そしてカーボネートの価値と比較した場合のアルカリの相対的なコストに依存する。
【0051】
好ましい実施形態では、フライアッシュ中に存在するアルカリを使用し、これは石炭火力発電所およびバイオマス発電所あるいは石炭火力ボイラおよびバイオマスボイラの煙道ガスから回収した微粉末であり、この煙道ガスが大気中に放出される前のものである。同様に、ボトムアッシュは、煙道を上昇しない石炭またはバイオマスの残留物から得られるものであり、これは、そのための用途が求められる物であるが、これは、未だ重要な廃棄物流である。以下の灰についての議論は、フライアッシュおよびボトムアッシュの両方にあてはまるものであり、同様の化学的な成分、ならびに任意の供給源からの全ての他のアルカリ性灰が含まれる。また、これは、セメントキルンからの主な固形廃棄物、赤泥、要するに供給原料の基本的な定義中に包含される任意の材料にまで及ぶ(下記参照)。
【0052】
石炭火力発電所で生成される殆どの灰には用途がない。その大半は、ランドフィルに輸送されて処分されるか、あるいは他の価値の低い応用のためのものである。広く使用されている種類の石炭である亜炭からの灰は、15〜45%のSiO
2(砂)、20〜25%のAlO
3(酸化アルミニウム)、4〜15%のFe
2O
3(酸化鉄)および15〜40%のCaO(酸化カルシウム)、最大で5%の未燃焼の炭素を含む。亜歴青炭は、より少ない割合のCaO(5〜30%)を含むライアッシュを生成する。また、これはアルカリ源としても使用することができるが、同様の炭素捕捉の結果を得るためには、より多くの量の灰が必要である。磁気手段による酸化鉄の除去は、好ましくは灰をその後にメタノール中に懸濁させる場合、メタノールの懸濁液中でCaOの量を増加させるのに役立ってもよく、これにより、別の有益な副生成物(酸化鉄)が得られ、この比較的に重たい鉄の除去によって、最終的なカーボネートが負荷された固体の生成物の流れの重量および輸送費が低減される。このフライアッシュ中に含まれるCaOは、同一のアルカリであり、これは他人が石灰として購入することのできるものであるが、これに関しては、カルシウムカーボネートを含む石炭の燃焼の副生成物である。従って、CaOは、灰から得られ、さらなるCO
2の排出は伴わず、これは発電所が通常に出すものを超えるものではない。対して、製造されたCaOを購入することは、このプロセスのカーボンフットプリントを増大させる。なぜなら、CaOを製造することによって、多くのCO
2の排出が起こるからである。
【0053】
炭素の捕捉および分離の方法の一実施形態は、メタノール12中で灰およびCO
2含有煙道ガス1を受け入れ(又はホストし)、実質的には反応容器101における水の量を制限する。これによって、上記の反応により、さらに乾燥したより制御可能な(寸法および形状に関して制御可能な)最終生成物が得られ得る。この好ましい実施形態では、最終生成物は、均一な寸法の顆粒であり、これは乾燥後の破砕を殆ど必要としないか、全く必要とせず、「人工石灰岩」が得られ、これは適切な農業の石灰の代替品であり、その一方で、このプロセスによって必要な注入(又はインプット)のエネルギーの量を最小にする。
【0054】
微細灰粒子を砕く急速な冷却プロセスからのガラス様の灰は有益であってもよく、従って、流れ(又はストリーム)1および4によって反応容器に送達されるCO
2および水と、灰中のアルカリとの反応を促進する。この急速な冷却は、好ましくは、まず灰を温めて、次いで、かなり冷却したメタノール中でこれを急速に冷却し、それにより微細灰のガラス様ビーズをそれぞれ破砕することを包含する。温かいメタノール中で反応が起こる場合(可能性がある場合)、次いで、灰の流れのクエンチングは、まず1つの容器内で起こり得、続いて、別の反応容器中でメタノールと灰の溶液を温かいメタノールと混合する。この急速な冷却の前に灰を温めるために必要な熱は、このプロセスの多くの熱回収ポイントの1つから配送され得る。
【0055】
酸+塩基の反応は、溶液中にアルカリまたは塩基を含む受け入れ(ホスト)の液体中で起こることが好ましく、これにより、この塩基とCO
2+水(+少量の一時的な炭酸)(これはアルカリを負荷した溶媒にCO
2および水を導入するときに形成される)との間の容易な接触が可能となる。従って、好ましい実施形態は、この反応をもてなすために実質的に非水性の溶媒を使用する。これは、この反応が水を生成するのと同じ速度で、反応容器101の頂部から水−メタノールの溶液10を引き抜き、この水−メタノールの溶液10を等量の濃い(又はリッチな)(すなわち、実質的には水を含まない)メトキシド5と置換することによって達成される。反応容器への水の流入量は、煙道ガスの含水量や、以前に流入した煙道ガスからのメタノールの溶液中に残存し得る水の量に依存する。
【0056】
さらに、この酸+塩基の反応の生成物である水は、メトキシド5が加水分解するのを防止するのに十分な速度で反応容器101から引き抜かれる必要がある。ほとんど乾燥した煙道ガス1は、適切な量の水(流れ4)と一緒に、メトキシド5を通過して泡立ち、それにより、CO
2はアルカリと反応して一時的に少量の炭酸14を形成することができ、また、これは、溶媒12によって、溶液5中に保持されるアルカリ2と反応する。煙道ガス1が十分な圧力で反応容器101に入ることが好ましく、そうすることで、煙道ガス1が受け入れ(ホスト)のメトキシド5を通って上昇し得るようになり、それにより、この煙道ガスの未反応の部分(殆どがN
2)が反応容器101から、殆どがN
2および蒸発したメタノールの流れ8として出ることができ、これは溶媒濃縮器103において濃縮されることによって回収される。煙道ガスの予備冷却ルートに沿って圧力が低下することを説明すると、本発明は、大気圧よりも高い圧力でおそらく20pisa以下、例えば約17psiaの煙道ガスを受けることを求める。
【0057】
好ましい実施形態では、非水性の溶媒はアルコールであり、最も好ましくはメタノールである。しかし、任意の他の適切な非水性の溶媒を使用してもよく、これは、その中に溶解されるいくらかの有意な量のアルカリに耐えるものであり、古典的な酸と塩基との反応において生成される任意の塩を沈殿させる。エタノールは、いくらか費用の高い代替品であり、例えばこのプロセスを使用してエタノール工場において製造されるCO
2を捕捉および分離する場合には、これを選択してもよい。これに関連して、エタノールは、卸売価格に等しい価格で入手可能であり、製造したエタノールは、輸送を必要としない。この溶媒の目的は、実質的に乾燥した液体中で酸と塩基との反応を生じさせ得ることであり、それにより、塩水、または水中に懸濁したカーボネートの形成を回避し、最終生成物が高い割合で水を含みそれを駆除しなければならないことを回避する。
【0058】
アルカリ2はメタノール溶媒12と混合して、メトキシド5、あるいはメタノールと任意の適切なヒドリドまたはヒドロキシドの塩基との溶液を形成し、ここで塩基は懸濁状態である。以下の式は、アルカリ(KH(すなわちカリウムヒドリド))をメタノールと混合する場合の一般的な化学式の1つの例である:2KH+MeOH→2MeOK+H
2。このメトキシドは、いくつかのアルカリをメタノール中に導入するときに生じる反応の熱を回収して中和するために冷却されてもよい。メトキシドをどの程度まで冷却すべきかの選択は、どのアルカリを選択して、どのカーボネートが反応の最終生成物であるかに依存し、さらに反応容器101の温度を制御して反応容器からのメタノールの蒸発を制限するために選択される方法による。
【0059】
混合容器102においてアルカリ2を周囲温度のメタノール12と混合することによって、2つの化合物が互いに作用するので、熱が形成され、メトキシド5のイオン溶液が得られる。これは、溶媒和した金属水酸化物を含んでいてもよい。この得られる溶液中における反応の熱は、典型的には約225
oF〜約300
oFの範囲内であり、回収されて、このプロセスの他の部分(又はセグメント)を温めるために使用され得る。また、ジメチルカーボネート(DMC)が混合容器102中で形成されるが、その後に分解する場合もあることに留意すべきである。熱回収の後、メトキシド5は、反応容器101に送られ、入ってくる水4のストリームと、殆ど乾燥した煙道ガス1(これはメトキシド5を通して泡立つ)とをもてなす。メトキシド5の反応容器101への流速、ならびに反応容器101から水−メタノールの溶液10の低温乾燥器202(第1の熱交換器201を介して)およびこの高温蒸留カラム205への流出の流速は、第1に、煙道ガス1の流速およびこの煙道ガスのCO
2含量に依存する。第2に、この流速は、反応容器において水が約10%以下となり得るように厳しく制御される。なぜなら、より多くの水分含量を有するメトキシド媒体は、カーボネート塩を迅速に沈殿させるようなものではないからである。
【0060】
メトキシド5は、反応容器101に入り、その内部に煙道ガスの流れ1および水4を導入する。いくつかの実施形態では、連続した多数の反応容器を使用してもよく、煙道ガスの一定の流れ(又は流量もしくはフロー)を可能とする。好ましい反応容器は、約40フィートの高さを有し、ステンレス鋼、または適切にコーティングされた炭素鋼、あるいは腐食することなく酸、塩基、水および熱に耐えることのできる任意の他の材料から作製されていてもよい。反応容器101は、混合容器102に流体接続され、そうすることで、アルカリ−溶媒の懸濁液(ここではメトキシド)が第1のインプットを通して反応容器に入る。本明細書中にさらに詳しく記載されるように、煙道ガスの流れ1は、第2のインプットを通して反応容器101内に到達する。この第2のインプットは、メタノールの再生に関連する高温蒸留工程において放出されるその熱含量の幾らかを有するものである。容器内において反応を駆動する基本的な化学的なプロセスは以下の式でまとめることができる。
【0062】
上記(1)の第1の工程は、実質的に非水性の溶媒中における二酸化炭素ガスの物理的な溶解である。この溶解は、二重の矢印で示す通り、可逆的である。(1)の第2の工程は、かなり少量の水または塩基によるCO
2の捕捉であり、少量の一時的な炭酸を形成し、これは、溶媒和されたCO
2(CO
2sol)とカーボネートイオンとして最も良く示される。イオンの形成は、溶液のアルカリ度に依存する。反応は迅速であり、実質的には瞬間である。CO
2solの利用度(又はアベイラビリティ)は、ガスカラムにおいて、液体よりも上部でのCO
2gasの分圧(p
CO2)によって決定される。カーボネートシステムのイオンの形態へのシフトおよびそれらの間でのシフトは、(2)および(3)で示されるイオン化工程によって説明できる。pKaの値は、2つの酸の解離定数の負の対数である。
【0063】
様々な溶解度の塩は、正しい条件下で形成され得る。一般的なカーボネートは炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸マグネシウムである。ビカーボネートのうち、最も一般的で安定な化学種は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)である。
【0064】
不溶性のカーボネートは、容器から金属の塩(例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸カリウム)(これらは底部に沈殿するものである)として除去されるので、反応を続けることができる。溶液のアルカリ度および溶媒中のカーボネートの溶解度によって、カーボネートの形成および沈殿の速度が決定される。従って、実際の反応の操作は、選択されるカーボネート生成物の溶解度に対して、溶媒のアルカリ度ならびに様々な流れの温度、圧力および流速を制御することによって、最適化され得る。化学的な処理(又はプロセスもしくは工程)の分野および科学をよく知る者は、プロセスの条件および構成要素(又はコンポーネント)の配置を変更して最適化して、任意の必要なエネルギーの注入(又は入力もしくはインプット)に対して、アルカリの中和の速度によって測定されるように、開示のプロセスの効率を向上させてもよい。
【0065】
好ましくは、酸−塩基反応から生成される水は、反応容器中のメタノールの容量の約10%を超えるべきではない。水の制御は、反応容器から水−溶媒の溶液10を絶えず引き抜いて、それを純粋な再生されたメタノールと置換することによって達成される。この溶媒再生プロセスは、以下にて詳細に記載する。
【0066】
アルカリ2と炭酸14との反応によって、カーボネート6が生成され、これは反応容器101の底部に沈殿し、ここで、これはオーガ104、あるいは沈殿したカーボネートを機械的に除去することのできる任意の他のデバイスまたはシステムによって除去される。KHをアルカリとして使用する場合、カーボネート6の一部は、メタノール中の溶液中に残存するようであり、水−メタノールの溶液10とともに放出されて、低温乾燥の間に後に沈降する。この除去された材料は、このプロセスの他の場所から回収される熱による乾燥を受けてもよく、微粉末またはペレットが得られる。反応容器101の底部に沈降するカーボネート6は、それとともに、少量のメタノールを運んでもよいが、好ましくは水を運ばない。この反応は、水−メタノール溶液の生成物10を反応容器101の上方に上昇させ、その一方で、沈殿するカーボネート6は底部に向かって沈降する。
【0067】
従って、反応容器の設計は、上昇する液体および煙道ガスの流れ、ならびに沈降するカーボネートから利益を得る。例えば、メトキシド5および冷たい煙道ガス1は反応容器101の底部付近に入り、その一方で、それよりも温かい水−メタノールの溶液10はその頂部付近から引き抜かれ、不活性ガス(N
2、および場合によってはO
2)が窒素液化アセンブリ300のさらなる処理工程に移動する。このことは、
図3、およびより詳細には
図4に示す。反応容器101から放出されるメタノール(水−メタノールの溶液10の形態)は、カーボネートと一緒に蒸発させることができる。乾燥したカーボネートは、石灰の代替品である肥料として、鉱山の埋め立て(又は再生利用)、道路の充填、または他の産業上の用途において、使用の最終使用者(又はエンドユーザ)に配送される。また、煙道ガスの流れに含まれる実質的な割合の窒素の酸性酸化物は、メトキシド中でアルカリと反応して、窒素を含む様々な塩が得られ、これにはニトリドが挙げられるが、これは限定されない。従って、発電所からの排出が低減される。
【0068】
炭酸14とアルカリ2との反応から生成されるカーボネート6は、選択したアルカリに依存する。アルカリがカルシウムの場合、これは人工石灰岩であり、これは農業用の肥料における石灰の代替品として、あるいは製鋼、石油採掘、おむつ(diapers)、ガラス製造において使用され得る。別の可能性のある生成物は、マグネシウムの多いカーボネートであり、これは、ドロマイト質石灰岩の代替品として肥料として使用することができ、石灰の散布を回避することが可能となり、石灰製造の間に放出されるCO
2を低減することによって、CO
2排出が回避されることになる。カリウムの多いカーボネートは、別の可能な生成物であり、これは肥料として使用することができ、また、石灰の散布を回避することもできる。本発明の実施形態の他の可能性のある最終生成物は、窒化ケイ素(Si
3N
4)、窒化カルシウム(Ca
3N
2)または窒化マグネシウム(Mg
3N
2)を含んでいてもよい(金属が純粋な窒素中で燃焼される場合)。液体窒素生成物の流れからのアルゴン(液体アルゴンとして)の分離は、とりわけ魅力的である。なぜなら、LN
2製造ループ内に低温蒸留カラムが含まれる場合、煙道ガスの約1%のアルゴン含量が高価値の液体のアルゴンの流れを与えるからである。
【0069】
CO
2を煙道ガス1から除去して、化学的にカーボネート6に変換されると、煙道ガスの残りの部分は殆どが窒素である。流れ8、これは窒素および幾らかのメタノールを含み、反応容器101の頂部から放出される。反応が高温であるほど、より多くの気化したメタノールがN
2ガスとともに放出される。150
oFよりも高い反応温度によって、過度の量のメタノールが、N
2と共に容器から放出される。従って、反応の熱を制御する必要がある。例えば、反応容器101への入口(又はインレット)のメトキシドの流れ5は、予め冷却され得る。あるいは、反応容器101は、容器の頂部付近に吊した熱交換器によって内部から、例えば、冷たいN
2の流れ9を用いて冷却されて、反応容器中の液体を冷却して、そのメタノール含量を濃縮された(液体の)状態で維持することができ、それによって、残りのN
2の蒸気が、液化のために窒素液化アセンブリ300へと移動され得る。好ましくは、反応は、150
oF付近に到達することが可能であり、幾らかのメタノールの蒸発を許容するが、それが反応容器101から出た直後にこのメタノールを溶媒濃縮器103中で回収する。
【0070】
反応容器内において温度を制御する方法は、入口(又はインレット)の流れ(メトキシド、水など)を冷却すること、および/または内部の熱交換器により反応容器中で液体を冷却すること、および/またはこれらの技術の組み合わせを包含し得る。これらの選択肢(又はオプション)は、
図1には示していない。このような熱制御システムの工学をよく知る者は、最適な方法を選択する。反応容器を150
oFよりも低く冷却する必要がある範囲は、反応の速度を最適化する熱力学の計算によって決定されるが、反応容器から過度にメタノールを蒸発させることはない。
【0071】
溶媒濃縮器103を出る流れは、殆どがN
27を伴う煙道ガスであるが、これは、また、アルゴンおよび低量のO
2をも含み得、煙道ガスの供給源に依存する。痕跡量の水またはCO
2(ppm)は、以下に記載のN
2の流れ7の液化の前に、モレキュラーシーブ305で除去される(
図4に示す)。多くのN
2は、費用効果的に圧縮されて冷却され、従って、当該分野で公知のプロセスによって液化され得て、比較的に高い純度の液体窒素(LN
2)が得られるが標準的な空気の分離のプラントにおいて製造され得るよりもかなり低コストで得られる。このプロセスは、
図3および
図4に示す窒素液化アセンブリ300によって行われる。
【0072】
図2を見ると、溶媒再生アセンブリ200がより詳細に示される。溶媒再生アセンブリ200は、反応容器101に流体接続されて、第1の熱交換器201と、この第1の熱交換器に流体接続される低温乾燥器202と、第1の熱交換器に流体接続される高温蒸留器205とを含む。追加の熱交換器を使用してもよく、これは、本明細書中に記載される。水−メタノールの溶液10は、第1の熱交換器201に送られる。ここで、これは、高圧(例えば約800psia)あるいは以下に記載の電力向上の特徴に適した任意の他の圧力までポンピング(低温ポンプ(図示せず)によりポンピング)された液体N
29を用いて熱交換によって、深く冷却される。深く冷却された水−メタノールの溶液10は、次いで、低温乾燥器202へと送られ、まさしく、ここで、ほぼ凍った水(これは(少量のメタノールを伴う水の「スラッシュ」)を含む)が低温乾燥器202の底部に沈降し、そのほとんどが水である流れ11が、低温乾燥器202の底部212から排出され得、ほとんどメタノールの流れが放出されて、この容器の頂部211から排出され得る。アルカリとしてKHを使用する場合、カーボネートの一部は、低温乾燥器202内に沈降する。
【0073】
いくつかの実施形態では、水−メタノールの流れ10がメタノールとともに溶液中のカーボネートを運ぶ。これらの固体は、低温乾燥器202の底部212に向かって沈殿し、機械的な手段によって、容器の底部から除去され、このとき、水−メタノールの流れ11は、容器212のより高い地点からほとんど水として除去される。技術的に実行できる限り、流れ11および12はいずれも、固体を運ばないが、これらは、それらとともに、そおとき、開示のプロセス中で移動する。
【0074】
次に、このほとんどが水の流れ11は、第2の熱交換器203へと移動し、これは、好ましくは、温めるための周囲空気の熱交換器である。流れが溶媒濃縮器103から放出された後、他の熱の供給源は、様々な熱輸送の流れ(
図1の流れ7など)を含んでいてもよい。この選択は、N
2の流れを予備冷却するのに役立ち、その後、これは液化のための窒素液化アセンブリ300に到達する。第2の熱交換器203から、そのほとんどが水の流れ11が、第3の熱交換器204に入り、ここで、これはメタノールの蒸気3によってさらに温められ、高温蒸留器205から排除される。明確にするために、第3の熱交換器204は、第2の熱交換器203と、蒸留カラム205との間に直接的に示す。完全に操作されたバージョンのプロセスでは、第3の熱交換機204を蒸留カラム205の上方に配置するようであり、これにより、制御バルブ207を通過して進む還流溶媒の流れを重力によりカラム内を降下させることが可能となる。あるいは、小さなポンプによって、この還流の流れを204から205に移動させる。
【0075】
第3の熱交換器204において用いられるメタノールの蒸気3は、好ましくは、約150
oF以上であり、実質的には純粋なメタノールの蒸気である。水は、高温蒸留器205から回収されてもよく、N
2の流れを温めるのに使用されてもよい。このとき、その発電所400の出力向上機能への途中で、N
2の流れが第1の熱交換器201から出る。なお、このパワーサイクルは、第1の場所において煙道ガスを出して、窒素液化アセンブリ300に電力(又はパワー)を与えるものである。メタノールの流れ3、これはこの場所(又はポイント)において蒸気であり、そのほとんどが水である流れ11によって液体に濃縮され、回収されたメタノール12が、さらにメトキシドを生成するために混合容器102へと返送されることを可能にする。この得られるメトキシドの懸濁液は、水をいくらか含んでいてもよい。
【0076】
この流れ12(水含量を殆ど含まない)は、乾燥メタノールとして、低温乾燥器202の頂部から除去され、第1の熱交換器201(その冷たさを回復させる)を通して戻され、次いで、第3の熱交換器204を出る戻りの流れと一緒になり、このとき合わされるほとんどがメタノールの流れ12は、混合容器102へと送り返される。流れ12のリターンフロー(ほとんどが乾燥メタノール)は、第1の熱交換器201を通って移動し、液体のN
2が、反応容器101からの水−メタノールの流れ10を冷却するのを助ける。
【0077】
低温乾燥器202を出て、第2の熱交換器203および第3の熱交換器204で温められるその殆どが水である流れ11は、高温蒸留器205内で加熱されて、その限定された含量のメタノールの蒸気を排出して、純粋な水を高温蒸留器205の底部から出すことを可能にする。この蒸留の熱源は、熱い煙道ガス41であり、これは、高温蒸留器205の底部のリボイラー206を通って移動する。この熱い煙道ガスは、かなりのその熱をこの工程に与えるが、未だどこかで使用するために回収され得る熱を十分に残している。高温蒸留器205を出る回収された水4のほとんどは、反応容器101へと送り返され、そうすることで煙道ガス中のCO
2は、
図1に示すように、炭酸14を形成することができる。生成され得るあらゆる余分な水は、1以上の活性炭濾過の層を通して送られ得、これが高温蒸留器205を出た後、この水を飲料用にすることができる。あるいは、過剰に回収された水は、水製造の供給源として、このスチームサイクル中で失った水の代わりに、発電所のスチームサイクルに送られ得る。天然ガス火力発電所からの煙道ガスは、水の含量がさらに高く、高温蒸留器205から回収される水4を低減することが要求され、反応容器101へと戻して、煙道ガス中のCO
2とともに炭酸を形成する。
【0078】
低圧のメタノールの蒸気3は、高温蒸留器205(また、蒸留カラムとして知られる)の頂部から出る。この蒸気の熱を使用して、高温蒸留器205へと送られる冷たい(ほとんどが水である)流れ11を予め温める。この熱交換によって、メタノールの蒸気3を濃縮させる。この濃縮されたメタノールの流れの一部は、一種の還流の流れとして高温蒸留器205の頂部に送り返され、これは、その下方でそのほとんどが水の混合物中でメタノールを気化するのに役立つ。好ましくは、高温蒸留器205の頂部へと送り返される一部の濃縮されたメタノールの流れは、この流れの約10%である。バルブ207を還流ライン上に示すが、これは流れが容器に入る前である。
【0079】
液体のN
2の流れ9は、第1の熱交換器201を通って移動して、水−メタノールの流れ10を深く冷却する(約−50〜−80
oFまで)。液体のN
29の第1の熱交換器201を通る流速(又はフローレート)によって、この気化した液体のN
2(ここではN
2)の出口温度を制御する。好ましい実施形態において、この気化したN
2は、溶媒濃縮器103内で冷媒として役立つのに十分に冷たく、これにより、反応容器101を出るそのほとんどがN
2の流れに含まれるメタノールを濃縮する(
図1を参照のこと)。このN
2のサイドループは、反応容器101から流出する流れ8中のメタノールを濃縮するのに役立っていて、これは、第1の熱交換器201を出る高圧のN
2の流れと再び一緒になり、基礎的な電力(又はパワー)製造サイクルの出力を向上させる仕事をするように送られる。溶媒濃縮器103は、温かい反応容器101から出るN
2+メタノールの流れ8の熱含量を回復させ、この熱を第1の熱交換器201を出る冷たいN
2の測流(又はサイドストリーム)9に移動させて、これが、そのパワーサイクルの途中で、主たるN
2の流れ7と再び一緒になる。これによって、この容器中で酸+塩基の反応が最も高温の条件で生じさせることが可能となり、N
2の流れ7へと移動される価値のある低級の熱を与え、熱交換器201を出るメインのN
2の流れを再び一緒にすることが示される。この201からサブシステム400へと移動するN
2の流れの加温は、このサブシステム300での液化への途中で、溶媒濃縮器103を出るN
2の流れ7の冷却によって達成される。
【0080】
反応容器101から排出される水−メタノールの溶液10の蒸留は、いくつかの方法、例えば、熱(煙道ガスの熱含量からの熱など)によって、高温蒸留器205からメタノールの蒸気を排出するための部分減圧によって増大した熱によって、あるいは蒸気再圧縮法によって起こり得ることに留意すべきである。しかし、全てのこれらの方法は、煙道ガスにおいて入手可能である熱よりも多くの熱を必要とする。その代わりに、本発明は、この湿潤したメタノールの流れを「予め蒸留」し、水−メタノールの溶液10を深く冷却する。そうすることで、より濃密な水が容器の底部に移動して、これにより、飽和したメタノールの流れが、上記の方法のいずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせによってさらに蒸留され得ることとなる。
【0081】
図2に示す好ましい実施形態は、水−メタノールの溶液10の蒸留(再生)を達成するために液体のN
2の形態で貯蔵されるオフピーク電力(又はパワー)に依存する。この低温の蒸留工程は、ほとんどが水の流れを与え、そこから出る残りのメタノールを熱により蒸留する。好ましい2段階(低温および高温)の再生プロセスは、水の割合がメタノールの割合に対して非常に高い場合、例えば、到着するほとんどが水の流れ11(これは高温蒸留器205へと送られる)の場合、水−メタノールの溶液10を蒸留するためにかなり少ない熱を必要とする。メタノールの生成に必要なネット(又は正味)のエネルギーは、冷却(refrigeration)が本発明の実施形態に含まれる場合には少ない。なぜなら、より広い温度範囲(蒸留の高温側と低温側との間)によって、大量の熱および冷気の回復(又は回収)が可能となるからである。さらに、液体のN
2の製造によって、大量の低コストの冷却(refrigeration)が提供される。
図2は、プロセスの効率を最適化し得るすべての可能な熱回収工程を示さず、1つの制御バルブのみを示すことに留意すべきである。他のバルブ、ゲージ、センサ、機器およびポンプは示さない。他の冷却源、例えば、廃熱および/または火力ヒータによって電力供給されるアンモニア吸収チラー(Ammonia Absorption Chiller)によって生成される冷アンモニアであり、これは、また、
図2に示される冷媒の流れの代替に使用され得る。
【0082】
図3は、いくつかのサブシステムを統合した炭素の捕捉および分離のプロセスおよびシステムの実施形態を示し、これらは、発電所への流入および流出の流れと、サブシステム間の流れとを含む。これらは、炭素捕捉アセンブリ100と、溶媒再生アセンブリ200と、窒素液化アセンブリ300と、電気製造アセンブリ(又は発電アセンブリ)400とを含む。この最後の部分は、石炭火力およびバイオマスのスチームサイクル、天然ガス燃料を組み合わせたサイクル、ランドフィルガスの火力発電所または嫌気性消化装置による火力発電所、および任意の他の炭化水素燃料のCO
2を排出する電気製造システムを含み得る。
【0083】
LN
2の生成は、供給ガスとして、ほとんどN
2を用いて、窒素液化アセンブリ300において生じる。1つの実施例において、500MWの石炭火力発電所におけるLN
2生成の流れは、約30000トン/日である。この30000トン/日は、約0.9%のアルゴンを含み、これは、また、価値があり、そしてLN
2から分離されて、収入を得るために使用されるものである。好ましい実施形態において、LN
2は、3つの部分に分けられる。第1の部分は、冷却用途のために、外部(又はオフサイト)の最終使用者(又はエンドユーザ)に高価値製品として販売され、油田およびガス田においてこのような資源を井戸ケーシングに移動(および上昇)させるために使用される製品として販売される。
【0084】
第2の部分は、
図2に示すように、低温乾燥によってメタノールを再生するために使用される。この同一のN
2は、これが熱交換によって気化された後、高圧のストリームとして、発電所のスチームサイクルへと送られ、スチームタービンを通して、マスフローを増加させるか、あるいは発電機を搭載した分離高温ガスエキスパンダへと送られ、従って、さらに燃料を使用することなく、約6.5%の電力出力を向上させる。高圧のN
2の流れは、まず、NL
2をポンピングして加圧することによって達成され、その熱は、本明細書中に記載され、
図2に示される様々な熱回収工程によって、この高圧の流れの中に吸収される。
【0085】
高圧のN
2の蒸気を温めるために本発明の実施形態によって提供される熱源としては、以下のものが挙げられる:
図1に示すように、その再生への途中で、反応容器101を出る温かい水−溶媒の溶液10(ここで、熱交換器201のN
2の流れ9と、水−溶媒の溶液の流れ10との間で熱交換が起こる);
図1に示す様に、反応容器101を出る温かいN
2(ここで、N
2の流れ9は、溶媒濃縮器103中のメタノールを含有するN
2の流れ8によって温められる);
煙道ガス1がその熱の一部を高温蒸留カラム205に与えた後に煙道ガス1中に残存する熱;
高温蒸留カラム205から回収される水4に含まれる熱;
混合容器102においてメトキシド5を製造する間において、選択したアルカリ2とメタノール12との間のイオン反応によって生成される熱;
パワーサイクルでのスチームの濃縮であり、通常は冷却塔によって行われ、冷たいN
2の流れによって置換されるもの;および
天然ガス火力複合サイクル発電所において、ガスタービンへの周囲の流入空気を冷却するための冷却流として冷たいN
2を使用することから吸収される熱。
【0086】
毎日のLN
2の製造の第3の部分は、1以上の低温貯蔵タンク307中に貯蔵され、ピークパワー需要期間の間に放出されて、電力(又はパワー)製造サイクルをさらに促進させる。この貯蔵されたエネルギーの放出は、まず、LN
2をポンピングして加圧することによって生じ、好ましくは低温ポンプを使用し、次いでこれをこのプロセスのどこかからの廃熱を用いて気化し、次いで高圧の熱いN
2の流れを発電機を搭載した高温ガスエキスパンダを通して送る。この電力出力によって、ピーク期間の電力出力をさらに約5%増加させて、これにより、1日の残りの間に製造される6.5%の電力増加と組み合わせて、電力が最も大切なときであるピーク出力の期間の間に約11%の全電力の増大を与える。この電力向上の実施形態で使用するLN
2は、好ましくはオフピーク電力(又はパワー)を使用する夜に製造され、後者の電力放出のためのその貯蔵は、発電所規模の電力貯蔵の方法を構成するが、これはバッテリー、フライホイールまたは圧縮空気空洞貯蔵システムを用いない。
【0087】
この貯蔵および放出の方法は、ピークパワー需要期間の間の流出とともに、電力貯蔵計画を構成し、これは、CO
2の捕捉プロセスの副生成物として製造される低コストの液体窒素を変換して、この回収された窒素の流れを高価格なピーク期間電力へと変換する。例えば、米国特許第7,821,158号明細書および同第7,870,746号明細書中に記載の実施形態と同様であり、これらは、そのそれぞれが、本明細書によって、その全体が参照として援用される。熱くて加圧された窒素ガスを電力(又はパワー)に変換する発電機を搭載した高温ガスエキスパンダは、メタノール再生プロセスにおいて温められた第1の部分の窒素を変換するのと同一のエキスパンダであってもよい。
【0088】
窒素の流れ7は、発電所400で使用される燃料を燃焼するのに最初に使用された空気(O
2含量を含む燃料の燃焼に使用される空気)から既に分離され、そして、また、燃料の燃焼から空気中に生じる煙道ガス中に含まれるCO
2から分離される。反応容器101を出る窒素の流れ8に残存する痕跡量の水およびCO
2は、モレキュラーシーブ305によって除去することができ、好ましくはゼオライトを包含する。水およびCO
2を含むN
2の流れは、実質的には、大気中のものよりも少なく、より小さなモルシーブ吸着材、あるいは頻繁ではないが再生されたものを必要とする。
【0089】
図4を参照しながら、窒素液化アセンブリ300をより詳細に示す。
図4は、冷媒として、分離N
2ループを使用するN
2の液化を示し、これは、低温熱交換器306において、炭素捕捉アセンブリ100を出るN
2の流れを冷却する。N
2の流れ7は、まず、多段コンプレッサ302によって示されるように、いくつかの段階で中程度の圧力(例えば約80psia)に圧縮され、これは、ドライブシャフト309によってコンプレッサに接続されるモータ301によって駆動される。1以上のインタークーラおよびアフタークーラ303における熱回収の後、この圧縮されたN
2をモレキュラーシーブ305を通して移動させる。
図4は、いくつかの位置を示し、ここで、圧縮の熱は、熱交換器(インタークーラおよびアフタークーラ)において回収され、炭素の捕捉および分離のプロセスの他の部分に熱を提供するように使用される。この圧縮されたN
2の流れは、低温熱交換器306へと送られ、ここで、これは、冷媒N
2の流れ(9で示される流れ)を用いた熱交換によって、約−280
oFに冷却される。この冷却によって、この流れがほとんど液体の相を形成するようにし、これは、低温熱交換器306と、貯蔵装置307、好ましくは得られるLN
2が貯蔵される低温液体貯蔵タンクとの間において、減圧バルブ/圧力制御バルブ207を通して送られる。
【0090】
バルブ204を通した減圧によって、90%超の深く冷却されたN
29を液体として貯蔵タンクに入れることができ、10%未満の流れが、濃くて冷たくて(約−280
oF)の蒸気35として揮発する。この蒸気の部分(フラッシュガス)は、貯蔵タンクを出ることができ、入口(又はインレット)のN
2の流れを冷却する主たる熱交換器において、小さな冷却源の一部として使用される。その冷気を入口(又はインレット)の流れに与えた後、フラッシュの流れ35は、さらに、他の流れ(
図4に示さず)とともに熱交換によって温められ、スイープガスとして、モレキュラーシーブ305に送られ、このモレキュラーシーブ中に捕捉された水およびCO
2を除去し、次いで、ベント308を通して大気中にベントされる。このベントの流れは、優しいものである。なぜなら、これは、少量の水およびCO
2をともなって、ほとんどがN
2を含む(その主たる成分は空気である)からである。
【0091】
また、N
2の流れを液化する主たる冷却ループは、冷媒として乾燥N
2(あるいは乾燥空気、または任意の他の適切な流体)を使用するが、液化すべきN
2のストリームとこの冷媒の流れとを混合させることはない。この独立した冷却ループは、いくつかの段階の圧縮およびいくつかの段階の膨張から成り(全てが単一のシャフト309上、あるいは別々に2以上のシャフト上にある)、ここで、電気モータ301が、コンプレッサの段階(又はステージ)302を駆動し、以下に記載のように、エキスパンダの段階(又はステージ)304は、冷却を引き起こす仕事に貢献する。さまざまな段階(又はステージ))のコンプレッサおよびエキスパンダについて示される単一のシャフトの形状は、このような低温冷却システムのまさしく1つの例示の例である。多重シャフト、ならびに圧縮および膨張の機能の位置でのバリエーションについて、他のレイアウトが当業者によって設計され得る。
【0092】
このコンプレッサの段階(又はステージ)は、低圧の「温められた」冷媒を採用し、これは、低温の熱交換器306(これはN
2の入口(又はインレット)の流れを深く冷却している)を出て、冷媒の流れをいくつかの段階(又はステージ)の圧縮で高圧(例えば、約800psia)にし、このとき圧縮の熱は、他の場所で使用するためのインタークーラおよびアフタークーラ303で回復されている。周囲温度に近い高圧の冷媒は、次いで、多段エキスパンダ304において段階的に膨脹される。これらの膨張は冷媒を約−300
oFに冷却するが、その圧力は約80psiaに下げられている。約−300
oFの冷媒は、熱交換器306において、約50
oFのN
2の流れを約−280
oFに冷却する。次に、戻りのN
2の流れ7は、冷媒を約40
oFに温め、上記の通り、連続ループにおいて、これは、再圧縮されて膨張により冷却されることが要求される。本明細書中に記載の開示のプロセスは、上述の可能なバリエーションに加えて、バリエーションを有していてもよい。例えば、入口(又はインレット)のN
2は、様々な段階において、より高圧に圧縮されてもよく、さまざまな割合の液体を与え、この液体は気化して、LN
2貯蔵タンクに入り、さまざまな量の回収可能な圧縮の熱を与える。圧縮の廃熱および本発明の実施形態からの他の廃熱源によって駆動される吸収チラーは、このN
2のストリームの予備冷却を提供してもよい。
【0093】
同様の電力向上(又はパワー向上)は、天然ガス火力複合サイクル発電所において可能であるが、以下の点で異なる:
天然ガス火力発電所は、少ないCO
2を生成するので、N
2ストリームは、CO
2の流れに対して、より大きな部分の煙道ガスの流れであること;
冷たいN
2は、まず、ガスタービンの入口(又はインレット)の空気を冷却するために送られ得ること。次いで、N
2がいったん温められると、これは、本発明の実施形態において、廃熱供給源からより多くの熱を拾い上げるために送られ得、次いで、複合サイクルの流れの一部に送られ得る。
【0094】
液化サイクルは、N
2の流れのコンプレッサにおいて、および冷媒の流れのコンプレッサにおいて、モータ301への電力の供給(又はインプット)、ならびに様々なポンプ、機器およびバルブへの少量の電力の供給(又はインプット)を必要とする。しかし、この電力の要求は、本明細書中に記載のこの電力向上の工程によって実質的には相殺され、これは、カーボネートの総価値、液体窒素および液体アルゴンの販売、回収されたH
2、ならびに灰からの酸化鉄の可能な回収、および煙道ガスから分離されるN
2ストリームから生成され得る任意の他の副生成物による埋め合わせよりも多い。いくつかの実施形態では、LN
2の液化は、オフピーク電力需要期間の間においてのみ行われることが適当であり、これは、メタノールの再生および電力向上のシーケンスにおいて使用されるのに十分なLN
2および外部で販売するためのさらなるLN
2を製造するのに低価値の電力を使用するものである。低温蒸留カラムが含まれる場合(
図4には示さない)、次いで、液体のアルゴンをLN
2から排出することができ、それによって別の収入となる流れが得られる。
【0095】
図5を参照しながら、環境修復プロセス(又は環境処置システムまたは環境治癒システム)をここで説明する。環境修復プロセスの例示の実施形態は、アルカリを含む供給原料502(本明細書中、「アルカリ性供給原料」と呼ぶ)を二酸化炭素501および水504とメタノールなどの実質的に非水性の溶媒512とともに接触させることを包含する。(用語「二酸化炭素」は、本明細書中、全体を通して、任意の等級の二酸化炭素ガス、および二酸化炭素を含む様々な「煙道ガス」を包含する任意のガスの流れとして使用される。)アルカリ性供給原料502は、多くの様々な材料の1以上であってもよく、石炭灰、バイオマスからの灰、都市の焼却炉の灰、廃土、下水処理スラッジ、汚染土、赤泥、鉄の製錬およびセメントキルンの廃棄物などが挙げられるが、これらに限定されず、これらは約5.6以上のpHを有するべきである。これらのプロセスは、2つの主要なサブシステムである炭素捕捉アセンブリ500と溶媒再生アセンブリ600とによって実施され得る。炭素捕捉アセンブリ500は、反応容器503と混合容器507とを含み、また、溶媒濃縮器517を含んでいてもよい。溶媒再生アセンブリ600を
図6に関連して本明細書中に詳細に説明する。
【0096】
予備的な工程として、アルカリ性供給原料502は、混合容器507中でメタノール溶媒512と反応してメトキシド505の懸濁液を形成する。二酸化炭素501と、水504と、メトキシド505中に含まれるアルカリ性供給原料502との間の反応は、迅速に起こり、そして二酸化炭素501およびアルカリ性供給原料502をカーボネート506および副生成物の水および熱へと効果的に変換する。より具体的には、CO
2の流れ501と水の流れ504とをメトキシド505に導入し、この両方の流れを反応容器503に別々にほぼ同時に入れる。この分離によって、両方の流れの流速(又はフローレート)を完全に制御することができ、水のストリーム504をCO
2の流れ501に含まれる任意の少量の水蒸気に応答させて調節することができる。反応容器503は、第1のインプット513(これは好ましくはインプットバルブである)を通して混合容器507から、アルカリ性供給原料502と実質的に非水性の溶媒512とからなるメトキシドの懸濁液505を受容する。反応容器503は、第2のインプット511を通してCO
2の流れ501を受容し、第3のインプット511aを通して水を受容し、これらは両方とも好ましくはインプットバルブである。CO
2および水(および少量の一時的な炭酸514)と、メトキシド505中に含まれるアルカリ性供給原料502との間の反応は迅速に生じ、ガス状のCO
2501およびアルカリ性供給原料502をカーボネート506と副生成物の水と熱とに効果的に変換する。
【0097】
混合容器507中でアルカリ性供給原料502を周囲温度のメタノール512と混合することによって、これら2つの化合物の相互作用として熱が生成され、メトキシド505のイオン溶液を生成させ、これは溶媒和した金属水酸化物を含み得る。この得られる溶液中において反応の熱は、典型的には約225
oF〜約300
oFの範囲内であり、これは、回収されてもよく、このプロセスの他の部分(又はセグメント)を温めるために使用されてもよい。いくつかのジメチルカーボネート(DMC)もまた混合容器507中で形成されてもよいが、その後に分解することに留意すべきである。熱を回収した後、メトキシド505は、反応容器503へと送られ、入ってくる水504の流れと、ほとんどが乾燥CO
2の流れ501とを受け入れ(ホストし)、これは、メトキシド505を通して泡立たされる。反応容器503へのメトキシド505の流速(又はフローレート)、ならびに反応容器503から、低温乾燥器602(第1の熱交換器601を経由する)および高温蒸留カラム615への水−メタノールの溶液510の流出の流速は、第1に、CO
2の流れ501の流速とそのCO
2の含量とに依存する。第2に、CO
2の流れの流速は、厳密に調整され、そうすることで生成物の特性および収率に悪影響を及ぼし得る反応容器中への一定量の水は許容しないようになる。
【0098】
メトキシド505は、反応容器503に入り、その中にCO
2のストリーム501および水504が導入される。いくつかの実施形態は、連続した多数の反応容器を使用してもよく、それによって煙道ガスの一定フローが可能となる。反応容器503の例示の実施形態は、約40フィートの高さを有し、ステンレス鋼または適切にコーティングされた炭素鋼から作製されてもよく、あるいは腐食することなく、酸、塩基、水および熱に耐えることができる任意の他の材料から作製されてもよい。反応容器503は、混合容器507に流体接続され、そうすることで、アルカリ−溶媒の懸濁液510は、ここではメトキシド505が、第1のインプット513を通して、反応容器に入るようになる。本明細書中により詳細に記載されるように、CO
2の流れ501は、メタノールの再生に関連して、高温蒸留工程においてその熱含量のいくらかを与える第2のインプット511を通して、反応容器503内に到達する。
【0099】
この得られるカーボネート化した沈殿物506は、オーガ516、あるいはカーボネートの沈殿物を機械的に除去するのに適した任意の他のデバイスまたはシステムを用いて、反応容器503から機械的に除去されてもよい。いくつかの実施形態において、反応容器503中に残存する最大で約10%の容量の水−メタノールの溶液510は、懸濁したカーボネートを含み、これは反応容器の底部に沈降しないが、メタノールの再生プロセスの間に溶液から沈降する。酸と塩基との反応から得られる水は、溶媒とともに溶液を形成するが、この水は、過剰の水を表すものではない。なぜなら、これは、反応を促進するためにそもそも存在していたものであるからである。この水−溶媒の溶液510は、フィルタ114を通して除去され、これは、より大きな固体が反応容器から出ることを防止し、これは、容器の底部に沈降し、ここで、これらは機械的に除去される。この方法は、さらに、反応容器503から水−溶媒の溶液510を除去すること、および溶媒512から水504を分離することを包含する。水−溶媒の溶液510の中で有用金属(metallic value)を運ぶこれらの実施形態において、金属609は、水504とともに分離し、このプロセスのいくつかの位置において回収され得る。この分離および回収のプロセスは、
図6に関連して、以下により完全に説明される。この水およびメタノールの溶液510は、反応の最適温度を反映する温かい温度で反応容器503の頂部付近から引き抜かれ、これによって、反応に必要な時間を最小化する。
【0100】
このカーボネート化された沈殿物506は、このプロセスのどこかから回収した熱による乾燥を受けてもよく、それにより、微粉末またはペレットを与える。反応容器503の底部に沈降するカーボネート化された沈殿物506は、それとともに、少量のメタノールを運んでもよいが、好ましくは水は運ばない。この反応は、水−メタノールの溶液の生成物510を反応容器503の上方に上昇させ、その一方で、沈殿するカーボネート506は、その底部に向かって沈降する。従って、反応容器503の設計は、上昇する液体およびCO
2の流れ501と、沈降するカーボネート506から利益を得る。例えば、メトキシド505および冷たいCO
2の流れ501は、反応容器503の底部付近に入り、その一方で、より温かい水−メタノールの溶液510は、頂部付近から引き抜かれ、その一方で、不活性ガス515(N
2、場合によってはO
2)は、窒素液化アセンブリ300における更なる処理工程に進み得る。このことは、
図3を参照しながら
図4においてより詳細に説明して示す通りである。カーボネートとともに反応容器503から出るメタノール(水−メタノールの溶液510の形態で)は蒸発させることができる。この乾燥カーボネートは、石灰の代替物として使用するための肥料、鉱山の埋め立て(又は再生利用)、道路の充填または他の産業上の用途において使用するために最終使用者(又はエンドユーザ)に送られ得る。また、煙道ガスの流れに含まれる実質的な割合の窒素の酸性酸化物は、メトキシド中のアルカリと反応して、窒素を含む様々な塩(ニトリドが挙げられるが、これに限定されない)を生成し、従って、発電所からの排出を低減する。
【0101】
例示の実施形態は、実質的に非水性の溶媒を使用して、反応をホストする。これは、反応が水を生成するのと同じ速度で、反応容器503の頂部から水−メタノールの溶液510を引き抜くことと、水−メタノールの溶液510を等しい容量の濃い(リッチな)(すなわち、実質的には水を含まない)メトキシド505と置換することとによって達成される。反応容器503への水の流入量は、CO
2の流れ501の含水量と、CO
2の流れ501の先の流入からのメタノール中の溶液中に残存し得る水の量とに依存する。
【0102】
さらに、酸と塩基との反応の生成物である水は、メトキシド505が加水分解することを抑制すように十分な速度で反応容器503から引き抜かれる必要がある。このほとんどが乾燥CO
2である流れ501が、適切な量の水(流れ504)と一緒にメトキシド505を通って泡立ち、CO
2をアルカリ性供給原料502と反応させて、少量の炭酸514を一時的に形成することができ、これは、また、溶媒512によって溶液505中に保持されるアルカリ性供給原料502とも反応する。CO
2の流れ501が十分な圧力(例えば、約16.5psia)で反応容器503に入ることが好ましく、そうすることで、CO
2の流れ501は、ホストのメトキシド505を通って上昇し得、CO
2の流れの未反応の部分を、ほとんどがN
2および気化したメタノールの流れ508として、反応容器503から出ることができ、ここで、メタノールが溶媒濃縮器517での濃縮によって回収される。CO
2の流れ501の予備冷却ルートに沿う圧力低下を説明すると、このシステムは、約17psiaにおいて煙道ガスを受容することを求める。
【0103】
このCO
2の流れ501からCO
2が除去されてカーボネート化された沈殿物506へと化学的に変換されると、CO
2の流れ501の残りの部分は、ほとんどが窒素である。窒素および幾分かのメタノールを含むストリーム508は、反応容器503の頂部から出る。反応が高温であるほど、より多くの気化したメタノールがN
2ガスとともに出る。150
oFよりも高い反応温度は、あまりにも多くのメタノールをN
2とともに容器から放出させる。従って、反応の熱は、制御される必要がある。例えば、反応容器503への入口(又はインレット)のメトキシドの流れ505は、予備冷却され得る。あるいは、反応容器503は、例えば冷たいN
2の流れ509を用いて、容器の頂部付近につり下げられた熱交換器によって内部から冷却されてもよく、反応容器503内で液体を冷却して、濃縮された(液体の)状態でそのメタノール含量を維持してもよく、それにより、残りのN
2の蒸気を液化のための窒素液化アセンブリ300に移動させることができる。好ましくは、反応を150
oF付近に到達させて、一部のメタノールの蒸発を許容することができるが、このメタノールが反応容器503を出た直後にこのメタノールを溶媒濃縮器517中で回収することができる。
【0104】
反応容器内で温度を制御する方法は、入口(又はインレット)の流れ(メトキシド、水など)を冷却すること、および/または内部の熱交換器によって反応容器内の液体を冷却すること、および/またはこれらの技術の組み合わせを包含し得る。これらの選択肢は、
図5には示していない。このような熱の制御システムの工学をよく知る者は、最適な方法を選択する。反応容器が150
oFよりも低く冷却される必要がある程度は、反応の速度を最適化する熱力学の計算によって決定されるが、過剰のメタノールの反応容器からの蒸発を引き起こすことはない。
【0105】
溶媒濃縮器517を出る流れは、ほとんどがN
2515を含む煙道ガスであるが、これは、また、煙道ガスの供給源に依存して、アルゴンおよび低量のO
2を含み得る。痕跡量(又は微量)の水またはCO
2(ppm)は、以下に述べる通り、N
2の流れ515の液化の前に、モレキュラーシーブ305(
図4に示す)において除去される。大量のN
2は、費用効果的に圧縮されて冷却され得、従って、当該分野において公知のプロセスによって液化され得、比較的に高い純度の液体窒素(LN
2)を与えることができるが、標準の空気の分離プラントにおいて製造され得るよりもかなり低コストである。このプロセスは、
図3および
図4を参照して上記に述べる通り、窒素液化アセンブリ300によって行われる。
【0106】
供給原料として適切な材料は、それらの供給源に独立した特徴の重要な組(又はセット)によって特徴付けられる。全体では、適切な供給原料は、主として乾燥状態で無機の性質を有する小さな粒状の寸法のアモルファスの固体の混合物である。供給原料に必要な乾燥は、カーボネート化された生成物の特徴が悪影響を受けない程度にまで、含水量がメタノール溶媒によって除去され得るようなものである。含水量がこの限界を超える場合、このとき、過剰に湿潤した供給原料は、風乾されてもよく、あるいは沈降または濾過などの物理的な水/固体の分離に付されてもよい。本明細書中、「少量の水」または「非常に少量の水」および「実質的には非水性」などの用語は、カーボネート化された沈殿物の生成物の特徴および収率に悪影響を与える閾値未満の水の量を表す。これは、供給原料、溶媒および生成物に依存する。供給原料を構造的に支持する要素(又はエレメント)は、ガラス型の材料からなる微細な粒子および/または様々な微晶質もしくはアモルファスのシリケートである。化学的な反応性は、塩基性または両親媒性の塩または無機物(又は鉱物、鉱石もしくはミネラル)の存在によって規定される。金属の酸化物および水酸化物は、このような化学種の例である。供給原料のpHは、水性カーボネートイオン系の第1のイオン化工程よりも高いことが必要である。一般に、供給原料材料は、約pH5.6以上、およびより具体的には約pH7.0以上のpH値によって特徴付けられる。供給原料のpHの下限およびこのプロセスの操作の下限をpH5.6付近および/またはpH5.6よりも上に設定することによって、カーボネート化された固体の生成物を雨に対して安定であることが保証される。本明細書中に述べる全ての例は、様々な量のガラス型の材料およびシリケートを含む。環境修復または金属の回収(又は再生利用)を目的として、酸性のスラッジまたは酸性のフライアッシュなどの酸性の材料は、標準のフライアッシュなどのアルカリ性供給原料と混合して、カーボネート化および金属回収またはpHの安定化に適したpHが調節された材料を生成することができる。
【0107】
約5.6のpHにおいて、CO
2およびHCO
3−の曲線は交差する。また、このポイントは「理想」の雨のpH値を示す。このポイントから、それ以上の高いpH値では、このカーボネートのシステム(又は系)は、CO
2を結合させる能力、すなわち、現在の地球の大気からCO
2を除去する能力を有する。より低いpHにおいて、CO
2は遊離し(又は自由になり)、大気中へと排出される。この理由から、地球化学的な意義において、CO
2を分離(又は隔離)するための開示のプロセスの適用性の理論的な下限は、供給原料のpHが約5.7ある。フライアッシュの二酸化炭素結合効率は、CaCO
3のレベルまで実証されていて、
図5において、これは約pH9においてである。
【0108】
一般に、セメントのCO
2結合能力は、以下のスタイナーの等式(4)を用いて計算することができる。ここで、重量%でのCO
2の結合は、カルシウム、ナトリウムおよびカリウムの酸化物に基づいて見積もられる。スタイナーの等式は、同様に灰において妥当性を有し、一般に「セメント」様の材料に適用され得ることが示されている。三酸化硫黄のように硫黄は、CO
2の結合を減少させる。pH範囲の検討の一部として、他の金属の酸化物の存在は、ある役割を演じ得る。これは、酸化マグネシウムおよびアルカリの形態のアルミニウムおよびチタンの酸化物を含み得る。一方、例えば、赤泥において、アルミネートは、CO
2結合のための塩基の供給源とは考えられない。これは、このさらなるpH低下作用が、CO
2の曝露の間に援助し得る。
(4)CO
2(w%)=0.785(CaO
2−0.7SO
3)+1.09Na
2O+0.93K
2O
【0109】
CO
2/CO
32−のシステム(又は系)の特徴に基づいて、供給原料は、様々な程度の効率で炭酸の第1のイオン化の工程に近いpHレベルまでCO
2を消費することができる。ベンチマークとして水を使用すると、約5.6のpHにおいて、ビカーボネートの形成は有効となり、CO
2は、pHがこの値よりもかなり下側に低下するまで、このような系中に吸収され得る。固体または溶液などのカーボネート化された媒体の安定性の検討に関して、「きれいな雨」のpHは、開示のプロセスから誘導されたカーボネート化された生成物の環境上の安定性を規定する下限であると考えられた。このpHは、約5.6であり、大気のCO
2の分圧によって得られる雨中での炭酸の濃縮の結果である。開示のプロセスの間でのカーボネート固体の形成の存在下では、最適pHは5.6よりもかなり高くてもよく、プロセスの制御において最適値についてモニタリングされなければならい。これは、このpHの範囲が、石灰岩などの固体の形成、あるいはこの供給原料からの経済学的または毒物学的に関連する金属塩の回収に最適化され得ることを意味する。pH範囲の制御は、例えば、カーボネーションプロセスの持続によって達成され得る。しかし、詳細は、各種の供給原料(例えば、様々なフライアッシュ)またはこの開示のプロセスの特定の用途内においてでさえも変動し得る。強調すると、開示のプロセスの実行可能性によって選択されるより低いpHの値を選択したことによって、広範なバラエティの供給原料を収容し、その限界は、カーボネート系の大気の安定性へと設定された。
【0110】
溶液または固体の酸性度とアルカリ度との間には差があることに留意すべきである。一方、関連して、アルカリ度とは、ある系(しばしばCO
2/CO
32−の緩衝液の系に関して)のpH値の変化に耐える系の能力として説明される。この開示のプロセスにおいて、これは物質収支(又はマスバランス)のことであり、ある系が耐えるpHの変化のことではない。フライアッシュの場合において、炭素結合能は、厳密な物質収支の等式であるスタイナーの式(上記参照)を用いて決定され得る。アルカリ度は、カーボネーションの間の反応の挙動を決定することができる。
【0111】
環境修復プロセスの実施形態の主要な用途の1つは、供給原料源550(石炭火力発電所、都市固形廃棄物焼却炉(MSWI)およびパルプ工場など)の二酸化炭素の排出およびフライアッシュの生成の処置(又は修復)(remediation)である。これらの例において、CO
2供給源は、固定量の環境に負荷を与える(environmentally challenging)フライアッシュを生成し、これは、この場所(又は領地)で生成される二酸化炭素を利用して中和することができる。これらの生成物は、人工石灰岩の基材ならびに危険もしくは価値のある金属の分離した残渣である。人工石灰岩の基材は、様々な用途、例えば、農業における土(又は土壌)の捕捉物質、自然景観、建築および土(又は土壌)の安定化として適している。回収される金属(価値のあるものも、危険なものもある)は、さらなる処理のために除去される。
【0112】
供給原料源550の1つの例は、石炭火力発電所からの廃棄物であり、ここでは、アルカリ性供給原料は石炭からのフライアッシュである。CaO(酸化カルシウム)は、CO
2に対して反応性を提供する石炭灰中に見出される原則の金属酸化物である。しばしば、これは、フライアッシュ中に存在する最も豊富な塩基性の金属酸化物である。カルシウムに加えて、他の塩基性の金属酸化物は、バリウム、ストリンチウムまたはマグネシウムの酸化物または水酸化物を含み得る。石炭によってもたらされるフライアッシュの組成は、複雑であり、高く変動し得る。この等級の石炭およびその地理的な起源は、フライアッシュの組成および鉱物特性において重要な役割を担う。例示の実施形態では、CO
2はフライアッシュによって、主にカルシウムまたはカルシウム−マグネシウムのカーボネートとして結合される。カーボネーションのレベルに依存して、様々な他のカーボネートが形成されることが期待される。これは、アルカリのカーボネートおよびビカーボネート、鉄カーボネート、マグネシウムカーボネートなどを含むことができる。
【0113】
供給原料源550の別の例は、都市固形廃棄物焼却炉である。MSWIからのライアッシュは、原則の金属の塩基として酸化カルシウムを含む。石炭に対して、MSWIフライアッシュの鉱物特性は、複雑さが少ないようであるが、これは、同様に潜在的に高レベルの重金属を含む。フライアッシュとMSWIの灰との間の類似性に基づいて、MSWIの灰中の浸出可能な金属は、メタノール性の液相中に移動することが期待され、金属の浸出可能な重金属の含有量を減少させて、これらの金属をメタノール性の反応媒体によって回収するのに利用可能になる。
【0114】
パルプ工場の廃棄物流は、別の可能な供給原料源550である。パルプ工場などの木材加工に由来する灰は、高レベルの酸化カルシウムを含み、ガラス/セラミック型の材料およびシリケートによって構造的に支持される。酸化カルシウムの含有量は、燃やされる木の種類に依存する(例えば、オーク、バーチ、パイン)。木材由来のフライアッシュは、容易にカーボネート化され、様々な重金属を含み得る。重金属は、プラントの要素(plant matter)中に痕跡量の形態で含まれ、また、プラントの要素への埃の付着によって入る。木材および木材の破片を燃やすことにより、元々の質量が減少して少量となり、灰中で金属を濃縮する。フライアッシュの別の供給原料源550は、セメントキルンである。セメントキルンにおいて、CaOは、そのカーボネートの石の脱カルボキシル化の点よりも高い点で石灰石を加熱することによって製造される。熱を発生させるために、大量の石炭または他の燃料が燃やされる。この理由から、セメントキルンに存在する2つの大きなCO
2の供給源、バーナー、および実際のCaOの製造からの排気が存在する。この筋書き(又はシナリオ)において、この開示の環境修復プロセスを利用して2つの問題を解決することができる。
【0115】
この開示のプロセスを採用することで、炉によって生成されるフライアッシュをカーボネート化すること、および/または石灰岩を脱気することによって、あらゆる煙道ガスの流れからCO
2を除去することができる。フライアッシュは、製造されるセメントの種類およびセメント工場の操作に応じて、セメントまたはセメント前駆体に添加するための良好な基材であり得ることが十分に確立されている。別の検討は、セメント工場が残土(又はスポイル)を生成することであり、これは、開示の環境修復プロセスへの適切な供給原料となり得る。アルコール性の溶媒は、同様に供給原料の有機負荷の減少を援助し得ることに留意すべきである。なぜなら、特定量の危険な有機材料、例えば、揮発性有機化合物(VOC類)、フーゼル油、芳香族炭化水素類、ダイオキシン類などは、アルコール性の溶媒中に少なくとも部分的に溶解することが期待されるからである。これらの有機材料は、メタノールの再生プロセスの間に適切に処分するために回収され得る。
【0116】
別の可能な供給原料である赤泥は、ボーキサイトからの酸化アルミニウムの抽出の間に発生する最初の廃棄物生成物である。バイヤー抽出プロセスの結果として、赤泥中の液相のアルカリ度の主たる供給源は、苛性ソーダ(NaOH)である。固相のアルカリ度は、カルシウムアルミネートなどの化学種から誘導される。赤泥の含水量は高く、そして、処置(又は修復)の目的では、これは、しばしば、濾過されて、より多くの固体を含むスラリーを過度の液体を含むものから分離する。赤泥中に見出される一般の無機の化学種は、シリケートや、アルミニウム、鉄およびチタンの酸化物、ならびに様々なカルシウムおよびナトリウムの化学種である。
【0117】
液体のカーボネーション(又はカーボネート化)において形成される主たるカーボネートは、ナトリウムカーボネート(Na
2CO
3)である。固体のカーボネート化は、カルシウムおよびナトリウムのカーボネートを主に形成する。さらに別の本発明の実施形態では、下水処理プラントで生成されるバイオマス(スラッジ)は、供給原料として役立つことができる。下水処理プラントのスラッジは、別の重要な廃棄物の負荷(又はチャレンジ)を示す。その一方で、下水スラッジのホスフェートの含有量は、望ましい肥料の供給源となり得る。しかし、重金属およびスラッジのバイオハザードの負荷は顕著である。下水処理プラントからのスラッジが肥料として使用され得る前に広範囲にわたる処理が必要である。このような処理は、他の処理の中でも、ライミング、焼却、熱溶解、または金属の酸抽出を含んでいてもよい。しばしば、これらの工程の組み合わせが含まれる。
【0118】
スラッジ焼却からの灰は、40%超の酸化カルシウムを含み得るが、典型的には、酸化カルシウムのレベルは、ほとんどの石炭の灰と同様であり、このような灰のバルクの組成は、石炭またはMSWIの灰からと同様にほとんど異ならない。しかし、痕跡量の元素のレベルは、増大し、希土類元素は、濃縮されたレベルで存在し得る。なぜなら、本発明は、灰材料から金属を浸出して灰のpHを安定化するからであり、下水プラントからのバイオマスは、開示のプロセスの供給原料の別の例示である。十分に乾燥した形態において、スラッジは、開示のプロセスにおいて、直接的にカーボネート化されてもよい。焼却される場合、焼却からの煙道ガスを灰の石灰化に利用することができ、その一方で、分離処理工程なしで浸出可能な金属の含有量を減少させる。さらに、バイオマスの燃焼からの残りの熱は、これらのプロセスに電力(又はパワー)を石炭火力発電所のそれと調和する方法で供給することができる。
【0119】
さらに、下水処理プラントは、嫌気性消化装置を用いて、湿ったガスの流れを生成し、これは50%超のCO
2を含むことができるものであり、この流れの残りの大半はメタンである。本発明の一実施形態において、このような嫌気性消化装置のガスは、まず、開示のプロセスを通して送られ、ここで、このガス中のCO
2は、そのほとんどが固体の供給原料(スラッジ)(これも同一の下水処理プラントで製造される)をカーボネート化する。次いで、そのほとんどが純粋なメタンを、電力(又はパワー)を製造する原動機において燃料として使用する。燃焼の生成物は、反応容器に入るCO
2の流れに添加される。従って、この実施形態は、ゼロCO
2排出を有する包括的なプロセスを与え、スラッジ処理 (これは肥料および回収可能な金属を製造する)を低減し、そして電気の形態で「再生可能な」エネルギーを製造する。さらに、下水スラッジは、灰と混合することができ、その後、石灰化したスラッジを直接的に形成するためのカーボネーションプロセスに直接的に供され、スラッジを予め焼却することはない。
【0120】
環境修復プロセスの実施形態への赤泥の適合性が本質的に与えられる。なぜなら、これは赤泥の高い塩基度が原因であり、なおかつセーターベースのカーボネーションモデルが赤泥のpHの処置(又は修復)という意味で炭素の分離(又は隔離)の可能性を実証しているからである。しかし、水ベースの用途は、pHが低減された大量の泥の発生を受け、これは、新たな処分の問題を生む。この泥の処分の問題は、乾燥した粉末の最終生成物を与える開示のプロセスの適用によって完全に回避される。中和の前に赤泥の風乾が実行できる場合、次いで、風乾された赤泥は、良好な供給原料であり、濾過された、または濾過されていない湿潤した赤泥よりも好ましい。
【0121】
汚染土は、この開示の環境修復プロセス、例えば「スーパーファンド」の土(又は土壌)の修復(又は処置)の筋書き(又はシナリオ)の少なくとも2つの場合において、適した供給原料である。第1の筋書きは、高く塩基性となった土(又は土壌)あるいはそのpH緩衝能力を失った土(又は土壌)のpHの安定化に関する。例は、廃棄物の沼(尾を引く池)および他の産業用地を囲む土(又は土壌)である。別の筋書きは、例えば、ヒ素、ゲルマニウム、ウラン、水銀、ニッケルまたはバナジウムなどの重金属が負荷されることとなった土(又は土壌)の浄化である。この場合、メタノールでのカーボネーションは、pHおよび/または他の塩の溶解性の効果に基づいて、土(又は土壌)から重金属を浸出させて、これらの重金属の単離および回収が可能となる。
【0122】
例示の実施形態において、CO
2の流れは、煙道ガス501をメトキシドの懸濁液505に導入することによって提供され得、そうすることで、この得られるカーボネート506は、煙道ガス中の二酸化硫黄と反応して亜硫酸カルシウムを形成する。従って、アルカリ性供給原料502がフライアッシュである場合、フライアッシュ中のカルシウムは、カーボンニュートラルの様式でSO
2と反応することができる。脱硫プロセスのカルシウムカーボネートは、フライアッシュからインサイチュで形成され、脱硫基材の製造および輸送を必要としない。硫黄の多い煙道ガスの供給源の場合、2段階のプロセスが予想され得、ここで、第1の工程でCO
2を結合し、第2の工程で脱硫する。
【0124】
等式5に示すとおり、供給原料中に存在するCaOは、カーボネートとして、廃棄物ガスのCO
2と結合して、カーボネート化された生成物を形成する。二酸化硫黄の存在下では、このカーボネートが後に反応して亜硫酸カルシウムを形成する。この第2の工程は、石炭火力発電所における煙道ガス脱硫の基礎である。供えられた脱硫工程とは異なり、開示のプロセスからのこの結果は、カーボンニュートラルであり、脱硫は、この開示のプロセスに本質的である。従来の煙道ガス脱硫とは異なり、この特徴によって、過剰に製造される石灰石の必要を排除する。ここで、化石のCO
2が石炭の燃焼のCO
2に加えて遊離する(又は自由になる)。
図5に示される水は、反応の水であり、このとき、その一部はこの転化に必要とされるようである。その必要な水の量は状況によるものであり、供給原料および煙道ガスの硫黄の負荷に依存し得る。しかし、ほとんどの煙道ガスにおいて、水は、少なくともパーセントレベルの濃度で存在し、その結果、これは、反応を起こすのに利用できる十分な水が典型的に存在することが仮定され得る。この脱硫を超えて、開示のプロセスは、灰の処置および石炭のフライアッシュからの金属塩の回収を達成し、カーボンニュートラルな様式でSO
2と反応し得る。この実施形態は、公知の脱硫プロセスに対して、顕著な利点を提供し、これは、高カルシウム含料の石を利用して、高硫黄の石炭火力発電所および石油火力発電所からの放出ガスを脱硫する。公知のプロセスにおいて、発電所のカーボンフットプリントを増加させる石炭の燃焼の間に発生するCO
2に加えて化石のCO
2が遊離する(又は自由になる)。さらに、この種の脱硫において、一般に用いられる溶媒は水であり、湿潤した材料を生成し、これは乾燥して生成物を仕上げるために顕著なエネルギーの注入(又はインプット)を必要とする。
【0125】
上記の実施形態の多くにおいて、供給原料およびCO
2の供給源は、同じ場所で製造されることが仮定された。例示の実施形態は、基材をCO
2の供給源に輸送し、この供給原料の一部を有用な固体の生成物に変換するための環境修復プロセスを使用し、さらなる処理のために特定の危険で高価値の回収可能な材料を単離し、この供給源でのCO
2の排出を軽減する。このモデルの1つの例は、石炭火力発電所に由来するフライアッシュ(あるいは他の供給源からの灰)を天然ガス火力複合サイクル発電所に輸送することであり、これらは、この開示のプロセスにあわせて改造される。例えば、単一の500MWの複合サイクルの発電所の全てのCO
2の出力(又は排出もしくはアプトプット)は、2つの500MWの石炭火力発電所のフライアッシュの出力によって軽減することができ、この複合サイクルの発電所を「ゼロエミッション」の設備に変換して、2つの石炭火力発電所からの灰の出力(又はアウトプット)の生産用途を可能とする。ここで、この灰の出力が処分のための特定のランドフィルに送られる場合、次いで、この複合サイクルの発電所への灰の輸送に関するCO
2のフットプリントは、本質的に同一のままである。各第3の石炭火力発電所(本質的には最も古く、効率の最も低いもの)が天然ガス火力複合サイクル発電所に置換される場合、および残りの2つの石炭火力発電所が、この「置換」の複合サイクル発電所において、開示の実施形態に灰を供給する場合、ネット(又は正味)のCO
2排出の減少は33%である。残りの石炭火力発電所において生成される、より少ない量の灰の生産用途は、等しく重要な成果となる。
【0126】
多くのランドフィルの用地では、現在、その用地で燃焼される成分の分解によって、ランドフィルで発生したランドフィルガス(LFG)から発電する。これらの「LFG−to−kW」の施設は、煙道ガス中にCO
2を発生し、これは燃焼プロセスの生成物であり、CO
2は、生成されるLFGの重要な(50%を超える)部分である。複合サイクル発電所について記載した通り、基材のこのようなLFG用地への輸送によって、「ゼロエミッション」の形を作ることができ、固体の有用な生成物の流れを生じさせることができる。灰を埋める代わりに、ランドフィルの能力を取り上げて、この灰を使用して、ランドフィルのCO
2出力を軽減し、価値のある固体の生成物(単数または複数)を与える。上記のように、灰をその生成用地から、この開示のプロセスの「再生利用」の設備に移動させる輸送に関するCO
2の「コスト」は変わらない。
【0127】
例示の実施形態において、環境修復プロセスで得られるカーボネート化された沈殿物506は、鉄製錬プロセスにおいて使用され得る。石炭の燃焼は、有意量の鉄の無機物(又は鉱物、鉱石もしくはミネラル)を含むフライアッシュを発生し得る。
図7に示す通り、フライアッシュは、磁気分離器を利用して、その特定成分の磁気特性に基づいて磁気によってフラクションへと分離され得る。分離器の磁石によって回収されるフラクションでは、酸化鉄が濃縮され、一方で、残りの成分では鉄が枯渇している。鉄が濃縮された成分のカーボネーションの際には、鉄基材のカーボネートが生成され、これは、鉄製錬プロセスにおいて直接的に利用され得る。鉄が枯渇した成分は、カーボネーションに供されて、従来の様式のカーボネートを生成する。
【0128】
より具体的には、
図7に示す通り、金属回収方法の実施形態は、磁気分離器701中の供給原料502を磁気の流れ(磁気の灰など)702と非磁気の流れ703とに分離する。後者を反応アレイ500(炭素捕捉アセンブリ500として
図5中により完全に示す)中で処理して、本明細書中に記載のカーボネート化された沈殿物506(人工石灰岩など)を得る。磁気の流れ702を分離反応アレイ500で処理して、鉄基材のカーボネート704を与え、これは鉄の製錬所705に送られ、ここで基材704は、酸化鉄およびカーボネートを鉄の精錬および製造プロセスに有益に貢献する。
【0129】
表1に示す通り、フライアッシュは、CO
2負荷能力の有意な損失はなく、磁気によって濃縮され得る。
【0131】
カーボネートは鉄の精錬に広く使用され、酸化鉄の金属鉄への還元を促進する。これらは、それと同時に、酸素および炭素の供給源である。さらに、カルシウムを含む材料での鉄鉱石のロースティングは、鉄鉱石からのバナジウムの回収を促進する。開示の環境修復プロセスは、カーボネート化されてカルシウムが多く、カーボネートとバナジウムとを含む材料を生成する。従って、この開示のプロセスで製造されたカーボネート化されたフライアッシュは、鉄のロースティングプロセスに理想の材料であり、このとき、石炭中に含まれるバナジウムが、鉄製錬プロセスにおいて回収され得る。フライアッシュの鉄の含有量が十分に高く、15重量%超の鉄の場合、このとき、この磁気分離は省略されてもよい。高バナジウム含有量のフライアッシュなどの他の要因に依存して、フライアッシュは、同様に任意の磁気分離なく、鉄製錬プロセスにおいて直接的に利用され得る。磁気分離の正確な範囲および高バナジウム含有量に寄与するものは、原材料のコストまたは戦略的な供給の問題などの経済の要因に大きく依存する。
【0132】
鉄製造産業において、カーボネート化されたフライアッシュを用いることによって、この開示のプロセスの物理的な位置は、フライアッシュの供給源から鉄製錬所へと移動され得る。この点において、全てのフライアッシュは、その場でカーボネート化することができ、このカーボネート化された生成物の仕上げ(又はフィニッシング)が要求することは、技術的な性質のものだけである。なぜなら、このカーボネート化されたフライアッシュは、環境中に分配されないが、技術的なプロセスに用いられるからである。さらに、フライアッシュの流れは、磁気分離器701を通してフライアッシュを通過させることによって、磁気および非磁気の流れへと分離され得る(
図7参照)。この得られる鉄の少ないフライアッシュは、フライアッシュの発生場所でカーボネート化することができ、例えば農業用途の最終製品を生成する。この鉄が濃縮された流れを鉄の製錬所に輸送することができ、ここで、これを製錬所のCO
2廃棄物流を利用してカーボネート化することができ、鉄のロースティングプロセスに直接に送ることができる。このカーボンフットプリントの減少は、炭素の供給源として、カーボネート岩石からの化石のカーボネートではなく、人造のCO
2を利用することに由来する。フライアッシュの処分の問題は、同様に解決される。なぜなら、フライアッシュの有意な成分は、無機物(又は鉱物、鉱石もしくはミネラル)および鉄製造の炭素供給源として使用することができるからである。
【0133】
例示の実施形態は、廃棄物から金属を回収するために使用され得る。岩石、土(又は土壌)および灰では、金属は、ほとんどはその元素の形態では生じない。これらは塩または無機物(又は鉱物、鉱石もしくはミネラル)として存在する。典型的には、これらの塩および無機物は、シリケート、ヒドロキシド、オキシド、クロリド、ホスフェートなどである。これらの塩のいくらかは集合して、事実上、不溶性の無機構造を形成するが、その一方で、他方は、様々な溶解度を有する塩の形態のままである。浸出、回収および再生利用に関する用語「金属」は、金属塩または無機物(又はミネラル、鉱物もしくは鉱石)を指す。「金属分」とは、すべてのその形態、塩であろうとも、他の金属種または元素の形態での金属を指す。従って、開示のプロセスの1つの有意な利点は、CO
2の吸収に加えて、廃棄物流から価値のある金属の「採掘」(又はマイニング)である。
【0134】
灰の場合、灰の供給源の元々の重量の10%〜20%のみが燃焼後に灰中に残存する。全ての揮発性の材料は、例えば水またはCO
2として燃焼中にほとんど失われる。これによって、灰の金属の含有量は、最初の可燃性の材料に対して、5〜10の数(又はファクター)だけ増加する。一般にフライアッシュの組成は変動する。実際の化学の形態から独立して、フライアッシュの基本成分は、対応する酸化物の重量%で示される。典型的な主要な構成成分およびその範囲は、SiO
2(シリカ、5〜60%)、Fe
2O
3(鉄の塩、2〜50%)、CaO(酸化カルシウム、2〜45%)、SO
3(三酸化硫黄としての硫黄、1〜20%)、A1
2O
3(アルミナ、5〜30%)である。他の主要な化学種は、ナトリウム、マグネシウム、リン、チタンおよびカリウムの酸化物である。
【0135】
灰などの複雑な混合物を水などの溶媒に曝す場合、灰中に存在する塩は、その溶解度に応じて溶媒中に放出される。このプロセスは煩雑であり、そして浸出と呼ばれ、これは金属塩の溶解のことである。いったん浸出が起こると、イオンが交換し得て、少なくてより多くの溶解性の金属塩を形成することができ、異なる浸出挙動が生じる。カーボネーションの反応の場合、塩化バリウムなどの前もって可溶性の金属塩は、かなり溶解度の低いカーボネートを形成し得、その後、浸出可能な化学種として利用できることは少なくなり得る。ウランの塩が例であり、ここでカーボネートは、特定の条件下で、より可溶性の形態であり得る。この例は、また、特定の溶液のプロセスのpH依存性を強調する。ウランの場合、より安定の形態は、ウラミルホスフェート種であるが、このホスフェートの対イオンの溶解性はpH依存性である。スラリーのpHが減少するにつれて、ホスフェートは、ウラミウム塩の全体の溶解度を減少させる無機物(又は鉱物、鉱石もしくはミネラル)の粒子上に段々と吸収(又は吸着)されるようになる。未だ、カーボネートイオンの存在下、ウラミルカーボネートの形成が実行可能となり、サンプル中に存在するウランに浸出の経路を提供する。カーボネートイオンは、記載の金属回収方法において利用可能であるので、この開示の方法は、汚染土からウランの除去を促進し得る。
【0136】
図5は、また、例示の金属回収方法を示し、これは、メタノールなどの実質的に非水性の溶媒512とともに、二酸化炭素の流れ501および水504と供給原料または廃棄物流502とを接触させることを包含する。本明細書中により詳細に記載される通り、廃棄物流は、アルカリ性供給原料と、塩または無機物(又は鉱物、鉱石もしくはミネラル)の形態で濃縮された1以上の金属とを含む。廃棄物流502は、メタノール512と反応して、メトキシド505の懸濁液を形成する。二酸化炭素501と、水504と、メトキシド505中に含まれる廃棄物流502中の濃縮された金属との間の反応は、迅速に起こり(1秒未満の場合もある)、二酸化炭素501と濃縮された金属とをカーボネート506と、
図6およびこの図の説明においてより完全に説明される湿潤したメタノールの流れとともに移動する金属と、副生成物の水と、熱とに効果的に変換する。この得られるカーボネート化された沈殿物506を機械的に反応容器503から移動させてもよい。この得られる金属(
図6に関して、以下により完全に説明されるもの)は、精製金属または精製金属塩の製造に適している。精製金属に適しているとは、経済的な検討に基づいて、商業的に価値のある金属を回収する目的で、さらに処理することを正当化するためにppmで測定されるほど十分に高い金属濃度と定義される。管理された危険な廃棄物の処分に適しているとは、高温焼却または他の公知かつ認可された毒性金属の処分の規約(又はプロトコル)などの方法によって処分される商業価値のない毒性金属と定義される。
【0137】
塩の性質に依存して、所定の固体/上澄み溶液のマトリクス中での最適な溶解度は、溶液媒体の酸性、中性または塩基性のpH値で達成され得る。これらの場合において、開示のプロセスの間の溶媒のpHの修正によって、問題の金属塩によるカーボネートの形成とは独立して、溶解度の向上を支援し得る。この操作において、これは、CO
2の暴露の制御によって達成され得る。残りの水−メタノールの溶液510のいくらかは、メタノールの再生プロセスの一部として溶液から沈降する懸濁したカーボネート化された沈殿物506を含み得る。水−メタノールの溶液510は除去されてもよく、水はこのメタノール溶媒から分離される。
【0138】
廃棄物流中の濃縮される金属の一部は、ヒ素、水銀、鉛、バナジウムおよびニッケルである。上述の通り、汚染土を廃棄物流として使用する場合、ウラン、水銀またはヒ素などの重金属は土(又は土壌)中に含まれる。開示の金属回収方法のメタノールによるカーボネーションは、pHおよび/または他の塩の溶解度の効果に基づいて、土(又は土壌)から重金属を浸出させて、これらの重金属の単離および回収が可能となる。
【0139】
浸出可能な金属は、特定の範囲へのカーボネーションの間に灰から除去されるので、その得られるカーボネート化された生成物は、毒性の金属を環境中に負荷することは少ないようである。具体的には、この点において、金属の毒性は減少される。なぜなら、浸出可能な危険で価値のある金属は、反応器の操作の間に液相510によって懸濁したカーボネートの沈殿物506から除去されているからである。一旦、カーボネートの沈殿物506が反応器から除去されていると、カーボネート化された供給原料および浸出可能な金属の流れは別々である。カーボネーションの間に供給原料から浸出された危険で価値のある金属は、
図6に示される廃棄物濃縮物609中に見出され、これは、湿潤メタノールの再生の間に、液相510から誘導され得る。ここで、これらの金属は、濃縮された形態609中に見出され、これは取り扱いおよび輸送が容易である。これらは、たとえば、価値のある金属種の回収のために、管理された小規模の危険な廃棄物の管理設備で処分され得るか、あるいは塩の精製者によって利用され得る。
【0140】
図5の説明を続けると、CO
2は、煙道ガス501から除去され、カーボネート化された沈殿物506に化学的に変換され、煙道ガスの残りの部分は、ほとんどが窒素である。窒素および幾らかのメタノールを含む流れ508は、反応容器503の頂部を出る。より高温の反応では、より多くの気化したメタノールがN
2ガスとともに出る。150
oFよりも高い反応温度によって、メタノールがあまりにも多くなり、N
2とともに容器を出る。従って、反応の熱は制御される必要がある。例えば、反応容器503への入口(又はインレット)のメトキシドの流れ505は、予備冷却され得る。あるいは、反応容器503は、容器の頂部付近に吊下げられた熱交換器によって内部から冷却され得る。例えば、冷たいN
2の流れ509を用いて反応容器中の液体を冷却してそのメタノール含有量を濃縮された(液体の)状態で維持する。そうすることで、残りのN
2の蒸気を液化のための窒素液化アセンブリ300へと移動させることができる。好ましくは、反応は150
oF付近に到達させることができ、幾分かのメタノールの蒸発を許容するが、このメタノールが反応容器503を出た直後にこのメタノールを溶媒濃縮器517中で回収することができる。
【0141】
反応容器中で温度を制御する方法は、入口(又はインレット)の流れ(メトキシド、水など)を冷却すること、および/または内部の熱交換器によって反応容器中の液体を冷却すること、および/またはこれらの技術の組み合わせを包含し得る。これらの選択肢は
図5には示していない。このような熱制御システムの工学をよく知る者は、最適な方法を選択する。反応容器が150
oFよりも低く冷却される必要がある程度は、反応の速度を最適化する熱力学の計算によって決定されるが、反応容器から過剰のメタノールを蒸発させることはない。
【0142】
溶媒濃縮器517を出る流れは、煙道ガスであり、ほとんどがN
2515であるが、これは、また、煙道ガスの供給源に依存して、アルゴンおよび少量のO
2を含んでいてもよい。痕跡量の水またはCO
2(ppm)は、以下にて述べる通り、そのほとんどがN
2の流れ515の液化の前に、モレキュラーシーブで除去される。多くのN
2は、費用効果的に圧縮されて冷却され、従って、当該分野で公知のプロセスによって液化されて、比較的に高い純度の液体窒素(LN
2)を与え得るが、これは標準的な大気の分離プラントにおいて製造され得るよりもかなり低コストである。このプロセスは、
図3に示す窒素液化アセンブリ300によって実施される。
【0143】
図6を見ると、溶媒再生アセンブリ600がより詳細に示される。溶媒再生アセンブリ600は、反応容器503に流体接続され、第1の熱交換器601、低温乾燥器602を含み、低温乾燥器602は、第1の熱交換器に流体接続され、これは第2の熱交換器603に流体接続され、これは第3の熱交換器604に流体接続され、これは高温蒸留器605に流体接続される。追加またはより少ない数の熱交換器を使用してもよい。なぜなら、本発明は、プロセスの設計、熱力学、特に液体と気体との間で熱を移動させるための様々な利用可能な熱交換器をよく知る者によって最適化される。水−メタノールの溶液510は、第1の熱交換器601に送られ、ここで、これは、高圧(例えば、約800psia)、あるいは以下にて述べる出力向上の特徴に適した任意の他の圧力へとポンピングされた(低温ポンプによって、図示せず)、液体のN
2509を用いた熱交換によって深く冷却される。この深く冷却された水−メタノールの溶液510は、次いで、低温乾燥器602へと送られ、ここでほぼ凍った水(これは(少量のメタノールを含む、水の「スラッシュ」)を含む)が低温乾燥器602の底部に沈降して、ほとんど水の流れ606を低温乾燥器602の底部612から排出することができ、ほとんどメタノールの流れ512を出して、容器の頂部611から排出される。アルカリとしてKHを使用している場合、カーボネートのいくらかは低温乾燥器602中で沈降する。低温脱塩プロセスから残存するブラインは、塩、無機物(又は鉱物、鉱石もしくはミネラル)および他の化学的な形態などの様々な金属種として、抽出可能な金属を含む。この残存するブラインは有意に減少した用量を有するので、金属は、例えば、逆浸透圧法または分別再結晶によって、このブラインから単離され得るか、あるいは605での溶媒除去によってさらに濃縮され得る。高レベルの特定の元素が見出される場合、この残渣は、605での処理の後に金属自体の生成に直接的に役立ち得る。必要に応じて、容器602は、液体/固体の分離器を備える。低温乾燥工程の後、メタノール512および水性のメタノール510の画分(又はフラクション)は、あらゆる溶解されていないものを運ぶことは期待されていない。これは、特定量の溶解した固体がこれらの液体の流れの中に残存することを排除し得るものではない。残りの溶解した固体は、以下にて述べるとおり、回収される。
【0144】
いくつかの実施形態において、水−メタノールの流れ510は、メタノールとともに溶液中の生成金属種609を運ぶ。これらの生成金属種609は、低温乾燥器602の底部612に向って沈殿し、容器の底部から機械的な手段(オーガ608など)によって除去され、水−メタノールの流れ606は、容器612のより高い点から、ほとんど水として除去される。流れ606または512は、それらがこの開示のプロセスにおいて移動する際、これらと技術的に排除することのできない量の固体のみを運ぶ。
【0145】
次に、このほとんど水の流れ606は、第2の熱交換器603に移動し、これは好ましくは、周囲空気の熱交換器であり、温めるためのものである。(
図6のストリーム43は、周囲空気であってもよく、ファンまたは任意の他の低級の熱源によって移動され得る。)熱の他の供給源は、様々な熱輸送の流れ(
図5の流れ509など)をこの流れが溶媒濃縮器517を出た後に含み得る。この選択は、N
2の流れの予備冷却に役立ち、その後、これは液化のための窒素液化アセンブリ300に到達する。第2の熱交換器603から、このほとんど水の流れ606は、第3の熱交換器604に入り、これはメタノール蒸気の濃縮器として作用し、ここで、これは、さらに、高温蒸留器605から放出されるメタノールの蒸気512によって温められる。明確にすることを目的として、第3の熱交換器604は、第2の熱交換器603と蒸留容器(または蒸留カラム)605との間に直接的に示す。このプロセスの完全に工学化された変形では、第3の熱交換器604を蒸留カラム605の上方に配置するようであり、制御バルブ613を通して移動する還流の溶媒の流れを重力でカラム中に落とすことができる。あるいは、小さなポンプは、この還流の流れを604から605へと移動させる。複数のユニットを組み合わせて、より少ない数のユニットにすることを含む(例えば、単一の熱交換器であっても)熱交換器の他の配置が可能であってもよく、これは本発明によって考えられる。
【0146】
第3の熱交換器604で使用されるメタノールの蒸気512は、好ましくは約150
oF以上であり、実質的には純粋なメタノールの蒸気である。水は、高温蒸留器605から回収され得て、N
2の流れ509が第1の熱交換器601を出るときにこれを温めるために使用されてもよく、これは発電所400でのその出力向上機能の途中であり、このパワーサイクルによって、この第1の場所において煙道ガスが生成され、窒素液化アセンブリ300に電力(又はパワー)が与えられる。この地点において蒸気であるメタノールの流れ512は、ほとんど水の流れ606によって液体に濃縮され、回収したメタノール512を液体の形態でさらなるメトキシドの製造のための混合容器507に送り返すことができる。
【0147】
この流れ512(非常に少ない含水量を有する)は、「乾燥(又はドライ)」メタノールとして、低温乾燥器602の頂部から回収され、第1の熱交換器601(その冷気を回収数する)を通して戻され、次いで、第3の熱交換器604を出る戻りの流れと一緒にして、この混合したほとんどメタノールの流れ512を混合容器507に送り返す。流れ512(ほどんど乾燥メタノール)のリターンフローは、第1の熱交換器601を通して移動し、液体N
2が反応容器503からの水−メタノールの流れ510を冷却するのを助ける。
【0148】
低温乾燥器602を出て第2の熱交換器603および第3の熱交換器604で温められるそのほとんどが水の流れ511は、高温蒸留器605で加熱され、その限定された含有量のメタノールの蒸気を放出して、純粋な水を高温蒸留器605の底部から出すことができる。この蒸留の熱源は、熱い煙道ガス501であり、これは高温蒸留器605の底部のリボイラー614を通って移動する。この熱い煙道ガスは、この工程において、その熱のほとんどを与えるが、未だ他の場所で使用するために回収され得る十分な残りの熱を有する。高温蒸留器605を出るこの回収された水504のほとんどが反応容器503に送り返され、そうすることでこの煙道ガス中のCO
2は、
図5に示すように、炭酸514を形成し得る。製造され得る任意の余分な水は、これが高温蒸留器605を出た後、活性炭濾過の1以上の層を通して送られ得、この水は飲料用とすることができる。あるいは、余剰の回収した水は、水製造の供給源として、発電所のスチームサイクルに送られて、このスチームサイクルで失った水と置換してもよい。天然ガス火力発電所からの煙道ガスは、高含水量を有し、煙道ガス中のCO
2とともに炭酸を形成するために反応容器503へと戻される高温蒸留器605から回収される水504の損失を必要とする。
【0149】
低圧のメタノールの蒸気512は、高温蒸留器605(蒸留カラムとしても知られる)の頂部を出る。この蒸気の熱を使用して、冷たい(ほとんど水)の流れ606を予備加熱して、これを高温蒸留器605へと戻す。この熱交換によって、メタノールの蒸気512を濃縮させる。従って、上述の通り、熱交換器604は、メタノール蒸気濃縮器とも呼ばれ得る。この濃縮されたメタノールの流れの一部は、一種の還流の流れとして、高温蒸留器605の頂部へと送り返され、これは、その下方のそのほとんどが水の混合物中でメタノールを気化させるのを助ける。好ましくは、高温蒸留器605の頂部へと送り返されるこの濃縮されたメタノールの流れの一部は、約10%の流れである。バルブ613は、還流ライン上に示されるが、これは、その流れが容器に入る前である。
【0150】
液体N
2の流れ509は、水−メタノールの流れ510を深く冷却(約−50〜−80
oF)する第1の熱交換器601を通して流れる。液体N
2509の流速は、第1の熱交換器601を通して、気化された液体のN
2の出口温度を調節する(ここではN
2)。好ましい実施形態において、この気化したN
2は、反応容器503を出るほとんどがN
2の流れ508中に含まれるメタノールを濃縮する溶媒濃縮器517における冷媒として役立つには十分に冷たい(
図5に示す通り)。反応容器503から流出する流れ508中のメタノールを濃縮するのに役立っているこのサイドループのN
2は、第1の熱交換器601を出る高圧のN
2の流れと一緒になって、基本的な電力(又はパワー)製造サイクルにおいて、出力向上の仕事をするように送られる。溶媒濃縮器517は、温かい反応容器503を出るN
2+メタノールの流れ508の熱含量を回収し、第1の熱交換器601を出る冷たいN
2のサイドストリーム509に熱を移動させるが、これは主たるN
2の流れ515と一緒になるものであり、このパワーサイクルの途中である。これによって、最も高温の条件で酸+塩基の反応を容器中で起こすことができ、価値のある低級の熱を与え、これはN
2の流れ509に移されるものであり、熱交換器601を出る主たるN
2の流れと一緒になることが示されている。サブシステム400に向って601から移動するこのN
2の流れの加温は、サブシステム300での液化の途中で、溶媒濃縮器603を出るN
2の流れ515の冷却によって達成される。
【0151】
反応容器503から排出される水―メタノールの溶液510の蒸留は、いくつかの方法で起こり得ることに留意すべきであり、これには、熱(煙道ガスの熱含量からの熱など)による方法、高温蒸留器605からメタノールの蒸気を排出するための部分減圧によって増加される熱による方法、あるいは蒸気の再圧縮による方法によるものが含まれる。しかし、全てのこれらの方法は、煙道ガスにおいて利用可能な熱よりも多くの熱を要求する。その代り、本発明は、湿潤したメタノールの流れを「予め蒸留」し、水−メタノールの溶液510を深く冷却する。そうすることで、より密な水が容器の底部に移動して、上記の方法のいずれか1つまたはそれらの組み合わせによって、この飽和したメタノールの流れをさらに蒸留させることができるようになる。
図5、
図6および
図7は、このプロセスの効率を最適化し得る全ての可能な熱回収工程を示していないことに留意すべきである。また、全てのバルブ、ゲージ、センサ、ポンプまたは機器は示されていない。プロセスの設計および熱力学の当業者は、本発明の核となる技術から逸脱することなく、本明細書中に述べた様々な実施形態を実施する最適な方法を見出す。
【0152】
図2に示す好ましい実施形態は、水−メタノールの溶液510の蒸留(再生)を達成するために、液体のN
2の形態で貯蔵したオフピーク電力(又はパワー)に依存する。低温蒸留工程によって、ほとんど水の流れが得られ、ここから、残存するメタノールを熱によって蒸留する。好ましい2段階(低温および高温)の再生プロセスは、水−メタノールの溶液510を蒸留するために、かなり少ない熱を必要とする。これは、水の割合がメタノールの割合に対して非常に高い場合であり、到着するほとんどが水であり高温蒸留器605へと送られる流れ511の場合に当てはまる。冷却が本発明の実施形態に含まれる場合、メタノールの再生に必要なネット(又は正味)のエネルギーは少なくなる。なぜなら、より広い温度の範囲(蒸留の高温側と低温側との間)によって、大量の熱および冷気の回収が可能となる。さらに、液体のN
2の製造によって、大量の低コストの冷却が提供される。上記の通り、
図6は、このプロセスの効率を最適化し得る全ての可能な熱回収工程を示さず、唯一の制御バルブを示す。他のバルブ、ゲージ、センサ、機器およびポンプは示さない。
図6に示す冷媒の流れの代替として、廃熱および/または火力ヒータによって電力(又はパワー)が供給されるアンモニア吸収チラー(Ammonia Absorption Chiller)によって製造される冷たいアンモニアなどの他の冷却源もまた使用することができる。
【0153】
従って、炭素の捕捉および分離のシステムおよび方法ならびに環境修復および金属回収のプロセスが提供されることがわかる。あらゆる上記の構成および具体的な構成要素または化学的な化合物は、上記の実施形態のあらゆるシステムとともに相互に交換可能に使用されてもよいことを理解すべきである。本発明の好ましい例示の実施形態を本明細書の上記に記載するが、様々な変化および修飾が、本発明から逸脱することなく、この中で行われ得ることは当業者には明らかである。添付の特許請求の範囲において、本発明の真の精神および範囲内に入るこのような変化および修飾が包含されることを意図する。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
環境修復プロセスであり、当該環境修復プロセスが、
実質的に非水性の溶媒と、供給原料源からのアルカリ性供給原料とが溶媒懸濁液を形成するように、実質的に非水性の溶媒と、供給原料源からのアルカリ性供給原料とを混合することであって、前記アルカリ性供給原料が約5.6以上のpHを有すること、
反応が起こるように反応容器中で前記溶媒懸濁液と、水および二酸化炭素とを混合することであって、前記反応によってカーボネート、水および熱の迅速な形成が生じ、前記生成するカーボネートが実質的に非水性であること、
前記生成するカーボネートを溶液から沈殿させることであって、さらなる化学的な処理工程を必要とせずに、前記反応容器の底部に向かって沈降し、いくらかの実質的に非水性の溶媒とともに前記反応容器の底部に堆積させること
を含む、環境修復プロセス。
(態様2)
前記実質的に非水性の溶媒がメタノールである、態様1に記載の環境修復プロセス。
(態様3)
前記アルカリ性供給原料がフライアッシュである、態様1に記載の環境修復プロセス。
(態様4)
前記フライアッシュが酸化カルシウムを含む、態様3に記載の環境修復プロセス。
(態様5)
前記供給原料源が、石炭火力発電所、固形廃棄物焼却炉、木材加工施設、ボーキサイト精製施設、下水処理プラントからのスラッジ、アルカリ性灰と混合された酸性灰、アルカリ性灰と混合された酸性土、アルカリ性灰と混合された廃土、またはセメントキルンからの廃棄物流の1以上である、態様1に記載の環境修復プロセス。
(態様6)
前記アルカリ性供給原料が赤泥である、態様1に記載の環境修復プロセス。
(態様7)
前記アルカリ性供給原料が土である、態様1に記載の環境修復プロセス。
(態様8)
前記アルカリ性供給原料のpHが約7.0以上である、態様1に記載の環境修復プロセス。
(態様9)
前記生成するカーボネートを鉄製錬プロセスにおいて用いることを更に含む、態様1に記載の環境修復プロセス。
(態様10)
前記生成するカーボネートが二酸化硫黄と反応して亜硫酸カルシウムを形成するように、二酸化硫黄を含む煙道ガスを導入することを更に含む、態様3に記載の環境修復プロセス。
(態様11)
廃棄物から金属を回収する方法であり、当該方法が、
実質的に非水性の溶媒と、塩または無機物の形態で濃縮された金属を含む廃棄物流とが溶媒懸濁液を形成するように、実質的に非水性の溶媒と、塩または無機物の形態で濃縮された金属を含む廃棄物流とを混合すること、
反応が起こるように反応容器中で前記溶媒懸濁液と、水および二酸化炭素とを混合することであって、前記反応によってカーボネートを含む組成物、1以上の金属種、水および熱が生じ、前記生成するカーボネートが実質的に非水性であること、
前記生成するカーボネートを溶液から沈殿させることであって、さらなる化学的な処理工程を必要とせずに、前記反応容器の底部に向かって沈降し、いくらかの実質的に非水性の溶媒とともに前記反応容器の底部に堆積させること
を含み、
前記生成する金属種が、精製金属の製造、精製金属種または管理された危険な廃棄物の処分に適している、
方法。
(態様12)
前記実質的に非水性の溶媒がメタノールである、態様11に記載の方法。
(態様13)
前記廃棄物流がフライアッシュである、態様11に記載の方法。
(態様14)
前記廃棄物流が、赤泥、アルカリ性灰と混合された酸性灰、アルカリ性灰と混合された酸性土、アルカリ性灰と混合された廃土、またはアルカリ性供給原料と混合された下水スラッジの1以上である、態様11に記載の方法。
(態様15)
前記二酸化炭素が、ランドフィルガス火力発電所または嫌気性ガス消化装置の火力発電所からの排気によって提供される、態様11に記載の方法。
(態様16)
環境修復方法であり、当該環境修復方法が、
溶媒懸濁液を形成するように、実質的に非水性の溶媒と廃棄物流とを混合することであって、前記廃棄物流が、アルカリ性供給原料と、塩または無機物の形態で濃縮された金属とを含むこと、
反応が起こるように反応容器中で前記溶媒懸濁液と、水および二酸化炭素とを混合することであって、前記反応によって、カーボネートを含む組成物、1以上の金属種、水および熱が生じ、前記生成するカーボネートが実質的に非水性であること、
前記生成するカーボネートを溶液から沈殿させること
を含み、
前記生成する金属種が、精製金属の製造、精製金属種または管理された危険な廃棄物の処分に適している、
環境修復方法。
(態様17)
前記実質的に非水性の溶媒がメタノールである、態様16に記載の環境修復方法。
(態様18)
前記廃棄物流が、フライアッシュ、汚染土、廃土、アルカリ性供給原料と混合された酸性廃土、アルカリ性供給原料と混合された酸性汚染土、アルカリ性供給原料と混合された酸性灰の1以上である、態様16に記載の環境修復方法。
(態様19)
前記廃棄物流が赤泥である、態様16に記載の環境修復方法。
(態様20)
前記生成する金属種が、希土類元素、ならびに価値および関心のある全ての他の金属を含む、態様16に記載の環境修復方法。